日本酒ウォッチ
最新の記事
おうちで簡単!唎酒師が作る日本酒に合うおつまみレシピ30選
美味しい日本酒には美味しいおつまみがかかせない!という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、お家で居酒屋気分を味わえるおすすめおつまみを紹介します。 定番おつまみからチーズを使った洋風おつまみまで、お酒がすすむメニューが勢揃い。どれも飲みたいときにササッと作れるかんたんレシピばかりですよ。より美味しく楽しめる「日本酒4タイプ」にあわせたおつまみの数々、ぜひチェックしてみてください♪ 1.おつまみ選びのヒントに!日本酒の4つの分類 日本酒は、コクや香りによって以下の4つに分類され、それぞれに合うおつまみを選ぶと、さらにお酒が進むペアリングが生まれます。 薫酒(くんしゅ) 爽酒(そうしゅ) 熟酒(じゅくしゅ) 醇酒(じゅんしゅ) 米を原料に造られる日本酒は、ご飯がすすむ煮物や焼き魚、照り焼き、和え物などと相性の良いお酒です。また、フルーティーな香りに深いコク、ドライテイストなど、銘柄ごとの個性が大きな魅力でもあります。 より相性の良いおつまみを楽しみたいときは「フルーティーな香りの日本酒にはちょっと洋風」、「コクのある日本酒には濃い味付け」など、お酒のタイプに合わせたメニューを選んでみてください。 「このお酒はどのタイプ?」と疑問に思ったら、ラベルに書かれた「吟醸」や「純米」という文字をチェックしてみてるのがおすすめです。お酒の個性を知るおおまかなヒントになりますよ。 1-1.吟醸酒、大吟醸酒 :薫酒(くんしゅ) 「薫酒(くんしゅ)」は、薫る(かおる)酒と書くように、華やかな香りが特徴的な日本酒です。吟醸香(ぎんじょうこう)と呼ばれる華やかでフルーティーな香りを持つ「吟醸酒」や「大吟醸酒」に多く見られます。 ワイングラスに注いで香りと味わいを楽しんだり、フレンチやイタリアンと組み合わせても美味しいタイプです。 1-2.普通酒、本醸造酒、生酒:爽酒(そうしゅ) 「爽酒(そうしゅ)」は、香りやコクが控えめでスッキリした味わいの日本酒です。「淡麗辛口」や「ドライテイスト」と表現されることもあります。 爽酒タイプの日本酒は、「普通酒」や「本醸造酒」に多く見られます。また、加熱処理をしていない「生酒」もフレッシュで爽やかな味わいが際立つお酒です。 1-3.長期熟成酒、古酒:熟酒(じゅくしゅ) 「熟酒(じゅくしゅ)」タイプには、一定期間熟成させた「長期熟成酒」や「古酒」があてはまります。琥珀色や濃い茶色の色合い、複雑な熟成香、重厚な味わいが特徴です。 1-4.純米酒:醇酒(じゅんしゅ) 「醇酒(じゅんしゅ)」は、4つのなかでもっともコクがあるタイプです。米のふくよかな香りと旨味、しっかりした飲みごたえが感じられる「純米酒」に多く見られます。 また、「山廃(やまはい)」や「生酛(きもと)」と呼ばれる日本酒も醇酒タイプが多いお酒です。温めるとさらに味に深みが生まれ、燗酒にも向いています。 2.日本酒の温度別、おつまみの合わせ方 日本酒は、冷やしたり温めたりと幅広い温度帯で楽しめるお酒です。おつまみも日本酒の温度にあわせて用意してみましょう。 例えば、鮮度が命のお刺身には適度に冷やしたお酒が良く合います。温かい煮物や煮魚には、燗酒のペアリングもおすすめです。 また、日本酒はそのまま飲むだけでなく、ロックやソーダ割にしても美味しく味わえます。キリッと冷えた日本酒ロックや、爽快感あふれるソーダ割は揚げ物とベストマッチ。唐揚げやフライドポテトと合わせて、爽快なのど越しを楽しんでみてください。 3.薫酒(くんしゅ)に合うおつまみレシピ7選 華やかでフルーティーな香りを持つ薫酒は、和食はもちろん洋食にも合うお酒です。ほんのり苦味のある野菜や、ハーブ類を使ったあっさりしたタイプのおつまみと良く合います。 3-1.トマトとモツァレラのカプレーゼ イタリア生まれのサラダ「カプレーゼ」はフルーティーな香りの薫酒と好相性。バジルを加えて香り×香りの相乗効果を楽しんで♪ レシピ オリーブオイルに塩少々とドライバジル、ブラックペッパーを加える。半分にスライスしたミニトマト(そのままでも)とモツァレラチーズをあえる。 3-2.アボカドとサラダチキンの柚子胡椒マヨ 手軽に使えるサラダチキンを使ったマヨサラダは、柚子胡椒がアクセント。柚子の香りとピリッとした辛味に、するするとお酒がすすみます。 レシピ マヨネーズ(大さじ1)に柚子胡椒(小さじ1/2)を加える。レモン汁をかけたアボカド(1個)と、カットしたサラダチキン(50g)をあえてできあがり。 3-3.はんぺんのハム&チーズ焼き 淡白な味わいのはんぺんは、薫酒と相性の良い食材です。ハム&チーズをはさんでこんがり焼けば、ふわふわ食感が楽しいおつまみができあがります。 レシピ はんぺんを横半分にカットし、ハムとチーズをはさむ。フライパンできつね色になるまで焼く。 3-4.タコとホタテの和風カルパッチョ ワイングラスで楽しむスパークリング酒や、香り高い薫酒にあわせたいメニューです。白身魚のお刺身で代用しても◎ レシピ カットしてお皿に並べたタコ&ホタテに、レモン汁をまわしかける。オリーブオイル(大さじ1)と醤油(小さじ1)をよく混ぜ、上からかける。 3-5.大根の梅じそサンド 梅の酸味と青じその香りが薫酒と相性ぴったり。冬から春に販売される新酒にも合う和風おつまみです。 レシピ 大根を5mm幅の半月状にカットし、真ん中に切込みを入れる。青じそと潰した梅干しをはさんで完成。 3-6.ささみの梅肉和え 梅肉のサッパリ感とお酒のキレがマッチする一品です。ごま油をまわしかけて中華風にアレンジしても◎ レシピ ささみを茹で(またはレンジで加熱)、細かくさいておく。千切りきゅうり、梅肉と和えたら少量の醤油で味を整える。 3-7.目玉焼きトースト 薫酒はワイングラスに注ぐと香りをより一層楽しめます。休日ランチにグラスで軽く1杯、というときにおすすめしたいメニューです。 レシピ トーストにベビーリーフをのせ、オリーブオイルをまわしかけ塩少々。目玉焼きをのせ、黒コショウをぱらりとかけたらできあがり。 4.爽酒(そうしゅ)に合うおつまみレシピ9選 ドライテイストの爽酒は、シンプルな和風おつまみやピリ辛味と好相性。今回はピックアップしていませんが、唐揚げや天ぷらといった油ものとも良く合います。暑い夏はロックスタイルやソーダ割で楽しんでも◎ 4-1.薬味たっぷり冷奴 おつまみの定番、冷奴は薬味をたっぷりと乗せて。薬味の爽やかな香りと苦みが、爽酒のスッキリとした味わいを引き立てます。 レシピ ネギ、ミョウガ、しょうがのすりおろしなど、好みの薬味を用意する。豆腐にたっぷりと乗せ、醤油をまわしかける。好みでごま油やラー油をたらしても◎ 4-2.きゅうりとわかめのツナマヨサラダ ちょっと時間があるときは、きゅうりをササッとスライス。ツナマヨでコクを足せば、爽酒とバランスのとれたおつまみサラダができあがります。 レシピ 薄くスライスしたきゅうり(1本)に塩をふり、しばらく置いてキュッと絞る。乾燥わかめは水に戻して絞っておく。めんつゆ(大さじ1)にマヨネーズ(大さじ1/2)を加えよく混ぜる。油をきったツナ缶ときゅうり・わかめを、めんつゆマヨであえて完成。 4-3.ピリ辛こんにゃくの炒り煮 作り置きもOKの炒り煮は、爽酒と良く合うピリ辛味に。辛さが苦手な方は、唐辛子をおかかに代えても◎。 油を使わないため、ダイエット中にもおすすめのおつまみです。 レシピ こんにゃく(1枚・250g)はスプーンなどでちぎるように切る。パチパチ、キュウキュウと音が鳴るまで、から煎りする。水分が飛んだら、醤油(大さじ1)、みりん・酒(各大さじ1/2)、唐辛子を加えて煮詰める。 4-4.塩辛ポテトサラダ 人気おかずの定番、ポテトサラダは塩辛をプラスしておつまみ風に仕上げましょう。マヨネーズのコクと塩辛の塩味、じゃがいもの甘味が、爽酒と絶妙にマッチします。 レシピ じゃがいも1個を濡れたキッチンペーパーとラップで包み、500Wで約8分加熱。やけどに注意しながら皮をむき、熱いうちにつぶす。粗熱が取れたらマヨネーズ(大さじ1~2)、塩辛(20~30g)を混ぜる。※マヨネーズと塩辛の量はお好みで。 4-5.さっぱり砂肝ポン酢 コリコリッとした砂肝ポン酢は、お家で居酒屋気分を楽しめるおつまみです。作り置きをして味が染みた翌日に味わうのもおすすめ。 レシピ 砂肝(100g)を薄く切り、茹でて水をきっておく。ネギを加え、ポン酢(大さじ1)、ごま油少々であえて完成。 4-6.キャベツの塩昆布和え 電子レンジでささっとできるお手軽レシピ。加熱するとキャベツの甘みが増し、塩昆布の塩味、爽酒のキレと絶妙にマッチします。 レシピ ざく切りキャベツを耐熱容器に入れ、ラップをかけ電子レンジで2分ほど加熱する。塩昆布と和えたらできあがり。 4-7.レンチンピーマン シンプルながら箸が止まらなくなるお手軽おつまみです。ピーマンのほのかな苦味がお酒のキレを引き立ててくれます。 レシピ 細切りにしたピーマンを耐熱容器に入れ、ラップをかけレンジで1分ほど加熱する。顆粒中華だし適量をかけて混ぜる。 4-8.チゲ鍋 ピリリと辛いチゲ鍋のおともには、マッコリのイメージで白いにごり酒を。写真のにごり酒は「讃岐くらうでぃ」。甘酸っぱく、パンチのあるメニューによく合うお酒です。しっかり冷やしたビールで割っても美味しいですよ。 レシピ 鍋に薄切りニンニクとごま油を入れ、豚肉を軽く炒める。水と顆粒だしを入れ、豆腐と白菜、キムチなどの具材を入れたらフタをして加熱する。仕上げにニラを入れ軽く火を通し、卵の黄身をおとしたらできあがり。 4-9.ガーリック枝豆 定番おつまみ枝豆はガーリック風味にアレンジ。黒こしょうを赤唐辛子に変えたペペロンチーノ風もおすすめです。パートナーには日本酒ロックをあわせました。加水をしていない「原酒」と書かれたお酒を選ぶと、ロックやソーダ割にしてもしっかりとした味と香りを楽しめます。 レシピ フライパンにオリーブオイルと刻みニンニクを入れ加熱する。ニンニクの色が変わり始めたら、茹で枝豆を入れ全体に油をまわす。仕上げに黒こしょうをふってできあがり。 5.熟酒(じゅくしゅ)に合うおつまみレシピ6選 琥珀色の熟酒のおつまみは、ウイスキーやブランデーにあわせるつもりで選んでみましょう。意外なところでは、スイーツとのペアリングがおすすめです。ナッツやドライフルーツ、ニンニクの個性も、熟酒の深い味わいが受け止めてくれます。 5-1.酒粕×クリームチーズ×フルーツナッツ 酒粕×クリームチーズはお酒好きにぜひおすすめしたい組み合わせ。ドライフルーツの甘味とナッツの風味が、熟酒と絶妙にマッチします。 レシピ 酒粕(50g)、クリームチーズ(30g)、ハチミツ(小さじ1)、好みのドライフルーツとナッツ混ぜる。※酒粕が固いときは、電子レンジで10~20秒加熱してみてください。 5-2.オイルサーディンの缶詰アヒージョ 手軽に完成された味わいを楽しめる缶詰は、お酒好きの心強い味方です。ニンニクと唐辛子を加えて、熟酒が進むアヒージョ風に。 レシピ オイルサーディン缶にスライスしたニンニクと輪切りの鷹の爪を入れ、オーブントースターでフツフツするまで焼く。※熱くなるので取り出し時に注意! 5-3.長ネギとメンマのピリ辛和え ピリッと辛い中華風メニューも、熟酒におすすめのおつまみです。瓶詰メンマを汁ごと使えば、手軽に本格的な味わいに仕上がります。 レシピ ごま油をひいたフライパンに、メンマ(1瓶・100g)を汁ごと入れる。汁が煮詰まったら、醤油とラー油少々を回しかけ、少々煮詰めて火を止める。斜めに薄切りした長ネギ(1/4本)を加え、余熱で混ぜる。 5-4.牡蠣のバターソテー 牡蠣は生でも日本酒と相性ばつぐんの食材。熟酒と合わせるときは、バター醤油を使ったコクのあるおつまみで。 レシピ 水気をきった牡蠣に薄く小麦粉を振り、バターソテーする。火が通ったら仕上げに醤油をまわしかける。 5-5.熟酒のアイスクリームがけ トロリと粘度があり、甘さと香りが濃い熟酒はバニラアイスにかけて味わうのもおすすめです。そのほか、チョコレートやあんこといったスイーツとも好相性。ぜひ、新しい日本酒の楽しみ方にチャレンジしてみてください。 5-6.なんちゃってお好み焼き ソースとマヨネーズ、間違いなしの組み合わせには個性的な味と香りの熟酒をプラス。粉いらずのなんちゃってレシピで手軽にお好み焼き風の一品を。 レシピ キャベツ(約1/6個)を千切りまたはざく切りにし、溶き卵(2個)と混ぜる。フライパンに油を熱し、豚バラ肉を広げて入れる。卵と混ぜたキャベツを流し入れ、形を整える。豚肉に火が通ったらひっくり返し、両面焼く。仕上げにソースとマヨネーズを好きなだけかけたらできあがり。 6.醇酒(じゅんしゅ)に合うおつまみレシピ8選 コクのある醇酒のおつまみは、ご飯におかずを合わせるように選んでみましょう。味噌や醤油を使った和食はもちろん、バターやチーズを使ったメニューとのペアリングもおすすめですよ。 6-1.きのこのバターホイル焼き 旨味がギュッと詰まったきのこは、醇酒と相性ばつぐんの食材。ホイルに包んでトースターに入れれば、お酒をちびちび飲む間に美味しいおつまみができあがります♪ レシピ 好みのきのこをアルミホイルの中央に置き、日本酒とちょろっとまわしかけ、塩コショウをふりバターを乗せて包む。オーブントースターで7~8分蒸し焼きにし、しょうゆをかけていただく。 6-2.油揚げのネギ味噌&キムチーズ 味噌、キムチ、チーズは、醇酒と相性の良い発酵食品です。油揚げのこおばしい香りも醇酒の味わいを引き立てます。 レシピ 味噌・みりん(各大さじ1)と砂糖少々、刻みネギでネギ味噌をつくる。油揚げ2枚にネギ味噌、キムチ&チーズをそれぞれ乗せ、オーブントースターで焼く。 6-3.ニンジンとレンコンのきんぴら 和食の王道、きんぴらも立派なおつまみメニューに♪ ちょっと濃い目の味付けが燗にした醇酒にぴったりです。 レシピ 千切りニンジン(1本)とレンコンの水煮(100g)をごま油で炒める。火が通ったら、醤油(大さじ1.5)、酒・みりん(各大さじ1)を入れる。水分が飛んだらごまを振って完成。 6-4.めんたい玉子焼き 居酒屋でついつい頼んでしまうふわふわ玉子焼き。明太子をくるっと包めばお酒にぴったりの味わいに。 レシピ 卵(3個)に顆粒だし少々を加えて混ぜる。油を引いたプライパンに卵を流し、まんなかに明太子を乗せて巻く。※あえて甘口の卵で仕上げるのもオススメ 6-5.電子レンジで肉豆腐 お腹がすいた…でもお酒も飲みたい!というときはボリューミーなおつまみを♪ 電子レンジを活用すれば、味の染みた肉豆腐があっという間にできあがります。 レシピ 醤油・酒・砂糖(各大さじ1)に豚バラ肉(100g)を漬ける。耐熱容器に焼き豆腐(1/3丁)、スライスした長ネギ、豚肉を汁ごと順に重ね、ラップをかけて電子レンジ(500W)で5分加熱する。 6-6.豚バラ白菜鍋 あっさりおつまみ×コクのある醇酒の組み合わせです。お互いにない部分をそれぞれが補い合いあってくれます。 レシピ 鍋に白菜と豚肉を重ねるようにしきつめ、水と顆粒だしを入れて加熱する。ぽん酢と好みの薬味を添えていただく。 6-7.鶏もつ煮 こちらは旨味の強いおつまみと醇酒の組み合わせです。もつ煮をおともに燗酒をちびちび。ゆったり晩酌タイムを楽しみたいときにぜひお試しください。 レシピ 鶏モツを水洗いし、玉ヒモ(細長い部分)のみ下茹でする。鶏もつ250gに対し、醤油50cc・みりん25cc・砂糖25gを鍋で沸かし、鶏もつと生姜スライスを入れて煮込んだらできあがり。 6-8.エビのネギソース炒め コクのある純米酒のおともには、ネギソースをたっぷりまとったエビの炒め物を。エビは殻付きのまま仕上げていますが、殻をむいて調理してもOKです。指にソースをつけつつ、気取らずいただくカップ酒もおつなものですよ。 レシピ エビの背中に楊枝をさし背わたを取ったら、キッチンペーパーで水気を拭いておく。長ネギは刻んでおく。フライパンに油と刻みニンニクを入れ加熱する。エビを追加し火が通ったら、長ネギと顆粒中華だしを加える。長ネギがとろりとするまで炒めたら完成。 まとめ 美味しい日本酒を片手におつまみをいただく時間は、日本酒好きにとってまさに至福のひととき。1日の終わり、日本酒とおつまみを楽しみたいときは、かんたんレシピが心強い味方です。 日本酒をちびりちびりと飲みながら、手軽に調理できることもうれしいポイント。好みのおつまみを用意して、今日も日本酒で乾杯!
「SAKE COMPETITION 2023」開催!世界一美味しい日本酒が決定
“世界一美味しい市販日本酒”が決まる品評会「SAKE COMPETITION」が4年ぶりに開催!2023年5月9日(火)の予審会を皮きりに、10日(水)・11日(木)と決審会が行われました。 2012年開催以来、日本酒のトレンドを牽引してきたともいえる「SAKE COMPETITION」。今回は、10日の決審会の模様に加え、審査員へのインタビューをお伝えします。 市販日本酒の品評会「SAKE COMPETITION 2023」 「SAKE COMPETITION」は、市販されている日本酒を対象とした品評会です。 「ブランドによらず消費者が本当に美味しい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい」という理念のもと、2012年にスタート。 規模は年々拡大し、2019年の出品数は1919点と世界最大級のコンペティションとなりました。 大きな特徴は、完全に銘柄を隠したブラインド審査であること。ブランドや知名度といった背景に頼ることなく、審査では純粋に日本酒の品質のみが評価されます。 公平性を保つため、飲む順番はパソコンでシャッフルして決定するという徹底ぶりです。 「SAKE COMPETITION」では、1位受賞をきっかけに、地元から全国へと羽ばたく酒が数々誕生してきました。下記は、2019年度各部門で1位に輝いた銘柄です。 純米酒部門 宝剣酒造株式会社「宝剣 純米酒 レトロラベル」 純米吟醸部門 合資会社廣木酒造本店「飛露喜 純米吟醸」 純米大吟醸部門 清水清三郎商店株式会社「作 朝日米」 吟醸部門 株式会社中勇酒造店「天上夢幻 大吟醸 山田錦」 SUPER PREMIUM部門 高木酒造株式会社「十四代 龍泉」 スパークリング部門 秋田清酒株式会社「出羽鶴 awa酒 明日へ」 海外出品酒部門 Sequoia Sake Company「Coastal Ginjo」 今年は4年ぶりの開催ということもあり、出品数を1000点に制限。日本酒、そして“日本酒業界の精鋭”とされる審査員20名が各地から東京へと集結しました。 総数1000銘柄から各部門の1位が決定 2023年度の審査は「純米酒部門」「純米吟醸部門」「純米大吟醸部門」「SUPER PREMIUM部門」の計4部門で行われます。 「SAKE COMPETITION 2023」出品数(計1000点、335蔵) 部門 出品数 予選通過数 純米酒部門 273 138 純米吟醸部門 343 175 純米大吟醸部門 333 171 SUPER PREMIUM部門 51 ※決審のみ 膨大な数の日本酒を審査するのは、著名な技術指導者やその推薦で選出された蔵元、日本酒業界などで活躍する有識者です。 日本酒業界を牽引する各蔵の杜氏、酵母開発を手がける技術者などでチーム編成されていることからも、審査員のレベルの高さが伺えます。 5月9日(火)の予審会では、全審査員が1,000銘柄をテイスティング。決審会では、10名の審査員により各部門の審査が行われました。 今年は、継続開催に向けての検証の観点から審査スタイルも変更。以前のように日本酒が並べられたテーブルを審査員が回るのではなく、着席した各審査員のもとへと日本酒が運ばれていきます。 半日で約200点以上の日本酒を審査 5月10日(水)の決審会で審査されたのは「純米吟醸部門」と「SUPER PREMIUM部門」の日本酒です。 全343点だった「純米吟醸部門」は、前日の予審会で175点まで絞られていました。 それでも「SUPER...
日本酒の香りや味に大きく影響する微生物「酵母」の役割や種類を紹介!
日本酒の世界を知り始めると耳にする「酵母(こうぼ)」という言葉。「菌のようなイメージだけど、酵母ってそもそも何?種類は?特徴は?」と疑問に感じたことはないでしょうか。 酵母は、日本酒の味や香りを大きく左右する存在。今回は、酵母の役割や種類について詳しくお伝えします!酵母の世界を覗き込めば、お気に入りの“推し酵母”を見つけたくなるかもしれませんよ。 1.酵母とは? 酵母とは、キノコやカビのように「真菌類」に属する微生物のことです。自然界では、樹液や花の蜜、果実などに多く存在します。 その大きさは、5~10マイクロメートルほど(1マイクロメートル=1000分の1ミリ)。酵母は肉眼では見えないほど小さく、顕微鏡などで楕円形や球状の姿が確認できます。 酵母の種類は350種以上にもおよび、食品やお酒には「サッカロマイセス・セレビシエ」と呼ばれる種類が使用されます。 1-1.お酒や味噌、パンに欠かせない酵母 酵母は日本酒だけでなく、味噌やしょうゆ、パンなどに欠かせない存在です。味噌には味噌用酵母、パンにはパン用酵母と、それぞれに適した酵母が用いられます。 酵母を使うこれらの食品の共通点は、「発酵食品」であることです。いずれの食品も、酵母の「発酵」の力によって生まれます。 発酵とは、微生物の働きで、糖類やタンパク質といった物質がほかのものへと変化すること。なかでも、お酒造りで酵母がおこなう発酵は「アルコール発酵」と呼ばれます。 1-2.酒造りにおける酵母の役割「アルコール発酵」 アルコール発酵とは、酵母の働きで、糖類がアルコールと炭酸ガスへと変化することです。日本酒やビール、ワインなどのお酒は、酵母のアルコール発酵によって造られています。 ブドウを原料にするワインは、ブドウの糖類に酵母が働きかけることでアルコール発酵が起こるお酒です。 ところが、日本酒の原料である米には、糖類がほとんど含まれていません。ここで登場するのが、酵母とならび日本酒造りに欠かすことのできない「麹菌(こうじきん)」です。 日本酒造りでは、蒸した米に麹菌を繁殖させ、米のデンプンを糖類へと変化させます。酵母はこの糖類をエサに、アルコール発酵をおこなうというわけです。米を原料にする日本酒は、麹菌と酵母の連携プレーによって生まれています。 麹菌についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 https://sake-5.jp/what-is-koji-mold/ 2.酵母が生み出す「香り」と「酸味」 ビール酵母、ワイン酵母などがあるように、日本酒造りには「清酒酵母」が用いられます。清酒酵母は低い温度帯でも活動でき、17~18度の高いアルコールを生み出すことが特徴です。また、清酒酵母はアルコール発酵と同時に「香り」と「酸味」を生み出します。 2-1.酵母が生み出すフルーティーな香り 酵母は、アルコール発酵中にフルーティーな香りを生み出します。果実や花に例えられる「吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)」と呼ばれる香りです。 吟醸香の主な成分は、「カプロン酸エチル」と「酢酸イソアミル」の2種類。カプロン酸エチルは、リンゴや洋ナシのような甘さと爽やかさを感じさせる香りです。小さく精米した米を使ったり、低温で発酵させたりするとより多く現れます。 酢酸イソアミルは、濃厚な甘さのバナナやメロンに例えられる香りです。これらの香りの現れ方は、後述する酵母の種類によって異なります。 2-2.酵母が生み出す酸味 酵母は、リンゴ酸やクエン酸といった日本酒の酸味成分を生み出します。 リンゴ酸はその名のとおり、リンゴなどの果実に含まれる酸味です。クエン酸は柑橘類に多く含まれ、いずれも爽やかな酸味をもたらします。 リンゴ酸やクエン酸由来の酸味は、お酒の温度が低いほどシャープなキレ味となって現れやすくなります。 3.日本酒に使われる様々な酵母の種類 日本酒造りに使う酵母は、主に次の4つに分類されます。 きょうかい酵母 都道府県酵母 蔵付き酵母 ワイン酵母や花酵母 前述したように、酵母は日本酒の香りや味に大きく影響する微生物です。どの酵母をどのように使うかは、各蔵の腕の見せどころ。ここでは、それぞれの酵母の代表種と特徴についてみていきましょう。 3-1.きょうかい酵母 きょうかい酵母は、日本醸造協会が頒布している酵母です。自然の酵母の力に頼ることのない安定した日本酒醸造を目的に、全国新酒鑑評会で上位となった酒蔵の酵母を分離、培養することから配布が始まりました。 1906年(明治39年)、兵庫県の「櫻正宗」から分離された『1号酵母』をかわきりに、2号、3号と名称が付けられています。 名称 分離元 酵母の特徴 6号酵母 秋田の新政酒造場「新政」 現存する最古のきょうかい酵母。発酵力が強く、香り穏やかでライトな味わいの日本酒に仕上がる。 7号酵母 長野の宮坂醸造「真澄」 もっとも多く使用されているきょうかい酵母。発酵力が強く、華やかな香りをもたらす。 9号酵母 熊本の酒造研究所「香露」 低温でも活発に活動する酵母。華やかな香りを持つ吟醸酒用の酵母の代表種。 1801号酵母 日本醸造協会 (9号と1601号の交雑) 別名「高エステル生成酵母」。フルーティーな香りのもとを多く生成する。一方で不快とされる香りの生成が少なく、香り高い大吟醸酒に多く用いられる。 赤色清酒酵母 日本醸造協会 (10号から派生) 10号酵母の突然変異で生まれた赤色の酵母。甘口タイプの桃色のにごり酒に使用される。 (出典元:公益財団法人 日本醸造協会) 3-2.都道府県酵母 都道府県酵母は、地酒の品質向上を目的に各地で開発された酵母です。味わいだけでなく、名称からも地域性を感じることができます。 名称 都道府県 特徴 AK-1(秋田流花酵母) 秋田県 「きょうかい1501号」に登録されている酵母。リンゴのようなフルーティーな香りを生成する。 HD-1 静岡県 甘くやわらかな香りを生む静岡県オリジナル酵母。HD-1を使用した日本酒は「静岡吟醸」とも呼ばれる。 長野C酵母 (アルプス酵母) 長野県 長野県食品工業試験場が開発。長野の名産、デリシャスリンゴを思わせる甘い香りを生み出す酵母。 EK-1 愛媛県 全国新酒鑑評会で多くの金賞受賞酒を生み出している酵母。香り高い大吟醸酒に多く用いられる。 うつくしま夢酵母 福島県 福島県知事が命名。酸味が少なく、香りがフルーティーでマイルドな味わいの日本酒に仕上がる。 3-3.蔵付き酵母 蔵付き酵母とは、酒蔵に古くから住み着いている酵母のことです。家付き酵母とも呼ばれます。 前述したように、酵母は自然界の樹液や花の蜜のなかにも存在します。蔵付き酵母の住み家は、酒蔵の天井や梁(はり)、土壁などです。 天然の蔵付き酵母を取り込み増殖させる手法は「酵母無添加」と呼ばれ、江戸時代に確立された“古くて新しい手法”として、近年注目を集めています。 3-4.ワイン酵母や花酵母 ワイン酵母 ワイン酵母は、清酒酵母と比べ発酵力の弱い酵母です。日本酒造りに使用した場合、発酵が進む前に米が溶け出し、甘みがありアルコール度数が低いお酒に仕上がるといわれています。 また、ワイン酵母で仕込んだ日本酒は、スッキリとした酸味をもつことも特徴のひとつ。口当たりがライトで飲みやすい銘柄が多いため、日本酒ビギナーにもおすすめです。 花酵母 花酵母は、花の蜜から分離した酵母です。「野生酵母」とも呼ばれ「花酵母研究会」に属する蔵で使用されています。 現存する花酵母の種類は、ナデシコやツルバラ、コスモスなどの全14種類。花酵母といっても花の香りがするわけではなく、日本酒の味や香りをより引き出す力を持つことが特徴です。 まとめ 肉眼では見えない、小さな小さな微生物「酵母」。その力によってお酒ができあがると思うと、日本酒の味わいがより神秘的で愛おしく感じられるのではないでしょうか。 日本酒マニアのなかには「6号酵母がすき」「やっぱりお酒は7号酵母だな」など、“推し酵母”をもつ人も存在するほど。ぜひ、酵母にも着目して日本酒の世界を楽しんでみてくださいね。
本当に便利な日本酒アプリ5選を紹介!
日本酒について学んだり、飲んだ銘柄の感想やラベルなどを記録し、SNS機能があれば投稿などもできてしまう「日本酒アプリ」。SNS機能のあるアプリでは日本酒好き同士の交流などもできてしまいます。 日本酒が好きであるならばぜひダウンロードするのがオススメですが、昨今の日本酒人気もありいまや様々な日本酒アプリがあります。 この記事では使い勝手がよくほんとうにおすすめできる日本酒アプリを厳選して紹介していきます。 1. 飲んだ日本酒を記録するためのおすすめアプリ3選 1-1.さけのわ 飲んだ日本酒の銘柄の情報を感想と共に記録し、SNS上で共有できるアプリの「さけのわ」です。 ツイッターやフェイスブックと連携させれば、アカウント登録の手間などもなくかんたんに始められます。 自分の飲んだ銘柄を写真付きで記録したり、SNS機能もあるので投稿することもできます。 同じアプリを使っている人の感想はタイムラインで配信。お気に入りマークをつけたりコメントで交流することもできますよ! SNS機能がついていて、日本酒の記録をするアプリは基本的には「さけのわ」一つあれば困ることはないと思います。 最大の特徴は銘柄ごとにある「フレーバーチャート」。飲んだことのない銘柄だとしても、他の人の投稿によってお酒の傾向がわかります。自分好みの味を探してみましょう。 App Storeはこちら Google Playはこちら 1-2.Sakenomy 「Sakenomy」は、数万を超える日本酒情報と1300軒を超える酒蔵情報が詰まったアプリです。 日本酒選びや合わせる料理に迷うときも、蔵元直伝のおすすめの飲み方を参考にできます。ペアリング機能で料理に合わせた日本酒を探せるなど、自分だけの“日本酒ソムリエ”ともいえる存在です。 お気に入りの日本酒は、日本酒オンラインショップ「Sakenomy Shop」からワンクリックで購入可能。日本酒はすべて酒蔵から直送されるため、品質管理も万全です。 飲んだ日本酒、飲みたい日本酒はマイページに記録できます。さらに、蔵元おすすめのレストランや宿などのご当地情報、お取り寄せグルメもチェックできるなど情報満載。お家で旅気分を味わいたいときや、全国各地への旅のおともにおすすめです。 出典元:App Store「Sakenomy」 App Storeはこちら Google Playはこちら 1-3.サケアイ 日本酒アプリ「サケアイ」では、気になる日本酒の味わいやユーザーからのおすすめ度を確認できます。自分が飲んだ日本酒を投稿し、日本酒好きの人たちと交流することも可能です。 また、飲んだ日本酒の情報を記録しておけば、AIがデータを解析し、自分に合う日本酒を提案してくれます。日本酒を購入できるオンラインショップや酒販店の情報もチェックできますよ。 日本酒データベースは2万3000種類以上と「これから日本酒を開拓したい」「日本酒好きと交流したい」という方におすすめのアプリです。 出典元:App Store「サケアイ」 App Storeはこちら Google Playはこちら 2.日本酒の情報収集におすすめのアプリ2選 2-1.Smart News (出典元:Smart News) ニュースアプリとしてはおなじみの「Smart News」。「ニュースアプリと日本酒、なんの関係が?」と思うかもしれませんが、このスマートニュース、検索機能から「日本酒」を検索すると、日本酒のニュースだけを厳選してお届けする「日本酒チャンネル」があります。 朝、他のニュースを確認するとともに、日本酒のニュースだけを見るのもいいですよね。 App Storeはこちら Google Playはこちら 2-2.Twitter (出典元:App Store「Twitter」) 「Twitter」では、日本酒に関するトレンドをいち早くキャッチできます。近年はTwitterアカウントを持つ酒蔵も多く、好きな蔵の情報を追いかけたいときにおすすめです。 チャットやコメントなどを通じ、国内外の日本酒好きと交流できることも大きな魅力。自ら日本酒の情報を届けたい!というときは、情報発信のツールとして活用できます。 App Storeはこちら Google Playはこちら まとめ 日本酒のアプリはいくつか種類もありますが中には更新が止まってしまうものもあります。 今回は現在もなお更新され続けよりよく使いやすくなっている日本酒アプリを厳選して紹介してみました。 ぜひ、記録などに使ってよい日本酒ライフを送ってくださいね。
【2023年最新版】日本酒初心者におすすめ!飲みやすくておいしいおすすめ日本酒19選!
日本酒を飲み始めると「おすすめの日本酒が知りたい」、「初心者でも飲みやすい日本酒は?」と気になることもあるのではないでしょうか。日本酒は種類が多く、選びづらいと感じることもあるかもしれません。 そこで今回は、日本酒初心者におすすめの銘柄をご紹介!タイプごとの味や香りの違い、選び方のポイントも解説します。ぜひ日本酒選びの参考にしてくださいね。 1.日本酒3タイプの味や香りの違い 日本酒は、原料や製法によって大きく以下の3タイプにわかれ、それぞれ味や香りに違いが生まれます。 お米の旨味を楽しむ「純米酒」 軽快な飲み口の「本醸造酒」 華やかな香りの「吟醸酒」 「純米酒」や「本醸造酒」、「吟醸酒」などの呼び名は特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)と呼ばれるものです。 日本酒初心者のなかには、この種類の多さが選びづらさにつながっているという方も多いのではないでしょうか。まずは、3タイプごとの味や香りの違いについてみていきましょう。 1-1.お米の旨味を楽しむ「純米酒」 「純米酒」とは、米と米こうじのみを原料に造られる日本酒のことです。味わい豊かで、米から生まれるお酒ならではの旨味とコクを堪能できます。温めると香りがより豊かに広がり、燗酒に適した銘柄も多く見られます。 純米酒についてもっと詳しく知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。 「純米酒」とは?味わいやおすすめの飲み方も解説! 1-2.軽快な飲み口の「本醸造酒」 「本醸造酒」は、米と米こうじ、醸造アルコールから生まれる日本酒です。醸造アルコールを加えることで、スッキリとキレのある味わいに仕上がります。比較的リーズナブルな商品が多いことも特徴です。 本醸造酒についてもっと知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。 本醸造酒はどんなお酒?おすすめの楽しみ方や特徴を解説 1-3.華やかな香りの「吟醸酒」 「吟醸酒」は、米と米こうじ、醸造アルコールを原料に吟醸造りで造られるお酒です。吟醸造りとは、米をより小さく磨き、低温でじっくりと発酵させる製法のこと。吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)と呼ばれるフルーティーな香りを楽しめます。 吟醸酒についてもっと知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。 「吟醸酒」とは?定義やおすすめの飲み方を解説 2.初心者でも飲みやすい日本酒は?選び方のポイント4つ 初心者でも飲みやすい日本酒を選びたいときは、次の4つのポイントを意識してみてください。 アルコール度数の低いものを選ぶ 日本酒度で「甘口」「辛口」をチェックする 精米歩合に注目してみる 酒米の個性で日本酒を選ぶ これらのポイントは、自分好みの日本酒を見つけたいときにも役立ちます。それぞれがもたらす味や香りの変化を知れば、日本酒選びがもっと楽しくなりますよ。 2-1.アルコール度数の低いものを選ぶ 日本酒は、平均アルコール度数が15度前後とビールやワインに比べ度数が高いお酒です。「原酒」と呼ばれる加水調整をしていない日本酒の場合は、18~19度前後になることもあります。 アルコール度数5度前後のビール、12度前後のワインを飲み慣れている人にとっては、アルコール度数の高さが飲みづらさの原因になってしまうかもしれません。飲みやすい日本酒を選びたいときは、アルコール度数の低いものから試してみましょう。 近年は、アルコール度数7~10度の低アルコールタイプの日本酒も販売されています。後半のおすすめ銘柄にも登場するので、ぜひそちらもチェックしてみてください。 2-2.日本酒度で「甘口」「辛口」をチェックする 日本酒を飲み始めると「甘口」、「辛口」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。「甘口」タイプの日本酒は、味わいまろやかでお酒を飲み慣れない方でも飲みやすいタイプが多く見られます。 また、「辛口」タイプの日本酒はスッキリとした飲み口が魅力です。ビールでよくいわれるドライテイストをイメージしてもらうといいかもしれません。ベタつかず、心地よく引き締まる後口はキレとも表現されます。 日本酒の甘口、辛口の指標となるのが「日本酒度」と呼ばれる数値です。一般的に、数値が-(マイナス)のお酒は甘口、+(プラス)のお酒は辛口といわれています。 ただし、日本酒の味わいは日本酒度だけでなく、酸度やアミノ酸度などで構成されています。日本酒度で必ずしも味が固定化されるわけではありませんが、日本酒選びのヒントとして活用してみてくださいね。 日本酒度とお酒の甘口・辛口についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。 日本酒度とお酒の甘口・辛口の関係とは? 2-3.精米歩合に注目してみる 精米歩合(せいまいぶあい)とは、外側を削ったあとに残る米の割合を数値で示したものです。例えば、精米歩合60%の日本酒は、外側を40%削った米を原料に造られています。 一般的に、外側をより多く削った米で仕込むお酒は、香り高くクリアな味わいに仕上がるといわれています。一方で、米をあまり削らずに仕込んだお酒は、豊かな味わいとコクが魅力です。 どちらが良いかは好みにもよりますが、飲みやすい日本酒を選びたいときは、より多く外側を削った精米歩合の数値が小さなお酒から試してみてください。前述した「吟醸酒」と明記されているお酒であれば、リンゴやバナナのようなフルーティーな香りも楽しめます。 2-4.酒米の個性で日本酒を選ぶ 日本酒を選ぶときは、酒米にも注目してみましょう。お酒の味わいは、酒米の個性によって変化します。ここでは、日本酒造りに使用されることの多い「山田錦」、「五百万石」、「美山錦」の違いについて紹介します。 山田錦 山田錦(やまだにしき)は「酒米の王様」と呼ばれている品種です。酒造りに適した特性を持ち、山田錦を使ったお酒は香り高く雑味のない味わいに仕上がるといわれています。鑑評会の受賞酒などに使われることも多く、初心者にまずおすすめしたい酒米です。 五百万石 五百万石(ごひゃくまんごく)は、新潟県を主産地とする酒米です。主に、端麗な味わいの日本酒に多く用いられます。「スッキリとしたタイプの日本酒を選びたい」というときは、五百万石を中心にピックアップしてみてくださいね。 美山錦 美山錦(みやまにしき)は、長野県で誕生した酒米です。美山錦で仕込んだお酒は、華やかな香りがありつつ軽快な味わいに仕上がるといわれています。食事とあわせて美味しい銘柄も多く「料理と楽しむ日本酒を選びたい」という方にもおすすめです。 3.初心者におすすめの飲みやすい日本酒19選 ここからは、初心者におすすめの飲みやすい日本酒19選をご紹介!前述した味のタイプやポイントをふまえた銘柄を取り揃えました。 発泡感を楽しめるスパークリング日本酒や、ロックやソーダ割りで美味しい銘柄など日本酒の楽しみ方を広げてくれるものばかり。ぜひいろいろなものを試しながら、自分好みの味わいを見つけてみてください。 3-1.風の森 ALPHA1 次章への扉 無濾過生 「風の森」は、奈良県の油長酒造が造る日本酒です。地元産の米を使い、搾ってそのまま瓶詰めされる「生」のお酒はフレッシュな味わいに満ち溢れています。 「次章への扉」と名付けられたこちらは、アルコール度数12度の低アルコールタイプ。アルコール度数を押さえつつ、しっかりとした味のボリュームも引き出しています。 「日本酒は口当たりが強くて」という方も、ひと口飲めばイメージがガラリと変わるはず。シュワシュワとした微発泡感も心地よく、日本酒ビギナーにぜひおすすめしたい1本です。 (出典元:京都 北白川にしむら酒店) 3-2.産土(うぶすな) 山田錦 熊本県の風土から生み出されたお酒です。地元の米と水を使い、自然の微生物の力を利用する「生酛(きもと)」造りで醸造されています。 口当たりは柔らかく、ナチュラルな甘みと微発泡感も魅力的。アルコール度数も低めでスルスル飲み進められる日本酒です。 (出典元:はせがわ酒店) 3-3.獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 山口県の旭酒造が造る日本酒「獺祭(だっさい)」。海外でも親しまれていることから、日本酒ビギナーでも名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。 獺祭を代表する「磨き二割三分」とは、精米歩合23%のことです。小さく磨いた山田錦を使い、品の良い香りと甘さを引き出しています。 また、獺祭では「磨き三割九分」、「45」など精米歩合の違うお酒がリリースされています。「精米歩合でどう味が変わるんだろう?」という方は、飲み比べてみるのも楽しいですよ。 (出典元:旭酒造) 3-4.陸奥八仙 ナチュラルスパークリング 「日本酒を気軽に楽しみたい」というときにおすすめしたいのが、スパークリングタイプのお酒です。「陸奥八仙」(むつはっせん)の ナチュラルスパークリングは、程よい甘さと酸味が魅力的。シュワシュワッと弾ける泡からは、フルーツのように爽やかな香りが広がります。 「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌処理をしているお酒なので、常温保存できるのもうれしいポイントです。持ち運びしやすく、パーティーの差し入れやプレゼントにも喜ばれますよ。 (出典元:くるみや) 3-5.TERA Life is good! 「焼肉に合う日本酒を」というコンセプトから生まれた「TERA Life is good!」は、アルコール度数8.8度のライトな飲み口が魅力です。甘酸っぱい味わいとスッキリとしたのど越しは、肉料理にぴったり。唐揚げや天ぷらのような揚げ物にも良く合います。 冷やしてそのまま飲むのはもちろん、ロックやソーダ割りで味わうのもおすすめです。ぜひ自由なスタイルで日本酒の世界をお楽しみください。 (出典元:佐野屋) 3-6.五橋 純米 かすみ酒 お酒を搾ったときに出る澱(おり)と呼ばれる部分をあえて残した日本酒です。うっすら白い色合いと、米のやさしい甘み、旨味を楽しめます。 初心者でも飲みやすいスッキリとした後口もおすすめポイントです。加熱処理をしていない生酒のため、キリッと冷やしてフレッシュ感を堪能してください。 3-7.富久長 スパークリング純米酒...
「CRAFT SAKE WEEK 2023 at ROPPONGI HILLS」開催!六本木ヒルズに厳選された日本酒と食が集結
中田 英寿氏がオーガナイザーを務める日本最大級の日本酒イベント「CRAFT SAKE WEEK」が4年ぶりに復活! 2023年4月21日(金)〜30日(日)の期間、六本木ヒルズアリーナにて「CRAFT SAKE WEEK 2023 at ROPPONGI HILLS」が開催されます。 期間中は日替わりで計100蔵の酒蔵が出店。「光栄菊」、「花邑」などが初登場するほか、最終日には「十四代」をはじめとする希少なラインナップも並びます。 イベント限定のスペシャルメニューを提供するのは、予約困難とされるさまざまなジャンルの有名レストランです。 今回は、盛況のスタートを迎えた初日の様子とともにイベントの魅力をたっぷりとお届けします! 日本最大級の日本酒イベント「CRAFT SAKE WEEK」 「CRAFT SAKE WEEK」は、全国から厳選された酒蔵と有名レストランが集う日本最大級の日本酒イベントです。 400以上の蔵元を訪ね歩いた中田 英寿氏プロデュースのもと、2016年に東京・六本木でスタート。以来、博多や仙台などでも開催され、延べ60万人以上もの来場者を集めてきました。 コロナ禍による中止を経て復活した「CRAFT SAKE WEEK 2023 at ROPPONGI HILLS」には、計100蔵の酒蔵とレストラン15店が集結。 中田氏自らが足を運び、信頼関係を構築した酒蔵・店舗のラインナップには、メディアに出ることの少ない酒蔵「十四代」や、世界中の美食家が訪れるレストラン「L'Effervescence(レフェルヴェソンス)」などが並びます。 中田氏の日本酒をはじめとする食や伝統工芸といった日本のモノづくりに対する想いは、会場のディスプレイにも反映されています。 来場者を出迎えるのは、約3,000個もの一升枡です。そのすべてが、1950年創業以来、枡を専門に造り続ける「大橋量器」の技術によって生み出されています。 「古くから枡は正しくものを計り、分配する道具として用いられてきました。現代のように数字のなかった時代に、自分たちの手や体を使ったものによって、社会や経済が生まれ発展してきた。中田さんとのそういった対話のなかから“mass=枡”という今回のコンセプトが誕生しました」そう語るのは、デザインを手がけた世界的建築家、田根 剛氏です。 枡の間からは涼やかな風が吹き込み、夜はやわらかな光が会場を包み込みます。 東京で今年一番の暑さを記録したこの日のテーマは「AWA SAKE」です。青空の下、会場前には開幕を待ちわびる人ですでに行列ができています。 PM12:00、各ブースから聞こえるプシュッ、シュワッという開栓音とともに、華々しく4年ぶりとなるイベントが幕を開けました。 蔵元の振る舞いで「AWA SAKE」の世界を体験 二次発酵による自然発泡の日本酒「AWA...
【おうち時間をもっと楽しく】おうちで簡単に作れる日本酒カクテルレシピ9選!
日本酒にはさまざまな飲み方・楽しみ方があり、日本酒カクテルも近年注目を集めている日本酒の楽しみ方の一つです。 カクテルと聞くとリキュールが必要なのでは?わざわざ買ってくるのが面倒だなと感じることもあるでしょう。 しかし、リキュールを使わずに作れる日本酒カクテルもあるのです。 今回はお家で簡単に楽しめる日本酒のカクテルレシピをご紹介します。 1.おうちで簡単に作れる日本酒カクテルレシピ9選 1-1.日本酒緑茶ハイ 材料 日本酒 緑茶 氷 作り方 作り方はとても簡単。氷を入れたグラスに材料を1:1の割合で入れて、ステアするだけです。 緑茶なら家にあるという人も多いのでは?緑茶を入れると飲みやすいですが、日本酒の風味をしっかりと感じられるのもうれしいポイント。 缶やペットボトルの緑茶よりも、時間があるときは茶葉で作ってみるのがおすすめ。緑茶割りは温めても美味しいです。 1-2.サムライ・ロック 材料 日本酒 ライムジュース 氷 作り方 氷を入れたグラスに日本酒とライムジュースを3:1の割合で入れてステアするだけです。 日本酒とライムジュースだけで作れる「サムライ・ロック」。甘酸っぱいカクテルですが、ライムジュースを入れすぎると日本酒の風味が消えてしまうので気をつけましょう。日本酒が苦手な人でもすいすい飲めてしまうので飲み過ぎ注意。 「サムライ・ロック」という名前と日本で生まれたカクテルということから、海外の方に出すと大変喜ばれます。 カットしたライムをそえるとおしゃれなので、おもてなしドリンクにも使えますよ。 https://sake-5.jp/samurai-rock/ 1-3.カルピシュ 材料 日本酒 カルピス原液 作り方 グラスに氷と日本酒4カルピスの原液1の割合で入れてステアするだけです。 日本酒はすっきりとした口当たりの米の旨味を感じられるもので作ると、カルピスのまろやかさとよく合います。飲み口は日本酒ですが、あとからカルピスの甘味が広がります。 日本酒とカルピスが合う理由は乳酸菌。日本酒を造るときにも乳酸菌が使われているのです。 https://sake-5.jp/sake-and-calpis/ 1-4.サケ・コークハイ 材料 日本酒 コーラ 氷 作り方 グラスに氷と日本酒、コーラを1:1割合で入れて軽くステアするだけです 日本酒の酒臭さが苦手という人におすすめなのが「サケ・コークハイ」。日本酒の香りを和らげてくれ、のどごしもよく、すっきり飲めます。混ぜすぎると炭酸が抜けてしまうので注意。カットレモンをそえてみるとおしゃれですよ。 1-5.サケハイボール 材料 日本酒 ジンジャーエール お好みでレモン果汁...少量 作り方 グラスにたくさんの氷、日本酒とジンジャーエールを日本酒3:ジンジャーエール2の割合で入れて、レモン果汁を適量入れたらステアするだけです。 ウイスキーでお馴染みのハイボールも日本酒にすると、まろやかな味わいに。さわやかな味わいなので日本酒と言われなければ気づかないほど。濃厚なにごり酒をジンジャーエールで割るのもおすすめです。 1-6.日本酒の炭酸水割り 材料 日本酒 炭酸水 お好みでレモンやライム果汁 作り方 よく冷やした日本酒とソーダを日本酒8:ソーダ2の割合でグラスに入れてステアするだけです。 炭酸水で割ると爽快感があり飲みやすく、食事中にもぴったり。日本酒には元々炭酸を感じられる種類もあるので、日本酒に何か混ぜるのに抵抗を感じるという人は炭酸水から試してみましょう。 炭酸水を入れすぎると薄くなってしまうので要注意。原酒の場合は少し多めに炭酸水を入れてもOKです。 1-7.オレンジブリーゼ 材料 日本酒 オレンジジュース トニックウォーター 氷 作り方 氷を入れたグラスに日本酒とオレンジジュースを1:1.5の割合で入れて、トニックウォーターを適量入れたらステアするだけです。 日本酒のまろやかな旨味とオレンジジュースの甘味、トニックウォーターの苦味のバランスがいいカクテル。とても飲みやすく、和食に洋食、中華とシーンを選ばず飲めるのがいいですね。食後にデザート感覚でも楽しめる日本酒カクテルです。 https://sake-5.jp/sake-orange-juice-cocktail/ 1-8.日本酒ソルティードッグ 材料 日本酒 グレープフルーツジュース ...
「大吟醸酒」とは?おすすめおつまみや飲み方も【日本酒の種類を知ろう!第3回】
大吟醸酒は、日本酒の種類のひとつです。読み方は?よく似た純米吟醸酒との違いは?と気になることもあるのではないでしょうか。 「日本酒の種類を知ろう!」第3回となる今回は、大吟醸酒について詳しく解説。おすすめのおつまみも紹介します。バリエーションの多さこそ、日本酒の特徴であり大きな魅力。大吟醸酒について知り、日本酒をもっと美味しく楽しみましょう。 1.大吟醸酒とは?定義や味わい 大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ)とは、日本酒を原料や製法で分類した特定名称(とくていめいしょう)のひとつです。特定名称には、大吟醸酒を含む以下の全8種が存在します。 本醸造酒 特別本醸造酒 吟醸酒 大吟醸酒 純米酒 特別純米酒 純米吟醸酒 純米大吟醸酒 これらうち“吟醸”と付くお酒は、吟醸造りで製造されるのが大きな特徴です。まずは、大吟醸酒の定義や味わい、吟醸酒との違いなどについて紹介します。 1-1.大吟醸酒の定義 「清酒製法品質表示基準」では、大吟醸酒は以下のように定義されています。 米と米こうじ、醸造アルコールを原料に造られること(米の等級は3等以上) 精米歩合が50%以下であること こうじ米の使用割合が15%以上であること 吟醸造りで造られ、固有の香味を持ち色沢が特に良好であること ※色沢=色合いや透明度など 米こうじや醸造アルコールなど、耳慣れないワードが多い日本酒の世界。それぞれひとつずつ確認していきましょう。 米こうじ 米こうじとは、米に麹菌を繁殖させた発酵食品です。日本酒だけでなく、甘酒や米味噌、みりんなども米こうじを原料に造られます。 醸造アルコール 醸造アルコールとは、主に糖蜜やトウモロコシなどを原料にした純度の高いアルコールのことです。アルコール度数約90度の醸造アルコールは、加水をして30度前後まで度数を下げてから添加されます。 醸造アルコールは、江戸時代には腐敗予防、戦後はコスト削減を目的に使用されていました。現在は、香りや味わいの調整を目的にごく少量が添加されています。醸造アルコールを添加することで、醪(もろみ)のなかの香り成分が引き出され大吟醸の特徴である華やかな香りが生まれます。 精米歩合 精米歩合(せいまいぶあい)は、米の外側を削った後に残る割合を数値で示したものです。「精米歩合50%以下」と定められている大吟醸は、米の外側を半分以上削った米を使う必要があります。米を小さく削る工程は手間と時間を要するため、大吟醸は高価格帯の商品が多くなります。 吟醸造り 吟醸造りとは、より小さく削った米を使い低温でゆっくりと発酵させる製法のことです。また、発酵の過程で吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)と呼ばれる華やかな香りが生まれます。 吟醸造りの大吟醸酒や吟醸酒は、米の精米技術の進歩とともに誕生。1980~1990年前後のバブル期には高級志向も相まって「吟醸酒ブーム」を生み出しました。 1-2.大吟醸酒の香りや味わい 大吟醸酒は、フルーティーな香りとすっきりした味わいが大きな魅力です。添加された醸造アルコールが、吟醸香とともに適度なキレ味を生み出します。 1-3.吟醸酒との違いは「精米歩合」 大吟醸酒と吟醸酒の大きな違いは、精米歩合の定義です。大吟醸酒の精米歩合が50%以下であるのに対し、吟醸酒は60%以下に定められています。つまり、大吟醸のほうがより小さく削った米を原料に造る必要があるというわけです。 一般的に、小さく削った米を使用するほど、お酒は雑味のないクリアな味わいに仕上がるといわれています。同じ蔵、同じ米から生まれる吟醸酒と大吟醸酒の違いを比べてみるのもおすすめです。 吟醸酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 「吟醸酒」とは?定義やおすすめの飲み方を解説【日本酒の種類を知ろう!第2回】 2.大吟醸酒の選び方3つのポイント 「ひとくちに大吟醸酒といっても種類はいっぱい。どれを飲むか迷ってしまう」そんなときは、以下のポイントを参考にお酒を選んでみてください。 香りの個性で選ぶ 米の個性で選ぶ 甘口と辛口の違いで選ぶ 大吟醸酒の大きな特徴である香りは、成分によってタイプがわかれます。また、酒米に注目して選ぶのも日本酒の楽しみ方のひとつです。酒販店や飲食店で大吟醸酒を見つけたら、ぜひこれらのポイントを意識してみてくださいね。 2-1.香りの個性で選ぶ 大吟醸は、フルーティーで華やかな香りが魅力的なお酒です。また、香りは「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」といった成分により、次のように表情を変えます。 カプロン酸エチルのリンゴや洋梨のような香り カプロン酸エチルを主成分とする吟醸香は、リンゴや洋梨のような甘くさわやかな香りが特徴です。大吟醸酒で感じられる香りの多くは、カプロン酸エチルを主成分にしています。タンパク質の少ない米や、より小さく削った米を原料に造られるお酒に現れやすい香りです。 酢酸イソアミルのバナナやメロンのような香り 酢酸イソアミルを主成分にするお酒からは、バナナやメロンを思わせる甘い香りが漂います。香りが濃厚で甘いぶん、味わいも甘く感じられることがあるでしょう。「きょうかい9号」、「きょうかい14号」といった酵母を使ったときに生まれやすい香りです。 2-2米の個性で選ぶ 日本酒の原料である酒米には、山田錦をはじめとするさまざまな種類があります。それぞれ、より小さく削りやすかったり、香りを引き出す製法に適していたりなど個性はさまざま。各酒蔵では、酒米を使い分けながらこだわりのお酒が造られています。 山田錦 山田錦(やまだにしき)は、吟醸酒ブームとともに一躍その名が知られた酒米です。タンパク質が少なく、米質がやわらかいことから質の良い麹が造りやすいといわれています。鑑評会で金賞を受賞するような大吟醸酒にもよく用いられる品種です。 五百万石 五百万石(ごひゃくまんごく)は、新潟県を中心に栽培される品種です。米を小さく精米するのが難しく、一般的に、吟醸酒造りには不向きとされています。一方で、各蔵からは工夫を凝らした大吟醸酒が五百万石で生み出されています。比較的香りが穏やかでライトな酒質が多いため、ぜひ酒米による違いを体感してみてください。 雄町 雄町(おまち)は、栽培の難しさから一時は幻ともいわれた酒米です。雄町で造るお酒は深い旨味にあふれ、“オマチスト”と呼ばれるファンも生み出しています。雄町をより小さく精米し、低温でゆっくり発酵させた大吟醸酒は豊かな香りと力強いコクが持ち味です。 美山錦 美山錦(みやまにしき)は、長野県や東北地方で栽培されている品種です。美山錦を使ったお酒は、比較的おだやかな香りに仕上がります。大吟醸酒もまた、心地よい香りとまろやかな味わいが魅力です。料理とあわせて美味しい銘柄も数多く見られます。 2-3.甘口と辛口の違いで選ぶ 日本酒を飲むようになると「甘口」、「辛口」といったワードを耳にすることもあるのではないでしょうか。辛口の日本酒はピリリと辛いわけではなく、キレのあるドライな味わいが特徴です。 日本酒の甘辛度合いは、日本酒度と呼ばれる数値で示されます。一般的に、数値がプラス寄りであるほど辛口、マイナス寄りであるほど甘口のお酒です。 また、日本酒の味わいは日本酒度や酸度、アミノ酸度などで構成されています。必ずしも日本酒度だけで味が決まるわけではありませんが、目安のひとつとしてお酒を選ぶときの参考にしてください。 3.大吟醸酒のおすすめの楽しみ方 香りが特徴的な大吟醸酒は、常温からやや冷たい温度で味わうのがおすすめです。理想の温度帯は、冷やと呼ばれる常温の20℃、または花冷えと呼ばれる7~10℃あたり。冷やしすぎると吟醸香が飛んでしまうため気を付けてください。 シャープなキレ味を楽しみたいときは、温めて味わうのもおすすめです。特に、50℃以上の熱燗にするとキリッとした味わいが引き立ちます。 大吟醸酒を楽しむときは、グラスにもひと工夫。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」の受賞酒を見つけたら、ぜひ、ワイングラスに注いで味わってみてください。吟醸香がグラスのなかで豊かに膨らみ、大吟醸酒の醍醐味を堪能できます。 参考:【公式サイト】ワイングラスでおいしい日本酒アワード 4.大吟醸酒には香るおつまみを 華やかな香りを持つ大吟醸酒には、同じく香りが個性的なおつまみをあわせるのがおすすめです。柚子やレモンなど柑橘系の香りで仕上げた料理や、しそや梅などを使ったメニューも良く合います。レモングラスを使った鶏肉のソテーや、バジルとトマト、モツァレラチーズのカプレーゼなどハーブを使ったおつまみも良いでしょう。 また、シャープなキレ味が光る燗酒の大吟醸酒は、少し濃い目の味付けのおつまみと好相性。油揚げのネギ味噌焼きや焼き魚など、味に深みのある料理とも美味しく楽しめます。 おうちでかんたんに作れるおすすめのおつまみはこちらでレシピを紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。 おうちで簡単!唎酒師が作る日本酒に合うおつまみレシピ30選 まとめ 大吟醸酒は、吟醸造りによる華やかな香りが特徴です。使用する米や米を削る度合いには、各蔵のこだわりが現れています。 味わう温度帯によって、さまざまに表情を変えることも魅力のひとつです。ぜひ、好みのおつまみを用意して、大吟醸酒を選ぶ楽しみ、味わう楽しみを体感してみてくださいね。
「純米大吟醸酒」とは?精米歩合やおすすめおつまみも【日本酒の種類を知ろう!第6回】
純米大吟醸酒は、米と米こうじのみを原料に、吟醸造りで生まれるお酒です。香りは果実や花のように華やかで、クリアな飲み口を楽しめます。飲みやすいタイプが多い純米大吟醸酒は、日本酒ビギナーにもおすすめです。 「日本酒の種類を知ろう!」ラストとなる第6回は、純米大吟醸酒の定義や味わいについてお伝えします。選び方やおすすめおつまみも参考に、ぜひ自由に日本酒の世界を楽しんでくださいね。 1.純米大吟醸酒とは?定義や味わい 純米大吟醸酒(じゅんまいだいぎんじょうしゅ)は、日本酒の種類のひとつです。原料や製法で日本酒を分類した、以下の特定名称(とくていめいしょう)に該当します。 本醸造酒 特別本醸造酒 吟醸酒 大吟醸酒 純米酒 特別純米酒 純米吟醸酒 純米大吟醸酒 まずは、どんなお酒が純米大吟醸酒にあたるのか、定義や味わいについてみていきましょう。 1-1.純米大吟醸酒の定義 「清酒製法品質表示基準」では、純米大吟醸酒は以下のように定義されています。 原料は米と米こうじであること(米の等級は3等以上) 精米歩合が50%以下であること こうじ米を全体の15%以上使用していること 吟醸造りで造られ、固有の香味を持ち色沢が特に良好であること ※色沢=色合いや透明度など 日本酒は専門用語の多い世界。早速、米こうじってなに?精米歩合とは?と疑問に感じることも多いのではないでしょうか。それぞれの内容とともに、純米大吟醸酒の魅力について解説していきますね。 米こうじ 米こうじとは、米に麹菌を繁殖させた発酵食品のことです。米味噌やみりん、甘酒など日本の伝統食に欠かせない存在でもあります。日本酒造りでは、蒸した米にパラパラと麹菌をふりかけ繁殖させる工程を「製麹(せいぎく)」と呼びます。 精米歩合 精米歩合(せいまいぶあい)は、米の外側を削った後に残る割合を数字で示したものです。精米歩合50%とは、米粒を半分削っていることを表しています。「精米歩合が50%以下であること」とは「半分以上削った米が原料でないと、純米大吟醸酒とはいえないよ」という意味です。 純米大吟醸酒のなかには、精米歩合が30%前後の銘柄も存在します。小さく米を削るには時間と原料コストがかかるため、純愛大吟醸酒は高価格帯の商品が主流です。 吟醸造り 吟醸造りとは、日本酒の製造方法のことです。小さく削った米を使い、低温でゆっくり発酵させることで吟醸香(ぎんじょうか・ぎんじょうこう)と呼ばれる香りが生まれます。吟醸香は、リンゴやバナナなどに例えられる香りです。純米大吟醸酒もまた、果実や花を思わせるフルーティーな香りを楽しめます。 1-2.純米大吟醸酒の香りと味わい 純米大吟醸酒は、フルーティーな香りとクリアな味わいが特徴です。一般的に、日本酒は米を小さく削るほど吟醸香が立ちやすく、雑味のない味わいに仕上がるといわれています。 純米大吟醸酒も尖ったところのないスムーズな飲み口が魅力です。リンゴや洋梨、ライチのような香りを持つなど、日本酒を飲み慣れない方でも飲みやすいタイプが多く見られます。 1-3.大吟醸酒・純米吟醸酒との違い 純米大吟醸酒と「大吟醸酒」、「純米吟醸酒」の主な違いは、原料や精米歩合などです。 大吟醸酒との違いは「原料」 純米大吟醸酒は、米と米こうじのみを原料にするお酒です。一方、大吟醸酒は、米と米こうじ、醸造アルコールで造られます。 醸造アルコールとは、糖蜜やトウモロコシなどを主原料とした純度の高いアルコールのことです。醸造アルコールを添加した大吟醸酒も華やかな香りが生まれやすく、フルーツを思わせる香りを楽しめます。 大吟醸酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 「大吟醸酒」とは?おすすめおつまみや飲み方も【日本酒の種類を知ろう!第3回】 純米吟醸酒との違いは「精米歩合」 純米大吟醸酒の精米歩合が50%以下であるのに対し、純米吟醸酒は「精米歩合60%以下」に定められています。つまり、純米大吟醸酒のほうがより小さく削った米を原料に造られるお酒、というわけです。 お酒の個性はひとまとめにできないものの、純米吟醸酒は、純米大吟醸酒より香りが控えめなタイプが主流です。甘くさわやかな香りがありつつ、料理とあわせやすい銘柄が多く見られます。 純米吟醸酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 「純米吟醸酒」とは?おすすめの飲み方や精米歩合を紹介【日本酒の種類を知ろう!第5回】 2.純米大吟醸酒の選び方3つのポイント ひとくちに純米大吟醸酒といっても個性はさまざま。純米大吟醸酒を選ぶときは、次の3つのポイントを意識してみてください。 米の個性で選ぶ 甘口や辛口など味の好みで選ぶ シーンに合わせて選ぶ 日本酒の味や香りは、酒米の品種によって変化します。また、高価格帯の商品が多い純米大吟醸酒は、贈答用にも好まれるお酒です。それぞれのポイントをおさえれば、より自分の好みにあった1本が見つかります。 2-1.米の個性で選ぶ 酒造りに適した個性を持つ米は、酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)と呼ばれます。小さく削りやすかったり、醪(もろみ)に溶けやすかったりといった個性を持ち、お酒の仕上がりを大きく左右するのが特徴です。 山田錦 山田錦(やまだにしき)は、酒米の王様と呼ばれる品種です。心白(しんぱく)と呼ばれる白濁部分が米粒の中に線のように入っているため、外側を削りやすいという特徴を持ちます。そのため、小さく削った米で造る純米大吟醸酒によく用いられる酒米です。 また、味の雑味の原因になり得るタンパク質が少ないなど、良質な酒が生まれる条件を兼ね備えています。山田錦を使ったお酒は鑑評会などで高い評価を受けることも多く、日本酒選びに迷ったらまずおさえておきたい酒米といえるでしょう。 五百万石 五百万石(ごひゃくまんごく)は、新潟県を中心に栽培されている酒米です。心白が大きいため小さく削るのは難しいものの、良い麹を造りやすいという特性があります。一般的に、五百万石で造られる日本酒は、軽快な香りとすっきりとした飲み口が特徴です。 雄町 雄町(おまち)は、栽培の難しさから一時は幻ともいわれた品種です。やわらかく溶けやすい雄町で造ったお酒は、濃醇な味わいに仕上がるといわれています。オマチストと呼ばれるファンもいるほど、飲む人を惹きつける酒米、雄町。酒販店や飲食店で見つけたら、ぜひその味わいを確かめてみてください。 美山錦 美山錦(みやまにしき)は、長野県で開発された酒米です。寒冷地でも育ちやすく、現在は東北地方などでも栽培されています。美山錦で造られる日本酒は比較的香りが穏やかで、料理とあわせるお酒にも好まれています。 2-2.甘口や辛口など味の好みで選ぶ 日本酒の味わいは、「甘口」や「辛口」と表現されることがあります。辛口の日本酒は、キレのあるドライな味わいが特徴です。 甘辛度の指標となるのが、日本酒度と呼ばれる数値です。日本酒度は+(プラス)または-(マイナス)で表記され、一般的にプラスであるほど辛口、マイナスであるほど甘口と評価されます。 ただし、日本酒の味わいは、日本酒度だけでなく酸度やアミノ酸度によって構成されています。また、フルーティーな香りの純米大吟醸酒は、日本酒度がプラスでも甘いと感じられることがあるでしょう。 一方で、販売されている日本酒には、日本酒度+10以上の大辛口をうたう銘柄もあります。日本酒度はあくまでも味の目安として、日本酒選びに役立ててみてください。 2-3.シーンに合わせて選ぶ 純米吟醸酒は、蔵のラインナップのなかでも高価格帯に位置付けられることの多いお酒です。そのため、贈答用の品にも好まれています。 特に、高級感あふれるボトルデザインや、外箱の付いた品はギフトにおすすめです。シュワシュワと泡立つスパークリングタイプの純米吟醸酒は、パーティーシーンを華やかに彩ってくれます。 原料に製造方法と、こだわりにあふれた純米吟醸酒。ぜひシーンに合わせた1本で、その魅力を堪能してください。 3.純米大吟醸酒の香りは適度に冷やして楽しんで 純米大吟醸のフルーティーな香りは、適度に冷やして楽しむのがおすすめです。理想は花冷えと呼ばれる10℃前後の温度帯。冷やしすぎると香りが抑えられてしまうため気を付けてください。 また、華やかな香りの純米大吟醸酒を味わうときは、酒器にもひと工夫。ワイングラスに注べば、グラスの丸い形状がお酒の香りを包み込んでくれます。ガラスの薄い口当たりがスムーズな飲み口を引き立ててくれるのも特徴です。 とはいえ、純米大吟醸酒は温めてはいけないわけではありません。ぬる燗にすれば、おだやかな香りとまろやかな旨味を楽しめます。 純米大吟醸酒は味わいがクリアで、日本酒ビギナーでも飲みやすいタイプが多いお酒です。日本酒はおちょこでちびりちびり、というイメージにとらわれずぜひ自由にその世界観を楽しんでみてください。 4.純米大吟醸酒には料理のジャンルを超えたおつまみを ワイングラスで美味しいタイプが多い純米大吟醸酒。おつまみも、イタリアンやフレンチを意識して選んでみてください。 例えば、リンゴのように甘く爽やかな香りの純米吟醸酒は、白身魚のカルパッチョと好相性。酸味の効いたタイプであれば、レモンを搾った牡蠣とのペアリングもおすすめです。 和食のおつまみを用意するなら、香り✕香りの組み合わせを選んでみましょう。梅肉ソースを添えたきゅうり、薬味をふんだんに乗せた冷奴などは、純米大吟醸酒との香りのペアリングを楽しめます。 シュワッと泡立つスパークリングタイプの純米大吟醸酒は、フルーツやアイスクリームとあわせても美味しいですよ。 日本酒のおつまみについてはこちらでかんたんに作れるレシピを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 おうちで簡単!唎酒師が作る日本酒に合うおつまみレシピ30選 まとめ 小さく削られ、白くキラキラ光る米から生まれる純米大吟醸酒。手間ひまかけて造られるお酒は、フルーティーな香りとクリアな味わいが魅力です。お米生まれの日本酒から漂う、リンゴや洋梨のような香りに驚いてしまうかもしれません。 高級感あふれる純米吟醸酒は、大切な贈り物にもおすすめです。ぜひ、さまざまな銘柄を試しながら自分好みの1本を見つけてみてくださいね。
酒粕に含まれるアルコールはどれくらい?妊婦さんや運転をする方は要注意!
日本酒造りの副産物「酒粕」には、一定のアルコールが含まれています。小さな子どもがいる方や運転前の方は「アルコール分はどのくらい?」「アルコールを飛ばすには?」と気になることもあるのではないでしょうか。 今回は、酒粕に含まれるアルコールについてご紹介します。酒粕のアルコール分が気になる方はぜひチェックしてみてください。 1.酒粕に含まれるアルコールは約8% 酒粕は、アルコール発酵させた醪(もろみ)と呼ばれる液体を搾ったときにできる副産物です。そのため、酒粕にはアルコール分が含まれています。 文部科学省のデータによると、酒粕100gあたりに含まれるアルコールは8.2gです。 ビールの一般的なアルコール度数が5%、缶チューハイのアルコール度数が7%前後であることを考えると、酒粕にはビールや缶チューハイより多いアルコール分が含まれていることがわかります。 (出典元:食品成分データベース) 2.酒粕に含まれるアルコールは完全に飛ばすことはできない お酒のアルコール分を飛ばすために、「沸騰させる」という方法を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 料理で用いられることの多い方法ですが、酒粕の場合は加熱しても完全にアルコールはなくならないといわれています。お酒が液体であるのに対し、酒粕は個体だからです。 お酒の場合、沸騰させると気体となってアルコールが飛んでいきます。個体の酒粕の場合は、粕自体にアルコール成分が練り込まれているためアルコールを飛ばすのは難しいというわけです。 また、アルコールの沸点は78度ですが、酒粕を水に溶かして78度で加熱しても、実際には水ばかりが蒸発しアルコールは残ってしまうともいわれています。 実際に、酒粕を78度でゆっくりと煮たり、スチーマーで蒸したりすれば、一定のアルコール分は飛んでいきます。そのため、お酒の香りが苦手な方には加熱調理がおすすめです。 ただし、アルコールを摂取したくないという場合は、酒粕のアルコールを完全には飛ばせないことも覚えておきましょう。 3.酒粕からできる甘酒のアルコール分は? 新年の初詣などで振る舞われる甘酒には、米麹(こめこうじ)を原料にするものと、酒粕を原料にするもの2つのタイプがあります。 米麹とは、蒸した米に麹菌を繁殖させたものです。米麹を原料に作る甘酒にはアルコールは含まれていません。 一方、日本酒を搾ったあとに残る酒粕は、アルコールを含む食品です。そのため、酒粕由来の甘酒にはアルコールが含まれています。 市販の甘酒の原料が酒粕だった場合、「ノンアルコール飲料」として販売されていても1%未満のアルコールが含まれている可能性があります。酒税法で「酒」と規定されるのは、アルコール度数1%以上の飲み物だからです。 酒粕は、アルコールだけでなくビタミンやオリゴ糖などさまざまな栄養素を含む食品です。また、栄養豊富な甘酒は「飲む点滴」ともいわれます。 アルコールが気になる場合は原料をチェックしながら、甘酒を日常に取り入れてみてくださいね。 https://sake-5.jp/nutrition-and-benefits-of-sakekasu/ 4.妊婦さん・未成年・運転をする人は酒粕を食べても大丈夫? 妊婦さんや未成年、運転する方は酒粕のアルコール分が気になるのではないでしょうか。前述したように、酒粕のアルコールは完全に飛ばすことはできません。 特に、手作りの甘酒などはアルコール度数をはっきり確認できないため「甘酒ならアルコール度数が低いから大丈夫」と安心しないことが大切です。 4-1.妊婦さん 妊娠中にお酒を飲むと、胎盤を通じてアルコールがお腹の赤ちゃんに入り、悪影響を及ぼすといわれています。早産や流産、分娩異常の原因になるほか、胎児性アルコール症候群(FAS)を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 妊娠中に安全なアルコール量は解明されていないため、妊娠中や妊娠を望む時期は酒粕も控えたほうがよいでしょう。 4-2.未成年 アルコールを含む酒粕は、未成年の方も控えるのがベストです。酒粕を加熱すれば数パーセントまでアルコールは飛ぶものの、完全になくなるわけではありません。心配な場合は避けた方が無難といえるでしょう。 4-3.運転をする人 酒粕を加熱してアルコールを飛ばしたとしても、食べる量や体質によっては酒気帯び運転の基準値を超えてしまう可能性があります。特に、アルコールに過敏な体質の方は運転前の摂取を控えるのがおすすめです。 また、前述したように、手作りの甘酒や粕汁などはアルコール度数をはっきり確認することができません。「これくらいなら大丈夫」と過信しないようにしましょう。 まとめ 日本酒を搾ったあとに残る「酒粕」は、さまざまな栄養素とともにアルコールを含む食品です。加熱することでアルコールは飛びますが、完全になくなるわけではありません。 絶対にアルコールを避けたいというときは、摂取を控えたほうが無難です。場面に応じて量や調理法に気を付けながら、栄養豊富な酒粕をおいしくいただきましょう。
酒粕の保存は冷蔵と冷凍がおすすめ!酒粕の保存方法を解説
酒粕は、涼しい場所であれば常温保存できる食品です。冷蔵庫や冷凍庫に入れれば、保存期間はさらに長くなります。「粕漬けや粕汁、甘酒のために購入したものの使い切れそうにない」というときは、冷蔵や冷凍保存がおすすめです。 今回は、酒粕の保存方法について詳しくお伝えします。おいしいまま保存し、ぜひ酒粕を日々の食卓に取り入れてみてください。 1.保存袋に入れて密閉して冷蔵保存【保存期間:約6カ月】 酒粕は常温でも保存できますが、日持ちさせたいのであれば冷蔵保存がおすすめです。熟成による色や風味の変化をおさえながら、長期間保存できます。 常温の場合は、直射日光の当たらない涼しい場所を選んでください。未開封であれば3カ月ほど保存できます。 時間とともに熟成が進むと、色が茶色くなったり赤くなったりしますが調理できないわけではありません。熟成の進み具合に応じておいしくいただけます。 冷蔵庫に入れると熟成のスピードがゆるやかになり、約6カ月保存できます。未開封であればそのまま、開封済みのものは保存袋に入れ、密閉した状態で冷蔵庫に入れてください。 また、酒粕は形状によって「板粕」「バラ粕」「練り粕」と以下の3タイプにわかれます。 1-1.板粕 名前のとおり、板状になった酒粕です。板粕は、大きなアコーディオンのような機械でお酒を搾ったときにできあがります。機械でぎゅーっとお酒を搾ったあと、何層にもなった袋の中に残った酒粕を1枚1枚ていねいにはがしたものが板粕です。 板粕は、開封後も袋から出さず、そのまま密閉袋に入れて保存しましょう。少々固いため、調理の際は水や出汁などでやわらかくしてから使用してください。 1-2.バラ粕 バラ粕とは、あらくカットした板粕や、板状にならずバラバラとくずれた状態の酒粕のことです。 日本酒のなかでも「大吟醸(だいぎんじょう)」や「吟醸(ぎんじょう)」と呼ばれるお酒の酒粕は、バラ粕が主になります。米を低温発酵させるため、米粒が溶けきらず1枚の板状にならないケースが多いからです。 バラ粕も板粕と同様に、開封後も袋から出さず、保存袋で密閉した状態で冷蔵保存してください。板粕よりもやわらかいため溶けやすく、スムーズに調理できます。 1-3.練り粕 練り粕は、板粕やバラ粕を低温でさらに熟成させたものです。ペースト状のため使い勝手が良く、魚や野菜の粕漬けなどに使用できます。 練り粕の冷蔵保存も、袋から出さず保存袋に入れる方法が基本です。空気はしっかりと抜いた状態で冷蔵庫に入れてください。 2.長期保存は冷凍がおすすめ【保存期間:約1年】 「酒粕がたくさんあって使い切れない」「少しずつ長い間楽しみたい」というときは、冷凍保存がおすすめです。ラップやビニール袋でしっかりと包めば、アルコール分の揮発や乾燥を防げます。 調理の際は、冷蔵庫か常温で自然解凍させてから使用します。汁物の場合は、直接入れて溶かしてしまうのも1つの方法です。 また、使う前に少量の日本酒に浸すと風味がアップします。冷凍で酒粕がパサついてしまったときにもおすすめなので、ぜひ試してみてください。 2-1.板粕 板粕は保存袋の大きさに合わせてカットし、1枚ずつラップに包んでから冷凍用保存袋に入れて冷凍します。 酒粕は冷凍しても硬くならないため、極端に小さくする必要はありません。調理の際は手でちぎって使用できます。 2-2.バラ粕・練り粕 バラ粕や練り粕は、冷蔵用保存袋に直接入れて保存します。ポイントは、袋に入れたら薄く平らに広げることです。 空気を抜いて冷凍すれば、冷蔵庫内で場所を取らず立てて保存することもできます。調理の際は、バラ粕はほぐして、練り粕はスプーンなどで取り出して使用してください。 3.冷凍した酒粕は甘酒や粕汁などに 冷凍した酒粕は、甘酒や粕汁などに使用できます。前述したように、粕汁などのような汁物の場合は、解凍なしでOKです。冷凍の酒粕を煮汁で溶きほぐし、味噌などと一緒に調理すれば手軽においしい粕汁ができあがります。 鍋に沸かしたお湯に冷凍酒粕をほぐしながら入れ、砂糖で調味すれば甘酒も楽しめます。注意したいのは、米麹(こめこうじ)を原料にする甘酒と違い、酒粕から作る甘酒にはアルコール分が含まれていることです。車を運転する方や妊婦さん、お子さまは飲酒を控えたほうがよいでしょう。 まとめ 酒粕は、日本酒を搾ったあとに残る栄養豊富な食品です。冷蔵庫や冷凍庫で保存すれば、ほしいときに少量ずつ手軽に使用できます。「購入したものの使い切れないな」と悩んでいるときは、ぜひご紹介した方法を試してみてください。酒粕の存在がもっと身近なものになりますよ。
日本酒度とは?日本酒度とお酒の甘口・辛口について解説
日本酒度とは、お酒の比重を数値で表したものです。水との比重を測定し、+(プラス)と-(マイナス)で表記されます。一般的に、日本酒度がプラスであるほど辛口、マイナスであるほど甘口のお酒です。 今回は、日本酒度について詳しく解説します。日本酒の味を構成する酸度も紹介するので、ぜひ日本酒選びの参考にしてください。 1.日本酒度とは 「日本酒度(にほんしゅど)」とは、日本酒の甘さや辛さの目安となる数値のことです。「0」を基準に、甘口であるほど「-(マイナス)」、辛口であるほど「+(プラス)」で表記されます。 日本酒度の確認方法 日本酒度は、15℃の日本酒を注いだシリンダーに「日本酒度計」と呼ばれる重りのついた浮秤(うきばかり)を浮かべて計測します。 糖分の多い甘口のお酒は水よりも重たくなるため、水の方が軽いことを示す「-」。反対に、糖分が少ない辛口のお酒は軽く、水の方が重たくなるため「+」というわけです。 日本酒度の数値は、もろみを搾るタイミングを見極める際に用いられます。もろみとは、蒸した米や米麹、酒母(しゅぼ)、水などを発酵させた白い液体のことです。発酵させたもろみを搾ると、私たちが普段目にするような日本酒ができあがります。 もろみの品質管理のため、酒蔵では日本酒度だけでなく、アルコール度数や酸度、アミノ酸度などが日々分析されています。 2.日本酒度と酸度 酸度とは酸っぱさではなく「芳醇(ほうじゅん)」や「淡麗(たんれい)」といった旨味やキレを表す数値のことです。およそ1.5~1.7を基準に、酸度が高いほど濃醇、低いほど淡麗な味わいの日本酒に仕上がります。 日本酒の複雑な味わいは、日本酒度と酸度の組み合わせによって生まれます。つまり、日本酒度と酸度の数字によって、お酒の大まかな味わいがわかるというわけです。 上の図にあるように、酸度が高く日本酒度がマイナスのお酒は、濃醇で甘口の味わいになります。反対に、酸度が低く、日本酒度がプラスの日本酒は、淡麗辛口のスッキリとした味わいが特徴です。 日本酒のラベルには、日本酒度や酸度が記載されているものもあります。2つの数値を見つけたら、日本酒選びの参考にしてみてくださいね。 3.味わいの感じ方は人それぞれ 一定の指標はあるものの、日本酒の「甘い」「辛い」といった感じ方は人それぞれです。同じお酒を口にしても「甘いお酒」と感じる人もいれば、「キリッとした辛口のお酒」と感じる人もいます。 その理由は、日本酒度や酸度以外にも「アミノ酸度」や「香り」が味わいに影響するからです。アミノ酸度は、日本酒に欠かせないコクと旨味を生み出します。また、フルーティーな香りのお酒は「甘いお酒」という印象を飲み手に与えやすいのが特徴です。 前述したように、数字はあくまでも味の目安のひとつです。日本酒度や酸度を気にしながらいろいろなお酒を楽しめば「自分は日本酒度が甘口寄りのお酒がすきなんだな」といった好みが見えてくるかもしれません。 日本酒のなかには、日本酒度が極端にプラス寄りの「超辛口」をうたう銘柄もあります。自分好みのお酒がいつも日本酒度プラスであれば、そんな銘柄にチャレンジしてみるのもいいですよね。 日本酒は、多くの人に寄り添う味の幅の広さが魅力です。数字を参考にしつつ「どっしりとコクのあるお酒がすき」、「冷やして飲むスッキリタイプのお酒がすき」など、ぜひ自分好みの味わいを見つけてみてください。 まとめ 日本酒度や酸度の数値は、お酒の個性を知るヒントのひとつです。酒蔵ではそれらの数値を分析し酒造りが行われています。ラベルに日本酒度や酸度の文字を見つけたら、ぜひ味わいを思い浮かべてみてください。日本酒選びがもっと楽しく奥深いものになりますよ。