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日本酒の代表格「獺祭(だっさい)」を詳しく解説します

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日本酒の代表格「獺祭(だっさい)」を詳しく解説します

山口県の旭酒造で造られる日本酒「獺祭(だっさい)」。日本酒をあまり飲まなくても「名前は聞いたことがある」という方が多いのではないでしょうか。

米を23%まで磨き上げる製法を生み出した獺祭は、今や国内だけでなく海外でも大人気。日本酒通の方はもちろん、普段からあまり日本酒を口にしない方にもオススメのお酒です。

この記事では、獺祭の代表的な銘柄からあまり知られていない銘柄、そして価格までを紹介。獺祭の魅力について余すところなくご紹介していきます。

1. 日本酒の獺祭とは

獺祭は今や国内だけでなく、海外でも高い人気がある日本酒です。こだわり抜いたその品質は、フレンチの神と呼ばれるジュエル・ロブション氏にも認められ、2018年にはパリにロブションとのコラボストアがオープンされたほど。

まるでワインを思わせるようなフルーティーで爽やかな味わいは幅広い層に大人気。中でも精米歩合23%を初めて実現させた銘柄「二割三分」は、日本酒好きであれば一度は飲んでみたい1本です。

精米歩合23%の逸話

獺祭の「二割三分」の精米歩合は23%を実現していますが、実はもともとの計画では25%だったそうです。しかし当時、すでに精米歩合24%のお酒が市販されていたこともあり、急遽「あと2%、精米歩合を高める」ことになったのだとか。

当時、精米歩合25%でほとんど完成していた精米担当者に経営者から連絡がきて、さらに24時間かけて2%精米歩合を高めるよう指示があり、ようやく完成したという逸話が有名です。

7日間×24時間、現在は長くて120時間ほどという精米時間をかけて、精米歩合23%で造られる製造方法は当時から変わらず今も続いています。

1-1. 酒蔵について

獺祭を造っているのは山口県の最東部、岩国市にある旭酒造(あさひしゅぞう)です。

獺祭を誕生させたのは三代目の社長である桜井博志氏。日本酒離れが進み倒産の危機を迎える中で獺祭は生まれ、職人の熟練した技術と徹底した品質管理が生み出す味わいは、またたく間に世界でも高く評価されました。

山口の小さな酒造であった旭酒造は、2013年には販売数は114万本を突破し、今や日本酒業界を牽引する蔵元のひとつとなっています。

1-2. 獺祭という名の由来

あまり日本酒を飲まない方にも広く知られている「獺祭」。

その名前の由来は、蔵元が存在する地名「獺越」から一字とったものとされています。

また、もうひとつの由来とされるのが、自身を「獺祭書屋主人」と名付けたかつての文豪、正岡子規の存在。伝統にとらわれない新しい日本酒を作りたいと考えていた蔵元は、明治の日本文学に革命を起こした正岡子規に酒蔵の姿を重ねたのでした。

旭酒造は「酒造りは夢づくりである」という信念のもと、変革の中から生まれる新しい日本酒を「獺祭」と名付け、世に送り出したのです。

日本酒の「獺祭」に込められた名前の由来は?本来の漢字の意味も含めて解説!

2. 獺祭の種類と値段について

獺祭の代表的な銘柄として、精米歩合の異なる「45」「三割九分」「二割三分」があります。それぞれ180mlから1800mlまで販売されています。

有名な「45」「三割九分」「二割三分」の公式オンラインストアでの販売金額は、2020年3月現在で以下の通りです。

販売価格(税込)

720ml 1800ml
純米大吟醸45 1,650 円 3,300 円
三割九分 2,541 円 5,082 円
2点カット 5,390 円 10,780 円

(参照元:獺祭Store WEB店

また、その更に上を行く獺祭として、2012年には「磨きその先へ」(33,000円/720ml)も販売されています。

2-1. 45

獺祭のスタンダードとなるのが山田錦を45%まで磨き上げた「45」。美味しくなければ意味がないという信念のもと生まれた大吟醸は、米本来の繊細な甘みと華やかな香りがあります。

2-1-1. 評判

「45」は米の香りと旨味を感じられ、飲みやすい日本酒として人気のある純米大吟醸。まるでワインを思わせるようなフルーティーな飲み口は、あまり日本酒を口にしない方や女性からも高い評価を得ています。容量も300mlから販売されているため、あまり日本酒を買わないという方にも人気があります。

(出典元:amazon.com)

2-2. 三割九分

山田錦を39%まで磨いた三割九分は、口に含むとまるで蜂蜜のような甘みが広がる大吟醸です。一口飲めば上品な米の風味が香り立ち、味わいは実にまろやか。これぞ純米大吟醸と呼ぶにふさわしい、味の繊細さと重厚さを兼ね備えた1本となっています。

2-2-1. 評判

三割九分は、華やかな香りと甘みを持ちながらすっきりとした飲み口が人気の日本酒です。価格的に「45」のワンランク上にあたり、飲み比べされることも多い銘柄となります。そのため「45でも満足だったがやはりひと味違う」「45は日常酒で、三割九分は贈答用に」と獺祭ファンから愛される銘柄となっています。

(出典元:amazon.com)

2-3. 二割三分

磨きの限界といわれる23%を実現した獺祭の代名詞ともいえる大吟醸です。日本最高峰とされる精米歩合は多くのメディアで取り上げられ、その繊細かつ芳醇な味わいと共に、獺祭の名を世に知らしめることとなりました。価格帯もトップクラスであるため、贈答用にも最適な銘柄となっています。

2-3-1. 評判

二割三分は、「まさに最高の日本酒」「お酒好きに送るなら間違いない一本」と評判高い日本酒です。嫌な部分が何もないと称される研ぎ澄まされた味わいは、日本酒をゆっくりと楽しみたい方に好まれています。1800mlあたり約10,000円という価格帯から考えても、贈答や特別な日の一杯にふさわしいプレミアムな日本酒であると言えるでしょう。

(出典元:amazon.com)

2-4. 磨きその先へ

「磨きその先へ」は、獺祭の中で最高峰の二割三分を更に超える銘柄です。海外で数十万円の値が付くワインのように、高価格帯の日本酒に挑戦しようという蔵元の想いのもと開発が進められました。美しい香りとともに味の複雑性を有し、今までの純米大吟醸にはない優れた風合いを誇っています。

2-4-1. 評判

「磨きその先へ」は、45%から25%歩合の獺祭の良さを全て持ち合わせたような日本酒だと言われています。甘口芳醇でありながら、まるで澄んだ水のような飲みやすさは獺祭ファンからも好評。二割三分を味わってから口にすれば更にその魅力を楽しむことができるでしょう。

(出典元:amazon.com)

3. 獺祭の購入方法

獺祭は国内外の正規取扱店や通販サイトにて購入することができます。銀座、博多、本社の山口県岩国市に点在する「獺祭ストア」では、商品を購入するだけでなく有料テイスティングを楽しむことも可能です。

3-1. 獺祭が購入できる実店舗

獺祭は高島屋や伊勢丹といった百貨店や、京王ストアや紀ノ国屋などのスーパーマーケットなど、幅広い店舗で購入できるようになっています。公式サイトでは購入可能店舗を確認することができますが、業務用酒販店や無店舗販売については、掲載されているものが全てではありません。

また、国内だけでなく、アメリカからアジア、ヨーロッパまで正規取扱店が広がっていることは、獺祭の海外人気の高さを表していると言えるでしょう。

3-2. 獺祭が購入できる通販サイト

2016年よりオープンしたのが公式オンラインショップ「獺祭ストアWEB店」です。「純米大吟醸45」から「磨きその先へ」まで全てがラインナップされている他、季節商品や限定品も購入することができます。

酒粕カレーや酒ケーキ、酒粕石鹸や化粧品といった日本酒以外の獺祭商品も実に豊富。獺祭の新たな魅力を知りたいという方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

4. 獺祭の美味しい飲み方・楽しみ方

日本酒といえば、升やおちょこで飲むものと思われがちですが、獺祭におすすめなのが小ぶりのワイングラス。開口部が大きく背の高いワイングラスは、獺祭の持つ上品な香りをより引き立たせてくれます。

また、「45」や「三割九分」は食中酒、「二割三分」は繊細な香りを持つ野菜料理や魚料理など、料理とのマリアージュを楽しむのもおすすめ。

獺祭の魅力を存分に楽しむためにも、保存する際の温度は大きなポイントとなってくるのです。

4-1. -5度で保管?

獺祭の中でも生酒やスパークリング、「磨きその先へ」などは要冷蔵となるお酒です。そのため、開封の有無に関わらず必ず冷蔵庫で保管する必要があります。

その他の銘柄に関しても、鮮度が命となる日本酒にとって直射日光や温度の高い場所は厳禁。特に、「生酒」と記載のある銘柄は、火入れしていない銘柄のため-5度を超える環境だと少しずつ味が劣化してしまいます。

獺祭の命となる繊細な味わいを堪能するためにも、冷蔵庫や専用セラーを用い「-5度」の環境下で保存することを心がけましょう。

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5. 獺祭のスパークリング

祭のスタンダードである「45」を使用したスパークリングは、大吟醸酒を瓶内で二次発酵させたお酒です。ほんのりピンク色のラベルと真っ白なキャップシールはまるでワインのよう。純米大吟醸だからこそ生まれる華やかな香りと爽やかさは、女性からも高い人気を得ています。

揚げ物や肉料理とのペアリングの他、祝いの席での食前酒としてもおすすめの1本です。

(出典元:amazon.com)

6. 獺祭の甘酒

獺祭の隠れたおすすめ品となるのが、山田錦の等外米を使用した「甘酒」。獺祭を好きな方でも、その存在を知る方は少ないのではないでしょうか。

等外米とは、粒がそろわないなどの理由で等級がつけられない米。等級米として出荷することはできませんが、その優れた味わいは他の山田錦と何ら変わりはありません。

獺祭甘酒はノンアルコール飲料なので、お酒が苦手な方にもおすすめとなっています。

(出典元:amazon.com)

7. 獺祭の焼酎

獺祭焼酎は、獺祭の酒粕をもとに作られた米焼酎です。米麹の香り引き立つやさしい味わいは、まるで上質な甘酒のよう。

焼酎が苦手な方や女性にも評判が良く、日本酒界に革命を起こした獺祭ならではの焼酎となっています。

8. まとめ

獺祭は、一度は低迷していた日本酒に新たなブームを生み出した、日本酒を代表する有名ブランドです。2016年には新たな高級銘柄「その先へ」をリリースし、今もなおその進化を遂げ続けています。

日本酒好きがうなる1本は、大切な方へのプレゼントにもおすすめ。二割三分の研ぎ澄まされた味わいにスパークリング酒と、日本酒の世界を大きく広げてくれる獺祭は、多くの人におすすめしたいお酒であると言えるでしょう。