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女性審査員によるコンクール「Japan Women’s SAKE Award~美酒コンクール~」の試飲会&表彰式レポ

2023年10月27日(金)、日本の國酒である日本酒を、酒類資格を保有する十分にテイスティング能力のある女性のみが厳正に審査を行う、日本国内初のコンクール「Japan Women’s SAKE Award~美酒コンクール~」の上位入賞酒が発表されました! 表彰式会場のPASONA SQUAREに集ったのは、上位に入賞した各蔵・企業の代表者たち。表彰式とともに試飲会も開催されました。 今回は活気溢れる試飲会の様子とともに、各部門の表彰式の結果をお届けします。 Japan Women’s SAKE Award~美酒コンクール~とは Japan Women’s SAKE Award~美酒コンクール~(通称:美酒コン)とは、「日本の伝統文化の継承」「地域経済の活性化」「女性が活躍する社会の実現」を基本理念とし、日本の國酒である日本酒を、酒類資格を保有する十分にテイスティング能力のある女性が厳正に審査を行う、日本国内初のコンクールです。 ソムリエ、客室乗務員、女将、シェフなど日本酒と日々密接にかかわる女性たちも審査に加わります。画期的なポイントは、エントリー部門は特定名称別ではなく、香りと味わいを主軸とした6部門である点です。 6部門の内訳は「スパークリング」「フルーティー」「ライト&ドライ」「リッチ&ウマミ」「エイジド」「ロウ・アルコール」で構成されています。 試飲会の様子 表彰式前の試飲会では多くのゲストやメディア関係者がコンクールにて表彰される蔵の日本酒を、特徴の解説などを受けながら楽しむ様子が見られました。 私も試飲会にて多くの日本酒を楽しませていただきました! 日本酒の試飲会とともに、会場にて¥500で販売されていたのは福井の食材が使われたおつまみパック。福井県は本コンクールにて総合コーディネーターを務める友田晶子氏の故郷であり、第2回美酒コンクール2024の審査・表彰式の会場でもあります。 おつまみパックのラインナップは本コンクールの審査基準にもなっている6部門とそれぞれのペアリングが考慮されており、スパークリング部門の日本酒と「甘エビのサクサク手巻き寿司」、フルーティー部門の日本酒と「越のルビートマト、越前柿、花ラッキョウのクリームチーズ和え」、ライト&ドライ部門の日本酒と「福井サーモンのロールキャベツ、みょうが添え」、リッチ&ウマミ部門の日本酒と「ふくいポークの味噌漬け」、エイジド部門の日本酒と「胡麻芋団子」、ロウ・アルコール部門の日本酒と「胡麻豆腐」の6品。どれも日本酒との相性は抜群でおいしいおつまみでした。 Japan Women’s SAKE Award~美酒コンクール~審査結果 美酒 of the Year 2023 天山 純米全麹仕込み 20年熟成/天山酒造株式会社 Top of the Best 2023(フルーティー) 雪小町 大吟醸原酒五十一号 特黒/有限会社渡辺酒造本店 Top of...

【2023年最新版】青森の日本酒おすすめ14選!自然豊かな青森で醸される日本酒を紹介

青森県は、日本酒ファンに支持される「田酒」に「豊盃」、フルーティーな香りの「陸奥八仙」と数々の銘酒が造られている地域です。熱燗で美味しい辛口酒も揃います。 今回は、青森の日本酒の魅力を解説!日本酒ビギナーがおさえておきたい、おすすめ銘柄も紹介します。「青森ではどんな日本酒が造られているの?」と気になる方はぜひチェックしてみてください。 1.青森で日本酒を醸す酒蔵 青森県は、県土の67%を森林が占める自然豊かな地域です。山々から流れる雪解け水は自然のフィルターをくぐり抜け、酒造りに欠かせない清らかな水へと生まれ変わります。 古くから酒米の開発が盛んで、酒造りに適した上質な米が栽培されていることも大きな特徴です。県内の各蔵では、青森の自然の恵みを活かした酒造りが行われています。 1-1.西田酒造店 代表銘柄は、田の酒と書いて「田酒(でんしゅ)」。創業1878年(明治11年)の蔵では、職人の手仕事による丁寧な酒造りが続けられています。 原料米にこだわり、幻の酒米といわれた“古城錦”の復活にも着手。“仕事は楽しみながら”という蔵の雰囲気が垣間見えるSNSにも注目です。 1-2.八戸酒造 日本海へと流れ込む新井田川沿いに建つ八戸酒造。有形文化財に登録されている建造物は、今もなお大正時代の風情を醸し出しています。 創業銘柄「陸奥男山(むつおとこやま)」は、明治時代から地元の人々に愛されてきました。平成入りに誕生したフルーティーな香りの「陸奥八仙(むつはっせん)」は、陸奥男山に並ぶ定番酒としてその名が知られています。 1-3.鳩正宗 青森県の内陸部、十和田市に位置する酒蔵です。「鳩正宗」の名は、昭和初期に蔵の神棚に棲みついた一羽の白鳩を守り神としたことに由来しています。 かつては南部杜氏が仕込みに参加していたものの、2004年(平成16年)からは十和田の蔵人のみで酒造りをスタート。以来、代々受け継がれてきた歴史と現代技術の融合により上質な酒が生み出されています。 1-4.三浦酒造 5代目蔵元となる兄弟を筆頭に、家族と地元の人々が切り盛りする小さな酒蔵です。酒米「豊盃米(ほうはいまい)」を使用する全国唯一の蔵でもあります。 原料米の多くは、地元農家が丹精込めて栽培したものです。仕込み水には井戸から湧き出る岩木山の伏流水を使い、ほっと心が和む味わい深い酒を醸し続けています。 1-5.桃川 発祥は江戸時代の自家用醸造という歴史深い酒蔵です。屋号である「桃川」は、仕込み水に百石川(ももいしがわ)の伏流水を使用したことに由来しています。 蔵のキャッチフレーズは“いい酒は朝が知っている”。大切な人と美味しいお酒を酌み交わし、翌朝に気持ちいい目覚めが迎えられるようにとの想いと共に、蔵では丁寧な酒造りが行われています。 1-6.松緑酒造 桜の名所でもある弘前城の城下町に建つ松緑酒造。江戸時代には、酒造りに欠かせない「酒母(しゅぼ)」造りを生業として栄えていました。 日本酒製造は1904年(明治37年)にスタート。青森から世界へ羽ばたく酒を目指し、地元で愛される「松緑」をはじめとする豊富なラインナップを取り揃える酒蔵です。 1-7.八戸酒類 創業は江戸時代後期の1786年(天明6年)。初代の橋本八右衛門(はちうえもん)は、呉服商で身をたてていた人物でした。 9代続く蔵の杜氏を務めるのは、もともと日本酒を飲むのが大好きだったという上井杜氏。酒造りに適した冷涼な環境のもと、地元の良質な米と地下から汲み上げる自然水、伝統技法で生まれる日本酒は各界で高く評価されています。 2.青森で作られている酒造好適米 酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)とは、酒造りに適した特性をもつ米のことです。通称「酒米(さかまい)」と呼ばれ、各県では地域の特性を活かした品種が開発されています。 青森県を代表する酒米のひとつが「華吹雪(はなふぶき)」です。粒が大きく栽培しやすいことから、全国でも高い生産量を誇ります。米の旨味に満ちた味わいを生み出し、純米酒に使用されることが多い品種です。 また「華想い(はなおもい)」は、青森県の酒米の王様と称される品質の良さが特徴です。精米時に割れづらく、原料に小さく削った米を使用する吟醸酒に適しています。 さらに、青森県内では2018年(平成30年)に「吟烏帽⼦(ぎんえぼし)」の利用がスタート。冷害に強い吟烏帽⼦は県内各地で栽培でき、青森の地酒の可能性をさらに広げるきっかけとなりました。 3.青森の日本酒おすすめ14選 ここからは青森のおすすめ日本酒14選をご紹介!地元をはじめ全国の日本酒ファンに愛される銘柄が揃いました。青森を訪れた際はもちろん、酒販店や飲食店で出会った際はぜひチェックしてみてください。 1.田酒(でんしゅ) 田の酒「田酒」は、醸造アルコールや醸造用糖類などを使用しない旨口の純米酒です。商品化までに3年の月日を費やし、1974年(昭和49年)に誕生しました。 なかでも華想いを原料とした「純米大吟醸 百四拾 田酒」は、洗練された香りと味わいが特徴的な1本です。後口はすっきりとキレ良く、飲み進めるほどに米の旨味が体に染み渡ります。 (出典元:若松屋酒店) 2.陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造で1998年(平成10年)に誕生したブランドです。その名は中国の故事、酔八仙(八人のお酒の仙人の物語)に由来します。飲む人に酒仙の境地で酒を楽しんでもらいたいという、蔵の思いが込められた日本酒です。 フルーツを思わせる香りは心地よく、日本酒ビギナーでも親しみやすい味わいが魅力です。なかでも「陸奥八仙 ピンクラベル 吟醸(火入)」は、メロンのように甘い香りと芳醇な味わいを楽しめます。 (出典元:八戸酒造) 3.豊盃(ほうはい) 全国で唯一の使用となる豊盃米をメインに醸される日本酒です。上質な米と蔵の井戸から湧き出る伏流水、蔵元家族や地元の人々の手により、唯一無二の個性が生み出されています。 蔵のスタンダードとなる「豊盃 純米吟醸 豊盃米」は、酒米のもつ繊細な甘みと香りが光る1本。青森の自然が生み出す美味しさを心行くまで堪能できます。 (出典元:くるみや) 4.鳩正宗(はとまさむね) 蔵の名を冠した「鳩正宗」は、小さく磨いた青森県産の酒米で造られる日本酒です。なかでも「吟麗 純米大吟醸 中取り」は、青森県の酒米の王様といわれる華想いを原料としています。 精米歩合は40%と、米の中心部分のみを贅沢に使用していることも特徴です。さらに、お酒を搾ったときに特に質が良いとされる、中取り部分のみが瓶詰めされています。香りと味わいともに品よく、贈答用にもおすすめの1本です。 (出典元:鳩正宗株式会社) 5.桃川(ももかわ) 「桃川」の魅力は、芳醇な旨味とまろやかな口当たりです。ラベルには、桃川をこよなく愛したという酒好きの画家・小杉放菴の文字が記されています。 おすすめは、酒米・華想いを使用した「桃川 大吟醸純米 華想い」です。2021年のインターナショナル・ワイン・チャレンジでは、純米大吟醸の部で金賞に輝きました。グラスに注ぐと華やかな香りがふわっと広がり、清らかな飲み口を堪能できます。 (出典元:桃川オンラインショップ) 6.善知鳥(うとう) 「田酒」を醸す西田酒造店の青森限定商品です。原料には、酒米の王様といわれる山田錦を使用。人工的な圧力をかけずにゆっくりと搾った酒のなかでも、質の良い中取り部分のみが瓶詰めされています。 洋梨を思わせる上品な香りの後には、しっとりと奥深い余韻が広がります。青森を代表する貴重な鳥「善知鳥」の名の通り、希少性を感じさせる贅沢な1本です。 (出典元:矢島酒店) 7.喜久泉(きくいずみ) 西田酒造店が創業以来造り続ける銘柄です。「喜久泉」の名には、幾久しく喜びが続くように、という蔵の願いが込められています。 おすすめは「大吟醸 喜久泉」。フルーツを思わせる心地よい香りが広がる一品です。しっかりとした旨味、キレが両立した辛口の味わいを堪能できます。 (出典元:矢島酒店) 8.六根(ろっこん) 松緑酒造が新たな酒造りへの挑戦の意を込めて送るブランドです。サファイア、ルビー、タイガーアイなど個性豊かなラインナップが揃います。 公式のオンラインショップで購入できる「六根 純米大吟醸 華想い」は、青森の酒米と酵母で造られた日本酒です。ラベルには、弘前の春景色を思わせる「花筏(はないかだ)」がデザインされています。香り良く上品な味わいで、記念日の乾杯にもふさわしい一品です。 (出典元:松緑酒造オンラインショップ) 9.如空(じょくう) 南部杜氏の伝統の技が生み出す味わい深い日本酒です。全国新酒鑑評会をはじめとする多くの鑑評会で、輝かしい受賞歴を誇ります。 リーズナブルなレギュラー酒から、米の旨味にあふれる純米酒、香り高い吟醸酒と幅広いラインナップが揃うことも魅力です。お酒を飲むシチュエーションや好みにあわせた1本に出会えます。 (出典元:八戸酒類株式会社) 10.八鶴(はちつる) 協会10号酵母の発祥蔵ともいわれる、八戸酒類の八鶴蔵で造られる日本酒です。協会酵母とは、日本醸造協会が頒布する酵母菌のこと。良質な米と伝統技法で生まれる「八鶴」は、「如空」と共に蔵の歴史を支えています。 おすすめは「八鶴 濃醇超辛純米酒 剛酒」。しっかりとした飲みごたえがありながら、抜群のキレが特徴的な1本です。和食はもちろん、揚げ物や中華のような味の濃い料理とのペアリングを楽しめます。 (出典元:八戸酒類株式会社) 11.陸奥男山(むつおとこやま) 青森の恵みが生み出す米の旨味とともに、スパッとしたキレ味を堪能できる銘柄です。地元で古くから愛されてきた八戸を代表する地酒でもあります。 なかでも「陸奥男山 超辛純米」は、男山らしいキレ味鋭い個性が光るお酒です。冷やはもちろん、常温で、燗酒でと温度による味の変化を楽しめます。 (出典元:八戸酒造株式会社) 12.杉玉(すぎだま) 酒造・桃川の四大ブランドのうちのひとつです。“うまさの杉玉”と称されるように、しっかりとした米の旨味を堪能できます。 香りは穏やかで口当たりやさしく、合わせる料理を選ばないのもうれしいポイントです。「純米酒」は180mlから販売されているため、気軽に老舗蔵の味わいを楽しめます。 (出典元:桃川株式会社) 13.亀吉(かめきち) 青森県黒石市に位置する酒蔵、中村亀吉酒造が醸す日本酒です。大正時代から長きに渡り、青森の地酒として人々に親しまれてきました。 クラシックなラベルに身を包むお酒は、どこか懐かしさを感じさせる佇まい。味わいはまろやかで、しみじみとした美味しさに酔いしれることができます。冷やをはじめ、燗酒にしてゆるりと楽しむのもおすすめです。 (出典元:はただ酒店) 14.ねぶた 青森の夏を彩る祭り「ねぶた」が表現されたキリッとした味わいの日本酒です。「辛口ねぶた」は、全国燗酒コンテスト2018で金賞を受賞。ぬる燗はもちろん、あつあつに温めれば爽快な飲み口がさらに引き立ちます。 ラベルにねぶたがが描かれた「火祭りねぶた生貯蔵酒」は、青森のお土産にもおすすめです。 (出典元:桃川オンラインショップ) まとめ 青森県では、日本酒好きにはたまらない美味しい日本酒が数多く造られています。日本酒ビギナーでも飲みやすい、すっきりとした味わいの銘柄が揃うことも魅力です。 日本酒選びに迷ったら、産地に着目してみるのもひとつの方法です。青森の豊かな自然を思いながら、その美味しさをぜひ楽しんでください。

「生酛造りのきもとさん」「たまには酔いたい夜もある」など個性的な商品を生み出す秘訣とは?沢の鶴さんにインタビュー!

創業から300年以上の歴史を誇る老舗酒蔵「沢の鶴」。もともとは米屋の副業として創業し、米の旨味をしっかりと引き出した酒造りに取り組んできました。 そんな沢の鶴では「SHUSHU Light」や「生酛造りのきもとさん」「たまには酔いたい夜もある」など他の酒蔵にはない個性的な商品が展開されています。 これらの個性的な商品はどのようにして生まれているのでしょうか?今回は沢の鶴さんに個性的な商品を生み出す秘訣をお聞きしました! 1.新商品発売に至るまでの裏側にはたくさんの工程がある 1-1.全ての社員がアイデアを提案できる環境 今回インタビューをさせていただいたのは、沢の鶴株式会社 マーケティング室 室長の宮﨑さん。まずは、普段マーケティング室ではどのような業務を主にしているのか聞いてみました。 「マーケティング室は大きく分けて5つの業務を担っています。ブランディング、営業支援、ECサイトのショップ運営、資材関係の調達、お客様相談室の5つです。さらにこの5つも細分化をしていくと様々な業務があるため、マーケティング室の業務は多岐にわたります。」 ー業務範囲がそこまで多岐にわたるというのは非常に驚きました!その中でも今回はブランディングについて、深掘りをさせていただきます。新しい商品を開発する時というのはどのような工程を踏んでいるのでしょうか? 「まずは商品アイデアがどこから出てくるのかについてです。これは主に4パターンありまして、1つ目はマーケティング室から『こういう新商品が作りたい』という提案を会社にして、会社側がやってみようかということであれば、そのアイデアが採用され進んでいきます。」 「2つ目が営業からのアイデアです。営業が消費者に1番近い立場で市場が今どういうものを欲しているのかという情報収集を常にしてくれているので、そこからアイデアを吸い上げて考えていきます。3つ目は他企業さんとのコラボです。これは最近力を入れているのですが、取引のある企業や、異なる業界の方と協力・共創して、新しいものを生み出すということをしています。」 「4つ目は社員からの公募です。会社にとってプラスになることであれば、応募できる環境が整っています。応募されたアイデアが形になったこともあります。」 「生まれたアイデアについては、マーケティング室で会社にとってプラスになるのか、売れる可能性があるのかを検討します。そのアイデアがいいものであれば、会社に提案をするという流れになります。」 1-2.商品コンセプトや酒質設計はどのようにして決まる? ー沢の鶴さんでは様々な方面から、商品に関するアイデアが集まるようになっているのですね。商品のコンセプトというのはどのように決めているのでしょうか? 「コンセプトの決め方には色々な手法がありますが、王道のやり方としてはターゲットを作って、そのターゲットに向けて開発していくという手法です。他にはニーズ型とシーズ型と言われている手法を用いています。」 「ニーズ型というのは、市場で求められている情報を詳しく集めてそこに可能性があるのかを社内外で調べていく手法です。シーズ型は我々メーカーとして持っている技術や強みを見直して、それを市場に受け入れられるように合わせて商品を生み出す手法です。これらの手法を用いてコンセプトを考えています。」 ーコンセプトが決まった商品の酒質設計を考えているのはマーケティング室のみなさんですか?それとも現場で酒造りをしている方々でしょうか? 「酒質設計に関しても色々なパターンがあります。お酒造りの現場から『こんなにおいしいお酒ができました』ということもあれば、『こういうお酒を作って欲しい』という営業からのリクエストだったり、はたまた他社ではこんな面白い商品があるけれど、うちでも造ることができるかみたいな話だったり。」 「具体例として挙げると『たまには酔いたい夜もある』の酒質は瑞宝蔵の責任者が提案してくれました。この酒質は割って飲むと絶対おいしいよというアイデアを社内公募で出してくれました。」 1-3.新しい商品を生み出すのは簡単なことではない ー宮﨑さんにとって、新しい商品を生み出す時に最も大切にしていることはなんでしょうか? 「私がいつも念頭に置いているのは『そのアイデアがユニークかどうか』です。ユニークっていろんな意味があると思うのですが、言い方を変えると差別化できているか、個性があるのかということですね。その商品を沢の鶴が出すということに意義があるのかいつも考えています。」 ーなるほど、たしかに「生酛造りのきもとさん」や「たまには酔いたい夜もある」などはユニークな商品ですよね。新しい商品を生み出す時に最も大変なことってどのようなことがあるのでしょうか? 「会社として一丸となって商品を消費者に届けるんだという意識の共有が1番大変ですね。新商品が消費者に届くまでには、造り手や売り手など多くの人が関わっています。多くの人が関わることで、解決すべき課題がでてくるので、それをクリアにして、商品を消費者に届けるんだという認識を全社員が持てるようにすることが大変です。」 ーそういった大変さから商品化にたどり着けないアイデアもやはりあるのでしょうか? 「商品化できないアイデアというのは山ほどありますよ。この仕事に携わってから100以上はあると思います。少し前にあった事例ですと、社内公募で採用されたアイデアが商品化の手前までいったのですが、コロナなどの社会情勢もあって、発売中止になったこともありましたね。」 ー新しい商品を生み出すというのはそれだけ大変なことなんですね... 2.自社にはない視点を活かして ー「SHUSHU Light」では、デザイン事務所のシーラカンス食堂さん、「たまには酔いたい夜もある」「生酛造りのきもとさん」などは株式会社TRINUSさんなど他企業とタッグを組んで商品開発に取り組まれていました。タッグを組まれた背景としては沢の鶴さんの中に課題感があったからなのでしょうか? 「はっきりとした課題がありました。社内のみで物事を考えると固定観念に縛られたり、過去からの流れを汲んでしまい結果として同じようなものばかりができてしまう。沢の鶴だったらこれだよねというような既視感のある商品ばかりが生まれてしまうということが今も含めて多々ありました。」 「そういった状況を打開したいということで多方面にアンテナを張りました。シーラカンス食堂さんというおもしろいデザイン事務所さんに関しては、代表の方の講演を当時の上司がたまたま聞きに行ったことで繋がりが生まれました。TRINUSさんに関しては雑誌の記事で特集をされており、興味深い取り組みをされているなと思ったので問い合わせ、そこから協力して新しい商品を創るということがスタートしました。」 「商品コンセプトについてニーズ型とシーズ型という話が出たのですが、TRINUSさんからは弊社の長所や強みに着目していただいて、商品コンセプトに反映していただくシーズ型の手法をうまく用いて、今までにはない商品を生み出す手助けをしていただいています。」 3.他にはないユニークな商品をこれからも ー直近ですと、「生酛造りのきもとさん」がリリースされて間もないですが、社内外の反応というのはいかがでしょうか? 「好評いただいておりまして、キャッチーな見た目なのでジャケ買いの可能性もあるという話も聞いています。ただ中身は本格的なお酒ですので飲んでいただいて、ジャケ買いした方でも味わいのファンになっていただけると思っています。」 ー「生酛造りのきもとさん」がリリースされてからまだ間もないですが、すでに次に作る商品は決まっているのでしょうか? 「まだ細かいことはなにも決まってないですが、しっかりユニークさをもったコンセプトの商品を引き続き作っていきたいと思っています。」 「触れておきたいのが2023年3月に立ち上げた『八継』という熟成酒のブランドをしっかり育てていきたいですね。熟成酒というのは非常に価値のあるものです。今回リリースした熟成酒は50年ものなんですけど、今から造ろうと思っても絶対に作ることができない唯一無二の価値を持っています。他にはないユニークな商品として熟成酒の価値をどのようにお伝えしていくのか3~4年の構想期間を経て、今年の3月にリリースしました。」 ー次はどんなユニークなコンセプトを持った商品がリリースされるのか非常に楽しみです!本日は商品開発について貴重なお話をたくさん聞かせていただきありがとうございました! まとめ 日本酒の商品企画について我々消費者が見聞きする機会というのはほぼないと思うのですが、今回は沢の鶴株式会社 マーケティング室 室長 宮﨑さんにインタビューにて深掘りをさせていただきました! 日本酒が造られるまでには、現場で造られている方以外にも本当に多くの方が1つの商品に関わられているというのがお話を聞いて実感しました。 日本酒を飲むときは、その商品が生まれるまでの背景に想いを馳せながら飲むのも日本酒の楽しみ方の1つとしていかがでしょうか? 会社概要 社名:沢の鶴株式会社 代表者:西村隆 創業:享保2年(1717年) 事業内容:清酒「沢の鶴」の醸造、販売、及び関連事業 コーポレートサイト:https://www.sawanotsuru.co.jp/site/

おちょこに描かれた青い円の模様には意味がある?おちょこの青い円の意味や利き酒の楽しみ方を解説!

日本酒を飲むときに使うおちょこ。目にすることの多い青い円は、「蛇の目(じゃのめ)」と呼ばれます。 蛇の目のおちょこは、日本酒の味わいを確かめるために作られたものです。今回は、蛇の目という呼び名の由来や役割などについて紹介します。 利き酒のポイントも紹介するので、ぜひ自宅で日本酒の飲み比べを楽しむ際の参考にしてくださいね。 1.おちょこの青い円の名前や役割 おちょこの底に書かれた青い円は「蛇の目(じゃのめ)」と呼ばれます。蛇の目が付いたおちょこは、日本酒のテイスティング「利き酒(唎酒)」に用いられるのが一般的です。まずは、蛇の目という名前の由来や青い円の役割についてみていきましょう。 1-1.おちょこの青い円の名前とその由来 「蛇の目」の呼び名は、江戸時代に作られた傘の名前に由来しています。白く太い円が描かれた当時の傘は、模様が蛇の目(へびの目)に見えることから「蛇の目傘」と呼ばれていました。 蛇の目のおちょこが誕生したのは、1911年(明治44年)のこと。第1回全国新酒鑑評会で、審査員用のおちょことして作られたのが始まりです。 現在は日本酒をイメージさせるおちょことして、利き酒用としてだけでなく、イベントや飲食店などでも幅広く用いられています。 1-2.蛇の目のおちょこの青い円の役割 蛇の目のおちょこの青い円には、お酒に浮かぶ細かな浮遊物を見えやすくする役割があります。 無色透明の日本酒は、醪(もろみ)と呼ばれる白い液体を布などに入れて搾り、さらに小さな滓(おり)を取り除くことでできあがります。なかにはあえて滓を残して仕上げる日本酒もあり、蛇の目の青い円はそれらを確認するのに役立つというわけです。 また、日本酒はろ過の有無や熟成度合いによって色合いが変化するお酒です。青と白のコントラストはお酒の色合いを引き立て、微妙な色の違いを判別する際に役立ちます。 1-3.蛇の目のおちょこのサイズ 蛇の目のおちょこのサイズは、三勺(約54ml)や五勺(約90ml)が一般的です。なかには、ぐい呑みサイズの八勺(約144ml)のおちょこも販売されています。 また、多くの酒蔵では「本利きちょこ」と呼ばれる1合(約180ml)サイズのおちょこが使用されます。サイズは大ぶりですが厚みは薄く、蛇の目が手描きで描かれているのが特徴です。 2.蛇の目のおちょこを使った利き酒の楽しみ方 蛇の目のおちょこを使うと、自宅でも気軽に利き酒を楽しめます。日本酒の味や香りが客観的に感じられ、自分好みの味わいをより見つけやすくなりますよ。 2-1.利き酒とは そもそも利き酒とは、酒造りに携わる人が行う「官能検査」のことです。 酒蔵では、前述した本利きちょこを使い、お酒の出来栄えを評価する利き酒が行われてきました。また、全国新酒鑑評会のようなお酒を品評する場でも利き酒が行われています。 近年はアマチュアを対象とした「きき酒大会」が開かれるなど、利き酒は消費者にとっても身近なものになりつつあります。飲食店などで複数のお酒を一度に楽しめる「利き酒セット」を見かけることも多いですよね。 「リンゴのような香りで味わいはスッキリ」「落ち着いた香りでコクがある」など、味わいを客観的に表現できるようになると、自分の好みの日本酒を見つけやすくなります。酒販店や飲食店でも、日本酒の好みについてわかりやすく伝えられるようになりますよ。 2-2.利き酒を楽しむためのポイント 日本酒は、温度によって味わいが変化しやすいお酒です。利き酒の際は、15~18℃のやや冷えた温度帯にすると味や香りを感じやすくなるでしょう。 お酒の色合いを確かめるため、利き酒は自然光に近い照明の下で行うのがおすすめです。香りの感じ方に影響しないよう、香りの強い化粧品や香水などの使用は控えましょう。 一度にたくさんのお酒を評価するプロの利き酒は、お酒を口に含んでから吐き出すのが一般的です。自宅で利き酒を楽しむ際は、ぜひ少しずつおいしく味わってください。悪酔いを防ぐため、和らぎ水を用意しておくと安心ですね。 2-3.利き酒の楽しみ方3ステップ 利き酒は、視覚や嗅覚、味覚を使いながら日本酒の個性をチェックしていきます。蛇の目のおちょこに日本酒を注いだら、まずは色合いのチェックからスタートしましょう。 ステップ1.色合いを確かめる 搾ったばかりの日本酒は、うっすらと黄色く色付いているのが一般的です。その後「濾過(ろか)」の工程を経て色や香りが調整されます。 日本酒のなかには、ろ過をしていない山吹色のお酒や、白くにごった「にごり酒」などが存在します。微発泡感のあるお酒や、琥珀色の熟成酒など色合いはさまざまです。 まずは「透明度が高い」「白くにごっている」「淡い黄色」など、日本酒の味わいにつながる色の個性を、蛇の目模様を見ながら確認していきましょう。 ステップ2.香りを確かめる 色合いの次は香りをチェックします。おちょこに鼻を近づけ、上立つ香(うわだちか・うわだちこう)と呼ばれる香りを確認しましょう。その後、口に含んで含み香(うくみか・ふくみが)を感じていきます。 日本酒の香りは、花や果実を思わせるや穀物のような香り、蜂蜜のような甘い香りなど多岐に渡ります。花や果実のような香りは「吟醸香(ぎんじょうか・ぎんじょうこう)」と呼ばれ、吟醸酒に多く発現する香りです。 また、穀物や乳製品を思わせる香りは、生酛や山廃といった昔ながらの製法で造る日本酒に多くみられます。熟成酒は、蜂蜜やナッツのような複雑かつ甘い香りがするのが特徴です。香りからも、ぜひ日本酒の原料や製法などの個性を感じ取ってみてください。 ステップ3.最後に口で味わいを感じる 香り、色合いの次はいよいよ味わいを確認。蛇の目のおちょこに口を付け、日本酒を味わってみましょう。 ひとくちに「甘い」といっても、サラリとした軽やかな甘みやふくらみのある甘みなど、感じ方は人それぞれです。お酒によっては、後口にキリリとした酸味が感じられることもあります。 「これは温めて飲んでみたいな」「おつまみを合わせるなら何にしよう」など、具体的な飲み方を想像するのも、日本酒を楽しむための利き酒ならでは。合間に和らぎ水でクールダウンしながら、自分好みの味わいを見つけてみてくださいね。 まとめ 青い円が描かれた蛇の目のおちょこは、利き酒用に作られたものです。青色の蛇の目模様は、日本酒の色合いなどを評価する際に役立ちます。 蛇の目のおちょこを使えば、自宅でも気軽に利き酒にチャレンジできます。色や香り、そして味わいの違いを知り、日本酒の奥深さや楽しさを感じてみてはいかがでしょうか。

山三酒造の日本酒4種を紹介!再始動した蔵のこだわりにペアリングも

1867年(慶応3年)創業。2015年より休蔵状態だったものの、現蔵元の決意と情熱により、2023年2月に再始動を果たした長野県上田市の「山三酒造(やまさんしゅぞう)」。 3月31日(金)には、先代の想いを受け継ぐリブランド商品「真田六文銭(さなだろくもんせん)」に加え、酒蔵名を冠した新たなブランド「山三」がリリースされました。 今回は、少量仕込みの丁寧な酒造りから生まれる4商品をご紹介。信州上田の酒文化に新たな息吹をもたらす、山三酒造の魅力をお届けします。 「山三酒造」信州上田の老舗蔵の想いを胸に再始動 山三酒造は、豊かな自然に恵まれた長野県上田市に位置する酒蔵です。蔵の背景に広がるのは、限りのない空と雄大な山々。冬場に積もる雪は自然のフィルターをくぐり抜け、清らかな伏流水となり、日本酒にクリアな味わいをもたらします。 創業から150年の歴史をもつ山三酒造は、後継者問題などから2015年より休蔵状態にありました。 「ものづくりがしたい、自分らしい仕事がしたい」という想いを抱えていた現蔵元の荻原氏は、長野県佐久市出身。山三酒造との出会いをきっかけに、「地元の酒蔵を守りたい」と蔵の再建へ乗り出します。 山三酒造の大きなこだわりは、地元長野県八重原産の米を使用し、加水をしない“原酒”の状態で日本酒を提供することです。 一般的な酒造りの工程では、アルコール度数や味わいの調整のため、搾ったあとのお酒に割水(わりみず)が加えられます。 今回ご紹介する4つのラインナップは、すべてが加水、ろ過、加熱処理がされていない無濾過生原酒。酒瓶には蔵が目指すフレッシュな味、香りがそのまま閉じ込められています。 山三 紫翠(しすい) 山三 山霞(やまかすみ) 山三 初雪(はつゆき) 真田六文銭 初陣(ういじん) 老朽化していた設備、建物を一新するところから始まったという山三酒造再建に向けた道のり。 若き杜氏、栗原 由貴氏と共に設備も見直され、酒造りの要となる麹を造る部屋、麹室(こうじむろ)は高品質な麹が製造される場へと生まれ変わりました。 さらに、醸造方法は大型タンクの大量生産からサーマルタンクでの小仕込みへと移行。低温環境のもと細部まで手がかけられた日本酒は、口にした途端はっとするほどの瑞々しい味わいに満ちています。 https://sake-5.jp/interview-with-yamazan-shuzo 紫翠×リンゴのカッテージチーズサラダ ポン、という軽やかな開栓音とともに広がるのは、蜜リンゴのように甘く艶やかな香り。グラスのなかでは、細かな泡が静かに弾けて消えていきます。 口に含んだとたんに押し寄せるフレッシュな印象は、まるでほんの今、蔵で搾ったばかりのお酒をいただいているかのよう。後口はキレ良く、食中酒はもちろん、お酒単体でもゆるりと楽しみたい美味しさです。 皮付きリンゴにカッテージチーズ、仕上げに黒コショウをきかせたサラダと組み合わせれば、食事の始まりを告げる爽やかな1杯に。その日の気分や料理にあわせ、ほんのり温めていただくのもおすすめです。 温度が上がることで口当たりは丸く、より優しい表情へと変化し、信州上田に広がる情景のように心をほっと和ませてくれます。 山三 紫翠(しすい) 希望小売価格 3,080円(税込) 純米大吟醸 無濾過生原酒 山田錦(原料米) 磨き三割九分(精米歩合) 獨鈷山系伏流水 七号酵母 14度(アルコール度数) 山霞×栗ときのこのコンフィ 山々にかかる霞のように白いにごり酒は、旨味たっぷりの秋の味覚とともに。果実感あるジューシーな甘味とほのかな酸味、ふわりと心地よい後口が料理の味わいを引き立てます。 オイルを纏ったきのこは、バゲットやクラッカーにのせていただくのもおすすめです。「山霞」のほのかなガス感が、舌の上の油分をさらりと洗い流してくれます。 夏には鮎のような川魚とあわせれば、自然の息吹を感じるたまらないペアリングとなりそう。春は山菜、冬はジビエと四季折々の山の恵みと楽しみたい日本酒です。 山三 山霞(やまかすみ) 希望小売価格 2,530円(税込) うすにごり 無濾過生原酒 山恵錦(原料米) 磨き五割(精米歩合) 獨鈷山系伏流水 アルプス酵母 15度(アルコール度数) 初雪×みぞれ鍋 瓶の底にうっすらと澱(おり)が積もる「初雪」は、4本のなかでも一番元気な印象です。開栓で空気が流れ込むのを合図に、細かな泡が次から次へと瓶底から立ち上ります。 長野県の酒米と酵母が奏でるのは、上品な甘さと酸味、しっかりとした旨味のハーモニー。それぞれが一体となりながら、舌の上でハラリとほどけて溶けていきます。 その儚さは、木々や土に舞い落ちた綿雪がすっと消えてなくなるかのよう。アツアツのみぞれ鍋をおともにすれば、出汁の美味しさ、お酒の美味しさが体に染み入る組み合わせができあがります。 あっさりした鍋物はもちろん、牡蠣の土手鍋やキムチ鍋など旨味の強いスープにもあわせたい、味わい深いにごり酒です。 山三 初雪(はつゆき) 希望小売価格 1,870円(税込) うすにごり 無濾過生原酒 ひとごこち(原料米) 磨き六割(精米歩合) 獨鈷山系伏流水 アルプス酵母 15度(アルコール度数) 真田六文銭×にんにく焼き鳥・ねぎま 信州上田、真田家の家紋を酒名とし、地元で愛されてきた「真田六文銭」。勇ましいラベルの文字はそのままに、素材と造りはすべて見直され、山三酒造の精神を受け継ぐ酒として復活を遂げました。 口当たりジューシーでありながら、後口はキリッと硬派な印象。山三らしさのなかに、ひと味違った個性が光ります。 少し熱めにお酒を温めながら、にんにくを串に刺した焼き鳥と、ねぎまをスタンバイ。信州上田のご当地グルメ、にんにく醤油タレでいただく「美味だれ(おいだれ)焼き鳥」をイメージしたおつまみです。 パンチのきいた焼き鳥をほおばりながら、燗酒をコクリ、コクリ。タレの旨味とキリッとした酒の風味が絡み合い、もう1本、もう1杯と食と酒が進みます。 「150年の歴史をもつ地元の蔵を守りたい」蔵元のそんな想いが心に染みる、信州上田の地酒です。 真田六文銭 初陣(ういじん) 希望小売価格 1,870円(税込) 無濾過生原酒 ひとごこち(原料米) 磨き六割(精米歩合) 獨鈷山系伏流水 七号酵母 16度(アルコール度数) まとめ 黄金色に実った稲穂が頭を垂れる、秋の信州上田。2期目の仕込みを間近に控えた蔵元は、「スパークリング酒など新たなジャンルも視野に入れながら、山三のスタンダードといえる酒の完成を目指したい」と今後の展望を語ってくれました。 復活を遂げた山三酒造では、古くから変わらぬ自然の恵みを礎に、蔵元と杜氏、蔵人たちの手によって新たなストーリーが紡がれようとしています。 受け継がれてきた伝統と、これから始まる歴史の1ページに想いを馳せながら山三酒造の日本酒を味わってみてはいかがでしょうか。 山三酒造株式会社 [住所]長野県上田市御嶽堂687-1 [電話番号]0268-42-2260 [公式サイト]https://yamasan-sake.jp/index.html

休蔵に入っていた山三酒造が事業継承により復活。進化した山三酒造蔵元にインタビュー!

1867 年(慶応3年)創業の山三酒造は、信州上田の真田家の家紋『真田六文銭』を酒名に冠した、飲み易くすっきりした味の地酒として愛されてきましたが、作り手の高齢化と設備の老朽化により、事実上の休蔵状態になっていました。 創業から150年以上の歴史を積み重ねてきた由緒ある酒蔵の歴史が途絶えてしまいかねない状況だったところ、地元・長野県佐久市出身である荻原氏が、150年超の歴史を築いてきた山三酒造に感銘を受け、ゼロからの再スタートともいえる思い切った事業の再構築を決意。 今回は歴史ある山三酒造の名をそのままに事業を継承した荻原氏に、山三酒造が再始動するまでの軌跡に迫っていきます。 1.伝統を引き継ぎ日本酒の世界へ 話を伺ったのは山三酒造の事業継承をした現代表、荻原慎司氏。 荻原氏はもともと日本酒関係の仕事に携わっていたわけではなく、全くの別業界から事業継承をし現在は山三酒造の蔵元として、山三酒造の歴史と伝統を引き継いでいます。 「私は元々遊技場の販売事業を運営していましたが、他社と競い合う業界の構図に疑問を抱き、次第にもっと個性を活かし自由に売買ができるようなものを作って世界に売っていけるような仕事をしていきたいと思うようになりました。」 「長くできること」「世界に進出することができるもの」を軸に取り組める事業を探していた時、荻原氏に声をかけたのが地元である長野県佐久市に蔵を構える戸塚酒造でした。 「私は長野県佐久市出身で、地元には酒蔵さんがたくさんあります。その中の一つ、戸塚酒造さんとは元々とても仲良くさせていただいていました。ある時、その彼から作り手の高齢化と設備の老朽化により、事実上の休蔵状態になっている酒蔵があると聞きました。戸塚酒造の蔵元さんとは以前から私がものづくりに携わりたいという思いは話していたので、やってみないかというお話をいただいたのが事業継承に至ったきっかけになります。」 かくして、荻原氏は探していた2つの軸にも条件が合致し、150年超の歴史を築いてきた山三酒造の歴史と伝統を引き継ぎ、世界に出せる日本酒を造るため、ゼロからの再スタートともいえる思い切った事業の再構築を図ることを決意しました。 2.ゼロスタートから日本酒が造れるようになるまで 2-1.杜氏栗原氏との出会い 事業継承をすると決めてからまず荻原氏が取り組んだのが、日本酒の造り方に関する勉強と実践でした。 「日本酒に関する知識というのはほぼ0からのスタートでしたので、戸塚酒造さんのところで1シーズン朝から晩まで日本酒造りについて勉強をさせていただきました。造りを経験してからは、山三酒造内の片付けに着手しました。ただ、このときに何がいらない機材で逆に何が必要な機材かわからないという問題に直面したのです。その時『これは先に杜氏を探すしかない』と思い、杜氏探しを始めました。」 杜氏探しは様々な方からのご紹介もありましたが、なかなか理想とする杜氏とは出会えずに時間が過ぎていきました。そこで思い切って杜氏探しの求人を出しました。 「求人を出してからは全国から何人か応募をいただきました。その中の1人が現在山三酒造にて杜氏をしている栗原です。栗原は京都のハクレイ酒造で7年間酒造りに携わっており、2019年からは製造主任を務めていました。」 栗原氏自身もいつか杜氏として酒造りをしていきたいという思いがあり、常に杜氏募集の情報を探していたところ、山三酒造の求人を見つけ、応募しました。山三酒造を訪ねて荻原氏と話をする中でその経験や熱意が買われ、山三酒造の杜氏として迎え入れられました。 2-2.理想の日本酒を造るための環境作り 杜氏栗原氏を迎え入れて徐々に山三酒造内の設備を整えていきますが、この環境作りが事業継承をしてから最も大変だったと荻原氏は振り返ります。 「栗原を迎え入れてから、どういう酒蔵になっていきたいか、どういう日本酒を作っていきたいかを話し合いました。私は一部既存の設備も使えるものもあるかと想定したのですが、栗原と話をしていく中で、元々の山三の設備だと酒質を上げていくのは難しいということで、設備は一新しました。」 「建物の老朽化(雨漏りや壁が崩れたりしていた)や設備の一新によって使わなくなった機械が山のようにあったので、建物の修繕と使わない機械を片付けてお酒が造れる環境にもっていくまでが本当に大変でした。」 栗原氏が主導する新たな山三酒造の日本酒造りでは、酒造工程の大切さを順に表した「一麹、二酛、三造り」という格言を実現するために、醸造方法と設備が実現されました。 最も重要な「一麹」の麹造りでは、より高品質にするために麹室を一新。 機械式から全量を箱麹製法に切り替え、自然通風による製麹法へ移行しています。「二酛、三造り」についても、微細な変化にまで目が届くように、これまでの大型タンクでの大量生産からサーマルタンクでの小さな仕込みに完全移行しました。 さらに、冷蔵設備の導入により、衛生面の向上と温度管理された低温環境下で製造することで、日本酒のフレッシュさが維持できるようになっています。 こうして山三酒造再始動への準備はいよいよ整いました。 3.山三酒造が醸す日本酒のこだわり 3-1.地域性へのこだわり 2023年2月に再始動をしてから1期目として始まった日本酒造り。荻原氏に山三酒造が醸す日本酒のこだわりを聞きました。 「1つは地域性へのこだわりです。上田市は、美しい山々に囲まれ、清らかな水で高品質な日本酒を生産するための基盤があります。また、縁あって地元の八重原地区で情熱を持って酒米を作る米農家の方との出逢いがありました。そんな恵まれた環境と原料で地域性を活かした独自の味わいを持った日本酒を生産していきたいと思っています。」 「ただ、まだ1期目ということもあって山三酒造としての個性は模索している最中です。技術の向上や知見を広めるために原料の選定、醸造プロセスなど、品質に関するあらゆる要素を徹底的に追求し、革新的な日本酒造りにチャレンジしていきたいです。」 3-2.ラベルへのこだわり 地域性へのこだわりの他に山三酒造が造る日本酒にはラベルへのこだわりも見られました。 例えば「山三 山霞」には「うすにごり/無濾過生原酒/山恵錦/磨き五割/獨鈷山系伏流水/アルプス酵母/一五度」と細かに情報が記載されています。 「例えば純米酒といっても作り方は様々です。それぞれちゃんとした違いやこだわりがあるのに、それらが全て同じ『純米酒』として一括りにされてしまうのが少しもったいないなと感じていました。なので、山三の日本酒は手にとっていただけるお客様にこだわりをわかりやすくお伝えすることができるよう、ラベルにも細かく情報を出しています。」 4.山三酒造のこれから 4-1.少しでも地元に恩返しができたら 設備の一新から多くのこだわりによって生まれたプロダクトは「真田六文銭 初陣」「山三 初雪」「山三 山霞」「山三 紫翠」の4本。 休眠していた蔵が復活を果たし、地元のイベントに出るときなどは多くの喜びの声をいただくといいます。 「市長さんをはじめ、商工会や地元の方には非常によくしていただいています。地域に貢献できるようなイベントには積極的に参加させていただき、少しでも地元のみなさんに恩返しができたらいいなと思っています。」 4-2.多くの収穫を得て、2期目へ 最後に2期目に向けて、荻原氏に今後の山三酒造の目標を聞きました。 「技術だったりとか伝統的な地域性だったり、色々なものを大事にしながら最高品質のものを追求して造っていくという点を最も重要視しています。また、今年は1期目として修正点も含め多くの収穫を得ることができました。それらの経験を活かしながら来期は山三酒造の代表銘柄になり得るお酒をまずしっかり造っていくことが重要だと思っています。」 2023年2月から再始動をした山三酒造。日本酒ラボでも4本を試飲させていただいたのですが、どれも1期目とは思えない完成度を誇るおいしいお酒でした。山三酒造の4本については下記の記事にてレビューしているので、ぜひそちらもご確認ください。 https://sake-5.jp/introduction-of-yamazan-sake-brewery 事業継承によって、伝統を引き継ぎながらも新しく生まれ変わった山三酒造。来期はどんな日本酒を造るのか、これからが楽しみな酒蔵として目が離せません。 5.プロダクト紹介 5-1.山三 紫翠(しすい) 果実のような爽やかな香りと、大自然から溢れる湧き水のような澄み切った味わいが特徴の純米大吟醸。青々とした美しい山に抱かれ、瑞々しい生命力に満ちた信州上田の「紫幹翠葉」な情景が広がる。 5-2.山三 山霞(やまかすみ) 信州上田を包む山々にかかる山霞をイメージした、うすにごりの無濾過生原酒。「山恵錦」が持つ豊かな米の味わいと果実感のあるジューシーさとやさしい酸味が、わずかな炭酸ガスとともにバランス良くふくらみ、やさしくはかない余韻の後味。山霞の後には生命力に溢れた澄んだ空気と蒼天が広がる。 5-3.山三 初雪(はつゆき) 初雪をイメージした、うすにごりの無濾過生原酒。「ひとごこち」が持つ洗練された米の味わいと果実感のある香り、酸味、甘みや苦味などの複雑な味が調和し、さらりとほどける余韻で飲み飽きしない定番の純米酒。はらはらと初雪が風に舞い、人肌に触れしんと消えていく。 5-4.真田六文銭 初陣(さなだろくもんせん ういじん) 信州上田、真田家の家紋として有名な真田六文銭を酒名に冠し、純米醸造で飲み易いすっきりした味の地酒として愛されてきた。その精神を受け継ぎながら、素材から造りまですべてを見直し、新たな山三酒造として醸す伝承と研鑚の純米酒。穏やかで品の良い香りとクリアな味わい、キレが良いすっきりした無濾過生原酒の食中酒。 【会社概要】 〒386-0412 長野県上田市御嶽堂687-1 TEL:0268-42-2260 FAX:0268-42-3884 E-mail:info@yamasan-sake.jp ホームページ: https://yamasan-sake.jp/

甘酒のアルコール度数について解説!甘酒を飲んだ後の運転は飲酒運転になる?

年末年始に神社などで振る舞われることの多い甘酒。「アルコール度数はどのくらい?」「運転前や子どもは飲んでも大丈夫?」と気になったことはないでしょうか。 甘酒はアルコールを含むもの、含まないものがあるため、心配なときはどんな甘酒なのか種類を確認するのがおすすめです。 今回は甘酒の種類やアルコール分について紹介します。甘酒のアルコール分が気になるときは、ぜひ参考にしてください。 1.甘酒にアルコールは含まれてる? 「酒」という字が付く甘酒。栄養豊富で夏バテ予防にも効果的な飲み物ですが「アルコールが含まれているのでは?」と気になってしまいますよね。 実は、甘酒はノンアルコールタイプのものと微量にアルコールを含むものの2種類があります。 ノンアルコールタイプは、米麹で作られる麹甘酒です。米と米麹、水を原料とする麹甘酒は、お子さんや妊婦さん、運転前のドライバーも安心して飲むことができます。 一方、酒粕と砂糖、水で作る酒粕甘酒は注意が必要です。そもそも酒粕は、日本酒を搾ったあとに残る固形物。多くの栄養素とともに、約8~10%のアルコール分が含まれています。 加熱段階で多くのアルコール分は飛んでしまうものの、完全にゼロになるわけではありません。また、酒税法では「アルコール度数が1%以上のもの」を酒と分類しています。 市販の酒粕甘酒は、アルコール度数1%未満の「ノンアルコール飲料」に該当するものがほとんどです。だからといって、運転前に大量に飲んだり、アルコールに弱かったりすると酒気帯び運転の基準値を超えてしまう可能性があります。 麹甘酒も酒粕甘酒も、「飲む点滴」といわれるほど栄養豊富な飲み物です。アルコールを含まないものを選びたいときは、原料に注目してみてくださいね。 2.甘酒の種類 前述したように、甘酒には米麹から作られる麹甘酒と、酒粕から作られる酒粕甘酒の2種類があります。 アルコールを含まないものを飲みたいときは、麹甘酒がおすすめです。酒粕甘酒には微量のアルコール分が含まれるものの、酒粕ならではの風味を感じることができます。 2-1.米麹から作られた甘酒 米麹から作られる麹甘酒は、アルコール分を一切含まない飲み物です。やわらかく炊いた米に米麹と水を加え、温度管理をしながら一定時間寝かせるとできあがります。 一般的な製法では、砂糖を加えることもありません。麹甘酒の甘さは、デンプンがブドウ糖へと糖化されることで生まれます。 ブドウ糖をはじめ、ビタミンや食物繊維、オリゴ糖などの栄養素も豊富。甘酒のアルコール分が気になるときにおすすめです。 2-2.酒粕から作られた甘酒 酒粕から作られる酒粕甘酒には、微量ながらもアルコール分が含まれています。市販の酒粕甘酒の多くはアルコール分1%以下ですが、アルコールを摂取したくないときは控えたほうがよいでしょう。 酒粕甘酒も、麹甘酒と同様に多くの栄養素を含む飲み物です。日本酒の原料となる米や米麹、酵母由来の成分がギュッと凝縮されています。 甘酒にするときは、お湯で溶かした酒粕に砂糖を加えるのが一般的です。仕上げにおろししょうがを加えれば、体がぽかぽかと温まるホットドリンクができあがります。 3.運転前やお子さんが甘酒を飲む前の注意点 運転前やお子さんが甘酒を飲むときは、量や原料に注意しましょう。安心して甘酒を楽しみたいときは、麹甘酒を選ぶのがおすすめですよ。 3-1.酒粕からできている甘酒は飲みすぎない 前述したように、酒粕甘酒には微量のアルコールが含まれています。アルコール1%未満とはいえ、お子さんは避けるのがベターです。 また、通常であれば飲酒運転にはならない酒粕甘酒も、大量に飲むと酒気帯び運転の基準値を上回ってしまう可能性があります。極端にアルコールに弱い方は、少量であっても運転に影響が出てしまうこともあるでしょう。 運転前であれば、酒粕甘酒は飲まない、または飲みすぎないほうが安心です。 3-2.外で振る舞われる甘酒は、避けるか確認を取る アルコール分が気になるときは、外で振る舞われる甘酒は控えたほうが無難です。手作りの甘酒は、アルコール分をはっきり確認できません。加熱していても、酒粕のアルコール分が多く残っている可能性があります。 原料を確認し、米麹で作られていれば運転前のドライバーやお子さんも安心です。アルコール分を気にすることなく甘酒を楽しめます。 まとめ 甘酒に含まれるアルコール分は、原料により異なります。アルコールを避けたいドライバーやお子さん、妊婦さんなどは、米麹で作られる甘酒が安心です。 甘酒には、疲労回復効果や健康効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。アルコールが気になるときは飲み方に気を付けながら、ぜひ美味しく味わってみてください。

【2023年10月最新版】日本酒おすすめランキング1位~50位!日本酒の選び方のポイントも解説【唎酒師監修】

「日本酒は好きだけど種類が多くて選べない!」「どんな日本酒が人気なの?」と思ったことはありませんか?自分好みの1本を見つけたいときは、さまざまな人気銘柄を試してみるのもおすすめです。 そこで今回は、日本酒アプリ「さけのわ」のランキングをもとに「2023年10月最新版の日本酒おすすめランキングTOP50」をご紹介!日本酒選びのポイントも解説します。ぜひ、酒販店や飲食店で日本酒を楽しむ際の参考にしてくださいね。 1.【2023年10月最新版】日本酒おすすめランキングTOP50 日本酒アプリ「さけのわ」の人気ランキングを参考に、日本酒おすすめランキングTOP50をご紹介!(2023年10月16日時点)各銘柄の特徴も解説していきます。「どんな日本酒が飲まれてるの?」「人気の日本酒が知りたい!」という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。 1位.新政(あらまさ) 1位にランクインしたのは、秋田県『新政酒造』の「新政(あらまさ)」です。秋田県産の米を使い、米と米麹で生まれる純米酒のみを製造しています。 フレッシュかつ繊細な香りと味わいは、日本酒業界に革命を起こしたといわれるほど。6号酵母を使用した「No.6(ナンバーシックス)」をはじめ、酒米の違いを楽しむ「Colors(カラーズ)」など、個性的なブランドが多くのファンを魅了しています。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 2位.十四代(じゅうよんだい) 『高木酒造』の造る「十四代(じゅうよんだい)」は、人気の高さと入手の難しさから「幻」ともいわれるお酒です。日本酒ファンなら、ぜひ一度は試してみたい銘柄ともいえるでしょう。 代表銘柄は「特別本醸造 本丸 秘伝玉返し」。十四代が有名になるきっかけとなったお酒です。一般的にはリーズナブルな本醸造の造りでありながら、吟醸酒に匹敵する香りと味わいを堪能できます。 (出典元:amazon) 3位.風の森(かぜのもり) 「風の森(かぜのもり)」は、奈良県の『油長酒造(ゆちょうしゅぞう)』が造る日本酒です。大きな特徴は、シュワッとした微発泡感と果実を思わせるフレッシュな香り。後口の苦味がナチュラルな魅力を引き立てます。 驚くべきは、精米歩合80%とあまり外側を削らない米で良質な味わいを生み出していること。日本酒へのイメージを良い意味で大きく覆し、誕生以来高い注目を集めるお酒です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4位.作(ざく) 第5位には、三重県『清水清三郎商店』が造る「作(ざく)」がランクイン。心地よい香りとやわらかな味わい、スッキリとしたキレの良さが人気を集めました。 玄乃智(げんのとも)、穂乃智(ほのとも)をはじめとするラインナップの豊富さも「作」の魅力。300ml容量で販売されている銘柄も多く「いろいろなお酒を試したい」という日本酒ビギナーにもおすすめの日本酒です。 (出典元:清水清三郎商店) 5位.而今(じこん) 三重県の『木屋正(きやしょう)酒造』が造る「而今(じこん)」は、6代目が自ら生み出したブランドです。その名には「過去に囚われず、未来にも囚われず、今をただ精一杯に生きる」という意味が込められています。 すべてを手作業で丁寧に仕込む「而今」は、フルーティーな香りとフレッシュな味わいが持ち味。繊細な和食はもちろん、洋食とあわせて楽しむのもおすすめです。 (出典元:木屋正酒造) 6位.鳳凰美田(ほうおうびでん) 「鳳凰美田(ほうおうびでん)」は、華やかでフルーティーな香りが特徴的な日本酒です。醸造元の『小林酒造』では、地元栃木県の酒米を中心に日光山系の伏流水を用いたお酒が造られています。 「フルーティーな香りの日本酒が好き」「甘みがありつつスッキリした後味が好み」という方におすすめしたい銘柄です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 7位.仙禽(せんきん) 第6位にランクインした「仙禽(せんきん)」は、お酒が造られる土地の風土を重視して造られています。原料米には、仕込み水と同じ水脈上で育った山田錦や雄町、亀の尾(かめのお)などを使用。さらに、蔵に住み着く天然の酵母を用いるなど、古くて新しいナチュラル製法で生まれるお酒です。 定番商品はもちろん、「かぶとむし」や「雪だるま」といったラベルのかわいいシーズン商品もおすすめですよ。 (出典元:仙禽オフィシャルサイト) 8位.田酒(でんしゅ) 青森県の地酒として名高い銘柄がこちら。第7位にランクインした「田酒(でんしゅ)」です。「田んぼの味わいそのままに」という思いから生まれた「田酒」は、純米酒のみが製造されています。 「田酒」の大きな特徴は、燗酒でより魅力が花開くこと。日本酒通にも愛される本格的な味わいは、炙ったスルメやイカの塩辛のような定番おつまみと合わせるのがおすすめです。 (出典元:酒の志筑屋) 9位.赤武(あかぶ) 2014年に誕生以来、多くのファンに愛され確固たる地位を築き上げた銘酒「赤武(あかぶ)」。若いスタッフを中心に造られる日本酒は地元岩手を飛び出し、全国各地で高い人気を集めています。 岩手県産の米で造られる日本酒は、フルーツを思わせるさわやかな香りとスッキリとした飲み口が特徴。真っ赤な武士が描かれたラベルはもちろん、味わいもまた一度手にすれば忘れられない個性を放っています。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 10位.鍋島(なべしま) 「鍋島(なべしま)」は、佐賀県の『富久千代酒造』が造る日本酒です。2011年の「インターナショナルワインチャレンジ(IWC)」では、日本酒部門最高賞となる「チャンピオン・サケ」を受賞。ナチュラルでやさしい味わいは、国内はもちろん海外でも高く評価されています。ラインナップも幅広く、製法や酒米による味の違いを楽しめますよ。 (出典元:富久千代酒造) 11位.寫楽(しゃらく) 「寫樂(しゃらく)」は、福島県の『宮泉銘醸(みやいずみめいじょう)』が造る日本酒です。山田錦に雄町、愛山(あいやま)など質の良い酒米を使い分け、シーズンごとに個性的な銘柄を生み出しています。 なかでも、特A地区の山田錦を小さく磨いて仕込んだ「寫樂 純米大吟醸 極上二割」は蔵自慢の逸品。味わい、スペックともに贈答用にもおすすめの1本です。 (出典元:宮泉銘醸株式会社) 12位.獺祭(だっさい) 山口県の酒蔵を拠点に、銀座や博多、フランスに直営店を持つ『旭酒造』のお酒「獺祭(だっさい)」。日本酒ビギナーでも、名前を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。 なかでも、精米歩合23%の「獺祭磨き二割三分」は、獺祭の名を世に知らしめるきっかけとなったお酒。華やかな香りとハチミツのように品の良い甘さは、多くの日本酒ファンを魅了し続けています。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 13位.紀土(きっど) 第14位にランクインしたのは「紀土」と書いてキッドと読む日本酒です。醸造元は、和歌山県の『平和酒造』。原料となる酒米は、地域の人々と蔵人たちの手によって栽培されています。 香りはおだやかで甘みは程よく、体にすっと染み渡るような美味しさ。温かな紀州の土地を思いながら、ゆったりと楽しみたい味わいです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 14位.黒龍(こくりゅう) 日本酒通にも人気の「黒龍(こくりゅう)」は、福井県の地酒です。その歴史は古く、大吟醸を世に知らしめる先駆けとなった銘柄でもあります。 香り高く、それでいてスッキリとした味わいは、食事と合わせる食中酒におすすめ。「黒龍 石田屋」や「黒龍 二左衛門」などの限定商品は、お世話になった方への贈り物にも適しています。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 15位.総乃寒菊(ふさのかんきく) 九十九里浜近くの酒蔵で昔ながらの手仕事によって生まれる日本酒です。大きな特徴は、火入れと呼ばれる加熱殺菌処理をしていない生酒であること。搾りたての香り、味わいを堪能できます。 「総乃寒菊」は4種の酒米を使い分け、千葉をメインとする4つのテーマを表現。低アルコール酒やコシヒカリを使ったお酒など、蔵の技とこだわりが光るラインナップが並びます。 (出典元:寒菊銘醸) 16位.花陽浴(はなあび) フルーティーな香りとほのかな酸味、甘味はまるでパイナップルのよう。『南陽醸造(なんようじょうぞう)』が手がける「花陽浴(はなあび)」は、フルーティーな甘口タイプの日本酒です。 とろりとした芳醇な甘さと、後口のジューシーな酸味も印象的。キラキラとしたラベルのように、一度飲んだら忘れられない個性が光るお酒です。 (出典元:矢島酒店) 17位.醸し人九平次(かもしびとくへいじ) 「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」は、ワインのようにエレガントな味わいの日本酒です。ワインの本場、フランスのシェフ・ソムリエに高く評価されたことをきっかけに、日本でも人気が広がっていきました。 醸造元は米が育つ場所そのものに敬意を払い、2010年からは兵庫県黒田庄で自ら山田錦の栽培を開始。繊細な香りと気品あふれる味わいは、ぜひワイングラスでお楽しみください。 (出典元:醸し人九平次 KUHEIJI) 18位.雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ) 茅舎(ぼうしゃ)とは、かやぶきの家のこと。「雪の茅舎」は、雪深い秋田県の『齋彌(さいや)酒造店』で生まれる日本酒です。 酒造りに使用されるのは、蔵オリジナルの自家培養酵母。微生物の環境を大切にしている蔵は、酒蔵として日本で初めてオーガニック認定されています。蔵が復活させたといわれる「山廃(やまはい)」のお酒は、複雑かつ繊細な味と香りが魅力的。日本酒通からも評価の高い人気銘柄です。 (出典元:雪の茅舎醸造元 齋彌酒造店) 19位.陸奥八仙(むつはっせん) 1998年(平成10年)に青森県の『八戸酒造』で誕生したブランドです。その名には、酒仙(お酒の仙人)境地でお酒を楽しんでもらいたいという蔵の思いが込められています。 後味がスッキリとしたタイプが多く、八戸の海産物と好相性。果実のように華やかな香りの「赤ラベル」、「ピンクラベル」は口当たりまろやかで日本酒ビギナーにもおすすめです。 (出典元:八戸酒造株式会社) 20位.飛露喜(ひろき) 喜びの露がほとばしることを意味する「飛露喜(ひろき)」は、『廣木酒造』復活のきっかけとなった日本酒です。製造数は限られており、販売と同時に完売してしまうことも珍しくありません。 香りはおだやかでまろやかな口当たり。ジュワッと広がる甘みと旨味は、心地よい余韻とともにスルリと喉を通りすぎていきます。飲食店などで見かけたときは「ぜひ」とおすすめしたい銘柄です。 (出典元:松仙) 21位.加茂錦(かもにしき) 加茂錦の「荷札酒」は、若き蔵人田中悠一氏が造り上げた日本酒です。田中氏が酒造りに携わったのは大学在学中のこと。当時は決して酒好きなほうではなかったというものの、天性のきき酒能力と酒造りへの想いが、各方面で支持される「荷札酒」を生み出しました。 現代の食卓に合う酒をテーマとした日本酒は、香り華やかでコクがあり、すーっとキレる綺麗な後口が印象的。荷札には酒米の種類や精米歩合、タンクNo.などが記されています。 (出典元:大和屋酒舗) 22位.信州亀齢(しんしゅうきれい) 原料には、長野県産の美山錦や蔵自らが栽培したひとごこちを使用。蔵に古くから住み着く酵母、伝統的な手法によって「信州亀齢」は生まれます。 フルーツや花を思わせる上品な香り、繊細かつエレガントな味わいは多くの人々を惹きつけてやみません。生産数は決して多くはないものの、全国に多くのファンを持つ日本酒です。 (出典元:岡崎酒造) 23位.栄光冨士(えいこうふじ) 山形県鶴岡市で古くから愛される地酒「栄光富士」。日本酒造りは冬場におこなうのが一般的ななか、酒蔵では年間通して美味しいお酒が造られています。 平均年齢が若く、多くの蔵人が働く蔵で生まれるのは、斬新なラベルやネーミングの「栄光富士」です。昔なじみの大吟醸をはじめ、「ハイパーノヴァ」や「森のくまさん」などバリエーションは実に豊富。日本酒の楽しみ方とともに、新たなファン層を広げています。 (出典元:はせがわ酒店) 24位.くどき上手 ネーミングはもちろん、浮世絵ラベルも印象的な日本酒「くどき上手」。その名前は、人の心を説き伏せ戦国時代を生き抜いた、武将の姿に由来するといいます。 手間暇かけて造り上げ品質管理を徹底した「くどき上手」は、まさに人の心を魅了する味わい。個性的なラインナップのなかには「超辛口」と銘打った日本酒度+20のお酒もありますよ。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 25位.光栄菊(こうえいぎく) 佐賀県の地酒「光栄菊(こうえいぎく)」は、2006年に販売休止となったものの、2019年に復活を遂げた銘柄です。生産量の少なさと人気の高さから、入手の難しいお酒のひとつでもあります。 香りはライチや青りんごのようにフルーティー。アルコール度数低めの銘柄が多く、日本酒を飲み慣れない方にもおすすめです。 (出典元:さいとう酒店 |...

クラフトサケとは?お米を原料に造られる新しいジャンルのお酒の魅力を解説!

「クラフトサケ」は、日本酒の製造法をベースにした個性豊かなお酒です。白くクリーミーなどぶろくや、ハーブが香るお酒などさまざまな味わいを楽しめます。 今回は、クラフトサケが注目される背景やおすすめ醸造所をご紹介します。固定概念に縛られないクラフトサケの世界、たっぷりとお楽しみください。 1.クラフトサケとは? 「クラフトサケ」とは、日本酒の製造方法をベースに、さまざまな要素を取り入れたお酒のことです。2022年6月に設立されたクラフトサケブリュワリー協会では、クラフトサケを以下のように定義しています。 日本酒(清酒)の製造技術をベースとして、お米を原料としながら従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒。 (引用元:クラフトサケブリュワリー協会)   そもそも「日本酒」としてお酒を販売するためには、酒税法で定められたルールをクリアする必要があります。代表的なルールとして挙げられるのが、米と米麹のみを原料とすることや、もろみを濾すことなどです。 クラフトサケのひとつである「どぶろく」は、もろみを濾さずに仕上げます。また、フルーツやハーブで香りづけをするなど、日本酒には当てはまらない製法がクラフトサケの特徴であり魅力です。 日本古来の製造方法をベースにニュータイプの味わいを生み出すクラフトサケは、古くて新しいお酒として多方面から注目を集めています。 2.クラフトサケが注目される背景 各地でクラフトサケが注目される背景には、日本酒の製造免許取得の難しさがあげられます。 日本酒に限らず、アルコール1%以上のお酒を造るためには、製造免許が必要です。しかし、長年にわたり日本酒の新規の製造免許は原則として発行されていません。国内では日本酒需要が減少しており、蔵が増えると需要と供給のバランスが崩れてしまうからです。 「日本酒を製造したい!」と思った場合、免許を持つ酒蔵に製造を依頼したり、酒蔵そのものを買収し自身がオーナーになる必要があります。 一方で、クラフトサケは、日本酒製造をベースとした「その他の醸造酒」や「雑酒」、「リキュール」にあたるお酒です。つまり、日本酒の製造免許がなくても、それらに該当する免許を取得すれば造ることができます。 また、2021年には規制が一部緩和され、海外輸出用の日本酒製造にかぎり新規免許が取得できるようになりました。規制緩和を受け、海外用に日本酒を、国内用にクラフトサケを展開しようという醸造所も登場しています。 独立を目指す若者にとっては醸造所が製造技術を磨く場となるなど、クラフトサケは日本酒業界の未来を担う新たな存在といえるでしょう。 3.クラフトサケを造る注目の醸造所8選 「クラフトサケ、どんなお酒か飲んでみたい!」そんな方に向け、早速おすすめ醸造所8選をご紹介します。クリーミーなどぶろくやハーブが香るお酒など、クラフトサケは豊かなバリエーションが魅力です。驚きと喜びを運んでくれるニュージャンルのお酒、ぜひチェックしてみてくださいね。 3-1.WAKAZE (出典元:WAKAZE公式) 「WAKAZE(わかぜ)」は日本とフランスに拠点を持つ醸造所です。各地でレストランも運営し、日本酒の魅力を世界へと発信しています。 「ELDERFLOWER サケ(エルダーフラワーサケ)」は、原料にフランスカマルグ産の米と米麹を使用。さらに、同じくフランス産のエルダーフワラーという花で爽やかな香りを引き出しています。 甘酸っぱくクセのない味わいはワイングラスで楽しむのがおすすめです。キリッと冷やし、フランス生まれのクラフトサケの魅力をお楽しみください。 3-2.haccoba -Craft サケ Brewery- 「haccoba(はっこうば)」は、2021年2月に福島県南相馬市に誕生した醸造所です。ジャンルを越えた自由な酒造りを目指し、食事とお酒を一緒に楽しむパブも併設しています。 「はなうたドロップス」は、東北に伝わるどぶろく製法とビールの製法をかけ合わせたお酒です。白麹が生み出す爽やかな酸味とホップ由来の苦味を楽しめます。 その他、米や米麹と一緒にベリー類を発酵させた「べりーべりー」や、稲わらの燻製香をまとわせた「わらわらしやがれ」など心躍る銘柄が勢揃い。どのクラフトサケにも、日々の幸せに寄り添うお酒を、という醸造所の思いがあふれています。 (出典元:haccoba -Craft サケ Brewery-) 3-3.木花之醸造所 浅草初のどぶろく醸造所として誕生した「木花之(このはなの)醸造所」。木花之という名前は、酒造りの神様でもある木花之開耶姫(コノハナノサクヤビメ)に由来しています。 醸造所の大きな特徴は、都内のどぶろく醸造所として初となる麹室(こうじむろ)を併設していることです。自ら酒造りに欠かせない米麹を造り、濾さないお酒「どぶろく」を醸造しています。 定番「ハナグモリ」は、舌触りなめらかで優しい甘さのお酒です。クセも少なく、さらりとした飲み心地を楽しめます。 酒造りを目指す若者のステップアップの場になれば、という思いから誕生した醸造所では、酒造りの未来を担う若者たちが活躍中。併設店舗ではどぶろくと共に料理を楽しめます。 (出典元:木花之醸造所 ONLINE STORE) 3-4.ハッピー太郎醸造所 「ハッピー太郎醸造所」店主の池島幸太郎氏は、発酵アドバイザーとして麹造りも手がける人物です。蒸した米に麹菌を繁殖させた麹は、日本の発酵食品に欠かせない存在。醸造所では、滋賀県の郷土食、鮒ずしも製造販売しています。 どぶろく製造が始まったのは2021年。自然循環農法を30年以上続ける農家「シバタグラウンドミュージック」の米を主原料に、土壌の恵みを感じる深い味わいを生み出しています。 ピンク色が鮮やかな「苺屋はな」には、無農薬栽培のいちごを使用。滋賀県の豊かで美しい自然を体感できるクラフトサケです。 (出典元:GOOD EAT CLUB) (出典元:ハッピー太郎醸造所) 3-5.LAGOON BREWERY 「LAGOON BREWERY(ラグーンブリュワリー)」は、新潟県の福島潟のほとりに建つ蔵です。日本酒の製造免許の規制緩和を機に、2021年に誕生しました。 オレンジ色の「翔空 サケマルゲリータ」は、地元の名産トマトとバジルを使ったクラフトサケ。日本酒の香りとトマト、バジルが魅惑的なハーモニーを織り成します。 自然栽培の米を原料にするなど、持続可能な酒造りにも注目です。「ほぼ麹ドブロク」はシュワッとした発泡感とジューシーな旨味を堪能できます。 (出典元:LAGOON BREWERY 公式オンラインショップ) 3-6.稲とアガベ醸造所 秋田県の「稲とアガベ」は、免許取得の規制緩和を活かし、輸出用の日本酒製造を目指す醸造所です。 さらに、男鹿を清酒製造免許の新規申請を可能にする「日本酒特区」にと、男鹿酒シティ構想を推進。地域創生も視野に入れながら、日本酒業界と男鹿の活性化に取り組んでいます。 「稲とアガベ」は、テキーラの原料アガベから精製されるアガベシロップを用いたお酒です。代表である岡住氏は日本酒好き、妻はテキーラ・マエストロの資格を持つほどのテキーラ好きだったことから誕生しました。 実は、岡住氏は「木花之醸造所」の初代醸造長。「DOBUROKU ホップ」はビール造りに使用されるポップを副原料にどぶろくの新たな世界観を生み出しています。 (出典元:稲とアガベ) 3-7.LIBROM Craft サケ Brewery コンセプトは「日本酒文化をもっと身近に」。「LIBROM(リブロム)」は醸造所とバーを併設したクラフトサケバーです。醸造所は福岡県の街中に位置し、バーでは酒造りの様子を間近に感じながらお酒と料理を楽しめます。 丸いフォルムのボトルに詰められたクラフトサケは、いちごにみかん、レモングラスなど実に個性豊か。「GINGER」は福岡県糸島市産の生姜を使用した爽やかな香りと甘味、酸味が特徴的なお酒です。 「APPLE」は福岡県産のりんごを米や米麹とともに発酵させ、甘酸っぱく心地よい香りを引き出しています。見た目もカラフルでお酒好きな方へのプレゼントにもおすすめしたいクラフトサケです。   (出典元:LIBROM Craft サケ Brewery) 3-8.ぷくぷく醸造 「ぷくぷく醸造」は、2022年7月に創業のファントムブルワリーです。ファントムブルワリーとは、実体のない醸造所のこと。ぷくぷく醸造のお酒は県内外の酒蔵を間借りして造られています。 コンセプトは、クラフトビールの技術を掛け合わせた日本酒の追求。クラフトサケには、ホップの爽やかな香りと苦みが溶け込んでいます。醸造家の立川氏は、木花之醸造所で醸造監修も務める人物です。お酒を通して福島の沿岸に田畑が増えたらと、原料は福島県産に限定し個性豊かな商品を生み出しています。 まとめ クラフトサケは、豊かな個性が魅力的なニュータイプのお酒です。味や香りは醸造家の手で幾重にも表情を変えます。ハーブやホップが香るなど、クラフトサケはまさに新感覚の味わい。ぜひ手に取ってクラフトサケの自由な世界を楽しんでみてくださいね。

-高級日本酒という新しい選択肢を-ラグジュアリー日本酒ブランド「MINAKI」の魅力を紹介

2022年に誕生したラグジュアリー日本酒ブランド「MINAKI」。 販売直後から世界最高峰のワイン品評会「IWC」でのトロフィー賞を始め、6つの世界的品評会で受賞。また発売から1年で、ミシュラン星付きレストランや5つ星ホテル100店舗以上で提供されています。 2023年には、新シリーズ「極幻 FORMULA.2」が国際的コンペティションで金賞を受賞するなど、国内外で高い注目を集めています。 今回は「MINAKI」の魅力をたっぷりと解説。ブランドに込められた想いやこだわり、おすすめのペアリングなどご紹介します。 1.ラグジュアリー日本酒ブランド「MINAKI」とは 「MINAKI」は、2022年2月に株式会社REBORNが立ち上げたラグジュアリー日本酒ブランドです。 2023年の「全米日本酒歓評会」では、「極幻 FORMULA.2」が発売から約半年、初出品で金賞を受賞。フラッグシップの「極幻」も銀賞を受賞するなど、2年連続で世界的評価を得ています。 香りは上品でクリアな味わい。ラグジュアリーな世界観を纏う「MINAKI」は日本酒に馴染みがない人でも飲みやすく、特別な贈り物としても支持されています。 1-1.人生の節目に開けたくなる、特別な1本を 株式会社REBORN代表の皆木 研二氏は、今では考えられないものの、5年前までは日本酒に触れる機会がほとんどなかったといいます。 そんな皆木氏が日本酒の魅力に気付くきっかけとなったのが、日本全国を回るなかで出会った各地の日本酒の存在。 その土地の歴史と伝統を受け継ぎながら、脈々と進化を続ける日本酒に惹かれたという皆木氏は「世界中の人が人生の節目に開けたくなる、特別な1本を」という想いを胸に、確かな醸造技術をもつ杜氏とともにプロジェクトをスタートさせました。 「MINAKI」の醸造パートナーは、山形県の「奥羽自慢」と青森県の「八戸酒造」。どちらも伝統と革新、高い技術をあわせもつ酒蔵です。 さらに、徹底した市場調査や全国のシェフ・ソムリエとのディスカッションを重ね「MINAKI」にしか生み出すことのできない唯一無二の酒造りを実現しています。 1-2.ラグジュアリー日本酒に込められた想い 「MINAKI」の小売価格は1本(720ml)あたり2〜3万円台。日本酒の一般的な価格が2〜3千円であることを考えると、高級な部類であることがわかります。 「日本酒は安酒といった昔ながらのイメージのままだと、酒蔵には利益が残らず、日本酒という文化が衰退してしまう」 そう考える皆木氏が大切にしているのは「日本酒好きな方はもちろん、今までワインやシャンパンを飲んでいた方にも高級日本酒という選択肢を提案したい」という想いです。 設立当初、高級日本酒のコンセプトは世間で簡単に受け入れられるものではありませんでした。 しかし、皆木氏が飲食店に直接アプローチをし、1軒1軒ていねいに対話を重ねるなかで「MINAKI」ブランドへの共感の輪は広がっていきます。 何より人々の心を動かしたのが、各界のシェフたちが「美味しい」と語る確かな味わい。 現在はミシュラン星付きレストランをはじめ、5つ星ホテルや老舗旅館など約100店舗以上で「MINAKI」は提供されています。 2.新シリーズ「極幻 FORMULA.2」のこだわり 今回ご紹介するのは「極幻 FORMULA.2」。代表作「極幻」の新シリーズとなる日本酒です。こだわりの原料と製法、蔵の高い技術により「極幻」の新たな姿が表現されています。 2-1.山形県オリジナル酒米「雪女神」 「極幻 FORMULA.2」の原料米は、山形県オリジナルの酒米「雪女神」です。 山形県は、香り華やかな“吟醸酒”の出荷割合が高い吟醸王国。雪女神は山形県初の大吟醸向け品種として誕生しました。 粒が大きく、心白(しんぱく)と呼ばれる中心の白く濁った部分の発現率が高い雪女神は、小さく削った米を用いる吟醸酒造りに適しています。 雑味の原因となり得るタンパク質の含有量も少なく、酒質のきれいな仕上がりは、高級酒米・山田錦に匹敵するといわれるほどです。 2-2.精米歩合29% 精米歩合(せいまいぶあい)とは、玄米を削った後に残る割合を数字で示したものです。例えば「精米歩合60%」と表示のある日本酒は、外側を40%削った米を原料に造られています。 米を削ることは「磨く」とも表現され、よく磨いた米を用いるほど、日本酒は香り華やかでクリアな味わいに仕上がりやすいといわれています。 「極幻 FORMULA.2」の精米歩合は29%。酒米の特性を最大限引き出すため、雪女神を小さく磨き上げて造られた日本酒です。 酒米を小さく磨くのは容易なことではなく、酒蔵の高い技術力と時間を要します。「極幻 FORMULA.2」もまた、パートナーである酒蔵の醸造技術により生まれる逸品です。 2-3.パートナーは山形県の奥羽自慢 「極幻 FORMULA.2」の醸造パートナーは、山形県の奥羽自慢。1724年創業の老舗蔵です。 酒造りに用いられるのは超軟水の天然の井戸水。また、長期低温醸造に適した冬の寒さが上質な酒を育みます。 米に水、そして人と気候風土。「極幻 FORMULA.2」には、「土地への愛情や背景、ストーリーなどすべてを含んだラグジュアリー日本酒を提供したい」というブランドの想いが体現されています。 3.「極幻 FORMULA.2」の味わい 「極幻 FORMULA.2」の大きな特徴は、さわやかな香りと上品かつ繊細な口当たりです。 ポンという音とともに抜栓すると、たちまち青リンゴのように瑞々しい香りが広がりました。 色合いは自然のままの絹糸を思わせるやわらかな黄色。ワイングラスに注ぐと、より豊かな香りを堪能できます。 するりと口に流れる印象は清らかな水のよう。品の良い甘さと適度な酸味、ほんのりとしたコクが一体となり心地よい余韻とともに静かに消えていきます。 時間の流れで表情が変化する「極幻 FORMULA.2」は、食前から食中、食後とゆったりとお酒を楽しみたいときにもおすすめです。 青りんごのようにフレッシュな香りは、やがて白桃を思わせる甘くまろやかな香りに。クリアな酒質はあわせる料理を選ばず、幅広いシーンでラグジュアリーな“時”を演出してくれます。 3-1.日本酒を知るきっかけの1杯に 「初めて日本酒を飲む人にも美味しいと言ってもらえる味わいを目指した」という「MINAKI」のお酒は、日本酒を知るきっかけの1杯としておすすめです。 上品な香りとクリアな旨味のバランスに優れ「日本酒はアルコール感が強く飲みづらい」というイメージがある方ほど「これが日本酒?」と嬉しい驚きが得られます。 1度日本酒の入口に立てば、「もっと甘いお酒が飲んでみたい」「より味の濃いタイプを」と新たな扉が開かれるはず。 洗練されたボトルデザインも美しく、これまでワインやシャンパンを手土産にしていたようなシーンにも「高級日本酒」という新たな選択肢を与えてくれます。 3-2.「極幻 FORMULA.2」のペアリング 「極幻 FORMULA.2」の繊細でピュアな味わいは、素材のフレッシュ感を楽しみたい一皿にぴったり。ぶどうのジューシーな香りと甘み、カッテージチーズの酸味がお酒の個性と絶妙にマッチします。 仕上げにオリーブオイルを回しかけ、アクセントにバルサミコ酢を少々。白ワインをあわせたくなるようなシーンにも、ラグジュアリー日本酒「極幻 FORMULA.2」が華を添えてくれます。 「極幻 FORMULA.2」は和食の王道、刺身のパートナーとしても本領を発揮。きれいな酸味が素材の繊細な味わいを引き立てます。 寿司の名店をはじめ、名だたる中華レストランでも提供されるラグジュアリー日本酒「極幻 FORMULA.2」。日常を彩る1杯として、ぜひ好みのペアリングを見つけてみてください。 4.「MINAKI」はどこで買える?3種のラインナップ ラグジュアリー日本酒ブランド「MINAKI」のアイテムは公式サイトで販売されています。ラインナップは、スパークリング日本酒を含む全3種です。また、「極幻」シリーズは火入れと生酒の2タイプから購入できます。 4-1.極幻〜GOKUGEN〜 ラグジュアリー日本酒ブランド「MINAKI」のフラッグシップ。雑味がなくやわらかな口当たりは、食中酒としても最適。 極幻 価格:32,780円(税込) 製造場所:山形県 原料米:兵庫県産山田錦100% 内容量:720ml 精米歩合:17% アルコール分:15% 火入れ:1回 同封物:オリジナルボックス、ギャランティカード、ブランド紹介冊子 極幻(生酒) 価格:36,080円(税込) 製造場所:山形県 原料米:兵庫県産山田錦100% 内容量:720ml 精米歩合:17% アルコール分:15% 火入れ:0回 同封物:オリジナルボックス、ギャランティカード、ブランド紹介冊子 4-2.極幻 FORMULA.2 代表作「極幻」のシリーズとして、新たな姿を表現する一本。シリーズにふさわしい上品さと存在感のある味わいが魅力。 極幻|FORMULA.2 価格:21,780円(税込) 製造場所:山形県 原料米:山形県産雪女神100% 内容量:720ml 精米歩合:29% アルコール分:15% 火入れ:1回 同封物:オリジナルボックス、ブランド紹介冊子 極幻|FORMULA.2(生酒) 価格:25,080円(税込) 製造場所:山形県 原料米:山形県産雪女神100% 内容量:720ml 精米歩合:29% アルコール分:15% 火入れ:0回 同封物:オリジナルボックス、ブランド紹介冊子 4-3.珀彗 HAKUSUI 青森県の八戸酒造をパートナーに造り上げたエレガントなスパークリング日本酒。和洋中とあわせる料理を選ばないドライな口当たり。 珀彗 価格:27,280円(税込) 製造場所:八戸酒造(青森) 原料米:青森県産吟烏帽子 内容量:720ml 精米歩合:非公開 アルコール分:11% 「MINAKI」の詳細はこちら https://minaki-sake.com/ まとめ 約2000年もの長い歴史のなかで、進化を遂げてきた日本酒。かつて神に供える神聖なものだったお酒は、やがて庶民の間へと広まり人と人とを繋いできました。 ラグジュアリー日本酒ブランド「MINAKI」は、令和の日本から世界へと新たな日本酒の魅力を発信しています。 日本酒入門編としても高いポテンシャルをもつ「MINAKI」。上質な1杯をきっかけに、日本酒の新たな扉を開いてみてはいかがでしょうか。

甘酒の長期保存には冷凍がおすすめ!甘酒の冷凍保存方法を解説。

甘酒は、冷凍保存できる飲み物です。「大量にあって日持ちが心配」というときは、冷凍庫で保存することをおすすめします。 甘酒は冷凍しても完全には固まらないため、シャーベットのように食べることも可能です。今回は、甘酒の冷凍方法や、冷凍した場合の保存期限などご紹介します。 1.甘酒の保存に冷凍がおすすめな理由 甘酒には、米麹を原料にする「麹甘酒」と酒粕を原料にする「酒粕甘酒」の2種類があります。 麹甘酒は、炊いた米に米麹と水を混ぜ、発酵させたものです。酒粕甘酒は、酒粕に砂糖と水を加えて作ります。 手作りした甘酒や、開封後の市販甘酒の消費期限は、冷蔵で2日から1週間ほどといわれています。特に、手作りの麹甘酒の場合、発酵温度が低いと雑菌が繁殖する可能性があるため注意が必要です。 加熱殺菌(火入れ)をしている甘酒であれば雑菌の繁殖は抑えられますが、いずれにしても早めに飲み切る方が安心です。 日持ちのしない甘酒も、0度以下の冷凍保存であれば1カ月ほど保存できます。冷凍しても味や栄養素に大きな影響はありません。甘酒をより良い状態で長期保存したいときは、冷凍保存を検討してみてください。 2.甘酒の冷凍保存方法 甘酒を冷凍保存する際は、小分けにするのがおすすめです。冷凍期間が長くなるほど風味は落ちるため、冷凍であっても早めに飲み切るように心がけましょう。 2-1.甘酒の冷凍保存方法 甘酒を冷凍保存する際は、殺菌したタッパーやジッパー付きの保存袋などを使います。雑菌の繁殖を抑えるために、ジッパー付きの保存袋は新品を用意しましょう。 甘酒は冷凍しても完全には固まりません。シッパー付きの保存袋なら、ほしいぶんだけ割って使えます。タッパーに小分けにしたときは、必要なぶんだけきれいなスプーンですくって使用してください。 2-2.冷凍した甘酒の保存期間 冷凍保存した甘酒は、1カ月を目安に飲み切りましょう。冷凍することで雑菌の繁殖は抑えられるものの、期間が長くなるほど甘酒の風味は落ちていきます。 長期間冷凍庫に入れていると、冷凍焼けすることもあるかもしれません。よりおいしい状態で甘酒を楽しむのであれば、なるべく早く消費することをおすすめします。 3.冷凍した甘酒の解凍方法 冷凍した甘酒は、冷蔵庫で自然解凍するのがおすすめです。解凍を急ぐ際は、常温で自然解凍させるのもよいでしょう。 自然解凍なら、冷凍で眠っていた酵素が再び活性化し栄養価の高い甘酒を飲むことができます。 解凍を急いで電子レンジにかけると、温度によっては酵素が死滅してしまう可能性があるため注意してください。特に、火入れをしていない甘酒は、冷凍状態でも酵素が残っているため自然解凍がおすすめです。 冷凍しても完全に固まらない甘酒は、シャーベットとして食べることもできます。その際は、とりわけるスプーンも煮沸消毒しておくと雑菌の混入を防ぐことができ安心です。 4.甘酒を冷凍保存するときの注意点 甘酒を冷凍保存する際は、密閉できるプラスチック製の容器を使いましょう。空気に触れる面積が少ない密閉容器であれば、雑菌の繁殖が抑えられ、甘酒の風味も損なわれません。 また、プラスチック製でなくガラス製の容器の場合、冷凍した甘酒をスプーンですくう際に割ってしまう恐れがあります。そのため、保存には冷凍に対応したプラスチック製容器を使うのがおすすめです。 まとめ 甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養豊富な飲み物です。特に、麹甘酒はノンアルコールのため、小さな子どもやドライバーでも安心して飲むことができます。 甘酒の冷凍保存は、ほしいときにほしい量だけ使えることが大きなメリットです。今回ご紹介した方法を参考に、ぜひ日常に甘酒を取り入れてみてください。

【2023年最新版】岩手の日本酒おすすめランキングTOP14!南部杜氏発祥の地で造られる日本酒を紹介

日本三大杜氏「南部杜氏」発祥の地である岩手県では、良質な水と米を使った日本酒が造られています。キレのある辛口酒やフルーティーな香りの甘口のお酒など、幅広いタイプが揃うエリアです。 今回は、岩手の日本酒の魅力をたっぷりとご紹介します。おすすめ銘柄もぜひ参考にしてください。 1.岩手の酒造りを支える「南部杜氏」 「南部杜氏(なんぶとうじ)」は、岩手県花巻市石鳥谷町を拠点とする杜氏集団のひとつです。 そもそも杜氏とは、酒造りの大きな責任を担う最高責任者のこと。岩手の「南部杜氏」と新潟の「越後杜氏(えちごとうじ)」、兵庫の「丹波杜氏(たんばとうじ)」は日本三大杜氏と呼ばれています。 かつて農家の副業として誕生した南部杜氏の技は、現在まで脈々と受け継がれてきました。全国でも評価の高い岩手の日本酒は、美しい自然が育む米と水、南部杜氏の技によって生み出されています。 2.岩手で日本酒を醸す酒蔵 岩手県には、北は二戸市から南は一関市までおよそ21の酒蔵が存在します(令和4年12月時点)。200年近い歴史を誇る老舗蔵から、若き蔵人が活躍する蔵まで個性はさまざま。各蔵で南部杜氏の伝統を受け継いだ酒造りが続けられています。 2-1.赤武(あかぶ)酒造 1896円(明治29年)創業の蔵を率いるのは古舘杜氏。2014年(平成26年)、東日本大震災で被災した蔵を引き継ぎいだ当時、古舘氏は若干22歳でした。 全国最年少杜氏として立ち上げた「AKABU」ブランドは、初の全国新酒鑑評会で金賞を受賞。今では岩手を代表する日本酒として幅広い層に親しまれています。 2-2.南部美人(なんぶびじん) 2022年(令和4年)に120周年を迎える南部美人は、「日本酒でKANPAI」をコンセプトに岩手から世界へと日本酒文化を発信する酒蔵です。 国内外のコンペティションでは、ゴールドをはじめとする数々の賞を受賞。香り良くほんのり甘い「あわさけスパークリング」は、G7広島首脳会議のワーキングディナーに採用されています。 2-3.紫波(しわ)酒造店 「南部杜氏発祥の里」として知られる紫波町の酒蔵です。原料米は岩手県産。仕込みには、神社境内の清涼な湧水と同じ水系の水が用いられています。 酒造りを率いる小野杜氏は、南部杜氏初の女性杜氏です。岩手の自然と人が育む日本酒は口当たりなめらかで、やさしい味わいに満ちています。 2-4.川村酒造店 南部杜氏のふるさと、花巻市石鳥谷町の老舗蔵です。創業者の川村酉与右衛門氏は、南部杜氏組合の設立に尽力した人物でもあります。 醸すのは、醸造アルコールを用いない純米酒のみ。まろやかなコクとキレを併せ持ち、冷やして、常温で、温めてと幅広い温度帯で楽しめることが魅力です。 2-5.あさ開(あさびらき) 南部杜氏、藤尾杜氏は2005年度の厚生労働大臣賞「現代の名工」に選出。杜氏の手によって丁寧に醸される「あさ開」は、全国新酒鑑評会にて平成以降30回の入賞を果たしています。 純米酒をベースとした「和のリキュール」も手掛けるなどラインナップも豊富です。受け継がれてきた伝統を基調に新たなジャンルを切り開いています。 2-6.喜久盛(きくざかり)酒造 1894年(明治27年)、岩手県の北上市に設立された喜久盛酒造の蔵は、東日本大震災により半壊。その後は花巻市で廃業する酒蔵を間借りする形で、喜久盛酒造の酒造りが再開されます。 2014年(平成26年)からは南部杜氏を迎え、岩手県産米を原料とする全量純米酒の酒造りを開始。再興を支えた日本酒「タクシードライバー」は、知る人ぞ知る銘酒として日本酒ファンからの注目を集めています。 2-7.浜千鳥(はまちどり) 釜石市の酒蔵、浜千鳥が目指すのは自然とひとつになった酒造り。仕込み水には、北上山地系仙磐山の伏流水が用いられています。 やわらかな軟水で仕込まれるお酒は、口当たりやさしくクリアな味わい。社員は南部杜氏協会に所属し酒造りの基本を学ぶなど、伝統を継承しながら丁寧な酒造りが続けられています。 2-8.月の輪(つきのわ)酒造店 「企業としてではなく家業として」を理念に、南部杜氏の伝統を継承する酒蔵です。技術の革新を目指し、酒造りには不向きといわれる、もち米を100%用いた純米酒も醸しています。 直売店では、原料に米こうじを用いたジェラートを販売。トマトやいちごなど季節の地元食材と組み合わせたメニューは、地元のみならず観光客からも人気です。 2-9.吾妻嶺(あづまみね)酒造店 岩手県内でもっとも古く、南部杜氏発祥のきっかけとなった酒蔵です。製造するのは、あえて香りを抑えた純米酒と純米吟醸酒のみ。仕込みのすべてに目が届くよう、製造量は年間3万本に限られています。 自社田で栽培した酒米をはじめ、岩手県産の酒米を使用するなど地元にこだわった酒造りが特徴です。 2-10.菊の司(きくのつかさ)酒造 蔵が建つのは、冬場の冷え込みが厳しい盛岡市。真冬には日中でも氷点下になるという寒さが「菊の司」の酒造りを支えています。 清らかな軟水を仕込み水に、じっくり低温発酵させた日本酒は香り華やかでメリハリある味わい。なかでも看板商品「てづくり七福神」は、吟醸酒の先駆けとなったお酒です。濾過や加熱処理をしていない「innocent-無垢-」は、搾りたてのフレッシュな味わいを楽しめます。 2-11.酔仙(すいせん)酒造 酔仙酒造は、東日本大震災により壊滅的な被害を被った酒蔵です。蔵は「日常を取り戻したい」「歴史を繋ぎたい」という想いを胸に、震災後わずか半年で新しい酒の醸造をスタートさせました。 震災前から変わることなく受け継がれているのは、「地元の風土に合った美しい酒」「芳醇にして飲み飽きしない酒」を目指す酒造りの精神。軽快でありながら奥深い味わいは、全国の日本酒ファンに愛されています。 3.岩手オリジナルの酒造好適米・麹菌・酵母 日本酒造りに欠かせないのが、原料となる米、米麹、酵母の存在です。岩手県ではオリジナルの酒造好適米(酒米)や米麹、酵母が開発され、各蔵では「オール岩手産」の日本酒が造られています。 3-1.岩手のオリジナルの酒造好適米「結の香」「吟ぎんが」「ぎんおとめ」 岩手県を代表する酒造好適米(酒米)が以下の3種です。 吟ぎんが ぎんおとめ 結の香(ゆいのか) 吟ぎんが、ぎんおとめの特性は、代表的な酒米・美山錦に匹敵するといわれています。また、結の香は香り高い大吟醸酒用の酒米です。「岩手で最上級の酒米」を目指し研究が重ねられ、交配から10年を経て誕生しました。 結の香を用いた日本酒は、酒米の王様・山田錦と比較しても雑味が少なくクリアな酒質に仕上がるといわれています。 3-2.吟ぎんがに合う麹菌として開発された「黎明平泉」 「黎明平泉」(れいめいひらいずみ)は、2011年(平成23年)に誕生した岩手県独自の麹菌です。岩手県産米の特性に合う麹を目指し、29種類の麹菌から2種類がブレンドされています。 特に酒米・吟ぎんがと相性が良く、県内の各蔵では、岩手県産酒米と「黎明平泉」、オリジナル酵母を用いた日本酒が造られています。 3-3.岩手オリジナル酵母「ジョバンニの調べ」「ゆうこの想い」 米と米麹からお酒を造るには「酵母」の力が必要です。酵母の個性は日本酒の味や香りに影響するため、酵母選びは蔵の腕の見せ所でもあります。 岩手のオリジナル酵母「ジョバンニの調べ」は、華やかで繊細な味と香りを生み出す酵母です。また「ゆうこの想い」を用いた日本酒は、やわらかで温かみのある味わいに仕上がるといわれています。 4.青森の日本酒おすすめ人気ランキングTOP14 ここからは、青森の日本酒おすすめ人気ランキングをご紹介!南部杜氏の技で生まれる銘酒の数々をぜひチェックしてみてください。ランキングはさけのわの順位を元に作成しております。(9月4日時点) 1位.赤武(あかぶ) 若き蔵人の情熱と愛情で生まれる「AKABU」は、清涼感あふれるフレッシュな味わい。口当たりやさしく、米の旨味も存分に引き出されています。フルーティーな香りで飲み疲れせず、日本酒ビギナーにもおすすめです。 2位.南部美人(なんぶびじん) 「淡麗できれいな酒を」とその名が付けられた「南部美人」は、するりと喉を通り抜けるクリアな酒質が魅力です。後口はほんのり甘く、やさしい余韻が残ります。 なかでも世界初、マイナス30度で瞬間冷凍された「スーパーフローズン 瞬間冷凍 純米大吟醸 生原酒」は、生まれたての味わいがぎゅっと詰まった逸品。飲む前に流水などで溶かせば、自宅でも酒蔵で飲む日本酒の味わいを楽しめます。 (出典元:南部美人ネットショップ) 3位.紫宙(しそら) 「紫宙(しそら)」は、紫波酒造店の新ブランドです。岩手県産酒米を中心に、南部杜氏の伝統の技でそれぞれの米の個性が引き出されています。 「純米 無濾過原酒 金色の風」は、豊かな甘みが特徴的な1本。ふんわりとやさしい香りが心地よい酔いへといざなってくれます。 (出典元:紫波酒造店) 4位.酉与右衛門(よえもん) 南部杜氏のふるさと、石鳥谷町生まれの日本酒です。おだやかな香りと奥深い味わいは、三陸の魚介類や山菜料理、肉料理と絶妙にマッチします。 南部杜氏の手により、米の旨味が存分に引き出された純米酒は、冷酒に常温、燗酒と幅広い温度帯で楽しめることが魅力です。あわせる料理、温度を選ばずさまざまなシーンで活躍してくれます。 (出典元:くるみや) 5位.あさ開 平成以降、全国新酒鑑評会にて25回金賞を受賞。厚生労働大臣賞「現代の名工」に選出された南部杜氏が手掛ける「あさ開」は、透明感のあるなめらかな飲み口が魅力です。 木箱入りの大吟醸酒は贈答用にもふさわしく、研ぎ澄まされた上質な味わいを堪能できます。 (出典元:あさ開) 6位.タクシードライバー 喜久盛酒造の5代目蔵元、藤村氏が新たに立ち上げたブランドです。名作映画をもとに誕生し、被災後の蔵を支える酒となりました。 インパクトのあるラベルとネーミング、そして確かな酒質はまさに唯一無二の存在。飲みごたえのある骨太な味わいとキレの良さを堪能できます。 (出典元:佐野屋) 7位.浜千鳥 岩手県の豊かな自然が育くむ浜千烏は、後口のきれいな余韻が魅力です。新鮮な海の幸、山の幸とマッチし食中酒として料理の味わいを引き立てます。 なかでも「浜千鳥 大吟醸」は、キレが際立つ蔵の自信作。酵母・ジョバンニの調べが生み出す上品で繊細な香りを堪能できます。 (出典元:浜千鳥) 8位.月の輪 口当たりまろやかで後口はすっきり。「月の輪」は、コクとキレを兼ね備えた日本酒です。 その個性が特に光るのが「大辛口純米 月の輪」。超辛口でありながら、やわらかな米の旨味がいきています。冷やはもちろん、燗酒にしてふくよかな味わいを楽しむのもおすすめです。 (出典元:月の輪酒造 わかさやネットショップ) 9位.あづまみね 製造するのは純米酒と純米吟醸酒のみ。岩手の食材とのマリアージュを楽しめるよう、あえて香りはおだやかに設計されています。 蔵のスタンダード「あづまみね 純米」は、適度な甘さと酸味が心地よいお酒です。蔵元の兄と杜氏の弟、兄弟蔵で醸される「あづまみね」は生産本数が限られ、蔵のオンラインストアと特約店でのみ購入できます。 10位.菊の司(きくのつかさ) 「菊の司」は地元で古くから愛され続ける日本酒です。日々に寄り添う本醸造酒から贈答用にふさわしい純米大吟醸酒まで幅広いラインナップが揃います。 おすすめは「菊の司 純米酒 吟ぎんが仕込」。米に麹、酵母に水とオール岩手産の日本酒です。ぬる燗にすると香りがまろやかに変化し、米のふくよかな旨味を堪能できます。 (出典元:菊の司酒造) 11位.廣喜(ひろき) 「廣(ひろ)く多くの人々に喜ばれる酒を」と誕生した「廣喜」は、紫波酒造店の代表銘柄です。「米のうまみ」をテーマとしたラインナップには、岩手県産米を使用した日本酒が並びます。 なかでも「廣喜 純米大吟醸原酒 磨き三割五分」は、酒米・結の香の魅力にあふれる1本。上品な香りと甘み、雑味のないクリアな飲み口を楽しめます。 (出典元:紫波酒造店) 12位.酔仙(すいせん) 「酔仙」の大きな魅力は、飲み飽きしないきれいな酒質。好みのつまみをおともにすれば、1杯また1杯と盃が進みます。 数あるラインナップのなかでも注目したいのが、冬季限定の「雪っこ」です。とろりとした口当たりの白い活性原酒で、180mlから購入できます。その味わいは、一度口にすれば次の冬が心待ちになるほど。リピーターも多く、例年10月前後から予約販売がスタートしています。 (出典元:酔仙酒造) 13位.浜娘(はまむすめ) 「AKABU」を醸す赤武酒造の日本酒です。岩手産米や岩手のオリジナル酵母などを原料に、爽やかな香りが生み出されています。 「浜娘 純米酒 弐歳」には、40%まで磨いた岩手県産の吟ぎんがを使用。適度に冷やしてワイングラスに注げば、フルーティーな香りをより一層堪能できます。 (出典元:CRAVITON) 14位.水神(すいじん) あさ開の「水神」は、大辛口の純米酒です。日本酒の甘辛の目安となる日本酒度は+10。一般的に+6.0からが大辛口であることを考えると、そのキレ味がよくわかります。 すっと引いていくその味わいは、肉料理や中華料理などと好相性。ぜひご飯におかずをあわせる感覚で食中酒として楽しんでみてください。 (出典元:楽天市場) まとめ 清涼な水に良質な米、冷涼な気候と日本酒造りに適した条件が揃う岩手県。自然の恵みと南部杜氏の技の出会いにより、岩手のおいしい日本酒は生まれます。 寒さが厳しい東北地方で、古くから人々に温もりを与えてきた岩手の日本酒は、今や全国で笑顔の花を咲かせています。出会えた際はぜひ手に取って、岩手の地を思いながらその味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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