0 お気に入り
0 お気に入り
ホーム 日本酒を知る 【唎酒師解説】スパークリング酒や日本酒瓶のキャップ(蓋)の開け方を写真付きで徹底解説

【唎酒師解説】スパークリング酒や日本酒瓶のキャップ(蓋)の開け方を写真付きで徹底解説

0
【唎酒師解説】スパークリング酒や日本酒瓶のキャップ(蓋)の開け方を写真付きで徹底解説

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 Instagramはこちら https://www.instagram.com/ushinaaa/

監修者

日本酒ラボ編集部
日本酒ラボに携わってから日本酒のおいしさ・奥深さを知り、唎酒師の資格を取得。日本酒ラボを通して、日本酒のおいしさ・楽しさを日本酒にもあまり馴染みがない方にもお伝えしていきます。

日本酒は、使われているキャップによって開け方が異なります。特に、一升瓶には二重タイプのキャップが使われるのが主流です。また、発泡タイプの日本酒は開栓時の噴き出しに注意する必要があります。

今回は、日本酒に使われるキャップの種類や、発泡タイプの日本酒の開け方についてご紹介します。活性にごり酒やスパークリング日本酒など楽しむ際は、ぜひ参考にしてください。

日本酒のキャップの種類

2種類の日本酒のキャップ

日本酒のキャップには、クルッと回すタイプのほか、外蓋と中栓が付いた二重タイプのキャップがあります。

カップ酒にはパカッと開けるキャップが使用されるなど、さまざまな種類が存在することが特徴です。まずはその違いについてみていきましょう。

P.Pキャップ

P.Pキャップ

クルッと回して開けるタイプのキャップです。「Pilfer Proof」(盗難防止)が名前の由来とされ、下部にはミシン目がついています。

開けると上部のキャップとミシン目が切り離され、開栓済みであることが一目でわかります。日本酒に限らず、さまざまな種類の飲料に使用されているタイプです。

冠頭(王冠)

冠頭(王冠)

冠頭(かんとう)は、主に一升瓶に使用されるキャップです。王冠とも呼ばれ、中栓とセットになっています。

冠頭を使う瓶の口には、P.Pキャップを使う瓶のような溝が入っていません。そのため、近年はキャップを外したときの瓶の美しさや、「より日本酒らしい」という海外での評判を理由に、四合瓶(720ml)でも冠頭を使用するケースが多く見られます。

リフトオフキャップ

リフトオフキャップ

主にカップ酒に使用されるタイプです。ワイドキャップとも呼ばれ、リングタブを上に引くと全体がパカッと外れます。

参考:八海山「Q&A」
参考:きた産業「キャップの実務知識(その3)」
参考:一般社団法人 日本キャップ協会「キャップ紹介 」

2.日本酒のキャップ「冠頭(王冠)」の開け方

前述した3タイプのなかでも、日本酒瓶ならではといえるキャップが「冠頭(王冠)」です。ここからは、その開け方をご紹介します。

1.開け口をつまんで浮かす

日本酒のキャップ「冠頭(王冠)」の開け方1
まずは開け口を少しつまんで浮かせ…

2.つまみを斜め上に向かって引っ張りながら剥がす

日本酒のキャップ「冠頭(王冠)」の開け方2
キャップに入った斜め線に沿って上へとゆっくり引っ張ります(下に引っ張るとちぎれてしまうので気を付けて!)
日本酒のキャップ「冠頭(王冠)」の開け方2
外側を剥がすと中栓が現れます

3.中栓を下から上に向かって持ち上げる

日本酒のキャップ「冠頭(王冠)」の開け方3
実際には両手で瓶をしっかりと支え、2本の親指で上へと持ち上げてください

4.開栓!

日本酒のキャップ「冠頭(王冠)」の開け方4
飲みかけのお酒は中栓をしっかり閉めて保管しましょう

近年の冠頭は斜めのガイドラインが入れられ、以前より開けやすくなったといわれています。とはいえ、手を切らないよう注意しながらゆっくりと開栓してください。

また、中栓には「スポット」と呼ばれるフィルムが貼られています。これは、貯蔵中に中栓が飛ぶのを防いだり、お酒の品質を維持したりすることが目的です。日本酒は製造工程で瓶ごと加熱殺菌するケースが多く、熱に強い「びん燗替栓」も開発されています。

参考:きた産業「キャップの実務知識(その3)」

2.活性にごり酒やスパークリング日本酒の開け方と注意点

粗めに濾され白い滓(おり)がたっぷりの活性にごり酒「カルシス」
粗めに濾され白い滓(おり)がたっぷりの活性にごり酒「カルシス」(久米桜酒造・鳥取)

活性にごり酒やスパークリング日本酒は、シュワシュワとした発泡感が特徴的なお酒です。

活性にごり酒は、日本酒のもととなる白く濁った液体「醪」(もろみ)を荒く濾して造られます。“活性”と呼ばれるのは、加熱殺菌処理をしていないお酒だからです。

日本酒の一般的な製造工程では、仕上げに「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌が行われます。乳酸菌の一種である「火落菌」(ひおちきん)を死滅させ、お酒の品質を安定させるためです。

火入れをしていない活性にごり酒は、乳酸菌や酵素が生きたままの状態。味の変化が起きやすく冷蔵保存が基本です。

また、スパークリング日本酒は、活性にごり酒と同様に造られるタイプのほか、あとから炭酸ガスを注入したり、瓶の中で二次発酵させたりするタイプがあります。低アルコールの甘口タイプも多く、日本酒を飲み慣れない方にもおすすめです。

2-1.活性にごり酒やスパークリング日本酒は噴き出しに注意

粗めに濾され白い滓(おり)がたっぷりの活性にごり酒「カルシス」

火入れをしていない活性にごり酒は、瓶のなかで発酵が進んでいる状態です。常に炭酸ガスが生成されているため、開栓時は噴き出しに注意する必要があります。

いつもと同じように開けると、瓶に溜まっていたガスとともにお酒が勢いよく噴き出してしまうかもしれません。スパークリング日本酒も同様に、タイプによっては開栓時に注意が求められます。

2-2.活性にごり酒やスパークリング日本酒の開け方

ここからは、活性にごり酒やスパークリング日本酒の上手な開け方をご紹介!おいしい日本酒が噴き出さないよう、開け方のコツをみていきましょう。

1.冷蔵庫で冷やして落ち着かせる

まずは冷蔵庫で冷やしながら、瓶のなかの動きを落ち着かせます。火入れされたスパークリング日本酒の場合、噴き出す心配はさほどありませんが、おいしく味わうためにも一定時間冷やすのがおすすめです。

炭酸が噴き出す恐れもあるため、持ち運びで揺らしたあとすぐに開けないように気を付けてください。

2.キャップをほんの少しだけ緩める

キャップをほんの少しだけ緩める

冷蔵庫から冷えたお酒を取り出したら、いよいよ開栓。キャップは一度に開けず、少しずつ緩めていきます。

写真はミシン目が切れ、カチッと音がするまでキャップを緩めた状態。瓶内に空気が入ったことでガスが動き出し、滓(おり)が揺れているのがわかります。

3.ガスの様子を見ながらキャップを開けて閉めてを繰り返す

ガスの様子を見ながらキャップを開けて閉めてを繰り返す

しばらくすると行き場を求めるガスとともに、液面がグーッと持ち上がってきます。

ここで一気に開けてしまうと、お酒が噴き出し大惨事になるので気を付けて!一度キャップを閉めたら、液面がまた下がるまで静かに待ちましょう。液面がある程度下がったら、また少しキャップを緩めます。

キャップを緩める

液面が持ち上がる(ガスが抜ける)

キャップを閉める

液面が下がるまで待つ

キャップを緩める

上記の工程を何度か繰り返しながら、瓶内に溜まったガスを抜いてください。

ガスを抜いてグラスに注いだ「カルシス」
滓たっぷりの活性にごり酒は、口当たりとろとろでシュワッシュワ

「どうしても噴き出してしまいそう」というときは、キャップの上にタオルやボウルを被せると安心です。瓶の下にもボウルや鍋を置けば、周囲の汚れを防げます。

2-3.冠頭の場合は穴を開ける方法も

活性にごり酒やスパークリング日本酒のキャップはP.Pキャップが一般的ですが、なかには冠頭タイプもあります。

この場合、少しずつ開けて閉めてと繰り返すことができません。外側の冠頭をはがした瞬間、中栓が飛び出す恐れもあります。

活性にごり酒やスパークリング日本酒に冠頭が使われている場合は、画鋲やアイスピックなど先の尖ったもので直接キャップに穴を開けてください。

プシュッと音がしたら、ガスが抜けている合図です。できればそのまま1日ほど置いておくと安心して開栓できます。

横に倒すと穴から中身がこぼれてしまうため、保管時は縦置きを心がけましょう。

まとめ

製造方法によってさまざまな個性を見せる日本酒。キャップにも種類があり、活性にごり酒やスパークリング日本酒などは開け方に注意が必要です。

ちょっとしたコツを知っておけば、シュワシュワとした発泡タイプのお酒もよりおいしく楽しめます。今回ご紹介した開け方を参考に、ぜひいろいろな日本酒を味わってみてくださいね。