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日本酒の熟成と劣化の違いは?熟成をするうえでのポイントを解説!

一定の熟成期間を設けた日本酒は「熟成酒」または「熟成古酒」などと呼ばれます。独特の香りや味、色合いを持つ熟成酒は、日本酒ファンから注目を集めているお酒です。 今回は、日本酒の熟成と劣化の違いや、自宅で熟成させる際のポイントについて解説します。「自宅でオリジナルの熟成酒を育てたい!」という方は、ぜひチェックしてみてください。 1.日本酒の「熟成古酒」とは 「熟成」とは、年月を経て食品の旨味や風味が増すことです。熟成させた日本酒は「古酒」とも呼ばれ、複雑な香りと濃醇な味わいを持ちます。 見た目は透明から薄い茶色、琥珀色へと変化を遂げます。熟成前と違い、トロリとした質感を持つことも特徴のひとつです。 1-1.熟成古酒の香りや味わい 熟成古酒の複雑な香りは「熟成香(じゅくせいこう)」と呼ばれます。ハチミツや木の実、カラメル、ドライフルーツなどに例えられる香りです。 味わいは濃醇で、独特の甘味も持ち合わせています。ウイスキーやブランデーを思わせる、濃縮された深い味わいが熟成古酒の魅力です。 1-2.熟成期間の定義はさまざま 熟成古酒を推進する「長期熟成酒研究会」では、『満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒』を熟成古酒と定義しています。 しかし、法的には日本酒における熟成古酒の定義はありません。2年ほど熟成させて古酒として販売する蔵もあれば、10年以上寝かせる蔵もあるなど熟成期間の定義はさまざまです。 1-3.熟成古酒の歴史 熟成古酒は、江戸時代にはすでに誕生していたといわれています。一方で、現在のように市場に出回るようになったのは、平成も終わり間近になってからのこと。 これは、明治時代の造石税(ぞうこくぜい)が影響していると考えられます。当時は蔵で熟成させる日本酒にも税金がかかり、古酒の製造が難しかったのです。 もうひとつ、熟成酒が希少な理由には、製造に時間やコストがかかる点があげられます。日本酒は、温度や光の影響を受けやすいお酒です。日本酒を「劣化」ではなく、美味しく「熟成」させるためには、熟成に適した環境での保存管理が求められます。 2.熟成と劣化の違いを知ろう 日本酒は、賞味期限の表示がない飲料です。ただし、賞味期限がないからといっていつまでも美味しく飲めるわけではありません。 茶色く色付いていても、味や香りが「不快」に感じられたり、熟成古酒ならではの粘性がなかったりする場合は、熟成ではなく「劣化したお酒」と捉えられます。 2-1.劣化した日本酒は「老香」「日光臭」が発生する 日本酒は、温度の高い場所で保存すると「老香(ひねか)」と呼ばれる劣化臭が生まれます。老香は、熟成香の主成分であるソトロンのほか、漬物臭のポリスルフィドなどさまざまな成分を含む香りです。 また、紫外線の影響を受けた場合は「日光臭(にっこうしゅう)」が発生します。日光臭は、焦げ臭や獣臭(けものしゅう)とも呼ばれる香りです。主成分であるメルカプタンは、傷んだ玉ねぎやガスなどに例えられます。 2-2.劣化した日本酒には粘性がない 美味しく熟成した日本酒は、トロリとした質感があり「粘性が高い」と表現されます。一方で、劣化した日本酒は、色合いに変化が見られてもサラリとしているのが特徴です。 老香には熟成香と同じ成分が含まれているため、香りだけでは熟成と劣化が判断しづらいことがあります。その際は、粘性で熟成度を判断するのもひとつの方法です。 2-3.劣化した日本酒の活用法 「うっかり放置して日本酒を劣化させてしまった」「そのまま飲むにはいまいち。でも捨てるのはもったいないし…」という経験はありませんか? 味や香りが落ちてしまった日本酒は、料理に有効活用してみましょう。日本酒は素材の臭みを消し、肉や魚をやわらかく仕上げてくれます。容量が多い場合は、しゃぶしゃぶや鍋の出汁に使うのもおすすめですよ。 https://sake-5.jp/sake-cuisine/ 3.家庭で日本酒を熟成!2つのポイント 日本酒を美味しく熟成させるためのポイントは「温度」と「容器」です。箱のない日本酒は新聞紙などに包み、常温または低温で保管しましょう。日本酒の劣化原因を防ぎながら、より良い状態で熟成を進められます。 3-1.日本酒を熟成させる温度 保存温度は常温または低温が基本です。熟成古酒を推進する「長期熟成酒研究会」では、以下の温度を推奨しています。 純米酒・本醸造 吟醸酒 常温 初めの1年間は4℃(冷蔵保管) その後は15℃~18℃ 参照:長期熟成酒研究会 加熱処理をしていない「生酒」は、生老香(なまひねか)と呼ばれる劣化臭が生じやすいため、熟成には加熱処理(火入れ)がしてある日本酒がおすすめです。 純米酒や本醸造は7年から8年後、吟醸酒は12年から13年後が飲み頃だといわれています。熟成後は氷を入れてオンザロックで楽しむほか、アイスクリームや和菓子などスイーツとのペアリングもおすすめです。 3-2.日本酒を熟成させる容器 熟成させる容器は、紫外線をカットできるものを選びましょう。透明のガラス瓶やペットボトルに移す際は、周囲を新聞紙などで包んであげてください。 また、酸化を防ぐためには、お酒の容量に合わせた容器を使用するのがおすすめです。必要以上に大きな容器に移すと、空気に触れる面積が広いぶん酸化が進みやすくなってしまいます。 箱に入っている日本酒であればそのまま保管できます。いずれも横置きではなく、縦置きで酸化を防ぐこともポイントです。 近年は、各酒蔵から熟成用の日本酒も販売されています。南部美人の「Allkoji」、下越酒造の「時醸酒」は家庭熟成を前提に造られた日本酒です。子どもの誕生祝いや結婚祝いに購入し、節目の記念日に封を切るのもロマンがありますよね。 3-3.日本酒の熟成におすすめ「SAKE CABINET」 日本酒セラー「SAKE CABINET」 日本酒専用セラー「SAKE CABINET」は、家庭での日本酒熟成におすすめのセラーです。日本酒を劣化させる紫外線をしっかりカット。最大29本の日本酒を縦置きできます。 設定温度はマイナス10℃から+10℃までの5段階設計です。そのため、日本酒の熟成に適した温度設定がかないます。 注目すべきは熟成に適さないといわれる生酒を保管できること。加熱処理をしていない生酒も、マイナス5℃であれば生老香の発生が遅れるといわれています。 「少し味が固いかな」と感じられるお酒も、セラーにしばらく置けば飲み口がマイルドに。有名蔵も実践するマイナス5℃の環境があれば、日本酒の楽しみ方がより一層広がります。 まとめ 熟成させた日本酒は、美しい色あいと重厚な味わいが大きな魅力です。お気に入りの銘柄を熟成させ、オリジナルの味わいを生み出すのも日本酒の楽しみ方のひとつといえます。保管する温度や紫外線に気を配りつつ、自分だけの熟成酒を育ててみてはいかがでしょうか。 関連記事 https://sake-5.jp/old-sake-of-sake/

「若者による若者のための日本酒造り」学生酒づくりプロジェクトさんにインタビュー!

皆さんは学生酒づくりプロジェクトをご存知でしょうか? 産学連携で学生と酒蔵が協力して、「若者による若者のための日本酒造り」にチャレンジしています。 今回は学生酒づくりプロジェクトに携わっている3名の方にインタビューをさせていただきました! 学生酒づくりプロジェクトとは? 「学生酒づくりプロジェクト」とは、京都府綾部市にある酒蔵「若宮酒造」の木内社長の協力のもと、若者のための新しい日本酒づくりのために立ち上げられた産学連携プロジェクトです。 京都府綾部市の綾部高校農業科3年生が初めて栽培/収穫した酒米「五百万石」を使い、福知山公立大学地域経営学部の学生が商品企画と酒造りを担当、京都工芸繊維大学デザイン専攻の学生がラベルデザインを担当して、これまでの日本酒のイメージを一新する「若者による若者のための日本酒造り」にチャレンジしています。 クラウドファンディングのページはこちら ※クラウドファンディングは3/31で締め切りとなっています。 学生の夢を叶える|Chillい日本酒で日本酒を新たなステージへ! 今回インタビューにご協力いただいた3名 今回、インタビューにご協力いただいたのは、「福知山公立大学 学生酒づくりプロジェクト リーダーの嶋野さん」「福知山公立大学谷口ゼミ 谷口知弘 教授」「若宮酒造代表兼杜氏 木内さん」にご協力をいただきました!ありがとうございます! インタビュー中は、時折冗談も混じりつつ、非常に和気あいあいとしており、学生の方々と酒蔵の方々が日々素敵なコミュニケーションを交えながら、プロジェクトを進めていることが伺えました。 日本酒がゼミのテーマとして決まった経緯 編集部 今回、どういった経緯でゼミのテーマが日本酒に決まったのでしょうか?     谷口教授 福知山公立大学は地域とともに歩むということで、産学連携の取り組みは大学でも奨めています。 今回は地元の酒蔵である若宮酒造さんから大学に連携の協力のご相談がありまして、これは大学の方針としても「大事なことだ!やらねばいかん!」ということで手を挙げさせていただきました。まあお酒が飲みたいというのも大きな理由の一つです(笑) 編集部 なるほど、若宮酒造さまの方から学校にこういう話があるんだけれどもやってみないかというお話がきて、今回のプロジェクトが始まったのですね。 悩みに悩んだ日本酒のコンセプト コンセプトがなかなか決まらない... 編集部 今回の日本酒の「chill」というコンセプトはどのようにしてできたのでしょうか? 嶋野さん この新しい日本酒が、どういうものになるのかを形作る商品のコンセプトを作ろうとなったんですけど、いざゼミのメンバーで考えてもなにもピンと来るものがなくて... 毎週毎週ミーティングを重ね、コンセプトを決めなきゃいけない締め切りの期限がきて「じゃあ、今日決めましょう」と何案か出したんですけど、結局コンセプトを決めることができませんでした。 プロデューサー「Chill」に食いつく! 編集部 日本酒の根幹を決める部分でもあるので、案を出すのはなかなか大変ですよね... 嶋野さん そうなんですよ。少しだけ期限を延ばしていただいて、プロデューサーとしてサポートしていただいている辻岡さんに、「個人面談をしましょう」ということで進めていく中で、うちのチームメンバーの一人が、「ヒップホップ、特にchillなヒップホップが好きです」と。 その一言にプロデューサーが食いついたんですよね。 「ん? チル・・・? 何それ?リラックス系でHipHop?」と疑問に思っていたプロデューサーも実際にyoutubeで聴いてみて、 「いいじゃん、HipHopをイメージした日本酒なんて新しいよ!しかも、ゴリゴリのラップじゃなくて、ゆったりしたおしゃれなラップなんて若者でしかイメージできないよ。」ということで、「chillな日本酒」というのが若者向けでも一番マッチしているし、同世代の方々にも共感していただけるかなということで、「chill」というコンセプトが決まりました。 「CHILLな夜に癒やしを得る」という名前が決まるまで 編集部 「CHILLな夜に癒やしを得る」という名前はどのようにして決まったのでしょうか? 嶋野さん chillなヒップホップというのはゆっくりしたビートの音楽で体を休めるようなヒップホップなので、ラップの内容も日常を表現するようなものが多いです。 あと「ラップ=韻を踏む」というイメージがあったので、「商品名でも韻を踏みたいね」という話から、韻を踏むネーミングという方針になりました。 chillの「ル」で韻を踏む 嶋野さん まずコンセプトは「chill」なので、chillという単語は入れようと。 そして、コンセプトが「chill」なので、「ルで終わる音」でchillっぽい単語を考えたとき、「夜」という単語がchillっぽい雰囲気もありつつ、韻も踏めているので「夜」という単語の採用から、最初に「chillい夜」というキーワードが生まれています。 ただ、「chillい夜」だけだと「韻を踏んでいる印象が薄いと感じたので、もう少し言葉をつなごうという話になりました。 編集部 たしかに、「chillい夜」だけだと、いまの商品名より韻を踏んでいる印象は薄いですね。   嶋野さん はい、そこから「chill」という単語をイメージして出ていたのが「癒し」でした。この「癒し」を使って韻を踏もう、という発想から「癒しを得る」につながっています。 最初の方はそのまま「chillい夜に癒しを得る」という名前になりそうだったんですけど、「chillい」は文字にすると、どうも読みにくいという問題点があったので「chillな夜に」これでいこう!と決まりました。 いざ!日本酒造り体験! 編集部 今回「CHILLな夜に癒しを得る」という日本酒を造るにあたって、日本酒造りに携わったということですが、最も大変なことはなんでしたか?   嶋野さん まず、大前提として我々大学生には早起きするのがとても難関でした。(笑) 酒造りは朝の早い時間から行われているわけなんですけども、「木内さん明日何時くらいに行ったらいいですかね」と聞いたら「8時ちょっとくらい」と言われたんですけど、「あれ、大学の1限より早いな」って。 1限すら危うい自分たちにとっては大変な部分ではありました。 編集部 蔵人の皆さん、酒造りの時期は朝がとっても早いので、ほんとにすごいですよね。   嶋野さん そういう点で、若宮酒造の方々に限ったことではないと思うんですけど、蔵人の方々というのは朝からすごい集中力を持って作業に取り組まれていたので、尊敬している点ですね。 作業工程の中で大変だなあと思ったのは麹室での作業でした。麹室は常に室温30度ほどあるんですけど、外はこの時期はまだまだ寒いので、その寒暖差がある中での作業というのが結構しんどかったですね。 1日でもなかなか堪えていたんですけど酒蔵の皆さんはこれを毎日やっているわけなので、そこもすごいなって尊敬できるポイントでした。 編集部 木内さんから見て、学生の皆さんの酒造りの様子を見ていかがでしたか? 木内さん 麹室での作業は、吟醸で使用している麹菌の量自体もかなり少ないのもあって、学生の皆さんには冗談ではありますが「吸い込む量も無駄になるから息もするな」と(笑)。 冗談なのはそうなんですけど、そういう意味でもリアルな酒造りの現場の雰囲気を体感してもらえたんじゃないかなあと思います。 完成した日本酒の出来栄えや味わいは? 編集部 皆さんすでに試飲はしていると思うのですが、完成した日本酒の出来栄えというのはいかがでしょうか?   嶋野さん 日本酒については何も知らない僕たちが、木内さんに「こうしてください、ああしてください」みたいな要望を色々出したんですけど、そういった漠然としたイメージを見事形にしていただいたなと思っています。 自分みたいな日本酒初心者の方でも飲みやすいと思いますし、日本酒に飲み慣れている方でも、なかなか飲んだことのないような味わいを楽しむことができると思っています。 谷口教授 とてもおいしかったですね。住んでいた場所の関係で京都の伏見や、あとはこっちに来てから木内さんの若宮酒造さんのお酒や、他の福井のお酒も飲んでいるんですけれども、やっぱり日本酒ってそれぞれ個性があってちがうんですよね。 今回このゼミで造った日本酒もコンセプトが若者向けなので、酒飲みにとってはどうなのかなって思ってたんですけど、香りはあるんですけれども、パーッとした華やかな香りとはまた違って、私のようなオヤジでも楽しめるしっかりした味があってハマりそうです。 純米吟醸なんで少し高いんですけど、この味でもっと安いお酒がでたらいいなって(笑) そして、木内さんに勧められてこの前、日本酒を初めて炭酸で割ったんですよね。すごい新鮮で、日本酒は常温や冷や、燗で飲んでいるのが一般的かなと思うんですけど、「日本酒って割っても飲めるんだ」ということに気づかせてもらえるきっかけにもなりました。   木内さん 嶋野くんや先生はすごい褒めてくれているんですけれど、結局僕から言うとこれも「日本酒」なんですよね。というのもあくまで僕は「日本酒」というものをみんなに広めたい、知ってほしいという思いがあったので、その点では大成功なのかなと。 で、いま先生がおっしゃったように、炭酸で割ってもいけるということは、味自体がしっかりしているからできることだし、「こういうお酒はみんなから敬遠されちゃうんじゃないかな」と僕たちが思っていたようなお酒でも、リクエストしてくれたのが学生である若い子たちだったっていうのは、自分の中でも新しい発見がありましたし、こういうのをうまく次の商品とか来年度の商品開発につなげることができたらいいなと思っています。 そして、この取り組みは一過性のものではなく、また違う形、違うコンセプトで来年再来年と続けてやっていくことに意義があると思っているので、その第一歩を踏み出してくれた嶋野くんたちには感謝しているし、いままでにないような新しいコンセプトを出してくれたのは本当にありがたいと思いました。 学生酒づくりプロジェクトの今後 編集部 谷口先生、また来年もゼミでこのような活動というのは続けていくのでしょうか? 谷口教授 1年で終わるのではなくて、長い目で見て続けていきたいよねという話はしています。うちのゼミは商品開発というよりは、街づくりのゼミなんです。 ですので、日本酒の開発もさることながら、地元に根ざしたものづくりの企業様とご一緒させていただくことで、「地域の自然と、ものづくりの関係」や「人と人との関係」のようないろんな関係を紡ぎ直す取り組みを育てていきたいなあと思っています。 ですので、酒を開発して売るだけではなく、木内さんの若宮酒造さんともイベントを企画しようだとか、地域の風土を活かしていく、そこに酒造りや酒蔵を掛け算していくような取り組みを、急がずゆっくりと育てていきたいなと思っています。 編集部 ありがとうございます。今後の学生酒づくりプロジェクトさんの取り組みも要チェックですね。   クラウドファンディング終了後は一般販売も 編集部 「クラウドファンディング終了後、一般販売を予定しております」とあるのですが、すでに販売予定地域などは決まっているのでしょうか? 木内さん 現在は、4/15からうちの若宮酒造の店舗と地元の特産品を扱う特産館で売ることは確定していて、話をすれば乗ってくれるところはたくさんあると思うのですが、スケジュールが押し押しでやっているので、きちんとあいさつ周りができていないという部分もあり、他の販売店に関しては現在未定です。 近々できれば嶋野くんたちと、うちのお得意先を一緒に回って、感想を聞きながらぜひお願いしますというのもできたらいいなと思っています。 あとはクラウドファンディング終了後に動き始めるのですが、ECサイトとかそのへんでも、販売していこうとは思っています。 ※CHILLな夜に癒しを得るは「CAMPFIRE限定ラベルデザイン」と「正規商品ラベルデザイン」がありますが、一般販売は「正規商品ラベルデザイン」のみです。 一般販売を予定しているECサイトはこちら 「若宮酒造」公式ECサイト 今回の活動を通して、日本酒に対するイメージは変わった嶋野さん 編集部 最後に、今回のゼミでの活動をとおして、嶋野さんの元々日本酒に対して持っていたイメージと、今のイメージではどういう変化がありましたか? 嶋野さん 飲む前は日本酒はおっさんが飲むイメージ... 木内さん おっさん言うな(笑) 嶋野さん 度数が高くて、日本酒の味がわかる人しか楽しめないお酒なんじゃないかなと勝手に思っていました。 今回のこの活動で初めて試飲して、「あれ、なんかうまいなあ」とシンプルに思いました。 「日本酒って実はおいしいんだよ」っていう感覚を他の人にも知ってもらいたいなって思いもあったので、それを商品という形にして皆さんにお届けするのと、あとは谷口先生も先程おっしゃっていた、商品開発じゃないところで地域と連携して何かしていくこととか、同じ若い世代の方々に日本酒の楽しさとか魅力とか共有できるような場作りをしていけたらいいなと思っています。 木内さん 嶋野くん単位取りにいってるでしょそのコメント(笑) 編集部 単位は大事ですからね(笑) 日本酒はおいしいんですけど、そういうイメージが先行しがちなので、「CHILLな夜に癒しを得る」を通して、少しでも日本酒をおいしいと思う若い方が増えてくれたらいいなと思います。 嶋野さん、谷口先生、木内さん、本日は貴重なお時間ありがとうございました!

大吟醸の先駆けとなった日本酒「黒龍」の種類やラインナップを解説!

福井県の「黒龍(こくりゅう)」は、大吟醸(だいぎんじょう)の代表格として知られる日本酒です。香り高くスッキリとした味わいは、多くの日本酒ファンに愛され続けています。 また、豊富な商品バリエーションも人気の理由のひとつ。今回は、日本酒ビギナーにぴったりの1本から贈答用にふさわしい銘柄まで、黒龍のラインナップを紹介します!ぜひ、お気に入りの1本を見つけてみてくださいね。 1.「黒龍」とは 「黒龍(こくりゅう)」は、大吟醸の先駆けとして全国に名をはせるお酒です。仕込み水に使われるのは、九頭竜川の伏流水。自然のフィルターを通し山から川へと流れ込んだ水は、黒龍の軽くやわらかな口当たりの原点となっています。 酒米には、東条産の山田錦や福井県大野産の五百万石など、すべて酒造好適米を使用。米を磨く度合いを示す精米歩合は平均約50%と、米の美味しい部分だけを贅沢に用いたお酒です。 フルーティーな香りと繊細な味わいは、福井県の冬の名物でもある越前ガニとの相性もばつぐん。中でも、創業者の石田二左衛門からその名をとった「石田屋」と「二左衛門」は、黒龍のトップブランドとして日本酒好きから高い人気を得ています。 1-1.醸造元は「黒龍酒造」 黒龍酒造は1804年(文化元年)創業の福井県の老舗酒蔵です。「自然と人の調和、豊かな生活文化の創造」をポリシーに、伝統の酒造りを続けています。 1975年(昭和50年)には、全国に先駆けて大吟醸「龍」を販売。吟醸酒が市販化されていなかった時代に、「日本一高価な日本酒」として大吟醸は注目を集めました。以来、大吟醸・吟醸・純米吟醸と数々の吟醸酒の市販化に成功。現在は福井県だけでなく、全国に名をはせる吟醸蔵としてその名が知られています。 伝統の技法を重んじながらも「清酒の楽しみ方をもっと伝えたい」という思いから、ポットのお湯で手軽に燗酒を楽しめる「燗たのし」を開発。日本酒ビギナーのためのお酒「黒龍 吟のとびら」、小容量が計量できるグラス「黒龍 酒グラス」を展開するなど、日本酒普及のためにさまざまな取り組みも行う酒蔵です。 2.黒龍の銘柄の種類は大きく分けて5つ 黒龍の銘柄は、大きく5つの種類にわかれます。いずれもよく磨いた米を原料に低温発酵させる「吟醸造り」を基本とするお酒です。 こだわりの酒 極みの酒 季節の酒 祝の酒 出会いの酒 高品質でありながら、求めやすい価格帯が多いことも人気の理由のひとつ。普段使いから贈答用まで、お酒を楽しむシチュエーションにあわせた銘柄が揃います。 2-1.こだわりの酒 「こだわりの酒」には、黒龍の定番酒ともいえるラインナップが並びます。多くが720mlあたり1,000円台と、求めやすい価格帯も魅力です。 2-2.極みの酒 「極みの酒」は、限定商品が多いことが特徴です。「石田屋」や「二左衛門」といった、黒龍のトップブランドも含まれています。日本酒通からの人気も高く、贈答用にもふさわしい銘柄が揃います。 2-3.季節の酒 「季節の酒」は、春・夏・秋・冬それぞれにリリースされます。キリッとした味わいの夏酒に、うっすら白くにごる冬の生酒など、日本の四季を感じさせるラインナップです。 2-4.祝の酒 「祝の酒」の黒龍は、2本セットの「つるかめ」や「福ボトル」など、祝いの席を華やかに彩るものばかりです。受注品や季節限定品のため、特別感も満載。大切な人への贈り物や、人生の節目に贈るお酒としても好まれています。 2-5.出会いの酒 「出会いの酒」は、美味しい日本酒との出会いをという願いを込めた「吟のとびら」と、仕込みにお酒を使った「貴醸酒」の2銘柄です。いずれも150ml容量が販売されているため、黒龍初心者や「貴醸酒を飲んでみたい」という方にもぴったりのラインナップといえるでしょう。 3.こだわりの酒のラインナップ 3-1.黒龍 ⼤吟醸 米をより多く削り、低温でじっくりと仕込む「大吟醸」の代表格ともいえる銘柄です。吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)と呼ばれるフルーティーな香りと、すっきりとした飲み口を楽しめます。箱付きの720mlのほか、気軽に楽しめる300mlも販売されています。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-2.黒龍 純吟 「純吟」とは純米吟醸酒のこと。醸造アルコールと呼ばれるアルコールを添加せず、米と米麹、水のみで仕上げたお酒です。使用しているのは、福井県産の酒米「五百万石(ごひゃくまんごく)」。米の旨味とさわやかな香りを堪能できます。 (出典元:黒龍酒造) 3-3.黒龍 いっちょらい 福井県の方言で「一張羅(いっちょうら)」を意味する「いっちょらい」は、黒龍人気の定番酒です。300mlあたり500円台とコストパフォーマンスに優れ、日々の食卓にちょっとした特別感をもたらしてくれます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4.極みの酒のラインナップ 4-1.黒龍 石田屋 「石田屋」は、黒龍酒造の創業時の屋号です。高級酒米として名高い兵庫県東条産の山田錦を小さくなるまで削り、中心部分のみをぜいたくに使用しています。毎年11月頃に限定販売される特別な1本です。 (出典元:黒龍酒造) 4-2.黒龍 二左衛門 創業者「石田屋二左衛門」の名をとった「二左衛門」は、蔵独自の方法で熟成させたお酒です。洋梨を思わせる香りは実にエレガント。ほのかな酸味の余韻を残し、上質な旨みがするりと喉元を通り過ぎます。 (出典元:黒龍酒造) 4-3.黒龍 純米大吟醸 春先に限定販売される黒龍です。うっすら琥珀色に輝くボトルには、こだわりの純米大吟醸が詰められています。越前漆器の外箱も美しく、春のお祝いの品にもふさわしい1本です。 (出典元:黒龍酒造) 4-4.黒龍 火いら寿 「火いら寿(ひいらず)」は、火入れと呼ばれる加熱処理をしていない生酒です。黒龍の生酒のなかでは最高峰。火入れをしていないお酒ならではのフレッシュな香りと、高級酒米「山田錦」が生み出す繊細な味わいを兼ね備えています。 (出典元:黒龍酒造) 4-5.黒龍 しずく 「しずく」は、酒袋を吊るし、自然にぽたぽたとこぼれる雫(しずく)を集めたお酒です。余分な圧力をかけずに絞ったお酒は、雑味のないきれいな味わい。年に3回リリースされる限定商品です。 (出典元:黒龍酒造) 4-6.黒龍 八十八号 「八十八号」とは、原酒を集めたお酒のタンクの番号のこと。末広がりで縁起の良い番号が付けられたお酒は、贈答用にもおすすめです。黒龍のなかでも、上品で繊細な味わいが際立っています。 (出典元:黒龍酒造) 4-7.黒龍 大吟醸 龍 1975年(昭和50年)に誕生した「龍」は、黒龍の名と大吟醸の味わいを世に知らしめた1本です。味と香りのバランスに優れ、食中酒としてのクオリティの高さが光ります。 (出典元:黒龍酒造) 5.季節の酒のラインナップ 5-1.黒龍 純吟垂れ口 「純吟 垂れ⼝」は、冬にリリースされるうっすら白くにごった生酒です。搾りたてのお酒を、加水せずに瓶詰した「原酒」になります。そのまま冷やで味わうのはもちろん、ぬる燗で米の旨味をゆったりと味わうのもおすすめです。 (出典元:黒龍酒造) 5-2.黒龍 春しぼり 「春しぼり」は、例年3月にリリースされる銘柄です。「垂れ口」と同様に、加水をしないしぼりたての原酒が詰められています。植物が芽吹く春の季節のように、フレッシュな香りと旨味、ほのかな苦みを楽しめます。 (出典元:黒龍酒造) 5-3.黒龍 夏しぼり 5月頃にリリースされる「夏しぼり」は、初夏の訪れを感じさせるみずみずしい味わいです。キリッとした味わいが引き立つ辛口タイプのお酒になります。暑い夏の午後には氷を入れたグラスに注ぎ、ロックスタイルで楽しむのもおすすめです。 (出典元:黒龍酒造) 5-4.黒龍...

日本酒の生酒とは?火入れをした日本酒との違いや楽しみ方を解説!

日本酒の「生酒」とは、火入れと呼ばれる加熱殺菌処理をしないお酒のことです。味や香りが変化しやすいため、冷蔵保存が基本となります。 今回は、生酒の特徴やその他のお酒との違いを解説!日本酒に火入れする理由や、生酒おすすめの楽しみ方もぜひチェックしてみてくださいね。 1.「生酒」とは? 「生酒」とは、加熱殺菌処理をしていない日本酒のことです。「なまざけ」のほか、「きざけ」「なましゅ」と呼ばれることもあります。 日本酒の一般的な製造工程では「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌処理を2度おこないます。 生酒は、1度も火入れをしていないお酒です。そのほか、日本酒は火入れの回数によって以下のように呼び名が変わります。 呼び名 1回目の火入れ 2回目の火入れ 生酒 なし なし 生貯蔵酒 なし あり 生詰め酒 あり なし   1度も加熱処理をしていない生酒は、フレッシュな香りや旨味が特徴です。瓶のなかではまだ酵母が活動を続けているため、シュワシュワとした発泡感が生まれることもあります。 2.日本酒に火入れする2つの理由 日本酒に火入れをする主な理由は、以下の2つです。 糖化酵素による味の変化を防ぐ 乳酸菌の一種である火落ち菌などの微生物によるお酒の劣化を防ぐ 糖化酵素とは、デンプンを分解し、糖に変える酵素のことです。糖化酵素が残ったままのお酒を瓶に詰めると、瓶の中でデンプンが糖に姿を変え、味が変化する恐れがあります。 また、火落ち菌はお酒に含まれる乳酸菌の一種です。火落ち菌が残ったまま瓶詰めすると、色や香りが劣化してしまうため、火入れにより除去する必要があります。 火入れは日本酒の味わいを安定させ、美味しい状態を保つために必要な工程です。つまり、火入れをしていない生酒は、味が変化しやすいとてもデリケートな状態ということ。そのため、低温保管で早めに飲み切るのが基本となります。 3.生酒や火入れなど、ラベルでの見分け方 火入れをしたお酒には「火入れ」「瓶火入れ」「瓶囲い」など、火入れの手法が記載されているものがあります。 ただし、火入れの表記は法的に定められているわけではありません。火入れの有無が記載されていない場合は、加熱処理済みと考えるのが一般的といえるでしょう。 一方、生酒の多くはラベルに「生酒」と記載があります。前述したように、生酒は冷蔵保管が求められるからです。画像のように「要冷蔵」と追記されるほか、酒販店では冷蔵ケースで販売されます。 4.生酒のおすすめの楽しみ方 火入れをしていない生酒は、まさに生きているお酒です。ここからは、生酒の魅力を存分に味わうための楽しみ方を紹介します。ぜひ、鮮度の良い生酒の魅力を堪能してみてくださいね。 4-1.よく冷やした状態で 生酒のキリッとした味わいを楽しみたいときは、冷やして味わうのがおすすめです。生酒ならではの甘みや酸味、ジューシーな旨味を堪能できます。 シュワシュワとした発泡感のある生酒は、シャンパングラスに注いで味わうのも楽しみ方のひとつ。しっかり冷やしてグラスに注げば、乾杯のシーンも盛り上がります。 燗酒にしたいときは、ほどよく温めたぬる燗でいただきましょう。冷酒とは違うコクが生まれ、生酒の違った表情を楽しめますよ。 4-2.日本酒の鮮度を保つ 火入れをしていない生酒は、保管温度で味が変化しやすいお酒です。鮮度を保てるよう、購入後は冷蔵保管を心がけましょう。 開栓後はお酒が空気に触れる面積が大きくなるため、早めに飲み切るのがおすすめ。ぜひ、生酒が持つフレッシュな味わいを楽しんでみてくださいね。 4-3.ロックで飲むのもおすすめ 氷を入れたグラスにお酒を注ぐロックスタイルは、日本酒ビギナーにおすすめの楽しみ方です。氷でアルコール度数が中和され、日本酒がより飲みやすくなります。 特に「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」と呼ばれる、ろ過や加水をしていない生酒はロックスタイルがおすすめ。ライムやレモンをキュッと搾れば、夏にぴったりの日本酒スタイルができあがりますよ。 https://sake-5.jp/sake-ice/ まとめ 日本酒は、造り方によってさまざまな味わいが生まれるお酒です。その違いを知れば、日本酒の楽しみ方がさらに広がります。 火入れをしない生酒の美味しさも、日本酒の魅力のひとつ。保存方法などに気を配りながら、ぜひフレッシュな味わいを楽しんでみてくださいね。 関連記事 https://sake-5.jp/raw-unfiltered-wine/

醸し人九平次ってどんな日本酒?醸し人九平次の各種類も解説!

「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」は、愛知県の萬乗醸造が造る日本酒です。「別誂(べつあつらえ)」や「human(ヒューマン)」など、個性的な数々の銘柄をリリースしています。 豊富なバリエーションが魅力的な反面、飲み慣れないうちはどれを選ぼうか迷ってしまいがちですよね。そこで今回は、醸し人九平次のラインナップをくわしく紹介します!味の特徴や蔵のこだわりなど、ぜひ日本酒選びの参考にしてください。 1.醸し人九平次を造る萬乗醸造とは? 「萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)」は、1647年(正保4年)創業の酒蔵です。蔵元・久野九平治氏が目指すのは、歴史に敬意を払ったうえでの革新的な酒造り。 2010年(平成22年)には兵庫県黒田庄で米栽培を始めるほか、2016年(平成28年)には「ドメーヌ・クヘイジ」と称してフランスでワイン造りを開始するなど、さまざまな取り組みを続けています。 白ワインにも例えられる醸し人九平次の魅力は、あえて残した苦味や渋味、そしてエレガントな酸味。 リリース当初、蔵元自らが持ち込んだお酒がパリの三ツ星レストランで高い評価を得ると、逆輸入という形で国内でもその名が知られていきます。 ドラマチックかつ気品あふれる多彩な銘柄も、ファンを惹きつける理由のひとつ。 酒造りにどこまでも実直でありながら、日本酒に新しい風を吹き込む萬乗醸造のお酒は、世代や国境をも越え多くの人々に愛され続けています。 2.「醸し人九平次」の種類は大きく分けて6つ 萬乗醸造では、主に以下6種の醸し人九平次をリリースしています。 Origine Collection Désir et Sauvage Découverte La saison Flagship いずれも九平次ならではのエレガントな酸味を持ちつつ、それぞれにテーマ性を持たせているのが大きな特徴。また、各商品には米の収穫された年号(ビンテージ)が記載されています。 2-1.醸し人九平次 Origine 「Origine」のテーマは、日本酒の主原料である米が育つ田んぼ。萬乗醸造が持つ兵庫県の黒田庄、岡山の赤磐、フランスのカマルグそれぞれで生まれた米を原料に、3種のボトルをリリースしています。 2-2.醸し人九平次 Collection 醸し人九平次のなかでも、特に気品と品格にあふれる「Collection」。原料と製法にこだわりぬいた日本酒が特別な時間を演出してくれます。 2-3.醸し人九平次 Désir et Sauvage 「山田錦」と「雄町」という酒米の違いを楽しめるシリーズです。山田錦が生み出す可憐な味わい、雄町ならではのエネルギッシュな個性を堪能できます。 2-4.醸し人九平次 Découverte 「Découverte」とは、フランス語で「発見」や「気づき」のこと。醸し人、九平治、黒田庄の頭文字になぞらえ、ラベルには「K」の文字が記されています。日本酒の固定概念を覆し、新たな発見を与えてくれるシリーズです。 2-5.醸し人九平次 La saison 「La saison(ラ・セゾン)」=「季節」の名のとおり、日本の四季の移ろいを表現したシリーズです。冬季限定の生酒や、燗酒で美味しいボトルたちが並びます。 2-6.醸し人九平次 Flagship 「Flagship」に位置付けられているのが「彼の岸(ひのきし)」と名付けられたビンテージボトル。兵庫県黒田庄で育つ山田錦を原料に、蔵元が目指す味わいが体現されています。 3.醸し人九平次 Origineのラインナップ 酒米の個性を楽しむ「Origine」のラインナップは3種類。兵庫、岡山、フランスで育ち、萬乗醸造で日本酒へと姿を変えた酒米のストーリーが刻まれています。 3-1.醸し人九平次 黒田庄に生まれて、 兵庫県黒田庄で育った山田錦を使用。萬乗醸造がこだわりぬいた地で育つ酒米のエネルギーが感じられる日本酒です。ワイングラスから舞い上がる香りは、芳醇かつフルーティー。スッときれいに後引く余韻と、ほんのりとした苦味、心地よい酸味を堪能できます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-2.醸し人九平次...

無濾過生原酒の先駆けとなった日本酒「飛露喜」の種類や味わいを解説!

「飛露喜(ひろき)」は、高い人気を誇る福島県の日本酒です。製造量が少ないことから、入手が難しいお酒としても知られています。 醸造元の廣木酒造は公式ホームページを持たないことから、美味しいと耳にしつつ、どんなお酒かわからないということも多いかもしれません。 そこで今回は、飛露喜について徹底解説!飛露喜誕生の歴史や、各銘柄の特徴を紹介します。 1.「飛露喜」とは? 「飛露喜(ひろき)」は福島県の廣木酒造が造る日本酒です。「廣木」にあてた酒銘「飛露喜」には、「喜びの露(酒)がほとばしる」という意味が込められています。 「いつ、何度飲んでも変わらない味」をポリシーに造られる飛露喜は、味の安定性に優れたお酒。2012年には「SAKE COMPETITON」純米酒部門で1位を受賞するなど、数々の受賞歴を誇ります。 今では入手が難しい飛露喜を造る廣木酒造も、かつては廃業の危機を迎えた時期がありました。 復活のきっかけとなった「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」は、飛露喜の人気とともに一躍話題のジャンルに。そのため、飛露喜は無濾過生原酒の先駆けとしても知られています。 1-1.醸造元は「廣木酒造」 醸造元の「廣木酒造」は、福島県の会津地方に位置する酒蔵です。一時は廃業をも覚悟した時期がありながら、飛露喜誕生とともに復活を遂げた蔵でもあります。 現在の蔵元杜氏、9代目・廣木健司氏が蔵を受け継いだのは、1997年(平成9年)のこと。経営難だった蔵の立て直しに取り掛かる矢先、先代が58歳の若さで急逝されます。 元サラリーマンだった9代目にとっては、酒の流通ルートも酒造りのいろはもわからない状態。 一時は廃業をも覚悟する中、蔵の苦境がテレビ放映されると放送を見た有力酒販店から「蔵を応援したいから酒を送ってほしい」と連絡が入ります。 しかし、実際に廣木酒造のお酒を口にした酒販店の感想は「この味では勝負できない」というものでした。当時の蔵の味は、あくまでも新潟の人気銘柄を意識したものだったのです。 翌年、廣木氏は自分が本当に納得した無濾過生原酒を再び酒販店へ送付。確かな酒質が評価され販売が始まると、無濾過生原酒ブームも後押しし、飛露喜は一躍人気銘柄へと躍り出ます。 思いがけぬ売れ行きに、当時はラベルまで印刷する余裕がなく「飛露喜」の字は9代目の母が手書きしていたそう。 その後はさらなる酒質の向上を求め、加熱処理をした「火入れ酒」の製造にも取り組むなど、廣木酒造はさらなる躍進を続けています。 1-2.無濾過生原酒の先駆け 無濾過生原酒は、お酒を濾す「ろ過」、加熱をする「火入れ」、水でアルコール度数や味を調整する「加水」をしていないお酒です。まさに、搾りたてそのままのフレッシュな味わいが活きた日本酒といえます。 飛露喜が誕生した当時、火入れをしない無濾過生原酒はまだめずらしい存在だったとか。現在は各蔵から無濾過生原酒が登場し、多くの日本酒ファンを惹きつけています。 日本酒は火入れをするものという、酒造りの常識をくつがえした飛露喜。しっかりとした旨味とクリアな味わいを兼ね備えた飛露喜は、当時はまだ経験が浅く、常識に縛られなかった9代目だからこそ生み出せたお酒といえるかもしれません。 2.飛露喜の種類【定番酒】 飛露喜には、無濾過生原酒をはじめとする4つの定番酒があります。いずれも一升瓶(1800ml)での販売が中心です。 2-1.飛露喜 特別純米 無濾過 生原酒 飛露喜はじまりの1本となる無濾過生原酒。人気の高さから、酒販店に入荷してもすぐに売り切れとなる銘柄です。艶やかな甘みとコク、旨味と共に弾けるのはフレッシュな香り。飛露喜の魅力を存分に味わえる定番酒です。 (出典元:松仙) 2-2.飛露喜 特別純米 生詰 「生詰(なまづめ)」とは、1度だけ加熱処理をしたお酒のこと。無濾過生原酒からスタートした飛露喜が、年間通して安定した酒質を提供できるようにと研究を重ねた銘柄です。飲み頃になるまで熟成させてから出荷するため、落ち着いた品のある旨味を堪能できます。 (出典元:松仙) 2-3.飛露喜 吟醸 生詰 一粒の米をより多く削り、低温でじっくり熟成させる「吟醸(ぎんじょう)造り」の日本酒です。吟醸香(ぎんじょうこう)と呼ばれる、おだやかな香りが広がります。飛露喜らしいコクとともに、スッキリとした飲み口を楽しめる1本です。 (出典元:松仙) 2-4.飛露喜 純米吟醸 生詰 黒ラベル 銀色の飛露喜の文字が光る黒ラベルは、定番酒のなかの最高峰。こだわりの酒米、山田錦と五百万石(ごひゃくまんごく)を使用し、吟醸造りで仕上げています。香りは繊細でクリアな味わい。後口にしっとりと飛露喜らしい旨味が広がります。 (出典元:松仙) 3.飛露喜の種類【限定酒】 飛露喜では、冬に販売する新酒や酒米違いで仕込むお酒のほか、4合瓶(720ml)で販売する限定酒があります。不定期販売される銘柄も多く、飛露喜のなかでも特にレアなお酒といえるでしょう。 3-1.飛露喜 特別純米 かすみ酒 「特別純米 かすみ酒」は冬の限定商品です。シーズン中に蔵が初めてしぼった新酒になります。シュワッとした微発泡感と心地よい苦味、酸味は新酒ならでは。飛露喜ファンが心待ちにする人気商品です。 (出典元:楽天市場) 3-2.飛露喜 純米吟醸 愛山 本生 酒米のダイヤモンドとも呼ばれる「愛山(あいやま)」を使用。飛露喜のなかでも特に希少性の高い銘柄です。愛山が生み出す濃醇な旨味、上品な香りと甘みが際立ちます。 (出典元:松仙) 3-3.飛露喜 純米吟醸 雄町 生詰 「雄町(おまち)」は芳醇でコクのあるお酒を生む酒米です。雄町を原料に吟醸造りで仕込み、1度だけ火入れをした飛露喜はふくよかな味わいが特徴。廣木酒造の酒米へのこだわりが体現された1本です。 3-4.飛露喜 純米吟醸 山田錦 酒米の王様と呼ばれる山田錦のなかでも、特に最高峰といわれる兵庫県特A地区で育った酒米を使用。バナナのように甘く、まろやかな香りが広がる飛露喜です。飲み飽きせず、食事と一緒にするすると飲み進められます。 3-5.飛露喜 純米大吟醸 兵庫県産の山田錦を小さくなるまで磨き、米の中心部分のみを贅沢に使用したお酒です。金字と稲の穂がきらりと光る飛露喜は、四合瓶の数量限定品。計算された清らかな味わいに、ついつい1杯、また1杯とグラスが進みます。 (出典:矢島酒店) 3-6.飛露喜...

日本酒の「山廃(やまはい)仕込み」とは?味わいの特徴やおすすめの楽しみ方も解説!

日本酒のラベルや、お店のメニュー表などで見かける「山廃(やまはい)」という文字。 「一体なんのこと?」「ほかのお酒とどう違うの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、山廃についてくわしく解説!山廃仕込みのお酒の特徴や、おすすめの楽しみ方もあわせて紹介します。 難しそうに思える日本酒も、用語の意味を知ればもっと楽しく、もっと美味しくなりますよ。 1.山廃とは「生酛(きもと)」から派生した製法のこと 山廃とは、日本酒造りに欠かせない酒母(しゅぼ)の製造方法のひとつです。同じく、酒母の製造法である「生酛」から派生しました。 「きもと?しゅぼ?やっぱり難しそう…」と思わなくても大丈夫! 山廃を知るために、まずは日本酒の基本的な造り方について理解していきましょう。 1-1.酵母を育てる酒母造り 日本酒は、米と米麹をアルコール発酵させることで生まれるお酒です。 アルコール発酵を促すためには「酵母(こうぼ)」が必要となります。酒母は、酵母を育てるために造る液体です。 酒母の主な材料は、米、米麹、水、酵母、醸造用乳酸の5つ。 醸造用乳酸は、タンク内を酵母が育ちやすい環境にするために用いられます。 このように醸造用乳酸を添加する方法は、1910年(明治43年)に開発されたもの。開発前は、乳酸を添加するのではなく「自然に育てる手法」が用いられていました。 この、乳酸菌を自然に育てる手法こそが「生酛」「山廃」と呼ばれる製造方法のこと。乳酸を添加する乳酸添加法に対し、乳酸菌育成法とも呼ばれています。 ここがPOINT! 酒母の造り方は、乳酸菌を添加する方法(乳酸添加法)と育てる方法(乳酸菌育成法)の2つ。 「生酛」と「山廃」はどちらも乳酸菌育成法のこと。   1-2.「生酛」は米をすりつぶす「山卸し(やまおろし)」をおこなう 生酛の大きな特徴は、タンクに入れる前に米をすりつぶすことです。 蒸した米と麹に水を加え、櫂(かい)と呼ばれる木の棒で米をすりつぶす作業は「山卸し」や「酛摺り(もとすり)」とも呼ばれています。 山卸しの主な目的は、米を溶けやすい状態にすること。特に、江戸時代から明治時代にかけての米は硬く、溶けるまでに微生物が繁殖するリスクがあるため、山卸しは欠かすことのできない作業でした。 伝統の生酛造りは、山廃の誕生や、乳酸菌添加法の開発により一時は姿を消しかけます。しかし、昭和後期から平成にかけ生酛造りに着目する酒蔵が増加。 日本酒全体の製造数と比較するとわずかなものの、近年は「生酛」とラベルに書かれた銘柄が市場に姿を見せています。 1-3.「山卸し」をしない(廃止)から「山廃」 山廃は、生酛と同様に乳酸菌を育てながら酒母を作る製法です。しかし、山廃は生酛のように、米をすりつぶす「山卸し」をおこないません。 つまり「山卸をしない=廃止した」から「山廃」というわけです。 山廃では、タンク内で麹を水に浸ける「水麹」と呼ばれる手法が用いられます。他の微生物の働きが関係するため、綿密な温度管理が必要となるなど、生酛同様に手間と時間、そして高度な技術が求められる製法です。 2.山廃が誕生した背景 日本酒を仕込むのは冬の寒い時期。1日のスケジュールに合わせ、まだ暗いうちからおこなう山卸しは蔵人にとって重労働でした。 明治時代に入ると、国の研究機関「国立醸造試験所」がさまざまな検証を開始。軟らかい酒米が開発されたことや、精米技術が進歩したこと、水麹の手法などを理由に、山卸しの必要性が薄れたことを発表します。 これにより、多くの蔵では山卸しを廃止。「山卸廃止酛仕込み」、略して「山廃酛」と呼ばれる手法を採用するようになりました。 本来は酒蔵の専門用語だった山廃は、商品名として採用されたことをきっかけに、現在は一般消費者にもその名が知られています。 3.山廃仕込みの味わいの特徴 山廃仕込みの日本酒は、しっかりとコクのある濃醇な味わいに仕上がります。それでいて、香りは軽く深みのある味わいが特徴です。 ライトな香りと濃醇な旨味。繊細かつ奥深い味わい。と、一見対照的に思える要素を兼ね備えていることが、山廃の大きな魅力といえるでしょう。 4.山廃仕込みのおすすめの楽しみ方 山廃仕込みの日本酒は、冷やでも燗でも楽しめるお酒です。温めても香りやコクが飛ぶことなく、より奥深い味わいを楽しめます。塩辛やスルメといった定番のおつまみを片手に、ゆっくり楽しみたいお酒といえるでしょう。 料理とあわせたいときは、脂の乗ったサンマやきのこ、ジビエなど旨味の強い食材とのペアリングがおすすめ。ちょっと意外なところでは、チーズとあわせても美味しく味わえます。 鶏の照り焼きや、少し濃い目の味付けの煮物などとも好相性。ぜひ、山廃のふくよかな旨味と料理とのマリアージュを堪能してみてください。 5.まとめ 山廃仕込みは、日本酒造りの原型ともいえる製法です。古くは江戸時代から続く生酛をさらに進化させ、繊細かつ奥深い味わいを生み出しています。 古くて新しい製法として、注目の高まりを見せる山廃仕込み。酒販店や飲食店で見つけたら、ぜひ手に取って楽しんでみてくださいね。 関連記事 https://sake-5.jp/yamahai/

日本酒の古酒?初心者にもわかりやすく古酒の定義から楽しみ方をご紹介

日本酒のなかには「古酒(こしゅ)」と呼ばれる熟成酒があります。熟成とともに琥珀色に変化する古酒は、近年高い注目を集めているお酒です。 一方で、市場で販売される数が少ないことから口にしたことがないという方も多いかもしれません。 そこで今回は、「古酒」の味や香りついてくわしく解説します!古酒ならではの楽しみ方や劣化との違いなど、ぜひチェックしてみてください。 1.日本酒の古酒(長期熟成酒)とは? 日本酒における「古酒」とは、長期間熟成されたお酒を意味します。琥珀色へと姿を変えた古酒は味わい深く、ハチミツやスパイス類を思わせる複雑な香りが特徴です。 ワインやウイスキーの”ヴィンテージ(古くて上質)”という概念のように、熟成させた古酒もまた、価値あるお酒として人気の広がりをみせています。 1-1.古酒の定義 酒造会社による任意団体「長期熟成酒研究会」によると、”満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒”を「熟成古酒」として定義しています。ただし、実際には「古酒」と名乗るための法的な定義はありません。 そのため、酒蔵によっては熟成期間3年未満のお酒を古酒として販売することもあります。一方で、3~10年以上の熟成期間を設け「長期熟成酒」「秘蔵酒」と名付けて販売する酒蔵もあるなど、古酒の定義はさまざまです。 一般的には「古酒」=「一定期間熟成させたお酒」と考えると良いでしょう。 2.長期熟成による古酒の熟成タイプ 「長期熟成酒研究会」では、熟成期間や熟成方法、熟成前のお酒の種類によって古酒を3タイプに分類しています。 タイプ 醸造方法 熟成温度 特徴 相性の良い料理 濃熟タイプ 本醸造酒 純米酒 常温 熟成を重ねるにつれ色が濃くなり、風味も大きく変化。 風味が強いため、中華や揚げ物など、味の濃い料理とあわせるのがおすすめ。 中間タイプ 本醸造酒 純米酒 吟醸酒 大吟醸酒 初期は低温、後半は常温 淡熟タイプにくらべると風味が濃い。 苦みや酸味のある料理、チョコレートや干しブドウなど。 淡熟タイプ 吟醸酒 大吟醸酒 低温熟成 吟醸酒特有のキレの良さを残しつつ、ほのかな苦みも感じられます。クリアな味わいの銘柄も、熟成とともに重厚感が増すのが特徴。 生ハムや塩辛のような塩気の素材とのペアリングがおすすめ。 濃熟タイプ 濃熟タイプの古酒は、本醸造酒・純米酒を常温で熟成させたお酒です。熟成を重ねるにつれ色が濃くなり、風味も大きく変化します。 濃熟タイプの古酒は風味が強いため、中華や揚げ物など、味の濃い料理とあわせるのがおすすめです。料理の味に負けることなく、より食を進ませるお酒といえるでしょう。 中間タイプ 中間タイプの古酒は、本醸造酒・純米酒・吟醸酒・大吟醸酒などを熟成させたものです。初期は低温、後半は常温でと手間暇かけながら熟成させていきます。 中間タイプの古酒は、淡熟タイプにくらべると風味が濃いのが特徴。苦みや酸味のある料理、チョコレートや干しブドウなどのおつまみにも良く合います。 淡熟タイプ 淡熟タイプの古酒は、吟醸酒・大吟醸酒を低温で熟成させたお酒です。吟醸酒特有のキレの良さを残しつつ、ほのかな苦みも感じられます。クリアな味わいの銘柄も、熟成とともに重厚感が増すのが特徴です。 淡熟タイプの古酒は、生ハムや塩辛のような塩気の素材とのペアリングがおすすめです。味の幅が広く、グラタンのような洋食と合わせても美味しく味わえます。 3.古酒の楽しみ方 古酒の魅力は、時間の経過がもたらすお酒の変化だといえます。古酒を味わうときは、その変化を次のように楽しんでみてください。 色合いを楽しむ 香りを楽しむ なめらかな口当たりを楽しむ 濃密な味わいを楽しむ また、古酒の魅力をぞんぶんに引き出すには、常温から少し冷たいくらいの温度、ぬる燗などで味わうのがおすすめです。 3-1.色合いを楽しむ 熟成させた日本酒は、黄金色から琥珀色、ルビーのような紅色へと色の変化を遂げていきます。初めて古酒を目にしたときは「これがあの日本酒?」と驚くこともあるかもしれません。 この、美しい色合いこそが古酒の魅力のひとつ。古酒を楽しむときはぜひ透明のグラスに移し、古酒が育った時間の流れを感じてみてください。 3-2.香りを楽しむ 古酒はハチミツのように甘く、それでいてどこか刺激的な、複雑な香りを持つお酒です。熟成前のフルーティーな香りもギュッと濃縮され、奥深い香りへと生まれ変わります。 古酒を注いだグラスに鼻を近づければ、ワインやウイスキーの熟成とはひと味違う、独特の熟成香を堪能できるでしょう。 3-3.なめらかな口当たりを楽しむ 長期間熟成させた古酒は、新酒とはひと味違うなめらかな口当たりが特徴です。グイグイ飲むお酒というよりは、少量ずつゆったりと楽しむお酒といえます。 少量口に含めば、独特の香りや味わいがゆっくりと舌の上でほどけていくよう。ぜひ熟成前とは違う、トロリとしたテクチャーを楽しんでみてください。 3-4.濃密な味わいを楽しむ 濃縮された深い甘味や苦味、そして酸味。古酒はさまざまな表情を持つお酒です。濃密な旨味があり、チョコレートのようなスイーツにも良く合います。 意外なところでは、あんこを使った和菓子とのペアリングもおすすめ。バニラアイスにトロリとかければ、古酒の魅力あふれる大人のデザートができあがります。 4.おうちに置いておいたお酒、熟成?それとも劣化? 古酒には明確な定義がなく、一定期間熟成させたお酒を表すと紹介しました。 「ん?ということは…おうちに置いたままの日本酒。これも古酒?」と疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。 熟成酒の人気の高まりを受け、近年は自宅で古酒を育てる方も増えています。美味しい古酒を育てるためには、紫外線を避け、涼しい環境で保管することが大切です。 紫外線に長期間あたったり、温かい環境で保管されたりした日本酒は、熟成ではなく「劣化」が進んでしまいます。 劣化したお酒はうっすら黄色く色づき、見た目は古酒と変わらないように感じられます。しかし、老香(ひねか)と呼ばれる不快な香りや強い苦みが生まれるど「美味しいお酒」とはいえない状態になってしまうのです。 近年は、各酒蔵から熟成用の日本酒も販売されています。家庭でのくわしい熟成方法は、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。 https://sake-5.jp/aging-sake/   まとめ 時間の流れが作り出すお酒「古酒」。美しい色合いに香り、味わいと、古酒は新酒にはない魅力にあふれています。 自宅で古酒を育てるときは、紫外線を避け涼しい場所で保管するのがおすすめです。酒販店や飲食店などで「古酒」の文字を見つけたら、ぜひ一度その魅力を堪能してみてくださいね。

日本酒の「ひやおろし」とは?おいしい飲み方も解説

「ひやおろし」は、秋口に店頭に並び始める日本酒です。春先に搾り、ひと夏寝かせたひやおろしは、芳醇でまろやかな味わいにあふれています。 今回は、ひやおろしの語源や特徴、おすすめの飲み方についてくわしく解説!秋限定の味わい、ひやおろしの魅力をたっぷりとお伝えします。 1.ひやおろしとは? 「ひやおろし」は、涼しくなってきた秋口に各蔵から出荷される日本酒です。日本酒ファンにとっては、秋の風物詩といえるお酒かもしれません。 ひやおろしの大きな特徴は、1度だけ加熱処理をし、ひと夏寝かせたお酒であること。 日本酒は、秋から翌年春先の寒いシーズンに造られるのが一般的です。シーズン中に搾られたお酒は、貯蔵前と瓶に詰める前、2回にわけて「火入れ」と呼ばれる加熱処理がほどこされます。 一方、ひやおろしの火入れは、貯蔵前の1度だけ。その後はタンクのなかでひと夏を過ごし出荷の時を待ちます。ひやろおしが出荷されるのは、タンク内のお酒と外気温が同じになったタイミングです。 1度だけしか火入れをしないひやおろしの製法は「生詰め(なまづめ)」と呼ばれています。 2.ひやおろしの語源 ひやおろしの「ひや」は、冷たいお酒ではなく、常温の「ひや」を意味しています。 前述したように、ひやおろしを出荷するのはタンク内と外気温が同じくらいになった頃。「常温で卸す」ことから「ひやおろし」というわけです。 ひやおろしは江戸時代には誕生していましたが、当時は保存が効かないことから広くは流通せず、蔵に近い人しか飲めない貴重品だったそう。 現在のように「秋の日本酒=ひやおろし」のイメージができあがったのは、今から約30年前のこと。 卸売業を営む株式会社岡永(日本名門酒会)が、秋の限定品として商品展開したことがきっかけだといわれています。 また、およそ半年の熟成を経て酒質が向上したお酒は「秋あがり」。反対に、熟成がうまくいかなかったお酒は「秋落ち」と呼ばれることもあります。 3.ひやおろしの味わいの特徴 ひやおろしは、1度だけ火入れをする「生詰め」のお酒だとお話しました。一般的に、2度火入れをした日本酒は、口当たりなめらかなお酒になるといわれています。 1度だけ火入れをしているひやおろしは、フレッシュな味わいが特徴。と同時に、一定期間熟成させることで、生酒の荒々しさがまろやかな風味へと変化しています。 みずみずしく奥行きのある味わいは、ひやおろしの大きな魅力といえるでしょう。 4.ひやおろしのおすすめの飲み方 秋しか飲めないお酒、ひやおろし。季節が進むほど味が深まるひやおろしは、販売時期によってさまざまな飲み方を楽しめます。 つめたく冷やして、または燗でと、ぜひ季節ならではの味わいを堪能してみてください。 4-1.よく冷やして、生詰めの爽やかな味わいを楽しむ 9月頃に出回るひやおろしは、キリッと冷やして味わうのがおすすめです。スッキリとしたキレが際立ち、生詰めならではの爽やかな味わいを楽しめます。暑さが残る季節は氷を入れ、オンザロックにしても美味しいですよ。 4-2.燗でひやおろしのコクを楽しむ 秋が深まる10月頃のひやおろしは、ぬる燗で楽しむのがおすすめです。この時期のひやおろしは味と香りのバランスに優れ、適度に温めるとより一層まろやかな味わいを堪能できます。脂の乗り始めたサンマとの相性もばつぐんです。 また、晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ)とも呼ばれる11月のひやおろしは、旨味がさらに増した芳醇タイプ。熱燗にしても味のバランスが崩れず、料理とともに美味しく味わえます。 ぜひ、きのこ類や焼き銀杏(ぎんなん)、ジビエ料理など、秋の味覚とのペアリングを楽しんでみてください。 まとめ ひやおろしは、日本の四季が造り上げるお酒です。日本酒好きにとっては、年に1度だけの秋の贅沢といえるかもしれません。 秋のお酒、ひやおろしは秋の味覚との相性もばつぐん。飲食店や酒販店で「ひやおろし」の文字を見つけたら、ぜひ秋の訪れを感じながらその味わいを堪能してみてください。

日本酒の甘口・辛口とは?どうやって決まっているの?

日本酒でよく耳にする「甘口」「辛口」という味わいの表現。「具体的に何が違うの?」「甘口・辛口の基準とは?」とふしぎに思う方も多いのではないでしょうか。 甘口・辛口は、日本酒の味わいを示す指標のひとつ。と同時に、人が感じる「甘い」「辛い」という印象には、日本酒のさまざまな要素が関係しています。 そこで今回は、日本酒の「甘口」「辛口」の味わいをくわしく解説!甘辛の指標である「日本酒度」や、甘口・辛口に影響する要素などについて紹介します。 1.日本酒の「甘口」「辛口」とは? 日本酒の味わいを表す「甘口」「辛口」という言葉。 「お酒が辛いってどいうこと?」「甘口のお酒といわれたけど、甘いと思わなかったなぁ」など、疑問に感じたことはないでしょうか。 「日本酒って難しい」といわれる理由のひとつでもある、甘口辛口問題。まずは「甘口」「辛口」の意味合いについてざっくりと理解していきましょう。 1-1.甘口は糖分量の多いお酒 日本酒は、甘味要素のひとつである「糖」を含むお酒です。これは、日本酒が米のデンプンを糖化させて造るお酒であることに由来します。 日本酒は、「糖」をエサに「酵母」がアルコール発酵することでできあがります。この原理は、日本酒に限らずワインやビールといったお酒も同様です。 一般的に日本酒は、この糖分が多いほど「甘口」のお酒に位置付けられます。反対に、糖分が少ないものは「辛口」と呼ばれるお酒です。 1-2.辛口とは「辛さ(Spicy)」ではなく「キレ(Dry)」のこと 「辛口」というと、唐辛子のピリリとした辛さや、塩辛さを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。 ところが、日本酒造りには香辛料も塩分も使用されていません。辛味や塩辛さを感じる要素がないのです。 「辛くないのに辛口ってどういうこと?」と疑問に感じるのも当然。 日本酒で使う「辛口」は、ピリリとした辛さ(Spicy)を意味するのではなく、キレのあるドライテイストを表す言葉だからです。 実際には、人が感じる「甘さ」や「キレ味」には、糖分量だけでなくさまざまな要素が関係します。後の章でくわしく解説していきますね。 2.甘口・辛口の指標に使われる「日本酒度」 日本酒の「甘口」「辛口」は、お酒に含まれる糖分量に由来すると前述しました。 この、糖分量を示す数値が「日本酒度」です。日本酒度は「+(プラス)」と「-(マイナス)」で表記され、プラスであるほど辛口、マイナスであるほど甘口のお酒に位置付けられます。 「糖分が多いのに、どうしてマイナス表記なの?」とふしぎに感じることもあるかもしれません。 これは、日本酒度が水との比重をもとに定められていることに関係します。 糖分を含む日本酒は水よりも重たくなるため、水の方が軽いことを示す「-」。反対に、糖分が少ない日本酒は軽く、水の方が重たくなるため「+」表記になるのです。 ただし、ここで注意したいのが、日本酒度はあくまでも甘辛の度合いを示すひとつの目安でしかないということ。 日本酒の甘口・辛口の味わいには、糖分量以外にも、次の章で紹介するさまざまな要素が影響しています。 3.甘口・辛口に影響する5つの要素 日本酒を飲んだ時「甘いな」「辛いな(ドライだな)」と感じる理由には、日本酒度以外にも次の5つの要素が関連しています。 香り 苦味 発泡感 酸度 アミノ酸度 特に、香りや苦み、発泡感は自分の好みを見極めやすい要素のひとつです。「甘口」「辛口」表記のほか、日本酒を選ぶ際の参考にしてみてください。 3-1.香り フルーティーな香りの日本酒は、糖分量が少なくても甘く感じられることがあります。 白桃やバナナといった果実のような香りが強いほど「甘い」というイメージを持つことが多いでしょう。反対に、香りが控えめでアルコール感が強い日本酒は「辛口」に感じやすい傾向にあります。 3-2.苦味 日本酒の味わいには、甘味や旨味のほか苦味が含まれています。苦味の強さは刺激となって舌に伝わり、糖分量が多くても「辛口」に感じやすいことが特徴です。 一方、苦味や渋味などがなく、なめらかな口当たりの日本酒は「甘口」に感じることが多くなります。 3-3.発泡感 スパークリング日本酒のように、シュワッと発泡感のあるお酒は、のど越し良くドライテイストに感じやすい傾向にあります。 加熱殺菌処理をしておらず、ガス感のある生酒も同様です。シュワシュワとした微発泡感が刺激となり「辛い」「キレがある」と感じる要素のひとつとなるでしょう。 3-4.酸度 「酸度」は、日本酒に含まれる乳酸やコハク酸、リンゴ酸といった有機酸量を表す数値です。 日本酒度が同じお酒の場合、酸度が高いと甘味が打ち消され辛口に感じられます。反対に、酸度が低いお酒は甘くスッキリとした味わいに感じられるのが特徴です。 3-5.アミノ酸度 「アミノ酸度」は、日本酒に旨味やコクを与えるアミノ酸の量を表す数値です。アミノ酸が多く旨味の強い日本酒は、糖分量が少なくても「甘い」と感じられることがあります。 「アラニン」「アルギニン」「グルタミン酸」「アスパラギン酸」をはじめ、日本酒に含まれるアミノ酸はおよそ20種類。旨味や苦味、酸味や渋味が複雑に絡み合い、日本酒の奥深い味わいを生み出す大きな要素となっています。 4.甘口・辛口の感じ方は人それぞれ 日本酒のラベルにある「甘口」「辛口」は、日本酒に含まれる糖分量を表しています。 一方で、飲み手が感じる「甘い」という印象には、前述したように香りや苦味、旨味といったいくつもの要素が関係しているのです。 例えば、日本酒度プラスの「辛口」でフルーティーな香りお酒の場合。飲む人によって次のような捉え方が生まれます。 とってもフルーティーな香り。甘口のお酒だね。 華やかな香り♪ 後口スッキリ辛口タイプね。 そう、つまり「甘口」「辛口」の感じ方は人それぞれということ。日本酒の楽しみ方を広げるには「甘口」「辛口」という言葉にしばられすぎないことがポイントです。 「後口がスッキリした日本酒が好き」「どっしり飲みごたえのあるお酒が好み」「香りが華やかな銘柄が良いな」など、ぜひ思い思いに日本酒の個性を楽しんでみてください。 まとめ 米と米麹を発酵させて造る日本酒は、さまざまな味わいを持つお酒です。特に、近年は甘酸っぱさが際立つお酒や微発泡感のあるお酒など、さまざまなタイプの日本酒が誕生しています。 日本酒選びに迷ったときには、ラベルの「甘口」「辛口」表記も参考のひとつ。難しい考えにとらわれることなく、自由に美味しい日本酒を楽しんでみてください。

【佐々木酒造】朝の仕込蔵見学体験レポ!五感で感じる日本酒造り【京都】

(画像出典元:佐々木酒造) 日本酒を楽しむようになると「日本酒はどうやってできるの?」「酒蔵ってどんなところ?」と感じることもあるのではないでしょうか。そんなとき、ぜひおすすめしたいのが酒蔵体験です。 今回は、京都市中心部に位置する酒蔵「佐々木酒造」さんの酒蔵見学におじゃましました! 佐々木酒造は、京都市中心部に位置する酒蔵。「KALDI」との人気コラボ商品『酒蔵のネコ』の蔵、でピンと来る方もいらっしゃるかもしれませんね。 温度、迫力、香り、音…そしてお楽しみの試飲と、五感で感じる魅力がたっぷりと詰まった佐々木酒造の酒蔵見学。早速その様子をお伝えします! 1.京都洛中の酒蔵「佐々木酒造」 「佐々木酒造」は、平安時代の京城内を意味する洛中(らくちゅう)に位置する酒蔵です。蔵が建つのは、かつての豊臣秀吉の邸宅「聚楽第(じゅらくだい)」跡地の南端にあたる場所。近くには二条城が建つなど、周辺は実に京都らしい風情にあふれています。 実は洛中は、日本造りに欠かすことのできない良質な「水」に恵まれた地域。地下には豊富な水をたたえる水瓶があり、佐々木酒造もまた、井戸から湧き出る銘水「銀明水(ぎんめいすい)」を仕込み水として使用しています。 佐々木酒造の創業は1893年(明治26年)。代々続く日本酒製造はもちろん、リキュール製造やスイーツ店とのコラボレーションといった多彩な事業展開は、各方面から高い注目を集めています。 「洛中酒蔵ツーリズム」と題したさまざまな地域経済活性事業もそのひとつ。今回参加させていただいた『冬季限定!佐々木酒造酒仕込み早朝見学』も洛中酒蔵ツーリズムの一環です。 見学の感想をはじめにお伝えするならば…「想像以上に大満足!蔵人さんたちがカッコイイ…そして今すぐ、お酒が飲みたい」のひと言。 人気を受け見学日の追加も設けられた早朝の酒蔵見学コース、早速スタートです! (2022年3月1日現在) 2.7時10分、酒蔵見学スタート! 酒蔵の朝は、早い。見学開始時間は7時10分。すでに日本酒の原料となる酒米が蒸されている時間です。曇り空のため画像では分かりにくいものの、屋根からはもうもうと白い湯気が立ち上っていました。 準備していただいた上着とシャワーキャップを着用し、いざ蔵内へ!見上げる湯気に見学への期待も高まります。 蔵内で見学者を迎えてくれたのは、中央にドーンと鎮座する大きな甑(こしき)。先ほど外で見上げていた湯気は、この甑から放たれていたもの。温かさとともに、お米の炊ける甘い香りが鼻腔をくすぐります。 日本酒造りに使う米は、雑味を取り除くために外側を削り、水を吸収させ、蒸してから使用します。 日本酒造りでは、米に水を吸収させる「浸漬(しんせき)」という工程が麹(こうじ)の仕上がりを大きく左右するそう。水の管理のため、蔵人さんはときに5時前から仕事を開始するとか。 酒造りがおこなわれるのは、秋から春先の寒い時期。京都の冬はひどく冷え込むことも珍しくありません。早朝の酒蔵見学で早起きしたつもりになっている場合ではなかった…。蔵人の方々、本当に頭が下がります。 酒米の蒸し具合は、湯気の出方や匂いなどで判断するそうです。甑の回りでほかほかと暖をとっていたのも束の間。蒸し上がりの合図とともに、蔵人さんたちが一斉に甑の周りへ駆け寄ります。 ゴゴゴゴという機械音とともに、甑の後ろで出番を待ち構えていた放冷機も稼働。いっきに緊張が高まる瞬間です。クレーンで吊り上げられた大量の蒸米は、そのまま放冷機へと運ばれていきます。 放冷機は、アツアツの蒸米を冷ましていく機械。と同時に、蒸米にはこの段階で「モヤシ」と呼ばれる種麹(たねこうじ)が振りかけられます。 重たい米を持ち上げて放冷機に移し、冷ましていくこの工程は、見た目以上に危険を伴う作業だそう。またもや蔵人のすごさを目の当たりにした瞬間でした。 3.暑くて寒い?米麹と酒母が眠る2階へ 放冷機で冷まされた蒸米は、ホースのなかを通り、2階の麹室(こうじむろ)へと運ばれていきます。見学者も靴にカバーをかぶせ、昔ながらの急階段を上り麹室へ。 外気の冷たさを感じる1階と違い、麹室はむわっと温かさを感じる空間です。麹菌が元気に活動できるよう、室温は30~40度、湿度は60%に保たれています。 蔵人さんが指差しで伝えているのは、運ばれてきた蒸米の温度のあんばい。指を上へ、下へ、ちょうど良いときは頭上で大きく丸。その様子がカメラのモニター越しに1階へと伝えられます。 大吟醸酒の仕込みの際は、蒸米を床(とこ)と呼ばれる台に広げて種麹を振りかけるそう。それから蒸米をまんべんなく混ぜる作業は、暑さの中の重労働だとか。麹をふりかけた蒸米は棚に広げられ、適度に乾くと米麹の完成です。 「それでは次は酛部屋(もとべや)に行きましょう。途中、足元が危ないので気を付けてくださいね」 この日、案内を担当されていたのは蔵人の疋田(ひきた)さん。ていねいに案内していただいた先にあったのは、1階を下に見渡す狭い階段! 今はホース内を通って運ばれる米麹も、以前はこの上を蔵人が抱えて運んでいたとか…いやいや、絶対無理(笑)すごい。すごすぎる。 酛部屋(もとべや)と呼ばれる「酒母(しゅぼ)」を育てる部屋は、麹室とは打って変わってひんやりとした空間。 酵母が活発に活動し、温度が高いまんなかのタンクではぷくぷくと小さな泡がたっていました。より日にちが経過したいちばん右側のタンクには、酵母の働きを抑えるため、氷の入った銀色の樽が吊るされています。 佐々木酒造が主力としているのは、「京の琴」という名の香り高いお酒が生まれる酵母。こうして温度管理をしながら、13日ほどかけて酒母を育てていくそうです。ふわふわと泡立つ酒母からは、ほんのりと甘くやさしい香りがしていました。 4.いよいよ搾りたてのお酒と対面 階段を下り1階へ戻ると、見学もいよいよクライマックス!ふわっと甘い香りを感じたかと思うと、そこには見上げるほど大きなタンクがズラリ並んでいました。 タンクのなかには、先ほどの酛部屋で見た酒母、温かい麹室で造られていた米麹、そして蒸米が入っています。 これらを3回にわけて加えていくのが「三段仕込み」と呼ばれる日本酒の一般的な造り方。「並行複発酵」ともいわれる、世界でも珍しいお酒の醸造法です。 ハシゴに登り、タンク内を長時間かき混ぜる作業はかなりの重労働だそう。こんなにも間近で見せていただけるなんて…。佐々木酒造さんの見学体験、本当にぜいたく&素晴らしすぎる…。 それぞれのタンクを覗かせていただきましたが、6日目の醪(もろみ:タンク内の液体)は、ヨーグルトやミルクを思わせる甘くやわらかい香り。明後日に搾られるという醪はさらに進化を遂げ、お酒の甘さ、芳醇さを感じさせる香りへと変化していました。 これが今生きているお酒の香り…と感激していると、ガタタンガタタンと隣の部屋から物音が。 「あ、ちょうど搾っている音ですね。行ってみましょう」と案内された部屋では「ヤブタ式」と呼ばれる機械がお酒を搾っているところでした。 この機械で醪をぎゅぅっと搾ったあと、アコーディオンのような部分に残る固形物が、スーパーなどで目にする「酒粕」です。 タンクのなかには、まさに搾りたての日本酒が!美しい!そして飲みたい!(笑) 朝早く、この搾りたてのお酒をいただけるのは蔵人だけ。それはもう、ここまでの数々の工程を見たらそれだけの特権も当然です。 ちなみに、佐々木酒造ではヤブタ式圧搾機のほか、遠心分離機も使用されています。圧力をかけない遠心分離機を使ったお酒は、雑味のない、実にきれいな味わいに仕上がるそう。 また、醪を入れた袋を吊るし、こぼれる雫を斗瓶(とびん)というガラス瓶に集める「斗瓶囲い」は蔵人総出の大仕事だとか。とれる量が少ないぶん、袋吊りのお酒は高価なもの。理屈でわかっていることも、これだけの設備を目の当たりにすると納得ですね。 5.佐々木酒造のお酒を味わう!お楽しみ試飲タイム お酒が貯蔵されている倉庫や瓶詰め・包装エリアを抜け、大満足の蔵内見学は終了!ですが…まだまだツアーは終わりではありません。 集合場所の部屋に戻ると、いよいよお楽しみの試飲タイムのスタート! 事前案内には「試飲(軽く)」と記載されていましたが、なんと佐々木酒造とっておきのお酒が3種類も用意されていました。 お酒の説明をしてくださったり、見学者からの質問に答えたりしてくださるのは佐々木晃社長。この後、じんわり温かな甘酒まで自ら振る舞ってくださいました。 「古都 しぼりたて」は、ロックやソーダ割にしても楽しめるお酒だそう。蔵人・疋田さんいわく、ライムやレモンをキリッと搾っても美味しいのだとか。「日本酒=むずかしい」というイメージから開放され、楽しみの幅がより広がりそうなお酒ですよね。 当初は3月上旬まで開催予定だったこちらのツアー。平日のみにも関わらず、人気を受け2022年3月17日(木)まで設定日が追加されています。 また、今回の見学以外にも、佐々木酒造ではさまざまなツアーが企画されているそう。詳細は佐々木酒造公式HPのほか、京都観光オフィシャルサイト京都観光Naviで確認できます。 佐々木酒造「京都洛中酒蔵ツーリズム」https://www.jurakudai.com/#tourism 京都観光オフィシャルサイト京都観光 Navi https://ja.kyoto.travel/ 京都という歴史ある土地で、日本文化のひとつである酒造りを守り、そして次世代へとつないでいく蔵「佐々木酒造」。酒蔵見学は、まさに日本酒造りの「歴史」と「熱」を間近で感じる体験でした。 酒蔵に興味のある方、日本酒好きな方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。 佐々木社長、そして蔵の皆様方、今回は本当にありがとうございました! 佐々木酒造株式会社 [所在地]京都府京都市上京区北伊勢屋町727 [電話番号]【TEL】075-841-8106 【FAX】075-801-2582 [従業員数]25名(ネコ含む)※ネコはリモートワーク中 [公式URL]https://www.jurakudai.com/

古くて新しい日本酒。仙禽の種類やラインナップを紹介

「仙禽(せんきん)」は、栃木県さくら市で生まれる日本酒です。甘酸っぱくキレがあり、和食はもちろん、イタリアンやフレンチとも相性が良いお酒として幅広い層に親しまれています。 また、土地の個性を重視し、オーガニック製法を取り入れていることも大きな特徴。今回は、仙禽のラインナップの数々を紹介します!古くて新しい、常に進化し続ける仙禽の魅力をぜひチェックしてみてくださいね。 1.仙禽の銘柄の種類は大きく分けて4つ 栃木県の「株式会社せんきん」が造る「仙禽」の種類は、大きく以下の4つに分類されます。 クラシック仙禽 モダン仙禽 仙禽 オーガニック ナチュール プレミアムシリーズ 仙禽が酒造りで重視するのは、土地の個性を意味する「テロワール」。原料となる酒米は、酒造りに使う仕込み水と同じ水脈上で育てられています。 いずれも仙禽は、強い酸味が持ち味。元ソムリエの蔵元・薄井一樹氏、その弟である杜氏・薄井真人氏が二人三脚で生み出す仙禽は、和食はもちろん洋食にも合う日本酒として世界から注目を集めています。 1-1.古くて新しい「クラシック仙禽」 「クラシック仙禽」は「生酛仕込み(きもとじこみ)」と呼ばれる伝統製法で生まれるシリーズです。特徴は、しっかりとした旨味主体の味わい。上品でおだやかな酸味とのバランスが際立ちます。 1-2.酸味と甘味の「モダン仙禽」 「モダン仙禽」は甘酸っぱくジューシーな味わいが大きな魅力。古典的を意味する「クラシック仙禽」と対になるシリーズです。「クラシック仙禽」に比べ香りも華やか。ワイングラスに注ぐと、その魅力がより一層花開きます。 1-3.超自然派の「仙禽 オーガニック ナチュール」 「仙禽 オーガニック ナチュール」は超自然派製法で造られるお酒です。仕込みに使用するのは、蔵に存在する無添加の酵母。米の精米は最小限に抑え、木製の木桶(きおけ)を使用するなど、古代の酒造りを再現したともいえるシリーズです。 1-4.上質を味わう「プレミアムシリーズ」 「プレミアムシリーズ」は、原料、製法ともにぜいたくに造られています。蔵の最高峰ともいえるラインナップは、ボトル、化粧箱とも高級感あふれる仕上がり。贈答用にもふさわしいエレガントな味わいの日本酒です。 2.クラシック仙禽のラインナップ クラシックシリーズは、仙禽ならではの酸味と旨味のバランスが大きな魅力。古代米「亀ノ尾」、高級酒米「山田錦」、幻とも呼ばれる「雄町」それぞれの個性を存分に味わるラインナップです。 2-1.クラシック仙禽 亀ノ尾 古代米「亀ノ尾」で生まれるクラシックシリーズは、香り穏やかでコクのある味わい。亀ノ尾が持つ深い旨味とともに、仙禽ならではの甘酸っぱさが広がります。適度に冷やしてワイングラスに注ぐほか、燗酒にして楽しむのもおすすめです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-2.クラシック仙禽 無垢 クラシックシリーズの定番酒「無垢」は、地元さくら市で育った山田錦を100%使用し、みずみずしく豊かな味わいを生み出しています。 仙禽にとって、金や銀は「亀ノ尾」や「雄町」を意味し、素朴で純真なスタンダードは「無垢」にあたるそう。何気ない日常にそっと寄り添う、上品でさわやかな旨味を持つお酒です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-3.クラシック仙禽 雄町 「雄町」は岡山県南部を中心に栽培されている酒米です。「クラシック仙禽 雄町」には、地元さくら市で育った雄町を使用。雄町ならではのボリューム感ある味わいに仕上がっています。酒米が育つ大地の力、雄町が持つエネルギーがギュッと詰められたボトルです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3.モダン仙禽のラインナップ これぞ仙禽という、甘酸っぱくジューシーな味わいが際立つモダン仙禽。仙禽は初めてという方にもぜひおすすめしたいシリーズです。適度に冷やしてワイングラスに注ぎ、唯一無二の酸味をお楽しみください。 3-1.モダン仙禽 亀ノ尾 「モダン仙禽 亀ノ尾」は、仙禽の代表作ともいえる銘柄です。グラスから広がる香りは、フレッシュなもぎたての果実のよう。口に含めむと甘酸っぱさがジュワッと広がります。日本酒を飲みなれない方にもぜひおすすめしたい1本です。 (出典元:IMADEYA ONLINE...

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