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「若者による若者のための日本酒造り」学生酒づくりプロジェクトさんにインタビュー!

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「若者による若者のための日本酒造り」学生酒づくりプロジェクトさんにインタビュー!

皆さんは学生酒づくりプロジェクトをご存知でしょうか?

産学連携で学生と酒蔵が協力して、「若者による若者のための日本酒造り」にチャレンジしています。

今回は学生酒づくりプロジェクトに携わっている3名の方にインタビューをさせていただきました!

学生酒づくりプロジェクトとは?

「学生酒づくりプロジェクト」とは、京都府綾部市にある酒蔵「若宮酒造」の木内社長の協力のもと、若者のための新しい日本酒づくりのために立ち上げられた産学連携プロジェクトです。

京都府綾部市の綾部高校農業科3年生が初めて栽培/収穫した酒米「五百万石」を使い、福知山公立大学地域経営学部の学生が商品企画と酒造りを担当、京都工芸繊維大学デザイン専攻の学生がラベルデザインを担当して、これまでの日本酒のイメージを一新する「若者による若者のための日本酒造り」にチャレンジしています。

クラウドファンディングのページはこちら
※クラウドファンディングは3/31で締め切りとなっています。

学生の夢を叶える|Chillい日本酒で日本酒を新たなステージへ!

今回インタビューにご協力いただいた3名

今回、インタビューにご協力いただいたのは、「福知山公立大学 学生酒づくりプロジェクト リーダーの嶋野さん」「福知山公立大学谷口ゼミ 谷口知弘 教授」「若宮酒造代表兼杜氏 木内さん」にご協力をいただきました!ありがとうございます!

インタビュー中は、時折冗談も混じりつつ、非常に和気あいあいとしており、学生の方々と酒蔵の方々が日々素敵なコミュニケーションを交えながら、プロジェクトを進めていることが伺えました。

学生酒づくりプロジェクト
福知山公立大学 学生酒づくりプロジェクト リーダーの嶋野さん
学生酒づくりプロジェクト
福知山公立大学谷口ゼミ 谷口知弘  教授
学生酒づくりプロジェクト
若宮酒造代表兼杜氏 木内さん

日本酒がゼミのテーマとして決まった経緯

編集部

今回、どういった経緯でゼミのテーマが日本酒に決まったのでしょうか?

 

 

谷口教授

福知山公立大学は地域とともに歩むということで、産学連携の取り組みは大学でも奨めています。

今回は地元の酒蔵である若宮酒造さんから大学に連携の協力のご相談がありまして、これは大学の方針としても「大事なことだ!やらねばいかん!」ということで手を挙げさせていただきました。まあお酒が飲みたいというのも大きな理由の一つです(笑)

学生酒づくりプロジェクト
お酒が大好きな谷口教授

日本酒ラボ編集部

なるほど、若宮酒造さまの方から学校にこういう話があるんだけれどもやってみないかというお話がきて、今回のプロジェクトが始まったのですね。

悩みに悩んだ日本酒のコンセプト

コンセプトがなかなか決まらない…

日本酒ラボ編集部

今回の日本酒の「chill」というコンセプトはどのようにしてできたのでしょうか?

嶋野さん

この新しい日本酒が、どういうものになるのかを形作る商品のコンセプトを作ろうとなったんですけど、いざゼミのメンバーで考えてもなにもピンと来るものがなくて…

毎週毎週ミーティングを重ね、コンセプトを決めなきゃいけない締め切りの期限がきて「じゃあ、今日決めましょう」と何案か出したんですけど、結局コンセプトを決めることができませんでした。

プロデューサー「Chill」に食いつく!

日本酒ラボ編集部

日本酒の根幹を決める部分でもあるので、案を出すのはなかなか大変ですよね…

嶋野さん

そうなんですよ。少しだけ期限を延ばしていただいて、プロデューサーとしてサポートしていただいている辻岡さんに、「個人面談をしましょう」ということで進めていく中で、うちのチームメンバーの一人が、「ヒップホップ、特にchillなヒップホップが好きです」と。

その一言にプロデューサーが食いついたんですよね。

「ん? チル・・・? 何それ?リラックス系でHipHop?」と疑問に思っていたプロデューサーも実際にyoutubeで聴いてみて、

「いいじゃん、HipHopをイメージした日本酒なんて新しいよ!しかも、ゴリゴリのラップじゃなくて、ゆったりしたおしゃれなラップなんて若者でしかイメージできないよ。」ということで、「chillな日本酒」というのが若者向けでも一番マッチしているし、同世代の方々にも共感していただけるかなということで、「chill」というコンセプトが決まりました。

学生酒づくりプロジェクト
コンセプト案

「CHILLな夜に癒やしを得る」という名前が決まるまで

日本酒ラボ編集部

「CHILLな夜に癒やしを得る」という名前はどのようにして決まったのでしょうか?

嶋野さん

chillなヒップホップというのはゆっくりしたビートの音楽で体を休めるようなヒップホップなので、ラップの内容も日常を表現するようなものが多いです。

あと「ラップ=韻を踏む」というイメージがあったので、「商品名でも韻を踏みたいね」という話から、韻を踏むネーミングという方針になりました。

chillの「ル」で韻を踏む

嶋野さん

まずコンセプトは「chill」なので、chillという単語は入れようと。

そして、コンセプトが「chill」なので、「ルで終わる音」でchillっぽい単語を考えたとき、「夜」という単語がchillっぽい雰囲気もありつつ、韻も踏めているので「夜」という単語の採用から、最初に「chillい夜」というキーワードが生まれています。

ただ、「chillい夜」だけだと「韻を踏んでいる印象が薄いと感じたので、もう少し言葉をつなごうという話になりました。

日本酒ラボ編集部

たしかに、「chillい夜」だけだと、いまの商品名より韻を踏んでいる印象は薄いですね。

 

嶋野さん

はい、そこから「chill」という単語をイメージして出ていたのが「癒し」でした。この「癒し」を使って韻を踏もう、という発想から「癒しを得る」につながっています。

最初の方はそのまま「chillい夜に癒しを得る」という名前になりそうだったんですけど、「chillい」は文字にすると、どうも読みにくいという問題点があったので「chillな夜に」これでいこう!と決まりました。

学生酒づくりプロジェクト
CHILLな夜に癒しを得る

いざ!日本酒造り体験!

日本酒ラボ編集部

今回「CHILLな夜に癒しを得る」という日本酒を造るにあたって、日本酒造りに携わったということですが、最も大変なことはなんでしたか?

 

嶋野さん

まず、大前提として我々大学生には早起きするのがとても難関でした。(笑)

酒造りは朝の早い時間から行われているわけなんですけども、「木内さん明日何時くらいに行ったらいいですかね」と聞いたら「8時ちょっとくらい」と言われたんですけど、「あれ、大学の1限より早いな」って。

1限すら危うい自分たちにとっては大変な部分ではありました。

日本酒ラボ編集部

蔵人の皆さん、酒造りの時期は朝がとっても早いので、ほんとにすごいですよね。

 

嶋野さん

そういう点で、若宮酒造の方々に限ったことではないと思うんですけど、蔵人の方々というのは朝からすごい集中力を持って作業に取り組まれていたので、尊敬している点ですね。

作業工程の中で大変だなあと思ったのは麹室での作業でした。麹室は常に室温30度ほどあるんですけど、外はこの時期はまだまだ寒いので、その寒暖差がある中での作業というのが結構しんどかったですね。

1日でもなかなか堪えていたんですけど酒蔵の皆さんはこれを毎日やっているわけなので、そこもすごいなって尊敬できるポイントでした。

学生酒づくりプロジェクト
日本酒造りの様子

日本酒ラボ編集部

木内さんから見て、学生の皆さんの酒造りの様子を見ていかがでしたか?

木内さん木内さん

麹室での作業は、吟醸で使用している麹菌の量自体もかなり少ないのもあって、学生の皆さんには冗談ではありますが「吸い込む量も無駄になるから息もするな」と(笑)。

冗談なのはそうなんですけど、そういう意味でもリアルな酒造りの現場の雰囲気を体感してもらえたんじゃないかなあと思います。

学生酒づくりプロジェクト
とてもお話上手な若宮酒造代表兼杜氏 木内さん

完成した日本酒の出来栄えや味わいは?

日本酒ラボ編集部

皆さんすでに試飲はしていると思うのですが、完成した日本酒の出来栄えというのはいかがでしょうか?

 

嶋野さん

日本酒については何も知らない僕たちが、木内さんに「こうしてください、ああしてください」みたいな要望を色々出したんですけど、そういった漠然としたイメージを見事形にしていただいたなと思っています。

自分みたいな日本酒初心者の方でも飲みやすいと思いますし、日本酒に飲み慣れている方でも、なかなか飲んだことのないような味わいを楽しむことができると思っています。

学生酒づくりプロジェクト
「CHILLな夜に癒しを得る」と嶋野さん

谷口教授

とてもおいしかったですね。住んでいた場所の関係で京都の伏見や、あとはこっちに来てから木内さんの若宮酒造さんのお酒や、他の福井のお酒も飲んでいるんですけれども、やっぱり日本酒ってそれぞれ個性があってちがうんですよね。

今回このゼミで造った日本酒もコンセプトが若者向けなので、酒飲みにとってはどうなのかなって思ってたんですけど、香りはあるんですけれども、パーッとした華やかな香りとはまた違って、私のようなオヤジでも楽しめるしっかりした味があってハマりそうです。

純米吟醸なんで少し高いんですけど、この味でもっと安いお酒がでたらいいなって(笑)

そして、木内さんに勧められてこの前、日本酒を初めて炭酸で割ったんですよね。すごい新鮮で、日本酒は常温や冷や、燗で飲んでいるのが一般的かなと思うんですけど、「日本酒って割っても飲めるんだ」ということに気づかせてもらえるきっかけにもなりました。

 

木内さん木内さん

嶋野くんや先生はすごい褒めてくれているんですけれど、結局僕から言うとこれも「日本酒」なんですよね。というのもあくまで僕は「日本酒」というものをみんなに広めたい、知ってほしいという思いがあったので、その点では大成功なのかなと。

で、いま先生がおっしゃったように、炭酸で割ってもいけるということは、味自体がしっかりしているからできることだし、「こういうお酒はみんなから敬遠されちゃうんじゃないかな」と僕たちが思っていたようなお酒でも、リクエストしてくれたのが学生である若い子たちだったっていうのは、自分の中でも新しい発見がありましたし、こういうのをうまく次の商品とか来年度の商品開発につなげることができたらいいなと思っています。

そして、この取り組みは一過性のものではなく、また違う形、違うコンセプトで来年再来年と続けてやっていくことに意義があると思っているので、その第一歩を踏み出してくれた嶋野くんたちには感謝しているし、いままでにないような新しいコンセプトを出してくれたのは本当にありがたいと思いました。

学生酒づくりプロジェクトの今後

日本酒ラボ編集部

谷口先生、また来年もゼミでこのような活動というのは続けていくのでしょうか?

谷口教授

1年で終わるのではなくて、長い目で見て続けていきたいよねという話はしています。うちのゼミは商品開発というよりは、街づくりのゼミなんです。

ですので、日本酒の開発もさることながら、地元に根ざしたものづくりの企業様とご一緒させていただくことで、「地域の自然と、ものづくりの関係」や「人と人との関係」のようないろんな関係を紡ぎ直す取り組みを育てていきたいなあと思っています。

ですので、酒を開発して売るだけではなく、木内さんの若宮酒造さんともイベントを企画しようだとか、地域の風土を活かしていく、そこに酒造りや酒蔵を掛け算していくような取り組みを、急がずゆっくりと育てていきたいなと思っています。

日本酒ラボ編集部

ありがとうございます。今後の学生酒づくりプロジェクトさんの取り組みも要チェックですね。

 

学生酒づくりプロジェクト
酒米担当を担当した綾部高校農業科と学生酒づくりプロジェクトのみなさん

クラウドファンディング終了後は一般販売も

日本酒ラボ編集部

「クラウドファンディング終了後、一般販売を予定しております」とあるのですが、すでに販売予定地域などは決まっているのでしょうか?

木内さん木内さん

現在は、4/15からうちの若宮酒造の店舗と地元の特産品を扱う特産館で売ることは確定していて、話をすれば乗ってくれるところはたくさんあると思うのですが、スケジュールが押し押しでやっているので、きちんとあいさつ周りができていないという部分もあり、他の販売店に関しては現在未定です。

近々できれば嶋野くんたちと、うちのお得意先を一緒に回って、感想を聞きながらぜひお願いしますというのもできたらいいなと思っています。

あとはクラウドファンディング終了後に動き始めるのですが、ECサイトとかそのへんでも、販売していこうとは思っています。

※CHILLな夜に癒しを得るは「CAMPFIRE限定ラベルデザイン」と「正規商品ラベルデザイン」がありますが、一般販売は「正規商品ラベルデザイン」のみです。

一般販売を予定しているECサイトはこちら

「若宮酒造」公式ECサイト

今回の活動を通して、日本酒に対するイメージは変わった嶋野さん

日本酒ラボ編集部

最後に、今回のゼミでの活動をとおして、嶋野さんの元々日本酒に対して持っていたイメージと、今のイメージではどういう変化がありましたか?

嶋野さん

飲む前は日本酒はおっさんが飲むイメージ…

木内さん木内さん

おっさん言うな(笑)

嶋野さん

度数が高くて、日本酒の味がわかる人しか楽しめないお酒なんじゃないかなと勝手に思っていました。

今回のこの活動で初めて試飲して、「あれ、なんかうまいなあ」とシンプルに思いました。

「日本酒って実はおいしいんだよ」っていう感覚を他の人にも知ってもらいたいなって思いもあったので、それを商品という形にして皆さんにお届けするのと、あとは谷口先生も先程おっしゃっていた、商品開発じゃないところで地域と連携して何かしていくこととか、同じ若い世代の方々に日本酒の楽しさとか魅力とか共有できるような場作りをしていけたらいいなと思っています。

木内さん木内さん

嶋野くん単位取りにいってるでしょそのコメント(笑)

日本酒ラボ編集部

単位は大事ですからね(笑)
日本酒はおいしいんですけど、そういうイメージが先行しがちなので、「CHILLな夜に癒しを得る」を通して、少しでも日本酒をおいしいと思う若い方が増えてくれたらいいなと思います。

嶋野さん、谷口先生、木内さん、本日は貴重なお時間ありがとうございました!