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「二才の醸」をお手伝い!SHUGO編集部が青木酒造でお酒造りを体験1

以前SHUGOでも紹介した「二才の醸」(https://sake-cabinet.jp/archives/558)の今年の仕込みがあると聞き、 SHUGO編集部が「二才の醸」造りを体験してきました。 「二才の醸」は、20代だけで造るお酒をコンセプトに、蔵元から蔵元へとブランドが引継がれていくプロジェクトです。来年には新しい酒蔵へとバトンタッチされる予定で、青木酒造が作る「二才の醸」は今年で最後。今回はその最後の仕込みに参加させて頂きました。   当日参加させて頂いたのは、お酒の元となる醪を仕込む工程で行われる、留仕込という工程。 醪は三回に分けて仕込むのが一般的ですが、その中で最後に一番多くのお米を投入する工程です。 仕込みで使うお米は、蒸したあとで十分に冷ましてから仕込みタンクへと投入されます。お米を蒸す工程では、仕込み中に米の粒が崩れすぎない様、外側は固く、中は柔らかく蒸し上げる事が理想だそうで、事前の水の吸わせ具合と、蒸す温度調整が重要だそうです。   そうやって蒸し上げたお米は、まず窯からかき出して冷ましていきます。 十分に冷まさないと、タンク内の温度が上がってしまい仕込みに影響が出るのだそうです。冷却送風機を通した後ですのこに並べ、大きな塊を崩して熱を逃がしていきます。杜氏の箭内さんが教えてくれたのですが、青木酒造の「二才の醸」に使うお米はふくまるという茨城の食用品種で、お寿司に良く合うそう。蒸したお米を少しいただきましたが、食用米らしいしっかりした甘みが感じられるお米でした。   冷ましたお米は、布に包んで1回のタンクまで運びます。これがなかなかの重労働!1回10キロから15キロ程度のお米を運ぶのですが、最後になるとタンクのはしごを登るのも大変な作業でした。     お米を全てタンクに入れた後で、タンクを専用の棒で攪拌します。杜氏は軽々と混ぜていましたが、実際は素人が触ってもまったく棒が動くものではなく、なかなかの力仕事です。 留仕込が終わった後で、出麹の工程もお手伝いさせて頂きました。出麹とは、麹室で仕込んだ麹菌をまとったお米を部屋から出して乾燥させる工程のことです。出麹の時点で麹は驚くほどさらさら。麹は噛みしめるとじんわり甘みが増してくる印象で、ただのお米とは違った食味が印象的でした。   この麹をすのこの上に広げ、風が通る道を作ってあげれば作業も完了です。この後充分に乾燥させたうえで仕込みに使われるそうです。  

酒蔵取材レポートvol-2:澤乃井(小澤酒造) 2つの『水』を使い分けるこだわりの酒作り

東京都心から約1時間30分。 降り立つとすぐに、都会とは違った澄んだ空気を感じられるほど、山々の新緑と多摩川の美しい清流に恵まれた場所に「澤乃井(小澤酒造)」はある。 青梅市沢井の地で300年以上もの歴史を誇る酒蔵の23代目当主・小澤幹夫さんに、日本酒造りにおいて大切にしていることやお酒の楽しみ方を伺った。 出典:SHUGO-sake.media 綺麗な水を生かした酒造りを目指す 「小澤酒造で最も大切にしているのは『水』です。ブランドのロゴマークになっている沢蟹は、綺麗な水のある渓流に生息する生き物で、昔からこの多摩川にはたくさんいるんですよ。」と小澤さんは話す。 日本酒造りは大量に水を必要とし、さらに良質でないといけない。綺麗な水脈の近くであることは酒蔵の立地において必須条件といえるだろう。東京のなかでも、緑が美しい雄大な自然と、水がある場所。澤乃井は、まさに酒造りに適した場所に300年も前から蔵を構えているのだ。 蔵では、秩父古成層の岩盤を手で140mも掘った洞窟から湧き出る横井戸の中硬水と、4キロ離れた山奥の井戸から引く軟水の2種類を使用しているという。 「2つの水を使い分ける蔵は、うち以外にはあまり聞いたことがないですね。中硬水をつかった酒は「男酒」と呼ばれ、ミネラル分が豊富なため発酵が活発になることで、味が武骨でキレのある酒に仕上がります。反対に軟水をつかうと発酵がゆっくり進むため、酒はなめらかで上品な口当たりとなり、「女酒」と呼ばれるんですよ。」 生酛造りで酒を仕込むときは硬水をつかうようにするなど、2種類の水を使うという澤乃井の日本酒は、キレを感じさせながら口のなかではまろやかに味が広がるのが特徴だ。「飲んでいただくと、『日本酒っぽい!』という感想をいただくんです。」と小澤さんは笑う。 日本酒は自分が好きなものを好きなだけ楽しむように 「酒離れ」が進んでいるといわれる昨今。日本酒も例外ではなく、国内での消費量が減少しているという現実に対して小澤さんはどのように感じているのだろうか。 「お酒自体をあまり飲まなくなった今、日本酒も、昔のように量を売るというのは現実的ではないと思っています。今までは宴会や社員旅行など、半ば必然的にお酒を飲む機会が多かったと思いますが、個々が自分の時間を大事にする方向に生活に対する意識がシフトしてきた表れじゃないでしょうか。それによってお酒は「飲みニケーション」といわれるようなコミュニケーションツールから、自分が好きなものを好きなだけ楽しむ「嗜好品」という立ち位置に変わってきていると感じます。」 純粋に日本酒を嗜む人が増えることは、酒蔵にとってはより良いものを目指すことで酒質の向上にもつながるのではないかと小澤さんは言う。 澤乃井は海外展開やインバウンド需要に対しても積極的に取り組んでいる。今はメジャーになった蔵見学も、日本酒を理解してもらうために一般客を受け入れる「観光酒蔵」として昭和41年には開始しており、小澤さんの祖父が先駆けだったという。奥多摩の自然に触れながら澤乃井で日本酒を楽しもうと年間2万人〜3万人の観光客が足を伸ばし、最近は外国から訪れる人も多く、英語での蔵見学も行っている。 お酒は不変的、だからこそ何気ない毎日の中で楽しんでほしい 長い年月の間日本酒を造り続けてきた澤乃井だが、時代の流れとともに変化する消費者の日本酒に対する価値観に合わせることはあるのだろうか。 「もちろん澤乃井でつくる日本酒も、キレのあるものから甘みの強いものまでたくさんあります。ただ、地酒というのは地の食文化に根付いて作られていて、それを変えることはしたくないと思っています。」 たとえば九州の郷土料理は、馬刺に代表されるように甘口醤油やにんにくを使うなどしっかりとした味のものが多い。食事に合わせるとなると、お酒もとろみを感じるほどずっしりとした舌触りのものでないと負けてしまう。京都の地酒は全国的には辛口のお酒が流行っている中で、甘みを感じられるものが多い。それは、柔らかで優しい出汁の味に慣れている京都人の口には心地良いから。東京は、どうだろう。江戸前寿しや佃煮と、醤油ベースで塩味を利かせた味が印象強いではないだろうか。澤乃井は地元の味に寄り添って、淡麗すぎず、かといって甘すぎない「旨口中辛」を目指し続けているという。 「出張で地方に行く際には、地元でしか手に入らないカップ酒を買うようにしています。大吟醸クラスになると全国の百貨店で買えちゃうから。飲み方は口当たりが良く、お酒の味がよくわかる常温が好きです。」 日本酒が好きだからこそ、いつまでも不変的であってほしいと語る小澤さんの答えは、まさに300年間、酒造りを通して地の文化と自然を変わらずに愛し愛されてきた澤乃井の真髄といえるだろう。口にする際には、酒蔵の目の前で流れる力強い水流の音、透き通った美しい川底を想像しながら楽しんでみてはいかがだろうか。 出典:SHUGO-sake.media 取材:澤乃井|小澤酒造株式会社 http://www.sawanoi-sake.com/

酒蔵取材レポートvol-3-1:青木酒造 人も酒も違うから面白い。多様性を受け入れ個性を表現する、青木酒造の酒造り

青木酒造について(https://aokishuzou.co.jp/) 青木酒造は天保2年(1831年)創業の、茨城県古河唯一の造り酒屋です。 青木酒造のお酒と言えば「御慶事(ごけいじ)」。 「最高のよろこびごと」を意味するこのお酒は、山田錦や雄町といった全国的に有名な酒米を原料とするものだけでなく、 茨城県の酒米、ブランド米や県産の酵母も使用して醸造されます。 これらのお酒は高い評価を受けており、茨城の地酒としての顔を持つことでも知られています。 これからの日本酒の可能性や青木酒造の酒造りについて、7代目蔵元青木滋延氏と、専務取締役の青木知佐氏にお話を伺いました。     青木酒造の想い 日本酒を取り巻く環境として、お酒の良し悪しに対する評価も最近変わってきているのを感じると青木滋延氏は話します。     一昔前までの日本酒業界では、評価されるお酒といえば山田錦を使った酒造りが当たり前で、鑑評会を通して評価されるお酒も、 山田錦を使った“美味しい酒”が多かった印象です。 美味しいお酒がどういった要件を持つべきかを金賞や入賞を通して示す事で、 皆がそれらの要素を取り入れお酒の価値や技術を向上していく指針とする、 という鑑評会の成り立ちから考えると、画一的な評価となる側面も致し方なかったのかもしれません。 一方で、近年ではどの酒蔵もうまい酒を造れるようになったことで、 画一的な評価基準で優劣を決める事が難しくなってきたことや、 消費者の嗜好の多様化を受けて、鑑評会のあり方も変わってきたと感じます。 また、酒米や醸造方法を軸とした品評会も多く開催される様になったことで、 お酒の評価の軸も多様化してきました。そういった時代になり、 青木酒造の酒造りの特徴の一つでもある、地元の米種を使い、 地元の農家と一緒に米から作る、地元に根付いた酒造りの取り組みも評価される環境になってきたのではないでしょうか。     青木酒造が大切にする、地元に根付いた取り組みを大きくすることが、結果的に酒造りが多様化していくことにつながると考えています。 お酒はお米つくりから始まります。お米からこだわって作ったお酒が評価されるようになると、それらの銘柄に使用されるお米の評価が上がります。 その結果として良いお米を作る農家が評価される様になれば農業関係者の努力が報われる、地域に貢献できる酒造りになるのではないでしょうか。 こうして地域と共に成長していくお酒造りに、青木酒造では取り組んでいます。   編集部のお勧め-「御慶事 純米吟醸 辛口」- 日本酒はお米の酒であって、お米の甘さや香りが無ければお酒はつまらないですよね。 ただ辛い酒をお好みなら、焼酎をどうぞ、とある蔵元が言っていました。 このお酒を飲んだ時にそんな話を思い出しました。 青木酒造の「御慶事 純米吟醸 辛口」はしっかりとした辛口の日本酒なのに、 お米の優しい甘さも備え持つ、日本酒独特の旨みと辛口らしいすっきりさがが融合した優しいお酒です。 辛口はどうも・・と思っていらっしゃる方も考えが変わるかもしれませんよ。 (https://aokishuzou.co.jp/product/122/) 【参考】 青木酒造 青木酒造‐御慶事 純米吟醸...

なかなか聞けないお酒の基本4:知っておくと便利なお酒の豆知識

様々な専門用語や豆知識などがあり、まだまだ奥深い日本酒の世界。知っているのと知らないのとでは日本酒の楽しみ方も大きく変わってくるはずです! そこで今回は日本酒を選ぶときに役に立つ、日本酒の作り方やによって異なる専門用語&知識をご紹介します! 1.「火入れ」「生酒」とは? 「火入れ」と「生酒」はセットで覚えたい用語です。日本酒の品質を保つために行われる加熱処理の工程に関係します。 日本酒の製造過程には酵母や酵素が多く関与し、これらの活動によりお酒の質は変化してしまいます。マイナス5℃管理など、冷蔵技術が進歩する前までは、温度の上昇により日本酒の品質、つまり酒質が変化してしまい、出荷された後に味が大きく変わってしまう事が課題でした。それゆえに「火入れ」を行い酵母や酵素を失活させることで、日本酒の味が安定します。

なかなか聞けないお酒の基本6:酒の温度と読み方の違い

ワインであればホットワインを除き基本的には少し低めの常温から冷えた状態で楽しむことが一般的ですが、日本酒の場合には「冷や」だけでなく「熱燗」などとより幅広い温度帯で楽しむことができるのも魅力の1つです。温度によっては全く違った味わいになることもあり、楽しみ方の幅も広い事が特徴です。今日はそれら温度帯によって異なるお酒の呼び方についてご紹介したいと思います。 また、「冷や」「熱燗」と一概に言いがちですが、実は温度によって10段階も呼び名があるのはご存知でしたか? 飛切燗(55度)から日向燗(30度)まで まず、55度前後で飲むことを「飛切燗(とびきりかん)」、50度前後は「熱燗」と言います。温度を上げることで、香りが立ち、またアルコール感を強く感じる様になるのが特徴です。また、45度前後は「上燗(じょうかん)」、40度前後は「ぬる燗」、35度前後は「人肌燗(ひとはだかん)」、30度前後は「日向燗(ひなたかん)」と、温めるお酒の温度によって更に細かく分けられます。お燗をする場合には、一般的には温度が上がるほどお酒の酸味は抑えられ、その分甘みを感じやすくなると言われており、しっかりした酸味を持つお酒や、辛口の本醸造などが向いていると言われることが多いです。 冷や(20~25度前後)から5度(雪冷え)まで そして、20~25度前後は「冷や」、15度前後は「涼冷え(すずひえ)」と呼ばれています。これは吟醸酒、大吟醸酒、純米酒などが適していると言われている飲み方で、甘辛度や酸度によって最も香りや味が引き立つ適温が変わると言われています。 それよりさらに温度を下げたのが、10度前後で飲む「花冷え(はなひえ)」、5度前後の「雪冷え(ゆきひえ)」です。飲んだ際に冷たさを感じられる冷え感で、お酒のシャープさが引き立ちますので一般的には生酒や原酒など独特の香り・味わいが強いお酒や、吟醸酒などが適しているとされています。

酒蔵取材レポートvol-3-2:青木酒造 青木酒造の新しい試み。「二才の醸」の取り組みについて①

青木酒造について(https://aokishuzou.co.jp/) 青木酒造は天保2年(1831年)創業の、茨城県古河唯一の造り酒屋です。青木酒造のお酒と言えば「御慶事(ごけいじ)」。「最高のよろこびごと」を意味するこのお酒は、山田錦や雄町といった全 国的に有名な酒米を原料とするものだけでなく、茨城県の酒米、ブランド米や県産の酵母も使用して醸造されます。これらのお酒は高い評価を受けており、茨城の地酒としての顔を持つことでも知られています。 これからの日本酒の可能性や青木酒造の酒造りについて、7代目蔵元青木滋延氏と、専務取締役の青木知佐氏にお話を伺いました。 昨年から青木酒造が引き継いでいる「二才の醸」も、次代蔵元である青木知佐さんにとって日本酒の可能性を感じた経験の一つだったそうです。 二才の醸は、銘柄を酒蔵間でリレーしていく、新しい取り組みです。2014年に石井酒造様で始まった取り組みで、当時まだ20代だった石井社長が、20代だけで醸す酒を造るというコンセプトを基にプロジェクトが始動しました。石井酒造様、宝山酒造様とバトンが渡され、当蔵で三代目です。 石井酒造様には蔵元と杜氏、それを引継いだ宝山酒造様には杜氏兼蔵元と営業責任者など、それぞれの蔵に20代で酒造りに取り組むコアメンバーがいましたが、当蔵には私以外にコアメンバーとなり得るメンバーがいませんでした。そこで当蔵のお米を作ってくださっている地元の契約農家様とご相談し、大学で農業を学ぶ学生をご紹介いただきました。その中から、日本酒造りのプロセスに興味を持ってくれた学生と一緒に取り組みを始める事にしました。 コアメンバーとして取り組んでくれた4名とは、みっちり一緒に日本酒造りをしました。仕込みからビン詰め、ラベル張りまでコアメンバー4名と、都度Facebookを通して応募したサポートメンバーと一緒に作ったのが当蔵の二才の醸です。別に日本酒好きが理由でプロジェクトに参加してくれているわけではないので、飲みやすい、飲みずらい、香りが良い、悪いなど、日本酒造りに取り組む人間にとっては当たり前と思いこんでいる事について感じ方の違いが見えたりして、新鮮な学びがありました。 例えばこのラベルも、日本酒には珍しいポップなデザインですが、参加してくれたメンバーみんなで一色ずつ色を出し合いコラージュして作りました。イベントの運営を学生に協力してもらったり当日のお酒の提供方法もそのまま飲むだけでなく、ミントとソーダでモヒート仕立てにして新しい飲み方を提案したり。20代で作り上げた充実した取り組みでしたが、お酒造りのプロとして自分がリードしなきゃいけない事が多くて、お披露目会を終えるまでは正直うまくいくか気が気ではなかったです(笑)。今年も二才の醸の田植えを終えてひとまずほっとしているところです。秋以降は忙しくなりますが、今年はどんなお酒になるかを考えると、また大変な思いをするとは思いますが、同時にとても楽しみな取り組みでもあります。 編集部のお勧め-「三代目 二才の醸」- 田植えから稲刈り、仕込み、ラベルの企画から瓶詰めまですべて20代で作り上げたお酒です。このお酒を楽しむ時には、青木酒造のSNS投稿をご覧いただく事をお勧めします。イマドキの20代が日本酒について考えて、お米を作ってお酒になるまでの体験をたどることが出来ます。20代の自己表現がギュッと詰まった、いいお酒です。今回は2019年ビンテージをご紹介しましたが、2020年ビンテージも近日発売予定との事(2020年1月時点)。 (https://aokishuzou.co.jp/products-cat/nisainokamosi/) 【参考】 青木酒造 青木酒造‐三代目 二才の醸  

酒蔵取材レポートvol-3-4:青木酒造_伝えるべきは、味もさておき世界観

青木酒造について(https://aokishuzou.co.jp/) 青木酒造は天保2年(1831年)創業の、茨城県古河唯一の造り酒屋です。 青木酒造のお酒と言えば「御慶事(ごけいじ)」。「最高のよろこびごと」を意味するこのお酒は、山田錦や雄町といった全国的に有名な酒米を原料とするものだけでなく、茨城県の酒米、ブランド米や県産の酵母も使用して醸造されます。これらのお酒は高い評価を受けており、茨城の地酒としての顔を持つことでも知られています。 これからの日本酒の可能性や青木酒造の酒造りについて、7代目蔵元青木滋延氏と、専務取締役の青木知佐氏にお話を伺いました。   これからのお酒造りは、作り手の想いによって多様化していくのだと感じています。例えば蔵の大きさによって目指す酒造りが全く違うものだと実感しています。AIやIoTといった、テクノロジーの使い方ひとつをとっても、蔵が目指す方向性によって使い方は全く異なるでしょう。沢山のお酒を供給する大手の蔵の様に、品質を高いレベルで安定させるために、データをお酒造りの軸にする使い方も一つの形だと思います。   当蔵では、センサーや温度計などを活用したIoT機器を、人の判断を助けるために使っていきたいと思っています。全ての変数を管理して、データ通りにお酒を造るとすれば、1+1は何回やっても2にしかなりませんが、テクノロジーを使い分析を効率化する、意思決定をしやすくすることで、人が創意工夫をする余地が生まれて、1+1を3にするための新しいアイデアを実施する余裕を与えてくれます。色々な思いを基に作られたお酒が増えた方が、日本酒の味と表現はもっと多様化してもっと面白くなると思います。   お酒を造るときに、味にこだわる事は当然として、お酒の味を通して世界観が伝わるものである必要性を感じています。 以前地元の人から偽物が出回っている!という連絡を受けたことがありました。実際は当蔵の既存商品であって偽物ではなかったのですが、最近注目される事の多いフルーティーで米の旨みがしっかり出ているタイプの御慶事ではなかったので少し驚かれたそうで。御慶事が得意とするお酒の表現や一貫性を良く知ってくれている人がいるという、うれしい事例の一つだとも思っています。   世界観を知ってもらう観点からは、造り手についてもっと見て、知ってもらう機会を創りたいですね。例えば、前出のIoT機器を導入しようとしたときに、当蔵の杜氏は快く導入を受け入れてくれました。むしろ後世に酒造りを残そうと考えたときに、やりたかった事とも言ってくれました。 伝統を重んじる南部杜氏であるとともに、お酒造りのこれからとテクノロジーがもたらす貢献に理解のある、とても懐が深い杜氏です。そんな想いを持った人が、どんなお酒を造るのか、今度どういうお酒を造っていきたいと思っているのか、等、興味を持ってもらうきっかけを増やしたいです。   杜氏だけでなく、お酒造りに携わるメンバーが実際にどういった酒造りをしているか見てもらう機会として、当蔵では不定期ですが土曜日の午後に蔵見学をしております。直接蔵を見てもらって、お酒を好きになるきっかけを見つけてもらえれば幸いです。 蔵に来ると、意外な事がきっかけに、お酒に対する興味が芽生える事はよくあります。例えば実際にあった話なのですが、生産設備のバルブが気になってしょうがなくて、それがきっかけでそこで作られているお酒について興味を持って頂いたとか、そんなこともありました(笑)   青木酒造の世界観を知ってもらう機会をどんどん増やして、お酒造りを通してその世界観もどんどん多様化して行きたいですね。これからもフットワーク軽く、色々な事にチャレンジしていきたいと思います。   編集部のお勧め-「御慶事 純米吟醸 雄町」- 素直にお米の特徴と向き合ってお酒を造られる蔵だな、というのが私の第一印象でした。お米のほとんどは糖質で出来ているわけで、その味の特徴は当然「甘み」となります。青木酒造はその甘みを誇張もせず、削りすぎもせず、米質と技術、そして醸造条件を調和させて「旨み」としてしっかりお酒に表現される事がとても上手な蔵元です。 「御慶事 純米吟醸 雄町」(https://aokishuzou.co.jp/product/116/)もそのお酒造りの特徴がしっかり表現された逸品で、雄町独特の「らしさ」を調和された酸味と甘みで包み込んで出来た、爽やかな後味が包み込むお酒です。2020年はJALのビジネスクラスでも楽しむことが出来るとのこと。 【参考】 青木酒造 御慶事 純米吟醸 雄町

なかなか聞けないお酒の基本2:蒸留酒と醸造酒の違いって何?

「お酒の製造方法」と聞くと何を思い浮かべますか? お酒は主に、「醸造酒」と「蒸留酒」、そして「混成酒」の3つの製造方法があります。「醸造酒はワイン、ビールや日本酒、蒸留酒は焼酎やウィスキー」の事、と何となく知っている!という方も多いかと思いますが、それぞれの特徴や製造方法の違いなどについて今更聞けないけど、実はよく知らない・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は「醸造酒」と「蒸留酒」、「混成酒」の違いについてご紹介したいと思います。 まず、日本酒、ビール、ワインなどが代表格に挙げられる「醸造酒」。実は醸造プロセスによって更に細分化されています。 1.醸造酒とは? ワインなどの果実酒は、「単発酵」とされています。原料の状態で糖分(グルコース)が多く合まれているため、酵母を加えるだけでアルコールへと発酵させるプロセスのことを指します。

なかなか聞けないお酒の基本3:日本酒の製造工程について知る

日本酒は多くの人に愛され、親しまれていますが、その製造過程についてはご存知でしょうか?今日はお酒が造られるまでの工程について、簡単にご紹介いたします。 1:精米 日本酒の原料となる米を精米し、不要な部分を削ります。ちなみに多くの場合、お酒造りには山田錦など、酒造り専用の「酒米」を使いますが、食用米でも日本酒は作れるので、例えばササニシキを使ったお酒造りも行われています。 2:洗米・浸漬 米の表面に残っている糠を取ります。洗米をした後、米を水に浸す「浸漬」を行い、適量の水分を吸収させます。特に精米歩合が低いほど浸漬の状況が影響するので、秒単位での管理を行う事もある層です。

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