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日本酒は冷凍すると瓶が割れる可能性有り!保存方法〜みぞれ酒の作り方を解説!
保存のため、またはみぞれ酒を作るために、日本酒をそのまま冷凍庫に入れてもいいのか不安ですよね。冷凍庫で瓶が割れていたら、他の食材にも影響してしまいます。 また、日本酒にはさまざまな飲み方・楽しみ方ができるお酒でもあり、その楽しみ方の一つにみぞれ酒があります。 今回は日本酒を冷凍したい人に、日本酒の凍る温度や凍らせるときの注意点、みぞれ酒の作り方もご紹介します。 1. 日本酒は、冷凍庫で保存できる? 日本酒は-5度で保存するのがいいといわれていますが、実は冷凍保存も可能です。一般的な家庭用冷蔵庫でも冷凍保存は可能なのでしょうか? 1-1. 日本酒は-10度以下で凍り始める 日本酒は温度が-10度以下になると凍り始めます。アルコールが凍る温度は-114.5度といわれているため、アルコール度数が高ければ高いお酒ほど凍りにくくなります。 正確な計算方法ではないですが、アルコール度数にマイナスをつけた温度がそのお酒が凍る温度といわれています。つまりビールはアルコール度数が5度くらいなので、-5度程度で凍ります。ワインは14度前後、日本酒は15度前後、焼酎は35度前後、ウォッカは40度以上のアルコール度数になるので、冷凍庫で完全に凍るのはビールやカクテルなどアルコール度数が10度以下の低いものだけです。 1-2. 冷凍庫の温度は-20度〜-18度 一般的な家庭用の冷蔵庫の冷凍室は、日本工業規格によって-18度以下とするよう決められています。そのため家庭用の冷凍室はだいたい-20~-18度に設定されています。 そのため冷凍庫で日本酒を保存することは可能です。しかし日本酒も完全には凍りません。焼酎などアルコールが高いお酒もシャーベット状にはなります。ブランデーなどもアルコール度数が高いので凍ることはありませんが、とろっとした状態になり、冷やして飲むのとはまた違った楽しみ方ができます。 1-3. 中途半端に凍った日本酒は、みぞれ酒として人気 中途半端にシャーベット状に凍ったお酒をみぞれ酒といいます。日本酒のみぞれ酒は純米酒がおすすめ。味の変化が少なく、凍らせても風味を損なう可能性が低く美味しい日本酒のみぞれ酒を楽しむことができます。 ここがPOINT! 日本酒は、冷凍庫で保存できるが、凍りづらい特性をもっている!(-10度以下で凍り始める) 冷凍庫の温度は-20度〜-18度なので、日本酒は凍り始めるが完全には凍らない 中途半端に凍った日本酒は、シャーベット状のみぞれ酒として人気! 2. 冷凍庫で日本酒を凍らせると瓶が割れる可能性がある 買ってきた日本酒をそのまま冷凍庫で凍らせてしまうと、瓶が割れてしまう可能性があります。日本酒を凍らせるときにどうしたらいいのでしょうか? 2-1. 水は凍らせると体積が増える 通常であれば固体、液体、気体の順に体積が増えますが、水は液体の状態よりも固体である氷の方が、体積が大きいのです。氷の方が10%ほど体積は増えるため、そのまま凍らせると膨張してしまい、瓶が割れる可能性があるのです。 2-2. 凍らせる場合は、別の容器に移し替えましょう 日本酒を凍らせると体積がかなり増えるので、瓶が割れる可能性があります。膨張しても余裕のある紙パックやペットボトル、かなり厚手のガラスの瓶はそのまま凍らせることもできますが、それ以外は危ないので別の容器に移し替えましょう。 日本酒は匂いが移りやすく、空気に触れれば触れるほど劣化するので、しっかり密閉できる容器が◎。そのためキッチン用品が豊富なホームセンターなどで、冷凍可能なガラス容器などを購入するのがおすすめです。 2-3. 日本酒を凍らせると、酒質に変化はある? 日本酒を凍らせると、味や香りが変化するという種類もあれば、全く変わらないというものもあります。こればかりは好みもあるので凍らせてみないとわからないですが、冷凍して保存する場合は、何度も解凍〜冷凍が繰り返されないように温度が安定した状態になるようにしましょう。溶けたり、凍ったりを繰り返すと風味が落ちてしまう可能性があります。 ここがPOINT! 【注意】日本酒をそのまま冷凍庫で凍らせると、瓶が割れてしまう可能性がある! 凍らせる場合は、瓶以外の容器に移し替えるようにしましょう 何度も溶けたり凍ったりを繰り返すと、風味が落ちてしまう可能性があります 3. 暑い夏に試してみたいみぞれ酒の作り方! 暑い夏にぴったりの日本酒のみぞれ酒は、家の冷蔵庫でも簡単に作れます。作り方をチェックしていきましょう。 3-1. 用意するもの 日本酒(アルコール度数 15度以下) 200~300ml グラス アルコール度数が高すぎると凍らないので、15度以下がおすすめ。瓶の日本酒だと忘れてそのまま凍らせてしまった場合、割れる可能性があり危ないので、別の容器に移すか、ふなぐち菊水一番しぼりのように缶の日本酒の方が安全です。 3-2. 作り方 日本酒をまずは冷蔵庫で冷やします。冷蔵庫の温度は約5度。しっかりと冷やしたいので、開け閉めするときに温度変化が起こるドアポケットなどではなく、なるべく奥の方へ入れ4時間以上冷やしましょう。 冷蔵庫でしっかり冷やしたら、日本酒とグラスを一緒に冷凍庫(-18度)に入れ90分待ちます。 90分経ったら日本酒をゆっくりと衝撃を与えないよう静かに冷凍庫から取り出し、一緒に冷やしたグラスに50cmくらいの高さから注ぎます。日本酒がグラスにぶつかる衝撃でシャーベット状になり、みぞれ酒の完成です。 まとめ 日本酒は冷凍保存も可能ですが、凍らせるときは容器に気をつけましょう。またみぞれ酒は暑い夏に日本酒を飲みたいときにぴったりです。味の変化は日本酒によるので、さまざまな日本酒でみぞれ酒を試してみては? ここがPOINT! ...
玉川・木下酒造│日本酒は楽しく、自由だ【京都府京丹後市】
京都の北部、京丹後市に位置する酒蔵「木下酒造」。江戸時代から建つ蔵では、時間と温度による変化を楽しむ酒『玉川(たまがわ)』が醸されています。 業界初の外国人杜氏、フィリップ・ハーパー氏が教えてくれたのは、日本酒本来の楽しさであり素晴らしさ。今回は、ハーパー杜氏から伺った酒造りのこだわり、木下酒造の魅力をたっぷりとお伝えします。 1.「木下酒造」江戸から180年の歴史を受け継ぐ蔵 竹林が静かに揺れる小さな無人駅。京丹後鉄道かぶと山駅から少し下った先にあるのが、今回訪問する酒蔵「木下酒造」です。 創業は江戸後期の1842年(天保13年)。銘酒『玉川(たまがわ)』の名は、蔵のそばを流れる上川谷川の“玉のような”美しさに由来しています。酒造りが本格化する冬の時期、笑顔で出迎えてくれたのは、フィリップ・ハーパー杜氏です。 杜氏(とうじ)とは、酒造りのリーダーとなる人のこと。奈良や茨城、大阪の蔵で数々の経験を重ねたハーパー杜氏は、2007年(平成19年)に木下酒造の杜氏に就任します。当時、木下酒造は長年蔵を支えた中井杜氏が逝去され、廃業をも視野に入れている状況でした。 蔵元・木下 善人氏とともに“新生 玉川”を掲げたハーパー杜氏は、江戸時代の製法で造る『Time Machine(タイムマシーン)』、夏酒『Ice Breaker(アイスブレーカー)』と新たな銘柄を次々と世に送り出します。 また、杜氏となったその年から“家付き酵母”による酒造りに着手。現在も蔵全体の約4割のお酒が、江戸時代から蔵に棲みつく酵母の力によって生まれています。 2.酵母無添加 自然仕込の酒 目に見えない微生物“酵母”は、酒造りに欠かせない存在です。酵母がなければ、米と米麹、水からお酒は生まれません。多くの蔵は、日本醸造協会から頒布される“きょうかい酵母”を酒造りに使用しています。 また、酵母がすくすく育つ環境を作るためには“乳酸菌”が必要です。乳酸菌を人の手で加えず、自然に任せて酵母を育てる手法は「生酛(きもと)」、「山廃(やまはい)」と呼ばれます。 木下酒造が自然仕込と呼ぶお酒には、乳酸菌も酵母も添加されていません。 材料は米と米麹、そして裏山から流れる水だけ。蔵に棲みつく多様な微生物が複雑に働き合い、最後に酵母が生き残る。神秘的な営みによって自然仕込のお酒は育まれていきます。 生酛や山廃の経験はもちろんあったものの、ハーパー杜氏にとって酵母無添加の酒造りは初の試みでした。江戸時代から建つ分厚い土壁がむき出しの蔵は、自然仕込の酒をイメージしやすい環境だったといいます。 近年、遺伝子レベルで蔵の酵母を分析したところ、きょうかい酵母とは全く縁のない、別の酵母であることが判明したそう。およそ180年ものあいだ、土壁に、梁に棲みつく酵母たちが現代の『玉川』を生み出しているのです。 「この仕事は微生物との会話です。目に見えないものが、酒を造る」 そう語るハーパー杜氏のもうひとつのこだわりが、時。時間の対話のなかから生まれる熟成酒です。 3.「時」を楽しむ熟成酒 玉川を語るうえで欠かせないのが「時間」です。商品の多くは、蔵内で一定期間眠りについた後、世界へと羽ばたきます。 搾りたての段階で、5~10年の古酒と同じ色合いのお酒『Time Machine』は、さらに寝かせることで美しいルビー色に。10年以上の時を経ると、色はコーヒーのように濃く、複雑かつやさしい味わいへと変化していきます。 令和元年には、10年以上の時を重ねた自然仕込のお酒『燻銀(いぶしぎん)』をリリース。4合瓶3万円台という従来の蔵にはない価格帯だったにも関わらず、各方面で好評を博しました。 一方で、熟成酒を育てるためには、もとのお酒を造る技術力とともに一定の資金力が求められます。できたお酒を売ることなく、在庫として維持管理する必要があるからです。 ハーパー杜氏が就任した頃、貯蔵能力が500石以下だった蔵は、増築を重ねながら貯蔵設備を増やしてきました。現在は、4~5年の時を経た熟成酒が通年商品として数多く販売されています。 「それができるのも、蔵元自身が熟成酒に魅せられているから。すきじゃないと、できないことです」 高級品だけにしたくないとハーパー杜氏が続けるように、熟成酒の多くが、他のお酒と変わらない価格帯であることに驚きます。瓶には酒造年度(BY)を示すシールが貼られ、ビンテージを意識しながら購入できることも魅力です。 「造るのも飲むのも楽しいから、種類がどんどん増えてしまって」 苦笑交じりに教えてくれるハーパー杜氏。飲むのが楽しいという言葉は、温度にも時間にも左右されない『玉川』の美味しさに裏打ちされたものでした。 4.温度や時間に縛られない「玉川」の魅力 日本酒は、冷やしたり温めたりと幅広い温度帯で楽しめるお酒です。一方で、飲み慣れない方には、自分で燗を付けるのは難しいと思われがちな一面もあります。 温めすぎると旨味が消えてしまったり、一度温めてから冷めると風味が抜けてしまうお酒が多いこともまた事実。ハーパー杜氏に相談したところ、木下酒造の燗酒には55℃以下は存在しないという驚きの答えが返ってきました。 55℃は、飛び切り燗と呼ばれる燗酒で一番高い温度帯です。木下酒造の燗酒は、その上を行く65℃や70℃が当たり前。アツアツなほど、ふわっとやわらかな味わいに変化するといいます。一度ドーンと温度を上げてから、徐々に常温に戻るまでの味の変化もまた、玉川ならではの醍醐味なのだそう。 「この変化が、めちゃくちゃ楽しいんです」 ロックで提案されている夏酒『Ice Breaker』でさえ、温めるとまた美味しく楽しめるというハーパー杜氏。ハーパー杜氏が日本酒に魅せられるきっかけになったという温度による味の変化を、玉川であれば存分に堪能できます。 十人十色、人に個性があるように、日本酒の個性も実にさまざまです。フレッシュさが持ち味のお酒は、なるべく早く飲んであげたほうがその個性を活かしきることができます。 玉川は、時間とともに変化する美味しさが個性であり、何よりの魅力。飲食店などで「玉川は最初の1杯より、最後の1杯が美味しい」といわれる所以です。 また、世界への販路拡大を考えた際、温度や時間で品質が変わりやすいお酒はどうしてもリスクを抱えがちです。海外では、要冷蔵のお酒が常温の棚に並べられてしまうことも少なくありません。 その点、玉川であれば行く先々で異なる魅力を花開かせることができます。その土地の風土によって、唯一無二の存在へと姿を変えられる。木下酒造では、玉川が旅だった先での変化を「第2の酒造り」と呼んでいます。 「日本酒は嗜好品だから、どうぞ好きに遊んでほしい。難しく考えず遊びの道具として楽しんで」 ハーパー杜氏の口から何度もこぼれた「楽しんで」という言葉。かつて、22歳で来日したハーパー氏は、出会った日本酒好きの友人とともに、音楽や日本酒と戯れる日々を過ごしたといいます。 青春ともいえるその時間は、どんなに楽しく豊かなものだったろう。思いをはせると同時に、日本酒の魅力、すばらしさを再認識させてもらえたひと時でした。 5.京丹後の久美浜から、世界へ 一つひとつ手作業で貼られていく、小さなシールたち。蔵人をはじめ、店頭に立つ方、販売に携わる方、多くの人々の手によって玉川は世界へと送り出されていきます。 蔵が創業した天保13年。江戸時代の人々にとって、酒は日々の疲れを癒し心和ませるアイテムだったはず。令和となったこの時代、玉川は世代も性別も、国籍さえも自由に飛び越え、人と人とを繋いでいます。 そして、蔵で眠る熟成酒たちは、時間を越えた先にある未来の人との出会いを待っている。 「日本酒って難しそう」そう感じる方こそ、ぜひ自由に『玉川』を味わってみてください。ハーパー杜氏がかつて日本酒の扉を開いたように、新たな日本酒の楽しさ、おもしろさがそこから広がっていくはずだから。 木下酒造有限会社 [所在地] 京都府京丹後市久美浜町甲山1512 [電話番号] 0772-82-0071 [酒蔵直営店 営業時間]9:00~17:00(1月1日を除く) [公式URL] https://www.sake-tamagawa.com/
熊本で造られるおすすめ日本酒銘柄10選!熊本の日本酒の特徴なども解説
豊かな水源に恵まれ、およそ10の酒蔵が存在する熊本県。県内では、調味料として活用される赤酒のほか、全国にファンを持つ日本酒が多数製造されています。 熊本のお酒は、辛口酒からフルーティーなお酒までバリエーション豊かなことが魅力です。今回は、おすすめ銘柄や熊本のお酒の歴史についてお伝えします。 1.熊本の酒造りの歴史は「赤酒」から 熊本の酒造りの歴史を語るうえではずせないのが「赤酒(あかざけ)」の存在です。赤酒は、古くから熊本地方に伝わるお酒。製造工程で木灰を使うことから「灰持酒(あくもちざけ)」とも呼ばれています。 日本酒の製造が主となった現在も、地元では御神酒(おみき)や御屠蘇(おとそ)の酒として親しまれています。素材の味を引き出すことから、料理酒としても活用されるお酒です。 1-1.赤酒はどんなお酒? 「赤酒」は、その名のとおり赤く色付いたお酒です。その歴史は古く、平安時代にはすでに存在したといわれています。 赤酒の大きな特徴は、製造工程に木灰を用いることです。現在のような加熱殺菌処理が確立されていなかった時代、木灰の使用はお酒の保存性を高めることが目的でした。熊本城を築城させた加藤清正は、赤酒を熊本の名産として豊臣家に献上したといわれています。 日本酒の普及とともに一時は姿を消した赤酒は、戦後に復活。上品な甘みと香りは調味料としても重宝され、現在は熊本のみならず、全国の飲食店などでも赤酒が活用されています。 1-2.熊本の酒が「赤酒」から「清酒」に転換したのは明治時代 熊本で現在のような清酒が造られるようになったのは、明治時代に入ってからのこと。市場の需要に伴い清酒製造は活発化し、1879年(明治12年)には「熊本県酒造人組合」が設立されます。 「熊本県酒造研究所」初代技師長の野白 金一氏は、「熊本酵母」を分離、培養させた人物です。酵母(こうぼ)は、酒造りに欠かせない微生物。熊本酵母は、のちに日本醸造協会で「きょうかい9号酵母」に採用され、現在全国の蔵で使用されています。 https://sake-5.jp/history-of-red-wine-and-how-to-drink-it/ 2.熊本の日本酒の特徴 熊本の日本酒の大きな特徴が、ミネラルを豊富に含む湧水で仕込まれていることです。県内には1000ヶ所以上の湧水源が存在し、その周辺には酒蔵が点在しています。 熊本酵母を維持管理する蔵、若き蔵人が活躍する老舗蔵、赤酒発祥の蔵など、蔵の個性も実にさまざまです。その多くが熊本の米や酵母を使いながら、地元から全国へと愛される地酒を造り続けています。 3.熊本で作られている酒米(酒造好適米) 酒造りに適した特性を持つ米は、酒米(正式名称 酒造好適米)と呼ばれます。水と同じく、米も日本酒の仕上がりを大きく左右する原料です。熊本県では、復活米「神力(しんりき)」のほか、オリジナル酒米「華錦(はなにしき)」が栽培されています。 3-1.神力(しんりき) 神力は、明治20年代から西日本で広く栽培されていた品種です。大正時代に酒造好適米として評価されていた熊本の神力は、昭和に入ると様々な品種が出てきたことで生産が途絶えてしまいます。 平成に入ると、熊本県で再び神力が復活。幻の酒米とも呼ばれる神力で作った日本酒は、奥深い味わいに仕上がるといわれています。 3-2.華錦(はなにしき) 華錦は、およそ14年の月日を経て開発された熊本県初のオリジナル酒米です。酒米の王様「山田錦」と、県の育成品種「夢いずみ」を掛け合わせています。草丈が低いため倒れにくく、栽培しやすいことが特徴です。県内の酒蔵では、華錦を使ったバリエーション豊かな酒が製造されています。 4.熊本の日本酒おすすめ銘柄10選 熊本では、自然の豊かさを活かした日本酒が数多く製造されています。熊本酵母が生み出す品の良い香りも魅力です。流通数が少ない銘柄、特約店は熊本のみの銘柄もあるため、出会えたときはぜひその味わいを確かめてみてくださいね。 4-1.熊本県酒造研究所 香露(こうろ) 熊本県酒造研究所は、熊本酵母の維持管理の役割を担う酒蔵です。「香露」もまた熊本酵母で醸されています。長年蓄積されたデータをふまえ、計算されたうえで生まれる味わいは“吟醸酒のお手本”と称されるほど。希少性も高く、多くの日本酒ファンに愛される熊本の地酒です。 (出典元: お酒のひょうたん屋) 4-2.通潤酒造 蛍丸(ほたるまる) 熊本県に伝わる、宝刀「蛍丸」の逸話から生まれたお酒です。やわらかな旨味は刀を癒した蛍を、後口にキレの良さは、刀の切れ味をイメージしています。地元の米と水、そして人を大切にした酒造りから生まれるのは、日々に寄り添う食中酒。蔵のラインナップには、リキュールや甘酒など幅広い商品が揃います。 (出典元: 通潤酒造) 4-3.千代の園酒造 産山村(うぶやまむら) 「産山村」は、無農薬栽培された酒米「五百万石」を原料としたお酒です。害虫対策のため田んぼに鯉を放す鯉農法で育てられています。自然の恵みが育む米、名水百選に選ばれた池山水源の名水で生まれる酒は、スッキリと清らかな味わい。熊本の豊かさを実感できる銘柄です。 (出典元:千代の園ウェブショップ ) 4-4.山村酒造 れいざん 創業は1762年(宝暦12年)と、260年余りの歴史を誇る蔵で生まれるお酒です。「れいざん」の名は、神が宿る山「阿蘇山」に由来しています。地元で古くから愛されてきた「れいざん」は、飲み飽きしない穏やかな味わいが魅力です。地元名産辛子レンコンをおともにすれば、すいすいと盃が進みます。 (出典元:阿蘇の酒 れいざん ) 4-5.室原 和田志ら露 小さな蔵で仕込まれる地域に根付いた日本酒です。加水をしていない原酒は、甘味と旨味がギュッと濃縮されています。おすすめの飲み方は、氷をたっぷり入れたグラスに注ぐロックスタイル。流通数は少なく、旅先で出会えた際はぜひおすすめしたい銘柄です。 (出典元:児玉酒店 ) 4-6.瑞鷹 瑞鷹(ずいよう) 瑞鷹は、赤酒が主流だった熊本でいち早く清酒製造に乗り出した酒蔵です。熊本県酒造研究所、誕生の地でもあります。1951年(昭和26年)には、生産が途絶えつつあった赤酒を復活させました。米の魅力を活かした酒は、国内外で数多くの受賞歴を誇ります。 (出典元: 瑞鷹株式会社) 4-7.花の香酒造 花の香(はなのか) 花のように品の良い香りが立ち上る日本酒「花の香」。特約店は熊本県内のみでありながら、国内から世界へとその名が知られるお酒です。自然栽培の米を使った「産土(うぶすな)」も蔵の代表酒。自然の循環のなかから生まれる複雑かつ豊かな味わいを堪能できます。 (出典元:大和屋酒舗) 4-8.美少年 美少年(びしょうねん) 株式会社美少年が蔵を構えるのは、菊池水源小学校の跡地です。かつての給食室では米が蒸され、校長室や保健室で麹が造られます。地元の米と水、そして人で造られる日本酒は、香りフルーティーでスッキリとした味わい。和食はもちろん、洋食とのペアリングもおすすめの銘柄です。 (出典元:熊本県の日本酒通販 美少年 公式オンラインストア) 4-9.河津酒造 花雪(はなゆき) 「花雪」は、毎年売り切れになるほどの蔵の人気商品です。極甘口でありながらキレが良く、スッと喉を通る飲み口を楽しめます。蔵の新時代を切り拓く3代目蔵元は、地元に根付く銘柄を残しつつ新たな商品開発に着手。小さな蔵の醸す酒は、多くの日本酒ファンを生み出しています。 (出典元:amazon) 4-10.亀萬酒造 亀萬(かめまん) 大量の氷を使う「南端氷仕込み」で造られるお酒です。酒蔵は、鹿児島県との県境にほど近い熊本県の南に位置します。温かい地域ならではの手法で生まれる「亀萬」は、地酒の魅力に満ちています。ぜひ土地ごとに異なる日本酒の味わいを感じてみてください。 (出典元:亀萬酒造合資会社 ) まとめ 赤酒から清酒製造、熊本酵母の培養と独自の発展を続けてきた熊本の日本酒。温暖な気候が育む酒は、蔵ごとに豊かな表情を見せてくれます。飲食店や旅先で出会ったらぜひ手にとって、熊本の美味しい日本酒を楽しんでくださいね。
福岡で造られている日本酒おすすめ銘柄10選!福岡の日本酒の特徴なども解説
九州というと焼酎をイメージしがちですが、福岡県には美味しい日本酒が数多く存在します。南部に広がる筑後平野では、原料となる米栽培も盛んです。 今回は、福岡の日本酒の特徴や、酒米などについて詳しくお伝えします。「福岡県のお酒を飲んでみたい!」という方は、おすすめ10選もぜひ参考にしてくださいね。 1.福岡の日本酒の特徴 福岡県は、全国有数の酒どころ。5代将軍、徳川綱吉の時代にはおよそ600もの造り酒屋が存在したといいます。国税庁の調査によると、国内に1,164存在する清酒製造業者のうち、福岡県の業者数は40と全国6位。なかには300年以上もの歴史を誇る酒蔵もあります。 明治時代には生産量2位にも輝いた福岡県の日本酒。現在は、地産地消の酒造りとして酒米栽培にも力を注いでいます。 参考:国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和3年調査分)」 2.福岡で作られている酒米(酒造好適米) 酒どころ福岡県は、稲作が盛んな米どころでもあります。稲作発祥の地ともいわれ、酒米の代表種「山田錦(やまだにしき)」をはじめ、オリジナル品種の数々が地酒造りにいかされています。 2-1.山田錦 山田錦は、国内トップクラスの作付面積を誇る酒米です。酒造りに適した特性を持つことから「酒米の王様」と呼ばれています。 福岡県では、昭和20年代から山田錦の栽培がスタート。福岡市の西にあたる糸島地区を中心に、良質な米が育まれています。 2-2.吟のさと 吟のさとは、福岡県で作付けがスタートした品種です。2006年(平成18年)から福岡県の酒蔵「喜多屋」で試験醸造が始まり、2009年(平成21年)には吟のさとを使った日本酒がリリースされました。山田錦に似た特性を持つ吟のさとは、米を小さく磨く吟醸酒造りに適しているといわれています。 2-3.夢一献 夢一献(ゆめいっこん)は、山田錦に比べ草丈が低い品種です。そのため、台風などで倒れにくく栽培しやすい特性を持ちます。酒蔵の多い三潴(みづま)地区を中心に栽培されている福岡オリジナル酒米です。 3.福岡の日本酒おすすめ銘柄10選 福岡県は美味しい日本酒の宝庫。その多くが地元の人々に長年愛されてきた銘柄です。地元で栽培された山田錦や吟のさと、夢一献を使う蔵も多く、地酒の魅力を存分に堪能できます。 3-1.若波酒造 若波(わかなみ) コンセプトは、「味の押し波・余韻の引き波」。「若波」という名には、蔵のそばを流れる筑後川のように、「若い波を起こせ」という思いが込められています。若き蔵人たちが造る酒は、本醸造酒に純米大吟醸、リキュールとバリエーション豊富。すっと引く余韻が料理とマッチし、心地よい酔いをもたらしてくれます。 (出典元:sakenomy) 3-2.白糸酒造 田中六五(たなかろくじゅうご) 「田中六五」を造る糸島酒造は、自然豊かな糸島に位置します。糸島は、山田錦の一大産地。「六五」という名は、65%精米の糸島産山田錦のみを使った純米酒であることを意味しています。定番酒を目指す「田中六五」は、日常に寄り添うやわらかな味わい。伝統のハネ木搾りという手法で生まれるのも特徴です。 (出典元:sakenomy) 3-3.山口酒造場 庭のうぐいす かつては有馬藩の御用銘柄でもあった「庭のうぐいす」。その名は、北野天満宮からやってきたうぐいすが、庭の水で喉を潤したことに由来しています。全国にも多くのファンを持つ「庭のうぐいす」は、透明感のある味わいが魅力です。ちょこんと描かれたうぐいすもかわいらしく、和食からイタリアン、フレンチまで幅広いシーンに寄り添ってくれます。 (出典元:山口酒造場) 3-4.山の壽酒造 山の壽(やまのことぶき) 創業は江戸後期の1818年(文政元年)。「山の壽」8代目が目指すのは、酒造りの真を学んだうえでの独創的な挑戦です。変わり種の「ヤマノコトブキフリークス」に微発泡の「うたかた」と、次々と魅力的なお酒をリリース。地元福岡県から全国へとファンを広げる銘柄です。 (出典元:後藤商店) 3-5.みいの寿 三井の寿(みいのことぶき) 「三井の寿」から、『スラムダンク』の天才スリーポイントシューター三井寿(みついひさし)を思い出した方は、おそらくマンガ好きバスケ好き。三井寿の名は、作者が「三井の寿」のファンだったため取り入れたものです。鑑評会では多数の受賞歴を誇るなど、味も折り紙付き。糸島産山田錦や夢一献など、福岡県産の米の旨味を堪能できます。 (出典元:大和屋酒舗) 3-6.高橋商店 繁桝(しげます) 高橋商店は、創業1717年(享保2年)と300年以上の歴史を誇る酒蔵です。酒造りに使用するのは、福岡県産の米と矢部川の伏流水。伝統ある蔵から生まれる地酒は、長年多くの人々に愛され続けています。福岡県のお土産としてもおすすめしたい銘柄です。 (出典元:sakenomy) 3-7.喜多屋 喜多屋(きたや) 「喜多屋」は日本酒と本格焼酎の蔵元です。「純米大吟醸 燦燦」には、糸島産山田錦を贅沢に使用。「スパークリングクリスタル」は、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)で、日本酒スパークリング部門の最高賞を受賞するなど、贈り物にもおすすめのラインナップが揃います。 (出典元:喜多屋) 3-8.杜の蔵 杜の蔵(もりのくら) 「杜の蔵」は、米と水、技(人)という3つの要素を大切に、地元の恵みを生かした酒造りを続けています。造るのは、米と米麹、水を原料とした純米酒のみ。使うのは地元で契約栽培した酒米です。やわらかな味わいの「杜の蔵」は料理との相性が良く、冷やでも燗でも美味しく楽しめます。 (出典元:sakenomy) 3-9.旭菊酒造 旭菊(あさひきく) 「旭菊」は、商品の一部に無農薬栽培の山田錦を使う酒蔵です。蔵自ら田植えや草刈りに携わりながら、おだやかな香りと深い味わいの純米酒「旭菊 大地」を醸しています。地元産にこだわったお酒の数々は、適度に温めると味がよりまろやかに膨らみます。燗酒好きにもおすすめしたい福岡の地酒です。 (出典元:旭菊酒造株式会社) 3-10.池亀酒造 池亀(いけかめ) 池亀酒造では、日本酒「池亀」をはじめ焼酎などを製造しています。2007年(平成19年)には、焼酎造りに使用する黒麹を用いた日本酒「黒兜(くろかぶと)」をリリース。すべての大吟醸に、酒袋からこぼれる雫を集める製法“雫搾り”を用いるなど、こだわりあふれる商品が並びます。芳醇旨口タイプからキレのある辛口酒まで、選ぶ楽しみが広がる銘柄です。 (出典元:池亀酒造) まとめ 福岡県では、豊かな自然に育まれた米と水を原料に数多くの地酒が製造されています。口あたりやわらかな旨口タイプから、キリッとした辛口タイプまで個性もさまざまです。 シンプルな原料で生まれる日本酒は、土地の個性を感じられることが大きな魅力。ときにはお酒のふるさとに着目して、日本酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。
甘口の日本酒おすすめ9選
日本酒の味わいは「甘口」「辛口」と表現されることがあり、おすすめの日本酒を選ぶ際に、このような甘口や辛口から選ぶのも日本酒の選び方の一つです。 日本酒の味わいは「甘口」、「辛口」と表現されることがあります。甘口はフルーティーな香りのお酒が多く、日本酒ビギナーでも飲みやすいタイプが多いことが特徴です。 今回は、甘口の日本酒の選び方とおすすめ9選をご紹介します。「甘口の日本酒ってどんな感じ?」と気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。 1.甘口の日本酒とは 日本酒の「甘口」、「辛口」の指標には日本酒度が用いられます。一般的に、日本酒度が「-(マイナス)」であるほど甘口、「+(プラス)」であるほど辛口のお酒です。 また、日本酒を「甘い」と感じる要素には、酸度やアミノ酸度といった日本酒の成分が関係します。さらに、味の感じ方に大きな影響を与えるのが日本酒の「香り」です。 リンゴやバナナのようなフルーティーな香りを持つ日本酒は、日本酒度がプラスであっても、飲み手に「甘い」という印象を与えることがあります。つまり、甘い辛いの感じ方は、必ずしも数値に一致するわけではないということです。 それでも、数多くの種類があるなかで「甘口」、「辛口」は日本酒選びのひとつの基準となります。飲食店で日本酒を頼むときも「コクがある甘口のお酒が好きです」、「スッキリとした辛口タイプをよく飲みます」など、オーダーの際の目安になるため、ぜひ自分の好みを見つけてみてくださいね。 2.甘口の日本酒選び3つのポイント 甘口の日本酒選びのポイントは、以下の3つです。 日本酒度がマイナスに近いお酒を選ぶ お米の種類にも注目してみる スパークリング酒やにごり酒、貴醸酒も要チェック 前述したように、日本酒度は甘口辛口のひとつの目安になります。また、日本酒はお米の種類によって味に変化が生まれるのが特徴です。 なかには、スパークリング酒やにごり酒など、甘口タイプが多い日本酒もあります。「甘口のお酒を飲んでみたいな」というときは、ぜひこれらのポイントを参考に日本酒を選んでみてください。 2-1.日本酒度がマイナスに近いお酒を選ぶ 前述したように、日本酒度がマイナスのお酒は甘口に該当します。日本酒度を知りたいときは、お酒のラベルをチェックしてみてください。すべてのお酒に記されているわけではないものの、日本酒度の数値を確認できます。 「甘口」にあたるのは、日本酒度-5.9~ー3.5の範囲です。ー6以上のお酒は「大甘口」になります。 2-2.お米の種類に注目してみる 甘口の日本酒を飲みたいときは、お米の種類にも注目してみましょう。例えば、酒米の王様ともいわれる「山田錦(やまだにしき)」を使ったお酒は、香り良く、ふくよかな味わいに仕上がるのが特徴です。山田錦を小さく削って仕込んだお酒には、フルーティーで甘い香りを持つ銘柄もあります。 反対に、酒米のトップ2といわれる「五百万石(ごひゃくまんごく)」は、スッキリとしたタイプのお酒によく用いられる酒米です。香りはおだやかで、クセのない味わいを楽しめます。 ほかにも、華やかな香りのお酒に仕上がる「美山錦(みやまにしき)」、オマチストと呼ばれるファンを持つ「雄町(おまち)」など、酒米の個性はさまざまです。日本酒選びに迷ったら、ぜひ酒米の違いにも注目してみてください。 2-3.スパークリング酒やにごり酒、貴醸酒も要チェック シュワッとした発泡感が楽しめるスパークリング酒は、比較的アルコール度数が低く、甘口タイプが多いことが特徴です。滓(おり)と呼ばれる固形物をあえて残したにごり酒も、米の旨味と甘みを楽しめます。 貴醸酒(きじょうしゅ)は、水の代わりにお酒を使って仕込んだ日本酒です。口当たりなめらかで濃醇な甘さを持つ貴醸酒は、熟成タイプも多くロックスタイルでも美味しく味わえます。 3.おすすめの甘口日本酒9選 ここからは、おすすめの甘口日本酒9選をご紹介します。しっかりとした飲みごたえのあるタイプから、ワイングラスで楽しむカジュアルなタイプまで幅広いバリエーションを揃えました。 甘口日本酒は、お酒を飲み慣れない方や日本酒ビギナーにおすすめです。比較的アルコール度数の低い銘柄もあるため、ぜひ好みの1本を見つけてみてくださいね。 3-1.亀泉 純米吟醸生原酒 CEL-24 「CEL-24」は、高知で開発された酵母の名前です。生原酒とあるように、加熱殺菌処理や加水調整はされておらず、しぼりたてそのままのジューシーな味わいを楽しめます。 日本酒度は-16と、爽やかな甘みも魅力です。リンゴやパインのようなフルーティーな香りも堪能できますよ。 (出典元:はせがわ酒店) 3-2.八海山 貴醸酒 淡麗辛口の代名詞「八海山(はっかいさん)」が手がける貴醸酒です。仕込み水の代わりに清酒を使い、品の良い甘さを生み出しています。 日本酒度は-36と、貴醸酒ならではの濃密な甘さが魅力です。五百万石で造られる、八海山らしい清らかな旨味も活きています。熟成前の状態で瓶詰されているため、年数による色や味の変化を楽しむのもおすすめです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-3.富久錦 Fu. 「富久錦 Fu.(ふくにしき ふ)」は、果実のような甘酸っぱさを楽しめる日本酒です。アルコール度数は8%と、加水をしない状態で低アルコールに仕上げられています。 クセのないチーズや新鮮な野菜を使ったサラダ、ピッツァのような料理との相性は抜群。日本酒を飲み慣れない方も、カジュアルに美味しい日本酒を楽しめます。 (出典元:富久錦株式会社) 3-4.来福 MELLOW 貴醸酒 とろりとした濃密な甘さを楽しめる貴醸酒です。仕込み水の一部には、純米酒が使用されています。 「来福(らいふく)」の貴醸酒は、甘さとフレッシュな旨味を兼ね備えているのが大きな特徴です。食前酒のほか食後酒としても楽しめます。ロックやソーダ割りで味わうのもおすすめです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-5.讃岐くらうでぃ 香川生まれの「讃岐くらうでぃ」は、クリーミーで甘酸っぱいにごり酒です。とろりとした舌触りと味わいは、まさに大人のカルピス!アルコール度数は6%とライトな飲み口も魅力です。 注目したいのは、ロックにソーダ割り、ビール割りと幅広いスタイルで楽しめること。暑い夏にはジョッキに注ぎ、グイッと味わうのもおすすめです。唐揚げや焼き鳥といったボリューミーなおつまみとも相性抜群ですよ。 3-6.すず音 「すず音(すずね)」は、シュワシュワとしたスパークリングタイプの日本酒です。口に含むと細やかな泡とともに甘酸っぱい旨味が弾けます。 300mlの飲み切りサイズのため、乾杯のお酒にもおすすめです。アルコール度数は5%と通常の日本酒より低く、ライトな飲み口を楽しめます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-7.木戸泉 アフス スパークリング うっすらと白くにごる甘酸っぱいスパークリング酒です。「アフス」という名は、開発に携わった人々の名に由来しています。 木戸泉(きどいずみ)を代表する「アフス」は、白ワインを思わせるフルーティーな香りとライトな飲み口が魅力。スッキリとした大人の甘さを堪能できます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-8.陸奥八仙 ナチュラルスパークリング 「陸奥八仙(むつはっせん)」は、青森県を代表する地酒です。ナチュラルスパークリングは、瓶内の発酵で生まれるやさしい泡感を楽しめます。 ほんのり甘く、酸味も効いた味わいは辛口を好む方にもおすすめです。エレガントなボトルデザインも美しく、パーティーの差し入れにも喜ばれます。 (出典元:IMADEYA ONLINE...
「角打ち(かくうち)」とは?日本酒を気軽に楽しめる角打ちの魅力を唎酒師が解説!
酒販店で日本酒を購入するなかで「角打ち」という言葉を耳にしたことはないでしょうか? 角打ちとは、酒販店でお酒を飲むスタイルのこと。気軽に日本酒を楽しめると人気になり、近年はさまざまな角打ちスタイルが誕生しています。 お酒を味わい、そして購入できる角打ちは日本酒ビギナーにもおすすめ。今回は、角打ちの魅力や角打ちができるおすすめ店舗についてご紹介します! 1.「角打ち」とは? 「角打ち」は、酒屋に設けられたスペースでお酒を楽しむことです。明治時代に生まれたといわれる角打ちは、近年新しい日本酒の楽しみ方として注目を集めています。 日本酒ビギナーのなかには「角打ちって一体何のこと?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。まずは、角打ちのくわしい意味や語源、発祥について探っていきましょう。 1-1.「角打ち」の読み方・意味 「角打ち」は、かどうちではなく「かくうち」と読みます。酒屋の一角で日本酒を楽しむことや、その酒屋自体を指す言葉です。また、四角い升(ます)でお酒を楽しむことを「角打ち」と呼ぶなど、幅広い意味で用いられています。 1-2.角打ちの語源 角打ちの語源は諸説あるものの、「升の角に口を付けて呑む」ことがそのひとつだといわれています。 現在のような一升瓶が誕生する以前、日本酒は桶(おけ)や甕(かめ)からの量り売りが一般的でした。各家庭には「通い徳利(かよいとっくり)」や「貧乏徳利(びんぼうとっくり)」と呼ばれる陶器製の容器があり、それぞれがその容器を持参し酒屋へと向かったのです。 酒屋は計量用の升から徳利へとお酒を注ぎ、その分だけ代金をもらっていました。 ところが、いつの時代にもお酒好きは存在するもの。「家に帰るまで待ちきれない!」という客が、升のお酒をそのまま酒屋で楽しむようになったのです。 こうした背景から、「升の角に口を付けて呑む」ことを意味する角打ちという言葉は、やがて「酒屋で酒を飲む」ことへと姿を変えていきました。 1-3.角打ちスタイル発祥の地「北九州市」 現在、全国各地で好まれる角打ち発祥の地は、福岡県北九州市だといわれています。 きっかけとなったのは、1901年(明治34年)の八幡製鉄所の開業。当時、三交代制で働く労働者たちは、仕事明けに一杯できる場所を求めていました。 ところが、労働者が深夜の仕事を終えた早朝、まだ居酒屋は開いていません。そこで選んだのが、朝から営業している酒屋の店先というわけです。 やがて、千葉県に新たな製鉄所が建設されると、労働者は関東へ移り住み、角打ちスタイルも本土へと広がっていきました。 現在も、北九州市には角打ち文化が深く根付いています。「北九州角打ち文化研究所」の調査によると、角打ちができる酒販店は120軒近くにのぼるとか(平成30年調査時点)。 北九州市へ足を運んだ際は、角打ちで地元の魅力を満喫してみるのも楽しそうですね。 (参考:北九州角打ち文化研究所) 1-4.関西では「立ち呑み」、東北では、「もっきり」と呼ばれることも 角打ちは、関西では「立ち呑み」とも呼ばれています。これは、居酒屋で立ったままお酒を飲む「立ち飲み」とは別の意味を持つ言葉です。 また、東北地方では「もっきり」、山陰地方では「たちきゅう」とも呼ばれます。「酒屋の一角で酒を飲む」というスタイルは変わらないものの、店の歴史や背景、地域性が色濃く表れるのも角打ちの特徴です。 2.角打ちの4つの魅力 酒販店で日本酒を楽しむ角打ちには、次のような4つの魅力があります。 時間に縛られず、気軽にお酒が楽しめる さまざまな日本酒を飲み比べて、購入ができる お酒が好きな人との交流の場にも 地元の空気、店の歴史を満喫できる いずれも日本酒を販売する酒販店ならではの魅力ばかり。気軽に美味しい日本酒を楽しめる角打ちは、日本酒ビギナーにもぴったりですよ。 2-1.時間に縛られず気軽にお酒が楽しめる 角打ちは気軽にお酒を楽しめるのが何よりの魅力です。サービス料やお通し代などを気にすることなく、グラス1杯から好きなお酒を味わえます。もちろん提供されるのは、酒販店が自信を持って販売する銘柄ばかりです。 営業中であればいつでも立ち寄れるのも角打ちの良いところ。時間に縛られず、午前中でもふらっと立ち寄り、美味しい日本酒を楽しめます。 2-2.さまざまな日本酒を飲み比べて、購入ができる 酒屋にずらりと並ぶ日本酒の数々。日本酒を飲みなれないと「どれにしよう」と迷ってしまうことも多いですよね。 複数の銘柄を1杯単位から飲み比べできる角打ちは、日本酒ビギナーにもおすすめのスタイル。自分好みのお酒を見つけたら、そのまま購入できるのも大きな魅力です。 2-3.お酒が好きな人との交流の場にも 酒屋の一角に設けられた角打ちスペースは、お酒好きな人たちが自然と集まる場所。地元の常連客のほか、旅行客が足を運ぶことも少なくありません。 なかには気のいい常連さんが、お店のルールやお酒の頼み方を教えてくれることも。美味しい日本酒を前に、楽しい会話を楽しめるのも角打ちの魅力のひとつです。 2-4.地元の空気、店の歴史を満喫できる 角打ちできる酒販店のなかには、古い歴史を持つお店もあります。そこは地元民が集う風情ある空間。なかには若い代がお店を継いだのを機に、新たなこだわりメニューを提供している角打ちもあります。 年季の入ったカウンターに地域性あふれるおつまみと、ほかにはない楽しみを満喫できるのも角打ちの魅力です。 3.知って安心!角打ちの楽しみ方 飲食店とはまた違う魅力を持つ角打ちスタイル。「初めてだとちょっと緊張…」という方も、事前に楽しみ方を知っていれば安心です。 マナーやお店の探し方など、ぜひ角打ちに足を運ぶ際の参考にしてくださいね。 3-1.角打ちのマナー 角打ちを提供するのはあくまでも酒販店。飲食店のようなサービスは提供していないため注意しましょう。お酒は冷やのみ、前払い制が基本です。 また、スペースが限られている店舗も多いため長居は禁物です。大勢で押しかけて騒ぐのは控え、常連さんに配慮しながら適度な量をサクッと楽しむように心がけましょう。 近年は、飲み放題やおつまみセットプランを展開する角打ち店もあります。いずれも料金形態を事前に把握しておくほか、常連さんの飲み方を参考にするとより安心ですよ。 3-2.「ネオ角打ち」「角打ちバー」など新しい角打ちの形も 日本酒文化の進化とともに、角打ちスタイルもさまざまに変化を遂げています。近年はおしゃれに角打ちを楽しめる「ネオ角打ち」が登場。こだわりのおつまみと一緒にバーカウンターで日本酒を楽しむ「角打ちバー」も人気です。 なかには日本酒だけでなく、ワインや焼酎を提供する店舗もあります。その他、酒蔵とのコラボイベントを開催するなど、各酒販店が工夫を凝らし、日本酒文化を若い世代に伝えようという取り組みが広がりを見せています。 3-3.角打ちできるお店の探し方 近年は角打ちスタイルを前面に打ち出す酒販店も少なくありません。「角打ちを楽しみたい!」と思ったら、まずは地域×角打ちのキーワードをネットに打ち込んでみましょう。利用形態や料金設定も事前に調べられるため、角打ち初心者も安心です。 地元民に愛されるコアな角打ち店を探すときは、口コミで探すのもおすすめです。初めてでも立ち寄れる店がないか、地元をよく知る飲食店や酒販店に相談してみるのもいいですね。その土地ならではの魅力が詰まった、角打ちとの出会いが待っているかもしれませんよ。 4.都内の角打ちのできるお店4選 ここからは、都内の角打ちできるお店4選を紹介します!いずれも自慢の日本酒を気軽に楽しめるお店ばかり。角打ち初心者でも足を運びやすい店舗のため、ぜひチェックしてみてくださいね。 ※営業時間等は変動している可能性もあるため、ご利用の際には、あらかじめ最新の情報をご確認ください。 4-1.スタンディングルーム鈴傳 「スタンディングルーム鈴傳」は、昔は良く見られた酒屋の「角打ち」を原型としており、現在の“立ち飲み居酒屋”の草分け的存在となっているお店です。 日本酒は店内の在庫に基づいて毎日変わり、値段は420円から楽しむことができます。 おつまみも名物牛すじが火曜日、名物レバーが水曜日、煮玉子・串カツが金曜日、その他手作りのおつまみが400円~450円で日替わりで楽しめます。 住所 東京都新宿区四谷1-10 営業時間 平日17:00〜20:45 サイト http://suzuden-sake.com/ 4-2.銀座 君嶋屋 銀座と東京駅の間、外堀通り沿いの銀座1丁目にある「銀座 君嶋屋」です。 スタンディングバーで10種類以上の日本酒を楽しむことができます。 週末には飲み比べセットや特別なワインも楽しむことができるので、いろんな日本酒やお酒を楽しみたいという方におすすめです。 住所 東京都中央区銀座1-2-1紺屋ビル1F 営業時間 月〜土 10:30〜20:00 日祝 10:30〜19:00 サイト https://kimijimaya.co.jp/shop/ginza (出典元:横浜君嶋屋 銀座店) 4-3.KURAND SAKE MARKET 池袋店 「KURAND SAKE MARKET」池袋店は、3000円の前払い式でなんと日本酒約100種類が飲み比べし放題のお店です。 時間制限もないので、心ゆくまで様々な日本酒を飲み比べて楽しむことができます。 お料理は持ち込みやデリバリーで調達が可能です。途中の入退店も可能ですが、自分の好きなおつまみを用意してからお店を訪れるとスムーズに楽しめます。 住所 東京都豊島区西池袋3-27-3 s&kビル4階 営業時間 平日17:00~22:30(LO 22:00) 土日12:00〜16:00(15:30LO) 17:00~22:30(LO 22:00) サイト https://sakemarket.kurand.jp/ikebukuro (出典元:KURAND SAKE MARKET 池袋店) 4-4.未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR 気軽にオシャレにかっこよく、人気銘柄「久保田」を楽しめるお店です。 人工知能を用いた味覚サービス「YUMMY SAKE」が味覚を12種類に判定。結果をもとに、自分にぴったりの日本酒を楽しめます。 渋谷PARCO店限定のオリジナルカクテルやおつまみメニューも多彩。自由なスタイルで日本酒を楽しめるネオ角打ちです。 住所 東京都渋谷区宇田川町15番1号 渋谷PARCO B1階 営業時間 13:00~23:00(L.O. 22:00) サイト https://www.kubota-sake-bar.com/ 未来日本酒店/KUBOTA...
日本酒の「上撰」や「特撰」、「佳撰」とは?由来や読み方を解説
日本酒のラベルに「上撰」、「特撰」などと書かれているのを見たことはないでしょうか?漢字表記や種類が多い日本酒。一体何のこと?とふしぎに感じてしまいますよね。 そこで今回は、「特撰」「上撰」「佳撰」の読み方や意味について詳しくお伝えします。種類の豊富さこそ、日本酒の魅力であり奥深さ。違いを知ると、日本酒選びがもっと楽しくなりますよ。 1.「特撰」「上撰」「佳撰」とは?読み方と意味 「特撰」「上撰」「佳撰」とは、蔵が独自に設けた日本酒のランクのことです。「佳撰」から「特撰」に行くほどランクは高くなります。まずは、それぞれの読み方や具体的な意味について確認していきましょう。 1-1.「特撰」「上撰」「佳撰」の読み方 「特撰」「上撰」「佳撰」は、それぞれ以下のように読みます。 特撰(とくせん) 上撰(じょうせん) 佳撰(かせん) 「撰」は、書物を書き記したり、多くのなかから良いものを選び取ることを意味する漢字です。「特」は、とりわけ抜きんでていることを表します。漢字の意味を考えても、「特撰」が3つのなかで特に優れていることがわかりますね。 1-2.「特撰」「上撰」「佳撰」は蔵独自のお酒のランク付け 「特撰」「上撰」「佳撰」には、法的な基準は設けられていません。あくまでも、蔵独自が設けたお酒のランクです。使う材料や製造方法などによって、ランクはわかれます。「特撰」に比べ、「佳撰」のお酒はリーズナブルなものが多くなるでしょう。 「特撰」「上撰」「佳撰」が生まれる以前、日本酒は「級別制度」でランクわけされていました。「特撰」「上撰」「佳撰」が蔵独自のランクであるのに対し、級別制度は酒税を課すために国が定めた基準です。 級別制度がいつ頃廃止され、なぜ「特撰」「上撰」「佳撰」が生まれたのか、次の章で詳しく解説していきますね。 2.かつての級別制度のなごり「特撰」「上撰」「佳撰」 日本酒級別制度は、1940年(昭和15年)の戦争のさなかに生まれました。食糧難により原料の米が不足し、水でかさ増ししたような質の悪い酒が横行しはじめたからです。 政府が流通を認める基準となった級別制度は、当初は「特級」から「五級」までの6分類でした。太平洋戦争後は、「特級」「一級」「二級」の3つのランクが主流となっていきます。 1990年(平成2年)になると、級別制度に代わる基準として「特定名称酒」が登場します。その後約2年間は、級別制度も併用されていました。 突然呼び名が変わるとなっても、市場も蔵も困惑してしまいます。そこで、「特級」「一級」「二級」に代わる名称として誕生したのが「特撰」「上撰」「佳撰」の呼び名でした。 級別制度のなごりである3つの呼び名は、特定名称酒が主流となった現在も各蔵で広く用いられています。 3.級別制度から「特定名称酒」へ 現在主流となっている「特定名称酒」の基準では、日本酒は以下の8つに分類されます。 本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ) 特別本醸造酒(とくべつほんじょうぞうしゅ) 吟醸酒(ぎんじょうしゅ) 大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ) 純米酒(じゅんまいしゅ) 純米吟醸酒(じゅんまいぎんじょうしゅ) 純米大吟醸酒(じゅんまいだいぎんじょうしゅ) 特別純米酒(とくべつじゅんまいしゅ) これらの呼び名は、お酒の原料や製造方法などで分類されたものです。「特撰」「上撰」「佳撰」は、特定名称酒に該当しない「普通酒」にあたります。特定名称酒については、こちらの記事もぜひ参考にしてくださいね。 https://sake-5.jp/miscellany-of-sake/#1-1%E7%89%B9%E5%AE%9A%E5%90%8D%E7%A7%B0%E9%85%92%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 4.おすすめ「上撰」3選 「特撰」「上撰」「佳撰」は、特定名称酒ではない普通酒にあたるお酒とお伝えしました。普通、と聞くとなんだか特別名称酒のほうが特別で美味しいというイメージを持ってしまいがち。ところが、流通する日本酒の約7割は普通酒が占めるなど、実は普通酒はとても身近な存在なんです。 実際に、蔵自慢の普通酒「特撰」「上撰」「佳撰」も数多く存在します。こちらでは、なかでもおすすめの「上撰」3選を紹介していきますね。 4-1.上撰 松竹梅 大手酒造メーカー、宝酒造の代表酒「上撰 松竹梅」。常温でも温めても変わらないクオリティは、長年多くのファンに愛されています。春には山菜、夏は冷奴、秋の秋刀魚に冬の鍋物と、季節をとおした旬の味わいに寄り添う美味しさです。 (出典元:宝酒造株式会社) 4-2.上撰 白鶴 旨味とキレを兼ね備えた「上撰 白鶴」は、燗酒好きにおすすめの1本です。温度帯に関わらず、適度な香りとコクが日本酒好きの心を満たしてくれます。200ml容量のカップ酒も販売されているため、美味しいお酒を気軽に楽しみたいときにおすすめです。 (出典元:白鶴酒造株式会社) 4-3.上撰 月桂冠 酒どころ伏見の酒造メーカー「月桂冠」。上撰は昭和の時代から長年親しまれてきたお酒です。月桂冠オリジナルの酵母を使用し、ふくよかな旨味を生み出しています。よりすっきり軽やかな味わいを楽しみたいときは、「佳撰」もおすすめです。 (出典:月桂冠株式会社) まとめ 日本酒の基準変更にともない生まれた呼び名「特撰」「上撰」「佳撰」。普通酒にあたるこれらのお酒は、今でも多くのお酒好きに愛されています。肩書にこだわらずにお酒を選べば、日本酒の世界がさらに広がるはず。酒販店や飲食店などでその名前を見つけたら、ぜひ手にとって味わいを確かめてみてくださいね。
日本酒で作る鍋「美酒鍋」と「常夜鍋」のレシピを紹介!
温かい鍋が恋しい季節がやってきました!実は日本酒は、鍋と相性抜群。旨味の相乗効果でお互いの美味しさがより引き立ちます。 今回は、日本酒を使った「美酒鍋」と「常夜鍋」のレシピをご紹介します。「日本酒をいつもと違うアレンジで楽しみたい」、「飲み切れない日本酒が余っている」というときは、ぜひチャレンジしてみてくださいね。 1.日本酒と鍋は相性抜群! 寒い冬の定番、鍋と日本酒は相性抜群!その理由には、それぞれが持つ旨味成分が関係しています。 鍋のベースとなる出汁は、旨味の宝庫。昆布や野菜にはグルタミン酸、きのこ類にはグアニル酸、魚や肉にはイノシン酸が多く含まれています。これらはすべて、旨味のもととなる成分。それぞれの相乗効果で、鍋はより美味しい料理に仕上がるというわけです。 また、日本酒は旨味成分アミノ酸を豊富に含むお酒です。鍋の成分と合わされば、旨味の相乗効果がより高まります。鍋をおともに日本酒を楽しむのはもちろん、鍋の材料として日本酒を使うのもおすすめです。 2.賀茂鶴酒造考案の「美酒鍋」 「美酒鍋」は、酒蔵発祥の鍋料理です。考案したのは、広島県の賀茂鶴酒造。蔵人に栄養をつけてあげたいとの思いから生まれた「美酒鍋」は、利き酒に影響の出ない、あっさりとした味わいが魅力です。 「美酒鍋」は水は使わず、日本酒のみで調理していきます。お酒の種類は、旨味のある純米酒や、冷でも燗でも美味しい本醸造酒などがおすすめです。野菜の量や種類は好みにあわせて調整してください。具材を多めに用意すれば、日本酒を足しつつ温かい鍋を楽しめます。 2-1.美酒鍋の材料(4人分) 豚ばら肉(薄切り)200g 鶏むね肉 200g 砂肝 200g にんにく 1かけ サラダ油 少量 ※野菜は好みにあわせて調整してください 白菜 1/4株 白ねぎ 1本 玉ねぎ 1/2個 ピーマン 2個 にんじん 1/2本 しいたけ 4個 えのきだけ 1株 こんにゃく (ちぎって下茹でする)1/2枚 厚揚げ 1枚 ※水は使わず清酒のみで仕上げます 清酒 400~500ml 塩、こしょう 適量 溶き卵(お好みで) 2-2.美酒鍋の作り方 1.すべての材料を食べやすい大きさにカットする。にんじんはピーラーを使うと薄い短冊状になり、火が通りやすいのでおすすめです。 2.鍋にサラダ油とスライスしたにんにくを加え、弱火にかける。香りが出てきたら肉類を入れ、塩コショウで下味を付ける。 3.肉類に軽く火が通ったら、火の通りにくい材料から鍋に入れていく。 4.日本酒を材料が半分浸かるぐらいまで入れ、強火で2~3分沸騰させ、炒り煮しながらアルコール分を飛ばす。 5.野菜がしんなりしたら、塩コショウで味を調えてできあがり。好みで溶き卵、七味、ゆずこしょうなど絡めていただく。 3.冬に旬を迎えるほうれん草がたっぷりの「常夜鍋」 「常夜鍋」は、豚肉とほうれん草主体のシンプルな鍋です。毎晩食べても飽きないことから、その名が付けられたといわれています。 好みにあわせ、だし汁と日本酒の割合をアレンジするのもおすすめです。レシピは基本となるほうれん草、豚肉、油揚げの組み合わせですが、大根やネギ、豆腐などを加えれば味のバリエーションが広がります。 3-2.常夜鍋の材料 (4人分) 豚バラ肉(薄切り) 300g ほうれん草 1束 ...
日本酒スイーツおすすめ10選とおうちで作れる日本酒スイーツレシピを紹介!
ケーキにショコラ、マカロンと多様な進化を見せる日本酒スイーツ!今回は、そのなかでもおすすめの日本酒スイーツ10選をご紹介します。 日本酒香るスイーツは、お酒好きな方へのプレゼントにおすすめです。後半には手作りレシピも登場するので、ぜひお家で美味しい日本酒スイーツを楽しんでくださいね。 1.おすすめ日本酒スイーツ10選 近年は、全国でさまざまな日本酒スイーツが販売されています。日本酒をたっぷり染み込ませたケーキからショコラまで、バリエーションも豊富です。お取り寄せや通販可能な品もあり、贈答用にも好まれています。 1-1.宮城の酒蔵 利き酒ショコラ 一粒一粒のショコラに使われているのは、宮城県内6件の酒蔵のお酒。まるで利き酒を楽しむように味わえるショコラの詰め合わせボックスです。伝統の技で生まれる山廃(やまはい)仕込みから、貴醸酒(きじょうしゅ)と呼ばれるタイプまでお酒の種類はさまざま。日本酒好きへのバレンタインプレゼントにもおすすめです。 (出典元:ショコラティエ パレドオール) 1-2.日本酒ケーキ 壱ノ壱ノ壱 「壱ノ壱ノ壱(いちのいちのいち)」は、パレスホテル東京のプライベート日本酒です。名前はホテルの住所、丸の内1-1-1に由来しています。 ブランド卵『太陽の輝き 彩卵』や純日本産の『和三盆糖』などを原料に、純米大吟醸の酒粕をプラス。ふわふわしっとり、きめ細やかな口あたりの日本酒ケーキです。 (出典元:パレスホテル東京 Online Shop) 1-3.きつくらスイーツ「日本酒のマカロン」 コロンとかわいい「日本酒マカロン」。クリームには、橘倉(きつくら)酒造のお酒「菊秀 純米吟醸 無尽蔵シリーズ」が練り込まれています。口に入れるとホロリとほどけるのは、お酒と酒粕の甘い香り。地元ケーキ店と共同開発したという、信州発の日本酒スイーツです。 (出典元:橘倉酒造) 1-4.山車 地酒ぷりん 「山車(さんしゃ)」は、岐阜県・飛騨高山の原田酒造場が手がける地酒です。日本酒香る「地酒ぷりん」は、酒蔵内でも味わえます。プリンのほか、日本酒を使ったソフトクリームやチーズケーキなど、スイーツのバリエーションは実に豊富。「地酒ぷりん」の美味しさをきっかけに、足を運びたくなる酒蔵です。 (出典元:飛騨酒蔵 山車【公式サイト】) 1-5.秋田ほろよい酒ゼリー 銘酒物語(めいしゅものがたり) 秋田県は数々の人気銘柄が生まれる酒どころ。「秋田ほろよい酒ゼリー」では、秋田の地酒を使った6種のゼリーを味わえます。「まんさくの花」に「太平山(たいへいざん)」、「高清水(たかしみず)」など、秋田といえばといわれる銘柄ばかり。暑い時期には凍らせて、シャリシャリ食感の日本酒シャーベットとして楽しむのもおすすめです。 (出典元:お菓子のくらた) 1-6.日本酒とお米のチーズケーキ 「八極」 埼玉県の酒蔵「晴雲(せいうん)酒造」と、お菓子工房「Dante」のコラボレートケーキです。四角いチーズケーキからふわっと広がるのは、熟成古酒の香り。チーズと酒粕の風味がギュッと凝縮され、日本酒とあわせて美味しくいただけます。酒蔵の升(ます)が付いたセットはギフトにもおすすめです。 (出典元:手作りチーズケーキの店 ダンテ) 1-7.越乃ショコラケーキ ベルギー産のチョコレートと、日本酒のマリアージュを楽しめるスイーツです。お酒は新潟県の酒蔵「吉乃川」の大吟醸酒。日本酒好きはもちろん、お酒を飲まない方でも食べやすい味わいです。酒どころ、新潟県のお土産にもおすすめしたい逸品です。 (出典元:新潟県観光物産株式会社) 1-8.鶴齢ショコラ雪男 もさっとした体に小さく輝く2つの目。どこかキュートな雪男ラベルのお酒は、「鶴齢(かくれい)」の人気銘柄です。こちらのケーキは、日本酒を染み込ませたガトーショコラをチョコレートでコーティングしたもの。雪のようにひんやりと冷やせば、ネットリとした舌触りを楽しめます。 (出典元:チョコレートの専門店 しょこら亭) 1-9.地酒ゼリー・甘酒プリン 温泉地として知られる越後湯沢で新名物として誕生したスイーツです。「地酒ゼリー」には、青木酒造の「鶴齢」をたっぷりと使用。「米花(まいか)」と名付けられた甘酒プリンには、自家製造した甘酒が使用されています。甘酒プリンはノンアルコールのため、子どもと一緒に楽しむスイーツにおすすめです。 (出典元:新潟直送計画) 1-10.大吟醸酒ケーキ 銘酒「真野鶴(まのつる)」で知られる尾畑酒造の日本酒スイーツです。使用されているのは、香り高い大吟醸酒。ティータイムはもちろん、ディナーのデザートにもふさわしい豊かな味わいです。お酒の香りとともに、ふんわりしっとりとした口当たりを堪能できます。 (出典元:尾畑酒造 株式会社) 2.お家で作れる!日本酒スイーツレシピ ここからは、お家で作れる日本酒スイーツレシピをご紹介!ケーキにプリン、生チョコとお酒がふわりと香るスイーツがお家で気軽に楽しめますよ。 2-1.日本酒ケーキ 材料(18cmパウンド型) バター 100g 砂糖 80g 卵 2個 日本酒 大さじ2 ...
おうちで簡単!酒粕を使った酒粕パックの作り方や注意点・アレンジを紹介
酒粕を水で伸ばす酒粕パックは、お家で簡単に手作りできます。美白や保湿など、さまざまな効果が期待できるといわれている酒粕パック。今回は、作り方や使い方をくわしくお伝えします。 より効果を実感したいという方には、ライン使いできる市販の酒粕パックもおすすめです。ぜひ日々のスキンケアの参考にしてくださいね。 1.酒粕パックとは?酒粕の美容効果 酒粕パックは、お酒を搾ったときにできる「酒粕」を使ったスキンケアです。市販品を購入できるほか、お家でも簡単に手作りできます。 酒粕は、体にうれしい栄養素をたっぷり含んだ発酵食品です。飲むだけでなく、肌に塗っても美肌効果が期待できます。 1-1.お酒を搾ったあとに残る「酒粕」 日本酒は、醪(もろみ)と呼ばれる白い液体を搾ってできるお酒です。搾ったあとに残る固形物が「酒粕」になります。 酒粕には、米や米麹(こうじ)、酵母由来の成分が凝縮した状態で含まれています。タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが豊富な発酵食品です。甘酒や粕汁などにするほか、スキンケアにも活用できます。 1-2.酒粕パックで期待できる美容効果 酒粕には、アルブチンやフェルラ酸といった美肌成分が豊富に含まれています。アルブチンは、シミやソバカスの原因となるメラニン色素の蓄積を防いでくれる成分。フェルラ酸は、エイジングケア化粧品などに配合される成分です。 さらに、肌のうるおいを保つセラミドの一種、グルコシルセラミドを含む酒粕には、美白効果や保湿効果が期待できます。 2.お家で簡単!酒粕パックの作り方と使い方 酒粕パックはお家で手作りできます。材料は酒粕と水(精製水)といたってシンプル。ここからは、注意点もあわせて酒粕パックの作り方や使い方を紹介していきます。 2-1.酒粕パックを使うときの注意点 酒粕パックを使うときは、腕の内側などに乗せ、パッチテストをおこなうことをおすすめします。酒粕にはアルコールが含まれているため、人によっては肌への刺激が強いからです。パッチテスト中にヒリヒリとした刺激を感じる場合は、すぐに洗い流し酒粕パックの使用を控えてください。 2-2.酒粕パックの材料と作り方 材料 酒粕 50g 精製水 約50ml 酒粕パックの作り方 酒粕パックの作り方はとっても簡単。きれいな器か袋などに酒粕を入れ、水を少しずつ加えながらペースト状になるまで混ぜていきます。 水の量は、顔に塗っても垂れない固さになるよう調整してください。酒粕が固い場合は、小さくちぎってから使うのがおすすめです。 多めに作れば1週間ほど冷蔵庫で保存できます。ただし、酒粕はあくまでも食料品のため1週間をめどに使い切るようにしましょう。 2-3.お肌にあわせてデイケア&スペシャルケア 酒粕パックは、洗顔後の水気をふき取った肌に乗せていきます。顔全体に伸ばし、5~10分おいたらぬるま湯で洗い流しましょう。 おすすめは、入浴中の酒粕パックです。湿度と温度が高い浴室では、毛穴が開きより効果的といわれています。浴室なら、デコルテや腕なども同時にケアできるのがうれしいですね。 お肌がお疲れ気味というときは、酒粕パックを使ったスペシャルケアを。パックの上からシートマスクを乗せれば、よりしっとりとした効果が期待できます。 3.手作り酒粕パック3つのアレンジ 米ぬかや豆乳など、好みにあわせてアレンジできるのが手作り酒粕パックのうれしいポイントです。大豆や乳製品などを使用するため、こちらも使用前はパッチテストをおすすめします。酒粕の香りが苦手というときは、アロマオイルのアレンジをお試しください。 3-1.酒粕パック+米ぬか 米ぬかは、玄米を削ったときに出る粉末です。ぬか漬けなどに使われる米ぬかには、美容効果が期待できるビタミンが豊富に含まれています。 酒粕パックに加えれば、スクラブ効果もプラスされます。ヒジやかかとなどの全身ケアにおすすめです。ゴシゴシこするのではなく、肌にやさしく乗せて使ってくださいね。 3-2.酒粕パック+無糖ヨーグルト ヨーグルトに含まれる乳酸には、古い角質を除去したり、シミやくすみの原因を抑える働きがあるといわれています。パックとして使用するときは、無糖ヨーグルトを選んでください。また、作り置きはせず、1回で使い切るのがおすすめです。 3-3.酒粕パック+アロマオイル 酒粕のにおいが気になるときは、アロマオイルを数滴たらしてみてください。入浴中の酒粕パックに使用すれば、リラックス効果がより高まります。入れすぎると香りが強くなり、肌への刺激にもつながるため注意しましょう。 4.市販のおすすめ酒粕パック 酒粕を使った美容パックはドラッグストアや通販サイトなどで購入できます。酒粕洗顔フォームやローションもあるため、ライン使いしたいときにもおすすめです。 4-1.ワフードメイド 酒粕パック 肌にぬりやすいテクスチャーの酒粕パックです。オリジナルの酒粕エキスがたっぷり配合されています。同シリーズのメイク落としや洗顔料、化粧水もあり、日々のスキンケアに酒粕効果を取り入れることができますよ。 (出典元:株式会社pdc) 4-2.マイノロジ はがせる杜氏の酒粕泡パック こちらは塗った後にやさしくはがすタイプのパックです。肌に塗ると汚れが浮き上がり、泡状に変化します。はがした後の肌はふっくらもっちり。くすみが気になる肌のトーンアップ効果が期待できます。 (出典元:amazon) まとめ 体の内側と外側、両方からうれしい効果が得られる酒粕。パックにすれば、日々のスキンケアにその効果を活用できます。豊富な栄養成分は、日本酒が米と米麹から生まれる発酵食品だからこそ。料理に使ったり、パックにしたりと日常に酒粕効果を取り入れてみてはいかがでしょうか。
日本酒「獺祭」10種類の価格と特徴を唎酒師が解説!
世界でも人気の日本酒「獺祭(だっさい)」には、「磨き」や「遠心分離」といった種類があります。 今回は、種類による造り方の違いや味のこだわりについて詳しく紹介します。ぜひ、お店で獺祭を選ぶときの参考にしてください。 1.獺祭の種類は大きくわけて2つ 獺祭には大きくわけて「磨き」と「遠心分離」2つの種類があります。どちらも旭酒造のこだわりと想いが詰まった日本酒です。 1-1.獺祭の基本となる「磨き」 獺祭における「磨き」といえば「二割三分」です。精米歩合は23%。米の外側を70%以上削った米で造られています。 「二割三分」は当初、25%の精米歩合を目指して造られたお酒でした。ところが、いざ精米を始めたところ、ほかの酒造メーカーが24%の酒を販売していることが桜井社長(現会長)の耳に入ります。 当時、東京へ出張中だった社長は、帰りの新幹線の車内電話で米をさらに2%磨くよう精米担当者に要請。トータル7日間、計168時間という時間をかけて精米歩合23%の米はできあがりました。 白く輝く小さな酒米は、まさに磨きぬかれた宝石のよう。 華やかな香りと芳醇な旨味、酸味のバランスに優れた「二割三分」は、味の磨きがかかった獺祭の代表銘柄。今では「JAPANESE SAKE」として世界でもその名が知られています。 1-2.獺祭が日本酒の工程で初導入した「遠心分離」 日本酒は、一般的に「醪(もろみ)」と呼ばれる白くどろっとした液体を袋に詰め、圧力をかけて液体を搾り出します。 獺祭の取り入れている「遠心分離」は、圧力をかけずに日本酒を搾る手法です。商業ベースでは日本で初めて遠心分離機を導入し、研ぎ澄まされた味わいのお酒を搾り出しています。 「遠心分離」と名付けられた獺祭は、遠心分離で搾ったお酒と、圧力をかける手法で搾ったお酒を絶妙にブレンドしたもの。 「いやなところが何もない」といわれる「遠心分離」の酒質に、通常のパンチのある酒質を加え、繊細な旨味と味の奥行きを表しているのが特徴です。 2.獺祭の磨きの種類 獺祭の「磨き」は、精米歩合によって種類がわかれます。「二割三分」のさらに先を行く「磨き その先へ」など、新たな種類が誕生していることも特徴です。 ※価格は2021年当時のものです。場合によっては変更されている可能性もあります。 2-1.純米大吟醸45 価格: 3,421円 / 1800ml 1,738円 / 720ml 743円 / 300ml 「純米大吟醸45」は、獺祭のスタンダードともいえる1本です。酒米の王様「山田錦」を使用し、繊細な甘みと華やかな香りを生み出しています。暑い夏には氷をたっぷり入れたグラスに注ぎ、ロックにしても美味しい獺祭です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-2.純米大吟醸 磨き三割九分 価格: 5,472円 / 1800ml 2,706円 / 720ml 1,133円 / 300ml 「純米大吟醸 磨き 三割九分」は、山田錦を39%まで磨いて仕込んだ獺祭です。グラスに口を近づけると感じるのは、フルーツを思わせる華やかな香り。口に含むと、蜂蜜のような上品な甘みが広がります。 口当たりなめらかで、後に残るのは心地よい余韻。「やっぱり獺祭って美味しいよね」と実感させてくれる1本です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-3.純米大吟醸 磨き二割三分 価格: 11,440円 /...
日本酒に漬け込んでお肉は柔らかくなる!その理由は?
「お肉をお酒に漬けると柔らかくなる」そんな話を聞いたことはありませんか?日本酒もそのひとつ。牛肉や豚肉などを日本酒に漬けると、柔らかく仕上がります。 今回は、その理由を詳しくご紹介。お肉を柔らかくするためのポイントや方法もお伝えします。飲んで楽しむ日本酒を、「食べる日本酒」としてぜひ日常に取り入れてみてくださいね。 1.お肉が固くなるのはどうして? 調理でお肉が固くなる理由には、お肉の「水分」と「タンパク質」が関係しています。水分が飛んだり、タンパク質が固まることでお肉は固くなるからです。 種類や部位にもよるものの、お肉は全体の60~70%が水分で構成されています。15%前後がタンパク質。残りが脂質やその他の栄養素です。 お肉の水分は、加熱のしすぎや塩分の影響で失われてしまいます。肉を焼きすぎるとパサパサになるのも、加熱することで水分が蒸発するからです。 また、お肉の「筋繊維タンパク質」は、加熱すると縮んで固くなります。タンパク質が縮むことでさらに水分が搾り出され、お肉が固くなってしまうというわけです。 つまり、お肉を柔らかく仕上げるには、保水と筋繊維タンパク質のちぢみを抑えることが大切なポイントになります。 2.日本酒でお肉が柔らかく!その理由は? 日本酒でお肉が柔らかくなる理由には、以下の2つがあげられます。 お酒でお肉のpH値が変化し保水力が高まるから 筋繊維タンパク質がゆるんだ状態で早く固まるから 前述した水分とタンパク質、どちらにもうれしい効果が期待できるというわけです。それぞれ詳しく解説していきますね。 2-1.お酒でお肉のpH値が変化し保水力が高まるから pH値とは、液体の酸性や中性、アルカリ性を示す数値のことです。お肉のpH値は5.5前後で、水分を逃しやすい値だといわれています。お肉の保水力は、pH5.5から酸性側、アルカリ性側どちらに傾いても向上します。 日本酒のpH値は、酸性寄りの4.2~4.7前後です。そのため、日本酒に漬けこんだお肉は酸性の状態へと近づき、保水力が高まります。水分量がキープされ、加熱をしても柔らかく仕上がるというわけです。 2-2.筋繊維タンパク質がゆるんだ状態で早く固まるから お酒に含まれるアルコール成分は、筋繊維タンパク質の網目状の組織の中に入り込み、ゆるんだ状態をキープしてくれます。筋繊維がゆるむことで保水性が高まり、お肉は加熱をしてもちぢみにくくなります。 また、日本酒と一緒に調理されるお肉は火が通りやすくなります。アルコールの沸点は、水よりも低いからです。そのため、加熱時は筋繊維がゆるんだ状態で早く固まり、お肉が柔らかい状態に仕上がります。 3.日本酒でお肉を柔らかくする方法とポイント 日本酒でお肉を美味しく、柔らかく仕上げたいときは、日本酒の種類にこだわってみてください。ここからは、日本酒にお酒を漬け込む方法や、鍋に使う方法もご紹介します。 3-1.日本酒の種類は純米酒がおすすめ 日本酒は、原料や製法で吟醸酒(ぎんじょうしゅ)や純米酒(じゅんまいしゅ)などの種類に分類されます。料理に使うときは、米と米麹のみで造られる純米酒がおすすめです。純米酒はコクがあり、料理に使うと全体の旨味がアップします。 また、「清酒」として販売されている日本酒ではなく、「料理酒」を使う場合は、料理全体の調味料を調整してください。料理酒には、すでに塩分や糖分などが含まれているからです。 以下のように鍋に一定量を用いる場合は、日本酒を使うとお酒の風味をより一層楽しめます。 3-2.お肉を漬け込んで柔らかく 牛肉や豚肉などを日本酒に漬け込むと、前述した作用でお肉が柔らかくなる効果が期待できます。肉の量や部位にもよるものの、漬け込む時間は1時間から半日を目安にしましょう。時間が長すぎると、お肉が固くなることもあるので気を付けてくださいね。 3-3.鍋に使ってお肉を柔らかく 日本酒を鍋に使うと、豚肉や肉だけでなく、魚介類も柔らかく仕上がります。水とたっぷりの日本酒で出汁を作るほか、鍋に日本酒だけを注ぎ、弱火で2/3まで煮詰めてしゃぶしゃぶ鍋にするのもおすすめです。 煮詰めている間はアルコールが蒸発しているため、アルコールに弱い方や子どもは近づかないよう気を付けてください。アルコール分が飛んだあとはお酒の旨味だけが残り、シメの雑炊まで美味しくいただけます。 4.日本酒以外のお酒でもお肉は柔らかくできる? 日本酒以外のお酒でも、お肉は柔らかく仕上がります。種類によってアルコール度数や風味は変わるため、料理ごとに使い分けるのも良いでしょう。ビールやワイン、焼酎と、それぞれの個性が料理の味わいをグレードアップしてくれます。 4-1.ビール ビールに含まれる「炭酸」は、お肉の保水性を高めてくれます。また、「酵母」がお肉のタンパク質を分解するため、漬け込んだり、煮込み料理に使ったりすることでお肉が柔らかく仕上がるのが特徴です。ビールとコンソメで肉や野菜をコトコト煮込めば、味わい深い洋風メニューができあがります。 4-2.ワイン ワインも日本酒と同様に、お肉を酸性の状態に傾け柔らかく仕上げる作用があります。ワインを使った肉料理といえば、ビーフシチュー。また、牛すね肉を赤ワインでコトコト煮込むと、お肉がホロッと崩れるほど柔らかく仕上がります。 4-3.焼酎 焼酎は、麦や芋を原料に造られるアルコール度数の高いお酒です。料理に使うのであれば、クセの少ない米焼酎や麦焼酎をおすすめします。素材の風味を損なうことなく、肉が柔らかくなる効果が期待できます。 焼酎が活躍する肉料理といえば、豚の角煮です。肉の臭みも取れ、じっくり煮込むことでトロトロ柔らかな角煮ができあがります。 5.柔らかくするだけでなく、日本酒で旨味やコクもアップ 日本酒は、お肉を柔らかくするだけでなく、料理に旨味やコクを与えてくれます。日本酒には、グルコースなどの糖分や、アミノ酸などの旨味成分が含まれているからです。 特に、日本酒のアミノ酸含有量は高くワインの約2倍以上。ビールと比較すると、約10倍にもなるといわれています。 なかでも、日本酒のグルタミン酸とカツオ出汁のイノシン酸は好相性。カツオ出汁の味噌汁に日本酒を少し加えると風味がグッとアップします。アルコールの効果で調味料の吸収率が上がるため、塩分を控えたいときにもおすすめです。 まとめ 飲んで美味しい日本酒は、料理に使うとお肉を柔らかくする効果が期待できます。料理の旨味やコクがより引き立つことも魅力です。 米と米麹というシンプルな材料から生まれるにもかかわらず、さまざまな成分が含まれているのが日本酒の奥深さ。上手に料理に活用しながら、日本酒の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。