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「角打ち(かくうち)」とは?日本酒を気軽に楽しめる角打ちの魅力を唎酒師が解説!

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「角打ち(かくうち)」とは?日本酒を気軽に楽しめる角打ちの魅力を唎酒師が解説!

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 Instagramはこちら https://www.instagram.com/ushinaaa/

監修者

日本酒ラボ編集部
日本酒ラボに携わってから日本酒のおいしさ・奥深さを知り、唎酒師の資格を取得。日本酒ラボを通して、日本酒のおいしさ・楽しさを日本酒にもあまり馴染みがない方にもお伝えしていきます。

酒販店で日本酒を購入するなかで「角打ち」という言葉を耳にしたことはないでしょうか?

角打ちとは、酒販店でお酒を飲むスタイルのこと。気軽に日本酒を楽しめると人気になり、近年はさまざまな角打ちスタイルが誕生しています。

お酒を味わい、そして購入できる角打ちは日本酒ビギナーにもおすすめ。今回は、角打ちの魅力や角打ちができるおすすめ店舗についてご紹介します!

1.「角打ち」とは?

「角打ち」は、酒屋に設けられたスペースでお酒を楽しむことです。明治時代に生まれたといわれる角打ちは、近年新しい日本酒の楽しみ方として注目を集めています。

日本酒ビギナーのなかには「角打ちって一体何のこと?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。まずは、角打ちのくわしい意味や語源、発祥について探っていきましょう。

1-1.「角打ち」の読み方・意味

「角打ち」は、かどうちではなく「かくうち」と読みます。酒屋の一角で日本酒を楽しむことや、その酒屋自体を指す言葉です。また、四角い升(ます)でお酒を楽しむことを「角打ち」と呼ぶなど、幅広い意味で用いられています。

1-2.角打ちの語源

角打ちの語源は諸説あるものの、「升の角に口を付けて呑む」ことがそのひとつだといわれています。

現在のような一升瓶が誕生する以前、日本酒は桶(おけ)や甕(かめ)からの量り売りが一般的でした。各家庭には「通い徳利(かよいとっくり)」や「貧乏徳利(びんぼうとっくり)」と呼ばれる陶器製の容器があり、それぞれがその容器を持参し酒屋へと向かったのです。

酒屋は計量用の升から徳利へとお酒を注ぎ、その分だけ代金をもらっていました。

ところが、いつの時代にもお酒好きは存在するもの。「家に帰るまで待ちきれない!」という客が、升のお酒をそのまま酒屋で楽しむようになったのです。

こうした背景から、「升の角に口を付けて呑む」ことを意味する角打ちという言葉は、やがて「酒屋で酒を飲む」ことへと姿を変えていきました。

枡

1-3.角打ちスタイル発祥の地「北九州市」

現在、全国各地で好まれる角打ち発祥の地は、福岡県北九州市だといわれています。

きっかけとなったのは、1901年(明治34年)の八幡製鉄所の開業。当時、三交代制で働く労働者たちは、仕事明けに一杯できる場所を求めていました。

ところが、労働者が深夜の仕事を終えた早朝、まだ居酒屋は開いていません。そこで選んだのが、朝から営業している酒屋の店先というわけです。

やがて、千葉県に新たな製鉄所が建設されると、労働者は関東へ移り住み、角打ちスタイルも本土へと広がっていきました。

現在も、北九州市には角打ち文化が深く根付いています。「北九州角打ち文化研究所」の調査によると、角打ちができる酒販店は120軒近くにのぼるとか(平成30年調査時点)。

北九州市へ足を運んだ際は、角打ちで地元の魅力を満喫してみるのも楽しそうですね。
(参考:北九州角打ち文化研究所

1-4.関西では「立ち呑み」、東北では、「もっきり」と呼ばれることも

角打ちは、関西では「立ち呑み」とも呼ばれています。これは、居酒屋で立ったままお酒を飲む「立ち飲み」とは別の意味を持つ言葉です。

また、東北地方では「もっきり」、山陰地方では「たちきゅう」とも呼ばれます。「酒屋の一角で酒を飲む」というスタイルは変わらないものの、店の歴史や背景、地域性が色濃く表れるのも角打ちの特徴です。

2.角打ちの4つの魅力

酒販店で日本酒を楽しむ角打ちには、次のような4つの魅力があります。

  1. 時間に縛られず、気軽にお酒が楽しめる
  2. さまざまな日本酒を飲み比べて、購入ができる
  3. お酒が好きな人との交流の場にも
  4. 地元の空気、店の歴史を満喫できる

いずれも日本酒を販売する酒販店ならではの魅力ばかり。気軽に美味しい日本酒を楽しめる角打ちは、日本酒ビギナーにもぴったりですよ。

2-1.時間に縛られず気軽にお酒が楽しめる

角打ちは気軽にお酒を楽しめるのが何よりの魅力です。サービス料やお通し代などを気にすることなく、グラス1杯から好きなお酒を味わえます。もちろん提供されるのは、酒販店が自信を持って販売する銘柄ばかりです。

営業中であればいつでも立ち寄れるのも角打ちの良いところ。時間に縛られず、午前中でもふらっと立ち寄り、美味しい日本酒を楽しめます。

2-2.さまざまな日本酒を飲み比べて、購入ができる

酒屋にずらりと並ぶ日本酒の数々。日本酒を飲みなれないと「どれにしよう」と迷ってしまうことも多いですよね。

複数の銘柄を1杯単位から飲み比べできる角打ちは、日本酒ビギナーにもおすすめのスタイル。自分好みのお酒を見つけたら、そのまま購入できるのも大きな魅力です。

2-3.お酒が好きな人との交流の場にも

酒屋の一角に設けられた角打ちスペースは、お酒好きな人たちが自然と集まる場所。地元の常連客のほか、旅行客が足を運ぶことも少なくありません。

なかには気のいい常連さんが、お店のルールやお酒の頼み方を教えてくれることも。美味しい日本酒を前に、楽しい会話を楽しめるのも角打ちの魅力のひとつです。

お酒が好きな人との交流の場

2-4.地元の空気、店の歴史を満喫できる

角打ちできる酒販店のなかには、古い歴史を持つお店もあります。そこは地元民が集う風情ある空間。なかには若い代がお店を継いだのを機に、新たなこだわりメニューを提供している角打ちもあります。

年季の入ったカウンターに地域性あふれるおつまみと、ほかにはない楽しみを満喫できるのも角打ちの魅力です。

3.知って安心!角打ちの楽しみ方

飲食店とはまた違う魅力を持つ角打ちスタイル。「初めてだとちょっと緊張…」という方も、事前に楽しみ方を知っていれば安心です。

マナーやお店の探し方など、ぜひ角打ちに足を運ぶ際の参考にしてくださいね。

3-1.角打ちのマナー

角打ちを提供するのはあくまでも酒販店。飲食店のようなサービスは提供していないため注意しましょう。お酒は冷やのみ、前払い制が基本です。

また、スペースが限られている店舗も多いため長居は禁物です。大勢で押しかけて騒ぐのは控え、常連さんに配慮しながら適度な量をサクッと楽しむように心がけましょう。

近年は、飲み放題やおつまみセットプランを展開する角打ち店もあります。いずれも料金形態を事前に把握しておくほか、常連さんの飲み方を参考にするとより安心ですよ。

3-2.「ネオ角打ち」「角打ちバー」など新しい角打ちの形も

日本酒文化の進化とともに、角打ちスタイルもさまざまに変化を遂げています。近年はおしゃれに角打ちを楽しめる「ネオ角打ち」が登場。こだわりのおつまみと一緒にバーカウンターで日本酒を楽しむ「角打ちバー」も人気です。

なかには日本酒だけでなく、ワインや焼酎を提供する店舗もあります。その他、酒蔵とのコラボイベントを開催するなど、各酒販店が工夫を凝らし、日本酒文化を若い世代に伝えようという取り組みが広がりを見せています。

3-3.角打ちできるお店の探し方

近年は角打ちスタイルを前面に打ち出す酒販店も少なくありません。「角打ちを楽しみたい!」と思ったら、まずは地域×角打ちのキーワードをネットに打ち込んでみましょう。利用形態や料金設定も事前に調べられるため、角打ち初心者も安心です。

地元民に愛されるコアな角打ち店を探すときは、口コミで探すのもおすすめです。初めてでも立ち寄れる店がないか、地元をよく知る飲食店や酒販店に相談してみるのもいいですね。その土地ならではの魅力が詰まった、角打ちとの出会いが待っているかもしれませんよ。

角打ちできるお店の探し方

4.都内の角打ちのできるお店4選

ここからは、都内の角打ちできるお店4選を紹介します!いずれも自慢の日本酒を気軽に楽しめるお店ばかり。角打ち初心者でも足を運びやすい店舗のため、ぜひチェックしてみてくださいね。

※営業時間等は変動している可能性もあるため、ご利用の際には、あらかじめ最新の情報をご確認ください。

4-1.スタンディングルーム鈴傳

「スタンディングルーム鈴傳」は、昔は良く見られた酒屋の「角打ち」を原型としており、現在の“立ち飲み居酒屋”の草分け的存在となっているお店です。

日本酒は店内の在庫に基づいて毎日変わり、値段は420円から楽しむことができます。

おつまみも名物牛すじが火曜日、名物レバーが水曜日、煮玉子・串カツが金曜日、その他手作りのおつまみが400円~450円で日替わりで楽しめます。

住所 東京都新宿区四谷1-10
営業時間 平日17:00〜20:45
サイト http://suzuden-sake.com/

 

4-2.銀座 君嶋屋

銀座と東京駅の間、外堀通り沿いの銀座1丁目にある「銀座 君嶋屋」です。

スタンディングバーで10種類以上の日本酒を楽しむことができます。

週末には飲み比べセットや特別なワインも楽しむことができるので、いろんな日本酒やお酒を楽しみたいという方におすすめです。

住所 東京都中央区銀座1-2-1紺屋ビル1F
営業時間 月〜土 10:30〜20:00
日祝 10:30〜19:00
サイト https://kimijimaya.co.jp/shop/ginza

 

横浜君嶋屋 銀座店

(出典元:横浜君嶋屋 銀座店

4-3.KURAND SAKE MARKET 池袋店

「KURAND SAKE MARKET」池袋店は、3000円の前払い式でなんと日本酒約100種類が飲み比べし放題のお店です。

時間制限もないので、心ゆくまで様々な日本酒を飲み比べて楽しむことができます。

お料理は持ち込みやデリバリーで調達が可能です。途中の入退店も可能ですが、自分の好きなおつまみを用意してからお店を訪れるとスムーズに楽しめます。

住所 東京都豊島区西池袋3-27-3 s&kビル4階
営業時間 平日17:00~22:30(LO 22:00)
土日12:00〜16:00(15:30LO)
17:00~22:30(LO 22:00)
サイト https://sakemarket.kurand.jp/ikebukuro

 

KURAND SAKE MARKET 池袋店

(出典元:KURAND SAKE MARKET 池袋店

4-4.未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR

気軽にオシャレにかっこよく、人気銘柄「久保田」を楽しめるお店です。

人工知能を用いた味覚サービス「YUMMY SAKE」が味覚を12種類に判定。結果をもとに、自分にぴったりの日本酒を楽しめます。

渋谷PARCO店限定のオリジナルカクテルやおつまみメニューも多彩。自由なスタイルで日本酒を楽しめるネオ角打ちです。

住所 東京都渋谷区宇田川町15番1号 渋谷PARCO B1階
営業時間 13:00~23:00(L.O. 22:00)
サイト https://www.kubota-sake-bar.com/

未来日本酒店/KUBOTA SAKE BARについてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください

日本酒が好きで台湾から日本へ。未来日本酒店/KUBOTA SAKE BARの店長 翠さんにインタビュー!

AIが好みの日本酒の味わいを教えてくれる!?AI味覚判定「YUMMY SAKE」を体験してみた

未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR

まとめ

角打ちは気軽に日本酒を楽しめるのが何よりの魅力です。日本酒は飲みなれないという方も、酒販店に相談しながら自分好みの味を見つけられます。

歴史ある酒屋からカクテルを楽しめる店舗まで、今や角打ちのバリエーションは多種多彩。日本酒好きが集う角打ちの世界を、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。