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熊本で造られるおすすめ日本酒銘柄10選!熊本の日本酒の特徴なども解説

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熊本で造られるおすすめ日本酒銘柄10選!熊本の日本酒の特徴なども解説

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 blog「わたしの酒棚」 https://sakadana.net/

豊かな水源に恵まれ、およそ10の酒蔵が存在する熊本県。県内では、調味料として活用される赤酒のほか、全国にファンを持つ日本酒が多数製造されています。

熊本のお酒は、辛口酒からフルーティーなお酒までバリエーション豊かなことが魅力です。今回は、おすすめ銘柄や熊本のお酒の歴史についてお伝えします。

1.熊本の酒造りの歴史は「赤酒」から

熊本の酒造りの歴史を語るうえではずせないのが「赤酒(あかざけ)」の存在です。赤酒は、古くから熊本地方に伝わるお酒。製造工程で木灰を使うことから「灰持酒(あくもちざけ)」とも呼ばれています。

日本酒の製造が主となった現在も、地元では御神酒(おみき)や御屠蘇(おとそ)の酒として親しまれています。素材の味を引き出すことから、料理酒としても活用されるお酒です。

赤酒

1-1.赤酒はどんなお酒?

「赤酒」は、その名のとおり赤く色付いたお酒です。その歴史は古く、平安時代にはすでに存在したといわれています。

赤酒の大きな特徴は、製造工程に木灰を用いることです。現在のような加熱殺菌処理が確立されていなかった時代、木灰の使用はお酒の保存性を高めることが目的でした。熊本城を築城させた加藤清正は、赤酒を熊本の名産として豊臣家に献上したといわれています。

日本酒の普及とともに一時は姿を消した赤酒は、戦後に復活。上品な甘みと香りは調味料としても重宝され、現在は熊本のみならず、全国の飲食店などでも赤酒が活用されています。

1-2.熊本の酒が「赤酒」から「清酒」に転換したのは明治時代

熊本で現在のような清酒が造られるようになったのは、明治時代に入ってからのこと。市場の需要に伴い清酒製造は活発化し、1879年(明治12年)には「熊本県酒造人組合」が設立されます。

「熊本県酒造研究所」初代技師長の野白 金一氏は、「熊本酵母」を分離、培養させた人物です。酵母(こうぼ)は、酒造りに欠かせない微生物。熊本酵母は、のちに日本醸造協会で「きょうかい9号酵母」に採用され、現在全国の蔵で使用されています。

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2.熊本の日本酒の特徴

熊本の日本酒の大きな特徴が、ミネラルを豊富に含む湧水で仕込まれていることです。県内には1000ヶ所以上の湧水源が存在し、その周辺には酒蔵が点在しています。

熊本酵母を維持管理する蔵、若き蔵人が活躍する老舗蔵、赤酒発祥の蔵など、蔵の個性も実にさまざまです。その多くが熊本の米や酵母を使いながら、地元から全国へと愛される地酒を造り続けています。

3.熊本で作られている酒米(酒造好適米)

酒造りに適した特性を持つ米は、酒米(正式名称 酒造好適米)と呼ばれます。水と同じく、米も日本酒の仕上がりを大きく左右する原料です。熊本県では、復活米「神力(しんりき)」のほか、オリジナル酒米「華錦(はなにしき)」が栽培されています。

3-1.神力(しんりき)

神力は、明治20年代から西日本で広く栽培されていた品種です。大正時代に酒造好適米として評価されていた熊本の神力は、昭和に入ると様々な品種が出てきたことで生産が途絶えてしまいます。

平成に入ると、熊本県で再び神力が復活。幻の酒米とも呼ばれる神力で作った日本酒は、奥深い味わいに仕上がるといわれています。

3-2.華錦(はなにしき)

華錦は、およそ14年の月日を経て開発された熊本県初のオリジナル酒米です。酒米の王様「山田錦」と、県の育成品種「夢いずみ」を掛け合わせています。草丈が低いため倒れにくく、栽培しやすいことが特徴です。県内の酒蔵では、華錦を使ったバリエーション豊かな酒が製造されています。

酒米

4.熊本の日本酒おすすめ銘柄10選

熊本では、自然の豊かさを活かした日本酒が数多く製造されています。熊本酵母が生み出す品の良い香りも魅力です。流通数が少ない銘柄、特約店は熊本のみの銘柄もあるため、出会えたときはぜひその味わいを確かめてみてくださいね。

4-1.熊本県酒造研究所 香露(こうろ)

熊本県酒造研究所は、熊本酵母の維持管理の役割を担う酒蔵です。「香露」もまた熊本酵母で醸されています。長年蓄積されたデータをふまえ、計算されたうえで生まれる味わいは“吟醸酒のお手本”と称されるほど。希少性も高く、多くの日本酒ファンに愛される熊本の地酒です。

熊本県酒造研究所 香露(こうろ)
熊本県酒造研究所 香露(こうろ)

(出典元: お酒のひょうたん屋

4-2.通潤酒造 蛍丸(ほたるまる)

熊本県に伝わる、宝刀「蛍丸」の逸話から生まれたお酒です。やわらかな旨味は刀を癒した蛍を、後口にキレの良さは、刀の切れ味をイメージしています。地元の米と水、そして人を大切にした酒造りから生まれるのは、日々に寄り添う食中酒。蔵のラインナップには、リキュールや甘酒など幅広い商品が揃います。

通潤酒造 蛍丸(ほたるまる)
通潤酒造 蛍丸(ほたるまる)

(出典元: 通潤酒造

4-3.千代の園酒造 産山村(うぶやまむら)

「産山村」は、無農薬栽培された酒米「五百万石」を原料としたお酒です。害虫対策のため田んぼに鯉を放す鯉農法で育てられています。自然の恵みが育む米、名水百選に選ばれた池山水源の名水で生まれる酒は、スッキリと清らかな味わい。熊本の豊かさを実感できる銘柄です。

千代の園酒造 産山村(うぶやまむら)
千代の園酒造 産山村(うぶやまむら)

(出典元:千代の園ウェブショップ

4-4.山村酒造 れいざん

創業は1762年(宝暦12年)と、260年余りの歴史を誇る蔵で生まれるお酒です。「れいざん」の名は、神が宿る山「阿蘇山」に由来しています。地元で古くから愛されてきた「れいざん」は、飲み飽きしない穏やかな味わいが魅力です。地元名産辛子レンコンをおともにすれば、すいすいと盃が進みます。

大吟醸 れいざん
大吟醸 れいざん

(出典元:阿蘇の酒 れいざん

4-5.室原 和田志ら露

小さな蔵で仕込まれる地域に根付いた日本酒です。加水をしていない原酒は、甘味と旨味がギュッと濃縮されています。おすすめの飲み方は、氷をたっぷり入れたグラスに注ぐロックスタイル。流通数は少なく、旅先で出会えた際はぜひおすすめしたい銘柄です。

和田志ら露“ひや”原酒
和田志ら露“ひや”原酒

(出典元:児玉酒店

4-6.瑞鷹 瑞鷹(ずいよう)

瑞鷹は、赤酒が主流だった熊本でいち早く清酒製造に乗り出した酒蔵です。熊本県酒造研究所、誕生の地でもあります。1951年(昭和26年)には、生産が途絶えつつあった赤酒を復活させました。米の魅力を活かした酒は、国内外で数多くの受賞歴を誇ります。

純米大吟醸 銀
純米大吟醸 銀

(出典元: 瑞鷹株式会社

4-7.花の香酒造 花の香(はなのか)

花のように品の良い香りが立ち上る日本酒「花の香」。特約店は熊本県内のみでありながら、国内から世界へとその名が知られるお酒です。自然栽培の米を使った「産土(うぶすな)」も蔵の代表酒。自然の循環のなかから生まれる複雑かつ豊かな味わいを堪能できます。

花の香(はなのか) 純米大吟醸 海花 Type 2
花の香(はなのか) 純米大吟醸 海花 Type 2

(出典元:大和屋酒舗

4-8.美少年 美少年(びしょうねん)

株式会社美少年が蔵を構えるのは、菊池水源小学校の跡地です。かつての給食室では米が蒸され、校長室や保健室で麹が造られます。地元の米と水、そして人で造られる日本酒は、香りフルーティーでスッキリとした味わい。和食はもちろん、洋食とのペアリングもおすすめの銘柄です。

純米吟醸 美少年
純米吟醸 美少年

(出典元:熊本県の日本酒通販 美少年 公式オンラインストア

4-9.河津酒造 花雪(はなゆき)

「花雪」は、毎年売り切れになるほどの蔵の人気商品です。極甘口でありながらキレが良く、スッと喉を通る飲み口を楽しめます。蔵の新時代を切り拓く3代目蔵元は、地元に根付く銘柄を残しつつ新たな商品開発に着手。小さな蔵の醸す酒は、多くの日本酒ファンを生み出しています。

純米吟醸 花雪
純米吟醸 花雪

(出典元:amazon

4-10.亀萬酒造 亀萬(かめまん)

大量の氷を使う「南端氷仕込み」で造られるお酒です。酒蔵は、鹿児島県との県境にほど近い熊本県の南に位置します。温かい地域ならではの手法で生まれる「亀萬」は、地酒の魅力に満ちています。ぜひ土地ごとに異なる日本酒の味わいを感じてみてください。

亀萬 特別本醸造
亀萬 特別本醸造

(出典元:亀萬酒造合資会社

まとめ

赤酒から清酒製造、熊本酵母の培養と独自の発展を続けてきた熊本の日本酒。温暖な気候が育む酒は、蔵ごとに豊かな表情を見せてくれます。飲食店や旅先で出会ったらぜひ手にとって、熊本の美味しい日本酒を楽しんでくださいね。