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【京都・伏見酒めぐり】伏水酒蔵小路で18蔵飲み比べ体験!
京都市南部に位置する「伏見(ふしみ)」は、日本有数の酒どころとして知られる街です。酒蔵も多く立ち並び、日本酒好きにはたまらない風情が感じられます。 今回は、伏見酒の飲み比べを楽しめる「伏水酒蔵小路」を訪問!18蔵のきき酒セットとともに、地元料理をいただきました。 近隣店舗ではお土産を購入でき、日本酒旅や伏見観光にぜひおすすめしたいスポット「伏水酒蔵小路」。早速、くわしい体験レポをご紹介します♪ 1.ランチにもディナーにもおすすめ「伏水酒蔵小路」 「伏水酒蔵小路(ふしみさかぐらこうじ)」は、伏見の18蔵すべての日本酒と美味しいものが大集合したお店です。 アクセスは京阪伏見桃山駅から徒歩4分。駅を出てすぐ大手筋商店街のアーケード内を通るため、雨天時も濡れる心配がありません。 取り揃える日本酒は、常時120銘柄以上。東西に抜ける店内には、全8店舗の個性あふれる飲食店がひしめきます。 注目すべきは“出前制度”があること! ひとつの席に腰かけながら、あれもこれもと各店舗のメニューを注文し、自分の席で楽しめます。お寿司にラーメン、洋食と店舗のバリエーションも豊富。 「ランチに軽く利用したい」「旅行のディナーにがっつり飲んで食べたい」など、ニーズにあわせて利用できるのがうれしいですね。 2.日本酒ビギナーにおすすめ“伏見の女酒” 今回利用したのは、伏見の日本酒を取り揃える『酒蔵(さかぐら)』の酒蔵カウンターです。「伏水酒蔵小路」マネージャーであり、唎酒師の林さんにご案内いただきました。 「日本酒ビギナーにおすすめの伏見のお酒は?」と伺ったところ「伏見の日本酒は、初心者にこそおすすめしたい」とのこと。 昔から、“伏見の女酒、灘(なだ)の男酒”といわれるように、伏見のお酒は口当たりがやわらかく、飲みやすい銘柄が多いことが特徴。 かといって、伏見でキレの鋭い辛口酒が造れないわけでなく、各蔵はあえてプライドを持ち“歴史ある女酒”を造り続けているそうです。 「せっかく伏見に来たんやったら、伏見のお酒を伏見の料理に合わせて楽しんでください」 とおっしゃる林さん。『酒蔵』で扱う野菜は、すべて地元農家が育てた伏見産というから驚きです。 伏見の水で育った野菜と、伏見の水でできた日本酒…合わないわけがありません。早速、きき酒セットと料理をオーダーさせていただきました! 日本酒豆知識 兵庫県、灘の名水はリンやマグネシウムを豊富に含む軽硬水。キレがあるスッキリした日本酒が多く「男酒」と呼ばれる。対し、かつて伏水(ふしみず)と呼ばれた伏見の名水は軟水。日本酒はやわらかな味わいに仕上がり「伏見の女酒」と称されてきた。 3.「十八蔵のきき酒セット」で楽しむ伏見のフルコース 『酒蔵』が提供する「十八蔵のきき酒セット」は、伏見の18蔵すべてのお酒を味わえる飲み比べセットです。ひんやりとした冷酒の状態で提供されます。 飲む順番は、一番奥左の「プルミエアムール」から右側、中段、下段へ。前半には、冷酒で美味しい前菜向けの銘柄が置かれています。 後半には、ぬるくなっても美味しい銘柄を配置。ゆっくりと時間をかけても、最後まで美味しい状態でお酒が楽しめるよう計算されているというわけです。 また、料理を食べる順番もイメージし、中盤にはメイン料理に合う銘柄が並んでいるのだとか。自分好みのコース料理を楽しめる「伏水酒蔵小路」にぴったりのセットに気分も高まります! 3-1.前菜は農家直送野菜を七輪で まずは、林さんおすすめの地元野菜の七輪焼きから! 九条ネギに金時人参と、地元の農家さんが育てた野菜のみずみずしいこと。七輪であぶり、塩をパラリと振っていただきます。 どれも味が濃く、新鮮な野菜の香りがふわっと鼻から抜けていく。序盤の軽めの日本酒とあわせると、野菜の味がより引き立って美味しい…。 季節が進むと、新鮮な朝採れタケノコもメニューに登場するのだとか。この日は料理長が白子筍(しらこだけ)を用意してくださいました。お刺身でも美味しい、風味豊かなタケノコが伏見のお酒を進ませる! 3-2.メインに出前メニューをオーダー 3番目、4番目と飲み進めるほどお酒はふくよかな味わいに。料理も味の濃いものがほしくなってきました。 今こそ出前制度の出番!と『伏水 89丁目食堂』のオリジナルメニュー「伏見焼き 三串盛り合わせ」をオーダー。 こちらは、食材を酒粕に3日間漬けて仕込んだという手間のかかった串焼きです。酒米・雄町を使った「玉乃光」のリッチな味わいと良く合います。 魚介系の洋食に合いそう…と感じた「古都の雫(ことのしずく)」には、洋食居酒屋『BAR BANA』のムール貝を使った一皿を。 『酒蔵』では、ワイングラスで楽しむ飲み比べセット「SAKEGLA(サケグラ)」も提供しているそうです。美味しい洋食をおつまみに、日本酒を楽しみたいときにもぴったりですね。 3-3.〆のラーメンからアイスまで酒粕料理も充実 料理に舌鼓を打ちつつ、きき酒も手前の列まで進んで残りあとわずか…。 「もうおなかいっぱい」と思いつつ、なぜか食べたくなるのが〆のラーメンですよね(笑) 『門扇』の「酒粕ラーメン」は、どの酒蔵の酒粕を使うか選べるという、ここでしか味わえないメニュー。今回は「英勲(えいくん)」の酒粕を使ったラーメンをオーダーしました。 酒粕スープはコクがあり、とろりと濃厚。麺はほどよい硬さの細麺です。お腹いっぱいのはずが、気付けばスープまでぺろりと完食!替え玉サービスがあるのも納得の美味しさでした。 汁物がほしいときには、『酒蔵』こだわりの「粕汁」を。春の菜の花に甘辛牛スジ、お椀のなかにはアツアツ大根と人参が隠れています。 2022年4月1日(金)~5月8日(日)は「伏見粕汁銀座」と題したスタンプラリーも開催中ですよ。 18蔵を味わい尽くし、ついにラストを飾る1杯。 黄桜の「華祥風(はなしょうふう)」は「招德(しょうとく)」の酒粕アイスにかけ、酒粕×日本酒のマリアージュを堪能しました。 食事を楽しむ間も「お~すごい。なにこれ、お酒がいっぱい」「いろいろ頼めるの?」という旅行客の歓声や、「うまい酒と料理を楽しめるのは、やっぱりここだから」という常連客の声が耳に届きます。 伏見のお酒を好きなように、好きな料理と楽しめてお腹も心も大満足。「伏水酒蔵小路」のみなさん、本当にごちそうさまでした&ありがとうございました! 4.お土産購入は「伏水酒蔵堂」へGO! 旅先で美味しいお酒に出会ったら、ぜひ連れて帰りたくなるもの。そんなときは、「伏水酒蔵小路」近くの『伏水酒蔵堂』へ!こちらは伏見18蔵のお酒のほか、食品やグッズなどを取り扱うお店です。 お土産にぜひおすすめしたいのが「サーマルタンク量り売り」。 「日本酒をお土産にしたいけど、持ち運ぶのが大変そう」「飲み切れないから少量でいいんだけど」というときにぴったりのサービスです。 販売容量は180mlから。ラベルのかわいいボトルに、好みのお酒を詰められます。より手軽で場所を取らないパウチもありますよ。 何より、タンクから自分でお酒をボトル詰めする体験は、ここならでは!ぜひ「伏水酒蔵小路」とセットで楽しんでみてください。 今後の「伏水酒蔵小路」では、2階部分を利用し、4月下旬からゲストハウスをオープン予定とか。ますます伏見のまちが活気付きそうな予感です。 美味しい日本酒と地元料理の共演を楽しみに、京都伏見へ足を運んでみてはいかがでしょうか。 伏水酒蔵小路 [所在地]京都市伏見区平野町82番地2~納屋町115番地 ※大手筋商店街と納屋町商店街に挟まれた区画にあり、西側は納屋町商店街に面します。 [最寄駅]京阪伏見桃山駅より徒歩4分、近鉄桃山御陵前駅より徒歩5分、京阪中書島駅より徒歩8分 [電話番号]075-601-2430 [定休日]火曜日(詳しくは公式URLを参照) [営業時間]11:00~20:00 [公式URL]https://fushimi-sakagura-kouji.com/ 伏水酒蔵堂 [所在地]京都市伏見区納屋町141番地 [電話番号]075-748-6080 [定休日]火曜日(詳しくは公式URLを参照) [営業時間]11:00~20:00 ※オンラインショップあり(https://shop.sakagurado.com/) [公式URL]https://sakagurado.com/ ※2022年4月18日時点の情報です。休業日や営業時間など変更の可能性があるため、最新情報は事前に各店舗にお問い合わせください。
「吟醸を世界の言葉に」。出羽桜の種類・ラインナップを紹介
「出羽桜(でわざくら)」は、山形県の地酒として名高い日本酒です。華やかな香りとふくよかな甘味、キレのある味わいは、多くの日本酒ファンを魅了しています。 今回は、代表銘柄「雪漫々」から「一路」、「出羽の里」まで出羽桜のラインナップを一挙ご紹介!常に進化を続ける出羽桜の魅力をたっぷりとお伝えします。 1.「出羽桜」とは 「出羽桜(でわざくら)」は、山形県の出羽桜酒造が造る日本酒です。華やかな香りを持つ『吟醸酒(ぎんじょうしゅ)』の先駆けとなった銘柄でもあります。 その味わいは世界でも高く評価され、英国インターナショナル・ワイン・チャレンジ2016(IWC)では、吟醸酒の最高賞を受賞。 代表的な「桜花吟醸酒」や「雪漫々(ゆきまんまん)」のほか、山形が誇る地酒の魅力をぞんぶんに味わえる銘柄がラインナップに並びます。 2.出羽桜を造る「出羽桜酒造」 出羽桜酒造は、1892年(明治25年)創業の酒蔵です。「出羽桜」のルーツは、1855年(安政2年)に仲野清五郎氏が造った「熊正宗」というお酒。 二代目、三代目、そして四代目へと酒造りの精神は受け継がれ、現在の社名は1970年(昭和45年)に誕生しました。 1980年(昭和55年)には、代表酒である「桜花吟醸酒」を発売。平成に入ると、英国王室御用達ワイン商が出羽桜の取り扱いを始めます。 世界的なコンペティションでも高く評価されるなど、山形から全国、そして海外へと躍進を続ける酒蔵といえるでしょう。 3.出羽桜の普通酒の種類・ラインナップ 普通酒とは、吟醸酒や純米酒などの特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)に分類されないお酒のことです。リーズナブルな商品が多く、料理と楽しむ日常酒に適しています。 出羽桜の普通酒は燗でも冷酒でも美味しく、気軽にクオリティの高いお酒を味わえることが魅力です。 3-1.出羽桜 誠醸辛口 飲み口はやさしく、後味がさらりと引いていく日本酒です。燗酒にすると、キレ味がより一層引き立ちます。誠心込めて醸す感謝の意味を込め「誠醸」と名付けられました。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 3-2.出羽桜 誠醸 一升瓶のみ販売される「誠醸」は「美味しい日本酒をそばに置いておきたい」という方にぴったりのお酒です。飲み疲れすることなく、好みの料理と一緒に地酒の美味しさを堪能できます。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 3-3.出羽桜 花宝 桜が咲き誇る華やかなラベルは、フェラーリをデザインしたこともあるという奥山清行氏が手がけたもの。180ml容量から販売されているため「ちょっとした手土産にしたい」「出羽桜を試してみたい」というときにもおすすめです。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 3-4.出羽桜 冷卸(ひやおろし) 蔵涼み ほどよい温度の燗酒で美味しい出羽桜です。一定期間蔵で熟成させ、まろやかな口当たりを実現しています。きのこやサンマなど、秋に旬を迎える食材と相性ぴったりの銘柄ですよ。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 4.出羽桜の本醸造酒・特別本醸造酒の種類・ラインナップ 本醸造酒、特別本醸造酒とは、精米を抑えた米を原料に醸造アルコールを添加して仕込んだ日本酒のことです。出羽桜の本醸造酒には、スッキリとした飲み口を楽しめるラインナップが並びます。 4-1.出羽桜 本醸造酒 インターナショナル・ワイン・チャレンジ2016で銀賞を受賞。冷でも燗でも美味しい懐の広さが魅力です。出羽桜の本格的な味わいをカジュアルに楽しめます。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 4-2.出羽桜 しぼりたて 春の淡雪 「淡雪」の名のとおり、うっすらと白く濁った日本酒です。火入れと呼ばれる加熱処理をしていない生酒タイプ。ぜひ、キリッと冷やしてフレッシュな味わいをお楽しみください。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 4-3.出羽桜 蔵涼み 特別本醸造 マイナス5℃の環境でじっくりと熟成させた特別本醸造です。出羽桜の持つ華やかな香りと、本醸造らしいスッキリとした後口を楽しめます。爽やかさが引き立つ夏の季節商品です。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5.出羽桜の純米酒の種類・ラインナップ 純米酒は、米と米麹、水のみで造られた日本酒です。ふっくらとした米の旨味とコクを楽しめます。出羽桜の純米酒には、「山廃(やまはい)」と呼ばれる昔ながらの製法で造られた銘柄も並びます。 5-1.出羽桜 一耕 「一」はすべての始まり、「耕」は畑を耕す文化を表しています。口のなかでじんわりと広がるのは、米の奥深い旨味。米文化、農耕文化に想いをはせ、じっくりと味わいたくなる純米酒です。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5-2.出羽桜 一耕(本生) 日本酒の一般的な製造工程では、2度加熱処理がおこなわれます。「一耕(本生)」は、一度も加熱処理をせずに瓶詰めされた日本酒です。マイナス5℃の貯蔵庫で保管されているため、年間通してみずみずしい味わいを堪能できます。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5-3.出羽桜 出羽の里 山形県が開発したオリジナル酒米「出羽の里(でわのさと)」を使用した純米酒です。インターナショナル・ワイン・チャレンジ2016では、栄えあるチャンピオン・サケに輝きました。「出羽桜ってどんなお酒?」と気になる方は、ぜひこちらの純米酒で魅力を体感してみてください。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5-4.出羽桜 伝統製法シリーズ 山廃(やまはい)仕込み 「山廃(やまはい)」とは、自然の微生物の力を活かしながら醸造する伝統製法のことです。山廃のお酒には、手間と時間、そして高い技術を要します。豊かで複雑みのある香りと味わいは、燗酒で楽しむのもおすすめです。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5-5.出羽桜 山廃(やまはい)ひやおろし 「ひやおろし」は、暑い夏をまたぐ期間に熟成させ、涼しくなった秋口に販売される日本酒です。山廃仕込みのひやおろしは、まろやかな風味と旨味を兼ね備えています。ぜひ、秋の味覚とともにゆるりとお楽しみください。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5-6.出羽桜 honu(ホヌ) 「honu(ホヌ)」とは、ハワイで幸運を呼ぶとされているウミガメのこと。こちらは涼やかなラベルが夏の訪れを感じさせる特別純米酒です。出羽桜らしい香りとやわらかな旨味。後口をほのかな酸味が引き締めます。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5-7.出羽桜 しぼりたて生原酒 出羽の里 加熱処理や加水をせず、しぼりたての新酒のまま届けられる「出羽の里」です。フレッシュな香りとジューシーな旨味は生原酒ならでは。冬季限定発売の特別な1本です。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 5-8.出羽桜 特別純米缶 「気軽にちょっとだけ、美味しい日本酒を楽しみたい」というお酒好きの欲張りな心を満たしてくれる缶タイプ。冷から燗まで幅広い温度帯で楽しめます。レジャーやパーティーなど、手軽に持ち運びできるのもうれしいですね。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 6.出羽桜の純米吟醸酒の種類・ラインナップ 純米吟醸酒は、米粒の外側を4割以上削り、米と米麹、水のみで仕込んだ日本酒のことです。また、吟醸造りと呼ばれる特別な製法で造られています。 出羽桜の純米吟醸には、山形県産の酒米「出羽燦々(でわさんさん)」を使用した銘柄が多く並びます。 6-1.出羽桜 出羽燦々誕生記念 「出羽燦々(でわさんさん)」は、山形県が11年の歳月を経て開発した酒米です。その誕生を記念した純米吟醸酒には、麹菌、酵母すべてに山形県オリジナルの原料を使用しています。もぎたてのフルーツのように甘い香り、上品な旨味にぜひ酔いしれてみてください。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 6-2.出羽桜 出羽燦々誕生記念(本生) 加熱処理をしていない「出羽燦々誕生記念」です。香りの印象はよりくっきりと甘く、しっかりとした飲みごたえを楽しめます。後味の余韻は軽く、ついついグラスが進む銘柄です。 (出典元:出羽桜酒造株式会社) 6-3.出羽桜 出羽燦々誕生記念...
酒蔵や酒屋にある「杉玉」。その役割を知っていますか?
酒蔵や酒販店へ出かけると、入り口で「杉玉」を見かけることがあるのではないでしょうか。普段何気なく見ている杉玉には、歴史や役割が隠されています。 今回は、杉玉を飾る文化ができた背景や、杉玉が持つ役割について解説!日本酒好きが知っておきたい、杉玉に関する情報をお伝えします。 1.杉玉とは?歴史と役割 杉玉とは、酒蔵の軒先などに飾られる杉でできた大きな玉のことです。杉玉(すぎだま)のほか、酒林(さかばやし)と呼ばれることもあります。 杉の穂をボール状にした杉玉は、重たいものでは10kg~20Kg近くになるのだとか。緑色から茶色へと姿を変える杉玉には役割があり、はじまりは日本酒造りの安全祈願だったといわれています。 1-1.醸造の安全を願った杉玉 杉玉を飾る文化は、奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)からはじまったといわれています。大神神社では、毎年11月14日に日本酒造りの安全を祈願する「醸造安全祈願祭(酒まつり)」が開催されていました。 お祭りに使用されるのは、直径約1.5mもある大杉玉。江戸時代に入ると、杉玉を飾る風習は全国へと広がり、現在のように各地で杉玉が見られるようになりました。 現在、大神神社の酒まつりでは、全国から集まる酒蔵や醸造家に杉玉の授与がおこなわれています。また、各蔵では自らの手で杉玉を作るケースも少なくありません。 1-2.杉玉は「新酒ができたよ!」の合図 杉玉には、「新酒のできあがりを伝える」という役割があります。杉玉が飾られるのは、多くが冬の寒い時期。秋口から酒造りを始めた蔵では、その年初めての「新酒」が絞られます。新しく吊り下げられた杉玉は、青々とした緑色です。 季節が春から夏、秋へと移り変わるうちに、杉玉の色は茶色く変化します。と同時に、蔵で貯蔵されているお酒も、だんだんと熟成が進んでいくというわけです。 冬から春の搾りたてのお酒から始まり、夏は夏酒、秋はひやおろしと、季節ごとのバリエーションも日本酒の魅力のひとつ。酒蔵に飾られる杉玉を見つけたら、色の変化で日本酒の旬を感じてみてくださいね。 2.なぜ杉を使う?日本酒と杉の関係 杉玉に杉の木が使われる理由には、日本酒と杉とのつながりが関係しています。そもそも杉は、日本原産の樹木。神様が宿るといわれていたり、道具の材料になったりと日本酒と密接な関係にあるのです。 2-1.神様の力が宿るといわれる杉の木 杉玉発祥の地、大神神社のご神体である三輪山は、松や杉、ヒノキなどに覆われた山です。なかでも杉は、神の力が宿る「三輪の神杉」といわれ、神聖なものとして扱われてきました。 また、大神神社には杜氏の神様「高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)」が祀られていることからも、日本酒と杉には深いつながりがあるといえるでしょう。 2-2.日本酒造りの道具に使用される杉 木桶や麹蓋(こうじぶた)など、日本酒造りに使用する道具には、杉を使用したものが多くみられます。 木桶 日本酒は、仕込んだり貯蔵したりする際にタンクを使用します。現在はステンレスやホーロー製が一般的ですが、かつては杉で作った木桶が使用されていました。 一度は姿を消しかけた木桶ですが、近年は、あえて導入する蔵も少なくありません。杉の木桶で造る日本酒は、微生物の働きにより複雑で個性的な味わいに仕上がるといわれています。 麹蓋(こうじぶた) 麹蓋(こうじぶた)は、麹を造る際に使用する長方形の容器のことです。麹づくりは高温多湿の環境でおこなわれ、温度管理が麹の出来を大きく左右します。 適度な通気性を持つ杉は、麹蓋に最適な材料。また、麹蓋の底の部分は、木を切るのでなく割ることで1枚の板にする特殊な技術によって作られます。日本酒と同様に、麹蓋も日本の伝統文化のひとつといえるでしょう。 甑(こしき) 甑(こしき)は、お米を蒸す際に使用する大きな木製の道具です。高温の蒸気にも耐えられるよう、甑の材料には、耐久性に優れた「柾目板(まさめいた)」が使用されてきました。 現在は木桶のように、甑もステンレスやアルミ製が主流です。大きな甑の製造には、杉の大木と職人の高い技術を要するといわれています。 樽(たる) お祝いの席や式典などで目にする大きな樽(たる)にも、杉の木が使用されています。杉の樽に入れた樽酒(たるざけ)は、ほのかな木の香りが特徴です。樽酒を味わうときは、ぜひいつもの日本酒とひと味違う個性を楽しんでみてください。 3.杉玉は海外にも?どうやって作る?杉玉豆知識 杉玉のように新酒のできあがりを知らせるサインは、海外にもあるといわれています。そのひとつが、オーストリアの「ホイリゲ」に飾る松の枝。 ホイリゲとは、ワイン酒場や新酒のワインを意味する言葉です。オーストリアでは、新酒のワインができた合図として、ワイナリーがホイリゲに松の枝を吊るすのだとか。日本の杉玉のような文化が、遠く離れたオーストリアにあると思うとおもしろいですね。 また、杉玉は円状に組んだ金網に杉の葉を挿して作っていきます。青々とした杉がたくさんあるときは、自家製杉玉づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 まとめ 酒蔵のシンボルのような存在の杉玉は、わたしたちに新酒のできあがりを告げてくれます。季節とともに色づく様子は、酒蔵の風物詩ともいえるかもしれません。 酒蔵で杉玉を見つけたときは、ぜひ役割や歴史を思い出してみてください。いつもの日本酒の味わいが、より奥深く感じられるかもしれませんよ。
世界でも評価される日本酒「鍋島」。鍋島の全種類や蔵元を紹介
「鍋島(なべしま)」は、国内外で高い評価を得ている日本酒です。香り高い「鍋島 大吟醸」は、2011年の世界的コンペティションで最優秀賞に輝きました。 お手頃価格のお酒から贈答用にふさわしい1本まで、幅広い種類も鍋島の魅力。今回は、鍋島のラインナップの数々を紹介します!ぜひ、お気に入りの1本を見つけてみてくださいね。 1.「鍋島」とは 「鍋島(なべしま)」は、佐賀県の富久千代酒造(ふくちよしゅぞう)が造る日本酒です。使用するのは、地元で生まれた米と水。蔵元杜氏、飯盛直喜氏の「九州を代表する酒を」「地元に愛される酒を」との想いのもと、鍋島は1998年(平成10年)に誕生しました。 鍋島という名は、かつて佐賀藩を統治した鍋島家に由来し、新聞の公募によって付けられたものだそう。その味わいは世界でも高く評価され「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2011」日本酒部門では、最優秀賞である「チャンピオン・サケ」を受賞しました。 その他、国内の「全国新酒鑑評会」をはじめ「全米日本酒鑑評会」など輝かしい受賞歴は数えきれないほど。品の良い香りと甘味、クリアな飲み口は、国内外問わず多くの日本酒ファンを魅了し続けています。 2.鍋島を造る「富久千代酒造」 「富久千代酒造」は、佐賀県鹿島市に位置する酒蔵です。良質な米と水に恵まれた鹿島市では、江戸時代から酒造りが盛んにおこなわれてきました。地元への熱い想いで鍋島を誕生させた飯盛氏は「鹿島酒蔵ツーリズム推進協議会」の設立者でもあります。 同会が推進する「鹿島酒蔵ツーリズム」は、鹿島の酒蔵を巡りながら風情ある街並みと食文化を堪能できる旅のスタイル。例年観光客は増加し、2019年(令和元年)のイベントには2日間で約10万人もの集客に成功しています。 さらに、2021年(令和3年)には日本酒と食をテーマにした酒蔵オーベルジュ「御宿 富久千代」をオープン。鹿島の伝統を受け継ぎながら、佐賀から全国、全国から世界へと日本酒の魅力を発信し続けている酒蔵です。 3.鍋島の普通酒・特別本醸造酒・純米酒 鍋島は、香り高い大吟醸酒からコクのある純米酒まで、さまざまな種類が揃う銘柄です。使用する酒米の品種も多く、色とりどりの味の個性を楽しめます。飲用シーンや予算にあわせた1本を見つけられることも、鍋島の魅力といえるでしょう。 3-1.鍋島清酒肥州 「肥州(ひしゅう)」とは、かつての佐賀県を含む土地の総称のこと。リーズナブルな普通酒でありながら、フルーティーな香りと心地よい酸味を楽しめる1本です。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 3-2.鍋島特別本醸造 「鍋島 特別本醸造」は、コストパフォーマンスに優れたお酒。低価格帯の銘柄でありながら、ハイスペックな大吟醸に勝るとも劣らない味わいを堪能できます。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 3-3.鍋島 60%純米 Harvest Moon 一定期間熟成させてから販売するお酒「ひやおろし」にあたる商品です。まろやかでコクのある味わいは、秋の食材と相性ばつぐん。燗酒にすると甘くやさしい米の香りが広がります。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4.鍋島の特別純米酒 4-1.鍋島特別純米酒 Classic 山田錦 Classic(クラシック)シリーズは、昔ながらの9号、14号酵母を使用したお酒です。おだやかな香りと、酒米「山田錦」ならでは味のふくらみ、きれいな余韻が感じられます。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4-2.鍋島特別純米酒 Classic 白菊 酒米「白菊(しらぎく)」を使った特別純米酒です。時間をかけて精米した米と、麹、水のみで仕込んだふくよかな味わいを楽しめます。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4-3.鍋島特別純米酒 燗酒好きにおすすめしたい鍋島がこちらの「特別純米酒」です。ほどよく温めると、鍋島らしいやわらかな香りと甘味、後味のキレがより一層際立ちます。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4-4.鍋島特別純米 生酒 「生酒」とは、火入れと呼ばれる加熱処理をしていないお酒のことです。口に含むとフレッシュな旨味と甘味、苦みが広がり、後口を爽やかな酸味が引き締めます。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4-5.鍋島特別純米 生原酒 日本酒造りには、水を加えてアルコール度数を調整する「加水」という工程があります。「生原酒」は、火入れだけでなく加水もしていない日本酒のこと。鍋島の生原酒は、しっかりとした飲みごたえと爽やかな後口が特徴です。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4-6.鍋島特別純米酒 吉川産山田錦 「吉川産山田錦」は、高級な山田錦のなかでも特に品質が良いとされている酒米です。口に含むとほのかなガス感が舌を刺激し、米の旨味、甘味がじんわりと広がります。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4-7.鍋島特別純米酒 Classic 雄町 幻の酒米ともいわれる「赤磐雄町(あかいわおまち)」を使用した鍋島です。雄町のふくよかな旨味はそのままに、鍋島らしい繊細な味わいに仕上げられています。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 4-8.鍋島特別純米酒 Classic 愛山 ピンクの文字がキュートなこちらのクラシックシリーズには、人気酒米「愛山(あいやま)」を使用。落ち着いた香りとスッキリとした酸味が心地良く、洋食とのペアリングも楽しめる鍋島です。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 5.鍋島の吟醸酒・純米吟醸酒 5-1.鍋島吟醸 Summer Moon 夏の夜空を見上げながら飲みたい「Summer Moon」。ファンの間では「なつなべ」の愛称で親しまれているお酒です。香りは柑橘系の果実のように爽やか。暑い夜のお風呂上り、ロックスタイルで楽しみたくなる1本です。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 5-2.鍋島純米吟醸 隠し酒 鍋島の文字が裏返しになったこちらは「裏鍋島」と呼ばれる1本。日本酒を絞るときの最初の部分(あらばしり)と最後の部分(せめ)をブレンドしたお酒です。スパッとしたキレ味際立つ、鍋島の希少銘柄でもあります。 (出典元:商品ラインナップ|富久千代酒造) 5-3.鍋島純米吟醸 New Moon...
日本酒に「醸造アルコール」を入れる理由とは?醸造アルコール添加に悪いイメージがついてしまった理由も解説!
日本酒造りには「醸造アルコール」と呼ばれる原料を使用することがあります。醸造アルコールを使った日本酒は、キレのある辛口タイプの味わいが特徴です。 今回は、醸造アルコールを使った日本酒の種類や、悪酔いしやすいといわれる理由について解説します。ぜひ、美味しい日本酒を楽しむ際の参考にしてくださいね。 1.日本酒に含まれる「醸造アルコール」とは? 「醸造アルコール」は、サトウキビからとれる糖蜜(とうみつ)やトウモロコシなどを原料にした蒸留酒のことです。酎ハイやサワーに使う甲類焼酎と同じ製法で造られています。サトウキビを使うからといって甘いわけではなく、ほぼ無味無臭のピュアな味わいが特徴です。 日本酒に使用する醸造アルコールの多くは、ブラジルや台湾などから輸入されています。輸入後は、日本の連続式蒸留器を使い、100%に近い純度の高いアルコールを抽出。醪に添加する際は、アルコール30%前後になるよう加水調整して使用するのが一般的です。 2.醸造アルコールが含まれる日本酒の種類と特徴 日本酒には、醸造アルコールが含まれるものと含まれないものがあります。添加の有無により、名前や味わいが異なるのが特徴です。それぞれの違いを理解すると、日本酒選びがさらに楽しくなりますよ。 2-1.醸造アルコールを添加している特定名称酒は「吟醸酒」と「本醸造酒」 「特定名称酒」は、日本酒の原料や製法を表す呼び名のことです。「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の大きく3つに分類されます。 このなかで、醸造アルコールが含まれるのは「吟醸酒」と「本醸造酒」です。「純米酒」は醸造アルコールを添加せず、米と米麹のみで造られています。 2-2.醸造アルコールが添加されている日本酒の特徴 普通酒の特徴 普通酒とは、特定名称酒に該当しないお酒のことです。日本酒市場における普通酒の割合は高く、全出荷量の約7割を占めています。あえて「普通酒」とラベル表記することは少ないため、特定名称酒の表示がないものは普通酒と考えてよいでしょう。 本醸造酒の特徴 本醸造酒は米と米麹、醸造アルコールを原料に造る日本酒です。精米歩合(せいまいぶあい)と呼ばれる米を精米する度合いは70%以下と定められています。使用する醸造アルコールの規定量は、白米重量の10%以下です。 普通酒より醸造アルコールの添加量が少ない本醸造酒は、味わいまろやかな辛口タイプのお酒です。冷やから燗まで、幅広い温度帯で楽しめます。 吟醸酒の特徴 本醸造酒と同様に、米と米麹、醸造アルコールで造る日本酒です。ただし、精米歩合は60%以下と定められています。 吟醸香(ぎんじょうか・ぎんじょうこう)と呼ばれるフルーティーな香りも特徴です。冷やか低めの常温で味わうと、華やかな香りをより一層楽しめます。 大吟醸酒の特徴 精米歩合50%以下と、一粒の米をより多く精米して造る日本酒です。米が水に溶けやすくなり、豊かな吟醸香を生まれます。 精米技術が進む近年は、精米歩合30%台の大吟醸酒も珍しくありません。リンゴや洋ナシのようなフルーティーな香りがありつつ、スッキリとキレの良い味わいが特徴です。 3.醸造アルコールを入れる理由 醸造アルコールは、主に味や香りの調整のために添加されます。醸造アルコールを使った日本酒は、後口のキレが引き立ち、辛口好きにも好まれる味わいです。 3-1.スッキリとした爽やかな飲み口になる 醸造アルコールを添加した日本酒は、キレのあるスッキリとした味わいに仕上がります。心地よい余韻がスッと引いていく、爽やかな飲み口が特徴です。特に、端麗辛口ブームが生まれた昭和後期には、醸造アルコールを添加した日本酒が多くの人気を集めました。 3-2.酒造の個性が出せる 醸造アルコールの添加量は、蔵のこだわりが現れる部分です。米との相性や製造法によって、味の仕上がりは大きく変化します。日本酒造りに欠かせない米や水と並び、酒造ごとの個性を引き出す原料といえるでしょう。 3-3.日本酒に香りを生み出す 醸造アルコールには、醪(もろみ)から香り成分を引き出す作用があります。平成に入るとフルーティーな香りの日本酒が人気となり、醸造アルコールを使った吟醸酒ブームが生まれました。現在も、ワイングラスで飲むような香り高い日本酒には、醸造アルコールを使用するケースが多く見受けられます。 3-4.雑菌やカビなどの繁殖を防ぐ 日本酒にアルコールを添加する製法は、江戸時代には誕生していたといわれています。焼酎を加えた醪が腐敗しにくいことを発見したのがその始まりでした。 醸造アルコールは、現在も防腐効果を目的に使用されています。火落ち菌と呼ばれる、腐敗のもととなる微生物の繁殖リスクを低下できることが大きな特徴です。 4.醸造アルコール添加の日本酒の悪いイメージはどこから? 醸造アルコールを添加した日本酒は「質が良くない」「悪酔いしやすい」というイメージを持たれることがあります。しかし、実際には醸造アルコールを添加しているからといって、質が悪いわけでも、悪酔いしてしまうわけでもありません。醸造アルコールの悪いイメージには、日本酒が辿ってきた古い歴史が関係していると考えられます。 4-1.悪いイメージは戦後の米不足から生まれた「三倍増醸酒」から 太平洋戦争の前後、物資不足の時代には醸造アルコールを添加した「三倍増醸酒(さんばいぞうじょうしゅ)」と呼ばれる日本酒が流通していました。現在は香りや香味調整のために使う醸造アルコールも、当時はかさ増しやコスト削減が主な目的だったのです。 三倍増醸酒には、醸造アルコールのほか、糖類や酸味料、グルタミンソーダが添加されていました。昭和後期に入り、ウイスキーやワインのようなさまざまなお酒が人気を見せると、三倍増醸酒は悪い評判がささやかれるようになります。 「三倍増醸酒は不純物が入っているから悪酔いしやすい」「すべての日本酒は三倍に薄めたお酒」といった、根拠のない批判が主なものです。 現在は特定名称酒によって一定の原料や製法が分類されているものの、当時の悪いイメージが、そのまま現在の醸造アルコール添加のイメージにつながっているといえるでしょう。 4-2.「醸造アルコール添加だから悪酔いしやすい」ということはない 前述したように、醸造アルコールは甲類焼酎と同じ製法で造られる純度の高いアルコールです。「醸造アルコールを添加した日本酒だから悪酔いする」という根拠はありません。 醸造アルコールを添加した日本酒や、日本酒そのものが悪酔いしやすいといわれる理由には、アルコール度数が関係していると考えられます。 日本酒は、平均アルコール度数が15%前後と比較的高いお酒です。ビールのアルコール度数が5%であることを考えると、その違いがよくわかりますよね。 つまり、日本酒は飲み方次第では酔いやすいお酒だということ。ハイペースで飲んだり、飲みすぎたりすると悪酔いしてしまいます。醸造アルコールのみが悪酔いの原因ではないということを覚えておきたいですね。 日本酒と悪酔いの関係についてはこちらもチェック! https://sake-5.jp/sake-is-not-prone-to-intoxication/ まとめ 醸造アルコールは、日本酒の味や香りの個性を生み出す原料です。酒蔵は醸造アルコールを使用し、さまざまな味わいの日本酒を造り上げています。 醸造アルコールが悪いイメージを持たれていたのも、今では過去のこと。キレのある辛口タイプの日本酒が好きな方は、ぜひ醸造アルコールを使ったお酒をチェックしてみてはいかがでしょうか。 関連記事 https://sake-5.jp/difference-between-ginjo-and-daiginjo/ https://sake-5.jp/sake-honjozo-recommendation/
日本酒の熟成と劣化の違いは?熟成をするうえでのポイントを解説!
一定の熟成期間を設けた日本酒は「熟成酒」または「熟成古酒」などと呼ばれます。独特の香りや味、色合いを持つ熟成酒は、日本酒ファンから注目を集めているお酒です。 今回は、日本酒の熟成と劣化の違いや、自宅で熟成させる際のポイントについて解説します。「自宅でオリジナルの熟成酒を育てたい!」という方は、ぜひチェックしてみてください。 1.日本酒の「熟成古酒」とは 「熟成」とは、年月を経て食品の旨味や風味が増すことです。熟成させた日本酒は「古酒」とも呼ばれ、複雑な香りと濃醇な味わいを持ちます。 見た目は透明から薄い茶色、琥珀色へと変化を遂げます。熟成前と違い、トロリとした質感を持つことも特徴のひとつです。 1-1.熟成古酒の香りや味わい 熟成古酒の複雑な香りは「熟成香(じゅくせいこう)」と呼ばれます。ハチミツや木の実、カラメル、ドライフルーツなどに例えられる香りです。 味わいは濃醇で、独特の甘味も持ち合わせています。ウイスキーやブランデーを思わせる、濃縮された深い味わいが熟成古酒の魅力です。 1-2.熟成期間の定義はさまざま 熟成古酒を推進する「長期熟成酒研究会」では、『満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒』を熟成古酒と定義しています。 しかし、法的には日本酒における熟成古酒の定義はありません。2年ほど熟成させて古酒として販売する蔵もあれば、10年以上寝かせる蔵もあるなど熟成期間の定義はさまざまです。 1-3.熟成古酒の歴史 熟成古酒は、江戸時代にはすでに誕生していたといわれています。一方で、現在のように市場に出回るようになったのは、平成も終わり間近になってからのこと。 これは、明治時代の造石税(ぞうこくぜい)が影響していると考えられます。当時は蔵で熟成させる日本酒にも税金がかかり、古酒の製造が難しかったのです。 もうひとつ、熟成酒が希少な理由には、製造に時間やコストがかかる点があげられます。日本酒は、温度や光の影響を受けやすいお酒です。日本酒を「劣化」ではなく、美味しく「熟成」させるためには、熟成に適した環境での保存管理が求められます。 2.熟成と劣化の違いを知ろう 日本酒は、賞味期限の表示がない飲料です。ただし、賞味期限がないからといっていつまでも美味しく飲めるわけではありません。 茶色く色付いていても、味や香りが「不快」に感じられたり、熟成古酒ならではの粘性がなかったりする場合は、熟成ではなく「劣化したお酒」と捉えられます。 2-1.劣化した日本酒は「老香」「日光臭」が発生する 日本酒は、温度の高い場所で保存すると「老香(ひねか)」と呼ばれる劣化臭が生まれます。老香は、熟成香の主成分であるソトロンのほか、漬物臭のポリスルフィドなどさまざまな成分を含む香りです。 また、紫外線の影響を受けた場合は「日光臭(にっこうしゅう)」が発生します。日光臭は、焦げ臭や獣臭(けものしゅう)とも呼ばれる香りです。主成分であるメルカプタンは、傷んだ玉ねぎやガスなどに例えられます。 2-2.劣化した日本酒には粘性がない 美味しく熟成した日本酒は、トロリとした質感があり「粘性が高い」と表現されます。一方で、劣化した日本酒は、色合いに変化が見られてもサラリとしているのが特徴です。 老香には熟成香と同じ成分が含まれているため、香りだけでは熟成と劣化が判断しづらいことがあります。その際は、粘性で熟成度を判断するのもひとつの方法です。 2-3.劣化した日本酒の活用法 「うっかり放置して日本酒を劣化させてしまった」「そのまま飲むにはいまいち。でも捨てるのはもったいないし…」という経験はありませんか? 味や香りが落ちてしまった日本酒は、料理に有効活用してみましょう。日本酒は素材の臭みを消し、肉や魚をやわらかく仕上げてくれます。容量が多い場合は、しゃぶしゃぶや鍋の出汁に使うのもおすすめですよ。 https://sake-5.jp/sake-cuisine/ 3.家庭で日本酒を熟成!2つのポイント 日本酒を美味しく熟成させるためのポイントは「温度」と「容器」です。箱のない日本酒は新聞紙などに包み、常温または低温で保管しましょう。日本酒の劣化原因を防ぎながら、より良い状態で熟成を進められます。 3-1.日本酒を熟成させる温度 保存温度は常温または低温が基本です。熟成古酒を推進する「長期熟成酒研究会」では、以下の温度を推奨しています。 純米酒・本醸造 吟醸酒 常温 初めの1年間は4℃(冷蔵保管) その後は15℃~18℃ 参照:長期熟成酒研究会 加熱処理をしていない「生酒」は、生老香(なまひねか)と呼ばれる劣化臭が生じやすいため、熟成には加熱処理(火入れ)がしてある日本酒がおすすめです。 純米酒や本醸造は7年から8年後、吟醸酒は12年から13年後が飲み頃だといわれています。熟成後は氷を入れてオンザロックで楽しむほか、アイスクリームや和菓子などスイーツとのペアリングもおすすめです。 3-2.日本酒を熟成させる容器 熟成させる容器は、紫外線をカットできるものを選びましょう。透明のガラス瓶やペットボトルに移す際は、周囲を新聞紙などで包んであげてください。 また、酸化を防ぐためには、お酒の容量に合わせた容器を使用するのがおすすめです。必要以上に大きな容器に移すと、空気に触れる面積が広いぶん酸化が進みやすくなってしまいます。 箱に入っている日本酒であればそのまま保管できます。いずれも横置きではなく、縦置きで酸化を防ぐこともポイントです。 近年は、各酒蔵から熟成用の日本酒も販売されています。南部美人の「Allkoji」、下越酒造の「時醸酒」は家庭熟成を前提に造られた日本酒です。子どもの誕生祝いや結婚祝いに購入し、節目の記念日に封を切るのもロマンがありますよね。 3-3.日本酒の熟成におすすめ「SAKE CABINET」 日本酒セラー「SAKE CABINET」 日本酒専用セラー「SAKE CABINET」は、家庭での日本酒熟成におすすめのセラーです。日本酒を劣化させる紫外線をしっかりカット。最大29本の日本酒を縦置きできます。 設定温度はマイナス10℃から+10℃までの5段階設計です。そのため、日本酒の熟成に適した温度設定がかないます。 注目すべきは熟成に適さないといわれる生酒を保管できること。加熱処理をしていない生酒も、マイナス5℃であれば生老香の発生が遅れるといわれています。 「少し味が固いかな」と感じられるお酒も、セラーにしばらく置けば飲み口がマイルドに。有名蔵も実践するマイナス5℃の環境があれば、日本酒の楽しみ方がより一層広がります。 まとめ 熟成させた日本酒は、美しい色あいと重厚な味わいが大きな魅力です。お気に入りの銘柄を熟成させ、オリジナルの味わいを生み出すのも日本酒の楽しみ方のひとつといえます。保管する温度や紫外線に気を配りつつ、自分だけの熟成酒を育ててみてはいかがでしょうか。 関連記事 https://sake-5.jp/old-sake-of-sake/
「若者による若者のための日本酒造り」学生酒づくりプロジェクトさんにインタビュー!
皆さんは学生酒づくりプロジェクトをご存知でしょうか? 産学連携で学生と酒蔵が協力して、「若者による若者のための日本酒造り」にチャレンジしています。 今回は学生酒づくりプロジェクトに携わっている3名の方にインタビューをさせていただきました! 学生酒づくりプロジェクトとは? 「学生酒づくりプロジェクト」とは、京都府綾部市にある酒蔵「若宮酒造」の木内社長の協力のもと、若者のための新しい日本酒づくりのために立ち上げられた産学連携プロジェクトです。 京都府綾部市の綾部高校農業科3年生が初めて栽培/収穫した酒米「五百万石」を使い、福知山公立大学地域経営学部の学生が商品企画と酒造りを担当、京都工芸繊維大学デザイン専攻の学生がラベルデザインを担当して、これまでの日本酒のイメージを一新する「若者による若者のための日本酒造り」にチャレンジしています。 クラウドファンディングのページはこちら ※クラウドファンディングは3/31で締め切りとなっています。 学生の夢を叶える|Chillい日本酒で日本酒を新たなステージへ! 今回インタビューにご協力いただいた3名 今回、インタビューにご協力いただいたのは、「福知山公立大学 学生酒づくりプロジェクト リーダーの嶋野さん」「福知山公立大学谷口ゼミ 谷口知弘 教授」「若宮酒造代表兼杜氏 木内さん」にご協力をいただきました!ありがとうございます! インタビュー中は、時折冗談も混じりつつ、非常に和気あいあいとしており、学生の方々と酒蔵の方々が日々素敵なコミュニケーションを交えながら、プロジェクトを進めていることが伺えました。 日本酒がゼミのテーマとして決まった経緯 編集部 今回、どういった経緯でゼミのテーマが日本酒に決まったのでしょうか? 谷口教授 福知山公立大学は地域とともに歩むということで、産学連携の取り組みは大学でも奨めています。 今回は地元の酒蔵である若宮酒造さんから大学に連携の協力のご相談がありまして、これは大学の方針としても「大事なことだ!やらねばいかん!」ということで手を挙げさせていただきました。まあお酒が飲みたいというのも大きな理由の一つです(笑) 編集部 なるほど、若宮酒造さまの方から学校にこういう話があるんだけれどもやってみないかというお話がきて、今回のプロジェクトが始まったのですね。 悩みに悩んだ日本酒のコンセプト コンセプトがなかなか決まらない... 編集部 今回の日本酒の「chill」というコンセプトはどのようにしてできたのでしょうか? 嶋野さん この新しい日本酒が、どういうものになるのかを形作る商品のコンセプトを作ろうとなったんですけど、いざゼミのメンバーで考えてもなにもピンと来るものがなくて... 毎週毎週ミーティングを重ね、コンセプトを決めなきゃいけない締め切りの期限がきて「じゃあ、今日決めましょう」と何案か出したんですけど、結局コンセプトを決めることができませんでした。 プロデューサー「Chill」に食いつく! 編集部 日本酒の根幹を決める部分でもあるので、案を出すのはなかなか大変ですよね... 嶋野さん そうなんですよ。少しだけ期限を延ばしていただいて、プロデューサーとしてサポートしていただいている辻岡さんに、「個人面談をしましょう」ということで進めていく中で、うちのチームメンバーの一人が、「ヒップホップ、特にchillなヒップホップが好きです」と。 その一言にプロデューサーが食いついたんですよね。 「ん? チル・・・? 何それ?リラックス系でHipHop?」と疑問に思っていたプロデューサーも実際にyoutubeで聴いてみて、 「いいじゃん、HipHopをイメージした日本酒なんて新しいよ!しかも、ゴリゴリのラップじゃなくて、ゆったりしたおしゃれなラップなんて若者でしかイメージできないよ。」ということで、「chillな日本酒」というのが若者向けでも一番マッチしているし、同世代の方々にも共感していただけるかなということで、「chill」というコンセプトが決まりました。 「CHILLな夜に癒やしを得る」という名前が決まるまで 編集部 「CHILLな夜に癒やしを得る」という名前はどのようにして決まったのでしょうか? 嶋野さん chillなヒップホップというのはゆっくりしたビートの音楽で体を休めるようなヒップホップなので、ラップの内容も日常を表現するようなものが多いです。 あと「ラップ=韻を踏む」というイメージがあったので、「商品名でも韻を踏みたいね」という話から、韻を踏むネーミングという方針になりました。 chillの「ル」で韻を踏む 嶋野さん まずコンセプトは「chill」なので、chillという単語は入れようと。 そして、コンセプトが「chill」なので、「ルで終わる音」でchillっぽい単語を考えたとき、「夜」という単語がchillっぽい雰囲気もありつつ、韻も踏めているので「夜」という単語の採用から、最初に「chillい夜」というキーワードが生まれています。 ただ、「chillい夜」だけだと「韻を踏んでいる印象が薄いと感じたので、もう少し言葉をつなごうという話になりました。 編集部 たしかに、「chillい夜」だけだと、いまの商品名より韻を踏んでいる印象は薄いですね。 嶋野さん はい、そこから「chill」という単語をイメージして出ていたのが「癒し」でした。この「癒し」を使って韻を踏もう、という発想から「癒しを得る」につながっています。 最初の方はそのまま「chillい夜に癒しを得る」という名前になりそうだったんですけど、「chillい」は文字にすると、どうも読みにくいという問題点があったので「chillな夜に」これでいこう!と決まりました。 いざ!日本酒造り体験! 編集部 今回「CHILLな夜に癒しを得る」という日本酒を造るにあたって、日本酒造りに携わったということですが、最も大変なことはなんでしたか? 嶋野さん まず、大前提として我々大学生には早起きするのがとても難関でした。(笑) 酒造りは朝の早い時間から行われているわけなんですけども、「木内さん明日何時くらいに行ったらいいですかね」と聞いたら「8時ちょっとくらい」と言われたんですけど、「あれ、大学の1限より早いな」って。 1限すら危うい自分たちにとっては大変な部分ではありました。 編集部 蔵人の皆さん、酒造りの時期は朝がとっても早いので、ほんとにすごいですよね。 嶋野さん そういう点で、若宮酒造の方々に限ったことではないと思うんですけど、蔵人の方々というのは朝からすごい集中力を持って作業に取り組まれていたので、尊敬している点ですね。 作業工程の中で大変だなあと思ったのは麹室での作業でした。麹室は常に室温30度ほどあるんですけど、外はこの時期はまだまだ寒いので、その寒暖差がある中での作業というのが結構しんどかったですね。 1日でもなかなか堪えていたんですけど酒蔵の皆さんはこれを毎日やっているわけなので、そこもすごいなって尊敬できるポイントでした。 編集部 木内さんから見て、学生の皆さんの酒造りの様子を見ていかがでしたか? 木内さん 麹室での作業は、吟醸で使用している麹菌の量自体もかなり少ないのもあって、学生の皆さんには冗談ではありますが「吸い込む量も無駄になるから息もするな」と(笑)。 冗談なのはそうなんですけど、そういう意味でもリアルな酒造りの現場の雰囲気を体感してもらえたんじゃないかなあと思います。 完成した日本酒の出来栄えや味わいは? 編集部 皆さんすでに試飲はしていると思うのですが、完成した日本酒の出来栄えというのはいかがでしょうか? 嶋野さん 日本酒については何も知らない僕たちが、木内さんに「こうしてください、ああしてください」みたいな要望を色々出したんですけど、そういった漠然としたイメージを見事形にしていただいたなと思っています。 自分みたいな日本酒初心者の方でも飲みやすいと思いますし、日本酒に飲み慣れている方でも、なかなか飲んだことのないような味わいを楽しむことができると思っています。 谷口教授 とてもおいしかったですね。住んでいた場所の関係で京都の伏見や、あとはこっちに来てから木内さんの若宮酒造さんのお酒や、他の福井のお酒も飲んでいるんですけれども、やっぱり日本酒ってそれぞれ個性があってちがうんですよね。 今回このゼミで造った日本酒もコンセプトが若者向けなので、酒飲みにとってはどうなのかなって思ってたんですけど、香りはあるんですけれども、パーッとした華やかな香りとはまた違って、私のようなオヤジでも楽しめるしっかりした味があってハマりそうです。 純米吟醸なんで少し高いんですけど、この味でもっと安いお酒がでたらいいなって(笑) そして、木内さんに勧められてこの前、日本酒を初めて炭酸で割ったんですよね。すごい新鮮で、日本酒は常温や冷や、燗で飲んでいるのが一般的かなと思うんですけど、「日本酒って割っても飲めるんだ」ということに気づかせてもらえるきっかけにもなりました。 木内さん 嶋野くんや先生はすごい褒めてくれているんですけれど、結局僕から言うとこれも「日本酒」なんですよね。というのもあくまで僕は「日本酒」というものをみんなに広めたい、知ってほしいという思いがあったので、その点では大成功なのかなと。 で、いま先生がおっしゃったように、炭酸で割ってもいけるということは、味自体がしっかりしているからできることだし、「こういうお酒はみんなから敬遠されちゃうんじゃないかな」と僕たちが思っていたようなお酒でも、リクエストしてくれたのが学生である若い子たちだったっていうのは、自分の中でも新しい発見がありましたし、こういうのをうまく次の商品とか来年度の商品開発につなげることができたらいいなと思っています。 そして、この取り組みは一過性のものではなく、また違う形、違うコンセプトで来年再来年と続けてやっていくことに意義があると思っているので、その第一歩を踏み出してくれた嶋野くんたちには感謝しているし、いままでにないような新しいコンセプトを出してくれたのは本当にありがたいと思いました。 学生酒づくりプロジェクトの今後 編集部 谷口先生、また来年もゼミでこのような活動というのは続けていくのでしょうか? 谷口教授 1年で終わるのではなくて、長い目で見て続けていきたいよねという話はしています。うちのゼミは商品開発というよりは、街づくりのゼミなんです。 ですので、日本酒の開発もさることながら、地元に根ざしたものづくりの企業様とご一緒させていただくことで、「地域の自然と、ものづくりの関係」や「人と人との関係」のようないろんな関係を紡ぎ直す取り組みを育てていきたいなあと思っています。 ですので、酒を開発して売るだけではなく、木内さんの若宮酒造さんともイベントを企画しようだとか、地域の風土を活かしていく、そこに酒造りや酒蔵を掛け算していくような取り組みを、急がずゆっくりと育てていきたいなと思っています。 編集部 ありがとうございます。今後の学生酒づくりプロジェクトさんの取り組みも要チェックですね。 クラウドファンディング終了後は一般販売も 編集部 「クラウドファンディング終了後、一般販売を予定しております」とあるのですが、すでに販売予定地域などは決まっているのでしょうか? 木内さん 現在は、4/15からうちの若宮酒造の店舗と地元の特産品を扱う特産館で売ることは確定していて、話をすれば乗ってくれるところはたくさんあると思うのですが、スケジュールが押し押しでやっているので、きちんとあいさつ周りができていないという部分もあり、他の販売店に関しては現在未定です。 近々できれば嶋野くんたちと、うちのお得意先を一緒に回って、感想を聞きながらぜひお願いしますというのもできたらいいなと思っています。 あとはクラウドファンディング終了後に動き始めるのですが、ECサイトとかそのへんでも、販売していこうとは思っています。 ※CHILLな夜に癒しを得るは「CAMPFIRE限定ラベルデザイン」と「正規商品ラベルデザイン」がありますが、一般販売は「正規商品ラベルデザイン」のみです。 一般販売を予定しているECサイトはこちら 「若宮酒造」公式ECサイト 今回の活動を通して、日本酒に対するイメージは変わった嶋野さん 編集部 最後に、今回のゼミでの活動をとおして、嶋野さんの元々日本酒に対して持っていたイメージと、今のイメージではどういう変化がありましたか? 嶋野さん 飲む前は日本酒はおっさんが飲むイメージ... 木内さん おっさん言うな(笑) 嶋野さん 度数が高くて、日本酒の味がわかる人しか楽しめないお酒なんじゃないかなと勝手に思っていました。 今回のこの活動で初めて試飲して、「あれ、なんかうまいなあ」とシンプルに思いました。 「日本酒って実はおいしいんだよ」っていう感覚を他の人にも知ってもらいたいなって思いもあったので、それを商品という形にして皆さんにお届けするのと、あとは谷口先生も先程おっしゃっていた、商品開発じゃないところで地域と連携して何かしていくこととか、同じ若い世代の方々に日本酒の楽しさとか魅力とか共有できるような場作りをしていけたらいいなと思っています。 木内さん 嶋野くん単位取りにいってるでしょそのコメント(笑) 編集部 単位は大事ですからね(笑) 日本酒はおいしいんですけど、そういうイメージが先行しがちなので、「CHILLな夜に癒しを得る」を通して、少しでも日本酒をおいしいと思う若い方が増えてくれたらいいなと思います。 嶋野さん、谷口先生、木内さん、本日は貴重なお時間ありがとうございました!
大吟醸の先駆けとなった日本酒「黒龍」の種類やラインナップを解説!
福井県の「黒龍(こくりゅう)」は、大吟醸(だいぎんじょう)の代表格として知られる日本酒です。香り高くスッキリとした味わいは、多くの日本酒ファンに愛され続けています。 また、豊富な商品バリエーションも人気の理由のひとつ。今回は、日本酒ビギナーにぴったりの1本から贈答用にふさわしい銘柄まで、黒龍のラインナップを紹介します!ぜひ、お気に入りの1本を見つけてみてくださいね。 1.「黒龍」とは 「黒龍(こくりゅう)」は、大吟醸の先駆けとして全国に名をはせるお酒です。仕込み水に使われるのは、九頭竜川の伏流水。自然のフィルターを通し山から川へと流れ込んだ水は、黒龍の軽くやわらかな口当たりの原点となっています。 酒米には、東条産の山田錦や福井県大野産の五百万石など、すべて酒造好適米を使用。米を磨く度合いを示す精米歩合は平均約50%と、米の美味しい部分だけを贅沢に用いたお酒です。 フルーティーな香りと繊細な味わいは、福井県の冬の名物でもある越前ガニとの相性もばつぐん。中でも、創業者の石田二左衛門からその名をとった「石田屋」と「二左衛門」は、黒龍のトップブランドとして日本酒好きから高い人気を得ています。 1-1.醸造元は「黒龍酒造」 黒龍酒造は1804年(文化元年)創業の福井県の老舗酒蔵です。「自然と人の調和、豊かな生活文化の創造」をポリシーに、伝統の酒造りを続けています。 1975年(昭和50年)には、全国に先駆けて大吟醸「龍」を販売。吟醸酒が市販化されていなかった時代に、「日本一高価な日本酒」として大吟醸は注目を集めました。以来、大吟醸・吟醸・純米吟醸と数々の吟醸酒の市販化に成功。現在は福井県だけでなく、全国に名をはせる吟醸蔵としてその名が知られています。 伝統の技法を重んじながらも「清酒の楽しみ方をもっと伝えたい」という思いから、ポットのお湯で手軽に燗酒を楽しめる「燗たのし」を開発。日本酒ビギナーのためのお酒「黒龍 吟のとびら」、小容量が計量できるグラス「黒龍 酒グラス」を展開するなど、日本酒普及のためにさまざまな取り組みも行う酒蔵です。 2.黒龍の銘柄の種類は大きく分けて5つ 黒龍の銘柄は、大きく5つの種類にわかれます。いずれもよく磨いた米を原料に低温発酵させる「吟醸造り」を基本とするお酒です。 こだわりの酒 極みの酒 季節の酒 祝の酒 出会いの酒 高品質でありながら、求めやすい価格帯が多いことも人気の理由のひとつ。普段使いから贈答用まで、お酒を楽しむシチュエーションにあわせた銘柄が揃います。 2-1.こだわりの酒 「こだわりの酒」には、黒龍の定番酒ともいえるラインナップが並びます。多くが720mlあたり1,000円台と、求めやすい価格帯も魅力です。 2-2.極みの酒 「極みの酒」は、限定商品が多いことが特徴です。「石田屋」や「二左衛門」といった、黒龍のトップブランドも含まれています。日本酒通からの人気も高く、贈答用にもふさわしい銘柄が揃います。 2-3.季節の酒 「季節の酒」は、春・夏・秋・冬それぞれにリリースされます。キリッとした味わいの夏酒に、うっすら白くにごる冬の生酒など、日本の四季を感じさせるラインナップです。 2-4.祝の酒 「祝の酒」の黒龍は、2本セットの「つるかめ」や「福ボトル」など、祝いの席を華やかに彩るものばかりです。受注品や季節限定品のため、特別感も満載。大切な人への贈り物や、人生の節目に贈るお酒としても好まれています。 2-5.出会いの酒 「出会いの酒」は、美味しい日本酒との出会いをという願いを込めた「吟のとびら」と、仕込みにお酒を使った「貴醸酒」の2銘柄です。いずれも150ml容量が販売されているため、黒龍初心者や「貴醸酒を飲んでみたい」という方にもぴったりのラインナップといえるでしょう。 3.こだわりの酒のラインナップ 3-1.黒龍 ⼤吟醸 米をより多く削り、低温でじっくりと仕込む「大吟醸」の代表格ともいえる銘柄です。吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)と呼ばれるフルーティーな香りと、すっきりとした飲み口を楽しめます。箱付きの720mlのほか、気軽に楽しめる300mlも販売されています。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-2.黒龍 純吟 「純吟」とは純米吟醸酒のこと。醸造アルコールと呼ばれるアルコールを添加せず、米と米麹、水のみで仕上げたお酒です。使用しているのは、福井県産の酒米「五百万石(ごひゃくまんごく)」。米の旨味とさわやかな香りを堪能できます。 (出典元:黒龍酒造) 3-3.黒龍 いっちょらい 福井県の方言で「一張羅(いっちょうら)」を意味する「いっちょらい」は、黒龍人気の定番酒です。300mlあたり500円台とコストパフォーマンスに優れ、日々の食卓にちょっとした特別感をもたらしてくれます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4.極みの酒のラインナップ 4-1.黒龍 石田屋 「石田屋」は、黒龍酒造の創業時の屋号です。高級酒米として名高い兵庫県東条産の山田錦を小さくなるまで削り、中心部分のみをぜいたくに使用しています。毎年11月頃に限定販売される特別な1本です。 (出典元:黒龍酒造) 4-2.黒龍 二左衛門 創業者「石田屋二左衛門」の名をとった「二左衛門」は、蔵独自の方法で熟成させたお酒です。洋梨を思わせる香りは実にエレガント。ほのかな酸味の余韻を残し、上質な旨みがするりと喉元を通り過ぎます。 (出典元:黒龍酒造) 4-3.黒龍 純米大吟醸 春先に限定販売される黒龍です。うっすら琥珀色に輝くボトルには、こだわりの純米大吟醸が詰められています。越前漆器の外箱も美しく、春のお祝いの品にもふさわしい1本です。 (出典元:黒龍酒造) 4-4.黒龍 火いら寿 「火いら寿(ひいらず)」は、火入れと呼ばれる加熱処理をしていない生酒です。黒龍の生酒のなかでは最高峰。火入れをしていないお酒ならではのフレッシュな香りと、高級酒米「山田錦」が生み出す繊細な味わいを兼ね備えています。 (出典元:黒龍酒造) 4-5.黒龍 しずく 「しずく」は、酒袋を吊るし、自然にぽたぽたとこぼれる雫(しずく)を集めたお酒です。余分な圧力をかけずに絞ったお酒は、雑味のないきれいな味わい。年に3回リリースされる限定商品です。 (出典元:黒龍酒造) 4-6.黒龍 八十八号 「八十八号」とは、原酒を集めたお酒のタンクの番号のこと。末広がりで縁起の良い番号が付けられたお酒は、贈答用にもおすすめです。黒龍のなかでも、上品で繊細な味わいが際立っています。 (出典元:黒龍酒造) 4-7.黒龍 大吟醸 龍 1975年(昭和50年)に誕生した「龍」は、黒龍の名と大吟醸の味わいを世に知らしめた1本です。味と香りのバランスに優れ、食中酒としてのクオリティの高さが光ります。 (出典元:黒龍酒造) 5.季節の酒のラインナップ 5-1.黒龍 純吟垂れ口 「純吟 垂れ⼝」は、冬にリリースされるうっすら白くにごった生酒です。搾りたてのお酒を、加水せずに瓶詰した「原酒」になります。そのまま冷やで味わうのはもちろん、ぬる燗で米の旨味をゆったりと味わうのもおすすめです。 (出典元:黒龍酒造) 5-2.黒龍 春しぼり 「春しぼり」は、例年3月にリリースされる銘柄です。「垂れ口」と同様に、加水をしないしぼりたての原酒が詰められています。植物が芽吹く春の季節のように、フレッシュな香りと旨味、ほのかな苦みを楽しめます。 (出典元:黒龍酒造) 5-3.黒龍 夏しぼり 5月頃にリリースされる「夏しぼり」は、初夏の訪れを感じさせるみずみずしい味わいです。キリッとした味わいが引き立つ辛口タイプのお酒になります。暑い夏の午後には氷を入れたグラスに注ぎ、ロックスタイルで楽しむのもおすすめです。 (出典元:黒龍酒造) 5-4.黒龍...
日本酒の生酒とは?火入れをした日本酒との違いや楽しみ方を解説!
日本酒の「生酒」とは、火入れと呼ばれる加熱殺菌処理をしないお酒のことです。味や香りが変化しやすいため、冷蔵保存が基本となります。 今回は、生酒の特徴やその他のお酒との違いを解説!日本酒に火入れする理由や、生酒おすすめの楽しみ方もぜひチェックしてみてくださいね。 1.「生酒」とは? 「生酒」とは、加熱殺菌処理をしていない日本酒のことです。「なまざけ」のほか、「きざけ」「なましゅ」と呼ばれることもあります。 日本酒の一般的な製造工程では「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌処理を2度おこないます。 生酒は、1度も火入れをしていないお酒です。そのほか、日本酒は火入れの回数によって以下のように呼び名が変わります。 呼び名 1回目の火入れ 2回目の火入れ 生酒 なし なし 生貯蔵酒 なし あり 生詰め酒 あり なし 1度も加熱処理をしていない生酒は、フレッシュな香りや旨味が特徴です。瓶のなかではまだ酵母が活動を続けているため、シュワシュワとした発泡感が生まれることもあります。 2.日本酒に火入れする2つの理由 日本酒に火入れをする主な理由は、以下の2つです。 糖化酵素による味の変化を防ぐ 乳酸菌の一種である火落ち菌などの微生物によるお酒の劣化を防ぐ 糖化酵素とは、デンプンを分解し、糖に変える酵素のことです。糖化酵素が残ったままのお酒を瓶に詰めると、瓶の中でデンプンが糖に姿を変え、味が変化する恐れがあります。 また、火落ち菌はお酒に含まれる乳酸菌の一種です。火落ち菌が残ったまま瓶詰めすると、色や香りが劣化してしまうため、火入れにより除去する必要があります。 火入れは日本酒の味わいを安定させ、美味しい状態を保つために必要な工程です。つまり、火入れをしていない生酒は、味が変化しやすいとてもデリケートな状態ということ。そのため、低温保管で早めに飲み切るのが基本となります。 3.生酒や火入れなど、ラベルでの見分け方 火入れをしたお酒には「火入れ」「瓶火入れ」「瓶囲い」など、火入れの手法が記載されているものがあります。 ただし、火入れの表記は法的に定められているわけではありません。火入れの有無が記載されていない場合は、加熱処理済みと考えるのが一般的といえるでしょう。 一方、生酒の多くはラベルに「生酒」と記載があります。前述したように、生酒は冷蔵保管が求められるからです。画像のように「要冷蔵」と追記されるほか、酒販店では冷蔵ケースで販売されます。 4.生酒のおすすめの楽しみ方 火入れをしていない生酒は、まさに生きているお酒です。ここからは、生酒の魅力を存分に味わうための楽しみ方を紹介します。ぜひ、鮮度の良い生酒の魅力を堪能してみてくださいね。 4-1.よく冷やした状態で 生酒のキリッとした味わいを楽しみたいときは、冷やして味わうのがおすすめです。生酒ならではの甘みや酸味、ジューシーな旨味を堪能できます。 シュワシュワとした発泡感のある生酒は、シャンパングラスに注いで味わうのも楽しみ方のひとつ。しっかり冷やしてグラスに注げば、乾杯のシーンも盛り上がります。 燗酒にしたいときは、ほどよく温めたぬる燗でいただきましょう。冷酒とは違うコクが生まれ、生酒の違った表情を楽しめますよ。 4-2.日本酒の鮮度を保つ 火入れをしていない生酒は、保管温度で味が変化しやすいお酒です。鮮度を保てるよう、購入後は冷蔵保管を心がけましょう。 開栓後はお酒が空気に触れる面積が大きくなるため、早めに飲み切るのがおすすめ。ぜひ、生酒が持つフレッシュな味わいを楽しんでみてくださいね。 4-3.ロックで飲むのもおすすめ 氷を入れたグラスにお酒を注ぐロックスタイルは、日本酒ビギナーにおすすめの楽しみ方です。氷でアルコール度数が中和され、日本酒がより飲みやすくなります。 特に「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」と呼ばれる、ろ過や加水をしていない生酒はロックスタイルがおすすめ。ライムやレモンをキュッと搾れば、夏にぴったりの日本酒スタイルができあがりますよ。 https://sake-5.jp/sake-ice/ まとめ 日本酒は、造り方によってさまざまな味わいが生まれるお酒です。その違いを知れば、日本酒の楽しみ方がさらに広がります。 火入れをしない生酒の美味しさも、日本酒の魅力のひとつ。保存方法などに気を配りながら、ぜひフレッシュな味わいを楽しんでみてくださいね。 関連記事 https://sake-5.jp/raw-unfiltered-wine/
醸し人九平次ってどんな日本酒?醸し人九平次の各種類も解説!
「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」は、愛知県の萬乗醸造が造る日本酒です。「別誂(べつあつらえ)」や「human(ヒューマン)」など、個性的な数々の銘柄をリリースしています。 豊富なバリエーションが魅力的な反面、飲み慣れないうちはどれを選ぼうか迷ってしまいがちですよね。そこで今回は、醸し人九平次のラインナップをくわしく紹介します!味の特徴や蔵のこだわりなど、ぜひ日本酒選びの参考にしてください。 1.醸し人九平次を造る萬乗醸造とは? 「萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)」は、1647年(正保4年)創業の酒蔵です。蔵元・久野九平治氏が目指すのは、歴史に敬意を払ったうえでの革新的な酒造り。 2010年(平成22年)には兵庫県黒田庄で米栽培を始めるほか、2016年(平成28年)には「ドメーヌ・クヘイジ」と称してフランスでワイン造りを開始するなど、さまざまな取り組みを続けています。 白ワインにも例えられる醸し人九平次の魅力は、あえて残した苦味や渋味、そしてエレガントな酸味。 リリース当初、蔵元自らが持ち込んだお酒がパリの三ツ星レストランで高い評価を得ると、逆輸入という形で国内でもその名が知られていきます。 ドラマチックかつ気品あふれる多彩な銘柄も、ファンを惹きつける理由のひとつ。 酒造りにどこまでも実直でありながら、日本酒に新しい風を吹き込む萬乗醸造のお酒は、世代や国境をも越え多くの人々に愛され続けています。 2.「醸し人九平次」の種類は大きく分けて6つ 萬乗醸造では、主に以下6種の醸し人九平次をリリースしています。 Origine Collection Désir et Sauvage Découverte La saison Flagship いずれも九平次ならではのエレガントな酸味を持ちつつ、それぞれにテーマ性を持たせているのが大きな特徴。また、各商品には米の収穫された年号(ビンテージ)が記載されています。 2-1.醸し人九平次 Origine 「Origine」のテーマは、日本酒の主原料である米が育つ田んぼ。萬乗醸造が持つ兵庫県の黒田庄、岡山の赤磐、フランスのカマルグそれぞれで生まれた米を原料に、3種のボトルをリリースしています。 2-2.醸し人九平次 Collection 醸し人九平次のなかでも、特に気品と品格にあふれる「Collection」。原料と製法にこだわりぬいた日本酒が特別な時間を演出してくれます。 2-3.醸し人九平次 Désir et Sauvage 「山田錦」と「雄町」という酒米の違いを楽しめるシリーズです。山田錦が生み出す可憐な味わい、雄町ならではのエネルギッシュな個性を堪能できます。 2-4.醸し人九平次 Découverte 「Découverte」とは、フランス語で「発見」や「気づき」のこと。醸し人、九平治、黒田庄の頭文字になぞらえ、ラベルには「K」の文字が記されています。日本酒の固定概念を覆し、新たな発見を与えてくれるシリーズです。 2-5.醸し人九平次 La saison 「La saison(ラ・セゾン)」=「季節」の名のとおり、日本の四季の移ろいを表現したシリーズです。冬季限定の生酒や、燗酒で美味しいボトルたちが並びます。 2-6.醸し人九平次 Flagship 「Flagship」に位置付けられているのが「彼の岸(ひのきし)」と名付けられたビンテージボトル。兵庫県黒田庄で育つ山田錦を原料に、蔵元が目指す味わいが体現されています。 3.醸し人九平次 Origineのラインナップ 酒米の個性を楽しむ「Origine」のラインナップは3種類。兵庫、岡山、フランスで育ち、萬乗醸造で日本酒へと姿を変えた酒米のストーリーが刻まれています。 3-1.醸し人九平次 黒田庄に生まれて、 兵庫県黒田庄で育った山田錦を使用。萬乗醸造がこだわりぬいた地で育つ酒米のエネルギーが感じられる日本酒です。ワイングラスから舞い上がる香りは、芳醇かつフルーティー。スッときれいに後引く余韻と、ほんのりとした苦味、心地よい酸味を堪能できます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3-2.醸し人九平次...
無濾過生原酒の先駆けとなった日本酒「飛露喜」の種類や味わいを解説!
「飛露喜(ひろき)」は、高い人気を誇る福島県の日本酒です。製造量が少ないことから、入手が難しいお酒としても知られています。 醸造元の廣木酒造は公式ホームページを持たないことから、美味しいと耳にしつつ、どんなお酒かわからないということも多いかもしれません。 そこで今回は、飛露喜について徹底解説!飛露喜誕生の歴史や、各銘柄の特徴を紹介します。 1.「飛露喜」とは? 「飛露喜(ひろき)」は福島県の廣木酒造が造る日本酒です。「廣木」にあてた酒銘「飛露喜」には、「喜びの露(酒)がほとばしる」という意味が込められています。 「いつ、何度飲んでも変わらない味」をポリシーに造られる飛露喜は、味の安定性に優れたお酒。2012年には「SAKE COMPETITON」純米酒部門で1位を受賞するなど、数々の受賞歴を誇ります。 今では入手が難しい飛露喜を造る廣木酒造も、かつては廃業の危機を迎えた時期がありました。 復活のきっかけとなった「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」は、飛露喜の人気とともに一躍話題のジャンルに。そのため、飛露喜は無濾過生原酒の先駆けとしても知られています。 1-1.醸造元は「廣木酒造」 醸造元の「廣木酒造」は、福島県の会津地方に位置する酒蔵です。一時は廃業をも覚悟した時期がありながら、飛露喜誕生とともに復活を遂げた蔵でもあります。 現在の蔵元杜氏、9代目・廣木健司氏が蔵を受け継いだのは、1997年(平成9年)のこと。経営難だった蔵の立て直しに取り掛かる矢先、先代が58歳の若さで急逝されます。 元サラリーマンだった9代目にとっては、酒の流通ルートも酒造りのいろはもわからない状態。 一時は廃業をも覚悟する中、蔵の苦境がテレビ放映されると放送を見た有力酒販店から「蔵を応援したいから酒を送ってほしい」と連絡が入ります。 しかし、実際に廣木酒造のお酒を口にした酒販店の感想は「この味では勝負できない」というものでした。当時の蔵の味は、あくまでも新潟の人気銘柄を意識したものだったのです。 翌年、廣木氏は自分が本当に納得した無濾過生原酒を再び酒販店へ送付。確かな酒質が評価され販売が始まると、無濾過生原酒ブームも後押しし、飛露喜は一躍人気銘柄へと躍り出ます。 思いがけぬ売れ行きに、当時はラベルまで印刷する余裕がなく「飛露喜」の字は9代目の母が手書きしていたそう。 その後はさらなる酒質の向上を求め、加熱処理をした「火入れ酒」の製造にも取り組むなど、廣木酒造はさらなる躍進を続けています。 1-2.無濾過生原酒の先駆け 無濾過生原酒は、お酒を濾す「ろ過」、加熱をする「火入れ」、水でアルコール度数や味を調整する「加水」をしていないお酒です。まさに、搾りたてそのままのフレッシュな味わいが活きた日本酒といえます。 飛露喜が誕生した当時、火入れをしない無濾過生原酒はまだめずらしい存在だったとか。現在は各蔵から無濾過生原酒が登場し、多くの日本酒ファンを惹きつけています。 日本酒は火入れをするものという、酒造りの常識をくつがえした飛露喜。しっかりとした旨味とクリアな味わいを兼ね備えた飛露喜は、当時はまだ経験が浅く、常識に縛られなかった9代目だからこそ生み出せたお酒といえるかもしれません。 2.飛露喜の種類【定番酒】 飛露喜には、無濾過生原酒をはじめとする4つの定番酒があります。いずれも一升瓶(1800ml)での販売が中心です。 2-1.飛露喜 特別純米 無濾過 生原酒 飛露喜はじまりの1本となる無濾過生原酒。人気の高さから、酒販店に入荷してもすぐに売り切れとなる銘柄です。艶やかな甘みとコク、旨味と共に弾けるのはフレッシュな香り。飛露喜の魅力を存分に味わえる定番酒です。 (出典元:松仙) 2-2.飛露喜 特別純米 生詰 「生詰(なまづめ)」とは、1度だけ加熱処理をしたお酒のこと。無濾過生原酒からスタートした飛露喜が、年間通して安定した酒質を提供できるようにと研究を重ねた銘柄です。飲み頃になるまで熟成させてから出荷するため、落ち着いた品のある旨味を堪能できます。 (出典元:松仙) 2-3.飛露喜 吟醸 生詰 一粒の米をより多く削り、低温でじっくり熟成させる「吟醸(ぎんじょう)造り」の日本酒です。吟醸香(ぎんじょうこう)と呼ばれる、おだやかな香りが広がります。飛露喜らしいコクとともに、スッキリとした飲み口を楽しめる1本です。 (出典元:松仙) 2-4.飛露喜 純米吟醸 生詰 黒ラベル 銀色の飛露喜の文字が光る黒ラベルは、定番酒のなかの最高峰。こだわりの酒米、山田錦と五百万石(ごひゃくまんごく)を使用し、吟醸造りで仕上げています。香りは繊細でクリアな味わい。後口にしっとりと飛露喜らしい旨味が広がります。 (出典元:松仙) 3.飛露喜の種類【限定酒】 飛露喜では、冬に販売する新酒や酒米違いで仕込むお酒のほか、4合瓶(720ml)で販売する限定酒があります。不定期販売される銘柄も多く、飛露喜のなかでも特にレアなお酒といえるでしょう。 3-1.飛露喜 特別純米 かすみ酒 「特別純米 かすみ酒」は冬の限定商品です。シーズン中に蔵が初めてしぼった新酒になります。シュワッとした微発泡感と心地よい苦味、酸味は新酒ならでは。飛露喜ファンが心待ちにする人気商品です。 (出典元:楽天市場) 3-2.飛露喜 純米吟醸 愛山 本生 酒米のダイヤモンドとも呼ばれる「愛山(あいやま)」を使用。飛露喜のなかでも特に希少性の高い銘柄です。愛山が生み出す濃醇な旨味、上品な香りと甘みが際立ちます。 (出典元:松仙) 3-3.飛露喜 純米吟醸 雄町 生詰 「雄町(おまち)」は芳醇でコクのあるお酒を生む酒米です。雄町を原料に吟醸造りで仕込み、1度だけ火入れをした飛露喜はふくよかな味わいが特徴。廣木酒造の酒米へのこだわりが体現された1本です。 3-4.飛露喜 純米吟醸 山田錦 酒米の王様と呼ばれる山田錦のなかでも、特に最高峰といわれる兵庫県特A地区で育った酒米を使用。バナナのように甘く、まろやかな香りが広がる飛露喜です。飲み飽きせず、食事と一緒にするすると飲み進められます。 3-5.飛露喜 純米大吟醸 兵庫県産の山田錦を小さくなるまで磨き、米の中心部分のみを贅沢に使用したお酒です。金字と稲の穂がきらりと光る飛露喜は、四合瓶の数量限定品。計算された清らかな味わいに、ついつい1杯、また1杯とグラスが進みます。 (出典:矢島酒店) 3-6.飛露喜...
日本酒の「山廃(やまはい)仕込み」とは?味わいの特徴やおすすめの楽しみ方も解説!
日本酒のラベルや、お店のメニュー表などで見かける「山廃(やまはい)」という文字。 「一体なんのこと?」「ほかのお酒とどう違うの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、山廃についてくわしく解説!山廃仕込みのお酒の特徴や、おすすめの楽しみ方もあわせて紹介します。 難しそうに思える日本酒も、用語の意味を知ればもっと楽しく、もっと美味しくなりますよ。 1.山廃とは「生酛(きもと)」から派生した製法のこと 山廃とは、日本酒造りに欠かせない酒母(しゅぼ)の製造方法のひとつです。同じく、酒母の製造法である「生酛」から派生しました。 「きもと?しゅぼ?やっぱり難しそう…」と思わなくても大丈夫! 山廃を知るために、まずは日本酒の基本的な造り方について理解していきましょう。 1-1.酵母を育てる酒母造り 日本酒は、米と米麹をアルコール発酵させることで生まれるお酒です。 アルコール発酵を促すためには「酵母(こうぼ)」が必要となります。酒母は、酵母を育てるために造る液体です。 酒母の主な材料は、米、米麹、水、酵母、醸造用乳酸の5つ。 醸造用乳酸は、タンク内を酵母が育ちやすい環境にするために用いられます。 このように醸造用乳酸を添加する方法は、1910年(明治43年)に開発されたもの。開発前は、乳酸を添加するのではなく「自然に育てる手法」が用いられていました。 この、乳酸菌を自然に育てる手法こそが「生酛」「山廃」と呼ばれる製造方法のこと。乳酸を添加する乳酸添加法に対し、乳酸菌育成法とも呼ばれています。 ここがPOINT! 酒母の造り方は、乳酸菌を添加する方法(乳酸添加法)と育てる方法(乳酸菌育成法)の2つ。 「生酛」と「山廃」はどちらも乳酸菌育成法のこと。 1-2.「生酛」は米をすりつぶす「山卸し(やまおろし)」をおこなう 生酛の大きな特徴は、タンクに入れる前に米をすりつぶすことです。 蒸した米と麹に水を加え、櫂(かい)と呼ばれる木の棒で米をすりつぶす作業は「山卸し」や「酛摺り(もとすり)」とも呼ばれています。 山卸しの主な目的は、米を溶けやすい状態にすること。特に、江戸時代から明治時代にかけての米は硬く、溶けるまでに微生物が繁殖するリスクがあるため、山卸しは欠かすことのできない作業でした。 伝統の生酛造りは、山廃の誕生や、乳酸菌添加法の開発により一時は姿を消しかけます。しかし、昭和後期から平成にかけ生酛造りに着目する酒蔵が増加。 日本酒全体の製造数と比較するとわずかなものの、近年は「生酛」とラベルに書かれた銘柄が市場に姿を見せています。 1-3.「山卸し」をしない(廃止)から「山廃」 山廃は、生酛と同様に乳酸菌を育てながら酒母を作る製法です。しかし、山廃は生酛のように、米をすりつぶす「山卸し」をおこないません。 つまり「山卸をしない=廃止した」から「山廃」というわけです。 山廃では、タンク内で麹を水に浸ける「水麹」と呼ばれる手法が用いられます。他の微生物の働きが関係するため、綿密な温度管理が必要となるなど、生酛同様に手間と時間、そして高度な技術が求められる製法です。 2.山廃が誕生した背景 日本酒を仕込むのは冬の寒い時期。1日のスケジュールに合わせ、まだ暗いうちからおこなう山卸しは蔵人にとって重労働でした。 明治時代に入ると、国の研究機関「国立醸造試験所」がさまざまな検証を開始。軟らかい酒米が開発されたことや、精米技術が進歩したこと、水麹の手法などを理由に、山卸しの必要性が薄れたことを発表します。 これにより、多くの蔵では山卸しを廃止。「山卸廃止酛仕込み」、略して「山廃酛」と呼ばれる手法を採用するようになりました。 本来は酒蔵の専門用語だった山廃は、商品名として採用されたことをきっかけに、現在は一般消費者にもその名が知られています。 3.山廃仕込みの味わいの特徴 山廃仕込みの日本酒は、しっかりとコクのある濃醇な味わいに仕上がります。それでいて、香りは軽く深みのある味わいが特徴です。 ライトな香りと濃醇な旨味。繊細かつ奥深い味わい。と、一見対照的に思える要素を兼ね備えていることが、山廃の大きな魅力といえるでしょう。 4.山廃仕込みのおすすめの楽しみ方 山廃仕込みの日本酒は、冷やでも燗でも楽しめるお酒です。温めても香りやコクが飛ぶことなく、より奥深い味わいを楽しめます。塩辛やスルメといった定番のおつまみを片手に、ゆっくり楽しみたいお酒といえるでしょう。 料理とあわせたいときは、脂の乗ったサンマやきのこ、ジビエなど旨味の強い食材とのペアリングがおすすめ。ちょっと意外なところでは、チーズとあわせても美味しく味わえます。 鶏の照り焼きや、少し濃い目の味付けの煮物などとも好相性。ぜひ、山廃のふくよかな旨味と料理とのマリアージュを堪能してみてください。 5.まとめ 山廃仕込みは、日本酒造りの原型ともいえる製法です。古くは江戸時代から続く生酛をさらに進化させ、繊細かつ奥深い味わいを生み出しています。 古くて新しい製法として、注目の高まりを見せる山廃仕込み。酒販店や飲食店で見つけたら、ぜひ手に取って楽しんでみてくださいね。 関連記事 https://sake-5.jp/yamahai/