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初心者必見!!お店でもう困らない日本酒の注文方法

日本酒初心者の方のなかには「お家でいろいろな銘柄を飲むようになったけど、飲食店での注文はちょっと心配…」という方も多いのではないでしょうか。 「日本酒を注文してみたいけど、どれを選んだら良いかわからないし」と遠慮してしまうこともあるかもしれません。 そこで今回は、初心者も安心の日本酒選び、注文方法のポイントについて紹介します。飲食店の美味しい料理と一緒に、美味しい日本酒を楽しみましょう! 1.まずは日本酒選びから。知って役立つ4つのポイント メニューにズラッと並ぶ日本酒の数々。「漢字ばかりで何がなんだか…選ぶ決め手がわからない!」と困ったことはありませんか?そんなきは、次の4つのポイントをチェックするのがおすすめです。 日本酒の名前を参考にする 飲む温度帯を考える 料理との相性を考える 容量をチェックする 日本酒を提供する飲食店はもちろん、酒販店で日本酒を選ぶときにも役立ちますよ。 1-1.味のヒントがいっぱい!日本酒の名前を参考にする メニューに書かれた日本酒の名前には、味わいのヒントがたくさん隠れています。 1つめのヒントとなるのが、日本酒の種類を意味する「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」。「純米酒」や「吟醸酒」などがそのひとつです。 特定名称酒だけでは味は固定化できないものの、次のようなおおまかな味わいがイメージできます。 吟醸酒 フルーティーで華やかな香り 大吟醸酒 純米吟醸酒 純米大吟醸酒 純米酒 香りふくよかリッチな味わい 特別純米酒 本醸造酒 キレがある辛口タイプ 特別本醸造酒   日本酒の名前には、「造り方」を表す言葉が含まれている場合があります。余裕があるときは、それらもあわせてチェックしてみましょう。 山廃(やまはい) 日本酒の伝統製法。繊細かつ奥深い味わい。 生酛 (きもと、なまもと) 生酒(なまざけ) 加熱処理をしていない日本酒。フレッシュな味わい。 原酒(げんしゅ) 加水をしていない日本酒。しっかりとした飲みごたえ。 無濾過生原酒 (むろかなまげんしゅ) ろ過をしていない無濾過×生酒×原酒、3つのスペックを持つお酒。 甘さと酸味がはっきりとしたジューシーな味わい。 ひやおろし 秋ごろに販売するお酒。まろやかでコクのあるタイプが多い。 古酒(こしゅ) 熟成させたお酒。濃縮された味と香り。   1-2.冷酒?燗酒?飲む温度帯を考える 日本酒は、冷酒や燗酒で楽しめるのが魅力のひとつ。日本酒を選ぶときは、飲む温度帯も考えてみましょう。 冷やして楽しみたいときは、フルーティーな香りの「吟醸酒」や、フレッシュ感が持ち味の「生酒」がおすすめです。 温かい日本酒を飲みたいときは、燗酒で魅力がパワーアップする「純米酒」や「本醸造酒」、「山廃」「生酛」なども美味しいですよ。 1-3.料理との相性を考える こってりした肉料理や塩辛いおつまみには、「純米酒」のようなコクのあるタイプの日本酒が良く合います。「山廃」「生酛」などは、意外にもチーズを使った洋食と好相性です。 すっきりキレのある日本酒は、新鮮な魚介類と相性ばつぐん。素材の味を活かしたイタリアン、フレンチのようなメニューがあるときは、フルーティーな香りの「純米大吟醸」もおすすめです。 1-4.容量、提供スタイルを選ぶ 飲食店では、日本酒を1合(180nl)で提供するのが一般的です。日本酒はアルコール度数15~16%と、ビールなどと比較すると度数が高いお酒。「1人で飲み切れるか不安」というときは、あらかじめ容量を確認しておきましょう。 また、日本酒はグラスまたは徳利(とっくり)で提供されます。何人かで少しずつシェアしたいときは、徳利でお願いするのがおすすめです。 2.初心者もこれで安心!注文時の5つのコツ メニューから日本酒を選んで、いざ注文!「やっぱり選びきれない」「ちょっと不安」というときも、次の5つのコツをおさせておけば安心です。 お店のおすすめを聞いてみる あわせたい料理を伝える 香りや味の好みを伝える 普段飲んでいるお酒を伝える 和らぎ水(やわらぎみず)を一緒に頼む 日本酒を提供する飲食店は、お酒のプロフェッショナル。遠慮せず、気軽に日本酒について相談してみてくださいね。 2-1.お店のおすすめを聞いてみる 美味しい日本酒を楽しみたいときは、お店のおすすめを聞いてみるのがいちばん。オールシーズン入荷しているお酒のほか、その時期だけの旬の味わいに出会えるからです。 おすすめ銘柄の味わいや特徴など、新たな知識が得られるのもうれしいですね。 2-2.あわせたい料理を伝える 多くの飲食店は、料理とお酒のペアリングを大切にしているもの。食べたい料理が決まっているときは「この料理にあう日本酒はどれですか?」と相談してみましょう。 「この日本酒を飲みたいのですが、あわせるならどのお料理が良いですか?」と聞いてみるのもおすすめ。日本酒にあわせたとっておきのペアリングを提案してもらえます。 2-3.香りや味の好みを伝える 自分好みの日本酒を注文するには、香りや味の好みを伝えるのがいちばんの近道です。特定名称酒や銘柄がわからなくても大丈夫。 「甘い香りの日本酒がすき」「スッキリした感じが好み」といったおおまかなイメージも、お店にとっては大きな参考要素になります。お酒にさほど強くない場合も、飲みやすい銘柄を紹介してもらえますよ。 2-4.普段飲んでいるお酒を伝える ビールやワインなど、日本酒以外に普段飲んでいるお酒を伝えるのもおすすめです。おうちで日本酒を飲んでいる場合、普段飲んでいる銘柄を伝えると、お酒の好みが日本酒選びの参考になります。 「初心者だし、注文に迷うなぁ」というときは、素直にお店側に伝えてみましょう。飲食店は、お店にやって来る方に美味しい日本酒を楽しんでほしいと思っているもの。初心者だからこそ美味しく楽しめる、おすすめ銘柄を提案してくれるはずです。 2-5.和らぎ水(やわらぎみず)も一緒に頼む 日本酒を注文するときは、和らぎ水も一緒にお願いしましょう。和らぎ水とは、日本酒の合間に飲む水のこと。日本酒と同量、またはそれ以上の水を飲むことで悪酔いを防げます。 口の中がすっきりとリセットされ、料理やお酒の味わいがより美味しく感じられるのもメリットのひとつです。 3.日本酒オーダーをシミュレーション 以上のポイントをふまえつつ、ここからは日本酒オーダーをシミュレーションしてみましょう。難しく考えず、ぜひ気軽に店員さんに相談してみてくださいね。   お家時間が増え、自宅で日本酒を楽しむ機会が増えた。お酒の購入はネットショップの利用が多い。ビールやワインも好き。今日は楽しみにしていた日本酒が豊富なお店に来店!うまく注文できるかちょっと心配…。 ラボオ すみません。日本酒をお願いしたいのですが、今日のおすすめはどれですか? 店員 今日はAとBがおすすめです。先日入荷したCも燗酒にすると美味しいですよ。 ラボオ うーん…実は日本酒を飲み始めたのは最近で。普段はワインもよく飲むのですが。料理は刺身盛りと生ハムサラダをお願いしようと思っていて…あわせるならどれがいいですか?どちらかといえばスッキリした味の日本酒が好みなんです。 店員 でしたら、Aがおすすめです。お刺身にあいますし、後口の酸味がきいているので、白ワインに近い感覚で楽しめますよ。冷やしていただくのがおすすめなのですが、いかがですか? ラボオ はい!ありがとうございます。あ、お水も少し多めに一緒にいただいていいですか? 店員 承知いたしました。少々おまちくださいませ。 いかがでしたか?ポイントは、食べたい料理や好みの味を伝えること。お目当ての料理とお酒がきたら、ぞんぶんに美味しい時間を楽しみましょう! 4.お気に入りの日本酒は記録しておこう! お気に入りの日本酒が見つかったら、なるべく記録しておきましょう。飲食店でお酒を注文したり、酒販店で購入したりするときの参考になります。 その場で手軽に入力するなら、日本酒アプリがおすすめ。写真や感想を記録するだけでなく、SNSなどで日本酒好きと情報共有できるのもうれしいですね。 日本酒を記録・検索できるアプリ「さけのわ」 ( Web版はコチラ → さけのわ ) まとめ 「名前が複雑」「わかりづらい」など、初心者にはちょっと敷居が高く感じられることもある日本酒。注文が不安なときは、お店のおすすめを聞きつつ、自分の好みを伝えてみるのがいちばんです。 料理とお酒でしあわせな時間を演出してくれる飲食店は「美味しい日本酒が飲みたい」という気持ちにきっと応えてくれるはず。難しく考えず、ぜひ気軽に日本酒の世界を楽しんでみてくださいね。

究極の食中酒、「伯楽星」を解説!

「伯楽星(はくらくせい)」は"究極の食中酒"として知られる日本酒です。全国のファンも多く、数々の受賞歴を誇ることから、その名を耳にする機会もあるのではないでしょうか。 そこで今回は、「伯楽星」の魅力や人気銘柄についてくわしく紹介します! 「おいしい日本酒を知りたい」「食事に日本酒をあわせるのが大好き」という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。 1.伯楽星とは 「伯楽星(はくらくせい)」は宮城県の新澤醸造店(にいざわじょうぞうてん)が造る日本酒です。料理のおいしさを引き立てる"究極の食中酒"とも呼ばれています。 「伯楽星」が誕生する以前、食前酒や食後酒という言葉はあっても「食中酒」というジャンルは存在しませんでした。 香り高い吟醸酒が多いなか、新澤醸造店は「食事をよりおいしく感じさせる酒」を目指し、究極の酒造りに力を注ぎます。 2002年(平成14年)、"究極の食中酒"として「伯楽星」が誕生。 料理の素材が持つ力を引き出し、気づけばすいすいと呑み進められる酒「伯楽星」は全国へと人気が広がっていきます。 JAL国際線ビジネスクラス・ファーストクラスで12年連続提供されるほか、2010年・2014年FIFAワールドカップの公式酒として採用されるなど、世界でも高く評価されている日本酒です。 1-1.伯楽星の名前の由来 「伯楽星」という名は「千里の馬は常にあれども、伯楽は常にあらず」という言葉に由来しています。これは、"逸材を見出す眼力の重要性"を説いている言葉です。 また、地元に残る「伯楽が育てた名馬が天に昇った」という伝説にも由来するといわれています。 「伯楽」とは、中国周代を生きた名馬を見分ける力に長けた人物のこと。中国では天馬を守る星の名前でもあります。 「伯楽星」は「消費者に品質を見抜いていだたこう」という蔵人たちの熱い想いが込められた名前なのです。 2.伯楽星を造る新澤醸造店とは 新澤醸造店は、1873年(明治6年)創業の宮城県の酒蔵です。 1999年(平成11年)、東京農業大学農学部醸造学科を卒業した新澤巖夫(にいざわいわお)氏が、若干25歳で杜氏に就任。究極の食中酒「伯楽星」を誕生させます。 蔵が大切にしているのは「年齢や経歴に縛られない酒造り」です。ベテラン杜氏に酒造りをゆだねるのではなく、蔵人がお互いに刺激しあい、協力する酒造りをおこなっています。 2-1.移転後の設備の充実による酒質の向上 2011年(平成23年)、東日本大震災により蔵、母屋とも全壊の被害を受けた新澤醸造店は、現在の川崎町へと工場を移転します。 同年11月には酒造りを再開。新工場で特に力を注いだのが設備の拡充でした。 米は0.1℃刻みの温度調節ができる釜で蒸され、より質の良い麹(こうじ)へと姿を変えます。最新設備と蔵人の努力により「伯楽星」もまた、より磨き抜かれた味わいへと変化を遂げたのです。 さらに、敷地内にはマイナス5℃の保存が可能な冷蔵設備を完備。フレッシュな味わいを、そのまま飲み手へと届ける取り組みを導入しています。 2-2.全国最年少の杜氏が活躍 前述したように、新澤醸造店は「年齢や経歴に縛られない酒造り」をおこなう酒蔵です。 2018年(2018年)には、新澤杜氏に代わり、若干22歳の渡部七海(わたなべななみ)氏が杜氏に就任しました。 渡部氏が手がけた「あたごのまつ 洗練辛口」は、世界的に注目を集めるワインコンクール「ブリュッセル国際コンクール」の日本酒部門「SAKE selection 2018」の本醸造酒部門でトロフィー酒を受賞。 同年には初めて外国人副杜氏が就任するなど、世代や国籍を超え、少しでもおいしい日本酒になるようにとの酒造りが続けられています。 3.伯楽星を販売できるのは選ばれた酒屋だけ 新澤醸造店は、全商品マイナス5℃の品質管理を徹底しています。ほぼすべてのお酒が、1回だけ「火入れ」をする商品だからです。 火入れとは、味や香りの劣化を防ぐことを目的とした低温加熱殺菌のこと。通常であれば2回おこなう火入れを1回のみに限定している「伯楽星」は、そのぶん品質が変化しやすいお酒なのです。 蔵が採用しているマイナス5℃の環境は、フレッシュな味わいを長く保つことができる温度帯。「伯楽星」を販売する特約店も、徹底した冷蔵管理ができる店舗のみに限定されています。 4.伯楽星シリーズを紹介! 究極の食中酒「伯楽星」は、毎日の食事と一緒に楽しめるお酒です。新澤醸造店が手がけるもうひとつのブランド「あたごのまつ」に比べ、糖度を1/2ほど低く設定し、さらりとした飲み口を実現しています。 燗酒にもぴったりの純米酒からこだわりの純米大吟醸まで、早速それぞれの魅力をご紹介!ぜひ購入時の参考にしてくださいね。 4-1.伯楽星 特別純米 究極の食中酒をコンセプトに誕生した「伯楽星」の定番商品です。すっきりとした飲み口が、あわせる料理の味わいをぞんぶんに引き出します。冷やしてさわやかな酸味を楽しむほか、キレが際立つ熱めの燗酒で味わうのもおすすめです。 評判 世界唯一となる日本酒だけのコンペティション「SAKE COMPETITION」で2014年から4年連続GOLDを受賞。味のバランスに優れ、食中酒というジャンルを確立させた銘柄です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4-2.伯楽星 純米吟醸 蔵自らが「究極の食中酒をいちばん完璧に表現した」と語る1本です。蔵のこだわりでもあるフレッシュな味わいが活きています。パッションフルーツを思わせる香りが心地よく、魚介類とも相性ばつぐんの銘柄です。 評判 伯楽星ファンのなかでも人気の高い銘柄です。2019年の「G20 大阪サミット」では、2日目のワーキング・ランチで松花堂弁当とともに「伯楽星 純米吟醸」が振る舞われました。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4-3.伯楽星 純米大吟醸 米をより小さく精米して造る純米大吟醸の多くは、華やかな香りが特徴です。「伯楽星」の純米大吟醸は、香りを強調するのではなく、米由来の味わいを大切にしています。やわらかな香りとにフレッシュな旨味は、ワイングラスで楽しむのがおすすめです。 評判 「和食にも洋食にもあう」と評判の銘柄です。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード 2021」では、金賞を受賞。新鮮なお刺身から濃厚なチーズまで、さまざまな料理に寄り添ってくれます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4-4.伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦 高級酒米「山田錦」の産地として知られる東条秋津産の最高ランクの山田錦で造られた日本酒です。米の精米度合いを示す数値は29%と、酒米の中心部分だけをぜいたくに使用しています。伯楽星の文字が入った木箱も美しく、贈答用にもおすすめの銘柄です。 評判 フランスで開催される日本酒コンクール「Kura Master 2020」の純米大吟醸部門で金賞を受賞。トップソムリエも評価した味わいは、ふちの薄いワイングラスに注ぐとより一層魅力が花開きます。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4-5.伯楽星 純米大吟醸...

日本酒界のレジェンド「十四代」を解説!プレミアがつくその魅力とは?

日本酒の世界を楽しんでいると「十四代(じゅうよんだい)」という名前を耳にすることもあるのではないでしょうか。「なかなか手に入らないプレミア酒」「十四代はレアなお酒」と聞くと、ますますどんなお酒なんだろうと気になってしまいますよね。 そこで今回は、プレミア日本酒「十四代」についてくわしく解説!名前の由来や代表銘柄もあわせて紹介します。 1.プレミア日本酒「十四代」とは? 「十四代(じゅうよんだい)」は、山形県の高木酒造(たかぎしゅぞう)が造る日本酒です。平成初期のリリース以来、香り高く、芳醇旨口の味わいに魅了される日本酒ファンは後を絶ちません。 その一方で、十四代は入手の難しさから「幻の日本酒」とも呼ばれています。まずは、十四代の名前の由来やプレミア日本酒といわれる理由について探っていきましょう。 1-1.十四代の名前の由来 十四代という名前は、1963年(昭和38年)頃、14代目当主「高木 辰五郎」氏によって名付けられました。 日本酒に名前を付けて販売するためには、商品登録しなくてはいけません。辰五郎氏は十四代以外にも「十三代」「十五代」「十六代」といった名前を申請しました。 通常であれば、数字は登録申請を通らないルールとなっています。ところがなぜか、十四代だけが審査を通過したのです。「としよ」「としひろ」といった、人名に間違われたのが理由では?ともいわれていますが、その真相は定かではありません。 こうして奇跡的に誕生した十四代という名は、古酒のブランド名として蔵で使用されてきました。 現在多くの人が知る十四代が誕生したのは、15代目「高木 顕統」氏が初めて日本酒を造り上げたときのこと。創業以来400年余り続く伝統とともに、その名も新たな時代へと受け継がれたのです。 1-2.十四代がプレミアな理由 十四代が誕生したのは、時代が平成に移ってからのこと。香り控えめ、スッキリした味わいの端麗辛口の日本酒ブームが巻き起こるなか、フルーティーな香りの十四代は一躍人気銘柄に躍り出ます。 一度飲んだら忘れられない、みずみずしく、研ぎ澄まされた味わいはまさにプレミアと呼ぶにふさわしい品格。全国各地の酒販店が、一切の妥協を許さないこだわりの製法と原料で生まれる十四代の販売を希望しました。 ところが、多くの日本酒ファンが十四代を求める一方、高木酒造は自社ホームページはおろかメールアドレスも持たない酒蔵だったのです。 新たな日本酒の時代を切り拓いた銘酒でありながら、くわしい情報はベールに包まれている。 確かな味わいはもちろん、そんな一面も、十四代がプレミアと呼ばれる理由のひとつといえるかもしれません。 2.十四代を造る高木酒造とは? 高木酒造は、1615年(元和元年)創業の老舗酒蔵です。蔵が建つ山形県村山市は、四季折々の気候がはっきりとした自然豊かな地域。美しい水源にも恵まれ、蔵自ら「酒未来(さけみらい)」「龍の落とし子」「羽州誉(うしゅうほまれ)」といった酒米の開発にも取り組んできました。 また、地元では古くから「朝日鷹(あさひたか)」という日本酒の醸造元としても知られています。山形県内のみの限定流通商品ですが、見かけた際はぜひこちらもチェックしておきたいですね。 2-1.十四代の生みの親、「高木 顕統(たかぎ あきつな)氏」 十四代の生みの親である高木 顕統(たかぎ あきつな)氏は、東京農業大学農学部醸造科を卒業後、東京の大手百貨店に勤務していた人物です。1993年(平成5年)、高齢になった杜氏の引退を機に蔵へと戻ると、杜氏として酒造りを始めました。 当時、日本酒業界はスッキリとした端麗辛口ブームのまっただなか。幼いころから蒸米の甘い香り、麹の匂いに触れて育った顕統氏は「本来の日本酒は、もっと芳醇で旨口であるべき」という信念を貫き、香り高く芳醇な味わいの十四代を造り上げます。 さらには、酒質の設計から商品ブランディングまで一貫して担当。現在の蔵元杜氏の流れを生み出したパイオニアともいえる存在です。 3.十四代の代表的な銘柄 プレミア日本酒「十四代」、日本酒好きなら知れば知るほど「飲んでみたい!」と思うものですよね。とはいえ、なかなか入手できないのが十四代の悩ましいところ。ここからは、十四代の代表銘柄を紹介します。 酒販店で十四代を購入するチャンスが訪れたり、飲食店で十四代に出会ったり…。ぜひ、ここぞ!という機会が訪れたときの参考にしてくださいね。 3-1.十四代 純米大吟醸 龍泉 十四代のなかでも最高ランクにあたる銘柄「龍泉(りゅうせん)」。入手困難を極め、ネットでは数十万円で取引されることも少なくありません。高級酒米「山田錦」を35%まで磨き上げ限界低温発酵させた後、酒袋からこぼれる雫を1滴ずつ集め氷温貯蔵熟成させた純米大吟醸酒です。 評判 原料、製法、ボトルとすべてがスペシャル。外箱と中箱の二重使用の高級化粧箱におさめられています。香りはバニラのように甘く華やか。多くの日本酒ファンが酔いしれる至極の逸品です。 (出典元:ミツワネットショップ) 3-2.十四代 双虹 大吟醸 「双虹(そうこう)」は、山田錦を三割五分まで磨いたフルーティーな甘さが香り立つ日本酒です。毎年11月ごろに限定販売されており、定価は1万円台でありながらネット通販では10万円全前後の高値で取引されています。 評判 吟醸香はほんのりと柔らかでフルーティー。後味も爽やかで、ほのかな酸味が米の余韻を思わせます。口当たりも滑らかで、まるで水のように何杯でも飲み進めたくなる上質な日本酒です。 (出典元:ミツワネットショップ) 3-3.十四代 純米大吟醸 龍月 「双虹」とならび、「龍泉」に次ぐ十四代の最高峰銘柄です。毎年11月に販売される限定酒であることが、さらに希少性を高めています。袋吊りで搾ったお酒を一斗(18リットル)入りの瓶で少量ずつ集め、氷温熟成させるという手間のかかる製法で造られた日本酒です。 評判 真っ白な化粧箱入りの「龍月(りゅうげつ)」は、贈答用にもふさわしい佇まい。「SAKE COMPETITION」では数々の受賞歴を誇るなど、もちろん味も折り紙付きです。十四代らしい香りと甘みはしっかりと。それでいて雑味のない研ぎ澄まされた味わいが光ります。 (出典元:ミツワネットショップ) 3-4.十四代 七垂二十貫 高木酒造の伝統の製法「七垂二十貫(しちたれにじっかん)」によって醸造された十四代です。七垂二十貫とは、二十貫(約75㎏)の米からわずか七垂れ(7滴)しか取れないほど希少な酒、という意味。「龍泉」「双虹」「龍月」と、十四代の代表銘柄はこの七垂二十貫によって造られています。 評判 袋から一滴一滴搾り取る雫酒の味わいはまさに絶品。その確かな酒質は世界でも認められ、「2015年SAKE COMPETITION」の純米大吟醸部門で第3位を受賞しました。ネット通販でも7万円近い額で取引される日本酒です。 (出典元:ミツワネットショップ) 3-5.十四代 純米吟醸 龍の落とし子 「龍の落とし子」は14代目当主の高木辰五郎氏が開発した酒米です。幾度も交配を重ね、実に18年の月日を経て誕生しました。裏ラベルに系譜が書かれていることからも、蔵の酒米への強いこだわりがうかがえます。 評判 開栓と同時に広がるみずみずしく爽やかな香り。米の甘みと旨味をじっくり堪能できる1本です。2日、3日と時間を置くと、よりまろやかに変化する味わいを楽しめます。 (出典元:ミツワネットショップ) 3-6.十四代 純米大吟醸 酒未来 「酒未来(さけみらい)」は「龍の落とし子」同様、高木酒造が独自に開発した酒米です。近年は全国各地の有名蔵で「酒未来」を使用した日本酒が造られています。お酒の未来を盛り上げたいという蔵の想いが伝わる1本です。 評判 甘くやわらかな香りは洋梨やマスカットのよう。口に含むと甘みと旨味、ほのかな酸味がじゅわっと広がります。入手困難なことは変わらないものの、定価は数千円台と比較的求めやすく、飲食店などで見かけたときはぜひ味わっておきたい銘柄です。 (出典元:ミツワネットショップ) 3-7.十四代 本丸 秘伝玉返し フルーティーで香り豊かでありながら、飲み口はすっきり。添加するアルコールに自社の粕取り焼酎を使用するという、こだわりに溢れた日本酒です。十四代のスタンダード的な存在であり、その人気を世に知らしめるきっかけとなった銘柄でもあります。 評判 日本酒の最高峰とされる味わいは、「間違いなくおいしい」と日本酒ファンがうなるほど。見た目も華やかで桐箱入りの商品もあるため、贈答用としても好まれています。十四代はまだ飲んだことがないという方に、まずおすすめしたい一本です。 (出典元:ミツワネットショップ) まとめ 日本酒ファンの憧れ的存在ともいえる「十四代」。その確かな味わいは、蔵の熱い情熱とこだわりによって生まれています。 それだけに繊細な十四代は、マイナス5℃からプラス5℃の低温保管が基本。高木酒造も保存管理の行き届いた酒販店への販売を基本としています。 十四代を入手できた際は、ぜひ一期一会のお酒との出会いを大切に、幻と呼ばれるその味わいを堪能してみてはいかがでしょうか。

正月明けにがっかりしないために!正月太りを避けるためのお酒との付き合い方

年末年始の楽しみといえば美味しい料理とお酒!しかし、同時に気になるのが「正月太り」ではないでしょうか。今回は正月太りの原因と、正月太りを避けるためのポイントを紹介します。体重増加を防ぎつつ、年末年始も美味しく楽しく日本酒を味わいましょう。 1.正月太りの原因はお酒とおつまみの相乗効果 正月休みが明けた仕事始め。「むむっ。いつもの服がなんだかキツイ!今年も正月太りか…」とうなだれる人も多いのではないでしょうか。 年末年始は何かと会食が増える時期。クリスマスメニューにおせち料理とごちそうが目白押しです。気の合う仲間と飲むお酒に、ついついおつまみを食べる手も進みます。 特に、発泡感のあるお酒は食欲を増進させるアイテム。食前酒として好まれるビールやシャンパンには、胃の働きを活発化させる働きがあるといわれています。 さらに、酔っぱらうと脳の視床下部にある満腹中枢が麻痺し、食べすぎへとつながってしまうのです。また、寒い季節はエネルギーを蓄えるために、体が皮下脂肪を溜め込みやすくなっています。 「ごちそう」×「お酒」×「寒い季節」。これらの相乗効果によって、正月太りが生まれてしまうというわけです。 2.年末年始に正月太りを避けるためのお酒との付き合い方 正月太りを避けつつ、上手にお酒と付き合うためのポイントは次の4つです。 おつまみやおせちの食べすぎに注意する 和らぎ水(チェイサー)を用意する 食べる順番、内容に工夫する 意識的に運動量を増やす 理屈はわかっていても、できれば避けたい正月太り。ポイントをおさえつつ、年末年始も美味しいお酒を楽しみましょう。 2-1.おつまみやおせちの食べすぎに注意する 年末年始の料理といえば、クリスマスケーキにチキンなどカロリーや脂質の高いものが多いですよね。和食のイメージが強いおせちも、実は食べすぎに気を付けたいメニューです。 おせちは、お正月三が日に料理をしなくて良いようにと保存食を中心に詰められています。黒豆や栗きんとんには砂糖、煮物には醤油が使用され、糖分や塩分が多いことが特徴です。 塩分の摂りすぎは、体のむくみにもつながります。お酒を飲みながらついつい食べ過ぎてしまわないよう、あらかじめ食べるぶんだけを取り分けておくなど、工夫をしながら楽しみたいですね。 2-2.和らぎ水(チェイサー)を用意する 和らぎ水とは、日本酒や焼酎の合間に飲む水のことです。洋酒とあわせるときはチェイサーとも呼ばれます。 和らぎ水には、アルコールによる脱水症状を防ぐ働きがあります。頭が痛くなったり、気持ち悪くなったりといった悪酔いを防ぐためにも、お酒を飲むときは和らぎ水をあわせるのがおすすめです。 また、和らぎ水はアルコールによる胃への刺激を和らげる効果も期待できます。食べすぎを防ぐためにも、年末年始のお酒は和らぎ水と一緒に楽しみましょう。 2-3.食べる順番、内容に工夫する 年末年始のごちそうを食べるときは食べる順番、内容にもひと工夫。なるべく野菜や海藻類から食べ始め、次に肉や魚などのメイン料理を食べましょう。野菜や海藻に含まれる食物繊維が血糖値をおだやかに上昇させ、脂肪の溜め込みを防ぐ効果が期待できます。 お酒のおつまみにするなら、ふろふき大根や湯豆腐、シーザーサラダなどがおすすめ。野菜たっぷりのスープを用意すれば、満腹感が高まり食べ過ぎ防止に効果的ですよ。 2-4.意識的に運動量を増やす お正月はついつい運動不足になってしまいがちですよね。テーブルの上にあるおせちをつまみつつ、酔っぱらってそのまま昼寝…というパターンも多いかもしれません。 運動量が減りがちな年末年始は、意識的に体を動かしましょう。朝晩のストレッチや軽い散歩も効果的です。天気が良い日は、近所の神社へお参りに行くだけでも運動量が増えますよね。雪の多い地域であれば、雪かきもかなりのカロリー消費につながります。 また、夜遅くまでお酒を飲むと、翌日まで体内にアルコールが残り日中の活動量が減りがちです。正月太りを防ぐためにも、お酒はなるべく早い時間に切り上げ生活リズムが乱れないように心がけましょう。 まとめ クリスマケーキにチキン、おせちにあわせるお酒はなんとも美味しいものですよね。たっぷり楽しんだ後の正月太りを防ぐには、やはり「食べ過ぎ」「飲みすぎ」に気を付けることが大切です。 野菜を意識的に摂ったり、運動量を増やすだけでもずいぶんと効果的。年末年始も元気に美味しくお酒を楽しみ、1年の良いスタートを切りましょう。 https://sake-5.jp/sake-calories-and-sugar/ https://sake-5.jp/sake-diet/ https://sake-5.jp/sake-calorie/

新潟生まれの酒米「五百万石」とは?五百万石で造られた日本酒20選

おすすめの日本酒を探す際に、使用されている酒米を参考にするのも日本酒の選び方の一つです。 五百万石(ごひゃくまんごく)は、日本酒造りに使う酒米の名前。新潟県を中心に、南は九州まで幅広い地域で栽培されています。 今回は、五百万石を使ったおすすめ日本酒をご紹介!酒米の特徴や味の個性を知れば、日本酒がもっと楽しく、もっと美味しくなりますよ。 1.五百万石ってどういう酒米? 五百万石(ごひゃくまんごく)は、新潟生まれの酒米です。酒米「菊水」を母に、「新200号」を父に交配されました。 兵庫県を中心に栽培される「山田錦(やまだにしき)」ともに、酒米の2トップともいえる品種。山田錦が西の横綱と呼ばれるのに対し、五百万石は東の横綱の名で知られています。 五百万石=米約75t 「ごひゃくまんごく」という耳慣れない名が表しているのは、米の量です。江戸時代は、米約140kgを「1石(こく)」と表していました。 1957年(昭和32年)、新潟県の米の生産量は約75万tを突破します。その量は、石(こく)で換算するとおよそ500万。酒米「五百万石」の名は、この生産量を記念して名付けられました。 全国各地で栽培できる早生種(わせしゅ) 昭和50年代後半になると、五百万石は酒米のシェア50%を占めるほどの人気銘柄になります。2013年(平成13年)に山田錦に抜かれるまで、40年近くもの間、作付面積1位をキープしてきました。 その理由は、比較的早く収穫できる早生種(わせしゅ)であり、全国各地で栽培できたことがあげられます。現在も東北南部から九州北部まで、幅広い地域で栽培されている酒米です。 心白(しんぱく)が大きい 酒米の中心には、心白(しんぱく)と呼ばれる白く濁る部分が存在します。心白が大きな五百万石は、精米時に崩れやすく削りにくい酒米です。 そのため、米を小さく削って仕込む「吟醸酒」には不向きなものの、蒸したときの粘りが少なく、麹が造りやすいといわれています。五百万石で造る日本酒は香りがスッキリと、クセのない味わいに仕上がるのが特徴です。 2.五百万石で造られた日本酒おすすめ20選 ここからは、五百万石で造られたおすすめ日本酒をご紹介します!同じ酒米を使っても、水や製法でさまざまな個性を見せるのが日本酒のおもしろいところ。スッキリとした五百万石ならではのお酒から、ふっくらやわらかな味わいのお酒までさまざまです。ぜひ、日本酒選びの参考にしてくださいね。 2-1.車坂 生もと純米酒 生酒 無農薬、無化学肥料で育った五百万石を100%使用。女性杜氏、藤田晃子氏の熱い想いが込められた1本です。「生もと(きもと)」と呼ばれる、昔ながらの伝統製法で造られています。 味わい深いラベルに描かれているのは、生もと造りの様子です。木桶に米と水を入れ、すりつぶしながら天然の乳酸菌を育てていきます。自然が生み出すしなやかな味わいは、まさに絶品。冷やはもちろん、ぬる燗でも美味しい日本酒です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-2.久保田 萬寿 純米大吟醸 新潟県を代表する地酒「久保田(くぼた)」。「萬寿(まんじゅ)」が発売されたのは1986年(昭和61年)のことです。以来、端麗辛口の味わいは多くの日本酒ファンに愛されてきました。 グラスからフワッと舞い上がるのは華やかな香り。口に含むと米の甘みと旨味がじんわりと広がります。祝いの席の乾杯にもふさわしい、気品あふれる1本です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-3.あべ 純米吟醸 シルバー 生詰め 「あべ」は新潟県の阿部酒造が造る日本酒です。カラーバリエーションを持つあべシリーズは、2015年に誕生しました。仕上げに加水をせず、原酒そのままで販売している銘柄です。 シルバーはシリーズ定番の純米吟醸酒。地元新潟県産の酒米を100%使用しています。製造年によりアルコール度数が微妙に異なるのもおもしろいところ。旨味と酸味のバランスに優れた、食中酒にぴったりの味わいです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-4.大七 生もと 純米 大七(だいしち)酒造は、創業以来「生もと造り」にこだわり続ける酒蔵です。手間と時間をかけ、繊細かつ奥深い味わいの日本酒を生み出しています。 生もと造りで生まれる純米酒は、ふっくらとした旨味が心地良い1本。ぬる燗や熱燗で美味しいお酒です。冬の鍋はもちろん、ビーフシチューやクリーム煮のような洋食にも良く合います。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-5.黒龍 吟醸 いっちょらい 「いっちょらい」とは、福井県の方言で「一張羅」「自分にとって一番いいもの」を表す言葉。福井県の銘酒「黒龍(こくりゅう)」のなかでも、コストパフォーマンスに優れた1本です。 甘く華やかな香りは熟れたメロンのよう。後口はさっぱりと、飲み飽きしない美味しさです。キレと旨味を兼ね備え、黒龍ファンからも高い人気を得ています。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-6.澤屋まつもと 守破離 五百万石 京都伏見の人気酒蔵「澤屋まつもと」。使用する五百万石は、富山県南砺(なんと)市の五百万石です。米の産地で異なる味の違い、価値にこだわって造られています。 純米酒はふっくら、どっしりした酒質が多いなか、こちらの純米酒は実にフレッシュな味わい。舌を微かに刺激するガス感も活きています。さわやかな酸味と旨味、苦みが絶妙にマッチした1本です。 (出典元:IMADEYA...

「日本酒は悪酔い・二日酔いになりやすい」ってホント?悪酔いを防ぐ日本酒の楽しみ方も解説!

「日本酒を飲むと悪酔いする…」と感じたことはありませんか?実はそれ「日本酒」が原因ではないのかもしれません。 今回は、悪酔いと二日酔い、それぞれの違いをくわしく解説します!知っていると知らないとでは大違い、悪酔いを防ぐ3つのポイントもぜひチェックしてみてくださいね。 1.悪酔いと二日酔いはそれぞれ違う症状 悪酔いと二日酔いは、似ているようでそれぞれ症状が異なります。特に、悪酔いはお酒を飲みすぎなくても現れるのが大きな特徴です。 「悪酔い」は飲酒後2~6時間後に起こる 「悪酔い」とは、お酒を飲んでから2~6時間後に起こる症状です。赤面紅潮や吐き気、頭痛、脈拍数の上昇が主な症状としてあげられます。お酒が弱い人や、体調が悪い人に現れやすいのが特徴です。 悪酔いの原因は、体内で発生する「アセトアルデヒド」という有害物質です。 体内に入ったアルコールは、通常であれば肝臓で処理されます。しかし、体質や飲酒量によっては処理が追い付かず、アセトアルデヒドが発生してしまうのです。 特に、日本人の約6割はアルコールの処理能力が低く、基本的にアルコールには強くない体質だといわれています。 疲れがたまっていたり、体調が優れなかったりするときも同様です。アルコールの処理能力が落ち、悪酔いする可能性が高いため注意しましょう。 「二日酔い」は飲酒後8~14時間後に現れる 「二日酔い」は、飲みすぎた翌朝に起こる症状です。主に、頭痛や嘔吐、発汗をともなう不快症状が現れます。 二日酔いの主な原因は、お酒の飲みすぎです。大量にアルコールを摂取することで分解処理が追い付かず、体内のアセトアルデヒドの濃度が急上昇してしまいます。 もうひとつの原因物質が、お酒に含まれる「アデノシン」です。アデノシンには血管拡張作用があり、長時間お酒を飲むほど頭痛が起こりやすくなります。 アルコールが持つ利尿作用も、二日酔いの原因のひとつです。必要以上に水分が排出されると、体は脱水症状を引き起こします。結果、頭痛やだるさ、胃のむかつきといった二日酔い特有の症状が現れるのです。 2.「日本酒は悪酔い・二日酔いになりやすい」ということはない 「日本酒は悪酔いしやすい」「日本酒は二日酔いになりやすい」というイメージはありませんか?ひとことで言うなら、それは大きな誤解。大切なのはお酒の種類ではなく、飲む量や摂取するアルコール量です。 日本酒は、ほかの酒類に比べアルコール度数が高いお酒です。以下は度数の目安となります。 酒類 アルコール度数 日本酒 15度~16度 ビール 5度 焼酎 25度 ウイスキー 43度 ワイン 14度 缶チューハイ 5度 乾杯!の勢いでグビグビッと飲むビールのように、日本酒を飲んでしまったら?一度に摂取するアルコール量はおよそ3倍近くになってしまいますよね。 結果的にアルコールの分解処理が追い付かず、悪酔いや二日酔いが起こってしまいます。日本酒に限ったことではありませんが、お酒は自分に合ったペースで、自分に合った量を飲むように心がけたいですね。 醸造アルコールが添加された日本酒は酔いやすい? 日本酒には、醸造アルコールを添加した「本醸造酒」という種類があります。「アル添酒(あるてんしゅ)」とも呼ばれる本醸造酒は「悪酔いしやすい」「体に悪い」というイメージを持たれることも少なくありません。 醸造アルコールは、サトウキビなどを原料にした純度の高いアルコールです。焼酎と同じ原料で造られることもあり、本来は体に悪い成分ではありません。 ではなぜ、醸造アルコールを添加した日本酒に酔いやすいイメージが付いているのでしょうか? これには、戦後の物資不足の時代、醸造アルコールや糖類などで日本酒をかさ増ししていたことが関係すると考えられます。 当時の日本酒は、水で希釈した醸造アルコールなどで醪(もろみ)を3倍まで増量させることから「三増酒(さんじょうしゅ)」と呼ばれていました。粗悪な密造酒が横行するこの時代、安価で手に入りやすい三増酒は、人々のニーズを満たすものだったのです。 今でも、醸造アルコールを添加したお酒の多くはコストパフォーマンスに優れています。そのため「安い=質が低く酔いやすい」というイメージを持たれることがあるのかもしれません。 しかし、現在の醸造アルコールは、お酒のかさ増しではなく香りや味の調整を目的に使用されています。醸造アルコールを使った本醸造酒は、端麗辛口の味わいが特徴です。ドライテイストでついつい飲みすぎてしまうことから、悪酔いの可能性が高いとも考えられます。 悪酔いや二日酔いの原因は、あくまでもお酒の飲みすぎです。醸造アルコールを使っているからといって、悪酔いするわけではないことを覚えておきたいですね。 3.悪酔い・二日酔いを防ぐ3つのポイント 悪酔いや二日酔いを防止するためには次の3つのポイントが大切です。 適正なアルコール摂取量を知っておく 和らぎ水(チェイサー)を飲む 空きっ腹でお酒を飲まない 酒蔵が造った美味しい日本酒。せっかくなら悪酔いせずに、美味しく楽しみたいですよね。ぜひ、お酒を飲むときはこれらのポイントを意識してみてください。 3-1.適正なアルコール摂取量を知っておく 悪酔いや二日酔いを防ぐためには、適正なアルコール摂取量を守ることが大切です。厚生労働省は、以下の量を1日あたり摂取量の目安としています。 酒類(アルコール度数) 分量 ビール(5度) 中瓶1本 日本酒(15度) 1合 焼酎(25度) 0.6合 ウイスキー(43度) ダブル1杯 ワイン(14度) 1/4本 缶チューハイ(5度) ロング缶1本 日本酒1合は、およそ180mlです。とはいえ、体質によってアルコールの処理能力には差があります。「お猪口一杯で顔が赤くなる」という人もいれば、「4合瓶を1本空けても平気」という人もいますよね。 アルコールをきっかけで体調を崩さないためにも、自分の適正量を把握したうえで、飲みすぎに注意しながらお酒を楽しむように心がけましょう。 3-2.和らぎ水(チェイサー)を飲む 「和らぎ水(やわらぎみず)」は、日本酒の合間に飲む水のことです。洋酒に合わせるときはチェイサーと呼ばれています。 和らぎ水には、お酒による脱水症状を防ぐ働きがあります。また、口内をスッキリとリフレッシュしてくれることもポイントです。料理と一緒にお酒を楽しむときは、次に口にする素材の味がより感じやすくなります。 日本酒と料理のマリアージュを楽しみつつ、合間に和らぎ水をひとくち。このルーティーンを意識してみてくださいね。 3-3.空きっ腹でお酒を飲まない 1日の終わり、空きっ腹に染みわたるビールがたまらない!と感じる人も多いかもしれませんが、悪酔いを防ぐためには注意が必要です。空っぽの胃にお酒を流し込むと、アルコールが急速に吸収されてしまいます。 肝臓に運ばれたアルコールの処理能力が追い付かず、アセトアルデヒドを発生すれば悪酔いの原因に。頭痛や吐き気を防ぐためにも、お酒を飲む前は軽食をつまんでおくのがおすすめです。 まとめ 自分の適正量以上のお酒を飲むと、悪酔いや二日酔いの原因となります。せっかく美味しい日本酒を飲んでも、翌朝「もうお酒はいらない…」というほど体調を崩してしまっては残念ですよね。 「お酒は百薬の長」といわれるとおり、日本酒は飲み方次第では体に良い効果も期待できます。悪酔いを防ぐポイントをおさえつつ、今日も美味しく日本酒を楽しみましょう。 https://sake-5.jp/supplements-and-drinks-available-at-convenience-stores/ https://sake-5.jp/hangovers-from-year-end-and-new-years-parties/ https://sake-5.jp/headache-from-sake/

「熱燗」や「ぬる燗」の違いとは?日本酒のおいしいお燗のつけ方も解説!

日本酒には様々な飲み方・楽しみ方がありますが、「燗酒」は、冷やしても温めてもおいしい日本酒ならではの飲み方です。とはいえ「燗酒はお店で楽しむもの」というイメージを持つ方も多いかもしれません。 今回は、燗酒の温度帯や、お家でできるおいしい作り方についてご紹介します。寒い冬、選ぶお酒の種類やポイントをおさえ、ぜひお家で気軽に燗酒を楽しんでみてくださいね。 1.日本酒は日向燗(ひなたかん)から飛び切り燗まで楽しみ方はさまざま 「燗酒(かんざけ)」とは、加熱をした日本酒のことです。ひとくちで燗酒といっても、温度によって楽しみ方はさまざま。呼び名も次のように変化します。 30℃ 日向燗(ひなたかん) 35℃ 人肌燗(ひとはだかん) 40℃ ぬる燗 45℃ 上燗(じょうかん) 50℃ 熱燗(あつかん) 55℃~60℃ 飛び切り燗 30℃~40℃は、日本酒のふくよかな香りが楽しめる温度帯です。味わいもよりまろやかに、やさしい口当たりに変化します。 40℃から徐々に温度を上げると、キリッとしたドライな味わいが引き立っていきます。香りは落ち着き、甘みや酸味がより強く押し出されるのが特徴です。アルコール感が強調されるため、通好みの飲み方といえるかもしれません。 2.お燗をつけておいしい日本酒の選び方 お燗につける日本酒を選ぶときのポイントは、次の2つです。 酸度を見て選ぶ 純米酒か本醸造酒を選ぶ どちらも日本酒のラベルで確認でき、酸度は数字で表示されています。「純米酒」「本醸造酒」という名前は、ラベルの「特定名称」にあたるものです。 2-1.酸度を見て選ぶ 酸度は、日本酒の酸味や旨味のもととなる有機酸の量を表す数字です。日本酒の場合「酸度が高い=すっぱい」というわけではありません。酸度が高いほど、スッキリとしたドライな味わいに仕上がります。 いわゆる「辛口」にあたる酸度の高い日本酒は、お燗にするとおいしいタイプ。酸度の平均値はおよそ1.3前後のため、お燗にする場合は1.4以上を目安に選んでみましょう。 2-2.純米酒か本醸造酒を選ぶ 「純米酒」は、米と麹、水のみで仕込んだ日本酒です。外側をあまり削らない「低精米」の米で造るため、ふくよかな味わいに仕上がります。温めるとより味のふくらみが増し、燗酒にするお酒におすすめです。 純米酒のなかでも「山廃(やまはい)」「生もと(きもと)」と書かれている日本酒を見つけたら、ぜひぬる燗で味わってみてください。伝統製法である山廃、生もと仕込みの日本酒は、繊細で奥深い味わいが特徴です。燗酒にすると、その魅力がより一層引き立ちます。 「本醸造酒」は、醸造アルコールと呼ばれる蒸留酒を添加した日本酒です。端麗辛口タイプの本醸造酒は、上燗や熱燗のようなアツアツの燗酒に適しています。キリッとシャープな味わいが引き立ち、燗酒好きに好まれるお酒です。 3.おいしいお燗をつけるポイント 「お家で燗酒、なんだかハードルが高そう」と思っていませんか?ちょっとしたポイントに気を付ければ、自宅でもおいしい燗酒が楽しめます。 ここからは「湯煎」と「電子レンジ」でつける燗酒のポイントをご紹介。ぜひ、気軽に楽しくお燗にチャレンジしてみてくださいね。 3-1.湯煎でおいしいお燗をつけるポイント 湯煎でおいしいお燗をつけるポイントは「お湯の量」と「温度」、「時間」の3つです。 湯煎用のお湯は、徳利(とっくり)が肩までしっかりつかるくらい、たっぷりと用意しましょう。理想の温度は80℃。グラグラ沸くほど熱いと、日本酒のアルコールが揮発し、アルコール臭が強い燗酒になってしまいます。つける時間はおよそ2~3分。短時間で温めることで、日本酒の香りが残った美味しい燗酒ができあがります。 具体的な流れは以下のとおり。「80℃のお湯に肩までつかってサッとあがる!」のイメージで、徳利をお湯につけてあげてくださいね。 徳利の首の部分(くびれた部分)までお酒を入れる 徳利が肩までつかる量の水を鍋に入れる 徳利を取り出し、鍋を火にかけて水を沸騰させる 沸騰したら火を止め、ひと息ついてから徳利を入れる(やけどをしないように注意!) そのまま2~3分待ち、お酒がとっくりの表面まで持ち上がってきたらできあがり! ※好みのおつまみを用意するのも忘れずに…。 3-2.電子レンジでおいしいお燗をつけるポイント 「鍋を準備するのはちょっとめんどう」「寒い夜、帰宅してすぐ燗酒が飲みたい」というときは、電子レンジを活用しましょう! 電子レンジでおいしいお燗をつけるポイントは、温度ムラを防ぐこと。時間の目安は、お酒1合(180ml)あたり500Wで約40秒です。20秒たったら途中で徳利を取り出し、軽く振って上下の温度を均一に仕上げます。 残り20秒で人肌燗ができあがりますが、機種によっても仕上がりが違うので、ぜひ時間を調整しながら自分好みの温度を見つけてみてください。 香りが逃げてしまわないように、徳利の口をラップでふんわり覆うこともポイントです。ピチッと覆うと徳利にラップが張り付き、はがすときに「アチチ」とやけどする恐れがあるためじゅうぶんお気を付けください。 まとめ 米の香りがふんわりと立ち上る燗酒。口に含むとじんわりお酒のおいしさが広がり、心と体をやさしく温めてくれます。燗酒は玄人好みの飲み方と思わず、今年はぜひ気軽に、冬の醍醐味「燗酒の世界」を楽しんでみませんか?

酒蔵で行われている伝統行事「呑切り」とは?

「呑切り(のみきり)」は、酒蔵に伝わる伝統行事です。杜氏や蔵人たちが集い、熟成途中の日本酒の出来をチェックします。一般的に知られることの少ない呑切りも、蔵にとっては一大イベント。今回は、呑切りの内容や由来についてお伝えします! 1.呑切りとは 「呑切り(のみきり)」とは、熟成中の日本酒の質をチェックすることです。日本酒は冬に仕込み、春から夏へと熟成させ、1年をかけて新酒の季節を迎えます。 酒造技術が発達していないころは、熟成中に日本酒が腐敗してしまう恐れがありました。日本酒が白く濁り、酸味を帯びる「火落ち」と呼ばれる現象です。 火落ちを防ぎ、熟成度合いを見極めるため、各蔵では夏に唎酒がおこなわれるようになります。これが呑切りのはじまりです。 貯蔵技術が発達した現在は、季節を問わず日本酒が出荷できるようになりました。そのため、呑切りは出荷のつどおこなうのが一般的です。 しかし、夏場の呑切りだけは今も酒蔵にとって特別なもの。冬に仕込んだ日本酒と初対面する緊張の瞬間です。 色あい、味、そして香り。呑切りでは、数値化できない繊細な味わいを人の五感で判断していきます。 1-1.呑切りの由来 呑切りという呼び名は「栓を切る」ことに由来しています。日本酒を熟成させる貯蔵タンクには「吞み口」と呼ばれる栓が付いています。栓を切ると、中から日本酒がこぼれだす仕組みです。 呑切りは「栓を切る」、つまり「呑み口を切る」が転じて生まれました。シーズン初めての吞切りは「初呑切り」、合間におこなうものは「間呑切り」と呼ばれています。 1-2.呑切りに使う「蛇の目の唎猪口」 呑切り当日、蔵には「蛇の目の唎酒猪口(じゃのめのききちょこ)」がズラッと並びます。蛇の目の唎猪口は、唎酒用に造られたお猪口です。 底にブルーの二重丸が描かれているのは、細かな浮遊物を見えやすくするため。白と青のコントラストにより、日本酒の色合いも確認しやすくなります。ぽってり丸く、適度な高さのある形は香りを包み込むためです。 ちなみに「蛇の目」とは、古くは和傘や家紋に用いられた模様を意味します。第1回目の全国新酒鑑評会より、お猪口の模様として採用されました。 2.6~8月のタイミングでおこなう「初呑切り」 冬から続く酒造りがひと段落するころ、蔵では「初呑切り」がおこなわれます。時期としては、温度が高くなる6月から8月。酒造技術が向上した現在は、日本酒の熟成度合いをチェックするのが主な目的です。 初呑切りは、その年の日本酒の出来を把握し、出荷時期を調整するための大切な行事です。杜氏や蔵人はもちろん、蔵によっては関係者を招いて呑切り酒を振る舞います。 2-1.初呑切りの際におこなう「切り鼻」 「切り鼻」は、日本酒の香りを吟味するためにおこなう行事です。「片口(かたくち)」と呼ばれる、縁の片側にくちばしのような注ぎ口がある器を使います。 切り鼻に使う片口は、両手で持つような大きめサイズ。タンクから日本酒を注ぎ、顔を近づけて香りを確認します。飲食店では見ることのできない、酒蔵ならではの伝統行事です。 2-2.夏の楽しみ「呑切り酒」 蔵によっては、初呑切りのお酒をそのまま「呑切り酒」として出荷しています。貯蔵途中の呑切り酒は、アルコール度数がやや高く、しっかりした味わいが特徴です。 飲みごたえのある呑切り酒は、暑い夏のロックやソーダ割りにぴったり。冷暗所で1年近く寝かせ、味わいの変化を楽しむのもおすすめです。 まとめ 日本酒は、時間や温度で味が変化する繊細なお酒です。よりベストな状態で出荷するためにも、呑切りは欠かせません。夏の訪れを感じるころ「そろそろ呑切りの季節だな」と日本酒を傾けるのもまたオツなもの。夏限定の呑切り酒を見つけたら、ぜひ一度試してみてくださいね。

日本酒と焼酎に特化した資格「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」を徹底解説!

SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)は日本酒と焼酎に特化した資格です。原料や製法など、日本酒に関する専門知識を学べます。 「日本酒をもっと知りたい」「お酒の資格が取りたいな」という方に向け、今回はSAKE DIPLOMAの申し込み法や過去の試験問題を紹介します。その他の日本酒資格とあわせ、ぜひ参考にしてくださいね。 1.SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)とは 「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」は一般社団法人日本ソムリエ協会が認定する資格です。2017年(平成29年)、日本の食文化の普及と向上を目的に発足されました。 日本ソムリエ協会は、その名のとおりワインのプロフェッショナル「ソムリエ」の育成を手がける団体です。一流ソムリエとして名高い田崎真也氏が会長を務めています。 ワインのプロ「ソムリエ」を育成する協会が、なぜ酒ディプロマを発足させたのか。その背景には、日本の伝統的な食文化「和食」を取り巻く環境の変化が影響しています。 2013年(平成25年)、和食はユネスコ無形文化遺産に認定され、世界で広く知られる存在となりました。と同時に、和食に寄り添う酒「日本酒」もまた海外から注目を浴びるお酒となったのです。 日本文化でもある日本酒と焼酎、2つの専門知識を有する酒ディプロマは、日本酒に関する知識を深めたい方や、日本酒を提供する仕事に就く方におすすめの資格だといえます。 2.SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)の受験要項 実際に資格を取るとなると、受験要項やスケジュールが気になるところですよね。ここからは、酒ディプロマの受験資格や概要、取得の流れについて詳しく紹介します。 2-1.受験資格 酒ディプロマの受験資格は、以下の2点です。 ・満20歳以上であること ・すでに酒ディプロマ資格を保有していないこと ソムリエ試験では実務経験が求められますが、酒ディプロマには必要ありません。条件を満たしていれば、国籍、職種、経験など関係なく誰もが受験できます。 2-2.受験概要 試験は7月から一定期間開催される一次試験と、10月に開催される二次試験にわかれます。一次試験は、CBT試験というコンピューターを利用した受験スタイルです。会場は全国47都道府県に約280か所設けられています。 なお、一次試験は2回まで受験でき、出願時に受験回数を選択できます。一次試験を合格している場合は、二次試験から受験することも可能です。 2-3.申込みから資格取得までの流れ 出願期間は、3月から7月中旬までのおよそ4ケ月半です。その後、予約した会場で一次試験を受験し、合格したのちに二次試験に進みます。 なお、以下のスケジュールは2021年度のものです。年度によってはスケジュールが変更になる可能性もあるため、お気を付けください。 <申込みから資格取得までの流れ> 日本ソムリエ協会のホームページから受験申込みをする(3月初旬~7月中旬) 事務局から会場予約IDとパスワードがメール配信される 一次試験の日時と会場をWeb予約する(6月中旬~8月下旬) 予約した会場で一次試験を受験する(7月下旬~8月下旬) 合格後、二次試験を受験する(10月中旬) 合格後、認定登録手続きをする 2-4.試験内容 一次試験 試験問題は、申込時に事務局より発送される「J.S.A. SAKE DIPLOMA教本(second edition)」より出題されます。 試験時間は60分。筆記ではなく、コンピューターを利用して回答するCBT方式です。合否は画面上ですぐに確認できます。 2019年度までに一次試験を合格している場合は、翌3年間何度でも一次試験が免除となります。2020年度以降に一次試験を合格している場合は、翌5年間のうち3回までが免除の対象です。 二次試験 二次試験は、20分の論述試験と30分のテイスティング試験で構成されています。論述試験では高い専門性が求められるため、日本酒や焼酎の原料、製法についてより深く理解しておかなくてはいけません。 テイスティング試験は、実際に日本酒や焼酎を口にし、特徴を判定する試験です。テイスティングの妨げとなるため、当日は香水や香りのある整髪料の使用は控えたほうが良いでしょう。 二次試験は、会場が主要都市に限られます。2021年度の試験会場は以下の16か所でした。 札幌・盛岡・仙台・東京・長野・金沢・名古屋・京都 大阪・神戸・岡山・広島・高松・福岡・鹿児島・那覇 合格者の受験番号はホームページ上で発表されるほか、結果通知が自宅宛てに郵送されます。 2-5.SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)出題例 酒ディプロマでは、日本酒だけでなく焼酎に関する知識が問われます。2017年の試験では、以下のように日本酒の原料や製法、焼酎に関する問題が出題されました。 今の自分の知識はどれくらい?と気になる方は、ぜひチャレンジしてみてください。 例題1:特定名称酒に使用する白米は、農産物検査法によって何等以上に格付けされた玄米、またはこれに相当する玄米を精米したものに限られるか、次の中から1つ選び、解答欄にマークしてください。 1等以上 2等以上 3等以上 4等以上 例題2:精米後の米を2週間ほど袋に入れて保管することを何と呼ぶか、適当なものを1つ選び解答欄にマークしてください。 引き込み 枯らし 切り返し 仲仕事 例題3:鹿児島県の奄美諸島のみで生産されている焼酎を1つ選び、解答欄にマークしてください。 ...

日本酒とワインの違いを解説!意外な共通点とワイン酵母仕込みの日本酒5選

日本酒とワインには、原料のほかにもさまざまな違いがあります。一方で、両者には意外な共通点もあるのです。近年は、ワイン酵母で仕込んだ日本酒も続々登場!今回は日本酒とワインの違いや共通点とあわせ、ワイン酵母を使った日本酒5選を紹介します。 1.日本酒とワイン5つの違い 日本酒とワインには、原料をはじめとする次のような違いがあります。 原料の違い 製造法、発酵過程の違い アルコール度数の違い カロリー、栄養素の違い 楽しむ温度帯の違い 日本酒は米、ワインはぶどうを原料にすると知っていても、細かな違いまではわからないことも多いのではないでしょうか?まずはそれぞれの違いを探っていきましょう。 1-1.原料の違い 日本酒の主原料は「米」と「水」です。ワインは「ぶどう」を原料に造られます。 ワインに水を使わないのは、ぶどう自体に水分が含まれているから。赤ワインには「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロー」、白ワインには「シャルドネ」と、品種も多岐にわたります。 日本酒に使う米もまた、産地によって種類はさまざま。「仕込み水」と呼ばれる水の味わいも、仕上がりを大きく左右するキーポイントになります。 1-2.製造法、発酵過程の違い 日本酒もワインも、お酒の種類のうえでは同じ「醸造酒」です。醸造酒とは、穀物や果実をアルコール発酵させたお酒を指します。 アルコール発酵の仕組みは、原料の「糖類」の有無によって大きく2つにわかれます。 単発酵 複発酵 糖類を含むぶどうで造るワインは「単発酵」、米を原料にする日本酒は「複発酵」で生まれるお酒です。 ワインは「単発酵」 ぶどうを搾った液体に酵母を加えると、ぶどうの糖類に酵母が作用し、アルコール発酵が起こります。これは「単発酵」と呼ばれ、果実酒にも用いられる方法です。 日本酒は「複醗酵(並行複発酵)」 日本酒の原料である米は、糖類をほとんど含みません。そのため、まずは米に含まれるデンプンを「糖化」させる必要があります。 米の糖化のために用いられるのが、日本酒に欠かせない「麹菌」。日本酒のように、原料を一度糖化させてから発酵させる仕組みは「複発酵」と呼ばれます。 ちなみに、麦を原料とするビールも複発酵で生まれるお酒です。複発酵はその後の製造工程で「単行複発酵」と「並行複発酵」にさらに分類されます。 ビールは、糖化とアルコール発酵を別々におこなう「単行複発酵」で造られます。日本酒は、糖化とアルコール発酵を同時進行する「並行複発酵」で造られるお酒です。 並行複発酵では酵母がより活発に働き、日本酒のようにアルコール度数の高いお酒ができあがります。 1-3.アルコール度数の違い 「原酒」と呼ばれるできたての日本酒は、アルコール度数約18%の状態です。そこから加水をおこない、最終的に15%前後に仕上げます。 ワインのアルコール度数は日本酒より低く、12%前後が一般的です。ぶどうの品種や製法によっては、5%~10%のワインもあります。 1-4.カロリー、栄養素の違い 日本酒には、健康な体づくりに必要な「アミノ酸」と「ビタミンB6」が含まれています。また、美白効果のある「コウジ酸」や「フェルラ酸」が豊富なお酒です。 ぶどうを原料にするワインは「ポリフェノール」を豊富に含んでいます。特に、赤ワインはポリフェノールが多く、抗酸化作用が高いお酒です。 100gあたりのカロリーと糖質を比較すると、日本酒のほうが若干高いことがわかります。 カロリー 糖質 純米酒 102kcal 3.6g 白ワイン 75kcal 2.0g 赤ワイン 68kcal 1.5g 参考:文部科学省「食品成分データベース」 とはいえ、前述したように日本酒はアルコール度数の高いお酒です。ワインと比較すると、一度に飲める量も限られるのではないでしょうか。それぞれの持つ健康効果を高めるためにも、あくまでも適量を美味しく楽しみたいですね。 1-5.楽しむ温度帯の違い 日本酒は、幅広い温度帯で楽しめるお酒です。「雪冷え」と呼ばれる冷酒は5℃まで冷やし、「飛び切り燗」と呼ばれる燗酒は55℃~60℃まで温めます。キリッと冷やせばよりスッキリと、温めるとふくよかな旨味が広がるのが特徴です。 ワインを楽しむ温度帯は、ぶどうの種類によって異なります。渋みのある赤ワインは16℃~20℃。軽めの赤ワインは14℃前後がおすすめです。白ワインの適温は若干低く、6℃~10℃といわれています。 2.日本酒とワイン4つの共通点 日本酒とワインの間には、次のような意外な共通点があります。 同じ香り成分を持つ ワイングラスで楽しむ スパークリングタイプがある チーズと好相性 日本酒が「白ワインのよう」と表現されることがあるのも、これらの共通点があるからこそ。共通点に目を向ければ、日本酒の新たな魅力を見出すきっかけにもなりますよ。 2-1.同じ香り成分を持つ フルーティーな香りの日本酒には「吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょか)」と呼ばれる次の香り成分が含まれています。 香り成分 感じられる香り カプロン酸エチル りんご、洋ナシ 酢酸イソアミル バナナ、メロン これらの香り成分は、酵母によるアルコール発酵で生まれるもの。ワインでは「第二アロマ」と呼ばれ、白ワインに多く含まれるといわれています。 2-2.ワイングラスで楽しむ 「吟醸酒」「大吟醸」と呼ばれるフルーティーな香りの日本酒は、ワイングラスで楽しむのがおすすめです。 その理由は、ワイングラスの形状が華やかな香りを引き立ててくれるから。陶器に比べてガラスは薄く、口当たりがスムーズなこともポイントです。 日本酒とワイングラスの相性の良さは広く知られ、ワイングラスメーカー「RIEDEL(リーデル)」から大吟醸用グラスが販売されるほど。2011年からはRIEDELのグラスを試飲に用いた「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」も開催されています。 2-3.スパークリングタイプがある グラスのなかで一筋の泡が沸き立つスパークリングワイン。日本酒も同様に、シュワっと泡立つスパークリングタイプが開発されています。スパークリング酒の品質向上を目的に、2016年(平成28年)にはawa酒協会も設立されました。 スパークリング酒はアルコール度数が低いものも多く、日本酒ビギナーにも人気のお酒です。スパークリングワインやシャンパンのように、乾杯のシーンを彩ってくれます。 2-4.チーズと好相性 ワインにあわせるおつまみといえば、チーズを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 実は日本酒もチーズと相性の良いお酒。特に、シュワッと爽快感のある「スパークリング酒」、華やかな香りの「吟醸酒」、コクのある「純米酒」とチーズのペアリングはおすすめです。 https://sake-5.jp/sake-and-cheese-pairing/ 3.ワインの製法を酒造りに反映させる酒蔵も 近年は、ワイン造りにおける「テロワール」や「ドメーヌ」を重視する酒蔵も多く見られます。 テロワールとは、ぶどうが育つ土地の風土を表す言葉。土に水、風に温度とぶどうを取り巻く環境を意味します。 ドメーヌとは、自社畑のぶどうを使用し、製造から瓶詰まですべておこなう生産者のことです。ドメーヌ産のワインには、その土地で育つぶどうの個性、生産者のこだわりが色濃く表れています。 日本酒は米と水というシンプルな原料で生まれるお酒です。それだけに、米の育つ環境や水の違いが仕上がりを大きく左右します。 元ソムリエの蔵元が誕生させた「仙禽(せんきん)」、フランスでワイン造りも手がける「醸し人九平次」、テロワールを追求した「ドメーヌ貴」など、土地とのつながりを重視して生まれる日本酒は多数。 土地とのつながり、つまり環境や地域の人々とのつながりを重視した酒造りはこれからの農業を支え、将来につながる取り組みといえるのかもしれません。 4.ワイン酵母が使われている日本酒5選 ここからは、ワイン酵母で仕込んだ日本酒5選を紹介します。日本酒に使う酵母に比べ、ワイン酵母は発酵速度がゆるやかなことが特徴。アルコール度数が低く、やさしい甘さと酸味を感じるお酒に仕上がります。 4-1.鳳凰美田 Wine Cell 純米吟醸 無濾過本生 使用するワイン酵母は、フランスの友情蔵から提供されたもの。さわやかな酸味と果実のような甘みを楽しめます。「鳳凰美田(ほうおうびでん)」ならではの華やかな香りと味わいは、ぜひワイングラスで。ゆっくりと空気に触れると、さらに奥行きのある香りが広がります。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4-2.花の舞 Abysse 生原酒 ブルゴーニュ地方の白ワイン酵母で仕込んだ日本酒です。洋食に合う日本酒をコンセプトに静岡県産米で造られています。酸味と苦みが活きた味わいは、白身魚のムニエルやクリーム煮と好相性。アルコール度数12%と、米の旨味を活かしながらもライトな仕上がりです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 4-3.鳩正宗 純米吟醸 ワイン酵母 青森県の酒米「華吹雪」を使い、ワイン酵母で仕込んだ日本酒です。うっすらと白いその姿は、北国の雪景色を思わせるよう。やわらかな甘みをワイン酵母の酸味が引き締めます。乾杯の1杯やデザート酒にもおすすめの銘柄です。 (出典元:IMADEYA...

お酒を飲むと頭痛が起きるのはなぜ?頭痛を予防する日本酒の楽しみ方も解説!

「お酒を飲むと頭が痛くなるのはなぜ?」と疑問に感じたことはないでしょうか。お酒好きな方にとっては、日本酒と頭痛の関係も気になるところかもしれません。 今回は、アルコールで頭痛を引き起こさないための4つの予防法をご紹介!ぜひ、お酒を美味しく楽しむための参考にしてくださいね。 1.お酒を飲むと頭痛が起きるのはなぜ? お酒を飲むと頭痛が起きるのは、「アセトアルデヒド」と「脱水症状」が原因だといわれています。どちらも、体内に入り込んだアルコールに深く関係するものです。 お酒を美味しく楽しむためには、アルコールについて正しく理解することが大切。まずは、お酒がどのように頭痛を引き起こすのか、その原因を探っていきましょう。 1-1.アセトアルデヒドが原因 アセトアルデヒドとは、アルコールを飲んだときに肝臓で作られる有害物質のことです。 体内に入ったアルコールは、胃や小腸で吸収され、肝臓で分解されます。このときに発生するのがアセトアルデヒド。アセトアルセヒドは、酵素の働きで酢酸へと酸化されます。 酢酸は、筋肉や心臓を移動しながらさらに分解され、最終的には炭酸ガスと水になります。これがアルコール分解の一連の流れです。 この流れがスムーズに働けば、頭痛や二日酔いは発生しません。 ところが、一度に大量のアルコールを摂取した場合はどうでしょう。肝臓の分解処理速度は追い付かなくなってしまいます。 結果、発生した大量のアセトアルセヒドは酢酸へ酸化されず、そのまま血中に流れ出てしまうのです。 このアセトアルセヒドこそが頭痛の原因。血管が有害なアセトアルデヒドを排出しようと拡張し、神経押さえつけることで痛みが発生します。人によっては顔が赤くなったり、吐き気や動機を引き起こす場合もあるでしょう。 1-2.脱水症状が原因 お酒を飲むとトイレに行く回数が増える。そんな経験はありませんか?これは、アルコールによる利尿作用で水分が体外に排出されるからです。 有害物質アセトアルデヒドを分解するためには、水分が必要です。つまり、水分が排出されて脱水症状になると、アセトアルデヒドの分解が遅れることになります。 結果的にアセトアルデヒドが体内に残り、頭痛を引き起こすという悪循環が生まれることになるのです。 2.日本酒は頭痛になりやすい? 飲酒による頭痛を防ぐためには、アルコール分解がきちんとおこなわれる適量を守ることが大切です。では、日本酒の適量は一体どのくらいなのでしょうか? 厚生労働省は、1日あたりアルコール20g以下の摂取を適量としています。アルコール20gを酒類ごとにみた分量は、以下のとおりです。 酒類(アルコール度数) 分量 ビール(5度) 中瓶1本 日本酒(15度) 1合 焼酎(25度) 0.6合 ウイスキー(43度) ダブル1杯 ワイン(14度) 1/4本 缶チューハイ(5度) ロング缶1本 アルコール度数の高いお酒は、それだけ分量も少なくなります。こうして比較すると、ビールに比べて日本酒の度数が高いことがよく分かりますね。 つまり、日本酒を度数の低いお酒と同じペースで飲むと、頭痛が起こりやすいと考えられます。 また、日本酒を飲んだときの頭痛が気になるときは分量だけでなく原料成分をチェックしてみるのもおすすめです。 日本酒のなかには、味や香りを調えるために糖類や旨味成分が足されているものもあります。お酒に添加物が含まれていると、アルコールの分解速度が遅くなってしまうのです。 ちなみに、「醸造アルコール」を添加する日本酒は「アル添酒(あるてんしゅ)」と呼ばれることがありますが、醸造アルコールはサトウキビなどを原料にした純度の高いアルコールであり、頭痛の大きな要因ではありません。 「日本酒が体に合わないな」と思うときには、米と米麹、適度な量の醸造アルコールのみで造られるお酒を試してみるのも良いかもしれませんね。 3.お酒を飲むときの4つの頭痛予防法 お酒を飲むときに頭痛を予防するには、次の4つの方法がおすすめです。 空腹のままお酒を飲まない 和らぎ水(チェイサー)を飲む 適量をゆったり楽しむ 頭痛予防に効果的なおつまみを選ぶ せっかくの美味しいお酒、頭痛を心配せず楽しみたいものですよね。「お酒は好きだけどいつも頭が痛くなる」というときも、ぜひ試してみて下さい。 3-1.空腹のままお酒を飲まない 空腹の状態でお酒を飲むと、アルコール成分が胃から急速に吸収されてしまいます。そのまま肝臓に運ばれたアルコールは、分解処理が追い付かず、大量のアセトアルデヒドを発生することに。 結果的に頭痛の原因となるため、飲酒は空腹時を避けるのがおすすめです。すきっ腹にクーッと染み渡るビールも美味しいですが、その前に軽食で胃をカバーするのを忘れずにいたいですね。 3-2.和らぎ水(チェイサー)を飲む アルコールによる脱水症状を防ぐためには、適度な水分補給が大切です。日本酒の合間に飲む水は「和らぎ水(やわらぎみず)」と呼ばれます。洋酒にあわせるチェイサーと役割は同じです。 食事の合間の和らぎ水には、口内をリフレッシュさせる作用もあります。また、日本酒はもともとアルコール度数の高いお酒。酔うのが心配なときは、あえてロックにしたり、水割りにして楽しむのもひとつの方法です。 3-3.適量を楽しむ お酒でつらい思いをしないためには、適量をゆっくり楽しむことが大切。一般的に、女性のほうが男性よりもアルコールの分解速度は遅いといわれています。また、年齢や体重、体質によっても適量はさまざまです。 たとえ適量であっても、勧められるままに勢いよく飲んでは気付かぬうちに酔っぱらってしまいます。 二日酔いにならないためにも自分の適量を知り、水や料理と一緒にゆったりお酒を楽しむ余裕を持ちましょう。 3-4.頭痛を防ぐためのおつまみの選び方 頭痛を防ぐためには、おつまみの選び方にもひと工夫。ポイントは、タンパク質・ビタミンB・タウリンを意識することです。 タンパク質が豊富なものを食べる 良質なタンパク質は、肝臓や酵素の働きを活性化してくれます。タンパク質を豊富に含む食材は、肉類や豆類、乳製品などです。 味の濃い料理は、ついついお酒も進んでしまうもの。お酒に合わせるときは、脂質の低いさっぱりしたメニューを選びましょう。 ・枝豆、冷奴、チーズの盛り合わせ、とりわさなど ビタミンBが含まれているものを食べる ビタミンBは、アルコールを無害な物質に変えるときに必要な成分です。豚肉は、ビタミンBを豊富に含む代表的な食材。魚類では、ブリやサーモン、うなぎなどがおすすめです。 ・豚肉のソテー、豚の角煮、豚しゃぶ、うなぎのかば焼き、ぶりの照り焼きなど タウリンが含まれているものを食べる アミノ酸の一種であるタウリンは、肝機能を高める効果が期待できます。血圧やコレステロールを下げる作用もあり、二日酔い防止にも効果的な食材です。 タウリンを豊富に含む食材は、貝類にタコやイカ、ブリ、カツオなどがあげられます。タウリンは水に溶けやすいため、汁物や煮物にするのもおすすめです。 ・スルメ、タコのカルパッチョ、ブリ大根、しじみの味噌汁など まとめ 日本酒を飲んだときの頭痛を防ぐためには、適量をゆったり楽しむことが大切です。頭痛だけでなく、二日酔い予防も期待できます。お気に入りのお酒に、和らぎ水とおつまみを添えれば準備ばんたん。ぜひ美味しく健康に、日本酒を楽しんでみてくださいね。

日本酒の製造工程6ステップ!米から美味しい日本酒ができるまで

日本酒の製造工程は、主に6つの流れに沿って進みます。その期間は約60日間。今回は、日本酒の製造工程を唎酒師がわかりやすく解説します。 米が日本酒に変身するヒミツを知れば、ラベルに書かれた漢字の意味も「なるほど!」と納得いくはずですよ。 1.日本酒造りの6ステップ 米と米麹、水というシンプルな原料は、以下の6つのステップを経て日本酒へと生まれ変わります。 米の準備 米を蒸す 麹(こうじ)を造る 酒母(しゅぼ)を造る 醪(もろみ)を造る 醪を搾って瓶に詰める 「麹?酒母?なんのこと?」という日本酒ビギナーでも大丈夫!ここからは、一つひとつの工程をわかりやすく紹介していきます。 1-1.米の準備 日本酒になる前の米は、皮をかぶった玄米の状態。準備段階では米の外側を削り、水分を吸収させていきます。 精米(せいまい) 玄米を削り、白米の状態にすることを「精米」といいます。精米の大きな目的は、米の表面にある雑味のもとを取り除くことです。 米の表面には、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルといった栄養素が含まれています。 食用米はそれらが旨味のもとになるのですが、日本酒の場合はかえって味に雑味を生んでしまうことも。そのため、食用米よりも多く外側を削る必要があります。 食用米の場合、外側を削る度合いは全体の8%程度。一方、日本酒造りでは30%以上削るのが一般的です。 精米には竪型(たてがた)精米機と呼ばれる見上げるほど大きな精米機が使用されます。 30%以上精米するのにかかる時間は約8時間。60%以上精米する場合は、約48時間もの時間を要するというからすごいですよね。 枯らし 精米したての米は、摩擦でホカホカと温かい状態です。水を吸わせるためには、一度温度を下げなくてはいけません。そのまま水につけると、米が割れたり、水分を吸収しすぎたりする恐れがあるからです。 「枯らし」と呼ばれる熱さましの期間は、2~3週間。精米した米は専用の袋に詰められ、冷暗所で静かに水との出会いを待ちます。 洗米(せんまい)/浸積(しんせき)/水切り 「洗米」の目的は、米の表面についた糠(ぬか)や米くずを洗い流すことです。洗い流す間も水分は吸収されていくため、作業時は細心の注意を払わなくてはいけません。 「浸漬」は、洗った米に水分を吸わせる作業です。その後の麹のできを決める重要な作業だといわれています。 米が水分を吸っていく速度は、その日の気温や湿度、水温などによってさまざま。最適な時間を見極めるため、蔵人はストップウォッチで浸漬時間を計測することもあります。 その後、米やお酒の種類に合わせた状態まで水を切ったら準備は完了!いよいよ蒸す工程へと移ります。 1-2.米を蒸す 米を蒸す最大の目的は、麹菌の作用を受けやすい状態に米を変化させることです。生米よりも、加熱した米のほうがその後の工程で溶けやすくなります。 理想の蒸し加減は「外硬内軟(がいこうないなん)」と呼ばれる、外は硬く内側がやわらかい状態。蒸米(むしまい)を手のひらサイズに丸めた「ひねり餅」を作り、手の感触で蒸し加減を確認することもあります。 蒸しあがった米は、一定の温度まで冷ましていきます。放冷(ほうれい)と呼ばれ、自然冷却のほかファンで冷やすなど、手法は蔵によってさまざまです。 できあがった蒸米は、この後の麹、酒母、醪づくりすべてに使用します。 1-3.米麹を造る(製麹) 3ステップ目は、蒸米を使って米麹を造る工程です。米麹とは、蒸米に麹菌を繁殖させたもの。この工程は「製麹(せいぎく)」とも呼ばれます。 米からアルコールを生み出すためには、米のデンプンをブドウ糖へと変化させなくてはいけません。製麹は、そのために欠かせない作業です。 製麹にかかる期間は、約2日間。麹菌を繁殖させるため、麹室(こうじむろ)と呼ばれる高温多湿の環境で以下の作業をおこないます。 引き込み 34~36℃になった蒸米を麹室に運び、温度を均一にさせるために布をかけて休ませます。布団をかぶった蒸米が眠っているような状態です。 種付け/床もみ(とこもみ) 眠っていた蒸米を崩し、床(とこ)と呼ばれる台一面に広げます。その上に、麹菌の胞子を振りかける作業が「種付け」です。その後、胞子がまんべんなく行き渡るように混ぜ込む「床もみ」と呼ばれる作業に移ります。 切り返し 数時間から半日後、硬くなった米をほぐす「切り返し」をおこないます。切り返した米はひとつにまとめ、再度布で包んで休ませます。 盛り 切り返し後、数時間から半日すると、米にぽつぽつと白い斑点が浮かび上がります。そのままにすると温度が上がりすぎてしまうため、木箱に蒸米を小分けする「盛り」をおこないます。 仲仕事 数時間後、木箱の蒸米が熱くなりすぎないよう、まんべんなく混ぜてから均一の厚さに広げます。 仕舞(しまい)仕事 仲仕事から数時間たつと、38~39℃まで蒸米の温度が上昇します。仕舞仕事は、蒸米の温度を均一にし、余分な水分を蒸発させるための作業です。広げた蒸米にうずのような溝を作り、表面積を大きくします。 出麹(でこうじ) 麹の温度を下げるため、麹室から木箱を運び出す作業です。できあがった米麹は「酒母づくり」と「醪づくり」に使うものに分けられます。 仕舞仕事から出麹までの時間は、酒母に使う麹で約12時間、醪に使う麹は約8時間。日本酒の原料となる米麹のできあがりです! 1-4.酒母(しゅぼ)を造る ここまでの工程で、日本酒の原料である米と米麹が揃ったことになります。 ただ、これだけでは日本酒にはなりません。この2つをアルコール発酵させるために欠かせないのが「酒母」です。酒母は、蒸米と米麹、水を入れたタンクに「酵母」と「乳酸」を加えて造ります。 酵母は、アルコール発酵を促す成分です。酵母はほかの微生物より弱いものの、酸性に強いという特性があります。 乳酸は、タンク内を酸性に保つために投入するアイテム。ほかの微生物は酸性に弱いため、タンク内は酵母が活動しやすい環境になるということですね。 高温多湿の麹室と異なり、不用な微生物が入り込まないよう、酒母づくりはひんやりとした酒母室でおこなわれます。 1-5.醪(もろみ)を造る いよいよ日本酒造りも最終段階。蒸米と米麹、酒母と日本酒造りに必要な材料が揃いました。 醪(もろみ)とは、これらすべてを混ぜた液体のこと。醪づくりは、アルコール発酵を進めていく作業です。 とはいえ、これらの材料は一度に全部混ぜるわけではありません。材料の投入は、4日間で3回に分けておこなわれます。江戸時代から続く「三段仕込み」と呼ばれる製法です。 すべての材料を合わせたあとは、3週間から5週間かけてアルコール発酵させていきます。このときのポイントとなるのが温度管理。お酒の種類に合わせ、醪はおよそ15℃前後、または10℃以下に保たれます。 発酵が進んだ醪の表面は、ふわふわと真っ白な泡に包まれた状態。泡が消え、液体化してきたらできあがりの合図です。数日から1週間後に搾りの段階へと移ります。 1-6.醪を搾って瓶に詰める アルコール発酵が完了した醪は、搾ったあとに以下の段階を経て瓶詰めし、蔵から出荷されます。 上槽(じょうそう) 醪が入った袋を絞り、酒粕と液体とに分離させる作業です。槽(ふね)と呼ばれる大きな長方形の器具を使用するものや、袋を吊り下げるもの、自動圧搾機を使うものなど、さまざまな手法があります。 滓引き(おりびき) 搾ったお酒は、滓(おり)と呼ばれる米粒や麹などの固形物が残った状態です。貯蔵タンクにお酒を入れて滓を沈殿させ、澄んだ部分だけを抽出する作業を「滓引き」といいます。 濾過(ろか)(1回目) 滓引きしたお酒の固形物をさらに除去し、色や香りの調整をおこなう作業です。通常の日本酒造りでは、濾過は2回おこないます。 1回目の濾過の目的は、残った固形物や酵母の除去。フィルターのついた機械を使うほか、粉末状の活性炭を投入する場合もあります。 火入れ(1回目)/貯蔵 「火入れ」とは、お酒を60~65℃の温度で加熱殺菌することです。濾過と同様に、火入れも2回おこないます。味や色、香りの変化を防ぐことが火入れの目的です。 火入れ後のお酒は、タンクで貯蔵します。貯蔵温度はお酒の種類によって異なり、15℃前後、または5℃から10℃が主流です。 調合/加水 貯蔵後のお酒は、タンクごとの酒質を一定にするため調合(ブレンド)されます。その後、アルコール度数と香りのバランスを調整するため、仕込み水と呼ばれる水を加えます。 濾過(2回目)/瓶詰め/火入れ(2回目) 加水によってアルコール度数15~16%に調整したお酒は、2回目の濾過と火入れをおこない瓶詰めします。近年は、瓶に詰めてから火入れをおこなう「瓶火入れ」という手法もあります。 これらの工程を終えれば、いよいよ出荷!各酒販店への流通経路を経て、わたしたちのもとに美味しい日本酒が届けられます。 2.製造過程で変わる日本酒の種類 日本酒は、製造過程の違いでさまざまな味わいに変化します。「生酛?生酒?なんのこと?」という日本酒にありがちな疑問も、違いがわかればスッキリ解決しますよ。 2-1.酒母づくりで変わる「生酛(きもと)」「山廃酛(やまはいもと)」 酒母づくりでは、タンクを酸性にするために乳酸を添加するとお話しました。 この乳酸を、自然の力に任せて育てたお酒が「生酛」「山廃酛」と呼ばれる日本酒です。乳酸菌を添加する方法に比べ、製造には時間やコスト、手間ひまがかかります。 生酛や山廃酛は、乳酸菌由来のクリーミーな風味が特徴。濃醇でありながら、どこか繊細で奥深い味わいを楽しめます。 2-2.火入れ回数で変わる「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」 日本酒は、火入れの回数によって次のように呼び名が変わります。 1回目の火入れ 2回目の火入れ 生酒 なし なし 生貯蔵酒 なし あり 生詰め酒 あり なし 火入れを1度もしない生酒は、フレッシュでジュシーな味わい。シュワシュワとした微発砲感を感じるものもあります。 2-3.蔵で貯蔵をせずに出荷する「新酒」 「新酒」は、貯蔵をせずにすぐに出荷される日本酒です。明確な定義はないものの、冬から春にかけて登場するその年のお酒が新酒と呼ばれています。 同じ蔵、同じ銘柄のお酒であっても、その年によって少しずつ味わいは違うもの。新酒が登場する12月から3月は、日本酒ファンにとって待ち遠しいシーズンといえるかもしれませんね。 まとめ 日本酒の製造工程、いかがでしたか?米というシンプルな原料がお酒になるには、微生物の働きが大きく関係しています。 温度を上げたり、下げたりしながら進める日本酒造りは、まるで生き物を育てているかのよう。そう考えると、日本酒を飲むのがまた楽しくなりそうですね。

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