日本酒ウォッチ
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日本酒の「ひやおろし」とは?おいしい飲み方も解説
「ひやおろし」は、秋口に店頭に並び始める日本酒です。春先に搾り、ひと夏寝かせたひやおろしは、芳醇でまろやかな味わいにあふれています。 今回は、ひやおろしの語源や特徴、おすすめの飲み方についてくわしく解説!秋限定の味わい、ひやおろしの魅力をたっぷりとお伝えします。 1.ひやおろしとは? 「ひやおろし」は、涼しくなってきた秋口に各蔵から出荷される日本酒です。日本酒ファンにとっては、秋の風物詩といえるお酒かもしれません。 ひやおろしの大きな特徴は、1度だけ加熱処理をし、ひと夏寝かせたお酒であること。 日本酒は、秋から翌年春先の寒いシーズンに造られるのが一般的です。シーズン中に搾られたお酒は、貯蔵前と瓶に詰める前、2回にわけて「火入れ」と呼ばれる加熱処理がほどこされます。 一方、ひやおろしの火入れは、貯蔵前の1度だけ。その後はタンクのなかでひと夏を過ごし出荷の時を待ちます。ひやろおしが出荷されるのは、タンク内のお酒と外気温が同じになったタイミングです。 1度だけしか火入れをしないひやおろしの製法は「生詰め(なまづめ)」と呼ばれています。 2.ひやおろしの語源 ひやおろしの「ひや」は、冷たいお酒ではなく、常温の「ひや」を意味しています。 前述したように、ひやおろしを出荷するのはタンク内と外気温が同じくらいになった頃。「常温で卸す」ことから「ひやおろし」というわけです。 ひやおろしは江戸時代には誕生していましたが、当時は保存が効かないことから広くは流通せず、蔵に近い人しか飲めない貴重品だったそう。 現在のように「秋の日本酒=ひやおろし」のイメージができあがったのは、今から約30年前のこと。 卸売業を営む株式会社岡永(日本名門酒会)が、秋の限定品として商品展開したことがきっかけだといわれています。 また、およそ半年の熟成を経て酒質が向上したお酒は「秋あがり」。反対に、熟成がうまくいかなかったお酒は「秋落ち」と呼ばれることもあります。 3.ひやおろしの味わいの特徴 ひやおろしは、1度だけ火入れをする「生詰め」のお酒だとお話しました。一般的に、2度火入れをした日本酒は、口当たりなめらかなお酒になるといわれています。 1度だけ火入れをしているひやおろしは、フレッシュな味わいが特徴。と同時に、一定期間熟成させることで、生酒の荒々しさがまろやかな風味へと変化しています。 みずみずしく奥行きのある味わいは、ひやおろしの大きな魅力といえるでしょう。 4.ひやおろしのおすすめの飲み方 秋しか飲めないお酒、ひやおろし。季節が進むほど味が深まるひやおろしは、販売時期によってさまざまな飲み方を楽しめます。 つめたく冷やして、または燗でと、ぜひ季節ならではの味わいを堪能してみてください。 4-1.よく冷やして、生詰めの爽やかな味わいを楽しむ 9月頃に出回るひやおろしは、キリッと冷やして味わうのがおすすめです。スッキリとしたキレが際立ち、生詰めならではの爽やかな味わいを楽しめます。暑さが残る季節は氷を入れ、オンザロックにしても美味しいですよ。 4-2.燗でひやおろしのコクを楽しむ 秋が深まる10月頃のひやおろしは、ぬる燗で楽しむのがおすすめです。この時期のひやおろしは味と香りのバランスに優れ、適度に温めるとより一層まろやかな味わいを堪能できます。脂の乗り始めたサンマとの相性もばつぐんです。 また、晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ)とも呼ばれる11月のひやおろしは、旨味がさらに増した芳醇タイプ。熱燗にしても味のバランスが崩れず、料理とともに美味しく味わえます。 ぜひ、きのこ類や焼き銀杏(ぎんなん)、ジビエ料理など、秋の味覚とのペアリングを楽しんでみてください。 まとめ ひやおろしは、日本の四季が造り上げるお酒です。日本酒好きにとっては、年に1度だけの秋の贅沢といえるかもしれません。 秋のお酒、ひやおろしは秋の味覚との相性もばつぐん。飲食店や酒販店で「ひやおろし」の文字を見つけたら、ぜひ秋の訪れを感じながらその味わいを堪能してみてください。
日本酒の甘口・辛口とは?どうやって決まっているの?
日本酒でよく耳にする「甘口」「辛口」という味わいの表現。「具体的に何が違うの?」「甘口・辛口の基準とは?」とふしぎに思う方も多いのではないでしょうか。 甘口・辛口は、日本酒の味わいを示す指標のひとつ。と同時に、人が感じる「甘い」「辛い」という印象には、日本酒のさまざまな要素が関係しています。 そこで今回は、日本酒の「甘口」「辛口」の味わいをくわしく解説!甘辛の指標である「日本酒度」や、甘口・辛口に影響する要素などについて紹介します。 1.日本酒の「甘口」「辛口」とは? 日本酒の味わいを表す「甘口」「辛口」という言葉。 「お酒が辛いってどいうこと?」「甘口のお酒といわれたけど、甘いと思わなかったなぁ」など、疑問に感じたことはないでしょうか。 「日本酒って難しい」といわれる理由のひとつでもある、甘口辛口問題。まずは「甘口」「辛口」の意味合いについてざっくりと理解していきましょう。 1-1.甘口は糖分量の多いお酒 日本酒は、甘味要素のひとつである「糖」を含むお酒です。これは、日本酒が米のデンプンを糖化させて造るお酒であることに由来します。 日本酒は、「糖」をエサに「酵母」がアルコール発酵することでできあがります。この原理は、日本酒に限らずワインやビールといったお酒も同様です。 一般的に日本酒は、この糖分が多いほど「甘口」のお酒に位置付けられます。反対に、糖分が少ないものは「辛口」と呼ばれるお酒です。 1-2.辛口とは「辛さ(Spicy)」ではなく「キレ(Dry)」のこと 「辛口」というと、唐辛子のピリリとした辛さや、塩辛さを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。 ところが、日本酒造りには香辛料も塩分も使用されていません。辛味や塩辛さを感じる要素がないのです。 「辛くないのに辛口ってどういうこと?」と疑問に感じるのも当然。 日本酒で使う「辛口」は、ピリリとした辛さ(Spicy)を意味するのではなく、キレのあるドライテイストを表す言葉だからです。 実際には、人が感じる「甘さ」や「キレ味」には、糖分量だけでなくさまざまな要素が関係します。後の章でくわしく解説していきますね。 2.甘口・辛口の指標に使われる「日本酒度」 日本酒の「甘口」「辛口」は、お酒に含まれる糖分量に由来すると前述しました。 この、糖分量を示す数値が「日本酒度」です。日本酒度は「+(プラス)」と「-(マイナス)」で表記され、プラスであるほど辛口、マイナスであるほど甘口のお酒に位置付けられます。 「糖分が多いのに、どうしてマイナス表記なの?」とふしぎに感じることもあるかもしれません。 これは、日本酒度が水との比重をもとに定められていることに関係します。 糖分を含む日本酒は水よりも重たくなるため、水の方が軽いことを示す「-」。反対に、糖分が少ない日本酒は軽く、水の方が重たくなるため「+」表記になるのです。 ただし、ここで注意したいのが、日本酒度はあくまでも甘辛の度合いを示すひとつの目安でしかないということ。 日本酒の甘口・辛口の味わいには、糖分量以外にも、次の章で紹介するさまざまな要素が影響しています。 3.甘口・辛口に影響する5つの要素 日本酒を飲んだ時「甘いな」「辛いな(ドライだな)」と感じる理由には、日本酒度以外にも次の5つの要素が関連しています。 香り 苦味 発泡感 酸度 アミノ酸度 特に、香りや苦み、発泡感は自分の好みを見極めやすい要素のひとつです。「甘口」「辛口」表記のほか、日本酒を選ぶ際の参考にしてみてください。 3-1.香り フルーティーな香りの日本酒は、糖分量が少なくても甘く感じられることがあります。 白桃やバナナといった果実のような香りが強いほど「甘い」というイメージを持つことが多いでしょう。反対に、香りが控えめでアルコール感が強い日本酒は「辛口」に感じやすい傾向にあります。 3-2.苦味 日本酒の味わいには、甘味や旨味のほか苦味が含まれています。苦味の強さは刺激となって舌に伝わり、糖分量が多くても「辛口」に感じやすいことが特徴です。 一方、苦味や渋味などがなく、なめらかな口当たりの日本酒は「甘口」に感じることが多くなります。 3-3.発泡感 スパークリング日本酒のように、シュワッと発泡感のあるお酒は、のど越し良くドライテイストに感じやすい傾向にあります。 加熱殺菌処理をしておらず、ガス感のある生酒も同様です。シュワシュワとした微発泡感が刺激となり「辛い」「キレがある」と感じる要素のひとつとなるでしょう。 3-4.酸度 「酸度」は、日本酒に含まれる乳酸やコハク酸、リンゴ酸といった有機酸量を表す数値です。 日本酒度が同じお酒の場合、酸度が高いと甘味が打ち消され辛口に感じられます。反対に、酸度が低いお酒は甘くスッキリとした味わいに感じられるのが特徴です。 3-5.アミノ酸度 「アミノ酸度」は、日本酒に旨味やコクを与えるアミノ酸の量を表す数値です。アミノ酸が多く旨味の強い日本酒は、糖分量が少なくても「甘い」と感じられることがあります。 「アラニン」「アルギニン」「グルタミン酸」「アスパラギン酸」をはじめ、日本酒に含まれるアミノ酸はおよそ20種類。旨味や苦味、酸味や渋味が複雑に絡み合い、日本酒の奥深い味わいを生み出す大きな要素となっています。 4.甘口・辛口の感じ方は人それぞれ 日本酒のラベルにある「甘口」「辛口」は、日本酒に含まれる糖分量を表しています。 一方で、飲み手が感じる「甘い」という印象には、前述したように香りや苦味、旨味といったいくつもの要素が関係しているのです。 例えば、日本酒度プラスの「辛口」でフルーティーな香りお酒の場合。飲む人によって次のような捉え方が生まれます。 とってもフルーティーな香り。甘口のお酒だね。 華やかな香り♪ 後口スッキリ辛口タイプね。 そう、つまり「甘口」「辛口」の感じ方は人それぞれということ。日本酒の楽しみ方を広げるには「甘口」「辛口」という言葉にしばられすぎないことがポイントです。 「後口がスッキリした日本酒が好き」「どっしり飲みごたえのあるお酒が好み」「香りが華やかな銘柄が良いな」など、ぜひ思い思いに日本酒の個性を楽しんでみてください。 まとめ 米と米麹を発酵させて造る日本酒は、さまざまな味わいを持つお酒です。特に、近年は甘酸っぱさが際立つお酒や微発泡感のあるお酒など、さまざまなタイプの日本酒が誕生しています。 日本酒選びに迷ったときには、ラベルの「甘口」「辛口」表記も参考のひとつ。難しい考えにとらわれることなく、自由に美味しい日本酒を楽しんでみてください。
【佐々木酒造】朝の仕込蔵見学体験レポ!五感で感じる日本酒造り【京都】
(画像出典元:佐々木酒造) 日本酒を楽しむようになると「日本酒はどうやってできるの?」「酒蔵ってどんなところ?」と感じることもあるのではないでしょうか。そんなとき、ぜひおすすめしたいのが酒蔵体験です。 今回は、京都市中心部に位置する酒蔵「佐々木酒造」さんの酒蔵見学におじゃましました! 佐々木酒造は、京都市中心部に位置する酒蔵。「KALDI」との人気コラボ商品『酒蔵のネコ』の蔵、でピンと来る方もいらっしゃるかもしれませんね。 温度、迫力、香り、音…そしてお楽しみの試飲と、五感で感じる魅力がたっぷりと詰まった佐々木酒造の酒蔵見学。早速その様子をお伝えします! 1.京都洛中の酒蔵「佐々木酒造」 「佐々木酒造」は、平安時代の京城内を意味する洛中(らくちゅう)に位置する酒蔵です。蔵が建つのは、かつての豊臣秀吉の邸宅「聚楽第(じゅらくだい)」跡地の南端にあたる場所。近くには二条城が建つなど、周辺は実に京都らしい風情にあふれています。 実は洛中は、日本造りに欠かすことのできない良質な「水」に恵まれた地域。地下には豊富な水をたたえる水瓶があり、佐々木酒造もまた、井戸から湧き出る銘水「銀明水(ぎんめいすい)」を仕込み水として使用しています。 佐々木酒造の創業は1893年(明治26年)。代々続く日本酒製造はもちろん、リキュール製造やスイーツ店とのコラボレーションといった多彩な事業展開は、各方面から高い注目を集めています。 「洛中酒蔵ツーリズム」と題したさまざまな地域経済活性事業もそのひとつ。今回参加させていただいた『冬季限定!佐々木酒造酒仕込み早朝見学』も洛中酒蔵ツーリズムの一環です。 見学の感想をはじめにお伝えするならば…「想像以上に大満足!蔵人さんたちがカッコイイ…そして今すぐ、お酒が飲みたい」のひと言。 人気を受け見学日の追加も設けられた早朝の酒蔵見学コース、早速スタートです! (2022年3月1日現在) 2.7時10分、酒蔵見学スタート! 酒蔵の朝は、早い。見学開始時間は7時10分。すでに日本酒の原料となる酒米が蒸されている時間です。曇り空のため画像では分かりにくいものの、屋根からはもうもうと白い湯気が立ち上っていました。 準備していただいた上着とシャワーキャップを着用し、いざ蔵内へ!見上げる湯気に見学への期待も高まります。 蔵内で見学者を迎えてくれたのは、中央にドーンと鎮座する大きな甑(こしき)。先ほど外で見上げていた湯気は、この甑から放たれていたもの。温かさとともに、お米の炊ける甘い香りが鼻腔をくすぐります。 日本酒造りに使う米は、雑味を取り除くために外側を削り、水を吸収させ、蒸してから使用します。 日本酒造りでは、米に水を吸収させる「浸漬(しんせき)」という工程が麹(こうじ)の仕上がりを大きく左右するそう。水の管理のため、蔵人さんはときに5時前から仕事を開始するとか。 酒造りがおこなわれるのは、秋から春先の寒い時期。京都の冬はひどく冷え込むことも珍しくありません。早朝の酒蔵見学で早起きしたつもりになっている場合ではなかった…。蔵人の方々、本当に頭が下がります。 酒米の蒸し具合は、湯気の出方や匂いなどで判断するそうです。甑の回りでほかほかと暖をとっていたのも束の間。蒸し上がりの合図とともに、蔵人さんたちが一斉に甑の周りへ駆け寄ります。 ゴゴゴゴという機械音とともに、甑の後ろで出番を待ち構えていた放冷機も稼働。いっきに緊張が高まる瞬間です。クレーンで吊り上げられた大量の蒸米は、そのまま放冷機へと運ばれていきます。 放冷機は、アツアツの蒸米を冷ましていく機械。と同時に、蒸米にはこの段階で「モヤシ」と呼ばれる種麹(たねこうじ)が振りかけられます。 重たい米を持ち上げて放冷機に移し、冷ましていくこの工程は、見た目以上に危険を伴う作業だそう。またもや蔵人のすごさを目の当たりにした瞬間でした。 3.暑くて寒い?米麹と酒母が眠る2階へ 放冷機で冷まされた蒸米は、ホースのなかを通り、2階の麹室(こうじむろ)へと運ばれていきます。見学者も靴にカバーをかぶせ、昔ながらの急階段を上り麹室へ。 外気の冷たさを感じる1階と違い、麹室はむわっと温かさを感じる空間です。麹菌が元気に活動できるよう、室温は30~40度、湿度は60%に保たれています。 蔵人さんが指差しで伝えているのは、運ばれてきた蒸米の温度のあんばい。指を上へ、下へ、ちょうど良いときは頭上で大きく丸。その様子がカメラのモニター越しに1階へと伝えられます。 大吟醸酒の仕込みの際は、蒸米を床(とこ)と呼ばれる台に広げて種麹を振りかけるそう。それから蒸米をまんべんなく混ぜる作業は、暑さの中の重労働だとか。麹をふりかけた蒸米は棚に広げられ、適度に乾くと米麹の完成です。 「それでは次は酛部屋(もとべや)に行きましょう。途中、足元が危ないので気を付けてくださいね」 この日、案内を担当されていたのは蔵人の疋田(ひきた)さん。ていねいに案内していただいた先にあったのは、1階を下に見渡す狭い階段! 今はホース内を通って運ばれる米麹も、以前はこの上を蔵人が抱えて運んでいたとか…いやいや、絶対無理(笑)すごい。すごすぎる。 酛部屋(もとべや)と呼ばれる「酒母(しゅぼ)」を育てる部屋は、麹室とは打って変わってひんやりとした空間。 酵母が活発に活動し、温度が高いまんなかのタンクではぷくぷくと小さな泡がたっていました。より日にちが経過したいちばん右側のタンクには、酵母の働きを抑えるため、氷の入った銀色の樽が吊るされています。 佐々木酒造が主力としているのは、「京の琴」という名の香り高いお酒が生まれる酵母。こうして温度管理をしながら、13日ほどかけて酒母を育てていくそうです。ふわふわと泡立つ酒母からは、ほんのりと甘くやさしい香りがしていました。 4.いよいよ搾りたてのお酒と対面 階段を下り1階へ戻ると、見学もいよいよクライマックス!ふわっと甘い香りを感じたかと思うと、そこには見上げるほど大きなタンクがズラリ並んでいました。 タンクのなかには、先ほどの酛部屋で見た酒母、温かい麹室で造られていた米麹、そして蒸米が入っています。 これらを3回にわけて加えていくのが「三段仕込み」と呼ばれる日本酒の一般的な造り方。「並行複発酵」ともいわれる、世界でも珍しいお酒の醸造法です。 ハシゴに登り、タンク内を長時間かき混ぜる作業はかなりの重労働だそう。こんなにも間近で見せていただけるなんて…。佐々木酒造さんの見学体験、本当にぜいたく&素晴らしすぎる…。 それぞれのタンクを覗かせていただきましたが、6日目の醪(もろみ:タンク内の液体)は、ヨーグルトやミルクを思わせる甘くやわらかい香り。明後日に搾られるという醪はさらに進化を遂げ、お酒の甘さ、芳醇さを感じさせる香りへと変化していました。 これが今生きているお酒の香り…と感激していると、ガタタンガタタンと隣の部屋から物音が。 「あ、ちょうど搾っている音ですね。行ってみましょう」と案内された部屋では「ヤブタ式」と呼ばれる機械がお酒を搾っているところでした。 この機械で醪をぎゅぅっと搾ったあと、アコーディオンのような部分に残る固形物が、スーパーなどで目にする「酒粕」です。 タンクのなかには、まさに搾りたての日本酒が!美しい!そして飲みたい!(笑) 朝早く、この搾りたてのお酒をいただけるのは蔵人だけ。それはもう、ここまでの数々の工程を見たらそれだけの特権も当然です。 ちなみに、佐々木酒造ではヤブタ式圧搾機のほか、遠心分離機も使用されています。圧力をかけない遠心分離機を使ったお酒は、雑味のない、実にきれいな味わいに仕上がるそう。 また、醪を入れた袋を吊るし、こぼれる雫を斗瓶(とびん)というガラス瓶に集める「斗瓶囲い」は蔵人総出の大仕事だとか。とれる量が少ないぶん、袋吊りのお酒は高価なもの。理屈でわかっていることも、これだけの設備を目の当たりにすると納得ですね。 5.佐々木酒造のお酒を味わう!お楽しみ試飲タイム お酒が貯蔵されている倉庫や瓶詰め・包装エリアを抜け、大満足の蔵内見学は終了!ですが…まだまだツアーは終わりではありません。 集合場所の部屋に戻ると、いよいよお楽しみの試飲タイムのスタート! 事前案内には「試飲(軽く)」と記載されていましたが、なんと佐々木酒造とっておきのお酒が3種類も用意されていました。 お酒の説明をしてくださったり、見学者からの質問に答えたりしてくださるのは佐々木晃社長。この後、じんわり温かな甘酒まで自ら振る舞ってくださいました。 「古都 しぼりたて」は、ロックやソーダ割にしても楽しめるお酒だそう。蔵人・疋田さんいわく、ライムやレモンをキリッと搾っても美味しいのだとか。「日本酒=むずかしい」というイメージから開放され、楽しみの幅がより広がりそうなお酒ですよね。 当初は3月上旬まで開催予定だったこちらのツアー。平日のみにも関わらず、人気を受け2022年3月17日(木)まで設定日が追加されています。 また、今回の見学以外にも、佐々木酒造ではさまざまなツアーが企画されているそう。詳細は佐々木酒造公式HPのほか、京都観光オフィシャルサイト京都観光Naviで確認できます。 佐々木酒造「京都洛中酒蔵ツーリズム」https://www.jurakudai.com/#tourism 京都観光オフィシャルサイト京都観光 Navi https://ja.kyoto.travel/ 京都という歴史ある土地で、日本文化のひとつである酒造りを守り、そして次世代へとつないでいく蔵「佐々木酒造」。酒蔵見学は、まさに日本酒造りの「歴史」と「熱」を間近で感じる体験でした。 酒蔵に興味のある方、日本酒好きな方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。 佐々木社長、そして蔵の皆様方、今回は本当にありがとうございました! 佐々木酒造株式会社 [所在地]京都府京都市上京区北伊勢屋町727 [電話番号]【TEL】075-841-8106 【FAX】075-801-2582 [従業員数]25名(ネコ含む)※ネコはリモートワーク中 [公式URL]https://www.jurakudai.com/
古くて新しい日本酒。仙禽の種類やラインナップを紹介
「仙禽(せんきん)」は、栃木県さくら市で生まれる日本酒です。甘酸っぱくキレがあり、和食はもちろん、イタリアンやフレンチとも相性が良いお酒として幅広い層に親しまれています。 また、土地の個性を重視し、オーガニック製法を取り入れていることも大きな特徴。今回は、仙禽のラインナップの数々を紹介します!古くて新しい、常に進化し続ける仙禽の魅力をぜひチェックしてみてくださいね。 1.仙禽の銘柄の種類は大きく分けて4つ 栃木県の「株式会社せんきん」が造る「仙禽」の種類は、大きく以下の4つに分類されます。 クラシック仙禽 モダン仙禽 仙禽 オーガニック ナチュール プレミアムシリーズ 仙禽が酒造りで重視するのは、土地の個性を意味する「テロワール」。原料となる酒米は、酒造りに使う仕込み水と同じ水脈上で育てられています。 いずれも仙禽は、強い酸味が持ち味。元ソムリエの蔵元・薄井一樹氏、その弟である杜氏・薄井真人氏が二人三脚で生み出す仙禽は、和食はもちろん洋食にも合う日本酒として世界から注目を集めています。 1-1.古くて新しい「クラシック仙禽」 「クラシック仙禽」は「生酛仕込み(きもとじこみ)」と呼ばれる伝統製法で生まれるシリーズです。特徴は、しっかりとした旨味主体の味わい。上品でおだやかな酸味とのバランスが際立ちます。 1-2.酸味と甘味の「モダン仙禽」 「モダン仙禽」は甘酸っぱくジューシーな味わいが大きな魅力。古典的を意味する「クラシック仙禽」と対になるシリーズです。「クラシック仙禽」に比べ香りも華やか。ワイングラスに注ぐと、その魅力がより一層花開きます。 1-3.超自然派の「仙禽 オーガニック ナチュール」 「仙禽 オーガニック ナチュール」は超自然派製法で造られるお酒です。仕込みに使用するのは、蔵に存在する無添加の酵母。米の精米は最小限に抑え、木製の木桶(きおけ)を使用するなど、古代の酒造りを再現したともいえるシリーズです。 1-4.上質を味わう「プレミアムシリーズ」 「プレミアムシリーズ」は、原料、製法ともにぜいたくに造られています。蔵の最高峰ともいえるラインナップは、ボトル、化粧箱とも高級感あふれる仕上がり。贈答用にもふさわしいエレガントな味わいの日本酒です。 2.クラシック仙禽のラインナップ クラシックシリーズは、仙禽ならではの酸味と旨味のバランスが大きな魅力。古代米「亀ノ尾」、高級酒米「山田錦」、幻とも呼ばれる「雄町」それぞれの個性を存分に味わるラインナップです。 2-1.クラシック仙禽 亀ノ尾 古代米「亀ノ尾」で生まれるクラシックシリーズは、香り穏やかでコクのある味わい。亀ノ尾が持つ深い旨味とともに、仙禽ならではの甘酸っぱさが広がります。適度に冷やしてワイングラスに注ぐほか、燗酒にして楽しむのもおすすめです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-2.クラシック仙禽 無垢 クラシックシリーズの定番酒「無垢」は、地元さくら市で育った山田錦を100%使用し、みずみずしく豊かな味わいを生み出しています。 仙禽にとって、金や銀は「亀ノ尾」や「雄町」を意味し、素朴で純真なスタンダードは「無垢」にあたるそう。何気ない日常にそっと寄り添う、上品でさわやかな旨味を持つお酒です。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 2-3.クラシック仙禽 雄町 「雄町」は岡山県南部を中心に栽培されている酒米です。「クラシック仙禽 雄町」には、地元さくら市で育った雄町を使用。雄町ならではのボリューム感ある味わいに仕上がっています。酒米が育つ大地の力、雄町が持つエネルギーがギュッと詰められたボトルです。 (出典元:IMADEYA ONLINE STORE) 3.モダン仙禽のラインナップ これぞ仙禽という、甘酸っぱくジューシーな味わいが際立つモダン仙禽。仙禽は初めてという方にもぜひおすすめしたいシリーズです。適度に冷やしてワイングラスに注ぎ、唯一無二の酸味をお楽しみください。 3-1.モダン仙禽 亀ノ尾 「モダン仙禽 亀ノ尾」は、仙禽の代表作ともいえる銘柄です。グラスから広がる香りは、フレッシュなもぎたての果実のよう。口に含めむと甘酸っぱさがジュワッと広がります。日本酒を飲みなれない方にもぜひおすすめしたい1本です。 (出典元:IMADEYA ONLINE...
秋田の銘酒。新政の種類・ラインナップを紹介
酒どころ秋田の銘酒のひとつ「新政(あらまさ)」。「なんだかいろいろな種類があるみたい」「それぞれどう違うの?」と興味を惹かれる日本酒ファンも多いのではないでしょうか。 そこで今回は、新政の種類について徹底解説!「No.6」「Colors」「PRIVATE LAB」など、新政のこだわりがギュッと詰まったラインナップの数々をご紹介します。 1.新政の銘柄の種類は大きく分けて3つ 秋田県の新政酒造が手がける「新政」は、大きく以下の3種に分類されます。 No.6(ナンバーシックス) Colors(カラーズ) PRIVATE LAB(プライベートラボ) 新政は、秋田県産の米のみを使用し、伝統製法である「生酛造り(きもとづくり)」によって生まれる日本酒です。酒造りに欠かせない酵母(こうぼ)には、昭和5年に蔵で発見された「きょうかい6号」(六号酵母)のみを使用しています。 日本酒造りの伝統を重んじつつ、未来の扉を開く革新的な取り組みこそが新政の魅力。代表的な3つのシリーズにも、蔵元・佐藤祐輔氏の醸造へかける熱い想いが込められています。 1-1.6号酵母の魅力を表現した「No.6(ナンバーシックス)」 「No.6」最大の目的は、6号酵母の魅力をダイレクトに表現すること。新政の定番酒であり、唯一となる生酒です。 加熱殺菌処理をしていない生酒は、温度によって味が変化しやすいお酒。そのため、通常であれば冬から春の気温が低い時期に販売されます。 新政では、マイナス5℃以下の貯蔵管理体制を整え、年間を通した生酒の販売を実現。No.6の取扱店も、温度管理が徹底された店のみに限られています。 1-2.秋田の酒米の個性を味わえる「Colors(カラーズ)」 「Colors」は秋田の酒米の個性を堪能できるシリーズ。火入れと呼ばれる加熱殺菌処理をほどこしたお酒です。 日本酒を仕込む際に、木製の木桶(きおけ)を使っていることも大きな特徴。また、日本酒は製造工程の仕上げに水を加えアルコール度数を15~16度に調整しますが、新政では加水調整をおこなっていません。 原酒と呼ばれる状態で、アルコール度数は15度以下。Colorsはそのなかでも、米の旨味、甘みが調和した透明感のある味わいが魅力です。 1-3.革新的で大胆な手法を用いて醸される「PRIVATE LAB(プライベートラボ)」 「PRIVATE LAB」は、革新的かつ大胆な手法で生まれるシリーズ。こだわりの手法もさることながら、ネーミングやラベルデザインに蔵元のセンスが光ります。 「陽乃鳥(ひのとり)」「亜麻猫(あまねこ)」「天蛙(あまがえる)」と、それぞれのデザインは風水の象徴、四神をモチーフにしているとか。日本酒界の未来を感じずにはいられない、新政のポリシーが体現されたラインです。 2.No.6のラインナップ 火入れをしていない生酒「No.6」は、フレッシュさが持ち味のまさに「生きているお酒」。購入後は低温管理を基本に、早めに飲みきるのがおすすめです。 2-1.新政 No.6 R-type(アールタイプ) R-typeは、蔵を代表する「Regular(レギュラー)」クラスのお酒。天然の乳酸菌を活用した生酛造りの良さを存分に味わえるボトルです。ピチピチとしたほのかなガス感も心地よく、フレッシュな旨味と甘み、ほどよい酸味のバランスを楽しめます。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 2-2.新政 No.6 S-type(エスタイプ) 「Superior(スーペリア)」(上級版)を意味するS-Typeは、「No.6」の代表作。生酛ならではのコクと複雑味がありつつ、後味はスッキリ。新政の真骨頂ともいえるクリアな味わいが魅力的です。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 2-3.新政 No.6 X-type(エックスタイプ) X-Typeは「eXcellent(エクセレント)」(豪華版)を意味するボトル。一粒の米をより小さく磨き、洗練された味わいを生み出しています。6号酵母と秋田産酒米が織りなす香りは実にエレガント。「No.6」の繊細な旨味が際立つ1本です。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 3.Colorsのラインナップ 色とりどりのボトルに心躍る「Colors」。蔵がこだわる秋田県産酒米の個性、6号酵母のポテンシャルを存分に味わうことができるシリーズです。 お酒が詰められているのは「暁鐘(Morning Bell)」と名付けられた自社ボトル。細部までこだわりぬいたシリーズの中から、ぜひお気に入りのカラーを見つけてみてください。 3-1.新政 エクリュ 生成 秋田生まれの酒米「酒こまち」を使用。雪解け水のような清らかな味わいが魅力的な1本です。「エクリュ・生成(きなり)」とは、無漂白・無着色の布地のこと。まさに飾り気のない、秋田の大地そのものの魅力が詰まったボトルラインです。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 3-2.新政 ラピス 瑠璃 使用しているのは長野県や東北を中心に栽培される酒米「美山錦(みやまにしき)」。瑠璃色のラピスは、美山錦ならではの柔らかさとやさしさを感じさせるお酒です。味に奥深さがありつつ、ライトな仕上がりは新政ならでは。新政を初めて飲むという方にもおすすめです。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 3-3.新政 ヴィリジアン 天鷲絨 Colorsのなかでも、もっとも飲みごたえのある1本がこちら「ヴィリジアン」。秋田の高級酒米「美郷錦(みさとにしき)」を使い、ふくよかな旨味を実現しています。「天鷲絨(てんがじゅう)=ビロード生地」を思わせる、しっとりとなめらかな口当たりの日本酒です。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 3-4.新政 コスモス 秋櫻 「コスモス」は、美山錦の兄弟にあたる酒米「改良信交(かいりょうしんこう)」を使ったお酒です。やわらかな旨味、甘みのあとにほのかな酸味が広がります。美山錦を使ったラピスとの飲み比べも楽しい1本です。 (出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト) 3-5.新政 アッシュ...
日本酒を枡で楽しむ「枡酒」とは?枡酒の魅力や飲み方を紹介
四角い枡(ます)に日本酒を入れて味わう「枡酒(ますざけ)」。お猪口やグラスではなく、枡でお酒を飲むのはなぜ?と疑問に感じたことはないでしょうか。 そこで今回は、枡酒に使う枡の種類や「もっきり」などについてくわしく解説!祝いの席で枡酒が出たときにも安心の、飲み方や楽しみ方もご紹介します。枡酒はまだ未体験という方も、ぜひ参考にしてくださいね。 1.枡でお酒を飲む「枡酒」とは? 「枡酒(ますざけ)」とは、枡にお酒を入れて飲むことです。枡酒に使う枡は木製のものが多く、本来はお米やしょうゆ、お酒などを計る容器として親しまれてきました。 枡酒は、結婚式や開業イベントといったおめでたい席で振る舞われることの多いお酒。神社の建造に使用するヒノキやモミで造られていたり、言葉の響きが「増す」「益す」に通じることから、縁起物として好まれています。 近年は文字やイラストを入れたオリジナル枡を造るサービスも多く、記念品や日本酒好きな方へのプレゼントとして人気です。 https://sake-5.jp/masu-as-a-gift-for-sake-lovers/ 2.枡の種類 枡の種類は、素材によって「木枡」と「塗枡」にわかれます。木枡は、主にヒノキやスギ、モミといった素材を使用し、木板を組み合わせて造ったもの。一方、塗枡はプラスチック製のものが多く、表面に黒や朱色の漆塗りを施しているのが特徴です。 2-1.木枡 木枡は祝い事や式典など、おめでたい席で目にすることが多い酒器です。 木枡に使用するヒノキやモミといった木材は、神社の建造にも使用されるとても縁起の良い木。そのため、木枡もまた縁起物の酒器として好まれてきました。 また、木枡が縁起物とされるもうひとつの理由がその形状。木枡の角を見てみると、凸凹にカットされた木板が釘を使用することなく上手に組み合わされているのが分かりますよね。 「入りの字」と呼ばれるこの組み方は、商売繁盛を意味する「大入」や福が「入る」という意味合いが込められたもの。人と人が「気(木)」を合わせる様子にも通ずることから、婚礼や創業、工事の始まりのような場面でも木枡は縁起物として使用されています。 枡という響きが「増す」「益す」にも通じることもまた、祝いの席で枡が好まれる理由のひとつ。酒も塩も神様への供え物としての役割を持つことから、日本では古くから「ふるまい酒」として枡の角に塩を盛り、少しずつ舐めながら飲むという文化が根付いています。 2-2.塗枡 塗枡は、黒と朱のコントラストが美しい酒器です。高級感があり、木枡と同様に縁起が良いことから、結婚式やイベントなどのおめでたい席で好まれています。「日本酒に木の香りを移したくない」というときにもおすすめです。 塗枡は木枡に比べ、アルコール分や塩分に強く、耐水性に優れているというメリットがあります。防腐性も高く、繰り返し使用しても長持ちしやすいことが特徴です。飲食店の「もっきり」スタイルも、多くは塗枡で提供されます。 3.枡の中にグラスを置く「もっきり」の飲み方 「もっきり」とは、枡のなかにグラスを入れ、なみなみと日本酒を注ぐスタイルのことです。もっきりの語源は、江戸時代、樽から徳利や枡などに日本酒を注いで量り売りした「盛り切り」に由来するといわれています。 グラスになみなみと注がれたもっきり。初めて飲むときは「どうやって飲むの?」と戸惑うこともあるかもしれません。そんなときは、以下の手順を参考にしてください。 飲みやすくなるよう、グラスの日本酒を少しだけ枡にこぼす。 グラスを手に取り濡れた底を拭き、日本酒を楽しむ。 グラスの中の日本酒を半分ほど飲んだら、枡にこぼれた日本酒をグラスの中に戻す。 グラスに移さず枡のまま飲んでも〇。その場合、枡の角ではなく平らな部分から飲む。 現在は、持ちにくかったり、テーブルが汚れたりといった理由で見かける機会が少なくなったもっきりですが、出会ったときはぜひ独特のスタイルを楽しんでみてくださいね。 4.枡に直接注がれた枡酒の飲み方 前述したように、枡酒は祝いの席で振る舞われることの多いお酒です。居酒屋などではあまり見かけないことから「どこに口を付ければいいの?」「持ち方は?」と疑問に感じることも多いかもしれません。 ここでは、枡酒のマナー的に正しい飲み方のほか、気軽に楽しむおすすめの飲み方をご紹介します。 4-1.枡酒のマナー的に正しい飲み方 四角い枡はついつい角に口を付けたくなりがちですが、マナー的には平らな部分に口を付けるのが正しい飲み方です。日本酒をこぼさないためには、上唇ではなく下唇をあてることもポイント。サイズが大きな枡も、4本の指でしっかり底辺を支えると安定感が増します。 4本指で枡の底を支え、親指を縁(ふち)に乗せて持つ。 下唇を平らな面の縁に付け、音を立てずにすするように飲む。 木枡の場合は、枡から広がる木と日本酒の香りを楽しみましょう。 4-2.枡酒を気軽に楽しむ!おすすめの飲み方 せっかくの美味しい日本酒、できれば肩ひじ張らずに味わいたいですよね。もっと気軽に枡酒を楽しみたい!というときは、枡酒を角から飲んでも大丈夫。マナーを重視しない日常的なシーンでは、ぜひおすすめの飲み方で枡酒ならではの味、香りを楽しんでみてください。 持ちやすい方法で枡を持ち、角に口を付ける。 木枡であれば、枡の香りとともに日本酒の美味しさを存分に味わいましょう。 4-3.塩は枡の角に 枡酒の飲み方のひとつとして、塩をなめながら楽しむスタイルがあります。 人間が感じる味覚は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5種類。米と米麹を原料に造られる日本酒には、塩味以外の4種類が含まれています。つまり、塩をなめながら日本酒を飲めば、5種類すべての味わいを楽しめるというわけです。 枡酒を楽しむときは、枡の角に塩をひとつまみ。粒の大きな粗塩にしたり、風味のあるシーズニングソルトにしたりと、ぜひ好みのスタイルを見つけてみてください。 まとめ 縁起物として親しまれている枡酒は、日本酒ならではの楽しみ方。木の香りを感じる木枡、見た目も美しい塗枡は飲酒シーンをさらに盛り上げてくれます。 スマートな飲み方を知っていれば、ハレの席で枡酒に出会っても安心。肩ひじ張らない飲み会などでは、塩を乗せてツウ好みの味わいを楽しむのもおすすめです。ぜひ難しく考えず、気軽に枡酒にチャレンジしてみてくださいね。
「吟醸」と「大吟醸」の違いとは?唎酒師が飲み比べて違いを解説!
日本酒のラベルに書いてある「吟醸」「大吟醸」という文字。いったいどんな違いがあるの?とふしぎに感じたことはないでしょうか。特に、酒販店でお酒を購入したり、飲食店で銘柄を選ぶときは迷ってしまいますよね。 そこで今回は、吟醸酒と大吟醸酒の違いについて解説します。味わいの違いなども紹介するため、ぜひ日本酒選びの参考にしてくださいね。 1.「吟醸酒」と「大吟醸酒」の違いとは? 吟醸酒(ぎんじょうしゅ)、大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ)は「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」に分類されるお酒のひとつです。 特定名称酒とは、日本酒を原料と製法で分類した基準のこと。「こうじ米の使用割合が15%以上」「3等以上の原料米を使用する」などの基本的な基準をふまえたうえで、以下の8種類に分類されています。 特定名称 使用原料 精米歩合 こうじ米 使用割合 香味などの要件 吟醸酒 米、米こうじ 醸造アルコール 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 大吟醸酒 米、米こうじ 醸造アルコール 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好 純米酒 米、米こうじ ー 15%以上 香味、色沢が良好 純米吟醸酒 米、米こうじ 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 純米大吟醸酒 米、米こうじ 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好 特別純米酒 米、米こうじ 60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) 15%以上 香味、色沢が特に良好 本醸造酒 米、米こうじ 醸造アルコール 70%以下 15%以上 香味、色沢が良好 特別本醸造酒 米、米こうじ 醸造アルコール 60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) 15%以上 香味、色沢が特に良好 参照:国税庁「特定名称酒の表示」 1-1.吟醸酒と大吟醸酒の定義について 前述した表からもわかるように、吟醸酒と大吟醸酒は「米」「米こうじ」「醸造アルコール」という同じ原料で造られています。 米こうじとは、蒸した米に麹菌(こうじきん)を繁殖させたもの。醸造アルコールは、糖蜜やとうもろこしなどを原料にした蒸留酒のことです。 醸造アルコールを添加したお酒は、キレのある端麗辛口の味わいに仕上がりやすい傾向にあります。また、吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)と呼ばれる華やかな香りが生まれやすいことも特徴です。 1-2.違いは精米歩合にある 特定名称酒の基準によると、吟醸酒の精米歩合(せいまいぶあい)は60%以下、大吟醸酒の精米歩合は50%以下に定められています。 精米歩合とは、玄米を削り、残った割合をパーセントで示した数字のこと。日本酒の原料となる米は、玄米を削って白米にする「精米」をする必要があります。 炊いて食べる米の場合は、玄米を削る割合は8%程度です。一方、日本酒の場合は、外側に含まれる栄養素が雑味の原因となるため、外側を30%以上削り取ることが多くなります。 吟醸酒と大吟醸酒の精米歩合を比較すると、大吟醸酒のほうが精米歩合が低いですよね。つまり、大吟醸酒は吟醸酒に比べ、より多く削った米を原料に造られたお酒、ということになります。 一般的に、米をより多く削るほど、日本酒の味わいは軽く、吟醸香を感じやすくなるといわれています。また、精米には技術と時間を要することから、大吟醸酒は吟醸酒よりも価格帯が高いものが多いことも特徴です。 2.吟醸酒・大吟醸酒はどんな味わい? 吟醸酒と大吟醸酒、一体どんな味なんだろう?と気になりますよね。今回は「栄冠菊勇 吟醸 秘伝」と「初孫 秘蔵酒 大吟醸 」を用意しました。どちらも山形県生まれの吟醸酒、大吟醸酒です。 「栄冠菊勇(えいかんきくいさみ)」を造るのは、山形県の菊勇株式会社。「吟醸 秘伝」には、精米歩合55%の山田錦を使用しています。 開栓するとふわりと広がるのは、やさしく甘い米の香り。口当たりはとてもやわらかく、静かに広がる米の甘みがなんとも心地よい余韻を残します。 とがったクセのないクリアな味わいは、日本酒を飲みなれない方にもぴったり。後口のスッとしたキレもよく、飲みやすい吟醸酒です。 「初孫(はつまご)秘蔵酒 大吟醸」は東北銘醸株式会社が手がけた日本酒。地元の老舗フランス料理店のために造られたという特別なお酒です。 香りは上品でおだやか。1度だけ加熱処理をした「生詰」の状態で、3年以上熟成させた深い味わいが広がります。 ほのかな苦みとしっかりとしたコクがありつつ、後味はあくまでもスッキリ。一粒の米を半分まで精米した、大吟醸ならではの仕上がりといえるかもしれません。クリーミーなソース、肉料理、山菜の天ぷらなどとあわせたくなるこだわりの味わいです。 まとめ 吟醸酒、大吟醸酒は特定名称酒のひとつです。原料は同じものの、精米歩合の違いによってそれぞれに分類されています。 とはいえ、その味わいは画一的なものではなく、使用する米の種類や加熱処理の有無、熟成期間などによってさまざまに変化します。それこそが日本酒の魅力のひとつといえるかもしれません。 特定名称酒の基準は日本酒選びの目安のひとつとして、ぜひ自分好みの味わいを見つけてみてくださいね。
日本酒は料理酒としても使える!日本酒と料理酒の違いなどについて解説
料理に使うお酒と言えば料理酒が一般的ですが、レシピの「酒」の文字に「日本酒は使えないの?」と迷ったことはないでしょうか。 実は日本酒は、料理の味わいを引き立ててくれるお酒。「開栓してから日にちが経つものの、捨てるのはもったいない」という日本酒の有効活用にもおすすめです。 今回は、日本酒と料理酒の違いや、料理に日本酒を使うメリットについてご紹介!ぜひ、身近な調味料として日本酒を活用してみてくださいね。 1.料理に日本酒を使って美味しさアップ! 日本酒は料理の美味しさをワンランクアップさせてくれるアイテム。まずは、日本酒と料理酒の違い、日本酒を料理に使うメリットについてご紹介します。 それぞれを理解したうえで、日本酒と料理酒を上手に活用していきましょう。 1-1.日本酒と料理酒の違い 塩分の有無の違い 原材料の表示を見てもわかるように、料理酒には食塩や水あめなどが含まれています。料理酒を直接舐めると、塩味や甘みを感じるのはこのためです。 味が調整されている料理酒は、手軽に使える反面、仕上がりの味わいが濃くなりすぎることがあります。そのため、料理酒を使うときは、ほかの調味料を加減しながら味のバランスを整えるのがおすすめです。 日本酒のなかでも、醸造アルコールを添加せず、米と米こうじのみを原料に造る「純米酒」にはしっかりとした旨味があります。上品な香りやコクが生まれやすく、料理に使う日本酒におすすめです。 「お酒」と「調味料」の違い 塩分などを含む料理酒は「調味料」として扱われます。そのため、日本酒のように酒税はかからず、安価で手軽に購入できることが特徴です。 一方、日本酒は調理用ではなく「飲むためのお酒」に位置付けられています。販売には酒類免許が必要なほか、酒税がかかるぶん、価格が高くなることも料理酒との違いのひとつです。 1-2.料理に日本酒を使う4つのメリット 料理に日本酒を使うメリットには、以下の4点があげられます。 素材の臭みが消え上品な香りに 味が染み込む効果が高い 素材がやわらかく仕上がる 料理にコクと旨味が生まれる 料理酒や日本酒に含まれる「有機酸」には、素材の臭みを消す働きがあります。日本酒を使った料理は、さらに上品な香りに仕上がることが特徴です。 また、日本酒は塩分を含まないぶん、料理に味が染み込む効果が高いというメリットがあります。塩の浸透圧によって素材の水分が外に抜け出すこともなく、ふっくらとやわらかく仕上がることもポイントです。 さらに、アミノ酸が料理に旨味やコクを与えるなど、料理に使う日本酒にはさまざまなメリットが期待できます。 1-3.料理に日本酒を使う際の2つのポイント 料理に日本酒を使う際は、以下の2つのポイントを心がけてみてください。いつもの料理もグッとランクアップした味わいに仕上がりますよ。 料理酒と上手に使い分ける さまざまなメリットがあるとはいえ、日本酒は料理酒と比べてどうしても価格が高くなりがち。調理の際は、それぞれのメリットを活かしながら上手に使い分けましょう。 下ごしらえに大量に使うのであれば、料理酒がおすすめ。塩分や旨味のある料理酒を使えば、食材に下味を付けることもできます。 シンプルに素材の風味を活かしたいときには、香りと旨味のある日本酒を。しっかりとした旨味、コクが引き出されるため、塩分の使用量をおさえたいときにもおすすめです。 アルコールを飛ばしてから使う 日本酒はアルコール度数が高いお酒です。そのまま使用するとアルコール分が料理の味わいに影響してしまいます。調理の際は、しっかりとアルコールを飛ばしてから使用しましょう。 煮物のように煮汁を沸騰させる料理であれば、調理時にアルコールも一緒に飛んでいきます。加熱しない料理の場合は、あらかじめ日本酒だけを火にかけたり、電子レンジで加熱したりしてから使用してみてくださいね。 2.日本酒を使うとより美味しくなる料理 日本酒を使うとより美味しくなる料理には「煮物」「照り焼き」「汁物」などがあげられます。レシピ欄に「酒」と書かれているのを見つけたら、ぜひ日本酒でチャレンジしてみてください。 2-1.煮物、煮つけ 材料をコトコトと煮込む煮物に日本酒を使うと、より一層食材に味が染み込みやすくなります。一定量を使うため、飲みきれない日本酒があるときにもおすすめです。 ぶり大根や豚の角煮など、魚や肉を使った料理も臭みが消え、食材がふっくらとやわらかく仕上がりますよ。 2-2.照り焼き 照り焼きに日本酒を使うと、料理全体にコクと旨味が生まれます。鶏肉やぶりの照り焼きも、臭みがなくまろやかな味わいに仕上がるでしょう。照り焼きならではの甘みを残しつつ、香り良く上品に仕上げたいというときにおすすめです。 2-3.汁物 ご飯のおともに欠かせない汁物にも、ぜひ日本酒を使ってみてください。特に、魚介類の出汁をベースにしたシンプルな汁物におすすめです。素材の臭みを消すだけでなく、日本酒による味の相乗効果が期待できます。 豚汁やけんちん汁のような、具だくさんの味噌汁にも日本酒をプラス。味わい深く、コクのある汁物ができあがりますよ。 3.隠し味として日本酒をちょい足し!おすすめの活用方法 何気ない家庭料理にも、隠し味として日本酒をちょい足し!いつものメニューがグッと美味しくなり、日本酒がより身近に感じられるはずです。ここからは「日本酒が余ってしまった…」というときにもぴったりの活用方法を紹介します。 3-1.炊飯時に日本酒を入れる 毎日食べるご飯にも日本酒を活用!炊飯スイッチを押す前に日本酒を加えれば、ふっくらと美味しいご飯が炊きあがります。 分量の目安は、お米1合に対し日本酒小さじ1~2杯程度。甘みとつやがアップし、少し古いお米も美味しく仕上がりますよ。 3-2.蕎麦つゆに日本酒を加える お家で本格的なお蕎麦を楽しみたい!というときは、蕎麦つゆに日本酒を加えてみてください。日本酒ならではの風味が引き立ち、蕎麦つゆのコクもアップします。 ポイントは、あらかじめ日本酒のアルコールを飛ばしてから使用すること。蕎麦つゆ1人前に小さじ1杯を目安に、量を調整してみてくださいね。 3-3.しゃぶしゃぶの通し湯に加える 飲みきれない日本酒がたくさんある…というときは、しゃぶしゃぶの通し湯に加えてみましょう。ぐつぐつと煮ている間にアルコール分が飛び、日本酒の旨味だけが出汁のなかに残ります。 肉や野菜をくぐらせるたびに、素材の旨味が出汁に溶け出しより奥深い味わいに。シメにはぜひご飯を入れて、凝縮された日本酒と素材の旨味を楽しんでみてください。 3-4.カレーの隠し味で和風カレーに いつものカレーも、日本酒を加えることでひと晩寝かせたようなカレーに早変わり!肉と野菜を炒めたところに水と日本酒を注ぎ、アルコール分が飛ぶまで煮込めばコクのある和風カレーができあがります。 手軽なレトルトカレーは、小鍋に移してから日本酒を少量プラス。そのまま温めるだけで、いつもと違う美味しさを楽しめますよ。 まとめ 米と米こうじを原料にする日本酒は、料理の味わいを引き立ててくれるお酒。料理酒との違いを理解したうえで上手に使い分ければ、料理の腕もグッとレベルアップします。 なじみある家庭料理の調味料のほか、ちょっとした隠し味に使えることもうれしいポイント。ぜひ、日本酒を使った美味しい料理にチャレンジしてみてくださいね。
飲み会の二日酔い対策に!コンビニで買えるサプリとドリンク5選
今夜は飲み会!楽しみだけど、明日は予定もあるし二日酔いは避けたい…。と悩んだことはありませんか?気を付けていても、楽しい飲み会はついつい飲みすぎてしまうこともありますよね。 そこで今回は、コンビニでできる二日酔い対策について紹介します!手軽に購入できるサプリやドリンク、知って得する二日酔い予防法など、ぜひ参考にしてくださいね。 1.二日酔い対策に!サプリ&ドリンク選び3つのポイント コンビニにズラリと並ぶサプリやドリンク。「どれを選べばいいの?」と迷ったら、次の3つのポイントをチェックしてみましょう。 二日酔い予防に役立つ成分をチェックする 飲みやすい味を選ぶ ビタミン補給できるものを選ぶ より効果的、かつ自分に合ったサプリやドリンクを見つけることができますよ。 1-1.二日酔い予防に役立つ成分をチェックする 二日酔い対策として名前が挙がりやすい「ウコン」。ウコンを含むサプリやドリンクは、肝機能の働きをサポートするといわれています。 しじみに多く含まれる「オルニチン」は、アミノ酸の一種。疲労感をもたらすアンモニアを分解・除去する働きがあるため、飲酒翌日のだるさを軽減したい方にもおすすめです。 1-2.飲みやすい味を選ぶ 二日酔い対策に効果的なドリンクは、さまざまな味わいの商品が販売されています。ドリンクの多くは少量販売されているものの、飲み残すことがないよう、自分が飲みやすい味を選びたいですね。 1-3.ビタミン補給できるものを選ぶ 二日酔いが心配なときは、サプリやドリンクのビタミン量も要チェック。ビタミン類は、悪酔いを引き起こすアセトアルデヒドの分解をサポートしてくれます。特に、飲酒時はアルコールによって消耗されるビタミンB類の摂取がおすすめです。 2.コンビニで買えるおすすめサプリ&ドリンク5選 ここからは、コンビニで買える二日酔い対策サプリ&ドリンク5選を紹介します。「今日は飲みすぎそうな予感」「絶対に二日酔いは避けたい!」というときは、ぜひチェックしてみてくださいね。 ※各商品の詳細は公式サイトの情報を参考にしたものであり、必ずしも効果効能を保証するものではありません。 2-1.ヘパリーゼW 「ヘパリーゼW」は肝臓を構成するタンパク質の原料を効率よく摂取することができる肝臓エキスとウコンエキスの2つの成分を配合。食物繊維やビタミン類も含まれています。すっきりとしたパイン味で飲みやすいドリンクです。 また、ヘパリーゼWには携帯しやすく飲みやすい粒タイプもあります。 (出典元:ゼリア新薬) 2-2.ウコンの力 秋ウコン由来の健康成分であるビサクロン400μgとクルクミン30m、ビタミンB群4種(B1・B2・B6・ナイアシン)といった健康成分を配合。カシスオレンジ味やパイン味など、味のバリエーションも豊富です。携帯しやすい顆粒タイプも販売されています。 (出典元:ウコンの力公式ブランドサイト) 2-3.カンゾコーワ 肝臓加水分解物やウコン抽出物のほか、しじみ628個相当のオルニチンを配合しています。クイッと飲みきれる飲みやすいパインマンゴー味。1本あたり約15kcalと控えめなカロリーもうれしいですね。 1日2粒の携帯しやすい粒タイプもあります。 (出典元:カンゾコーワ【公式サイト】) 2-4.SUPALIV(スパリブ) 8種類の天然成分の黄金配合比率で世界特許を取得しているドクターズサプリメントです。麦芽糖やコエンザイムQ10、 ビタミンCなどを配合。アルコール代謝だけでなく、抗酸化作用も期待できます。 (出典元:スパリブ SUPALIV BRAND SITE) 2-5.ノ・ミカタ しじみに多く含まれている「アミノ酸アラニン」が約30分で体内にスピード吸収。飲み会前はもちろん、途中でも効果が期待できます。甘酸っぱいプラム味の顆粒タイプのため、水なしで美味しく飲めることもうれしいポイントです。 (出典元:味の素株式会社) 3.一緒に買いたいソフトドリンク コンビニでサプリやドリンクを買うときは、ソフトドリンクもあわせて購入するのがおすすめです。飲み会の前後に意識的に口にすれば、脱水症状を防ぐことができます。 3-1.ミネラルウォーター、お茶 二日酔いが心配なときは、ミネラルウォーターやお茶をじゅうぶんに摂取しましょう。頭痛や吐き気を引き起こす、アセトアルデヒドの濃度を薄めることができます。利尿作用で代謝が良くなるため、二日酔い症状をやわらげる効果も期待できますよ。 3-2スポーツドリンク 「果糖」を含むスポーツドリンクは、飲酒による低血糖症状を防いでくれます。利尿作用によって排出される、ナトリウムやカリウムといったミネラルを補えることもポイントです。ミネラルウォーターと同様、水分補給にも役立ちます。 3-3.トマトジュース 大手食品会社の研究によると、飲酒時にトマトジュースを摂取すると、血中アルコール濃度が低下するという結果が確認されています。体内からアルコールが消える速度も早まるため、二日酔いが気になるときはトマトジュースの摂取もおすすめです。 3.知って安心!3つの二日酔い予防法 二日酔いを避けたいときは、前述したような水分補給のほか、飲酒のタイミングやおつまみ選びも気を付けてみましょう。「お酒に弱く、いつも悪酔いしてしまう」という方にもおすすめです。 3-1.飲み会前から後まで水分補給を心がける お酒を飲むときは、飲み会前から後まで水分補給を心がけるようにしましょう。お酒の合間に飲む水は、日本酒の場合は「和らぎ水(やわらぎみず)」、洋酒の場合は「チェイサー」などと呼ばれています。 悪酔いや二日酔いを防ぐには、お酒と同量またはそれ以上の水分補給が効果的です。 3-2.空腹時の飲酒を避ける 空腹の状態で飲酒をすると、胃から小腸へアルコールが急速に吸収されてしまいます。アルコールが胃を荒らす恐れもあるため、空腹時の飲酒は避けるようにしましょう。サプリやドリンクと一緒に、コンビニで軽食を購入するのも良いですね。 3-3.二日酔い予防に効果的なおつまみを選ぶ 二日酔いが心配なときは、タンパク質や食物繊維を含むおつまみを選びましょう。肝臓の働きをサポートしたり、アルコールで排出される栄養素を補う効果が期待できます。 たんぱく質が豊富な豆類や肉類、魚介類。食物繊維を含む野菜を使った以下のようなメニューがおすすめです。 枝豆、冷奴 豚しゃぶサラダ 焼き鳥 焼き魚、刺身 温野菜のグリル 鍋 まとめ 美味しいお酒も飲みすぎてしまえば楽しさが半減。過剰なアルコール摂取は肝臓への負担も大きく、体にも良くありません。二日酔いを防ぐためにも、サプリやドリンクを上手に活用つつ、適量を美味しく楽しむように心がけていきたいですね。 関連記事 https://sake-5.jp/hangovers-from-year-end-and-new-years-parties/ https://sake-5.jp/sake-is-not-prone-to-intoxication/ https://sake-5.jp/headache-from-sake/
日本酒の作り方を図解でわかりやすく解説
さまざまな味や個性が魅力的な日本酒。美味しく飲むうちに「一体どうやって作るの?」と作り方に疑問を感じたことはないでしょうか。 日本酒は、ほかのお酒の製造工程とは違う、世界でも珍しい手法で作られるお酒です。 そこで今回は、日本酒の作り方をひとつずつわかりやすく解説!日本酒とほかのお酒の発酵メカニズムの違いも紹介します。 身近な食材、お米から日本酒ができるまでの工程を知れば、日本酒がより美味しく興味深いものになりますよ。 ※ 家で日本酒をつくるのは酒税法違反です。 第五十四条 第七条第一項又は第八条の規定による製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 (参照元:e-Gov法令検索) 1.日本酒と他のお酒の発酵のメカニズムの違い 日本酒は、米と水を主原料に作られるお酒です。日本酒の作り方は、これらの材料からお酒ができる「アルコール発酵」のメカニズムを知るとよりわかりやすくなります。 アルコール発酵とは、微生物のひとつ「酵母(こうぼ)」の働きにより、食品に含まれる「糖分」が「アルコール」と「炭酸ガス」に変化することです。 例えば、ブドウを原料とするワインは、ブドウの糖分に酵母が働きかけることによってアルコール発酵がおこります。 ところが、穀物である米は、デンプンは多く含むものの糖分はほとんど含まれていません。つまり、米にいくら酵母を足してもお酒にはならないのです。 ここで必要となるのが「糖化(とうか)」という工程。 米のデンプンに「糖化酵素(とうかこうそ)」とよばれる物質を加えることで、デンプンとわずかな糖分を分離させ、そこから発酵させよう、というわけです。ちなみに、麦を原料とするビールも同様に、糖化の工程を経て作られます。 ビールは、糖化が完了した原料に酵母を加え、アルコール発酵させます。 一方、日本酒は糖化とアルコール発酵を、タンク内で同時進行させていくのが大きな特徴です。 この仕組みは「並行複発酵(へいこうふくはっこう)」と呼ばれ、日本酒のアルコール度数が高い理由のひとつでもあります。 2.日本酒ができるまでの工程 米と水というシンプルな材料は、以下の工程を経て日本酒へと生まれ変わります。 精米 洗米・浸漬(せんまい・しんせき) 蒸米・放冷(むしまい・ほうれい) 麹づくり(こうじづくり) 酒母づくり(しゅぼづくり) 仕込み(もろみ作り) 搾り 濾過 火入れ 貯蔵 調合・割水 瓶詰め 「麹?酒母?なんのこと?」という日本酒ビギナーでも大丈夫!ここからは、一つひとつの工程をわかりやすく紹介していきます。 2-1.精米(せいまい) 玄米を削り、白米の状態にすることを「精米」といいます。精米の大きな目的は、米の表面にある雑味のもとを取り除くことです。 米の表面には、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルといった栄養素が含まれています。 食用米では旨味のもととなる栄養素も、日本酒の場合はかえって味に雑味を生んでしまうことも。そのため、日本酒作りでは、より多く米の表面を削る必要があります。 食用米の場合、米を削る度合いは8%程度。一方、日本酒作りでは30%以上削り、白く光る米の中心部分のみを使用するのが一般的です。 精米には竪型精米機(たてがたせいまいき)と呼ばれる見上げるほど大きな精米機が使用されます。 30%以上精米するのにかかる時間は約8時間。60%以上精米する場合は、約48時間もの時間を要するというからすごいですよね。 精米したてのホカホカの温かい米は、専用の袋に詰められ「枯らし」と呼ばれる2~3週間の期間を経て次の工程へと移ります。 2-2.洗米・浸漬(せんまい・しんせき) 「洗米」の目的は、米の表面についた糠(ぬか)や米くずを洗い流すことです。洗い流す間も水分は吸収されていくため、作業時は細心の注意を払わなくてはいけません。 「浸漬」は、洗った米に水分を吸わせる作業です。その後の麹(こうじ)のできを決める重要な作業だといわれています。 米が水分を吸っていく速度は、その日の気温や湿度、水温などによってさまざま。最適な時間を見極めるため、蔵人はストップウォッチで浸漬時間を計測することもあります。 その後、米やお酒の種類に合わせた状態まで水を切ったら準備は完了!いよいよ米を蒸す工程へと移ります。 2-3.蒸米・放冷(むしまい・ほうれい) 米を蒸す最大の目的は、麹菌(こうじきん)の作用を受けやすい状態に米を変化させることです。 かちかちの生米よりも、加熱してやわらかくなった米のほうがその後の工程で溶けやすくなります。 理想の蒸し加減は「外硬内軟(がいこうないなん)」と呼ばれる、外は硬く内側がやわらかい状態。蒸米を手のひらサイズに丸めた「ひねり餅」を作り、手の感触で蒸し加減を確認することもあります。 蒸しあがった米は、一定の温度まで冷ましていきます。これは「放冷」と呼ばれ、自然冷却のほかファンで冷やすなど、蔵によって手法はさまざまです。 できあがった蒸米は、この後の麹、酒母(しゅぼ)、醪(もろみ)づくりすべてに使用します。 2-4.麹づくり(こうじづくり) 蒸米を使い、米麹(こめこうじ)を作ります。米麹とは、蒸米に麹菌を繁殖させたもの。この工程は「製麹(せいぎく)」とも呼ばれます。 前述したように、米をアルコール発酵させるには、まず「糖化」しなくてはいけません。製麹は、そのために欠かせない作業です。 製麹にかかる期間は、約2日間。麹菌を繁殖させるため、麹室(こうじむろ)と呼ばれる高温多湿の環境で以下の作業をおこないます。 引き込み 34~36℃になった蒸米を麹室に運び、温度を均一にさせるために布をかけて休ませます。布団をかぶった蒸米が眠っているような状態です。 種付け/床もみ(とこもみ) 眠っていた蒸米を崩し、床(とこ)と呼ばれる台一面に広げます。その上に、麹菌の胞子をぱらぱらと振りかける作業が「種付け」です。その後、胞子がまんべんなく行き渡るように混ぜ込む「床もみ」と呼ばれる作業に移ります。 切り返し 数時間から半日後、硬くなった米をほぐす「切り返し」をおこないます。切り返した米はひとつにまとめ、再度布で包んで休ませます。 盛り 切り返し後、数時間から半日すると、米にぽつぽつと白い斑点が浮かび上がります。そのままにすると温度が上がりすぎてしまうため、木箱に蒸米を小分けする「盛り」をおこないます。 仲仕事 数時間後、木箱の蒸米が熱くなりすぎないよう、まんべんなく混ぜてから均一の厚さに広げます。 仕舞仕事(しまいしごと) 仲仕事から数時間たつと、38~39℃まで蒸米の温度が上昇します。仕舞仕事は、蒸米の温度を均一にし、余分な水分を蒸発させるための作業です。広げた蒸米にうずのような溝を作り、表面積を大きくします。 出麹(でこうじ) 麹の温度を下げるため、麹室から木箱を運び出す作業です。できあがった米麹は「酒母づくり」と「もろみ作り」に使うものに分けられます。日本酒作りに欠かせない米麹のできあがりです! 2-5.酒母つくり(しゅぼつくり) ここまでの工程で、日本酒作りに必要な「米」と「米麹」が揃ったことになります。ただ、これだけでは日本酒はできあがりません。この2つをお酒へと変えるために欠かせないのが、お酒の母と書く「酒母(しゅぼ)」です。 酒母は、蒸米と米麹、水を入れたタンクに「酵母(こうぼ)」と「乳酸」を加えて作ります。 酵母は、アルコール発酵を促す成分です。酵母はほかの微生物より弱いものの、酸性に強いという特性があります。 乳酸は、タンク内を酸性に保つために投入するアイテム。ほかの微生物は酸性に弱いため、タンク内に乳酸を入れれば酵母が活動しやすい環境になるというわけです。 不用な微生物が入り込まないよう、高温多湿の麹室とは違い、酒母づくりはひんやりとした酒母室でおこなわれます。 2-6.仕込み(もろみ作り) いよいよ日本酒作りも最終段階。蒸米・米麹・酒母と「糖化」と「アルコール発酵」に必要な材料が揃いました。 この3つを混ぜてできた液体を「醪(もろみ)」と呼びます。もろみ作りは、アルコール発酵を進めていく作業です。 とはいえ、これらの材料は一度に全部混ぜるわけではありません。材料の投入は、4日間で3回に分けておこなわれます。江戸時代から続く「三段仕込み」と呼ばれる製法です。 すべての材料を合わせたあとは、3週間から5週間かけてアルコール発酵を進めていきます。このときのポイントとなるのが温度管理。お酒の種類に合わせ、醪はおよそ15℃前後、または10℃以下に保たれます。 発酵が進んだ醪の表面は、ふわふわと真っ白な泡に包まれた状態。泡が消え、液体化してきたらできあがりの合図です。数日から1週間後に「搾り」の段階へと移ります。 2-7.搾り アルコール発酵が完了した醪は、白くにごった状態。搾りやろ過などの工程を進めることで、わたしたちが目にする透き通った日本酒ができあがります。 上槽(じょうそう) 醪が入った袋を絞り、固形物の酒粕(さけかす)と液体に分離させる作業です。槽(ふね)と呼ばれる大きな長方形の器具を使用するものや、醪を入れた袋を吊り下げるもの、自動圧搾機を使うものなど、さまざまな手法があります。 滓引き(おりびき) 搾った液体は、滓(おり)と呼ばれる米粒や麹などの固形物が残った状態です。液体をタンクに入れて滓を沈殿させ、澄んだ部分だけを抽出する作業を「滓引き」といいます。 2-8.濾過(ろか) 滓引きしたお酒の固形物をさらに除去し、色や香りの調整をおこなう作業です。通常の日本酒作りでは「濾過」は2回おこないます。 1回目の濾過の目的は、残った固形物や酵母を除去することです。フィルターのついた機械を使うほか、粉末状の活性炭を投入する場合もあります。 2-9.火入れ 「火入れ」とは、お酒を60~65℃の温度で加熱殺菌することです。濾過と同様に、火入れも2回おこないます。味や色、香りの変化を防ぐことが火入れの目的です。 2-10.貯蔵 火入れ後のお酒は、タンクで貯蔵します。貯蔵温度はお酒の種類によって異なり、15℃前後、または5℃から10℃が主流です。 2-11.調合・割水 貯蔵後のお酒は、タンクごとの酒質を一定にするため調合(ブレンド)されます。その後、アルコール度数と香りのバランスを調整するため、仕込み水と呼ばれる水を加えます。 2-12.瓶詰め 加水によってアルコール度数15~16%に調整したお酒は、2回目の濾過と火入れをおこない瓶詰めします。近年は、瓶に詰めてから火入れをおこなう「瓶火入れ」という手法もあります。 これらの工程を終えれば、いよいよ出荷!各酒販店への流通経路を経て、わたしたちのもとに美味しい日本酒が届けられます。 3.製造工程で変わる日本酒の味わい 日本酒は、製造工程の違いでさまざまな味わいに変化します。「生酒?新酒?なんのこと?」という日本酒にありがちな疑問も、違いがわかればスッキリ解決しますよ。 3-1.火入れの回数・タイミングで変わる生酒、生貯蔵酒、生詰め酒 日本酒は、火入れの回数によって次のように呼び名が変わります。 呼び名 1回目の火入れ 2回目の火入れ 生酒(なまざけ) なし なし 生貯蔵酒 なし あり 生詰め酒 あり なし 火入れを1度もしない生のお酒は、生酒(なまざけ、またはきざけ、なましゅ)と呼びます。味わいはフレッシュでジューシー。なかには、シュワシュワとした微発砲感が感じられるのものもあります。 火入れをせず、生のまま貯蔵したものは「生貯蔵酒」。1度火入れをし、そのまま瓶詰したものが「生詰め酒」というわけです。 3-2.蔵で貯蔵されずに出荷する「新酒」 「新酒」は、貯蔵をせずにすぐに出荷される日本酒です。明確な定義はないものの、冬から春にかけて登場するその年のお酒が新酒と呼ばれています。 同じ蔵、同じ銘柄のお酒であっても、その年によって少しずつ味わいは違うもの。新酒が登場する12月から3月は、日本酒ファンにとって待ち遠しいシーズンといえるかもしれませんね。 まとめ 日本酒は古くは弥生時代から存在し、平安時代には現在に近い製法が誕生していたといわれています。 お米を原料に、微生物の力を借りながら作る日本酒は、日本が大切にしてきた伝統文化のひとつ。日本酒の作り方に想いを馳せると、いつものお酒もより美味しく感じられそうですね。
日本酒と焼酎の違いとは?製造方法や原料の違い、それぞれの魅力など
日本で古くから親しまれるお酒「日本酒」と「焼酎」。どちらも身近な存在でありながら、違いとなるとわからないことも多いのではないでしょうか。 そこで今回は、カロリーや味、製造方法など日本酒と焼酎の違いについてくわしく解説します。それぞれの意外な共通点もぜひチェックしてみてくださいね。 1.日本酒と焼酎5つの違い 日本のお酒として知られる日本酒と焼酎には、主に次のような5つの違いがあります。 製造方法による分類 原料 香りや味わい 楽しみ方 カロリー どちらも愛飲していても、具体的な違いとなると難しい点も多いかもしれません。まずは、それぞれの細かな違いについて探っていきましょう。 1-1.日本酒は「醸造酒」、焼酎は「蒸留酒」 日本酒と焼酎は、製造方法が大きく異なります。日本酒は「醸造酒(じょうぞうしゅ)」、焼酎は「蒸留酒(じょうりゅうしゅ)」に分類されるお酒です。 醸造酒は、果実や穀物などの原料をアルコール発酵させたお酒のこと。日本酒のほか、ブドウを原料とするワインも醸造酒に含まれます。 一方、蒸留酒は醸造酒を加熱し、気体となったアルコールを集め、再び冷やして液体化したお酒です。焼酎は蒸留方法により「連続式蒸溜焼酎(別名:焼酎甲類)」、「単式蒸溜焼酎(別名:焼酎乙類)」に分類されます。 蒸留酒は、醸造酒を一気に気体化させることで、よりアルコール度の高いお酒を抽出できることが大きな特徴です。 一般的な醸造酒のアルコール度数が20度未満であるのに対し、蒸留酒は40度を超えることも珍しくありません。焼酎のほか、ウイスキーやジンなども蒸留酒に含まれます。 醸造酒 日本酒、ビール、ワイン、マッコリなど 蒸留酒 焼酎、ウイスキー、ジン、ウォッカ、ラム酒など 酒税法では、日本酒のアルコール度数は22度未満に定められています。市販されている日本酒の多くは、アルコール度数15度前後です。 蒸留酒である焼酎のアルコール度数は、焼酎甲類で36度未満、焼酎乙類は45度以下に定められています。市販される焼酎のアルコール度数も日本酒より高く、20度から25度が一般的です。 1-2.日本酒の原料は米。焼酎の原料は麦や芋などさまざま 日本酒はお米を原料に作られるお酒です。一方、焼酎は米や芋、そばなどさまざまな原料を使用します。 また、ひとくちに「お米」といっても、日本酒と焼酎では米の種類に違いがあります。 焼酎は食用米を原料にするのに対し、日本酒は「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」と呼ばれる日本酒用の米を使うのが一般的です。 酒造好適米は、食用米に比べ粒が大きく「心白(しんぱく)」と呼ばれる中心部分が占める割合が多いことが特徴。米の外側を削る「精米(せいまい)」に適したお米です。 原料が異なるということは、主要産地も異なるということ。米を原料とする日本酒は全国各地で作られているのに対し、全国の焼酎蔵の半数近くは九州地方に存在します。 これは、鹿児島県や宮崎県が焼酎の原料「サツマイモ」の名産地であることに関係するといえるでしょう。 1-3.日本酒と焼酎の味わいの違い 醸造酒である日本酒は、酒米の個性が香りや味わいに大きく影響します。ブドウを原料としたワインもまた、香りや色合いを楽しむお酒として有名ですよね。 一方、焼酎甲類はクセのない味や香りが特徴です。焼酎乙類は、米や芋、麦といった原料由来の個性が強く、さまざまな香りや味わいを楽しめます。 1-4.日本酒と焼酎の飲み方の違い 日本酒は温度による味の変化を楽しむ 日本酒は、温度による味の変化を楽しめるお酒です。冷やせばスッキリと、温めればふくよかなコクと香りを味わえます。 焼酎は好みのスタイルで割って楽しむ ピュアな香りと味わいの焼酎甲類は、好みのアレンジで楽しめるお酒です。炭酸で割る「チューハイ」のベースとしても使用されます。 味や香りが個性的な本格焼酎は、ストレートのほか、ロックやお湯割りなどで味わうのが一般的。地域によって専用の酒器が存在するなど、さまざまな飲用スタイルが楽しめるお酒です。 1-5.日本酒と焼酎のカロリーの差 日本酒と焼酎では、糖質やカロリーといった栄養素も異なります。以下の表は、日本酒と焼酎それぞれ100mlあたりに含まれるカロリーと糖質量です。 カロリー(kcal) 糖質(g) 日本酒 103~109 3.6~4.9 焼酎 146~206 0 参考:文部科学省「日本食品標準成分表」 種類によって数値は異なるものの、焼酎のカロリーは日本酒の2倍近くあることがわかります。ダイエット中の方にとってはびっくりしてしまう数字かもしれません。 しかし、前述したように焼酎はアルコール度数の高いお酒です。そのため、日本酒のようにストレートで口にするより、ロックやお湯割り、ソーダ割りなどで飲むことが多くなります。結果的に、一度あたりの摂取量は日本酒よりも少なくなると考えられるでしょう。 2.日本酒と焼酎の共通点 日本酒と焼酎には「麹菌(こうじきん)」を使って作るという共通点があります。 麹菌とは、"麹カビ菌"や"もやし"と呼ばれる微生物の一種のこと。日本酒や焼酎作りには「黄麹菌」「黒麹菌」「白麹菌」などが使用されます。 黄麹菌 主に日本酒作りに使用する麹菌です。先端にできる胞子は黄色や黄緑色で、強い糖化力を持ちます。 黒麹菌 主に泡盛作りに使用されます。学名は「アスペルギルス・リュウキュウエンシス」。沖縄で古くから守られ続けてきた麹菌です。 白麹菌 主に焼酎に使用される麹菌です。クエン酸を大量に生成し、近年は白麹菌を使った日本酒も注目を集めています。 まとめ 日本酒も焼酎も、日本で古くから作られてきたお酒です。麹菌という微生物の力を使用し、個性的な味と香りを生み出しています。 製造方法に大きな違いはあれど、どちらも日本文化を代表するお酒。ぜひ、その違いと共通点に想いをはせながらグラスを傾けてみてはいかがでしょうか。
初心者必見!!お店でもう困らない日本酒の注文方法
日本酒初心者の方のなかには「お家でいろいろな銘柄を飲むようになったけど、飲食店での注文はちょっと心配…」という方も多いのではないでしょうか。 「日本酒を注文してみたいけど、どれを選んだら良いかわからないし」と遠慮してしまうこともあるかもしれません。 そこで今回は、初心者も安心の日本酒選び、注文方法のポイントについて紹介します。飲食店の美味しい料理と一緒に、美味しい日本酒を楽しみましょう! 1.まずは日本酒選びから。知って役立つ4つのポイント メニューにズラッと並ぶ日本酒の数々。「漢字ばかりで何がなんだか…選ぶ決め手がわからない!」と困ったことはありませんか?そんなきは、次の4つのポイントをチェックするのがおすすめです。 日本酒の名前を参考にする 飲む温度帯を考える 料理との相性を考える 容量をチェックする 日本酒を提供する飲食店はもちろん、酒販店で日本酒を選ぶときにも役立ちますよ。 1-1.味のヒントがいっぱい!日本酒の名前を参考にする メニューに書かれた日本酒の名前には、味わいのヒントがたくさん隠れています。 1つめのヒントとなるのが、日本酒の種類を意味する「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」。「純米酒」や「吟醸酒」などがそのひとつです。 特定名称酒だけでは味は固定化できないものの、次のようなおおまかな味わいがイメージできます。 吟醸酒 フルーティーで華やかな香り 大吟醸酒 純米吟醸酒 純米大吟醸酒 純米酒 香りふくよかリッチな味わい 特別純米酒 本醸造酒 キレがある辛口タイプ 特別本醸造酒 日本酒の名前には、「造り方」を表す言葉が含まれている場合があります。余裕があるときは、それらもあわせてチェックしてみましょう。 山廃(やまはい) 日本酒の伝統製法。繊細かつ奥深い味わい。 生酛 (きもと、なまもと) 生酒(なまざけ) 加熱処理をしていない日本酒。フレッシュな味わい。 原酒(げんしゅ) 加水をしていない日本酒。しっかりとした飲みごたえ。 無濾過生原酒 (むろかなまげんしゅ) ろ過をしていない無濾過×生酒×原酒、3つのスペックを持つお酒。 甘さと酸味がはっきりとしたジューシーな味わい。 ひやおろし 秋ごろに販売するお酒。まろやかでコクのあるタイプが多い。 古酒(こしゅ) 熟成させたお酒。濃縮された味と香り。 1-2.冷酒?燗酒?飲む温度帯を考える 日本酒は、冷酒や燗酒で楽しめるのが魅力のひとつ。日本酒を選ぶときは、飲む温度帯も考えてみましょう。 冷やして楽しみたいときは、フルーティーな香りの「吟醸酒」や、フレッシュ感が持ち味の「生酒」がおすすめです。 温かい日本酒を飲みたいときは、燗酒で魅力がパワーアップする「純米酒」や「本醸造酒」、「山廃」「生酛」なども美味しいですよ。 1-3.料理との相性を考える こってりした肉料理や塩辛いおつまみには、「純米酒」のようなコクのあるタイプの日本酒が良く合います。「山廃」「生酛」などは、意外にもチーズを使った洋食と好相性です。 すっきりキレのある日本酒は、新鮮な魚介類と相性ばつぐん。素材の味を活かしたイタリアン、フレンチのようなメニューがあるときは、フルーティーな香りの「純米大吟醸」もおすすめです。 1-4.容量、提供スタイルを選ぶ 飲食店では、日本酒を1合(180nl)で提供するのが一般的です。日本酒はアルコール度数15~16%と、ビールなどと比較すると度数が高いお酒。「1人で飲み切れるか不安」というときは、あらかじめ容量を確認しておきましょう。 また、日本酒はグラスまたは徳利(とっくり)で提供されます。何人かで少しずつシェアしたいときは、徳利でお願いするのがおすすめです。 2.初心者もこれで安心!注文時の5つのコツ メニューから日本酒を選んで、いざ注文!「やっぱり選びきれない」「ちょっと不安」というときも、次の5つのコツをおさせておけば安心です。 お店のおすすめを聞いてみる あわせたい料理を伝える 香りや味の好みを伝える 普段飲んでいるお酒を伝える 和らぎ水(やわらぎみず)を一緒に頼む 日本酒を提供する飲食店は、お酒のプロフェッショナル。遠慮せず、気軽に日本酒について相談してみてくださいね。 2-1.お店のおすすめを聞いてみる 美味しい日本酒を楽しみたいときは、お店のおすすめを聞いてみるのがいちばん。オールシーズン入荷しているお酒のほか、その時期だけの旬の味わいに出会えるからです。 おすすめ銘柄の味わいや特徴など、新たな知識が得られるのもうれしいですね。 2-2.あわせたい料理を伝える 多くの飲食店は、料理とお酒のペアリングを大切にしているもの。食べたい料理が決まっているときは「この料理にあう日本酒はどれですか?」と相談してみましょう。 「この日本酒を飲みたいのですが、あわせるならどのお料理が良いですか?」と聞いてみるのもおすすめ。日本酒にあわせたとっておきのペアリングを提案してもらえます。 2-3.香りや味の好みを伝える 自分好みの日本酒を注文するには、香りや味の好みを伝えるのがいちばんの近道です。特定名称酒や銘柄がわからなくても大丈夫。 「甘い香りの日本酒がすき」「スッキリした感じが好み」といったおおまかなイメージも、お店にとっては大きな参考要素になります。お酒にさほど強くない場合も、飲みやすい銘柄を紹介してもらえますよ。 2-4.普段飲んでいるお酒を伝える ビールやワインなど、日本酒以外に普段飲んでいるお酒を伝えるのもおすすめです。おうちで日本酒を飲んでいる場合、普段飲んでいる銘柄を伝えると、お酒の好みが日本酒選びの参考になります。 「初心者だし、注文に迷うなぁ」というときは、素直にお店側に伝えてみましょう。飲食店は、お店にやって来る方に美味しい日本酒を楽しんでほしいと思っているもの。初心者だからこそ美味しく楽しめる、おすすめ銘柄を提案してくれるはずです。 2-5.和らぎ水(やわらぎみず)も一緒に頼む 日本酒を注文するときは、和らぎ水も一緒にお願いしましょう。和らぎ水とは、日本酒の合間に飲む水のこと。日本酒と同量、またはそれ以上の水を飲むことで悪酔いを防げます。 口の中がすっきりとリセットされ、料理やお酒の味わいがより美味しく感じられるのもメリットのひとつです。 3.日本酒オーダーをシミュレーション 以上のポイントをふまえつつ、ここからは日本酒オーダーをシミュレーションしてみましょう。難しく考えず、ぜひ気軽に店員さんに相談してみてくださいね。 お家時間が増え、自宅で日本酒を楽しむ機会が増えた。お酒の購入はネットショップの利用が多い。ビールやワインも好き。今日は楽しみにしていた日本酒が豊富なお店に来店!うまく注文できるかちょっと心配…。 ラボオ すみません。日本酒をお願いしたいのですが、今日のおすすめはどれですか? 店員 今日はAとBがおすすめです。先日入荷したCも燗酒にすると美味しいですよ。 ラボオ うーん…実は日本酒を飲み始めたのは最近で。普段はワインもよく飲むのですが。料理は刺身盛りと生ハムサラダをお願いしようと思っていて…あわせるならどれがいいですか?どちらかといえばスッキリした味の日本酒が好みなんです。 店員 でしたら、Aがおすすめです。お刺身にあいますし、後口の酸味がきいているので、白ワインに近い感覚で楽しめますよ。冷やしていただくのがおすすめなのですが、いかがですか? ラボオ はい!ありがとうございます。あ、お水も少し多めに一緒にいただいていいですか? 店員 承知いたしました。少々おまちくださいませ。 いかがでしたか?ポイントは、食べたい料理や好みの味を伝えること。お目当ての料理とお酒がきたら、ぞんぶんに美味しい時間を楽しみましょう! 4.お気に入りの日本酒は記録しておこう! お気に入りの日本酒が見つかったら、なるべく記録しておきましょう。飲食店でお酒を注文したり、酒販店で購入したりするときの参考になります。 その場で手軽に入力するなら、日本酒アプリがおすすめ。写真や感想を記録するだけでなく、SNSなどで日本酒好きと情報共有できるのもうれしいですね。 日本酒を記録・検索できるアプリ「さけのわ」 ( Web版はコチラ → さけのわ ) まとめ 「名前が複雑」「わかりづらい」など、初心者にはちょっと敷居が高く感じられることもある日本酒。注文が不安なときは、お店のおすすめを聞きつつ、自分の好みを伝えてみるのがいちばんです。 料理とお酒でしあわせな時間を演出してくれる飲食店は「美味しい日本酒が飲みたい」という気持ちにきっと応えてくれるはず。難しく考えず、ぜひ気軽に日本酒の世界を楽しんでみてくださいね。