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日本酒好きへのプレゼントには枡もオススメ!おすすめの枡を紹介
日本酒好きな方へのプレゼントに、何を贈ったら良いのか迷ってはいませんか?純米大吟醸のようなちょっと特別なお酒、おちょこ、グラス…それ以外にもぜひおすすめしたいのが今回ご紹介する「枡」(ます)です。 日常であまり目にする機会のない枡は、実はとても縁起の良い贈り物。結婚式の引き出物や還暦祝いのプレゼントなどにもぴったりの品なのです。 今回は大切な人へのお祝いの贈り物、おめでたい席を祝う品をお探しの方に向けて、オリジナリティあふれる枡の数々をご紹介していきます。 1. 日本酒好きな方へのプレゼントに枡 日本酒を好きな方へのプレゼントに、ぜひおすすめしたい「枡」。日本酒に馴染みのない方であれば、「枡ってなに?」「どうして枡が喜ばれるの?」とふしぎに思われるかもしれません。 しかし、日本酒を飲む容器やシチュエーションは、日本酒好きこそこだわりが出る部分なのです。それでは早速、日本酒を一段とおいしく彩ってくれる枡について解説していきますね。 1-1. そもそも枡(ます)って何?升と違う? 「枡」(ます)は、本来お米やしょうゆ、お酒などを計るために使用されていた容器です。江戸時代、年貢の徴収や供給のために米を計る際にも枡は使用されていました。 ただ幕府が決まりを作っても、サイズを誤魔化して納税を中抜する人がいたりと、不正をはたらく動きが後をたたなかったそうです。。 一合枡(いちごうます)は、内容量が180ml。10合になると単位は「合」から「升」(しょう)に代わり、一升枡=1800mlの計算になります。 日本酒の容量でよく耳にする「一升瓶」(いっしょうびん)は、まさしくこの容量を表す呼び方のこと。「枡」が四角い容器を指す言葉であるのに対し、「升」は尺貫法と呼ばれる日本独自の単位を表す言葉でした。 枡の種類は、素材によって「木枡」と「漆枡」に分かれます。「木枡」は、主に桧(ひのき)や杉、樅(もみ)といった素材を使用し、木板を組み合わせて造った枡。一方、「漆枡」は主にプラスチック製で、表面に黒や朱色の漆塗りを施しているのが特徴です。 このように、素材や見た目の違いはあるものの、現在では四角い形状をした酒器全般が「枡」と呼ばれ、婚礼や式典の場を中心に数多く使用されています。 1-2. 木枡は縁起の良い贈り物 木枡は祝い事や式典など、おめでたい席で目にすることが多い酒器です。 木枡に使用されている桧(ひのき)や樅(もみ)といった木材は、神社の建造にも使用されるとても縁起の良い木。そのため、木枡もまた縁起物の酒器として好まれてきました。 また、木枡が縁起物とされるもうひとつの理由がその形状。木枡の角を見てみると、凸凹にカットされた木板が釘を使用することなく上手に組み合わされているのが分かりますよね。 「入りの字」と呼ばれるこの組み方は、商売繁盛を意味する「大入」や福が「入る」という意味合いが込められたもの。人と人が「気(木)」を合わせる様子にも通ずることから、婚礼や創業、工事の始まりのような場面でも木枡は縁起物として使用されています。 枡という響きが「増す」「益す」にも通じることもまた、祝いの席で枡が好まれる理由のひとつ。酒も塩も、神様への供え物としての役割を持つことから、ふるまい酒として枡の角に塩を盛り、少しずつ舐めながら日本酒を飲むという文化も日本では広がっていきました。 素材、名前、そして文化と、木枡はおめでたい要素の揃った縁起の良い贈り物なのです。 1-3. 結婚式の引き出物や還暦祝いでも人気 縁起ものである枡は、結婚式の引き出物としても人気の品です。側面に好みのデザインを刻印できる木枡であれば、他にはないオリジナルの引き出物を揃えることもできます。 ゲストの名前を刻印すれば、席札として利用した後に持ち帰ってもらうという素敵な演出も可能ですよ。 また、木枡には木の香りが日本酒の風味を引き立てるというメリットもあります。そのため、日本酒好きの方の還暦祝いのプレゼントにもぴったりなのです。 おちょこやグラスを購入することはあっても、枡というのはなかなか自分では購入する機会がないもの。こだわりの日本酒と一緒にプレゼントすれば、ひと味違った贈り物としてより一層喜ばれることでしょう。 2. お祝いで贈るのにオススメの木枡 ここからは早速、お祝いのプレゼントにおすすめの木枡をご紹介していきます。どれもシンプルな木枡にこんなにバリエーションがあったのかと驚くものばかり。大切な方へのお祝いの品に、ぜひ検討してみてくださいね。 2-1. ⼭中漆器の木枡 株式会社キタデが手掛ける山中漆器は、400年以上の長い歴史を持つ伝統工芸品。現在まで受け継がれた伝統の技と、クリエイティブな発想の融合から生まれる近代漆器は若い方にも人気です。 多くの漆器の中でも、代表的なものが「漆枡」。美しい黒色や朱色が映えるシンプルなものから、底面に透明の加工を施し絵柄を浮かび上がらせたものまで、そのバリエーションも実に豊富です。 また、「冷え枡」と名づけられたのは透明な輝きが美しいアクリル製の枡。13色のカラーバリエーションと名入れを選べる冷え枡は、今までの枡のイメージががらっと変わるような美しさに溢れています。 3尺という58ml容量の小さなサイズもあり、女性へのプレゼントにもぴったり。おちょこの代わりに小鉢として使用することもできるので、日本酒のある食卓をカラフルに彩ってくれますよ。 株式会社キタデ(山中漆器) https://www.kitade.jp/ 2-2. デザインがおしゃれな木枡 枡工房枡屋が手掛けるのは、日用品としても使用できるポップなデザインの木枡。ウルトラマンやゴジラとコラボした枡などもあり、しまい込まずに飾っておきたいようなかわいらしさです。 お友だちが集まる場では、お酒を飲むのはもちろん、中にお菓子を入れてもてなすなのもおすすめ。1個あたり1000円台とお手頃な価格も魅力的です。 枡工房枡屋 https://www.masuza.co.jp/ また、おしゃれでちょっと粋な枡をお探しの方におすすめなのがアデリアの「枡酒グラス」。こちらは、歌川国芳の江戸猫が描かれたグラスと枡のペア商品です。 江戸時代末期を代表する浮世絵師であった歌川国芳は、無類の猫好きで知られる人物。猫の刻印された木枡に、これまた同じくかわいい猫が描かれたグラス入れて日本酒をなみなみそそげば「もっきり」と呼ばれる枡飲みスタイルの完成です。 日本酒がこぼれないように口を近づければ、かわいくユーモラスな猫の姿に思わず笑みがこぼれてしまいます。美しい化粧箱入りのセット品なので、大切な方への贈り物にもおすすめです。 アデリア https://aderia.jp/series/luckyanimal/ 2-3. オーダーメイドができる木枡 木材を使用している木枡は、用途に合わせてオリジナルの刻印ができるのが魅力です。 明治23年創業の「枡本舗」は、桧(ひのき)を使用した枡を専門に取り扱う製作所。結婚式や式典、セレモニーなどに合わせたオーダーメイドの木枡が人気を得ています。 レイアウト例を参考に自分だけのデザインを造ることができるので、オリジナリティにこだわりたい方にもぴったり。お世話になった方への感謝の気持ちを表す贈り物に、大切な日の記念品に、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。 枡本舗 https://ma-su.jp/ まとめ プレゼントにおすすめの枡の数々、いかがでしたか?縁起が良いことはもちろん、好みのデザインが選べる枡は記念日の贈り物やお祝いの品に最適。 ぜひ、大切な方への気持ちを表す品として特別な枡をプレゼントしてみてくださいね。 https://sake-5.jp/sake-bottle/
日本酒ソムリエになるには?日本酒ソムリエになるためのおすすめの資格を3つ紹介
日本酒のエキスパートともいえる「日本酒ソムリエ」。近年は、仕事のためだけでなく、趣味を充実させるために日本酒ソムリエと呼ばれる資格を取得する方も増えています。 今回は、日本酒ソムリエを目指す方におすすめの3つの資格をご紹介します。特別な受験要件がなく日本酒の基礎から学べる資格は、日本酒ビギナーにもおすすめです。 「日本酒についてもっと本格的に知りたい」「将来はお酒に関する仕事がしたい」という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。 1.「日本酒ソムリエ」とは日本酒に関する資格の通称 「日本酒ソムリエ」とは、日本酒に関するさまざまな資格の通称です。「日本酒ソムリエ」が正式名称の資格があるわけではありません。 そもそもソムリエとは、レストランなどで料理に合わせたワインを提供するワインのエキスパートのこと。近年は、野菜ソムリエ、紅茶ソムリエなど、ある分野における一定の知識や技能を有する資格名称にも用いられています。 1-1.日本酒ソムリエを目指したい方におすすめ!3つの資格 「日本酒のエキスパート、日本酒ソムリエになりたい!」そんな方には、次の3つの資格がおすすめです。 1.唎酒師(ききさけし) 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格です。日本酒の専門知識や料理とのペアリングのポイント、テイスティング能力などが身に付けられます。 日本酒に関する資格としての歴史は長く、これまで資格取得した方は世界で4万人以上。日本酒を提供するプロのほか、一般の方が取得するケースも多くみられます。 出典元:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「唎酒師」 2.SAKE DIPLOMA(正式名称J.S.A. SAKE DIPLOMA認定試験) ワインの専門家「ソムリエ」を育成する、一般社団法人日本ソムリエ協会が制定した資格です。試験は第2次試験まであり、日本酒と焼酎に特化した幅広い知識、サービス技術などが求められます。 3.酒匠(さかしょう) 唎酒師の上位に位置する資格です。2日間の講習会では、テイスティング能力を磨くためのカリキュラムが組まれています。 受験者に多いのは、飲食店や酒販店の経営者や商品担当者、酒類卸売業のバイヤーなどです。受験のために唎酒師と焼酎唎酒師、両方の資格取得が必要なことからもより専門性の高い資格といえるでしょう。 出典元:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「酒匠」 2.日本酒を基礎から学べる「唎酒師(ききさけし)」 「唎酒師(ききさけし)」は、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格です。日本酒の基礎知識から提供方法まで、幅広いスキルが身に付けられます。 1991年の制定以来、認定を受けた方は世界中で4万人以上。日本酒のソムリエとも呼ばれ、酒販店や飲食店で働く方を中心に多くの人が資格を取得しています。 一方で、受験者のなかには一般の方が多いことも特徴です。特別な受験要件はなく、趣味の充実の一環として資格取得するケースも多くみられます。 2-1.唎酒師の資格取得コースは6つ 唎酒師資格を取得する方法は、通学や在宅など6つのコースから選択できます。試験は会場で受けるほか、在宅受験も可能です。時間がない方、遠方で会場まで足を運べない方には、決められた課題を提出することで資格取得できるコースも用意されています。 1日通学コース 指定会場での講習会を1日受講したのち、別日の試験を受験するコースです。講習会は1~2カ月に1回、東京・大阪をメインに開催されています。 会場に足を運べない場合は、パソコンやスマートフォンなどを使ったリアルタイム受講も可能です。専任講師の直接指導を受けられ、試験日までの復習期間もしっかり確保できます。 受講場所 ・東京、大阪、LIVE配信 受験場所 ・東京、大阪、在宅 費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) ・会場受講、会場受験 ・LIVE配信受講、会場受験 118,700円 ・会場受験、在宅受験(パーソナル方式) ・LIVE配信受講、在宅受験(パーソナル方式) 136,700円 FBO認定会員費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) ・会場受講、会場受験 ・LIVE配信受講、会場受験 41,900円 ・会場受験、在宅受験(パーソナル方式) ・LIVE配信受講、在宅受験(パーソナル方式) 59,900円 2日間集中コース もっとも早く資格取得できるコースです。2日間の講義を受けた後、即日試験に臨みます。試験で不合格になった場合も、補習や再試験を受けられるため安心です。直接指導を受けながら、集中して資格取得に取り組むことができます。 受講、受験場所 ・東京、大阪 費用 (教材費、合格時の諸費用、1日目の昼食、夜の軽食、2日目の昼食含む・税込) 139,100円 FBO認定会員費用 (教材費、合格時の諸費用、夜の軽食、2日目の昼食含む・税込) 52,100円 通信コース 自宅に届いた教材を参考に、じっくりと課題に向き合えるコースです。会場受験を受ける代わりに、月1回の課題を全3回提出します。専任講師がマンツーマンで添削するため、自宅での学習も安心です。 費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) 138,300円 FBO認定会員費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) 51,700円 通信コース短期集中プログラム 「受講、受験会場へ足を運ぶのが難しい」「それでもなるべく早く資格を取得したい」という方におすすめのコースです。通常の通信コースでは3回にわけて提出する課題を、1回でまとめて提出します。そのため、最短1カ月で資格取得が可能です。 費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) 158,300円 FBO認定会員費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) 61,700円 eラーニングコース 申し込みから学習、資格取得までオンラインで完結。スマートフォンやタブレットなどで、1問5分から課題に取り組めるコースです。デジタルテキストをダウンロードでき、最短1.5カ月で唎酒師資格を取得できます。会場または在宅での受験する代わりに、全4回の課題提出が必要です。 費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) 128,700円 FBO認定会員費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) 46,900円 オンデマンド受講コース 場所や時間を選ばず、講義動画を何度でも視聴できるコースです。納得いくまで学習してから試験に臨めます。会場受験のほか在宅試験も可能です。 受講場所 ・在宅 受験場所 ・東京、大阪、在宅 費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) ・在宅試験(パーソナル方式) 136,700円 ・会場受験 118,700円 FBO認定会員費用 (教材費、合格時の諸費用含む・税込) ・在宅試験(パーソナル方式) 59,900円 ・会場受験 41,900円 参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「選べるコース」 2-2.唎酒師の受験資格、受験場所 唎酒師資格には、特別な受験要件はありません。20歳以上であればどなたでも受験できます。日本酒を基礎から学べるカリキュラムが組まれているため、日本酒ビギナーも安心です。 受験会場は、東京と大阪にわかれます。試験は毎月2~3回のペースで開催されているものの、あくまでも不定期のため事前確認が必要です。前述したように、コースによっては在宅試験も選択できます。 2-3.唎酒師の試験内容 唎酒師の試験問題は、カリキュラムで使用する教材のなかから出題されます。飲料全般の基礎知識や日本酒の原料、製法などが問われる内容です。 試験は第1次~4次まで4部で構成され、各50分ずつ1日ですべて完了するよう予定されています。第3次試験は、実際に日本酒を口に含むテイスティングを伴う試験です。第4次試験では、日本酒をどのようにサービス、プロモーションするかを筆記で解答します。 どんな内容が出題されるの?と気になる方は、SSIが公表している以下の例題を参考にしてみてくださいね。 唎酒師 第1次試験 例題 参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「試験について」 2-4.試験合格後の手続き 唎酒師試験合格後は、FBO会員の認定登録が必要です。入会しない場合は、唎酒師として活動できないため注意してください。 認定後は認定証書や認定章が発行され、認定証書は店舗などに設置できます。また、その後はFBO主催のセミナーなどに優待価格で参加できます。 3.SAKE DIPLOMA(サケディプロマ) 「SAKE DIPLOMA(サケディプロマ)」は、一般社団法人日本ソムリエ協会が認定する日本酒や焼酎に特化した資格です。英語でDIPLOMAとは、卒業証書や免状のことを意味します。SAKE DIPLOMAの資格試験では、日本酒の基礎知識からテイスティング能力、サービス技術まで幅広いスキルが求められます。 3-1.SAKE DIPLOMA申込みの流れ SAKE DIPLOMAの資格試験は、年に1度、第1次試験、第2次試験にわけて開催されます。第1次試験を受験するためには、Webによる申し込みが必要です。 第1次試験の会場は、全国47都道府県内に設けられています。第1次試験合格後、約2~3カ月後に開催される第2次試験を受験する流れです。 第1次試験は、1人2回まで受験できます。また、翌5年間のうち3回まで1次試験免除で受験できる試験免除制度も設けられています。 3-3.SAKE DIPLOMAの受験資格 SAKE DIPLOMAの資格試験は、その年に設けられている基準日(2022年は8月31日)時点で満20歳以上であれば、国籍や職種問わず受験できます。 ただし、海外に居住している場合は、日本国内に書類送付できる場所が必要です。また、すでにSAKE DIPLOMA資格を保有している方は、新たに受験できないことになっています。 3-4.SAKE DIPLOMAの受験料 SAKE DIPLOMAの受験料は、受験回数や日本ソムリエ協会への入会の有無によって異なります。第1次試験は2回まで受験できますが、申し込み時に「1回受験」を選択すると後から回数を追加できないため気を付けてください。 一次試験から受験する場合 受験回数 1回 2回 一般 29,600円 34,400円 会員 20,380円 25,220円 ※2次試験の受験料、教本代、税込 二次試験から受験する場合 一般 14,210円 会員 7,300円 ※教本なし、税込 3-5.SAKE DIPLOMAの試験内容 第1次試験 第1次試験は、 J.S.A. SAKE DIPLOMA教本(second edition)より出題されます。コンピューターで回答するCBT方式の試験で、その場で合否の確認が可能です。 2次試験 第2次試験は、テイスティングと論述試験です。試験は会場の規模や人数に応じた方法で実施されます。確かなテイスティング能力とともに、酒米や酵母の種類、製造法による味の違いなど、幅広い分野について回答できるスキルが求められます。 4.酒匠(さかしょう) 「酒匠(さかしょう)」は、唎酒師と同様に日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格です。2日連続で行われる講習会では、テイスティング能力を向上させるためのトレーニングがおこなわれます。 前述した2つの資格と異なり、一定の受験要件がある資格です。酒類提供の仕事に就く方や、唎酒師からのさらなるステップアップを目指す方に支持されています。 4-1.酒匠の受験には「唎酒師」「焼酎唎酒師」資格が必要 酒匠を受験するには、あらかじめ「唎酒師」と「焼酎唎酒師」資格が必要です。それぞれの資格認定を受けていない場合、酒匠申し込み前に資格取得のためのコースに申し込む必要があります。 そのうえで、以下の3つのいずれかの条件を満たすことが資格取得の条件としてあげられます。 講習会日程に合わせて開催される「VR日本酒製造体験プログラム」への申し込み、および参加すること。 FBO及び提携加盟団体が主催するセミナーなどへの参加履歴があること。 「蔵元見学証明書」を提出すること。 1の「VR日本酒製造体験プログラム」は、VRゴーグルを着用し、酒蔵内の映像を見ながら酒造りの作業を体験できるプログラムです。 また、2に該当するセミナーには、「蔵元体験実習」や「日本酒学講師とめぐる蔵元見学ツアー」などが挙げられます。その年により内容は異なるため、あらかじめ公式サイトで確認するのがおすすめです。3の蔵元見学証明書は、公式サイトからダウンロードできます。 参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「酒匠」 4-2.酒匠講習会のカリキュラム 酒匠の講習会は、2日間にわたってカリキュラムが組まれています。1日目は日本酒、2日目は焼酎を中心とした内容です。 講習会では、香りのサンプルや水溶液などを用いながら嗅覚や味覚向上のための基礎トレーニングをおこなっていきます。1日目の後半では、料理とのペアリング法も習得可能です。土日開催と平日開催の2パターンが用意されているため、ライフスタイルに合ったコースを選択できます。 4-3.酒匠の受講受験プラン費用 酒匠の資格を取得するには、受講と受験をあわせたプランを申し込む必要があります。受講のみでの申し込みはできないため、注意してください。また、試験が不合格だった場合は再受験料、合格後は認定登録料が別途必要です。 受講受験プラン (相性体験用食事、教材費、2日分の昼食・税込) 114,000円 4-4.酒匠の試験内容 酒匠の試験は、1次から4次まで各50分ずつ設けられています。1次試験、2次試験は選択記述式の筆記試験。3次と4次はテイスティングを伴う筆記試験です。 1次、2次試験は「酒匠テキスト」から問題が出題されます。4次試験では日本酒の味わいを視覚化するポジショニングMAPや同軸グラフなどを作成しなくてはいけません。また、テイスティングコメントの作成問題もあるなど、お酒の特性を他者に伝えるためのスキルが求められます。 まとめ 日本酒ソムリエになるには、唎酒師やSAKE...
日本酒の冷やと冷酒の違いは?それぞれのおすすめの楽しみ方も紹介!
日本酒の「冷酒」と「冷や」。字面はよく似ていますが、実は違う温度帯のお酒です。具体的にどう違うの?と飲食店のオーダー時に迷うこともあるのではないでしょうか。 そこで今回は、冷酒と冷やの違いについて解説!具体的な温度帯やおすすめの料理、酒器などもご紹介します。それぞれの違いを知れば、日本酒をもっと美味しく自由に楽しめるようになりますよ。 1.日本酒の「冷酒」と「冷や」の違いは温度 日本酒の「冷酒(れいしゅ)」と「冷や(ひや)」の違いは、温度です。冷酒はつめたく冷やしたお酒。冷やは、常温のお酒を意味します。 飲食店などで冷たい日本酒が飲みたくて「冷やをください」と注文したはずが、冷えていないお酒がでてきたら? もしかしたら、それは「冷や=常温」だったからかもしれません。まずは、それぞれの違いをしっかり確認していきましょう。 1-1.「冷酒」は冷やした日本酒 「冷酒」は、つめたく冷やした日本酒のことです。例えば、酒販店などで冷蔵庫に入っているお酒は、すべて冷酒の状態で販売されていることになります。飲食店でも、冷酒と書かれている場合、提供されるのは冷たいお酒です。 また、日本酒には加熱処理をしていない「生酒(なまざけ・きざけ)」と呼ばれるタイプがあります。鮮度が持ち味の生酒は、冷蔵保管し冷酒で味わうのが一般的です。 1-2.「冷や」は常温の日本酒 「冷や」は、常温の日本酒で「冷や酒(ひやざけ)」と呼ばれることもあります。常温のお酒を冷やと呼ぶのは、冷蔵庫がなかった時代の名残です。当時のお酒は常温か燗酒かの2タイプしかなく、温かい「燗酒」以外のお酒はすべて「冷や」と呼ばれていました。 常温といっても、夏と冬では温度はまったく異なります。そのため、冷やはその時期にあわせた日本酒本来の味わいを楽しめることが特徴です。 2.日本酒の温度帯ごとの呼び方 日本酒の呼び方は大きく3つ。こちらで紹介している「冷酒」と「冷や」、そして「燗酒」にわかれます。 さらに、冷酒と燗酒は、温度帯ごとの呼び方が存在するのが日本酒のおもしろいところ。飲食店で冷酒を頼むときも、「雪冷えでお願いします」と伝えればぐっと日本酒通な雰囲気になりますよ。 2-1.冷酒の温度別の呼び方 雪冷え(ゆきびえ) 雪のように冷えていることを意味する雪冷えの温度は5℃。香りは抑えられ、シャープな味わいが引き立ちます。 花冷え(はなびえ) 花冷えは、花もつめたく冷える10℃前後の温度帯です。また、春先の寒の戻りを意味する言葉としても用いられます。 涼冷え(すずびえ) 涼やかなつめたさを意味する涼冷えは、15℃前後。華やかな香りとともに、スッキリとした飲み口を楽しめる温度帯です。 2-2.燗酒の温度別の呼び方 日向燗(ひなたかん) ぽかぽかとした日向をイメージさせる日向燗は、30℃前後の日本酒です。燗酒のなかでもいちばん低い温度帯で、お酒本来の味、香りとともにやわらかな旨味を楽しめます。 人肌燗(ひとはだかん) 人肌燗は、35℃前後の温度帯です。唇に当てたとき「ちょっとぬるいかな」と感じる温度で、まろやかな米の旨味が口のなかでゆっくりと広がります。 ぬる燗 燗酒というと「ぬる燗」をイメージする人も多いのではないでしょうか。実はこのぬる燗、「ぬるい」と言いつつ温度は40℃前後。口にしたとき、やや熱さを感じる温度帯です。 上燗(じょうかん) ぬる燗の次に熱いのが、45℃前後の上燗です。唇に触れると、しっかりと熱さが感じられます。温もりとともに、お酒のキレ味も楽しめますよ。 熱燗(あつかん) 寒い時期にぜひおすすめしたいのが、50℃前後の熱燗です。お猪口に注げばふわ~っと湯気がたち、米の香りが広がります。日本酒のキリッとした旨味を楽しみたい方に好まれる温度帯です。 飛びきり燗 55℃をこえる日本酒は、飛びきり燗と呼ばれます。飛び切り熱いから飛び切り燗、と考えるとなんだかおもしろいですよね。熱さにより、アルコールの刺激やお酒の香りはより一層際立ちます。 3.冷やにおすすめの日本酒と楽しみ方 日本酒は、原料や製造方法によってさまざまな種類にわかれます。なかでも、冷やにおすすめの種類は以下の2つです。 本醸造酒 純米酒 これらのお酒は香りがおだやかで、本醸造酒はスッキリした味わい、純米酒はまろやかな旨味を常温で楽しめます。おすすめの料理とのペアリングや酒器もご紹介していきますね。 3-1.冷やは和食とのペアリングがおすすめ 冷やは和食と相性の良いお酒です。特に、ブリ大根や焼き魚、煮物といった和食の定番とのペアリングがおすすめ。常温のやわらかな旨味が料理に寄り添い、その味わいを引き立ててくれます。本醸造酒や純米酒は燗酒でも美味しく、気分にあわせて温めて楽しめますよ。 3-2.冷やの日本酒におすすめの酒器 冷やの日本酒は、お猪口やぐい呑みで味わうのがおすすめです。お猪口は燗酒にも使われる小さめの酒器。ぐい呑みは、お猪口よりも若干大きなサイズの酒器です。 材質は陶器や磁器などの焼き物が一般的ですが、常温の冷やであればガラス製の酒器でも楽しめます。その日の気分や料理にあわせ、好みの酒器とコーディネートしてみてくださいね。 4.冷酒におすすめの日本酒と楽しみ方 冷酒には、フルーティーな香りを楽しめる以下のような日本酒がおすすめです。 吟醸酒 大吟醸酒 純米吟醸酒 純米大吟醸酒 吟醸(ぎんじょう)と付くお酒は華やかな香りが特徴的で、適度に冷やすとクリアな味わいがより引き立ちます。ただし、冷やしすぎると香りが飛んでしまうため気を付けてくださいね。 また、前述したように「生酒」と書いてあるお酒も冷酒がおすすめです。そのほか、アルコール度数が高めの「原酒」は、ロックスタイルにするとぐっと飲みやすくなります。 4-1.冷酒におすすめの料理 クリアな飲み口を楽しめる冷酒には、淡白な味わいの料理がおすすめです。和食であれば、刺身や冷奴、枝豆のようなメニューが良く合います。ロックのようにしっかり冷やしたお酒は、唐揚げやフライドポテトのような揚げ物と合わせても美味しいですよ。 また、スッキリした味わいの冷酒は、カルパッチョや白身魚のムニエル、フレッシュチーズを使ったメニューと好相性。日本酒を飲み慣れないうちは、白ワインにあわせるイメージで料理を選んでみてくださいね。 4-2.冷酒におすすめの酒器 冷酒には、ガラス製の酒器がおすすめです。ひんやりとした温度帯を目や肌で感じられます。 華やかな香りの冷酒は、ぜひワイングラスに注いで味わってみてください。ぽってりとしたグラスの形状が、お酒の香りを包み込んでくれます。ガラス製のグラスは口あたりがスムースで、シャープな飲み口も楽しめますよ。 まとめ 似ているようで実はまったく違う「冷酒」と「冷や」の世界。温度により変わる香りや味わいは、日本酒ならではの魅力です。それぞれの特徴を知っておくと、さらに自由に日本酒の世界を楽しめます。 より美味しく味わうには、料理や酒器にもひと工夫。「今日はお気に入りのぐい吞みで冷やの気分」「今夜は冷酒と冷奴できゅーっと一杯」など、ぜひ思い思いに美味しい日本酒を味わってくださいね。
【コンビニ別】各コンビニに売られている日本酒を紹介!
「手軽に美味しい日本酒が楽しみたい!」そんなときは、コンビニの日本酒がおすすめです。おつまみと一緒に、本格的な1本からボトル缶までさまざまな商品を購入できます。 今回は、セブンイレブンやファミリーマートの公式サイトで紹介されている日本酒をご紹介!ぜひ、お家で日本酒を飲むときの参考にしてくださいね。 1.セブンイレブンで販売されている日本酒 セブンイレブンでは、定番商品のほか、地域や店舗ごとに異なる商品を取り扱っています。こちらでは、セブンプレミアムで販売されている日本酒と地域限定酒をご紹介。お手頃価格で本格的な味わいを楽しめますよ。 1-1.7プレミアム 松竹梅 純米酒 純米酒とは、米と米こうじのみで造られたお酒のことです。こちらの「7プレミアム 松竹梅」は、大手酒造メーカー宝酒造とのコラボ商品。コクがありつつスッキリとした味わいです。900mlあたり500円台とコストパフォーマンスも優れています。 (出典元:セブン‐イレブン~近くて便利~) 1-2.7プレミアム 鬼ころし 「鬼ころし」は、愛知県の清洲桜醸造株式会社が手がけるお酒です。味わいは飲み飽きしない辛口タイプ。燗酒にしても美味しく楽しめます。セブンのおでんやお惣菜をおともにした、家飲みにぴったりの商品です。 (出典元:セブン‐イレブン~近くて便利~) 1-3.地域限定の日本酒 こちらは新潟県限定の商品!青木酒造のその名も「雪男」です。純米酒らしいコクがありつつ、後口はキリリ。ちょっと濃い味付けのおつまみによく合います。新潟県のお土産に、思わず連れ帰りたくなるかわいらしさも魅力です。 (出典元:セブン‐イレブン~近くて便利~) 2.ファミリーマートで販売されている日本酒 お次はファミリーマートで販売されている日本酒をご紹介!カジュアルなボトル缶から本格的な1本まで、幅広いラインナップが揃いました。(ラインナップの豊富さは店舗によって異なります。)その日の気分やシーンに合わせたお酒を購入できますよ。 2-1.上撰 辛口 鬼ころし こちらはキリリっと辛口の「鬼ころし」です。900ml400円台と、お手頃価格も魅力的。コンビニで手軽に購入できる缶詰おつまみとあわせるのもおすすめです。 (出典元:ファミリーマート) 2-2.純米酒パック まろやかでコクのあるタイプが恋しい時はこちら、月桂冠の純米酒パックはいかがでしょうか。塩辛やすじ煮込みなどと一緒に購入すれば、お酒好きの心を満たす晩酌セットのできあがり。国産米100%の本格的な味わいも魅力です。 (出典元:ファミリーマート) 2-3.一ノ蔵 辛口本醸造 「お酒はスッキリ、辛口が好み」という方にはこちら「一ノ蔵(いちのくら)」の辛口本醸造がおすすめです。香りは穏やかでスイスイと飲み進めてしまう美味しさ。ぜひ、スルメのような定番おつまみを合わせてお楽しみください。 (出典元:ファミリーマート) 2-4.立山酒造 純米吟醸立山 「立山(たてやま)」は富山県生まれの日本酒です。こちらはファミリーマート限定商品。1000円台で本格的な味わいを堪能できます。さわやかな香りと芳醇な旨味、適度な酸味が心地よく冷やから燗まで幅広い温度帯で味わえますよ。 (出典元:ファミリーマート) 2-5.日本盛 サケボトル しぼりたて 大吟醸 「日本酒は1本の量が多いんだよなぁ…」そんな悩みを解消してくれるのがこちら、日本酒ボトル缶です。容量は1本あたり200ml。これくらいがちょうどいい!という方も多いのではないでしょうか。キャップを開ければ、しぼりたてのフレッシュな味わいをすぐに楽しめます。 (出典元:ファミリーマート) 2-6.浦霞 純米酒 こちらは宮城県の老舗蔵、株式会社佐浦のお酒です。本格的な日本酒をミニサイズで購入できるのはコンビニならでは。純米酒の芳醇な旨味ときれいな飲み口を堪能できます。 (出典元:ファミリーマート) 2-7.朝日山 純米酒 「朝日山(あさひやま)」の純米酒は、適度なコクとキレの良さをあわせ持つお酒です。適度に温めるとふくよかな旨味が広がります。レジ横に並ぶ焼き鳥などとセットで購入したい美味しさです。 (出典元:ファミリーマート) まとめ 「今日は美味しいお酒が飲みたい」そんな気分を満たしてくれるコンビニの日本酒たち。乾きものからお惣菜まで、美味しいおつまみも一緒に購入できます。 飲み切りサイズが豊富なこともうれしいポイントです。いつもはビールやチューハイに直行!という方も、ぜひ日本酒の棚をチェックして美味しいお酒を楽しんでくださいね。
日本酒検定ってどんな試験?日本酒検定について徹底解説
「日本酒が好き」「日本酒についてもっと詳しくなりたい」そんな方におすすめしたいのが、一般の方も受検できる日本酒検定です。 日本酒検定は、その名のとおり日本酒に関する知識が問われる認定試験。20歳以上であれば誰でも受検資格があり、試験対策用の公式テキストも販売されています。 自分で日本酒を楽しむのはもちろん、思わず誰かに教えたくなるような日本酒の豆知識を身につけられるこの資格。こちらでは、日本酒検定を受検するメリットや難易度、受検方法などついてご紹介します。 1.日本酒検定とは?難易度や概要 日本酒検定は、日本酒に関する知識を身に付けられる民間の検定試験です。主催は、日本酒の魅力を伝えるためさまざまな事業を展開する日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)。販売者向けの「唎酒師(ききさけし)」もSSIが認定する資格です。 消費者向けの検定試験、日本酒検定は消費者に「日本酒をもっと楽しんでもらうこと」を目的に実施されています。 2010年(平成22年)から開始され、現在までに累計約5,000人が合格。2021年(令和3年)は、年間1,500人以上が日本酒検定を受検しています。 参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」 1-1.日本酒検定は5級から1級の全6段階 日本酒検定は、基礎的な知識を学べる5級から、日本酒のあらゆることに精通していることを認定する準1級。さらに、準1級合格者のみ受検できる1級と、全6段階にわかれます。 5~3級で学べるのは「日本酒を楽しむ」ために役立つ知識です。ラベルに書いてある内容や製造方法、美味しく飲むための温度や酒器について知ることができます。 「日本酒が好きだけど、種類がわかりづらいな」「もっといろいろ知れたら美味しく楽しめそうなのに」そう感じている方におすすめの検定試験といえるでしょう。 項目 内容 歴史、文化 歴史、文化(飲酒文化、地域文化など) 造り方 原料(米、水、微生物)、製造方法 モラル・マナー 未成年飲酒の危険性や飲酒運転の撲滅など、飲酒のモラル・マナー 楽しみ方 飲用温度、酒器、料理との相性、ラベルの読み方など 雑学 生産量、消費量、海外事情、銘柄、醸造元などさまざまなこと 参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」 1-2.日本酒検定の難易度は?級別の合格率(合格基準) 日本酒検定を実施しているSSIでは、具体的な受検者数と合格率については発表していません。しかし、それぞれの級によって、合格するための基準が定められています。 級 合格基準 (正答率) 出題方式 受験資格 1級 85%以上 四肢択一選択方式 50 問 準1級合格者 準1級 80%以上 四肢択一選択方式 50 問 2級合格者 日本酒学講師 唎酒匠認定者 2級 75%以上 四肢択一選択方式 50 問 3級合格者 唎酒師認定者 3級 70%以上 四肢択一選択方式 50 問 20歳以上 4級 70%以上 二肢択一選択方式 30 問 20歳以上 5級 70%以上 正誤選択方式 30 問 20歳以上 引用:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」 3級までの合格基準70%以上であるのに比べ、1級は85%以上と50問中43問正解することが必須となります。 また、3級までは20歳以上であれば誰でも受検できますが、2級以上はそれぞれ受検資格が設けられています。上位検定を目指すのであればしっかりと事前準備をし、うっかりミスやとりこぼしのないように臨みたいですね。 2.日本酒検定の受検方法 日本酒検定は、級により受検場所や開催時期が異なります。4~5級はインターネット上で24時間受検でき、日中忙しい方にもおすすめです。 3級以上になると場所や時期も限られてきます。準1級や1級は会場受検のみとなるため、あらかじめ内容を確認しスケジュールを組み立てていきましょう。ここでは、2023年に予定されている認定試験の概要を紹介します。 2-1.日本酒検定の受検場所 日本酒検定の4級、5級はインターネット受検が可能です。また、2級、3級はテストセンターで受けられるCBT試験が設けられています。 日本酒検定4級・5級 開催場所 インターネット受検 開催日時 24時間 特徴 不合格でも2回まで再受検可能 日本酒検定2級・3級(CTB試験) 開催場所 全国47都道府県のテストセンター 開催日時 希望の日時 特徴 結果がその場ですぐわかる 日本酒検定1級・準1級・2級・3級 開催場所 東京、大阪 開催日時 2023年3月11日(土) 1部 10:30~11:20 2部 13:00~13:50 3部 15:30~16:20 特徴 全国主要都市(東京、大阪ほか)開催は2023年9月9日(土)予定 引用:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」 2-2.日本酒検定の申込方法と受検料 日本酒検定は、以下のSSIの公式サイトから受検申込できます。 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」 4級、5級のネット検定は、ログイン後に支払いを完了すれば24時間受検が可能です。受検費用は級によって次のように異なります。 級 受検料(税込) 4級、5級 1,000円 3級CBT試験 4,650円 3級会場受検 3,650円 2級CBT試験 5,200円 2級会場受検 4,200円 準1級会場受検 4,750円 1級会場受検 5,250円 3.日本酒検定の級別過去問にチャレンジ! 実際に検定試験を受けるとなると、内容が気になるものではないでしょうか。ここでは、日本酒検定の過去問にチャレンジ!3級と1級の検定試験で出題された内容を紹介します。 3-1.日本酒検定3級の試験内容 3級は、公式テキスト『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』の内容が出題範囲です。日本酒の基礎知識に関するものが中心で、過去には以下のような問題が出題されています。 米の中心部分に見える白色不透明な部分を何と呼ぶか。 ① 掛米 ② 心白 ③ 胚芽 ④ 肌白 酒造年度を指す略称で正しいものはどれか。 ① FY ② CY ③ RY ④ BY 戦後の米不足を補うためにアルコールや糖類などで増量した酒を何と呼んでいたか。 ① 本醸造酒 ② 合成清酒 ③ 普通酒 ④ 三増酒 参考:日本酒検定3級 問1の正解は、②の心白(しんぱく)です。日本酒造りに使われる酒米には、白く濁る心白部分がより多く出現します。問2、問3とも答えは④になります。 また、「広島県を代表する酒造好適米は?」「割水をしない製品は?」など、日本酒を選ぶ際に役立つ基礎知識ももりだくさん。ラベルに書いてある内容を理解できるようになり、日本酒を飲むのがより楽しくなりますよ。 3-2.日本酒検定1級の試験内容 日本酒検定1級は、準1級合格者が受検できる検定試験です。1級の試験では日本酒に幅広く精通し、他者へ伝えられるレベルが求められます。 例えば、心白に関する問題は、以下のようにより具体的なものに変化します。 問 高精白が可能で、「蔵の華」を代表とする心白の部類はどれか ① 点状心白 ② 線状心白 ③...
日本酒はカロリーが高くて太りやすいお酒?日本酒で太らないためのポイントを解説
日本酒は、100mlあたり約100kcalのお酒です。ダイエット中は「おちょこ1杯あたりのカロリーは?」、「一合だとどのくらい?」など気になることもあるのではないでしょうか。 今回は、日本酒のカロリーについて詳しく解説。ほかのお酒と比較しつつ、日本酒を美味しく楽しむためのポイントをご紹介します! 1.日本酒のカロリーは100gあたり103~109kcal 日本酒のカロリーは、100gあたり103~109kcalです。原料がお米の日本酒は「カロリーが高い」というイメージを持たれがち。まずは、日本酒とワイン、ビールなどのカロリーを比較してみましょう。 カロリー (kcal/100gあたり) 日本酒(純米酒) 103 赤ワイン 73 ビール(淡色) 40 ウイスキー 237 焼酎(単式蒸溜) 146 【参考】文部科学省「第2章 日本食品標準成分表」 こうしてみると、カロリーはウイスキーが一番高く、次いで焼酎、日本酒と続くのがわかります。ただし、ウイスキーや焼酎、日本酒はアルコール度数が高いお酒です。 日本酒のアルコール度数が15度前後であるのに対し、ビールのアルコール度数は5度前後。ビールをジョッキでグビグビっと飲むことはあっても、日本酒を同じように飲むことは少ないですよね。ウイスキーや焼酎なども水割りやロックで飲むことが多く、1度に口にする量は限られてくるでしょう。 2.日本酒おちょこ1杯のカロリーは? ここからは、以下の酒器を使ったときの日本酒のカロリーをみていきましょう。 おちょこ 徳利 ワイングラス 日本酒は、小さなおちょこで飲むことが多いお酒です。飲食店では、徳利(とっくり)に入って出てくるイメージも強いですよね。近年は、ワイングラスで日本酒を飲むスタイルも主流となってきました。ぜひ、お酒を飲むときの参考にしてください。 2-1.おちょこ1杯は約74~78kcal おちょこには、2勺(約36nml)から5勺(約90ml)までサイズがあります。一般的に利用されるのは、小さな2勺のおちょこです。そのため、おちょこ1杯の分量は約72ml。カロリーは約74~78kcalになります。 2-2.徳利1本は約155~196kcal 徳利は、日本酒をおちょこに注ぐための酒器です。徳利には、一合徳利や二合徳利などのサイズがあります。 一般的に用いられるのは、一合サイズの徳利です。また、飲食店などでは「八勺燗(はっしゃくかん)」と呼ばれる徳利を使うケースも多々あります。八勺燗は、約150ml容量しか入らない徳利です。 八勺燗も含め、徳利1本あたりのカロリーは約155~196kcalになると考えられます。お店で徳利に入ったお酒が出てきたときの参考にしてくださいね。 2-3.ワイングラスで飲む日本酒は約72~87kcal 香り高い日本酒は、ワイングラスに注ぐとより華やかな香りを楽しめます。ワイングラスの老舗「RIEDEL(リーデル)」が推奨する分量は、グラスの底から指2本分の高さまで注いだ約70~80mlです。 そのため、カロリーは約72~87kcalになります。飲食店ではワインと同様に90~150mlで提供するスタイルも多く、その場合、1杯あたりのカロリーは90kcal以上になるでしょう。 3.カロリーを抑えつつ日本酒を楽しむポイント カロリーは気になる!でも美味しいお酒は飲みたい。そんなときは、次のポイントに気を付けてみましょう。 空きっ腹で日本酒を飲まない おつまみはヘルシーなものを選ぶ 冷酒よりも熱燗で楽しむ これらのポイントに気を付ければ、飲みすぎ防止につながりカロリーが抑えられます。また、ダイエット中であればあわせるおつまみにも気を配りたいところです。いつもつい飲みすぎてしまう、食べ過ぎてしまうという方は、ぜひチェックしてみてください。 3-1.空きっ腹で日本酒を飲まない 空きっ腹で日本酒を飲むと、アルコール分が急速に吸収されすぐに酔いが回ってしまいます。悪酔いや二日酔いにつながるだけでなく、ついつい飲みすぎ、食べ過ぎにつながってしまうため注意が必要です。 胃壁を保護するためにも、お酒を飲む前は軽く何か口にいれておきましょう。なかでも、チーズやナッツのような良質な脂肪を含む食材は、胃の粘膜が守られるだけでなくアルコールの吸収速度を抑えることができます。 3-2.おつまみはヘルシーなものを選ぶ ダイエット中は、おつまみもカロリーの低いものをチョイス。飲酒時の体内では、食べ物よりアルコールのカロリー消費が優先されるといわれています。食べ物のカロリー消費は後回しになってしまうため、高カロリーのおつまみは特に注意が必要です。 おすすめは、高タンパク低脂質のおつまみ。定番の枝豆には、タンパク質だけでなく、ビタミンや食物繊維、ミネラルなどさまざまな栄養素が含まれています。 冷奴や刺身などもカロリーが低く、こっくりとした旨口のお酒からキレのある辛口酒まで、さまざまなタイプのお酒にあわせて楽しめますよ。 3-3.冷酒よりも燗酒で楽しむ 冷たいお酒は口当たりが良く、ついつい飲みすぎてしまいがちです。日本酒を飲むときのカロリーを抑えたいときは、冷酒よりも燗酒で楽しみましょう。温かいお酒は自然とゆっくり味わうようになり、飲みすぎを予防できます。 特に、米と米麹だけで造られる「純米酒」や、昔ながらの製法で造られる「山廃」などのお酒は、燗酒にするとさらなる魅力が広がります。燗酒は寒い冬だけのものと決めつけず、ぜひいろいろなシーンで味わってみてください。 まとめ 日本酒は、ビールなどに比べるとカロリーが高いお酒です。一方で、アルコール度数の高さから一度に口にできる量は限られます。 カロリーが気になるときは、低カロリーのおつまみをおともにゆっくり味わうのがおすすめです。飲みすぎ食べ過ぎを防ぐことができます。「ちょっとカロリーが気になるな」というときは、ぜひ工夫しながら美味しく日本酒を楽しんでくださいね。
醸造酒と蒸留酒の違いとは?醸造酒と蒸留酒の代表的なお酒も解説
日本酒にビール、焼酎にワイン、ウイスキー…。世の中に存在するお酒の数々は、製造方法によって「醸造酒」や「蒸留酒」、「混成酒」などに分類されます。日本酒は、米と米こうじから造られる醸造酒です。 今回は、醸造酒の日本酒資格「唎酒師」と、蒸留酒のウイスキー資格「ウイスキーエキスパート」を持つ筆者が、醸造酒と蒸留酒の違い、種類について紹介します。 日本酒と焼酎は製法が似ていたり、ウイスキーを造る酒蔵があったりと、知れば知るほど奥深いお酒の世界。早速その魅力について探っていきましょう。 1.醸造酒と蒸留酒の違いとは? 醸造酒と蒸留酒の大きな違いは製造方法です。それぞれに果実やハーブ、甘味料などを加えたものは混成酒と呼ばれます。 醸造と蒸溜の違いにより、お酒のアルコール度数やカロリー、糖質には変化が生まれます。日本酒は、醸造酒にあたるお酒です。まずは、蒸留酒との違いについてみていきましょう。 1-1.「醸造」と「蒸留」作り方の違い 「醸造」とは、発酵の力を利用してアルコールや食品を製造することです。発酵とは、微生物の力で食材を変化させることを意味します。日本酒のほか、味噌や醤油といった日本古来の調味料も発酵を経て生まれる食品です。 日本酒の「醸造」では、米と米こうじなどの原料に、酵母や水などを加えてアルコール発酵をおこないます。発酵の力でアルコールが生成され、お米がお酒へ変化するというわけです。 アルコール発酵が進んだ液体は、「もろみ」と呼ばれます。日本酒造りのもろみは、白くどろどろとした状態です。わたしたちが口にする日本酒は、このもろみを搾って造られています。 一方、蒸留酒の製造工程では、アルコール分を含むもろみを搾るのではなく加熱していきます。液体を加熱すると、湯気が立ち上りますよね。この湯気を特殊な機械で集め、冷やしてもう一度液体へ戻す製法が「蒸留」です。 一般的に、醸造酒の製造には発酵のための樽やタンクが用いられます。蒸留酒の製造は、ウイスキーのポットスチルをはじめとする蒸留器が用いられるのが大きな特徴です。 1-2.アルコール度数の違い 醸造と蒸留では、蒸留のほうが高いアルコールが生成されます。自然の力を利用する醸造はアルコール発酵に限界がありますが、蒸留は、水とアルコールの“沸点”の違いを利用することで純度の高いアルコールを取り出せるからです。 水は100℃で沸騰し、アルコールは約78℃で沸騰します。つまり、アルコール分を含むもろみを熱すると、先にアルコール分が蒸発し始めるというわけです。 アルコール分を含む気体を冷やせば、より度数の高い液体ができあがります。蒸留方法によっては、40~90度まで度数を高めることが可能です。 一方、発酵という自然の力でアルコールを生成する醸造酒の度数は、さほど高くはなりません。そのなかでも日本酒のアルコール度数は高く、原酒(げんしゅ)と呼ばれるできたての状態で18度近くになります。 1-3.カロリーや糖質の違い お酒の種類により異なるものの、カロリーは蒸留酒のほうが高くなりがちです。反面、糖質は醸造酒のほうが高くなります。 カロリー(100gあたり) 糖質(100gあたり) 日本酒(醸造酒) 103~109kcal 3.6~4.9g ウイスキー(蒸留酒) 237kcal 0g 参考:文部科学省「第2章 日本食品標準成分表」 ここでは、醸造酒の日本酒と、蒸留酒のウイスキーのカロリー、糖質を比較してみました。こうしてみると蒸留酒のカロリーがずいぶん高く感じられるのではないでしょうか。 ただし、蒸留酒はアルコール度数の高いお酒です。ロックやソーダ割りにすることも多く、一般的に1度に口にする量は醸造酒に比べ少なくなるでしょう。 1-4.酔いやすさに差はある? 人がお酒で「酔う」のは、肝臓で分解できなかったアルコールが血流に乗り脳まで到達し、脳を麻痺させるからといわれています。 肝臓がアルコールを分解する速度、アルコールが脳まで運ばれる速度は体質によりさまざまです。アルコール度数や酒量によっても、酔い方は変わってくるでしょう。 さまざまな成分を含む醸造酒は、アルコール分解に時間がかかるぶん、揮発したアルコールのみの蒸留酒に比べ酔いやすいといわれています。一方で、度数が高い蒸留酒は、飲むスピードや量によって酔いが回りやすいお酒です。 度数が低い醸造酒も、大量に飲めば悪酔いにつながってしまいます。美味しく楽しく酔うためには、醸造酒も蒸留酒も適量をゆっくりしたペースで飲むことが重要といえるでしょう。 2.醸造酒の種類と特徴 醸造酒の種類には、日本酒やビール、ワインなどが挙げられます。いずれも米や大麦、ブドウを原料にアルコール発酵で生まれるお酒です。 発酵には「単発酵」と「複発酵」の2つの仕組みがあります。ここでは、それぞれの仕組みの違いや、日本酒とビール、ワインとの関係性をみてきましょう。 2-1.日本酒 日本酒は、米と米こうじを原料に、アルコール発酵で生まれる醸造酒です。アルコール発酵には「糖類」が必要ですが、デンプンを主とする米には、糖類がほとんど含まれていません。 そのため、日本酒造りでは麹菌の力を借り、デンプンを糖類(ブドウ糖)へと変化させる「複発酵(糖化)」をおこないます。 日本酒造りの大きな特徴は、複発酵とアルコール発酵を1つのタンクで同時に進めることです。これは「並行複発酵」と呼ばれ、高いアルコール分が生成される手法になります。 ビールのアルコール度数が約5度、ワインの度数が約12度であるのに対し、アルコール発酵直後の日本酒の度数は18度前後です。古くから受け継がれる日本酒の並行複発酵は、世界でも珍しい醸造方法といわれています。 2-2.ビール ビールは、大麦麦芽やホップなどから生まれる醸造酒です。米と同様に、大麦にもアルコール発酵に必要な糖類はほとんど含まれていません。そのため、ビール造りでは大麦を水に浸け発芽させ「複発酵」を進めていきます。 日本酒と違い、糖化が終わってからアルコール発酵させるビール造りの製法は「単行複発酵」と呼ばれます。 また、ビールはその後の製法で「ラガー」や「エール」などの種類に分類されます。材料や作り方でいくつにも表情を変えるビールのなかでも、近年注目を集めているのが「クラフトビール」です。 クラフトビールとは、小さな醸造所で作られる個性的なビールのこと。なかには、日本酒造りの工程で出る酒粕を利用したビールも誕生しています。 鳥取県の酒蔵「元帥(げんすい)酒造」と、地元のブリュワリー「BREW LAB KURAYOSHI (倉吉ビール株式会社)」とのコラボレーションビール『SAKEKASU BREW 酒粕ブリュー』もそのひとつ。ビールの弾ける泡のなかに、ホップ特有のコクと苦味、日本酒の旨味が広がります。 出典元:元帥酒造「SAKEKASU BREW 酒粕ブリュー」 2-3.ワイン ワインはブドウから生まれる醸造酒です。米や麦と違い、ブドウには糖分が含まれています。 そのため、ワインは日本酒やビールのような「複発酵(糖化)」の必要がありません。ブドウ果汁に酵母を加えてアルコール発酵させる「単発酵」の後、樽やタンクで熟成させればワインができあがります。 製造工程がシンプルなぶん、ワインはブドウの品質が仕上がりを大きく左右します。良質なブドウを栽培するうえで重視されるのが、場所や気候、土壌の要素を総称した「テロワール」です。 近年は、日本酒造りでも米が育つテロワールを重視する蔵が多くみられます。また、ブドウ栽培から瓶詰めまで一貫しておこなうワイン生産者「ドメーヌ」のように、米栽培からすべてを手掛ける蔵も少なくありません。 「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」を造る愛知県の「萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)」は、フランスでのワイン造りも手がける酒蔵です。兵庫県と岡山県、フランスにそれぞれ田んぼを持ち、日本酒の原料である米を育てています。 出典元:醸し人九平次 KUHEIJI また、山口県「永山本家酒造場」では、土地のテロワールを重視した『ドメーヌ貴』を製造。杜氏の永山ががワイナリーを訪れた経験から生まれたというお酒には、米が育つ土地や地域の人々への敬意が詰め込まれています。 参考:永山本家酒造場「貴」の公式オンラインストア 3.蒸留酒の種類と特徴 蒸留酒の種類には、焼酎やウイスキー、ウォッカなどのアルコール度数の高いお酒が挙げられます。 日本酒と並び、焼酎も日本で古い歴史を持つお酒です。日本酒と焼酎両方を造る酒蔵や、酒粕を使った酒粕焼酎を造る蔵も存在します。 また、近年は国産ウイスキーの世界的な人気を受け、ウイスキー造りを始める蔵も誕生しています。カクテルベースに使用されることの多いウォッカをはじめ、それぞれの特徴についてみていきましょう。 3-1.焼酎 焼酎は、麦や芋、糖蜜などを主原料とする蒸留酒です。アルコール度数36度未満の「甲類焼酎」と、45度以下の「乙類焼酎」2種類に分類されます。 穀類や芋を主原料とする乙類焼酎の製造工程では、日本酒造りと同様に米こうじを造る「製麹(せいぎく)」がおこなわれます。麹(こうじ)の力で穀類や芋のデンプン質を糖に変え、もろみを加熱し、蒸留するというわけです。 日本酒を造る酒蔵のなかには、製麹技術を活かし焼酎を製造する蔵も存在します。銘酒『八海山』で知られる「八海醸造」もそのひとつです。酒粕を使った『よろしく千萬(せんまん)あるべし』をはじめ、日本酒の製造技術を取り入れた米焼酎が造られています。 参考:八海山「製品情報」 3-2.ウイスキー ウイスキーは、大麦麦芽やトウモロコシなどを原料に生まれる蒸留酒です。大麦麦芽は「モルト」と呼ばれ、蒸留は2回または3回おこなわれます。 世界的なジャパニーズウイスキーの人気を受け、日本国内のウイスキー蒸留所の数は年々増加。2022年時点で稼働予定のものも含めると、その数は58カ所にのぼります。 近年は、日本酒を造る酒蔵がウイスキー製造をはじめるケースもみられます。また、日本酒『神鷹』で知られる「江井ヶ嶋酒造」は、ブーム以前からウイスキー造りを手がけている酒蔵です。 潮風を感じる敷地内には、歴史ある酒蔵とともに日本酒史料館やモダンな蒸留所が点在しています。 3-3.ウォッカ ウォッカは、小麦やトウモロコシのような穀類や、ジャガイモなどの芋類から造られる蒸留酒です。主原料は焼酎と似ていますが、ウォッカ造りでは米麹は使用されません。代わりに材料を煮てデンプン質を糖化させます。 蒸留後に白樺などの活性炭でろ過をするウォッカは、クセのない香りや味わいが特徴です。また、ジンやラム、テキーラとともに「世界4大スピリッツ」に数えられます。 ウォッカはロシアのような北欧のほか、アメリカなどさまざまな地域で製造されているお酒です。近年は、サントリーの『HAKU(白)』、「高木酒造」の『奥飛騨』など、国産ウォッカも注目を集めています。 まとめ 自然のアルコール発酵の力で生まれる醸造酒と、アルコール発酵させた液体を加熱して造られる蒸留酒。どちらも人類の長い歴史のなかで生み出されてきたお酒です。 なかでも日本酒は、並行複発酵という世界でもめずらしい醸造方法で造られています。発酵中のもろみがプクプクと泡立つ様子は、お酒が呼吸をしているかのよう。酒蔵では、その成長を見守りながら発酵度合いを見極めていきます。 知れば知るほど楽しく、おもしろいお酒の世界。日本酒をはじめ、ビールにワイン、ウイスキーにウォッカとそれぞれのお酒を今日も美味しく楽しみましょう。
【古酒の舎・淡路島】「古昔の美酒 セルフブレンド」時と記憶をボトルに詰めて
長い年月を経て熟成させたお酒、古酒(こしゅ)。2022年9月16日(金)より、兵庫県淡路島の「古酒の舎」では、古酒を自らブレンドできるサービス『古昔の美酒 セルフブレンド』がスタートしています。 試飲をしつつ選べる古酒は約30種類。さらに、ボトルや化粧箱のデザインも選択可能と、特別な“選ぶ楽しさ”を体験できるサービスです。 今回は、「淡路島の思い出を持ち帰ってもらいたい」という思いから生まれた『古昔の美酒 セルフブレンド』について詳しくご紹介。実際に現地へ出向き、ブレンド体験した様子をお届けします。 1.「古酒の舎」ソムリエが語る古酒の魅力 「古酒の舎(こしゅのや)」が位置するのは、兵庫県淡路島の北西部。目の前には播磨灘の雄大な景色が一面に広がります。 ドアを開けた先に待っていたのは、全国各地から集められた古酒の数々。酒蔵をイメージしたという店内は、朱色の漆喰が美しい開放的な空間です。 1階では、10年以上熟成され、かつ全国の酒蔵から厳選した日本酒のほか、泡盛や梅酒、焼酎のオリジナル古酒ブランド『古昔の美酒(いにしえのびしゅ)』を購入できます。 2階は、古酒と淡路島の旬の食材とのペアリングを楽しめるバーラウンジです。大きな窓の外には青い海がきらめき、クラシック音楽とともにゆったりとした時間が流れていきます。 長期熟成古酒をいただきつつ、まずはソムリエ松本さんに古酒の魅力について伺いました。 1-1.約100種以上から“きれいな古酒”のみをセレクト 「商品を厳選するにあたり、およそ100種類以上の古酒をテイスティングさせていただきました。そのなかでも、老香(ひねか)がないもの、きれいなお酒のみをセレクトしています」 そう語る松本さんはソムリエ、いわゆるワインのエキスパート。テイスティング時は、古酒の繊細な味と香りを見極めるためワイングラスに注いで吟味したと話します。 劣化臭の老香とは異なる、複雑かつ芳醇な香りと独特の苦味、渋味こそが古酒の魅力。 また、日本酒は5〜7年でぐっと熟成が進み、その後は時間とともにより個性的な味わいへと変化していくそうです。そのため、オリジナル古酒ブランド『古昔の美酒』は、原則10年以上の年月を経た長期熟成古酒にこだわっています。 1-2.米のバックグラウンドが反映されるお酒「古酒」 こちらは、1983年と1984年の『古昔の美酒 岩の井』。日本酒の製造時期は1年しか変わらず、保管条件も同じ。にもかかわらず、色合いにこれほど違いが生まれるのはなぜなのでしょうか。 松本さんによると、色の違いは日本酒の原料である「米」の特性によるものだそう。 そもそも、日本酒が茶色く変化するのは、熟成にともなう“メイラード反応”によるもの。常温熟成させることで糖とアミノ酸が結合し、褐色物質を生成することでお酒が琥珀色へと変化していくというわけです。 熟成後の色が濃いということは、それだけお酒本来の糖とアミノ酸量が多かったということ。つまり、原料の米の個性が色合いに現れているのです。 「米が育った年の日照時間や環境の変化が、時間を経てきちんと反映されるお酒。それが古酒なんです」 そう教えてくださった松本さん。ちなみに、この2つのお酒は見た目が異なるにもかかわらず味わいの共通点が多いそう。それもまた、古酒ならではの魅力であり、奥深さといえるのかもしれません。 1-3.お客様のある行動がサービス誕生のきっかけに 年代を重ねた古酒をブレンドする贅沢な試み『古昔の美酒 セルフブレンド』。その誕生のきっかけは『10銘柄飲み比べ』を楽しむお客様のある行動にあったといいます。 古酒は、味や香りの個性が強いお酒です。ある日、とあるお客様が10銘柄の飲み比べを楽しんだところ、最後にどうしても3〜4銘柄だけが残ってしまったそう。 それならばと、思い付きで残った古酒をひとつのグラスにまとめてみたところ、ぐっと飲みやすい香りと味わいに。古酒が持つそれぞれの個性が同調し、新しい1杯が生まれたというわけです。 「約100種以上の中から厳選した、こだわりの“ヴィンテージSAKE”。貴重なお酒のブレンド体験は、古酒の舎だからこそできることです。オリジナルの1本を淡路島の思い出とともに持ち帰り、ぜひお酒の新しい楽しみ方を知ってほしい」 松本さんはそんな思いから、今回の『古昔の美酒 セルフブレンド』を誕生させたといいます。 瀬戸内海を渡り、古酒の舎に足を運ぶからこそできる長期熟成古酒のブレンド。早速1階のショップへと戻り、こだわりのサービスを体験させていただきました。 2.選ぶ楽しさを届けたい『古昔の美酒 セルフブレンド』 ずらっと並ぶ長期熟成古酒の数は、およそ30種類。『古昔の美酒 セルフブレンド』では、このうち3〜5銘柄を選択し、1本のボトルに詰めて持ち帰ることができます。 中に詰める古酒だけでなく、ボトルや化粧箱、タグも数種類から選べるというから驚きです。 ボトルは正方形と六角形の2種類。化粧箱は、シンプルなホワイトと高級感のあるゴールド、ハートが描かれたブラックの3種類が用意されています。さらに、仕上げには2種のオリジナルタグが選べるというこだわりぶりです。 「選ぶ種類が多いほうが、お客様により楽しんでいただるかと」 そんな松本さんの言葉からも、淡路島へ足を運ぶ方へのおもてなしの心が伺えます。まずは六角形のボトルをチョイス。次はいよいよ、古酒選びのスタートです。 2-1.試飲をしながら古酒をチョイス 試飲をしながら好みの味を選べるのが『古昔の美酒 セルフブレンド』の大きな魅力です。それぞれの古酒の魅力を体感しながら、お気に入りの銘柄を選択できます。 どれを選べば良いか迷ってしまうというときも、“ソムリエおすすめブレンド”が用意されているため安心です。「甘く華やかな香りに仕上げたい」、「複雑な味わいにしたい」などのニーズに沿った基本の3〜4銘柄に、気になる古酒をプラスできます。 今回は、ライターの地元の古酒『山陰 東郷』を含むこちらの4本をチョイス。「ほんのり甘く重厚感のある味わい」をキーに、松本さんに1本ずつセレクトしてもらいました。 「味に深みを出すならこちらはどうでしょう」 「こちらの古酒は、スパイスのような風味があって肉料理にも合うんですよ」 そんな話を伺いながら、試飲をしつつ古酒を選ぶのはなんとも楽しい時間。 また、温度により熟成が進む古酒は、土地の個性が現れやすいお酒だそう。古酒の舎は全国各地の古酒を扱っているため、思い出の土地やふるさとなどにこだわってブレンド酒を選んでみるのもおもしろそうですね。 2-2.古酒で体験“アッサンブラージュ” お次はなんとメスシリンダーが登場。ワインの原酒を混ぜ合わせる技法“アッサンブラージュ”の古酒バージョンを体験していきます。 メスシリンダーの容量は100ml。選んだ古酒をどのような配合で混ぜ合わせていくのか、こちらも丁寧にアドバイスしてもらえます。 4種類のうち、2種類を40mlずつメスシリンダーに注いだら一度味わいをチェック。この段階で「もっと甘さが欲しい」、「ボリュームを出したい」と感じたら、プラスする古酒をまた選択できるというから贅沢ですよね。 今回は、甘口の『2007 山陰 東郷』、バランスの良い『1998 英勲』をベースに、『2001 天恩』と『2003 山吹』で個性を足してみました。 天恩の栗を思わせる豊かな香り、山吹のスパイスのような刺激が心地良い、まさに世界にひとつだけの味わいです。 2-3.ボトリングをして完成! 選んだお酒をすべて配合したら、いよいよボトリングです。メスシリンダー内の古酒を、初めに選んだボトルへとゆっくり注いでいきます。 キュッと蓋をし、波柄のテープで封をして選んだタグを首にかけたら、“オリジナルヴィンテージSAKE”の完成! 選んだ化粧箱とともに、ブレンドした古酒の情報を記したカードも付いてきます。どんなお酒をブレンドしたのか、後からしっかりと思い出せるのがうれしいですね。 ちなみにこちらのオリジナル古酒、このまま光に当たらない環境で保管すればさらなる熟成も可能だそう。 自宅ですぐに味わうのはもちろん、数年後の記念日に開封したり、大切な人へのギフトにしたりと楽しみ方は無限大。約30種の古酒の組み合わせ方が無数にあるように、自分だけの味、思い出をボトルに詰めて持ち帰ることができます。 「日本酒とはまたひと味違う“古酒”というジャンルを、どうぞご自由に楽しんでください」 そう笑顔で話してくれたソムリエ松本さん。無限の可能性を秘めた古酒の世界に、すっかり魅了された1日でした。 3.琥珀の時に思いを馳せて“オリジナルヴィンテージSAKE” 古来から平安時代にかけ、都に食料を貢いでいたことから御食国(みけつくに)とも呼ばれる淡路島。古酒の舎では、淡路島の食材を使った料理とともに、かつては献上品であった「古酒」の魅力を存分に堪能できます。 10年以上前の日本で米を育てた人、酒造りを手がけた人々を思いつつ、琥珀のグラスを傾ける時間はなんとも贅沢なもの。ラベルに記された年号に、当時の自分を重ねることもあるかもしれません。 豊かな自然と雄大な景色、そして“オリジナルヴィンテージSAKE”との出会いを求め、淡路島・古酒の舎へ足を運んでみてはいかがでしょうか。 『古昔の美酒 セルフブレンド』 [料金]2500円 ※試飲料、税込 [容量]100ml [申し込み]事前申し込み不要 [提供場所]青海波 古酒の舎 [問い合わせ]070-3349-9150(青海波 古酒の舎) 青海波 古酒の舎 [所在地] 兵庫県淡路市野島大川70 [アクセス]神戸淡路鳴門自動車道 淡路I.C.より車で10分 ※淡路島ICならびに岩屋港からの無料シャトルバスあり [電話番号]070-3349-9150 [定休日] 木曜日 [営業時間]11:30~21:00(L.O.20:00) [公式URL]https://awaji-seikaiha.com/kosyunoya/ ※2022年10月1日時点の情報です。休業日や営業時間など変更の可能性があるため、最新情報は事前に店舗にお問い合わせください。
【唎酒師が解説】日本酒の種類はどれくらいある?純米酒や吟醸酒の特徴をわかりやすく解説!
「純米酒に吟醸酒…日本酒って種類が多いなぁ」と思ったことはありませんか?味や香り、価格などそれぞれの違いがわかりづらい一面もあるかもしれません。 今回は、日本酒の種類をわかりやすく解説!本醸造酒や吟醸酒、純米酒などの特徴をご紹介します。種類の豊富さは日本酒の魅力のひとつです。それぞれの違いがわかれば、日本酒の世界がもっと楽しくなりますよ。 1.日本酒の種類は大きく3タイプにわかれる 日本酒の種類は、大きく以下の3タイプにわかれます。 本醸造酒 吟醸酒 純米酒 それぞれの主な違いは、酒造りに使用する原料や製法などです。味わいにも変化が生まれるため、特徴を知れば日本酒選びに役立てられます。まずは、3タイプの違いについて確認していきましょう。 1-1.米、米麹、水と醸造アルコールで造られる本醸造酒 本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)の大きな特徴は、原料に「醸造アルコール」が含まれることです。醸造アルコールとは、主にトウモロコシを原料にした純度の高いアルコールのこと。本醸造酒に用いる醸造アルコールの量は、米の総重量の10%未満と定められています。 醸造アルコールを使用する本醸造酒は、スッキリとした香りと味わいが特徴です。求めやすい価格帯の商品が多く、普段の料理に合わせる日常酒としても親しまれています。 本醸造酒についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。 本醸造酒はどんなお酒?おすすめの楽しみ方や特徴を解説 1-2.吟醸造りで造られる吟醸酒 吟醸酒(ぎんじょうしゅ)は、吟醸造りで造られるお酒です。国税庁によると、吟醸造りは『吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造すること』と定義づけられています。 「よりよく精米した白米」とあるように、吟醸造りでは、外側を4割以上削った「精米歩合60%以下」の米を使用します。「特有な芳香」とは、吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)とも呼ばれる華やかな香りのことです。その香りはメロンやパイナップル、バナナなどに例えられることもあります。 吟醸造りのお酒にも吟醸酒や大吟醸酒などがあります。これらのお酒の違いについてはこちらの記事を参考にしてみてください。 「吟醸」と「大吟醸」の違いとは?唎酒師が飲み比べて違いを解説! 1-3.米と米麹、水だけで造られる純米酒 純米酒(じゅんまいしゅ)は、米と米麹、水だけで造られる日本酒です。米の旨味やコク、ふくよかな味わいを楽しめます。温めると香りや味がより一層ふくらむため、燗酒好きにも好まれるタイプです。「米本来の旨味をたっぷり味わいたい」というときは、純米酒をキーワードにお酒を選んでみてください。 純米酒についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。 「純米酒」とは?味わいやおすすめの飲み方も【日本酒の種類を知ろう!第4回】 2.清酒と日本酒の違いとは? 「清酒」も「日本酒」も、米と米麹、水を原料にしたお酒を指す言葉です。酒税法では「清酒」は以下のように定義づけられています。 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール分が22度未満のもの) 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール分が22度未満のもの) 「こしたもの」とあるように、清酒は醪(もろみ)をこし、液体と酒粕とに分けたものに限られます。醪をこしていない、白くどろどろとした状態のお酒が「どぶろく」です。 また、「日本酒」という呼び名は、日本産の米を使用し、日本国内で醸造したお酒に限られています。海外産の米を使用していたり、海外で醸造されたりしたお酒の場合は、日本酒と表示することはできません。 これは「地理的表示」という制度に基づくものです。地理的表示の制度では、ある特定の産地において、特徴的な原料や製法などによって作られた商品だけが、その産地名を独占的に名乗ることができます。 フランスの「ボルドーワイン」、スコットランドの「スコッチウイスキー」なども、地理的表示に基づく呼び名です。清酒や日本酒の表示は、ラベルの「品目」という項目で確認できます。 3.日本酒の種類にかかわる精米歩合 精米歩合(せいまいぶあい)とは、米粒の外側を削った後に残った割合を、パーセンテージで示したものです。 一般的に、日本酒造りに使う米は、食用米より多く外側が削られます。炊いて食べるときは旨味のもとになる栄養素も、日本酒造りでは雑味の原因になる可能性があるからです。 一概には言えないものの、精米歩合が高い、つまり米をあまり削っていない日本酒は米本来の味わいが強く現れます。ふくよかで濃醇なタイプが多く、燗酒にしたり、旨味の強い料理と合わせたりしても味のバランスが崩れにくいのが特徴です。 一方、精米歩合が低い、つまり米をより削ったお酒はよりクリアな味わいに仕上がります。華やかでフルーティーな香りを持ち、ワイングラスに注いだり、洋食と組み合わせたりして楽しむ銘柄が多いのが特徴です。また、製造には高度な技術と時間を要するため、高価格帯の商品が多くなります。 精米歩合についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 日本酒の精米歩合について詳しく解説!精米歩合が高い=良いお酒? 4.日本酒の種類(特定名称酒)一覧 酒税法における日本酒の種類は、原料や精米歩合、製法によって8つに分類されます。これは特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)と呼ばれ、前述した3タイプをさらに細かくわけたものです。日本酒選びに迷うときは、それぞれの特徴を参考にしてみてくださいね。 4-1.本醸造酒 原料 精米歩合 米、米こうじ、醸造アルコール 70%以下 本醸造酒は香りはおだやかでスッキリした飲み口が持ち味のお酒です。比較的リーズナブルな商品が多く、自宅に常備しておく1本としても好まれています。 4-2.特別本醸造酒 原料 精米歩合・製法 米、米こうじ、醸造アルコール 60%以下または特別な製造方法(要説明表示) より外側を削った米を使用した本醸造酒、または特別な製法で製造した本醸造酒は「特別本醸造」に分類されます。ドライな味わいとキレの良い飲み口が魅力です。 4-3.吟醸酒 原料 精米歩合・造り 米、米こうじ、醸造アルコール 60%以下・吟醸造り 吟醸酒は酵母から生まれる、華やかな香りが持ち味のお酒です。「吟醸造り」と呼ばれる、より小さく精米した米を低温でじっくり発酵させる方法で造られています。 4-4.大吟醸酒 原料 精米歩合・造り 米、米こうじ、醸造アルコール 50%以下・吟醸造り 大吟醸酒は精米歩合は50%以下と、外側を半分以上削った米を原料にした吟醸酒です。雑味のないクリアな味わいと、吟醸酒ならではのフルーティーな香りを楽しめます。 4-5.純米酒 原料 精米歩合 米・米こうじ ー 純米酒は米本来の、ふくよかな旨味を堪能できる日本酒です。かつては精米歩合70%以下と定められていましたが、技術の進歩により、精米歩合に関係なく質の良い純米酒ができるようになったため、平成16年より規定が撤廃されました。 4-6.特別純米酒 原料 精米歩合・製法 米・米こうじ 60%以下または特別な製造方法(要説明表示) 米の外側をより削った米で仕込んだ純米酒、または特別な製造方法で仕込んだ純米酒は「特別純米酒」に分類されます。特別な製造方法とは「酒造好適米100%」のようにこだわりを持った製法のことです。味の余韻が長く、お酒だけでじっくり楽しめるタイプが多く見受けられます。 4-7.純米吟醸酒 原料 精米歩合・製法 米・米こうじ 60%以下・吟醸造り 純米吟醸酒は適度な香りと味のバランスを楽しめる日本酒です。米のリッチな味わいとともに、果実のように華やかな香りを堪能できます。「純米大吟醸酒」に比べ価格が抑えられているものが多く、ちょっと特別なお酒を楽しみたいというときにおすすめです。 4-8.純米大吟醸酒 原料 精米歩合・製法 米・米こうじ 50%以下・吟醸造り 純米大吟醸酒は米の外側を半分以上削った米と米こうじを原料に、吟醸造りで造られたお酒です。高価格帯の商品が多く、大切な贈り物や目上の方へのプレゼントなどに適しています。なかには精米歩合30%前後の銘柄もあり、雑味のないクリアな味わいが特徴です。 5.火入れのタイミングによって、名称が加えられることも 一般的に、日本酒の製造過程では「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌処理が2度おこなわれます。この火入れのタイミングによって加えられるのが「生貯蔵酒」や「生詰め酒」といった名称です。また、火入れを一切しないお酒は「生酒(なまざけ)」と呼ばれます。 呼び名 1回目の火入れ 2回目の火入れ 生酒 なし なし 生貯蔵酒 なし あり 生詰め酒 あり なし 火入れをしていない生酒は、フレッシュな香りと旨味が持ち味です。それぞれの細かな違いや生酒の楽しみ方については、ぜひこちらもチェックしてみてください。 まとめ 日本酒は、種類の多さと幅広い味のバリエーションが魅力です。好みの味わいの日本酒を、好みの温度帯で楽しむことができます。 「種類が多くて難しい」というときは、本醸造酒や吟醸酒、純米酒など、ざっくりしたタイプを参考にお酒を選んでみてください。「華やかな香りの吟醸酒が好き」、「コクのある純米酒が好み」など、自分好みの味わいが見つけられます。ぜひ種類の違いを知ることをきっかけに、日本酒の奥深い世界を楽しんでんでみてくださいね。
「純米吟醸酒」とは?おすすめの飲み方や精米歩合を紹介【日本酒の種類を知ろう!第5回】
純米吟醸酒とは、日本酒を原料や製法で分類した特定名称のひとつです。米と米こうじのみを原料に、吟醸造りと呼ばれる製法で造られています。 日本酒は、原料や製法でさまざまに表情を変えるお酒です。種類ごとの違いがわかれば、楽しみ方、選び方の幅がより一層広がります。 「日本酒の種類を知ろう!」第5回の今回は、純米吟醸酒の定義や味わい、香りについて解説。おすすめのおつまみなど、純米吟醸酒の魅力についてたっぷりとお伝えします。 1.純米吟醸酒とは 純米吟醸酒(じゅんまいぎんじょうしゅ)は、日本酒の特定名称(とくていめいしょう)のひとつです。特定名称とは、日本酒を原料や製法で分類した呼び名のこと。純米吟醸酒をはじめ、本醸造酒や純米酒など全8種が存在します。 1-1.純米吟醸酒の定義 「清酒製法品質表示基準」では、純米吟醸酒は以下のように定義されています。 米と米こうじを使用していること(米の等級は3等以上) 精米歩合が60%以下であること こうじ米を全体の15%以上使用していること 吟醸造りで造られ、固有の香味を持ち色沢が良好であること ※色沢=色合いや透明度など ここで「?」と思われがちなのが「米こうじ」、「精米歩合」、「吟醸造り」などのワードではないでしょうか。 米こうじとは、日本酒づくりに欠かせない原料のこと。目に見えない麹菌を米に繁殖させて造られます。 また、精米歩合(せいまいぶあい)とは、米粒の外側を削り、残った割合を示した数字のことです。「精米歩合60%以下であること」とは、外側を40%以上削った米を使わないと、純米吟醸酒とは名乗れないことを意味しています。 ちなみに、普段炊いて食べるお米の精米歩合はおよそ90%。純米吟醸酒は、より小さく削った米を原料に造られていることがわかります。 吟醸造りとは、このより小さく削った米を原料に、ゆっくりと発酵させ香りを生み出す醸造法のことです。この吟醸造りこそが、純米吟醸酒の大きな特徴。吟醸造りが生み出す味わいや香りについては、次で詳しく紹介していきます。 1-2.純米吟醸酒の味わいや香り 純米吟醸酒は、吟醸造りによる華やかな香りが特徴です。香りは吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)と呼ばれ、リンゴやバナナ、洋ナシなどに例えられます。 味わいは、雑味のないクリアなタイプが主流です。米の適度な旨味も感じられ、味と香りの絶妙なバランスを楽しめます。 1-3.吟醸酒・純米大吟醸酒との違い 純米吟醸酒と似た名称として、吟醸酒や純米大吟醸酒などを見かけることもありますよね。それぞれの大きな違いは、原料や精米歩合です。味や香りにも次のような変化が生まれます。 吟醸酒との違いは「原料」 吟醸酒の純米吟醸酒との大きな違いは、吟醸酒は原料に「醸造アルコール」が使われていることです。醸造アルコールとは、主にトウモロコシを原料にした純度の高いアルコールのこと。お酒にすっきりとしたキレ味を生み出します。 吟醸酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 「吟醸酒」とは?定義やおすすめの飲み方を解説【日本酒の種類を知ろう!第2回】 純米大吟醸酒との違いは「精米歩合」 純米大吟醸酒と純米吟醸酒の違いは、精米歩合です。純米吟醸酒の精米歩合が60%以下であるのに対し、純米大吟醸酒は50%以下に定められています。 つまり、純米大吟醸酒はより小さく削った米を原料に造られているということ。なかには、精米歩合30%前後のお酒も存在します。 一般的に、精米歩合の数字が小さなお酒ほど、クリアな味わいと華やかな香りが生まれやすいといわれています。純米大吟醸酒も、香りや味の個性が魅力的なお酒です。また、製造にはより多くの米と時間を必要とするため、高価格帯の商品が主流となります。 純米大吟醸酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 「純米大吟醸酒」とは?精米歩合やおすすめおつまみも【日本酒の種類を知ろう!第6回】 2.純米吟醸酒の選び方3つのポイント 自分好みの純米吟醸酒を見つけたい!そんなときは、以下の3つのポイントを意識してみてください。 酒米の個性で選ぶ 香りで選ぶ 甘口や辛口の好みで選ぶ 日本酒は種類が多く、選び方には迷ってしまうもの。一方で、そのバリエーションの豊富さが日本酒の魅力ともいえます。ここでは、酒米ごとに異なる味の個性もみきましょう。 2-1.酒米の個性で選ぶ 日本酒の主原料である米は、お酒の仕上がりを左右する大きな要素です。特に酒造りに適したものは酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)と呼ばれ、種類ごとに以下のような特徴を持ちます。 山田錦 山田錦(やまだにしき)は、「酒米の王様」と呼ばれる品種です。米がやわらかく、上質な麹ができやすいといわれています。また、米を小さく削りやすいため吟醸造りに適していることが特徴です。 兵庫県の一部は「特A地区」と呼ばれ、特に質の良い山田錦を栽培する地として知られています。山田錦を使ったお酒は、ふくよかな旨味と品の良い香りが魅力です。 五百万石 五百万石(ごひゃくまんごく)は、米どころ新潟県で誕生した酒米です。米を小さく削るのは難しいものの、米を蒸したときの粘り気が少なく、麹が造りやすいといわれています。五百万石を使った日本酒は、おだやかな香りと軽やかな味わいが特徴です。 雄町 雄町(おまち)は、岡山県を中心に栽培されている品種です。栽培の難しさから数は減少し、一時は幻ともいわれていました。米質はやわらかく、雄町を使った日本酒は濃醇な香りが生まれやすいといわれています。 美山錦 美山錦(みやまにしき)は、長野県で誕生した酒米です。寒い地域でも育ちやすく、東北地方などでも栽培されています。美山錦を使った日本酒は、ライトな香りが魅力です。料理とあわせて楽しめる銘柄も数多くみられます。 2-2.香りの個性で選ぶ 吟醸香の個性は、香りの成分により主に以下の2つに分類されます。 リンゴ・洋梨系の爽やかな吟醸香 バナナ・メロン系の濃厚な甘さの吟醸香 これらは見た目では判断できないものの、酒販店などでお酒を選ぶときは、ぜひスタッフにキーワードとして伝えてみてください。自分好みの1本を見つける手がかりになりますよ。 リンゴ・洋梨系の爽やかな吟醸香 リンゴや洋梨を思わせる爽やかな吟醸香は「カプロン酸エチル」と呼ばれる成分で生まれます。タンパク質が少ない米や、より小さく精米した米を原料にしたお酒に生まれやすく、甘さと酸味を感じさせる香りです。 バナナ・メロン系の濃厚な甘さの吟醸香 バナナやメロンのような、濃厚な甘さを感じる吟醸香は「酢酸イソアミル」に由来します。香りが甘いぶん、お酒の味わいも濃く、甘く感じられることがあるでしょう。お酒単体で味わうだけでなく、食前酒や食後酒にも好まれるタイプです。 2-3.甘口や辛口の好みで選ぶ 日本酒の味わいは「甘口」、「辛口」で表現されることがあります。これは、日本酒度と呼ばれる数値を目安にしたものです。 日本酒度は、+(プラス)と-(マイナス)で表記されます。一般的に、プラス寄りであるほど辛口、マイナス寄りであるほど甘口です。 また、日本酒の味わいは日本酒度だけでなく、酸度やアミノ酸度などで構成されています。そのため、日本酒度が必ずしもお酒の味わいを決めるわけではありません。 一方で、日本酒度+10以上の “大辛口”をうたう銘柄もあります。日本酒選びに迷ったら、ぜひ味の目安のひとつとして活用してみてください。 3.純米吟醸酒のおすすめの楽しみ方 米と米こうじのみを原料に造られる純米吟醸酒は、米の旨味を感じやすいお酒です。吟醸造りによるフルーティーな香りも楽しめます。 リンゴやバナナを思わせる吟醸香は、適度に冷やした状態で楽しむのがおすすめです。また、純米吟醸酒のなかには、ワイングラスに注いで美味しいタイプも多くみられます。グラスの深さが香りを包み込み、より魅力を堪能できるのが特徴です。 香りと旨味のバランスが良いことから、食事とあわせるお酒にも好まれています。和食はもちろん、フレンチやイタリアンとあわせるお酒にも良いでしょう。料理にあわせてぬる燗にすれば、また違った個性を楽しむことができます。 4.純米吟醸酒に合わせるおつまみ 吟醸香が魅力の純米吟醸酒には、香りがある食材を使ったおつまみがおすすめです。和食であれば、梅肉やしその葉、柚子などを使ったメニューがマッチします。大根で梅肉やしその葉を挟んだおつまみや、柚子ポン酢でいただく湯豆腐なども手軽で美味しいメニューです。 白身魚やタコ、貝類などとも好相性。ワイングラスで美味しい純米吟醸酒は、白身魚のムニエルやカルパッチョ、シーフードサラダ、牡蠣などにも良く合います。日本酒×おつまみのバリエーションをより豊かに広げてくれるお酒です。 まとめ 純米吟醸酒は、米と米こうじのみで造られたお酒です。また、吟醸造りで生まれる華やかな香りを楽しめます。 香りと旨味のバランスが魅力的な純米吟醸酒は、料理とあわせるお酒におすすめです。和食に限らず、幅広いジャンルのメニューにマッチします。 日本酒の楽しみ方を広げてくれるお酒、純米吟醸酒。酒販店や飲食店で見つけたらぜひその味わいを体感してみてくださいね。
「純米酒」とは?味わいやおすすめの飲み方も解説!【日本酒の種類を知ろう!第4回】
日本酒の種類のひとつ、純米酒。米と米こうじだけで造られる純米酒は、日本酒の魅力にあふれたお酒です。一方で、純米吟醸や大吟醸との違いは?と疑問を持たれることも多いかもしれません。 「日本酒の種類について知ろう!」第4回となる今回は、純米酒の魅力について詳しく解説。定義や味わい、おすすめおつまみなどを紹介します。種類ごとの違いを知れば、日本酒がもっと美味しく、もっと楽しくなりますよ。 1.純米酒とは?定義や味わいを知ろう 純米酒は、日本酒を原料や製造方法で分類した特定名称(とくていめいしょう)のひとつです。特定名称は、純米酒を含む以下の全8種。純米吟醸酒や本醸造酒なども、特定名称に挙げられます。 本醸造酒 特別本醸造酒 吟醸酒 大吟醸酒 純米酒 特別純米酒 純米吟醸酒 純米大吟醸酒 純米酒を含む“純米”と付くお酒は、米と米こうじのみを原料に造られるのが特徴です。そのほかのお酒は、醸造アルコールという純度の高いアルコールが用いられます。 1-1.純米酒の定義 「清酒製法品質表示基準」では、純米酒は以下のように定義されています。 ・米と米こうじを原料に造られていること(米の等級は3等以上) ・こうじ米の使用割合が15%以上であること ・香味、色沢が良好であること ※色沢=色合いや透明度など 純米酒の主原料である米こうじとは、米に麹菌を繁殖させた発酵食品のことです。日本酒のほか、甘酒や米味噌、みりんといった日本の伝統食に用いられます。 また、純米酒は他のお酒のように精米歩合(せいまいぶあい)の規定のないお酒です。精米歩合とは、米の外側を削った後に残る割合を示す数値のこと。 例えば、純米吟醸酒には「精米歩合60%以下」といった規定があります。これは「外側を40%以上削った米を使わないと、純米吟醸酒とはいえないよ」という意味です。 1-2.純米酒に精米歩合の規定がない理由 純米酒に精米歩合の規定がない理由には、日本酒の製造技術の進歩が関係しています。1989年(平成元年)、特定名称の規定が設けられた当時は、純米酒の精米歩合は70%以下に定められていました。 純米酒の精米歩合の規定がなくなったのは、2004年(平成16年)に入ってからのことです。これは、精米歩合にこだわらなくても“純米酒”と名乗るにふさわしい質の良いお酒が造れるようになったことに関係しています。 また、市場には“米だけのお酒”と表記されている商品もあり、「純米酒とどう違うの?」と消費者に混乱をきたすためともいわれています。 現在、“米だけのお酒”と表記されている商品には、純米酒の定義を満たすものと、それ以外の普通酒と呼ばれるもの2種類が存在します。 特定名称にあたらない普通酒には、“純米酒ではありません”といった注意書きを添えなくてはいけません。普段何気なく目にしているお酒も、さまざまな決まりごとのうえで造られているんですね。 1-2.純米酒の味わい 米と米こうじのみで造られる純米酒は、コクのある豊かな味わいが魅力です。香りはおだやかなタイプが多く、こっくりとした米の旨味が感じられます。一方で、味わいがすっきりとしたものも存在するなど、豊かなバリエーションが魅力です。 温めるとより味に深みが生まれ、燗酒好きにも好まれるタイプです。米から生まれるお酒、日本酒ならではの魅力が詰まった種類といえるでしょう。 1-3.純米吟醸酒、純米大吟醸酒との違いは「吟醸造り」 同じく“純米”と付く特定名称には「純米吟醸酒」や「純米大吟醸酒」が挙げられます。純米吟醸酒も純米大吟醸酒も、米と米こうじのみで造られるお酒。純米酒との違いは「吟醸造り」で製造されることです。 吟醸造りとは、より小さく削った米を使い、低温でゆっくりと発酵させる製造方法のこと。“より小さく削った米”とあるように、純米吟醸酒や純米大吟醸酒には精米歩合が定められています。 吟醸造りで生まれるお酒は、吟醸香(ぎんじょうか・ぎんじょうこう)と呼ばれる華やかな香りが特徴です。純米吟醸、純米大吟醸もまたフルーティーな香りを楽しむことができます。 1-4.何がトクベツ?特別純米酒 特定名称のなかには「特別純米酒」と呼ばれる種類があります。特別純米酒は純米酒の定義に加え「精米歩合60%以下、または特別な製造方法」で造られたお酒です。 何が“特別”にあたるのかは、各蔵の判断にゆだねられています。一定の酒米を100%使用したり、製造方法にこだわったりと基準は蔵によりさまざまです。ただし、何を特別としたのかをラベルに表記する必要があります。 特別純米酒に出会ったら、ぜひラベルと味のなかに蔵のこだわりを探してみてくださいね。 2.冷やでも燗でも。純米酒の楽しみ方 純米酒は、冷たい冷酒から常温の冷や(ひや)、温めた燗酒まで幅広い温度帯で美味しいお酒です。さまざまな温度で楽しめる日本酒ならではの味わいを満喫できます。 7~10℃に冷たく冷やせば、みずみずしい旨味を堪能できます。おだやかな香りを楽しみたいときは、常温の冷やがおすすめです。純米酒ならではのまろやかな口当たりを楽しめます。 寒い季節には、35~40℃前後の燗酒がおすすめです。人肌燗からぬる燗といわれるこの温度帯は、米や米こうじの香りがより際立ちます。シャープな口当たりを楽しみたいときは、45~50℃まで温度を上げてみてください。お酒のキレが引き立ち、純米酒のまた違った個性が感じられます。 3.純米酒のおつまみはご飯におかずのイメージで 米の旨味がたっぷり詰まった純米酒は、ご飯におかずを合わせる感覚でおつまみを選んでみてください。おつまみの定番素材である豆腐も、冷奴よりは揚げ出し豆腐やあんかけ豆腐にするとより美味しく楽しめます。 イカの塩辛やからすみ、漬物のような塩味のあるおつまみとも好相性。煮物やサバ味噌といった定番おかずとのペアリングもおすすめです。 また、山廃や生酛といった昔ながらの製法で造られた純米酒は、チーズやクリーム系の料理とも良く合います。ぜひ、米から生まれるお酒、日本酒の魅力を体感してみてくださいね。 まとめ 純米酒は、米と米こうじのみを原料とすることが大きな特徴です。また、冷やから燗まで、幅広い温度帯で美味しく楽しめます。 塩辛や煮物など、なじみのあるおつまみや料理と相性が良いことも魅力のひとつ。日本の國酒(こくしゅ)、日本酒ならではの魅力を堪能できます。吟醸造りで生まれる純米吟醸酒なども含め、ぜひ日本酒の奥深い世界を楽しんでみてくださいね。
「吟醸酒」とは?定義やおすすめの飲み方を解説【日本酒の種類を知ろう!第2回】
吟醸酒は、日本酒を原材料や造り方で分類した種類のひとつです。日本酒を飲み始めると「純米吟醸や大吟醸など、似た名前のお酒とどう違うの?」と疑問に感じることもあるのではないでしょうか。 そこで今回は、吟醸酒の定義や歴史について詳しく解説。おすすめの飲み方やあわせるおつまみも紹介します。味や香りの違いなど、選び方のポイントもぜひ参考にしてください。 1.吟醸酒とは?定義や歴史 吟醸酒(ぎんじょうしゅ)とは、日本酒を原料や製法で分類した特定名称(とくていめいしょう)のひとつです。特定名称には、吟醸酒を含む以下の8種が挙げられます。 本醸造酒 特別本醸造酒 吟醸酒 大吟醸酒 純米酒 特別純米酒 純米吟醸酒 純米大吟醸酒 吟醸酒や純米吟醸酒のように、“吟醸”と付くお酒は吟醸造り(ぎんじょうづくり)で造られるのが特徴です。まずは、吟醸酒の歴史、味わいや香りについてみていきましょう。 1-1.吟醸酒の定義 「清酒製法品質表示基準」では、吟醸酒は以下のように定義されています。 米と米こうじ、醸造アルコールを原料に造られること(米の等級は3等以上) 精米歩合が60%以下であること こうじ米の使用割合が15%以上であること 吟醸造りで造られ、固有の香味を持ち色沢が良好であること ※色沢=色合いや透明度など 「米こうじ」や「醸造アルコール」など、耳慣れない言葉が多い日本酒の世界。「吟醸造り」も含め、それぞれについて紹介していきますね。 米こうじ 米こうじとは、蒸した米に麹菌を繁殖させた発酵食品のことです。米こうじは、古くから和食の身近な存在。味噌やみりんなどの調味料も米こうじから生まれています。 日本酒造りでは、米こうじを造る工程は「製麹(せいぎく)」と呼ばれます。昔から、“一麹、二酛、三造り”(いちこうじ、にもと、さんつくり)といわれるほど、麹造りは重要な工程です。米こうじの出来が、お酒の仕上がりを左右するといわれています。 醸造アルコール 醸造アルコールとは、糖蜜やトウモロコシなどを主原料にした純度の高いアルコールのことです。アルコール度数は約95度と高く、酒造りでは30度前後になるまで加水して使用されます。 醸造アルコールを添加した日本酒は、アルコールの刺激を感じるドライテイストに仕上がりやすいといわれています。また、製造過程で引き出される豊かな香りも特徴です。 精米歩合 精米歩合(せいまいぶあい)とは、米の外側を削り残った割合を数字で示したものです。精米歩合60%とは、外側を40%削っていることを意味しています。 つまり、吟醸酒の定義「精米歩合60%以下であること」とは、「外側を40%以上削った米を使わないと、吟醸酒とは名乗れないよ」という意味です。 白米として食べる米の場合、精米歩合は約90%といわれています。日本酒造りでは、米の外側に含まれる栄養分が雑味の原因になり得るため、より小さく削った米を使うのが一般的です。 なかでも吟醸酒は小さく削った米を原料に、華やかな香りとクリアな味わいを生み出しています。 吟醸造り 吟醸造りとは、より小さく精米した米を原料に、低温でゆっくりと発酵させる醸造方法のことです。使用する米や米こうじ、造り方にも蔵のこだわりがあふれています。吟醸造りで仕込んだ吟醸酒は、果物や花に例えられる華やかな香りが特徴です。 1-2.精米技術の進歩で生まれた吟醸酒 前述したように、吟醸酒にはより小さく削った米が必要です。精米歩合60%以下の吟醸酒は、竪型精米機(たてがたせいまいき)と呼ばれる精米機の登場により誕生しました。 米粒を崩さないよう小さく削るのは難しく、竪型精米機が登場するまでは、外側を10~30%削り取るのが精いっぱいだったといわれています。 昭和初期、竪型精米機が開発されると精米技術は著しく向上。吟醸酒や、さらに小さい米を使う大吟醸酒は高額だったものの、バブル期の高級志向とあいまって「吟醸酒ブーム」が巻き起こりました。 時代が平成に入るとさまざまな吟醸酵母が開発され、フルーティーな香りの日本酒が一躍話題に。日本酒のファン層を広げ、その人気は海外へも広まっています。 1-3.吟醸酒の味わいや香り 吟醸酒の味わいは、使用する米や製造方法によりさまざまに変化します。スッキリとした淡麗タイプもあれば、コクを感じる芳醇なタイプもあるでしょう。 大きな特徴は、吟醸造りによるフルーティーな香りです。お米生まれの日本酒から広がる、リンゴや洋梨、バナナのような香りを堪能できます。 2.純米吟醸酒・大吟醸酒との違い 吟醸酒とよく似た名前の「純米吟醸酒」や「大吟醸酒」。吟醸酒とこれらの違いは、原料や精米歩合にあります。 純米吟醸酒との違いは「原料」 吟醸酒と純米吟醸酒との違いは、原料です。吟醸酒が醸造アルコールを使うのに対し、純米吟醸酒は米と米こうじのみで造られています。 純米吟醸酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 「純米吟醸酒」とは?おすすめの飲み方や精米歩合を紹介【日本酒の種類を知ろう!第5回】 大吟醸酒との違いは「精米歩合」 吟醸酒と大吟醸酒との違いは、精米歩合です。吟醸酒の精米歩合が60%以下であるのに対し、大吟醸酒は50%以下と定められています。より小さな米を使って造られる大吟醸酒は高価格帯の商品が多く、なかには精米歩合30%前後のお酒も存在します。 大吟醸酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 「大吟醸酒」とは?おすすめおつまみや飲み方も【日本酒の種類を知ろう!第3回】 3.吟醸酒の選び方3つのポイント 種類の多い吟醸酒、どれを選んでよいかわからない!そんなときは、次の3つのポイントを参考にしてみてください。 酒米の個性で選ぶ リンゴ?バナナ?香りの個性で選ぶ 甘口や辛口の好みで選ぶ 日本酒の味わいには、酒米の個性が色濃く現れます。フルーティーといわれる香りは、主に2タイプあるのが特徴です。ここでは、よく見聞きする「甘口」、「辛口」の違いもあわせてみていきましょう。 3-1.酒米の個性で選ぶ 酒造りに適した個性を持つ米は、酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)と呼ばれます。日本酒選びに迷ったら、ぜひ酒米の違いに注目してみてください。日本酒の奥深さをより感じられるはずです。 山田錦 山田錦(やまだにしき)は、王様とも呼ばれる酒米の代表種。小さく削りやすく、質の良い麹ができやすいといわれています。鑑評会などで受賞歴を持つ銘柄に使われることも多く、日本酒選びに迷ったらまずおすすめしたい酒米です。 五百万石 五百万石(ごひゃくまんごく)は、米どころ新潟生まれの酒米です。米を小さく削る製法には向かないものの、各蔵では工夫を凝らした五百万石の吟醸酒、大吟醸酒が造られています。比較的ライトな味わいのお酒に仕上がりやすく、他の酒米との飲み比べを楽しむのもおすすめです。 雄町 雄町(おまち)は、オマチストと呼ばれるファンを持つ品種です。栽培の難しさから生産量が減少し、一時は幻ともいわれました。雄町で造る日本酒は、濃醇な香り、旨味が魅力です。飲食店などで見つけたら、ぜひその味わいを体感してみてください。 美山錦 美山錦(みやまにしき)は、長野県で開発された酒米です。美山錦で造る日本酒は、比較的香りがおだやかで、ライトな味わいに仕上がるといわれています。料理とあわせて美味しい銘柄も多く、晩酌用の吟醸酒を選びたいときにもおすすめですよ。 3-2.リンゴ?バナナ?香りの個性で選ぶ 吟醸香の個性は、香りの成分により主に以下の2つに分類されます。 リンゴ・洋梨系の爽やかな吟醸香 バナナ・メロン系の濃厚な甘さの吟醸香 これらは見た目では判断できないものの、酒販店などでお酒を選ぶときは、ぜひスタッフにキーワードとして伝えてみてください。自分好みの1本を見つける手がかりになりますよ。 リンゴ・洋梨系の爽やかな吟醸香 リンゴや洋梨を思わせる爽やかな吟醸香は「カプロン酸エチル」と呼ばれる成分で生まれます。タンパク質が少ない米や、より小さく精米した米を原料にしたお酒に生まれやすく、甘さと酸味を感じさせる香りです。 バナナ・メロン系の濃厚な甘さの吟醸香 バナナやメロンのような、濃厚な甘さを感じる吟醸香は「酢酸イソアミル」に由来します。香りが甘いぶん、お酒の味わいも濃く、甘く感じられることがあるでしょう。お酒単体で味わうだけでなく、食前酒や食後酒にも好まれるタイプです。 3-3.甘口や辛口の好みで選ぶ 日本酒の味わいは「甘口」、「辛口」で表現されることがあります。これは、日本酒度と呼ばれる数値を目安にしたものです。 日本酒度は、+(プラス)と-(マイナス)で表記されます。一般的に、プラス寄りであるほど辛口、マイナス寄りであるほど甘口です。 また、日本酒の味わいは日本酒度だけでなく、酸度やアミノ酸度などで構成されています。そのため、日本酒度が必ずしもお酒の味わいを決めるわけではありません。 一方で、日本酒度+10以上の “大辛口”をうたう銘柄もあります。日本酒選びに迷ったら、ぜひ味の目安のひとつとして活用してみてください。 4.吟醸酒のおすすめの楽しみ方 吟醸酒は、魅力のひとつである香りを楽しめる飲み方がおすすめです。そのためには、飲む温度帯に気を付けてみてください。 冷やして味わうときの理想の温度は、花冷えと呼ばれる10℃前後です。また、20℃前後の常温でもふくよかな旨味、香りを楽しめます。温めて味わいたいときは、35~40℃を目安にしてみましょう。米こうじの豊かな香りを感じやすくなります。 冷酒でも燗酒でも、好みの温度で楽しめるのが日本酒の大きな魅力です。ぜひ、温度による吟醸酒の香り、味わいの変化を感じてみてください。 5.吟醸酒には香りの良いおつまみを フルーティーな香りの吟醸酒には、同じく香りの良いおつまみを合わせてみましょう。夏には薬味たっぷりの冷奴、冬には柚子味噌を乗せたふろふき大根などがおすすめです。 バナナやメロンのように甘い香りの吟醸酒は、デザートとのペアリングも楽しめます。適度にコクのある吟醸酒であれば、出汁をきかせた椀物や煮物に合わせても美味しく味わえますよ。 まとめ 吟醸酒は、吟醸造りによるフルーティーな香りが特徴です。精米歩合や原料の違いで、大吟醸酒や純米吟醸酒などに分類されます。 吟醸酒をきっかけに、「もっと米を削った大吟醸はどんな香り?」「米と米こうじのみの純米吟醸酒の味わいは?」と、日本酒の世界を広げてみるのもおすすめです。冷やしたり温めたりしながら、ぜひ自分好みの味わいを見つけてみてくださいね。