
日本酒は、全国各地さまざまな地域で造られるお酒です。その土地の個性を持つお酒は、地酒として日本酒ファンに愛されています。
今回は、北海道から沖縄まで全国の日本酒の特徴を一挙ご紹介!各地へ旅するつもりで、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
1.北海道エリア
どこまでも広がる空に豊かな大地。自然の恵みにあふれる北海道には、日本最北の酒蔵「国稀酒造」をはじめとする16の日本酒蔵が存在します。
近年は北海道産の酒米(酒造好適米)「吟風(ぎんぷう)」「彗星」「きたしずく」が誕生。全国にファンを持つ銘柄が続々と生まれているエリアです。
1-1.北海道
北海道の日本酒の特徴
食の宝庫でもある北海道の日本酒は、豊富なバリエーションが特徴です。海鮮や肉料理、乳製品といったさまざまな料理にマッチします。食と合わせるお酒、日本酒の醍醐味をぞんぶんに堪能できる地域です。
北海道の代表的な銘柄
・上川大雪(かみかわたいせつ)(上川大雪)北海道産の3種の酒米で造られるのは、北海道弁でついつい飲んでしまうことを意味する「飲まさる」酒。地域活性化を目指し、地元限定販売の「神川」も展開。
・男山(おとこやま)(男山)1977年、日本酒では世界初となるモンドセレクション金賞を受賞。なかでも「大辛口」と銘打った純米酒は、魚介の旨味を引き立てるシャープなキレ味が魅力的。
・国稀(くにまれ)(国稀酒造)日本最北端の酒蔵。生産する約9割が道内で消費されるという、まさに土地に生きる地酒。

(出典元:オンターブル)
2.東北エリア
日本酒造りに欠かせない「米」と「水」、そして冷涼な気候に恵まれた東北エリアには、名だたる酒蔵が集結しています。
長い歴史を誇る宮城の「浦霞」をはじめ、若き蔵人の情熱が育む岩手の「赤武」、こだわりの味わいが多くのファンを魅了する秋田の「新政」、そして山形のプレミアム日本酒「十四代」と、日本酒好きにはたまらないラインナップが並ぶエリアです。
青森では米や酵母などオール青森産の人気銘柄が続々と登場。また、福島は全国新酒鑑評会で9回連続金賞受賞数日本一を記録するなど、名酒の地として知られています。
2-1.青森
青森の日本酒の特徴
県土の67%を森林が占めるという自然豊かな青森県。山々からは清涼な雪解け水が流れ、日本酒の清らかな味わいの源となっています。
大きな特徴は、酒米や酵母、水、麹菌とすべて青森県産の材料で造られる日本酒が多いこと。なかでも青森が開発した酒米「華想い(はなおもい)」は、高級酒米「山田錦」に匹敵する品質といわれています。
青森の代表的な銘柄
・田酒(西田酒造店)日本の田んぼ以外で生産される、醸造用アルコールや醸造用糖類は一切不使用。田の酒と書いて「でんしゅ」の名の通り、米の旨味にあふれる酒。
・陸奥八仙(八戸酒造)使用する米はすべて青森県産。さらに青森県オリジナル酵母をメインに造られる、青森の地酒。
・豊盃(三浦酒造)家族と地元の蔵人が醸す味わい豊かな酒。メインの「豊盃米」を契約栽培しているのは、全国でも三浦酒造のみ。

(出典元:佐野屋)
2-2.岩手
岩手の日本酒の特徴
岩手県の日本酒を語るうえではずせないのが、日本三大杜氏のひとつ「南部杜氏(なんぶとうじ)」の存在です。
南部杜氏とは、岩手県発祥の酒造り集団のこと。杜氏の技術は、度々凶作に見舞われていた時代から、農家のたゆまぬ努力によって磨かれてきました。その伝統の技は、現代まで各蔵へと受け継がれています。
岩手の代表的な銘柄
・赤武(あかぶ)(赤武酒造)「赤武酒造の新しい時代を創る」の合言葉のもと、若き蔵人らが酒造りをスタートさせたのは2013年。力強くクリアな味わいは、新たなファン層を生み出した。日本酒界の新時代を切りひらく人気銘柄。
・南部美人(なんぶびじん)(南部美人)岩手から全国、そして世界へと躍進を続ける老舗蔵。南部杜氏の洗練された技術と伝統で生まれる酒は、国内外の鑑評会で数々の受賞歴を誇る。
・あさ開(あさびらき)(あさ開)南部杜氏の藤尾氏は「現代の名工」として選出された人物。香り豊かで後口はスッキリとキレ良く、料理と合わせるお酒におすすめ。

2-3.宮城
宮城の日本酒の特徴
宮城の酒造りは、伊達政宗公による仙台藩の御用酒屋からスタートしました。食通で酒をこよなく愛した伊達政宗公のもと、仙台領内の醸造技術は大いに発展したといわれています。
昭和61年には「みやぎ・純米酒の県」を宣言。造られる日本酒の約9割が高品質な「特定名称酒」であるなど、原料や製法にこだわりぬいたお酒に出会える地域です。
宮城で造られる日本酒についてはこちらの記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
宮城の代表的な銘柄
・伯楽星(はくらくせい)(新澤醸造店)蔵が目指すのは「究極の食中酒」。決して前に出すぎることなく、それでいて芯のある綺麗な味わいは多くの日本酒ファンを魅了し続けている。
・浦霞(うらかすみ)(佐浦酒造)ふくよかな布袋(ほてい)さんが描かれた「浦霞禅」は蔵のロングセラー商品。香りと旨味の絶妙なバランスが料理の味わいを引き立てる。江戸末期から明治初期に建てられたという趣ある蔵の佇まいも必見。
・日高見(ひたかみ)(平孝酒造)「魚でやるなら日高見だっちゃ!」をテーマに造られる港町の日本酒。なかでも鮨との相性は抜群。キレある辛口の味わいは、地元のみならず多くの日本酒ファンに愛されている。

(出典元:新澤醸造店)
2-4.秋田
秋田の日本酒の特徴
美酒王国をうたう秋田には、個性豊かで魅力あふれる日本酒が勢揃い。「新政」をはじめとする5蔵で結成されたユニット「NEXT5」が存在するなど、日本酒界を牽引する地域です。
飯米として有名な「あきたこまち」はもちろん、オリジナル酒米「秋田酒こまち」「一穂積」といった良質な米も数多く栽培。フルーティーな香りを生み出すオリジナル酵母の開発も積極的に進められています。
秋田の代表的な銘柄
・新政(あらまさ)(新政酒造)秋田県産米、伝統の生酛造り、昭和5年に蔵で採取された「きょうかい6号」酵母を用いた日本酒。火入れシリーズの「Colors」に生酒「No.6」など、唯一無二の世界観と味わいは多くの人を惹きつけてやまない。
・雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)(斎彌酒造店)清らかな雪解け水と契約栽培の酒米、自家培養の酵母によってクリアで奥深い味わいを実現。国の登録有形文化財に登録されている蔵は、「のぼり蔵」と呼ばれる自然の高低差を生かした構造が特徴。
・山本(やまもと)(山本酒造店)「うきうき」「ドキドキ」といった個性的なネーミングと本格的な味わいがファンの心をつかんで離さない。気の合う仲間と笑顔で飲みかわしたくなる日本酒。

(出典元:株式会社山本酒造店)
2-5.山形
山形に日本酒の特徴
名水の宝庫といわれる山形には、個性豊かな酒蔵が点在しています。2016年には、都道府県単位としてはじめて地理的表示GIの指定を受けました。
地理的表示とは、ワインのボルドーのように、産地の名称を地理的財産として保護する制度のこと。山形の自然と食文化、人が育む日本酒は、香り豊かで清らかな味わいが特徴です。
山形の代表的な銘柄
・十四代(じゅうよんだい)(高木酒造)淡麗辛口が主流だった時代に芳醇旨口の酒を世に送り出し、一躍話題となった「十四代」。入手の難しいプレミア日本酒の代表格。
・くどき上手(くどきじょうず)(亀の井酒造)華やかな香りと奥深い味わいのバランスは絶妙。フルーティーな香りを好む方におすすめの日本酒。
・楯野川(たてのかわ)(楯の川酒造)米粒の大きさが50%以下になるまで磨き上げた酒米と、麹、水のみで製造した純米大吟醸のみを醸造。減農薬・減化学肥料により栽培された酒米を使用するなど、こだわりぬいたラインナップが並ぶ。

(出典元:さかや栗原)
2-6.福島
福島の日本酒の特徴
年に1度、全国の日本酒が集う「全国新酒鑑評会」にて、9年連続で金賞受賞蔵数日本一を達成。令和3年度の鑑評会では17銘柄が金賞に輝くなど、福島は全国屈指の銘醸地として知られています。
県内ではおよそ10年の歳月をかけ、オリジナル酒米「夢の香(ゆめのかおり)」を育成。さらに、フルーティーな香りとソフトな味わいを生み出す酵母「うつくしま夢酵母」を開発し、福島の酒の品質向上へとつなげています。
福島の代表的な銘柄
・飛露喜(ひろき)(廣木酒造本店)一時は廃業を考えていた廣木酒造は、「飛露喜」の誕生とともに復活。ろ過や火入れ、加水をしない「無濾過生原酒」の魅力を世に知らしめた逸品。
・冩樂(しゃらく)(宮泉銘醸)会津産の酒米を中心に、各地の酒米を使い分ける冩樂は上質な味わい。穏やかで品の良い香りと旨味のバランスに優れ、ついつい盃が進む。
・楽器正宗(がっきまさむね)(大木代吉本店)好みの音楽を奏でるように、食卓に華を添えてくれる日本酒。甘味と旨味、酸味が絶妙なハーモニーを奏で、飲み飽きせずに食事と一緒に楽しめる。

(出典元:合名会社大木代吉本店)
3.関東エリア
一級河川の利根川をはじめ、荒川、鬼怒川など豊かな水源に恵まれている関東地方。大都市・東京が位置する一方で、自然が残る地域では多くの蔵が酒造りを続けています。
海の幸、山の幸にあう食中酒から、華やかな香りの吟醸酒、乾杯のシーンを彩るスパークリング日本酒まで、個性あふれるラインナップが揃うエリアです。
3-1.東京
東京の日本酒の特徴
多くの人が行き来する日本の首都、東京。酒蔵というと自然豊かな地域をイメージしがちですが、大都会東京にも古くからの酒造りの伝統が息づいています。
近年は、新たな取り組みにチャレンジする蔵も続々登場。古き良き伝統を受け継ぐ酒から、環境問題に取り組む酒まで、さまざまな日本酒に出会える地域です。
東京の代表的な銘柄
・屋守(おくのかみ)(豊島屋酒造)歌川広重の浮世絵「江戸名所図絵」にも登場する伝統ある酒蔵。ろ過や加水をしない「屋守」は、穏やかな香りとやさしい味わいが魅力的。
・澤乃井(さわのい)(小澤酒造)豊かな自然が残る奥多摩で生まれる酒。定番商品「大辛口」は、クリアな飲み口とキレのよさを楽しめる。
・多満自慢(たまじまん)(石川酒造)名前に込められたのは「多摩の自慢となるように、多くの人の心を満たせるように」という蔵の願い。蔵は日本酒やビールを楽しめる飲食店も併設し、観光スポットとしてもおすすめ。

(出典元:石川酒造株式会社)
3-2.神奈川
神奈川の日本酒の特徴
神奈川県は、相模川や酒匂川の伏流水を日本酒造りに用いる地域です。日本の三名水、丹沢山系の水でもある伏流水は、日本酒の清らかな味わいを生み出します。
県内に14存在する酒蔵が醸す日本酒の個性は、実にさまざま。料理にあう食中酒からフルーティーな香りのお酒まで、幅広いラインナップが揃います。
神奈川の代表的な銘柄
・いづみ橋(いづみばし)(泉橋酒造)近隣地区で栽培された酒米を原料に使用。トンボが描かれたラベルには、自然環境に配慮する蔵の想いが現れている。滑らかな口当たりと、香りと旨味のバランスが魅力的。
・残草蓬莱(ざるそうほうらい)(大矢孝酒造)酒が生まれるのは、山菜や川魚など四季折々の味わいが楽しめる神奈川県北西部。冷酒でも燗酒でもおいしく、料理や飲み手に寄り添うお酒。
・相模灘(さがみなだ)(久保田酒造)コンセプトは「バランスのよい食中酒」。伝統を受け継ぎながら新たな手法を取り入れ、透明感と米の旨味が共存する味わいを生み出している。

(出典元:泉橋酒造)
3-3.埼玉
埼玉の日本酒の特徴
荒川と利根川、2つの大河が流れる埼玉県。伏流水は軟水傾向にあり、口当たりまろやかな埼玉の酒の源となっています。
平成16年には、酒米「さけ武蔵」を開発。さらに、香り高い吟醸酒造りに適した酵母の開発や技術者の育成など、さまざまな取り組みが進められている地域です。清酒出荷量も多く、県内の蔵では良質な酒が生み出されています。
埼玉の代表的な銘柄
・花陽浴(はなあび)(南陽醸造)きらきらと輝くラベルのように、明るく華やかな味わいのお酒。ジューシーでありながらスッキリとした後口は、全国の日本酒ファンを魅了している。
・彩來(さら)(北西酒造)5代目の若き蔵元が5年の歳月をかけ生み出した限定流通ブランド。品の良い香りと甘味、酸味の絶妙なバランスを堪能できる。
・神亀(しんかめ)(神亀酒造)おすすめは「開栓注意」と書かれた活性にごり酒。シュワッとしたガス感となめらかな口当たり、米の旨味のハーモニーはクセになるおいしさ。

(出典元:神亀酒造)
3-4.千葉
千葉の日本酒の特徴
三方を海に囲まれる千葉県は、日本の南北海路を結ぶ水上交通の要として発展を遂げてきた地域です。
江戸中期には、豪族や地主などが次々に醸造を開始。その歴史は現在も各蔵へと受け継がれています。
平成12年には“千産千消”の県産清酒の実現を目指し、酒米「総の舞(ふさのまい)」を開発。地元の酒米を使った日本酒は、海の幸、陸の幸を引き立てる魅力にあふれています。
千葉の代表的な銘柄
・総乃寒菊(ふさのかんきく)(寒菊銘醸)九十九里浜近くの蔵で手仕事によって生まれる酒。千葉県をメインテーマに、原料米の異なる4つのラインナップを展開。総の舞をはじめとする酒米ごとの個性を楽しめる。
・甲子(きのえね)(飯沼本家)食とのマリアージュを基点とする甲子は、食べながら飲んでおいしいお酒。「きのえねアップル」は、見た目が可愛く飲みやすく、かつ本格的な味わい。日本酒ビギナーにおすすめしたい1本。
・不動(ふどう)(鍋店)米と醸造から生まれる味わいをより楽しんでほしいと、平成16年に誕生したブランド。ろ過はせず、火入れは1度だけと、フレッシュかつ奥深い旨味を堪能できる。

(出典元:株式会社飯沼本家)
3-5.茨城
茨城の日本酒の特徴
茨城県の酒蔵は、久慈川水系をはじめとする5つの水系に沿って存在します。平成13年には、県初となるオリジナル酒米「ひたち錦」が誕生。ひたち錦を使用した酒は、すっきりとキレのある味わいに仕上がるといわれています。
また、酒造組合は茨城ブランドの純米酒「ピュア茨城」プロジェクトを展開。プロジェクトに参加する蔵は、ひたち錦と茨城県産の酵母、豊かな水源と伝統の技で個性豊かな日本酒を生み出しています。
茨城の代表的な銘柄
・来福(らいふく)(来福酒造)ナデシコやツルバラ、日々草など、花から採取した花酵母を酒造りに使用。国内はもちろん海外での評価も高く、名だたる鑑評会で数々の受賞歴を誇る。
・森嶋(もりしま)(森島酒造)時代にあう味わいを目指し、透明感とフレッシュな旨味、ほどよい酸を実現。飲む人に新たな気付きがある一杯を、つくり手自身にも一石投じる姿勢を忘れずにいたい、という蔵の想いが込められた日本酒。
・結ゆい(むすびゆい)(結城酒造)結城紬の里で造られる味わい豊かなお酒。2022年、思わぬ火災で蔵が全焼するも、来福酒造、三千櫻酒造の協力のもと純米吟醸を醸造。復活を応援する人々の支援の輪が広がっている。

(出典元:来福酒造)
3-6.栃木
栃木の日本酒の特徴
栃木の日本酒を語るうえではずせないのが、大自然が育む「水」の存在です。栃木の水は硬度・ミネラル含有量ともに日本酒造りに適し、清らかな味わいの源となっています。
また、栃木県産「夢ささら」は、きれいで旨味のある酒が仕上がるといわれる酒米です。香り高い大吟醸酒の仕込みに向いており、県内ではフルーティーでクリアな酒質の日本酒が数多く製造されています。
栃木の代表的な銘柄
・仙禽(せんきん)(せんきん)仕込み水と同じ水で育った米にこだわり、その土地でしか生まれない味わいを実現。クラシカルな定番商品はもちろん、「かぶとむし」や「雪だるま」が描かれた瑞々しい味わいの季節商品も人気。
・鳳凰美田(ほうおうびでん)(小林酒造)香りはまるでもぎたてのフルーツのよう。口当たりはなめらかで、スッとやさしく体になじむ味わい。全国の日本酒ファンを魅了する香り高い吟醸酒。
・姿(すがた)(飯沼銘醸)県内外の上質な酒米を使い分け、幅広いラインナップを展開。香りは華やかでキレがあり、飲み飽きしないおいしさにあふれた日本酒。

(出典元:株式会社せんきん)
3-7.群馬
群馬の日本酒の特徴
豊かな水に澄んだ空気、冬場の低い気温と酒造りに恵まれた環境の群馬県。稲作が盛んな土地柄でもあり、平成3年には群馬県産「若水」が関東で初めての酒造好適米として認定されました。
また、群馬の水は軟水傾向にあり、お酒はやわらかで繊細な味わいに仕上がります。香りが心地よい銘柄やスパークリング日本酒も多く、日本酒ビギナーにおすすめです。
群馬の代表的な銘柄
・尾瀬の雪どけ(おぜのゆきどけ)(龍神酒造)ファンの間では「オゼユキ」の名で親しまれる日本酒。ほぼすべての商品が米を小さく磨く純米大吟醸酒として造られ、フルーティーでジューシーな味わいを堪能できる。
・水芭蕉(みずばしょう)(永井酒造)やわらかで品の良い酒質は、尾瀬の水辺に花開く真っ白な水芭蕉のよう。なかでも「MIZUBASHO PURE」は、世界で初めて誕生した本格的なスパークリング日本酒。グラスの底から立ち上る一筋の泡が乾杯のシーンを彩る。
・町田酒造(まちだしゅぞう)(町田酒造)手造りでていねいに醸される限定酒は、搾ってから3分以内に瓶詰めされたフレッシュな味わいが魅力的。ほんのり甘く、後口をきれいな酸味が引き締める。

(出典元:永井酒造株式会社)
4.中部エリア
中部エリアの日本酒のキーワードとなるのは、豊かな水。名峰・富士山をはじめ、山々に降る雪は清らかな雪解け水となって河川に流れ込み、やがて地中でろ過され、伏流水として酒造りに用いられます。
山の幸、海の幸に恵まれる地域も多く、食中酒として親しまれる銘柄が多いことも特徴です。さらに、ワインのようにエレガントなSAKE、シルキーな泡が立ち昇るスパークリング日本酒など、個性的な銘酒が集まります。
4-1.山梨
山梨の日本酒の特徴
ミネラルウォーター生産量日本一を誇る山梨県。県内には「名水百選」に指定された湧水や河川が複数あり、山梨の酒造りを支えています。
2021年には、日本酒の地理的表示(GI)に認定。使用する水系を限定するなど、厳しい基準をクリアした日本酒のみが“山梨産”として全国へと送り出されます。
山梨で造られる日本酒についてはこちらの記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
山梨で造られるおすすめ日本酒銘柄10選!山梨の日本酒の特徴なども解説
山梨の代表的な銘柄
・七賢(しちけん)(山梨銘醸)水清らかな白州の地で育まれる日本酒。搾ってすぐに瓶詰される酒は香り、味ともに瑞々しさにあふれている。開発に5年をかけたスパークリング日本酒は、SAKEの新たな境地を切り開く美しく豊かな味わい。
・旦(だん)(笹一酒造)酒造りに使うのは、長い歳月を経て地中でろ過された富士山の雪解け水。それぞれの季節に応じて醸される酒は、四季の料理にそっと寄り添い、食事をより豊かなものにしてくれる。
・青煌(せいこう)(武の井酒造)八ヶ岳の名水とバラの花酵母を使い、晴れ渡る空のように澄んだ味わいを実現。やさしい香りがふんわり漂い、飲み飽きしないおいしさ。

(出典元:山梨銘醸株式会社)
4-2.新潟
新潟の日本酒の特徴
米どころでもある新潟県は、全国屈指の酒どころとして知られています。
冬の厳しい寒さと新潟産の酒米「五百万石(ごひゃくまんごく)」から生まれるのは、スッキリとした淡麗のお酒。軟水の雪解け水が育む、まろやかでやさしい味わいも魅力です。
また、新潟県は「越後杜氏(えちごとうじ)」と呼ばれるお酒の技術集団のふるさとでもあります。
酒造りに適した環境、米、水、そして人とがつながり合う新潟は、多くの銘酒に出会える場所です。
新潟の代表的な銘柄
・加茂錦(かもにしき)(加茂錦酒造)製造開始当時、20代だった杜氏が醸す「荷札酒シリーズ」は、蔵の地道な努力が実を結び、口コミで人気を広げ一躍有名銘柄に。品よくスムースな味わいは、日本酒ビギナーから愛好家まで幅広いファンをもつ。
・久保田(くぼた)(朝日酒造)新潟県で200年近い歴史を持ち、新潟の酒の代名詞ともいえる久保田。新潟らしい淡麗の酒はもちろん、アウトドアブランドとのコラボ商品やスパークリング日本酒など、時代と人に寄り添う日本酒を続々世に送り出す。
・八海山(はっかいさん)(八海醸造)南魚沼の豊かな自然が育むきれいな酒。精鋭メンバーのみが関わる「浩和蔵」で仕込み、2年寝かせた純米大吟醸は最上級の味わい。

(出典元:朝日酒造)
4-3.長野
長野の日本酒の特徴
本州のほぼ中央に位置する長野県には、約80もの酒蔵が存在します。それぞれが伝統を守りながら、個性あふれる酒を造り上げる地域です。
長野の郷土料理にあう穏やかで芳醇な酒をはじめ、スッキリとした淡麗タイプ、香り華やかなタイプなど、蔵の目指す酒の姿はさまざま。
全国で広く使用される「7号酵母」発祥の地でもあり、2019年には、リンゴ酸由来の酸味が特徴の「長野酵母R」も開発されています。
長野の代表的な銘柄
・信州亀齢(しんしゅうきれい)(岡崎酒造)信州の米と水、人を大切に美しく清らかな味わいを実現。香りは品よく、やわらかな旨味が体に静かになじむ。長野名物、信州そばや山菜料理などとの相性も抜群。
・真澄(ますみ)(宮坂醸造)「7号酵母」発祥蔵で醸されるのは、人と人、そして料理をつなぐ酒。昔ながらの味わいから泡立つスパークリング日本酒、アルコール度数を抑えた商品まで幅広いラインナップが揃う。
・ソガペールエフィス(小布施ワイナリー)ぶどう畑の仕事ができない冬季のみ、ごく少量だけ醸される日本酒。ワイン醸造のスピリッツが活きたSAKEは、甘さと旨味、苦味と酸が複雑に絡み合い、一度口にすれば忘れられない味わい。

(出典元:宮坂醸造株式会社)
4-4.富山
富山の日本酒の特徴
日本海に面した富山県の日本酒は、淡麗辛口タイプが多く、まろやかでスッキリとした味わいを楽しめます。
富山の名産白エビをはじめ、ホタルイカの刺身やマス寿司、ブリ大根など、料理にも酒の肴にも絶妙にマッチすることが魅力です。
また、富山県内の地酒の消費率は、全国でもトップレベルに位置します。つまり、土地の食材と酒との相性が、地元でも広く認められているということ。料理とお酒を愛する人にはたまらない銘酒が揃うエリアです。
富山の代表的な銘柄
・羽根屋(はねや)(富美菊酒造)すべての酒を、手間ひまかかる大吟醸と同じ手法で製造。小さな蔵がこだわり抜いた酒の味は、世界規模の酒コンペティションで2年連続ゴールドメダルを受賞するなど、海外での評価も高い。
・満寿泉(ますいずみ)(桝田酒造店)クリアでありながら、しっかりと旨味がのった味わいは、富山の海の幸、山の幸のよきパートナー。「美味しいものを食べている人しか美味しい酒は造れない」をモットーに生まれる、これぞ地酒という1本。
・勝駒(かちこま)(清都酒造場)小さな蔵が丁寧に心を込めて醸す酒。口当たりは絹のようになめらかで、後口はやさしく味わいふくよか。心地よい余韻が「もう1杯」と盃を進ませる。

(出典元:佐野屋)
4-5.石川
石川の日本酒の特徴
天下の美酒として「加賀の菊酒」の名で称されてきた石川県の日本酒。白山水系の清らかな水に冷涼な気候、能登杜氏の手によって生まれる味わいは、古くから各地の人々を魅了してきました。
酒米「五百万石(ごひゃくまんごく)」の生産地でもある石川県は、淡麗ですっきりとした味わいの日本酒を中心に、各蔵の個性が光る銘酒が集う場所です。
石川の代表的な銘柄
・菊姫(きくひめ)(菊姫)ほんのりと黄金色に輝く加賀の美酒。ひと口目からしっかりとおいしく、それでいて飲み飽きしない。石川県の新鮮な食材とあわせたくなる味わい。
・手取川(てどりがわ)(吉田酒造店)契約農家とのつながりを大切に、「五百万石」や「石川門(いしかわもん)」など、酒米の個性を活かした味わいを実現。スムースな飲み口と深いコク、後口のキレのよさが魅力的。
・天狗舞(てんぐまい)(車多酒造)石川県で古くから愛される地酒は、今や世界で親しまれる酒に。伝統の山廃仕込みで生まれる酒は、しみじみとしたおいしさ。燗酒にするとさらなる魅力を放つ。

(出典元:日本酒といえば地酒 天狗舞)
4-6.福井
福井の日本酒の特徴
コシヒカリ発祥の地である福井県は、酒米栽培も盛んな地域です。五百万石をはじめ、幻の酒米といわれる「九頭竜(くずりゅう)」、「神力(しんりき)」などが生産されています。
県内には多くの名水が存在し、それぞれのわずかな違いが蔵の個性の源に。越前ガニや甘エビ、新鮮な野菜と土地の恵みにあふれ、日本酒と食とのマリアージュを堪能できるエリアです。
福井の代表的な銘柄
・黒龍(こくりゅう)(黒龍酒造)香り高い大吟醸酒の先駆けとなった黒龍。澄み切った九頭竜川の伏流水は、ふくよかな味わいの源となっている。贈答用にも好まれる風格と確かな酒質を兼ね備えた日本酒。
・梵(ぼん)(加藤吉平商店)国内外のコンペティションで数々の賞を受賞。上質な米を磨き上げた日本酒は、香り良くピュアな味わい。
・花垣(はながき)(南部酒造場)福井県でもっとも雪の多い地で生まれる、優雅な味わいの酒。手仕事で丁寧に醸される酒は繊細な旨味にあふれ、飲み手に笑顔の花を咲かせる。

(出典元:黒龍酒造)
4-7.愛知
愛知の日本酒の特徴
日本書記の時代には始まっていたといわれる愛知県の酒造り。戦国時代には、尾張の物資集積地であった津島に多くの蔵が建ち並びました。
江戸時代に造られたアルコール度数の高い酒は、現在まで「鬼ころし」の愛称で親しまれています。味噌を使った料理にマッチする旨口の酒をはじめ、個性豊かな銘柄が揃うエリアです。
愛知の代表的な銘柄
・醸し人九平次(かもしびとくへいじ)(萬乗醸造)自然の声に耳を傾け、田や畑の恵みをSAKEとして体現。世界のシェフ・ソムリエが認めた味わいは実にエレガント。ワイングラスに注ぎ五感で味わいたい日本酒。
・二兎(にと)(丸石醸造)味と香り、酸味と旨味、重さと軽さ。一見相反するような個性がバランスよく共存し、飲むものを魅了する。「二兎追うものしか二兎を得ず」のポリシーも納得の味わい。
・蓬莱泉(ほうらいせん)(関谷醸造)社員自ら育てた米で造られる、地元で愛され続ける地酒。みずみずしく、後口は力強く。米本来の旨味にあふれた豊かな味わい。

(出典元:萬乗醸造)
4-8.岐阜
岐阜の日本酒の特徴
米、水、酵母と良質な酒を造る素材に恵まれた岐阜県。県内産酒米「ひだほまれ」を使った酒は味のバランスに優れています。
岐阜県で開発された酵母「G酵母」は、日本酒に華やかな香りをもたらすのが特徴。さらに、山々から流れる河川の伏流水によって、岐阜県のおいしい日本酒ができあがります。
岐阜の代表的な銘柄
・射美(いび)(杉原酒造)香りはフルーティーでしっとり甘く、ほどよい酸味と苦みが後口を引き締める。原料には、農家とともに栽培した米「揖斐の誉(いびのほまれ)」を使用。日本一小さな蔵で生まれる手仕事の酒。
・蓬莱(ほうらい)(渡辺酒造)伝統と手造りを重視し、香り高く華やかな味わいを実現。光を遮断するため、1本ずつ新聞紙で巻かれた「蔵元の隠し酒」は、予約で完売になる人気商品。
・小左衛門 (こざえもん)(中島醸造)ジューシーな味わいの酒から穏やかな香りの酒まで、多彩なラインナップが揃う。どれもに共通しているのは、清らかな伏流水と杜氏の手が生み出すクリアな味わい。

(出典元:杉原酒造株式会社)
4-9.静岡
静岡の日本酒の特徴
静岡県は、「吟醸王国」と呼ばれるほど酒の質がよいといわれる地域です。
酒造りを支える要素のひとつが、県独自で開発した「静岡酵母」。静岡酵母で醸した酒は、フルーティーな香りできれいな酒質に仕上がるといわれています。
さらに、オリジナル酒米「誉富士(ほまれふじ)」が、まろやかでキレのある味わいを生み出します。料理とあわせておいしい食中酒も多く、新鮮な魚介類のパートナーにおすすめです。
静岡の代表的な銘柄
・磯自慢(いそじまん)(磯自慢酒造)山田錦のなかでも特に質が良いとされる「東条山田錦」を中心に使用。品の良い香りとスッキリとした飲み口が料理の味を引き立て、和食はもちろん、フレンチやイタリアンとのマリアージュもおすすめ。
・開運(かいうん)(土井酒造場)穏やかな香りとほのかな甘味。食中酒としての魅力にあふれ、静岡で長きにわたり愛され続ける地酒。おめでたい開運ラベルは贈答用にも。
・臥龍梅(がりゅうばい)(三和酒造)雄町に五百万石、山田錦と酒米の個性を活かしたさまざまな商品を展開。そのどれもが600kgの少量タンクで丁寧に仕込まれている。

(出典元:磯自慢酒造株式会社)
5.近畿エリア
日本三大酒どころのうち、京都の「伏見」、兵庫の「灘」と2つの酒どころが位置する近畿エリア。奈良県は日本清酒発祥の地といわれるなど、古くから日本酒文化を支えてきました。
天下の台所といわれた大阪を代表するように、料理にあう銘酒が揃うことも特徴です。日本酒ファンに支持される人気銘柄も数多く造られています。
5-1.三重
三重の日本酒の特徴
食材の宝庫といわれる三重県は、古来から「御食国(みけつくに)」として、皇室や朝廷に豊かな食材を収めてきました。
地酒も高級食材にあうものをと各蔵が切磋琢磨した結果、三重には数多くの美酒が誕生します。伏流水は軟水傾向にあり、繊細でまろやかな味わいの酒が多いことも特徴です。
三重の代表的な銘柄
・而今(じこん)(木屋正酒造)築200年の蔵のなか、昔ながらの製法で生まれる味わい深い酒。「過去にも囚われず未来にも囚われず、今をただ精一杯生きる」という意味を持つ而今には、6代目蔵元杜氏の情熱が注がれている。
・作(ざく)(清水清三郎)酵母や作り方を少しずつ変えながら、多様な香りの商品を展開。そのどれもがクリアで洗練された味わいをもつ。ボトルデザイン、酒質ともにエレガントな「MONAD」はワイングラスでいただくのがおすすめ。
・田光(たびか)(早川酒造)鈴鹿山脈の麓、父子で造り上げた酒はリリースされると酒通の間でたちまち話題に。ラベル文字は母が書き上げたもの。家族で少量ずつ丁寧に仕込まれる酒は、やわらかで芯のあるおいしさ。

(出典元:清水清三郎商店株式会社)
5-2.大阪
大阪の日本酒の特徴
「天下の台所」と呼ばれた大阪は、昔も今も食の流通の中心地。古くは山間部や海沿いの地で醸される酒が「下り酒」として江戸に運び込まれていました。
現在も、各蔵では気候風土を活かした酒造りが続けられています。何より酒の味を支えているのは、古くから受け継がれる伝統の技です。
キリッとした辛口の味わいのなかに、やわらかな旨味が広がっていく。人情の街大阪では、そんな酒が数多く生み出されています。
大阪の代表的な銘柄
・秋鹿(あきしか)(秋鹿酒造)豊かな自然が残る山間部で、蔵元自ら山田錦を栽培。良質な米と水、杜氏の技が繊細でキレのある味わいを生み出す。代表酒「超辛口」は辛口好きにおすすめしたい逸品。
・片野桜(かたのさくら)(山野酒造)江戸時代から受け継がれてきた蔵で醸されるのは、笑顔の花を咲かせるおいしい地酒。辛口酒から香り高い酒までラインナップも幅広く、自分好みの味わいに出会える。
・呉春(ごしゅん)(呉春株式会社)蔵が建つ池田市は、江戸時代に多くの酒蔵が建ち並んだ銘醸地。当時の面影を残す蔵では、日々の食卓に寄り添う上質な酒が醸される。

(出典元:山野酒造株式会社)
5-3.兵庫
兵庫の日本酒の特徴
北は日本海、南は瀬戸内海に面する兵庫県では、バラエティ豊かな日本酒が造られています。
なかでも神戸市灘区から西宮今津までの「灘五郷(なだごごう)」は、日本屈指の酒どころ。全国で販売される日本酒の約25%が醸造されるエリアです。
おいしい日本酒の原料となるのは、各地の名水と「山田錦」をはじめとする上質な酒米。兵庫県の社地区と東条地区、吉川町は、最高品質の山田錦が栽培される「特A地区」と呼ばれています。
さらに、日本を代表する丹波杜氏や但馬杜氏の伝統の技が上質な味わいを生み出します。甘口から辛口まで、幅広いジャンルの酒を堪能できるエリアです。
兵庫の代表的な銘柄
・龍力(たつりき)(本田商店)最高品質といわれる特A地区のなかでも、さらに土壌条件がよいとされる農家の山田錦を厳選して使用。蔵自らが土壌研究に取り組むなど、土壌と米、酒とのつながりを重要視しながら清らかな味わいを生み出す。
・奥播磨(おくはりま)(下村酒造店)明治からの伝統を守り、米と米麹を原料とした純米酒のみ製造。味わいふくよかで、燗酒にするとしみじみとしたおいしさを堪能できる。料理のパートナーとして常備しておきたくなる日本酒。
・播州一献(ばんしゅういっこん)(山陽盃酒造)播州地域の恵みが育む味わい豊かな地酒。後口を適度な酸味が引き締め、料理の味わいを引き立てる。近年は日本酒の醸造技術を活かしたシードルもリリース。

(出典元:山陽盃酒造オンラインショップ)
5-4.京都
京都の日本酒の特徴
古き良き歴史が息づく古都・京都。なかでも南に位置する伏見区は、日本三大酒どころのひとつとして知られています。
伏見の酒の源となるのが、清らかな湧水です。軟水傾向にある水を使った酒は味わいまろやかで、古くから「伏見の女酒」と呼ばれてきました。
また、京都市内では3つの酒蔵が長きにわたり酒造りを続けています。若き蔵人が新たな取り組みにチャレンジするなど、伝統を守りながら日本酒の新たな歴史を切りひらくエリアです。
京都の代表的な銘柄
・澤屋まつもと(さわやまつもと)(松本酒造)伏見に位置する老舗蔵。大正時代に建てられた蔵は有形文化財として登録されている。究極の食中酒を目指して醸す酒は香り奥ゆかしく、味わいふくよか。米の旨味をぞんぶんに堪能できる。
・玉川(たまがわ)(木下酒造)ロックで、燗で、熟成させて…と日本酒の自由な楽しみ方を教えてくれる酒。酒の熟成にこだわり、店頭には5~6年ものの酒が並ぶ。しっかりとした飲みごたえがある酒は、ぜひ料理と一緒に楽しみたい。
・蒼空(そうくう)(藤岡酒造)造り手の人柄をあらわすような、やさしくやわらかな旨味が広がる酒。五代目の手により再建を果たした伏見の蔵では、少量ながらも丁寧な酒造りが続けられている。蔵にはガラス越しに醸造を眺められるバーも併設し、観光にもおすすめ。

(出典元:松本酒造株式会社)
5-5.滋賀
滋賀の日本酒の特徴
琵琶湖をぐるっと囲むように、多くの酒蔵が点在する滋賀県。盆地特有の冬の寒さは酒造りに適し、古くから味わい深い酒が造られてきました。
香り穏やかでコクのある酒は、琵琶湖でとれた鮎や近江牛など、地元食材を使った料理と絶妙にマッチします。甘い辛いのひと言では語れない個性豊かな銘酒が生まれるエリアです。
滋賀の代表的な銘柄
・笑四季(えみしき)(笑四季酒造)「あ、おいしい」口にした瞬間思わずそう微笑んでしまうような、豊かな旨味にあふれる酒。無添加無調整のナチュラル製法にこだわり、きれいな酒質を実現している。華やかでありながらも決して前に出すぎないフルーティーな香りが魅力的。
・七本槍(しちほんやり)(冨田酒造)地元農家や農業高校とタッグを組み、地元に根差す上質な日本酒を醸造。完全無農薬米を使った酒「無生(むう)」は、やさしくやわらかな味わいを堪能できる。
・松の司(まつのつかさ)(松瀬酒造)地下120mに流れる伏流水と100%契約栽培の酒米。長年培われた伝統の技で丁寧に醸される酒。滋賀の田園風景を思わせるような、やさしく力強い味に満ちている。

(出典元:冨田酒造有限会社)
5-6.奈良
奈良の日本酒の特徴
日本清酒発祥の地ともいわれる奈良県。三輪の大神神社には、酒の神である大物主大神が祀られ、11月の醸造安全祈願祭には全国から酒造関係者たちが参列します。
境内には杜氏の祖といわれる高橋活日命(たかはしいくひのみこと)を祀った活日神社があるなど、日本酒とのつながりが深い地域です。長年の歴史を受け継ぐ各蔵では、個性豊かな奈良酒が育まれています。
奈良の代表的な銘柄
・風の森(かぜのもり)(油長酒造)リリース以来多くの日本酒ファンに支持され、奈良を代表する銘柄に。発酵による自然なガス感とさわやかな香り、ボリューミーな旨味とほのかな苦味が印象的。
・みむろ杉(みむろすぎ)(今西酒造)大神神社のある三輪で生まれる奈良酒。歴史ある三輪の自然が育むきれいな酒質を堪能できる。「ろまんシリーズ」と題した日本酒は、フレッシュ感がたまらない逸品。
・篠峯(しのみね)(千代酒造)「売り急がなくても良いお酒を」というコンセプトで生まれた篠峯は、熟成によりさらなる魅力が花開く。フレッシュでやわらかな味わいを楽しめる通年販売の商品もおすすめ。

5-7.和歌山
和歌山の日本酒の特徴
和歌山県は「木の国」と呼ばれるほど豊かな自然が残る地域です。森林は土壌に雨水をたくわえ、良質な水を里山へともたらします。
仕込み水は軟水が多く、日本酒はやさしい口当たりに仕上がります。フルーティーな香りのお酒、キレのあるお酒とさまざまなタイプの日本酒が揃うことが特徴です。
和歌山で造られる日本酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
和歌山で造られるおすすめ日本酒銘柄10選!和歌山の日本酒の特徴なども解説
和歌山の代表的な銘柄
・紀土(きっど)(平和酒造)和歌山県の南、温暖なエリアで生まれる紀土は、やわらかな口当たりが魅力的。やさしい甘さで飲みやすく、日本酒ビギナーにもおすすめ。
・黒牛(くろうし)(名手酒造店)敷地内の4つの井戸から汲み上げた水を使い、ふくよかで旨味あふれる酒を実現。杜氏をはじめとする蔵人たちのチームワークが、日本酒ファンに愛される酒を造り上げる。
・雑賀(さいか)(九重雜賀)お寿司発祥の地といわれる和歌山で100年余りの歴史を持つ蔵の原点は「赤酢」。赤酢の原料の酒粕をもたらす日本酒「雑賀」は、寿司にあうキレのよさが魅力的。

(出典元:はせがわ酒店)
6.中国エリア
中国地方を挟み、日本海側の山陰と瀬戸内海側の山陽とにわかれる中国エリア。日本海のズワイガニに瀬戸内海の牡蠣、山々の恵みと、各地の郷土料理にあう日本酒が数多く造られています。
古くから酒造りの伝統文化が息づき、広島・西条は日本三大酒どころのひとつです。稲作も盛んで、岡山県発祥の酒米「雄町」は、全国の銘酒に使用されています。
6-1.鳥取
鳥取の日本酒の特徴
米と米麹のみで造られる「純米酒」の生産比率が高く、「純米王国」ともいわれる鳥取県。
霊峰大山(だいせん)をはじめとする中国山地の雪解け水は、清らかな伏流水となり、各蔵の仕込み水として用いられます。
日本海に面する鳥取県の日本酒は、新鮮な魚介類にあうキレのある味わいが特徴です。燗酒にするとまろやかな味わいに変化し、ジビエのような山の恵みと絶妙なハーモニーを奏でます。
鳥取の代表的な銘柄
・日置桜(ひおきざくら)(山根酒造場)ふくよかで心地よく、どこか懐かしさを感じる味わい。よい酒はよい米から造られる。酒と田はつながっているという当たり前のことを思い出させてくれる酒。
・千代むすび(ちよむすび)(千代むすび酒造)ゲゲゲの鬼太郎の生みの親、水木しげる氏の出身地・境港で造られる日本酒。酒米「強力(ごうりき)」を中心に、香り華やかでキリッとした味わいを実現。純米吟醸「蟹に合う酒」はぜひ鳥取名産松葉ガニと一緒に。
・辨天娘(べんてんむすめ)(太田酒造場)蔵が建つのは、森林が町の面積の95%を占める若桜町。木製の槽(ふね)と呼ばれる枠で丁寧に搾った酒は、ぜひ燗酒で。やさしい香りと味わいは、ゆるりと時間をかけて楽しみたい。

(出典元:山根酒造場)
6-2.島根
島根の日本酒の特徴
酒の神が鎮まる奈良とともに、島根もまた日本酒発祥の地として知られる地域です。
日本最古の歴史書「古事記」をはじめとする各地の風土記には、弥生時代から島根の酒造りが始まっていたことが記されています。
出雲市の佐香神社には酒造りの神「久斯之神(くすのかみ)」が祀られ、宮司自らが酒を醸し、神へ奉納します。
県内の蔵では出雲大社に奉納する酒も造られるなど、歴史と神話が息づく日本酒に出会えるエリアです。
島根の代表的な銘柄
・王祿(おうろく)(王祿酒造)小さく舞う滓(おり)は、ろ過をしていない完全無濾過の酒の証。火入れ殺菌は極力せず、できた酒は即瓶詰めしマイナス温度下にて貯蔵。こだわり抜いた味わいは全国の日本酒ファンを魅了している。
・月山(がっさん)(吉田酒造)酒造りに用いるのは、島根の名水百選に選定された超軟水の仕込み水。香り華やかでスムースな飲み口の酒は、日本酒好きはもちろん日本酒ビギナーにもおすすめ。
・天穏(てんおん)(板倉酒造)伝統的な出雲杜氏の技法「山陰吟醸造り」を用いた酒は、清らかでやさしい味わい。さらに、昔ながらの生酛・山廃造りにより、複雑で豊かなテイストを引き出している。

(出典元:王祿酒造有限会社)
6-3.岡山
岡山の日本酒の特徴
岡山の日本酒を語るうえではずせないのが酒米「雄町(おまち)」の存在です。栽培の難しい雄町は、一時はまぼろしの米ともいわれていました。
雄町を使った酒は、旨味ののったまろやかな酒質に仕上がり、日本酒好きのなかには「オマチスト」と呼ばれるファンも存在します。
中国山地が連なる県北に吉備高原が広がる中部、瀬戸内海に面する県南と、風土による味の違いを楽しめるエリアです。
岡山の代表的な銘柄
・嘉美心(かみこころ)(嘉美心酒造)安心安全を第一に、農家とともに雄町を栽培。目指すのは旨口の酒。普通酒から大吟醸酒まで、どれも米本来の味をぞんぶんに楽しめる。
・御前酒(ごぜんしゅ)(辻本店)雄町米にこだわり、旨味がありキレがよい酒質を実現。さらに「菩提酛(ぼだいもと)」と呼ばれる昔ながらの製法で、さわやかな酸味のある酒に仕上げている。ついつい盃が進む飲み飽きしないおいしさが魅力。
・大典白菊(たいてんしらぎく)(白菊酒造)香り良く口当たりなめらか。しっかりと米の旨味がありつつ後口はスッキリと、食事とあわせておいしい日本酒。炭酸割専用日本酒「&SODA」は、日本酒をより身近で楽しいものにしてくれる。

(出典元:御前酒蔵元 辻本店オンラインショップ)
6-4.広島
広島の日本酒の特徴
北は中国山地、南は瀬戸内海に面する広島県は、地域により風土が大きく異なるエリアです。各蔵では個性豊かな酒が造られ、西条は日本三大酒どころのひとつとして知られています。
また、忘れてはならないのが広島杜氏の存在です。広島杜氏は、酒造りには向かないといわれた軟水傾向にある名水の良さを活かす「軟水醸造法」を生み出し、広島の酒の質を大きく躍進させました。
県内では酵母開発も盛んに進められ、「広島もみじ酵母」を用いた日本酒は、フルーティーな香りと軽快な味わいを楽しめます。
広島の代表的な銘柄
・雨後の月(うごのつき)(相原酒造)体にすっと染み渡る澄み切った美しさは、雨上がりの空に輝く月のよう。上品な香りとスッキリとした後口が心地よい、日本酒ビギナーにおすすめの銘柄。
・賀茂金秀(かもきんしゅう)(金光酒造)「日本酒がおいしいと思えなかった」という杜氏が東北の銘酒に出会い、試行錯誤のうえ生み出した広島の銘酒。今では全国でその味わいが評価され、「2023G7広島サミット」ではワーキング・ランチで振る舞われた。
・亀齢(きれい)(亀齢酒造)蔵が建つのは日本三大酒どころのひとつ、西条。やわらかな酒質が多い広島で、辛口にこだわり続ける銘柄。コストパフォーマンスに優れた酒が数多く揃う。

(出典元:佐野屋)
6-5.山口
山口の日本酒の特徴
海の幸、山の幸に恵まれた山口県は料理に寄り添う上質な酒が集まる地域です。県は独自に酒米「西都の雫(さいとのしずく)」を開発。各蔵での特色ある酒造りに活用されています。
蔵元の有志によって造られた日本酒「やまぐち伝説」は、山口のお土産におすすめです。県内産の山田錦と地元の名水、そして山口の蔵人の手によって生まれたスッキリとした味わいを堪能できます。
山口の代表的な銘柄
・獺祭(だっさい)(旭酒造)一粒の米を限界まで磨きく「二割三分」で一躍話題になった獺祭。技術はもちろん、上質で確かな味わいは国内外の人々を魅了してきた。2023年にはニューヨークに新酒蔵が完成。「獺祭BLUE」リリースに向けさらなる躍進を続ける。
・東洋美人(とうようびじん)(澄川酒造場)蔵が目指すのは、稲をくぐりぬけた水のような酒。「0から1杯へ」を目標に、親しみやすい酒質を実現。フルーティーな香りとクリアな飲み口を楽しめ、日本酒ビギナーにおすすめしたい銘柄。
・天美(てんび)(長州酒造)老舗蔵の事業を受け継ぎ、令和2年にスタートした長州酒造の酒造り。女性杜氏・藤岡氏が醸す酒は繊細かつフレッシュな魅力にあふれ、多くのファンをもつ人気銘柄に。

(出典元:旭酒造)
7.四国エリア
徳島・香川・愛媛・高知からなる島、四国は独自の酒文化を築き上げてきたエリアです。なかでも高知県は、宴席には日本酒が欠かせないというほど、酒を酌み交わすスタイルが根付いています。
主流は端麗辛口の酒ですが、フルーティーで香り豊かなタイプも続々登場しています。郷土料理にあわせた日本酒も開発されるなど、食と酒のコラボレーションをぞんぶんに楽しめるエリアです。
7-1.徳島
徳島の日本酒の特徴
徳島県は、吉野川をはじめ多くの水源に恵まれた地域です。昼夜の寒暖差は質の良い米を育み、清涼な仕込み水とともに徳島の酒の原料となります。
伝統の技で生まれる徳島の酒は、クセのないスッキリとした味わいが特徴です。料理とともに、飲み飽きせず楽しめる銘柄が数多く揃います。
徳島の代表的な銘柄
・三芳菊(みよしきく)(三芳菊酒造)「日本酒初心者の気持ちを大事にしたい」と、日本酒の新時代を切り開く三芳菊。音楽をジャケ買いするように日本酒を楽しんでもらいたいと、ラベルは個性的なデザインを採用。フルーティーで親しみやすい味わいが魅力的。
・鳴門鯛(なるとたい)(本家松浦酒造)使用する酒米はすべて徳島県産。徳島県産酵母を中心に、飲み飽きしない日本酒を造り続ける。ラベルに鯛が躍る純米大吟醸は、贈答用にもおすすめ。
・旭若松(あさひわかまつ)(那賀酒造)小さな蔵で家族の手仕事により生まれる徳島の地酒。原料米はすべて自社精米し、麹の一部に自社田の米を使用している。力強くふくよかな味わいの地酒は、ぜひ燗酒でいただきたい。

(出典元:本家松浦酒造場)
7-2.香川
香川の日本酒の特徴
香川県では、230年余りの歴史を持つ蔵から、新たに復活を遂げた小豆島の蔵まで6つの酒蔵がおいしい地酒を造り上げています。
ご当地グルメ「骨付鳥」にマッチする日本酒も開発されるなど、バラエティに富んだ銘柄に出会えるエリアです。オリーブ酵母を使った日本酒は、お土産にもおすすめ。香川県ならではの銘酒が数多く揃います。
香川の代表的な銘柄
・悦凱陣(よろこびがいじん)(丸尾本店)純米酒から純米大吟醸まで、同じだけ手間ひまかけて造られる香川の銘酒。米を蒸す際は木製の甑(こしき)と和釜を使用。すべてのお酒を無濾過で仕上げているため、できたままの味わいを堪能できる。
・讃岐くらうでぃ(さぬきくらうでぃ)(川鶴)ご当地グルメ「骨付鳥」を食べるためにと開発された日本酒。クリーミーな舌触りと甘酸っぱさはまるでカルピス。ロックやソーダ割、ビール割など楽しみ方は無限大。
・金陵(きんりょう)(西野金陵)江戸時代から“讃岐のこんぴら酒”と呼ばれ、金毘羅山に集まる参拝者に愛飲されてきた日本酒。コクがありつつ後口は軽やか。讃岐オリーブ酵母を使った純米吟醸は、イタリアンのパートナーにおすすめ。

7-3.愛媛
愛媛の日本酒の特徴
愛媛県は、全国新酒鑑評会で金賞受賞酒を数多く輩出する、全国でもトップレベルの酒どころです。県内には小規模な酒蔵が多く、丁寧な手仕事で上質な酒が造られています。
愛媛県が面する宇和海から獲れる海の幸は、地酒の良きパートナー。口当たりなめらかでやさしい味わいの酒は、心をほっと和ませてくれます。
愛媛の代表的な銘柄
・石鎚(いしづち)(石鎚酒造)酒造りに用いるのは、井戸から湧き出る超軟水。「食中に活きる酒造り」を目指し、仕込み水由来のやわらかな口当たりとスッキリとした味わいを実現。香りはおだやかで、2杯3杯と飲み飽きせずに楽しめる。
・伊予賀儀屋(いよかぎや)(成龍酒造)料理を引き立てる繊細な味わいと、酒本来のしっかりとしたコクを楽しめる愛媛の地酒。約半年寝かせた定番酒やフレッシュな生原酒、シーズン酒と個性豊かなラインナップも魅力的。
・梅綿(うめにしき)(梅錦山川)明治5年創業以来、愛媛で実直に造り続けられてきた日本酒。平成25年には、全国新酒鑑評会にて31回目となる金賞を受賞。世界の鑑評会でも普通酒が金賞を受賞するなど、コストパフォーマンスに優れた銘酒が揃う。

(出典元:石鎚酒造株式会社)
7-4.高知
高知の日本酒の特徴
地酒を豪快に飲み干すのが伝統として受け継がれるなど、酒文化が色濃く根付く高知県。藩政時代、歴代の藩主たちの多くは愛酒家だったといわれています。
高知のグルメと酒が集結する「ひろめ市場」は、明るいうちから酒好きが集う人気の観光スポット。地酒の多くはキレのある辛口酒ですが、近年は各蔵の個性もバラエティに富んでいます。
高知の代表的な銘柄
・酔鯨(すいげい)(酔鯨酒造)旨味がありつつ後口キリリ。香り穏やかなこれぞ土佐の酒という酔鯨。異業種とのコラボレーションも積極的に展開するなど、幅広い層に日本酒の楽しさ、おいしさを届けている。
・亀泉(かめいずみ)(亀泉酒造)「CEL-24」酵母を使った純米吟醸は、土佐の酒にめずらしい甘口タイプ。フルーティーな香りと甘酸っぱい味わいは、まるで白ワインのよう。アルコール度数も低めで日本酒ビギナーにおすすめしたい1本。
・美丈夫(びじょうふ)(濵川商店)仕込み水は日本屈指の超軟水。日本酒造りには硬水が適しているとされるなか、良質な米と杜氏の技で清らかな味わいを体現している。

(出典元:酔鯨酒造株式会社)
8.九州・沖縄エリア
火山が多く、南部には火山灰でできたシラス台地が広がる九州地方。温暖な気候は日本酒造りには適さないと思われがちですが、名だたる銘酒も数多く製造されています。
沖縄県には、日本最南端となる酒蔵が存在。九州・沖縄ならではの食文化、酒文化に触れられるエリアです。
8-1.福岡
福岡の日本酒の特徴
江戸時代には、約600もの造り酒屋が建ち並んだという福岡県。明治時代には全国2位の生産量を誇り、現在も地産地消の酒造りが各蔵で続けられています。
有明の珍味にがめ煮、水炊きと、酒のパートナーとなる郷土料理のメニューも充実。食通がうなる日本酒が集う日本屈指の酒どころです。
福岡で造られる日本酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
福岡で造られている日本酒おすすめ銘柄10選!福岡の日本酒の特徴なども解説
福岡の代表的な銘柄
・田中六五(たなかろくじゅうご)(白糸酒造)福岡県の西に位置する糸島で、糸島産山田錦のみを用いて醸した酒。酒を磨く度合い、精米歩合は65%。蔵元が「食べるように愉しめる」というように、黄金色に実る米を思わせる豊かな味わいに満ちた酒。
・三井の寿(みいのことぶき)(みいの寿)漫画スラムダンクの作者が酒にほれ込み、スリーポイントシューター三井寿(みついひさし)の名に取り入れたことで知られる福岡の人気銘柄。味わい深くキレのよい酒は海外での評価も高い。
・若波(わかなみ)(若波酒造)酒のコンセプトは「味の押し波・余韻の引波」。力強い味わいがぐぐっと押し寄せ、スッと心地よく引いていく。食中酒としての魅力にあふれた福岡の地酒。

(出典元:白糸酒造)
8-2.佐賀
佐賀の日本酒の特徴
佐賀県は、米と水、人にこだわった酒造りが盛んな地域です。2021年には清酒では九州で初めて酒の地理的表示(GI)に指定されました。
国産の米と米麹、佐賀県の水を使い、佐賀県内で醸造から瓶詰までされた日本酒は「佐賀の酒」として販売されます。
味わいは芳醇なタイプが多く、味の濃い料理や旨味の強い食材と相性がよいことが特徴です。
佐賀の代表的な銘柄
・鍋島(なべしま)(富久千代酒造)インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2011にて、日本酒部門の最優秀賞「チャンピオン・サケ」を受賞。口に含むとやさしい甘みがふわりと広がり、米の旨味がじんわり染み渡る。酒米や製法にこだわった幅広いラインナップも魅力的。
・光栄菊(こうえいぎく)(光栄菊酒造)一度は姿を消した光栄菊は、日下現社長と山本杜氏の手により2019年に復活。柑橘系のフルーティーな香りと果実味を感じる味わいはたちまち評判に。福岡から全国へと羽ばたいた佐賀のトップブランド。
・七田(しちだ)(天山酒造)6代目蔵元が2001年に新たに立ち上げたブランド。ふくよかな旨味とキレを兼ね備え、食中酒に最適の味わい。「純米吟醸 雄町50」は、Kura Master 2017にて最高位となるプレジデント賞を受賞。

(出典元:富久千代酒造有限会社)
8-3.長崎
長崎の日本酒の特徴
九州の西に位置する長崎県は、五島列島や壱岐島など数多くの島を有しています。長い歴史の中、海外への玄関口でもあった長崎県では、独自の食文化、酒文化が育くまれてきました。
なかでも日本酒と新鮮な魚介類との相性はばつぐん。柑橘系のさわやかな味わいの日本酒も多く、フレッシュでジューシーな旨味を堪能できます。
長崎の代表的な銘柄
・よこやま(重家酒造)壱岐島のミネラル豊富な湧水と、島で栽培された山田錦で醸される日本酒。香り華やかで味わいまるく、ワイングラスに注ぐとより繊細な酒質を堪能できる。飲み口もスムースで日本酒ビギナーにおすすめの銘柄。
・飛鸞(ひらん)(森酒造場)かつて海外貿易の拠点として栄えた港町、平戸の地酒。ブルーボトルが鮮やかな「フィランド」は、白ワインのような酸味をもつ純米酒。アルコール度数は9度と控えめで、品よくライトな味わいが魅力的。
・福田(ふくだ)(福田酒造)お酒を搾ったとき、一番質がよいとされる「中汲み」と呼ばれる部分を集めた限定酒。ふくよかな旨味と華やかな香りが調和し、心地よい酔いへといざなってくれる。美しい桐箱におさめられ、贈答用にもふさわしい逸品。

(出典元:平戸路の蔵元 森酒造場)
8-4.熊本
熊本の日本酒の特徴
熊本県は、1000を超える湧水群が点在するほど豊かな水に恵まれた地域です。清涼な水は良質な米の源となり、熊本の食文化と酒文化を育んできました。
また、熊本で開発された「熊本酵母」は、日本醸造協会の「きょうかい9号酵母」として全国で酒造りに用いられています。
発酵力に優れた熊本酵母はイメージ通りの酒を造りやすく、熊本県内の日本酒の個性も蔵によってさまざまです。
熊本で造られる日本酒についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
熊本で造られるおすすめ日本酒銘柄10選!熊本の日本酒の特徴なども解説
熊本の代表的な銘柄
・産土(うぶすな)(花の香酒造)産まれた土地で環境と文化を守りながら、ここにしかない最高の酒を。6代目の想いが詰まった酒には、酒蔵と同じ水域で育つ酒米が用いられる。華やかな香りと旨味、旨味や酸味が複雑に絡み合い、一度口にすれば忘れがたい味わい。
・瑞鷹(ずいよう)(瑞鷹)米の魅力にこだわり、熊本発のオリジナル酒米「華錦(はなにしき)」をはじめ、自然農法栽培による酒米「吟のさと」を使用。酵母は熊本酵母を使い、香りと旨味のバランスに優れた味わいを実現している。
・香露(こうろ)(熊本県酒造研究所)熊本酵母を維持、管理する研究所が醸す日本酒。酵母のデータを取るため仕込まれる香露は、ファンの間で「幻の酒」とも呼ばれている。

(出典元:はせがわ酒店)
8-5.大分
大分の日本酒の特徴
大分県には、清酒・焼酎文化が色濃く根付いています。清酒文化は戦国時代にスタートし、現代まで地元の人々の手によって受け継がれてきました。
温泉に2つの国立公園と、豊かな自然に恵まれた大分県では、米と水という日本酒造りに欠かせない原料が揃います。若い蔵元も活躍し、日本酒のさまざまな楽しみ方を教えてくれるエリアです。
大分の代表的な銘柄
・ちえびじん(中野酒造)ひらがな表記の「ちえびじん」は、6代目が新たにリリースした特約店限定ブランド。若き杜氏とその仲間の手によって生まれる酒は、世界でも高く評価されている。品よくきれいな味わいはワイングラスで楽しむのがおすすめ。
・八鹿(やつしか)(八鹿酒造)今の八鹿を代表する淡麗辛口の味わいは、長い歴史のなかで蔵の試行錯誤のなか生まれたもの。「五酒シリーズ」と名付けられた味わい異なる酒は300mlから販売され、少しずつ多彩な味を楽しめる。
・西の関(にしのせき)(萱島酒造)仏教文化が栄えた国東半島で、地元の人々に愛され続ける酒。大分産の米を中心に、各地の上質な酒米を使用。流行に左右されない手造りの味は、日本酒本来のおいしさに満ちている。

(出典元:八鹿酒造株式会社)
8-6.宮崎
宮崎の日本酒の特徴
九州南部の宮崎県は、本格焼酎の製造が盛んな地域です。理由は温暖な気候。主に清酒造りに用いられる黄麹は、温かい場所での発酵に適さず、黒麹を用いた焼酎造りが定着していきました。
そんななか、明治時代からの歴史を持つ日本酒蔵の酒は、焼酎とともに宮崎の地酒として地元で愛され続けています。大手焼酎メーカーが手がけるスッキリとした味わいの日本酒も要チェックです。
宮崎の代表的な銘柄
・千徳(せんとく)(千徳酒造)明治創業から清酒を造り続ける、宮崎の貴重な日本酒蔵。端麗辛口の味わいを基本に、芳醇旨口タイプや低アルコール酒など、幅広いラインナップを展開している。夏限定の生原酒はロックで味わうのがおすすめ。
・菊初御代(きくはつみよ)(雲海酒造)焼酎蔵として躍進を遂げた雲海酒造は、昭和61年から日本酒醸造をスタート。菊初御代は米と米麹のみで造られた純米酒。芳醇な香りと米本来のコク、適度なキレを楽しめる。

(出典元:名酒センター)
8-7.鹿児島
鹿児島の日本酒の特徴
宮崎県と同様に、鹿児島県も本格焼酎の銘醸地として知られる地域です。特に主流となるのが、良質なサツマイモを原料とした芋焼酎。醸造場の数は実に多く、鹿児島本土から奄美、種子島まで100以上にのぼります。
鹿児島県では清酒蔵が閉鎖して以来、長きに渡り日本酒が造られることはありませんでした。
鹿児島の日本酒文化を復活させたのは、いちき串木野市に3つの焼酎蔵を構える濱田酒造。2012年に新設された清酒蔵の温度は7~8℃に保たれ、温暖な鹿児島での日本酒造りを可能としています。
また、西酒造の8代目は、2020年に清酒「天賦」をリリース。焼酎王国鹿児島で、日本酒文化が再び花開こうとしています。
鹿児島の代表的な銘柄
・天賦(てんぶ)(西酒造)「富乃宝山」「吉兆宝山」などで知られる鹿児島の焼酎蔵が、日本酒造りと真摯に向き合い2020年にリリース。食中酒としてのバランスを追い求めた酒は、口当たりやわらかく1杯また1杯と盃を重ねたくなる味わい。
・薩州正宗 (さっしゅうまさむね)(濱田酒造)2012年、保有する3つの蔵のひとつに清酒の仕込み蔵が誕生。それまで全国で唯一清酒蔵がなかった鹿児島で、徹底した温度管理のもと清酒造りが始まる。濃醇旨口の薩州正宗は、燗酒にするとさらなる魅力を放つ。

(出典元:濱田酒造 金山蔵)
8-8.沖縄
沖縄の日本酒の特徴
泡盛で有名な沖縄県には、日本最南端の清酒蔵が存在します。宮崎、鹿児島と同様に、温暖な沖縄もまた日本酒造りが難しい場所。沖縄では職人の工夫と技術、丁寧な手仕事によって県内唯一となる日本酒が醸されています。
沖縄の代表的な銘柄
・黎明(れいめい)(泰石酒造)創業者の安田氏は、岩手大学で農芸化学を修めた後、あえて沖縄を酒造りの地として選択。「環境さえ整えれば、沖縄でもおいしい清酒が造れる」と、四季醸造方式を導入します。
四季醸造方式とは、酒造りに適した冬だけでなく、通年通して醸造できる設備を取り入れる手法のこと。さらに、安田氏の丁寧な手仕事により、日本最南端の日本酒が誕生しました。
現在も、安田氏の意思と技を受け継ぐ杜氏の手によって醸される日本酒は、一献の価値ありの味わいです。

(出典元:泰石酒造株式会社)
まとめ
米と米麹、水というシンプルな素材から生まれる日本酒は、土地の個性が反映されやすいお酒です。水の成分のちがい、酒米のちがいが味の個性となって現れます。
それらを原料においしい地酒を造り上げるのは、伝統と技を受け継ぎ、未来へと繋げる杜氏や蔵人たちです。
北は北海道から南は沖縄まで。各地の風景、人々へ想いを馳せながら、日本酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。