世界遺産、高野山や熊野古道を有する和歌山県は、古くから上質な日本酒が造られる土地でもあります。伝統の技と豊かな自然が生み出す味わいは、世界でも高く評価されるほど。今回は、そんな和歌山の日本酒の数々をご紹介します!
日本酒ファンに愛される銘柄からお寿司とあわせて美味しい銘柄まで、お酒の個性は実にさまざま。「和歌山の美味しい日本酒に出会いたい」「和歌山のお土産を探している」というときは、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.世界が認める和歌山の日本酒
県北部の紀の川沿いを中心に酒蔵が集まる和歌山県。「品質第一」をモットーに丁寧に醸される日本酒は、世界でも高く評価されています。
近年は、2020年にロンドンで開催された世界最大級のワイン品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」SAKE部門にて、平和酒造の「紀土 無量山 純米吟醸」が世界1位を獲得。さらに、世界一の日本酒酒蔵の称号「サケ・ブリュワリー・オブ・ザ・イヤー」の同時受賞も果たしました。
その他の蔵も同様に、国内外で開催されるコンペティションで数多くの受賞歴を誇ります。酒蔵数は決して多くはないものの、和歌山県は上質な日本酒に出会える土地といえるでしょう。
2.和歌山の日本酒の歴史と味わい
和歌山で美味しい日本酒が生まれる背景には、江戸時代から続く紀州の酒造りの歴史があります。かつて徳川御三家のひとつだった紀州では、献上品として良質な酒が製造されていました。
現在も、紀州徳川家の家紋にちなんだ「金葵(きんあおい)」、八代将軍の名を冠した「吉宗」など、歴史を感じさせる日本酒が数多く造られています。古くから続く伝統技法を活かす蔵が多いことも、和歌山県の酒造りの特徴です。
また、世界遺産に登録された高野山や熊野三山をはじめとする、豊かな自然が育む良質な水も和歌山の酒造りに欠かせない存在です。酒造りに使われる水は軟水が多く、お酒は口当たりまろやかに仕上がります。蔵によっては硬水の湧水を用いることもあり、キレのある味わいを楽しむことができるでしょう。
3.和歌山の日本酒おすすめ銘柄10選
ここからは、和歌山県の日本酒10選をご紹介。和歌山の日本酒の個性、風土が感じられる銘柄を取り揃えました。蔵のこだわりあふれる日本酒は、和歌山のお土産にもおすすめです。小容量タイプの商品もあるため、飲み比べも楽しめますよ。
3-1.紀土(きっど)【平和酒造】
紀州の土と書いて「キッド」と読む和歌山の酒「紀土」は、古くから稲作の盛んな海南市溝ノ口で育まれる日本酒です。蔵のポリシーは“酒は生き物、人は掛け橋”。平和酒造は地域の人々の協力のもと、田植えから稲作を手がけています。
口当たりはやさしく、後口にほんのりと苦味が広がる「紀土」は、和歌山の自然の恵みを思わせる美味しさ。その豊かな味わいは、世界でも高く評価されています。
3-2.龍神丸(りゅうじんまる)【高垣酒造】
高垣酒造で酒造りがはじまったのは、江戸時代の天保11年。現在まで脈々と受け継がれる伝統の技は、数々の銘酒を生み出しています。
なかでも「龍神丸」は、8代目杜氏・高垣淳一氏が心血注いで作り上げた人気銘柄です。2010年、淳一氏が46歳という若さで逝去された後は、妻の任世氏が9代目として酒造りの技と想いを継承。低温でじっくりと長期発酵させた「龍神丸」の味わいは、今も多くの日本酒ファンから愛されています。
(出典元:地酒みゆきや)
3-3.黒牛(くろうし)【名手酒造店】
名手酒造店が酒造りに用いるのは、紀州名水50選にも選ばれた「万葉黒牛の水」水系の井戸水です。契約栽培の酒米は自ら精米し酒造りに使用しています。
まろやかな口当たりの「黒牛」は、蔵の主力銘柄。なかでも純米酒は、冷やしても温めても美味しく食事とあわせるお酒におすすめです。蔵の有する酒づくり資料館「温故伝承館」や、喫茶コーナーのある「黒牛茶屋」は、観光スポットとしても親しまれています。
(出典元:佐野屋)
3-4.南方(みなかた)【世界一統】
世界一統(せかいいっとう)の「南方」は、紀州の豊かな自然に大きく関係する日本酒です。創始者・南方弥右衛門の実子である熊楠氏は、自然保護活動の先駆者。その活動は、のちに世界遺産登録された熊野古道の自然保護に影響を及ぼしたといわれています。
紀ノ川の伏流水を用いた「南方」は、ふくらみがありつつキレのある味わいが魅力的。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」では数々の受賞歴を誇るなど、和食だけでなく洋食ともあわせたくなる美味しさです。
(出典元:紀の酒専門店 松尾酒造)
3-5.車坂(くるまざか)【吉村秀雄商店】
吉村秀雄商店が大切にしているのは、食事とお酒の関係。「車坂」もまた、料理を囲む時間を豊かにする魅力にあふれています。
大きな特徴は、米のふくよかな旨味とキレの良さを持ち合わせていること。和食はもちろん、中華、イタリアンとあわせる料理を選びません。料理と一緒に美味しい日本酒を楽しみたいという方に、ぜひおすすめしたい和歌山の日本酒です。
(出典元:佐野屋)
3-6.羅生門(らしょうもん)【田端酒造】
「羅生門」は、モンドセレクション国際コンクールの酒類部門において、34年連続で最高金賞を誇る日本酒です。高い酒質を生み出しているのは、杜氏や蔵人たちのひたむきな酒造りへの想い。グラスに注ぐと、上品な香りがふんわりと立ち上ります。
ラベルや外箱もきらびやかな「羅生門」は、贈答用やお土産にもおすすめです。しっかりとした飲みごたえもあり、お酒好きに喜ばれる品になるでしょう。
(出典元:田端酒造株式会社オンラインショップ)
3-7.長久(ちょうきゅう)【中野BC】
フルーティーな香りとやさしい飲み口の「長久」は、日本酒ビギナーにもおすすめの銘柄です。モンドセレクション、ロンドン酒チャレンジなど国内外の鑑評会で数々の賞を受賞。その豊かな味わいは、蔵人たちの手仕込みによって生み出されます。
中野BCは、「長久」を超えることを目指して造られた「超久」やにごり酒、梅酒など豊富な商品のバリエーションも魅力的です。和歌山の「長久」をきっかけに、自分好みの1本を見つけてみてはいかがでしょうか。
(出典元:長久庵)
3-8.雑賀(さいか)【九重雜賀】
九重雜賀(ここのえさいか)は、お寿司発祥の地といわれる和歌山で伝統の「赤酢」を造り続ける蔵です。赤酢の原料となるのが、日本酒造りで生まれる酒粕。日本酒造りは、「より良い酒粕を自分たちで手に入れたい」「食事にあう日本酒を造りたい」という蔵の想いからスタートしました。
「雑賀」の純米吟醸は、まさに寿司とあわせて楽しみたいお酒です。香り穏やかでキレもよく、料理の味わいを引き立ててくれます。赤酢を醸す蔵が造る唯一無二の日本酒は、お酒好きにもよろこばれる和歌山土産になるでしょう。
(出典元:くるみや)
3-9.太平洋(たいへいよう)【尾崎酒造】
世界遺産、熊野三山地域唯一の蔵元である尾崎酒造では、熊野川の伏流水を用いた酒造りがおこなわれています。「太平洋」の純米酒は、フランスの日本酒コンクール「蔵マイスター」にてプラチナ賞を受賞。豊かなコクとキレをあわせ持つ味わいは、地元でも長く愛され続けています。
300mlの小容量から販売されているのもおすすめしたいポイントです。美味しい和歌山の地酒をお土産に持ち帰りたいときも気軽に購入できます。
(出典元:尾崎酒造株式会社)
3-10.般若湯(はんにゃとう)【初桜酒造】
「般若湯」とは、寺院で飲まれるお酒のこと。お釈迦様は飲酒を禁じられたことから、おおっぴらにお酒を飲むのははばかられると「般若湯」という呼び名が広まったといいます。
初桜酒造の「般若湯」純米吟醸は、高野山で親しまれてきた味わいを現代の嗜好にあわせてバージョンアップしているのが大きな特徴です。古来から続く地酒の味をそのまま楽しみたいときは、温めてより美味しい純米酒もおすすめですよ。
(出典元:初桜酒造)
まとめ
紀州の豊かな自然と歴史が育む和歌山の日本酒。酒蔵の数は決して多くないものの、和歌山では伝統の技が生み出す上質な酒を堪能できます。
歴史や伝統が感じられる日本酒は、お土産やお酒好きへのプレゼントにもおすすめです。紀州の地へ想いを馳せながら美味しい日本酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。