「開封後の日本酒がいつまでおいしく飲めるのか知りたい」
「開封後の日本酒の保存はなにに気をつければいいのか知りたい」
「開封後に劣化してしまった日本酒の特徴が知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
日本酒は賞味期限がないお酒ですが、開封後は味や香りが変化しやすいため早めに飲み切るのがおすすめです。
今回は、開封後の日本酒の保存方法や、風味が落ちてしまった日本酒の特徴を紹介します。時間が経った日本酒の使い道などもぜひチェックしてみてくださいね。
目次
1.開封後の日本酒は未開封よりも早く劣化していく
開封後の日本酒は、未開封の状態よりも早く劣化していきます。なぜなら、お酒が空気に触れることによって酸化が進んでいくからです。
酸化とは、お酒の色が変わったり、味わいが変化したりする現象を意味します。お酒の酸化は、決して悪いことばかりではありません。例えば、お酒をグラスに移して空気に触れさせると、味わいがまろやかに変化するというメリットもあります。
一方で、空気に触れた状態で長期間保存していると、色合いが茶色く変化したり、苦味や酸味が生じたりといった劣化につながってしまいます。
蔵の目指す味わいをそのまま楽しむ意味でも、開封後の日本酒はなるべく早く飲み切るのがおすすめといえるでしょう。
2.開封後の日本酒はいつまで美味しく飲める?
開封後の日本酒を美味しく飲める期間は、製造方法により異なります。日本酒の製造過程では「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌処理を2度おこないますが、以下のように加熱をしない「生」タイプのお酒もあるからです。
加熱をしていないお酒は、フレッシュなだけに品質が変わりやすい状態です。そのため、開封後に美味しく飲める期間も限られてしまいます。銘柄により味わいの変化は異なるため、以下の期間はあくまでも目安として飲み切るまでの参考にしてくださいね。
2-1.2回火入れをした日本酒は1カ月以内が目安
2回火入れをした日本酒は、開封後1カ月以内に飲み切るのがおすすめです。空気に触れることで、味や香りは徐々に変化していきます。
味わいがまろやかになったり、香りがおだやかになったりといった変化も、日本酒のおもしろさのひとつです。そのなかで、風味が落ちないうちに美味しく味わうには1カ月を目安にすると良いでしょう。
2-2.生酒や生詰め酒・生貯蔵酒は数日以内が目安
1度も火入れをしていない生酒や、火入れ回数の少ない生詰め酒・生貯蔵酒は早めに飲み切るようにしましょう。特に、生酒はフレッシュな香りと味わいが特徴です。開栓後は数日以内に飲み切ったほうが、生酒の魅力を存分に堪能できます。
また、これらのお酒は冷蔵保管が基本です。お酒の劣化を防ぐためにも、購入前後とも冷蔵庫に入れキリッと冷やしてその美味しさを楽しんでください。
生酒についてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
日本酒の生酒とは?火入れをした日本酒との違いや楽しみ方を解説!
3.開封後の日本酒の保存方法
生酒はもちろん、火入れをしているお酒も開封後は冷蔵保存がおすすめです。また、縦置きにしたり、紫外線を避けたりすることで美味しい状態をより長くキープできます。
3-1.冷蔵庫で保存する
開封した日本酒は、冷蔵庫で保存しましょう。火入れをしているお酒も、冷蔵庫で保存することで香りや味わいの変化がおさえられます。
火入れをしているお酒であれば、開封前は常温保存が可能です。ただし、温度の高い場所で保存すると「老香(ひねか)」と呼ばれる劣化臭が生じる可能性があるため、なるべく涼しい場所に置くように心がけてください。
3-2.縦置きをする
冷蔵庫内では、なるべく縦置きで保管しましょう。飲みかけの日本酒を横向きにすると、お酒と空気が触れる面積が増え酸化が進んでしまいます。
冷蔵庫に縦置きできるスペースがないときは、小さな容器に移し替えるのもおすすめです。その際は、乾燥した清潔な容器を使用してくださいね。
3-3.紫外線や光には当てないようにする
開封前後とも、日本酒は紫外線や光が当たらない場所に保存しましょう。紫外線に当たると色が茶色く変化し、「日光臭(にっこうしゅう)」と呼ばれる劣化臭が生じる可能性があります。
日本酒専用のセラーであれば、保存もより安心です。紫外線や光の影響を最小限に抑えられます。開封前の日本酒はもちろん、開封後の日本酒も美味しい状態をより長くキープできますよ。
日本酒の繊細な味わいを変化をさせないためには、「温度(−5℃)・縦置き・紫外線対策」が整った最適な保管環境が必要です。 蔵元も実践している環境を”美味しいお酒体験を届ける日本酒セラー SAKE CABINET”で実現しました。
4.開封後に風味が落ちた日本酒3つの特徴
開封後に時間が経ち、風味が落ちた日本酒には次のような3つの特徴が現れます。
- 色合いが茶色く変化する
- 不快に感じられる香りが生まれる
- 苦味や酸味が生まれる
まだ美味しく飲めるかな?と気になる日本酒があるときは、これらの特徴がないか確認してみてください。お酒が劣化していないかを判断する目安になります。
4-1.色合いが茶色く変化する
日本酒は、年数の経過とともに色合いが茶色く変化していきます。これは開封後の日本酒も同様です。特に、紫外線や光を浴びる環境で保存していた場合は、色付くスピードが速くなるでしょう。
近年注目を集めている「熟成酒」も、時間の経過とともに色合いが変化するお酒です。ただし、開封しているお酒は、熟成ではなく酸化の影響が大きいと考えられます。この場合、香りや味わいもあわせて状態を判断してみてください。
4-2.不快に感じられる香りが生まれる
日本酒は、空気や光の影響を受けると香りに変化が現れます。開封後に時間が経つことで、ツンとした不快な香りが生まれることもあるでしょう。
これは「老香」や「日光臭」と呼ばれ、劣化したお酒によく現れる香りです。この場合、日本酒は風味が落ち、蔵の目指す味わいとは異なるものになってしまったと考えられます。
4-3.苦味や酸味を感じることも
日本酒の味わいは、時間の経過とともに徐々に変わっていきます。なかには、熟成させることでまろやかな味わいに変化することもあるでしょう。
一方で、開封後に風味が落ちたお酒には、苦味や酸味といった特徴が現れます。決して飲めないお酒になってしまったわけではありませんが、その際は次に紹介する使い道も検討してみてください。
5.開封後に時間が経った日本酒の使い道
「飲みかけの日本酒、うっかりいつまでも置いたままにしてしまった」という経験はありませんか?
「なんだか香りも味も美味しいとは言えないけど、捨てるのはもったいない…」というときは、料理やお風呂に使うのもひとつの方法です。
5-1.料理酒として使う
日本酒を使った料理は、香りが上品に仕上がります。また、素材がふっくらとやわらかくなったり、コクがプラスされたりと、さまざまなメリットが生まれるのが特徴です。料理酒の代わりに活用するほか、汁物や鍋に加えるのもおすすめですよ。
料理酒の代用としての使い方はこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
日本酒は料理酒としても使える!日本酒と料理酒の違いなどについて解説
5-2.お風呂に入れて日本酒風呂に
飲み頃を過ぎた日本酒がたくさんあるときは、日本酒風呂はいかがでしょうか?日本酒風呂は、美肌効果や発汗作用が期待できるといわれています。
日本酒を入れる目安は、コップに1~3杯程度。肌が弱い方は少量にするほか、子どもや妊婦の方などは避けがほうがベターです。問題ない方は、初めは少量ずつ試しながら自分に合う量を見つけてみてくださいね。
日本酒風呂についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
日本酒風呂で美肌をGET!日本酒はデトックス効果も期待できる優秀な入浴剤
6.開封後の日本酒に関するQ&A
6-1.開封後に常温で置いておいた日本酒は飲めますか?
日本酒はそもそも腐るということはありませんので、飲めるには飲めます。しかし、開封後の日本酒を常温で置いておくことで劣化しており、常温で置いている期間の長さにもよりますが、長ければ香りや味わいが著しく損なわれている可能性が考えられます。
飲む前に香りを確認してみて、本来の日本酒とは違う鼻をつくような香りがしたら、味わいも劣化している可能性が高いです。
6-2.開封後に数年経過した日本酒は飲めますか?
火入れをしていない生酒などは劣化している可能性が高いですが、2回火入れをされている一般的な日本酒で、冷蔵保存をしている環境であれば、いい方向に熟成されている可能性もあります。
ツンと鼻をつくような老香(ひねか)ではなく、カラメルのような濃醇な香りがした場合は劣化ではなく、いい方向に熟成がされています。
まとめ
日本酒は、開封して空気に触れることで味や香りが変化しやすくなります。そのため、開封後はなるべく早く飲み切るのがおすすめです。特に、火入れをしていない生酒は、早めに味わったほうがフレッシュな香りやジューシーな旨味を堪能できます。
日本酒の味わいをキープするには、開封前も冷蔵庫や冷暗所で保存することが大切です。ぜひ、蔵から送り出された味わいそのままに、日本酒の美味しさを楽しんでください。