
茶色や緑…普段何気なく目にしている日本酒の瓶の色。これらには、日本酒を紫外線から守る役割があります。日本酒は、光や温度の影響を受けやすいお酒だからです。
今回は、日本酒の瓶の色が持つ役割をくわしく解説!色に隠された、日本酒をなるべく長く美味しく飲むための工夫についてお伝えします。
目次
1.日本酒の瓶に色がついているのはなぜ?
日本酒の瓶に色がついているのは、「紫外線」から日本酒を守るためです。
紫外線の影響を受けた日本酒は、「日光臭(にっこうしゅう)」が発生します。焦げ臭や獣臭(けものしゅう)とも呼ばれる、傷んだ玉ネギやガスのような臭いです。
繊細な香りと味わいをもつ日本酒にとって、紫外線は大敵。透明の瓶では、中身が光にさらされてしまいます。そのため、日本酒を詰める瓶の多くに色がついているのです。
2.日本酒の瓶は茶色と緑色が多い
日本酒の瓶のなかでも、特に多いのが茶色と緑色の瓶です。その理由は、茶色と緑色の瓶は紫外線の吸収率が低いから。古くから見かける一升瓶も、茶色が多いですよね。
さらに紫外線を吸収しにくいのが、黒色の瓶。反対に、透明の瓶や、フロスト加工と呼ばれるくもりガラスのような加工がされている瓶は、紫外線の吸収率が高くなります。
3.日本酒の瓶にはいろいろな色がある
以前は茶色がベーシックだった日本酒の瓶も、近年はさまざまなカラーが登場しています。
青色の瓶のほか、春先にはピンク色の瓶も。日本酒の味わいが多様化するように、瓶のカラーバリエーションも広がりを見せています。
また、瓶の色やデザインには蔵のこだわりが表れています。例えば、青色の瓶に詰められた「夏酒」は、色で涼やかさを表現したもの。秋に出る「ひやおろし」の多くは、実りの秋を思わせる赤茶色の瓶に詰められています。
「にごり酒」と呼ばれる白く濁ったお酒の多くは、あえて中身が透ける瓶に詰められることも。うっすらにごる「うすにごり」や「ささにごり」は、瓶の中で滓(おり)が舞う姿も楽しみのひとつです。透明の瓶であれば、全体に滓を混ぜたり、別々に飲んだりとさまざまな味わい方を楽しめます。
4.夏酒などに多い青色や透明な瓶は大丈夫?
紫外線の吸収率が高い青色や透明な瓶に入ったお酒は、光の届かない場所で保管するように心がけましょう。
特に、加熱殺菌処理をしていない「生酒」は、早く飲み切ることが前提となっているため、透明度の高い瓶に詰められていることが多いです。生酒は、フレッシュな味わいが持ち味。蔵や酒販店などでも冷蔵保管が基本とされています。
また、紫外線以外にも、高い温度や空気なども日本酒を劣化させる原因になります。瓶の色にかかわらず、日本酒は光のあたる温度の高い場所での保管を避け、開栓後は早めに飲み切るのがおすすめです。
まとめ
茶色や緑色といった瓶の色は、日本酒の美味しさを紫外線から守るためにつけられています。また、季節ごとの味わいや蔵のこだわりを表すものです。
米と米麹というシンプルな材料をもとに、いく通りにも表情を変える日本酒というお酒。ぜひ瓶の色やデザインに蔵の思いを感じながら、さまざまな日本酒を楽しんでみてください。