日本酒の山廃(やまはい)仕込みとは?詳しい解説から山廃仕込みの日本酒10選!

日本酒のラベルを見ると、山廃仕込みと書かれていることがあります。おそらく、日本酒の製造方法ということは誰もが想像できるでしょう。しかし、具体的な特徴についてはわからない人も多いはず。

そこで今回は日本酒における山廃仕込みについて解説していきます。山廃仕込みの日本酒で美味しいと評判の銘柄も紹介するので、参考にしてみてください。

1. 山廃(やまはい)仕込みは杜氏の経験とセンスの結晶

山廃仕込みは明治から続く伝統的な日本酒作りの方法です。他の仕込み方法よりも時間はかかりますが、特徴的な味わいになります。以下では、山廃仕込みが生まれた背景、必要な技術などについて解説していきます。

1-1. 山廃仕込みとは?

山廃仕込みは正確には、山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)仕込み という意味になります。山卸とは日本酒作りの過程で、深夜に米をすり潰す作業。日本酒に必要な酵母を繁殖させるための工程です。

山廃仕込みの場合、この山卸という作業は行いません。文字通り、山卸を廃止した仕込み方法ということになります。

1-2. 山廃仕込みと生酛造りとの関係が近い

山卸を行う仕込み方法は生酛(きもと)造りと呼ばれます。生酛造りは古来から日本酒のスタンダードな仕込み方法でした。しかし、酵母の繁殖のために気温の下がる深夜に作業を行うのは大変な重労働。日本酒造りの職人である杜氏(とうじ)たちにとって、つらいものがあったのです。

そこで、明治時代に米をすり潰さなくても、生酛造りに負けない味わいを生む技術が確立されました。それが山廃仕込みです。山廃仕込みは杜氏を重労働から解放するとして、広く普及していきました。

1-3. 杜氏の高度な技術が必要

杜氏にとって山廃仕込みのメリットは重労働が減ることのみです。各工程には長年の経験がないと行えない高度な技術が必要となります。

たとえば、麹の酵素によって米に乳酸菌を繁殖させる工程。あくまで自然環境のなかで、米を醗酵させていくため、原料の状態を見極める力が必要となります。山廃仕込みは杜氏の力量によって完成度が左右されるのです。

1-4. 山廃仕込みの日本酒には、香り・味の強い濃醇さを持つ

山廃仕込みの日本酒は香りの高さが特徴です。山廃仕込みを行う杜氏は、いかに万人を魅了する香りが出せるかが問われています。玄人なら香りだけで各銘柄の質の高さを判断できるほどです。

また、山廃仕込みの日本酒は濃醇な強い味になりやすいのも特徴。米の旨味がそのまま反映されるため、原料の良し悪しも重要となります。

ここがPOINT!

  • 山廃仕込みは明治から続く伝統的な日本酒作りの方法
  • 山廃仕込みは生酛造りと近く、手順の違いにより「山卸(やまおろし)」を廃止した方法
  • 山廃仕込みは、各工程で杜氏の長年の経験がないと行えない高度な技術が必要
  • 山廃仕込みの日本酒は香りの高さが特徴

2.山廃仕込みの日本酒10選

では、山廃仕込みで作られた日本酒にはどういった銘柄があるのでしょうか。以下では、数ある山廃仕込みの日本酒から、確実に美味しいといえる銘柄を厳選しました。日本酒選びの参考にしてみてください。

2-1. 白神 特別純米

「白神 特別純米」は原料にこだわった銘柄です。原料である酒米「華吹雪」は契約農家から直接仕入れたもの。高品質な米を高度な職人技で仕込んでいます。雑味のないスッキリとした味わいが特徴です。

お酒が苦手な人でも飲みやすく、初心者が日本酒を学びたいときにもベスト。宴会でも出しやすい日本酒です。

精米歩合 酒米
60% 華吹雪

2-2. 天狗舞 山廃仕込純米酒

濃厚な甘みに定評があるのが「天狗舞 山廃仕込純米酒」です。蔵元の天狗舞は主力商品の大半を山廃仕込みで製造。こちらの純米酒も長く培われた技術により、米の旨味が凝縮されています。一口飲むだけで、米の本来の味に驚くことでしょう。

飲み方は味にふくらみが出る熱燗がおすすめ。淡白な魚介系料理をアテに飲めば、至福のひとときが訪れます。

精米歩合 酒米
60% 国産酒造好適米

天狗舞 山廃仕込純米酒 720ml 車多酒造

(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ

2-3. 菊姫 山廃吟醸

「菊姫 山廃吟醸」は大人向けの日本酒として人気がある銘柄です。蔵元である菊姫はオンリーワンを目指すことが理念。こちらの銘柄に関しても他に類を見ない味に仕上がっています。濃厚さが出やすい山廃仕込みながら、鋭いキレがあるのが特徴です。

黒糖のような深くて甘い香りには、思わず顔がほころんでしまいます。チーズなどの洋風のおつまみにも相性抜群の日本酒です。

精米歩合 酒米
55% 山田錦

菊姫 鶴乃里 山廃純米酒 [販売店限定品] 720ml 菊姫

(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ

2-4. 福千歳 圓(えん)山廃純米酒

「福千歳 圓 山廃純米酒」は福井県の蔵元が作る王道的な山廃仕込みの日本酒です。福井の日本酒といえば速醸(そくじょう)と呼ばれる手法で仕込まれるのが主流。そのなかで山廃仕込みにこだわった珍しい銘柄です。

ほのかな酸味があり、軽やかな口当たりなのが特徴。思わず飲み過ぎてしまうことも珍しくありません。地方の美味しい銘柄を探している人におすすめです。

精米歩合 酒米
65% 五百万石

2-5. 飛良泉 山廃純米酒

食中酒としてイチオシなのが「飛良泉 山廃純米酒」です。深いコクがありながら、飲み飽きない軽さが特徴。洋酒にも似た酸味が食欲をかきたててくれます。常温ならワイングラスに注いでも美味しい1本です。

相性がいい料理は肉料理や揚げ物。油のしつこさを酸味でリセットしてくれます。グルメな人に試してほしい銘柄です。

精米歩合 酒米
60% 国産酒造好適米

2-6. 末廣 山廃純米吟醸

「末廣 山廃純米吟醸」はプロのソムリエも美味しいと認める日本酒です。甘み、酸味のバランスの良さが魅力。クオリティの高さから、2019年に行われた国際首脳会議「G20大阪サミット」でVIPに振る舞われました。

常温でも美味しいですが、日本酒好きな人は冷酒にするのがおすすめ。キレが増して、飲みごたえのある一杯になります。

精米歩合 酒米
55% 会津産契約栽培米

2-7. 木戸泉 純米醍醐

「木戸泉 純米醍醐」は独自の山廃酛を使った銘柄です。高温の環境で酵母を作ることで、普通の山廃仕込みよりも豊かな酸味が生まれています。米の旨味がダイレクトに伝わるコクも特徴。玄人好みの味わいです。

独特の酸味は甘味とも相性抜群。チョコやキャンディをアテに飲んでも美味しいです。幅広い飲み方を試してみてください。

精米歩合 酒米
60% 山田錦

木戸泉 純米 醍醐 1800ml 木戸泉酒造

(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ

2-8. 雪の茅舎 山廃純米吟醸

「雪の茅舎 山廃純米吟醸」は華やかな香りに定評のある銘柄です。封を開けた瞬間から、果実を思わせるフレッシュな香りが鼻を抜けます。原料の質の良さがわかる1本です。飲んでみれば、繊細な味が舌の上に広がります。

香りが強いだけに、お酒をメインに楽しみたい人向けです。宅飲み用に常備しておくといいでしょう。

精米歩合 酒米
55% 山田錦

2-9. 浦霞 山廃純米大吟醸 ひらの

全国の日本酒品評会でも高く評価されているのが「浦霞 山廃純米大吟醸 ひらの」です。洗練された深い味わいがたまらないという声が多数。たとえ、初心者が飲んでも米の豊かな旨味を感じ取ることができます。

味が強いため、濃い味付けのアテにも負けません。じっくり煮込んだ魚介や肉と一緒に飲めば、より米の風味が際立ちます。

精米歩合 酒米
40% 山田錦

2-10. 福正宗 山廃純米 生詰

「福正宗 山廃純米 生詰」は後味の良さが好評の銘柄です。山廃仕込み特有の酸味と、生詰め酒ならではの新鮮な味わいが特徴。さらりとしたのど越しにハマる人が多くいます。人を選ばず飲みやすいお酒です。

クセが少ないので、どんな料理にも合わせやすいのも魅力。イタリアンやフレンチなど、オシャレな晩餐にも出せる逸品です。

精米歩合 酒米
70% 国産酒造好適米

3.まとめ

日本酒における山廃仕込みについて解説してきました。山廃仕込みは杜氏の高度な技術が必要な仕込み方法。香りの高さと、濃醇な味が特徴です。

ぜひ、本記事で紹介した銘柄を参考に山廃仕込みの日本酒を飲んでみてください。一口飲むだけで職人たちの熱意が感じられることでしょう。