ホーム 未分類 日本酒の製造工程6ステップ!米から美味しい日本酒ができるまで

日本酒の製造工程6ステップ!米から美味しい日本酒ができるまで

0
日本酒の製造工程6ステップ!米から美味しい日本酒ができるまで

日本酒の製造工程は、主に6つの流れに沿って進みます。その期間は約60日間。今回は、日本酒の製造工程を唎酒師がわかりやすく解説します。

米が日本酒に変身するヒミツを知れば、ラベルに書かれた漢字の意味も「なるほど!」と納得いくはずですよ。

1.日本酒造りの6ステップ

米と米麹、水というシンプルな原料は、以下の6つのステップを経て日本酒へと生まれ変わります。

  1. 米の準備
  2. 米を蒸す
  3. 麹(こうじ)を造る
  4. 酒母(しゅぼ)を造る
  5. 醪(もろみ)を造る
  6. 醪を搾って瓶に詰める

「麹?酒母?なんのこと?」という日本酒ビギナーでも大丈夫!ここからは、一つひとつの工程をわかりやすく紹介していきます。

1-1.米の準備

日本酒になる前の米は、皮をかぶった玄米の状態。準備段階では米の外側を削り、水分を吸収させていきます。

精米(せいまい)

玄米を削り、白米の状態にすることを「精米」といいます。精米の大きな目的は、米の表面にある雑味のもとを取り除くことです。

米の表面には、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルといった栄養素が含まれています。

食用米はそれらが旨味のもとになるのですが、日本酒の場合はかえって味に雑味を生んでしまうことも。そのため、食用米よりも多く外側を削る必要があります。

食用米の場合、外側を削る度合いは全体の8%程度。一方、日本酒造りでは30%以上削るのが一般的です。

精米には竪型(たてがた)精米機と呼ばれる見上げるほど大きな精米機が使用されます。

30%以上精米するのにかかる時間は約8時間。60%以上精米する場合は、約48時間もの時間を要するというからすごいですよね。

枯らし

精米したての米は、摩擦でホカホカと温かい状態です。水を吸わせるためには、一度温度を下げなくてはいけません。そのまま水につけると、米が割れたり、水分を吸収しすぎたりする恐れがあるからです。

「枯らし」と呼ばれる熱さましの期間は、2~3週間。精米した米は専用の袋に詰められ、冷暗所で静かに水との出会いを待ちます。

洗米(せんまい)/浸積(しんせき)/水切り

「洗米」の目的は、米の表面についた糠(ぬか)や米くずを洗い流すことです。洗い流す間も水分は吸収されていくため、作業時は最新の注意を払わなくてはいけません。

「浸漬」は、洗った米に水分を吸わせる作業です。その後の麹のできを決める重要な作業だといわれています。

米が水分を吸っていく速度は、その日の気温や湿度、水温などによってさまざま。最適な時間を見極めるため、蔵人はストップウォッチで浸漬時間を計測することもあります。

その後、米やお酒の種類に合わせた状態まで水を切ったら準備は完了!いよいよ蒸す工程へと移ります。

1-2.米を蒸す

米を蒸す最大の目的は、麹菌の作用を受けやすい状態に米を変化させることです。生米よりも、加熱した米のほうがその後の工程で溶けやすくなります。

理想の蒸し加減は「外硬内軟(がいこうないなん)」と呼ばれる、外は硬く内側がやわらかい状態。蒸米(むしまい)を手のひらサイズに丸めた「ひねり餅」を作り、手の感触で蒸し加減を確認することもあります。

蒸しあがった米は、一定の温度まで冷ましていきます。放冷(ほうれい)と呼ばれ、自然冷却のほかファンで冷やすなど、手法は蔵によってさまざまです。

できあがった蒸米は、この後の麹、酒母、醪づくりすべてに使用します。

1-3.米麹を造る(製麹)

3ステップ目は、蒸米を使って米麹を造る工程です。米麹とは、蒸米に麹菌を繁殖させたもの。この工程は「製麹(せいぎく)」とも呼ばれます。

米からアルコールを生み出すためには、米のデンプンをブドウ糖へと変化させなくてはいけません。製麹は、そのために欠かせない作業です。

製麹にかかる期間は、約2日間。麹菌を繁殖させるため、麹室(こうじむろ)と呼ばれる高温多湿の環境で以下の作業をおこないます。

引き込み

34~36℃になった蒸米を麹室に運び、温度を均一にさせるために布をかけて休ませます。布団をかぶった蒸米が眠っているような状態です。

種付け/床もみ(とこもみ)

眠っていた蒸米を崩し、床(とこ)と呼ばれる台一面に広げます。その上に、麹菌の胞子を振りかける作業が「種付け」です。その後、胞子がまんべんなく行き渡るように混ぜ込む「床もみ」と呼ばれる作業に移ります。

切り返し

数時間から半日後、硬くなった米をほぐす「切り返し」をおこないます。切り返した米はひとつにまとめ、再度布で包んで休ませます。

盛り

切り返し後、数時間から半日すると、米にぽつぽつと白い斑点が浮かび上がります。そのままにすると温度が上がりすぎてしまうため、木箱に蒸米を小分けする「盛り」をおこないます。

仲仕事

数時間後、木箱の蒸米が熱くなりすぎないよう、まんべんなく混ぜてから均一の厚さに広げます。

仕舞(しまい)仕事

仲仕事から数時間たつと、38~39℃まで蒸米の温度が上昇します。仕舞仕事は、蒸米の温度を均一にし、余分な水分を蒸発させるための作業です。広げた蒸米にうずのような溝を作り、表面積を大きくします。

出麹(でこうじ)

麹の温度を下げるため、麹室から木箱を運び出す作業です。できあがった米麹は「酒母づくり」と「醪づくり」に使うものに分けられます。

仕舞仕事から出麹までの時間は、酒母に使う麹で約12時間、醪に使う麹は約8時間。日本酒の原料となる米麹のできあがりです!

1-4.酒母(しゅぼ)を造る

ここまでの工程で、日本酒の原料である米と米麹が揃ったことになります。

ただ、これだけでは日本酒にはなりません。この2つをアルコール発酵させるために欠かせないのが「酒母」です。酒母は、蒸米と米麹、水を入れたタンクに「酵母」と「乳酸」を加えて造ります。

酵母は、アルコール発酵を促す成分です。酵母はほかの微生物より弱いものの、酸性に強いという特性があります。

乳酸は、タンク内を酸性に保つために投入するアイテム。ほかの微生物は酸性に弱いため、タンク内は酵母が活動しやすい環境になるということですね。

高温多湿の麹室と異なり、不用な微生物が入り込まないよう、酒母づくりはひんやりとした酒母室でおこなわれます。

1-5.醪(もろみ)を造る

いよいよ日本酒造りも最終段階。蒸米と米麹、酒母と日本酒造りに必要な材料が揃いました。

醪(もろみ)とは、これらすべてを混ぜた液体のこと醪づくりは、アルコール発酵を進めていく作業です。

とはいえ、これらの材料は一度に全部混ぜるわけではありません。材料の投入は、4日間で3回に分けておこなわれます。江戸時代から続く「三段仕込み」と呼ばれる製法です。

すべての材料を合わせたあとは、3週間から5週間かけてアルコール発酵させていきます。このときのポイントとなるのが温度管理。お酒の種類に合わせ、醪はおよそ15℃前後、または10℃以下に保たれます。

発酵が進んだ醪の表面は、ふわふわと真っ白な泡に包まれた状態。泡が消え、液体化してきたらできあがりの合図です。数日から1週間後に搾りの段階へと移ります。

1-6.醪を搾って瓶に詰める

アルコール発酵が完了した醪は、搾ったあとに以下の段階を経て瓶詰めし、蔵から出荷されます。

上槽(じょうそう)

醪が入った袋を絞り、酒粕と液体とに分離させる作業です。槽(ふね)と呼ばれる大きな長方形の器具を使用するものや、袋を吊り下げるもの、自動圧搾機を使うものなど、さまざまな手法があります。

滓引き(おりびき)

搾ったお酒は、滓(おり)と呼ばれる米粒や麹などの固形物が残った状態です。貯蔵タンクにお酒を入れて滓を沈殿させ、澄んだ部分だけを抽出する作業を「滓引き」といいます。

濾過(ろか)(1回目)

滓引きしたお酒の固形物をさらに除去し、色や香りの調整をおこなう作業です。通常の日本酒造りでは、濾過は2回おこないます。

1回目の濾過の目的は、残った固形物や酵母の除去。フィルターのついた機械を使うほか、粉末状の活性炭を投入する場合もあります。

火入れ(1回目)/貯蔵

「火入れ」とは、お酒を60~65℃の温度で加熱殺菌することです。濾過と同様に、火入れも2回おこないます。味や色、香りの変化を防ぐことが火入れの目的です。

火入れ後のお酒は、タンクで貯蔵します。貯蔵温度はお酒の種類によって異なり、15℃前後、または10℃以下が主流です。

調合/加水

貯蔵後のお酒は、タンクごとの酒質を一定にするため調合(ブレンド)されます。その後、アルコール度数と香りのバランスを調整するため、仕込み水と呼ばれる水を加えます。

濾過(2回目)/瓶詰め/火入れ(2回目)

加水によってアルコール度数15~16%に調整したお酒は、2回目の濾過と火入れをおこない瓶詰めします。近年は、瓶に詰めてから火入れをおこなう「瓶火入れ」という手法もあります。

これらの工程を終えれば、いよいよ出荷!各酒販店への流通経路を経て、わたしたちのもとに美味しい日本酒が届けられます。

2.製造過程で変わる日本酒の種類

日本酒は、製造過程の違いでさまざまな味わいに変化します。「生酛?生酒?なんのこと?」という日本酒にありがちな疑問も、違いがわかればスッキリ解決しますよ。

2-1.酒母づくりで変わる「生酛(きもと)」「山廃酛(やまはいもと)」

酒母づくりでは、タンクを酸性にするために乳酸を添加するとお話しました。

この乳酸を、自然の力に任せて育てたお酒が「生酛」「山廃酛」と呼ばれる日本酒です。乳酸菌を添加する方法に比べ、製造には時間やコスト、手間ひまがかかります。

生酛や山廃酛は、乳酸菌由来のクリーミーな風味が特徴。濃醇でありながら、どこか繊細で奥深い味わいを楽しめます。

2-2.火入れ回数で変わる「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」

日本酒は、火入れの回数によって次のように呼び名が変わります。

1回目の火入れ 2回目の火入れ
生酒 なし なし
生貯蔵酒 なし あり
生詰め酒 あり なし

火入れを1度もしない生酒は、フレッシュでジュシーな味わい。シュワシュワとした微発砲感を感じるものもあります。

2-3.蔵で貯蔵をせずに出荷する「新酒」

「新酒」は、貯蔵をせずにすぐに出荷される日本酒です。明確な定義はないものの、冬から春にかけて登場するその年のお酒が新酒と呼ばれています。

同じ蔵、同じ銘柄のお酒であっても、その年によって少しずつ味わいは違うもの。新酒が登場する12月から3月は、日本酒ファンにとって待ち遠しいシーズンといえるかもしれませんね。

まとめ

日本酒の製造工程、いかがでしたか?米というシンプルな原料がお酒になるには、微生物の働きが大きく関係しています。

温度を上げたり、下げたりしながら進める日本酒造りは、まるで生き物を育てているかのよう。そう考えると、日本酒を飲むのがまた楽しくなりそうですね。