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日本酒と焼酎の違いとは?製造方法や原料の違い、それぞれの魅力など

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日本酒と焼酎の違いとは?製造方法や原料の違い、それぞれの魅力など

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 blog「わたしの酒棚」 https://sakadana.net/

監修者

日本酒ラボ編集部
日本酒ラボに携わってから日本酒のおいしさ・奥深さを知り、唎酒師の資格を取得。日本酒ラボを通して、日本酒のおいしさ・楽しさを日本酒にもあまり馴染みがない方にもお伝えしていきます。

日本で古くから親しまれるお酒「日本酒」と「焼酎」。どちらも身近な存在でありながら、違いとなるとわからないことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、カロリーや味、製造方法など日本酒と焼酎の違いについてくわしく解説します。それぞれの意外な共通点もぜひチェックしてみてくださいね。

1.日本酒と焼酎5つの違い

日本のお酒として知られる日本酒と焼酎には、主に次のような5つの違いがあります。

  1. 製造方法による分類
  2. 原料
  3. 香りや味わい
  4. 楽しみ方
  5. カロリー

どちらも愛飲していても、具体的な違いとなると難しい点も多いかもしれません。まずは、それぞれの細かな違いについて探っていきましょう。

1-1.日本酒は「醸造酒」、焼酎は「蒸留酒」

日本酒と焼酎は、製造方法が大きく異なります。日本酒は「醸造酒(じょうぞうしゅ)」、焼酎は「蒸留酒(じょうりゅうしゅ)」に分類されるお酒です。

醸造酒は、果実や穀物などの原料をアルコール発酵させたお酒のこと。日本酒のほか、ブドウを原料とするワインも醸造酒に含まれます。

一方、蒸留酒は醸造酒を加熱し、気体となったアルコールを集め、再び冷やして液体化したお酒です。焼酎は蒸留方法により「連続式蒸溜焼酎(別名:焼酎甲類)」、「単式蒸溜焼酎(別名:焼酎乙類)」に分類されます。

蒸留酒は、醸造酒を一気に気体化させることで、よりアルコール度の高いお酒を抽出できることが大きな特徴です。

一般的な醸造酒のアルコール度数が20度未満であるのに対し、蒸留酒は40度を超えることも珍しくありません。焼酎のほか、ウイスキーやジンなども蒸留酒に含まれます。

醸造酒 日本酒、ビール、ワイン、マッコリなど
蒸留酒 焼酎、ウイスキー、ジン、ウォッカ、ラム酒など

 

酒税法では、日本酒のアルコール度数は22度未満に定められています。市販されている日本酒の多くは、アルコール度数15度前後です。

蒸留酒である焼酎のアルコール度数は、焼酎甲類で36度未満、焼酎乙類は45度以下に定められています。市販される焼酎のアルコール度数も日本酒より高く、20度から25度が一般的です。

1-2.日本酒の原料は米。焼酎の原料は麦や芋などさまざま

日本酒はお米を原料に作られるお酒です。一方、焼酎は米や芋、そばなどさまざまな原料を使用します。

また、ひとくちに「お米」といっても、日本酒と焼酎では米の種類に違いがあります。

焼酎は食用米を原料にするのに対し、日本酒は「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」と呼ばれる日本酒用の米を使うのが一般的です。

酒造好適米は、食用米に比べ粒が大きく「心白(しんぱく)」と呼ばれる中心部分が占める割合が多いことが特徴。米の外側を削る「精米(せいまい)」に適したお米です。

原料が異なるということは、主要産地も異なるということ。米を原料とする日本酒は全国各地で作られているのに対し、全国の焼酎蔵の半数近くは九州地方に存在します。

これは、鹿児島県や宮崎県が焼酎の原料「サツマイモ」の名産地であることに関係するといえるでしょう。

お米

1-3.日本酒と焼酎の味わいの違い

醸造酒である日本酒は、酒米の個性が香りや味わいに大きく影響します。ブドウを原料としたワインもまた、香りや色合いを楽しむお酒として有名ですよね。

一方、焼酎甲類はクセのない味や香りが特徴です。焼酎乙類は、米や芋、麦といった原料由来の個性が強く、さまざまな香りや味わいを楽しめます。

1-4.日本酒と焼酎の飲み方の違い

日本酒は温度による味の変化を楽しむ

日本酒は、温度による味の変化を楽しめるお酒です。冷やせばスッキリと、温めればふくよかなコクと香りを味わえます。

焼酎は好みのスタイルで割って楽しむ

ピュアな香りと味わいの焼酎甲類は、好みのアレンジで楽しめるお酒です。炭酸で割る「チューハイ」のベースとしても使用されます。

味や香りが個性的な本格焼酎は、ストレートのほか、ロックやお湯割りなどで味わうのが一般的。地域によって専用の酒器が存在するなど、さまざまな飲用スタイルが楽しめるお酒です。

ソラキュー
鹿児島に伝わる焼酎用の酒器「ソラキュー」。底がとがっているため酒が入った状態では置くことができず「ソラッ」と注いで「キュー」と呑むことからその名が付けられたそう。

1-5.日本酒と焼酎のカロリーの差

日本酒と焼酎では、糖質やカロリーといった栄養素も異なります。以下の表は、日本酒と焼酎それぞれ100mlあたりに含まれるカロリーと糖質量です。

カロリー(kcal) 糖質(g)
日本酒 103~109 3.6~4.9
焼酎 146~206 0

参考:文部科学省「日本食品標準成分表

種類によって数値は異なるものの、焼酎のカロリーは日本酒の2倍近くあることがわかります。ダイエット中の方にとってはびっくりしてしまう数字かもしれません。

しかし、前述したように焼酎はアルコール度数の高いお酒です。そのため、日本酒のようにストレートで口にするより、ロックやお湯割り、ソーダ割りなどで飲むことが多くなります。結果的に、一度あたりの摂取量は日本酒よりも少なくなると考えられるでしょう。

2.日本酒と焼酎の共通点

日本酒と焼酎には「麹菌(こうじきん)」を使って作るという共通点があります。

麹菌とは、”麹カビ菌”や”もやし”と呼ばれる微生物の一種のこと。日本酒や焼酎作りには「黄麹菌」「黒麹菌」「白麹菌」などが使用されます。

黄麹菌

主に日本酒作りに使用する麹菌です。先端にできる胞子は黄色や黄緑色で、強い糖化力を持ちます。

黒麹菌

主に泡盛作りに使用されます。学名は「アスペルギルス・リュウキュウエンシス」。沖縄で古くから守られ続けてきた麹菌です。

白麹菌

主に焼酎に使用される麹菌です。クエン酸を大量に生成し、近年は白麹菌を使った日本酒も注目を集めています。

まとめ

日本酒も焼酎も、日本で古くから作られてきたお酒です。麹菌という微生物の力を使用し、個性的な味と香りを生み出しています。

製造方法に大きな違いはあれど、どちらも日本文化を代表するお酒。ぜひ、その違いと共通点に想いをはせながらグラスを傾けてみてはいかがでしょうか。