日本酒の造り方を解説!純米/醸造/吟醸の違いまで説明します

お米を発酵させて造る日本酒は、原料と製法によって種類がさまざまに分かれます。純米酒や吟醸酒といった種類ごとの味や香りの違いも、造り方を知ればより明確に。今回は、日本酒の造り方と種類ごとの原料や製法の違いを解説していきます。

※ 家で日本酒をつくるのは酒税法違反です。

第五十四条 第七条第一項又は第八条の規定による製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

(参照元:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=328AC0000000006

1.日本酒は原料と造り方で名称が違う?

日本酒は、原料や造り方によってその名称が異なります。中でも、酒税法が定めた一定の条件を満たしたお酒が「特定名称酒」です。特定名称酒は、大きく分けると純米酒、本醸造酒、吟醸酒の3タイプ。特別な製造方法で造られているものは、さらに「特別純米酒」や「特別本醸造酒」に分類されます。

純米酒は、米と水、麹だけを原料に造るお酒のこと。一方、本醸造酒と吟醸酒は醸造アルコールを添加して造ったお酒です。また、吟醸酒は「吟醸造り」という低温長期発酵を用いた方法で仕込まれています。

その他にも、お酒の名称に大きく影響するのが「精米歩合」(せいまいぶあい)と呼ばれる米の削り度合いを示した数値。

米の外側にはたんぱく質や脂質、でんぷんなどの栄養素が含まれており、食用の米であれば90%ほどを残して精米します。しかし、日本酒として仕込む場合はその栄養素が味の雑味に繋がってしまうため、米をより多く削る必要があるのです。例えば、精米歩合60%の日本酒であれば、米の外側を4割削っていることになります。

法で定められている表示基準では、日本酒の種類は以下のように細かく分類されています。

原料 精米歩合 造り
純米酒 米、米こうじ
特別純米酒 60%以下、または特別な製造方法
純米大吟醸酒 米、米こうじ、醸造アルコール 50%以下 吟醸造り
純米吟醸酒 60%以下
吟醸酒 60%以下
大吟醸酒 50%以下
本醸造酒 70%以下
特別本醸造酒 60%以下、または特別な製造方法

 

2.日本酒(純米酒)の造り方

シンプルな材料で造られる純米酒は、素材の味や酒蔵の技術が活きるお酒です。造り方を知れば、普段は聞きなれない語句の意味も理解できるようになりますよ。

2-1. 原料

純米酒に使用される原料は、米と米麹、水のみです。素材の味ができあがりに強く反映されるため、米どころと言われる地域や、自然豊かで水が美味しい場所では上質な日本酒が造られています。

2-2. 製造工程

精米

米の外側を削り、酒造りに適した中心部分だけを残します。精米されたばかりの米は摩擦で熱を帯びているため、その後冷暗所で2~3週間保管します。

洗米・浸漬

米の表面に残るぬかを洗い流し、吸水(浸漬)させます。吸水時間でお酒の品質が決まると言われるほど大切な工程です。

蒸し

こしきと呼ばれる大きな窯で米を蒸します。蒸した米は、麹米・酒母用米・掛米とそれぞれの用途に合わせて冷まします。

製麹(せいぎく)

蒸した米に麹菌をふりかけ、繁殖させます。昔から「一麹、二酛、三造り」と言われるほど酒造りにとって重要な工程です。 菌の繁殖を助けるため、麹室(こうじむろ)と呼ばれる高温の部屋で行われます。

酒母(しゅぼ)造り

酒母(しゅぼ)とは、日本酒のアルコール発酵の元となるものです。昔ながらの手作業で、米や麹をすりつぶすのものを「生酛(きもと)造り」。すりつぶさない製法を「山廃仕込み」と呼びます。

醪(もろみ)造り

いよいよお米がお酒へと変化する工程です。仕込みタンクに酒母を入れ、蒸米・麹・水を数回に分けて加えます。タンクの中では、米の糖化とアルコール発酵が同時に進んで行きます。

上槽(じょうそう)

醪をつめた酒袋を自動圧搾機や槽(そう)と呼ばれる搾り機に入れ、圧力をかけて搾っていきます。搾った後に残る固形物が酒粕です。酒袋をぶらさげ、自然に滴り落ちる雫を集める「袋吊り」は、味に雑味のない贅沢な日本酒になります。

滓引き(おりひき)

おりと呼ばれる細かい固形物を沈殿させ、澄んだ部分だけを取ります。うっすら濁る「おりがらみ」という日本酒は、沈殿したおりをあえて混ぜて仕上げるお酒です。

ろ過・火入れ

細かいおりを完全に除去するため、ろ過を行います。ろ過には活性炭素が使用されることもあります。また、殺菌と品質劣化のために行うのが火入れです。「無濾過」や「生酒」と言われる日本酒は、これらの工程を行わないフレッシュなお酒になります。

調合・割水・火入れ

タンクごとに異なる香味酒の品質を一定にするための調合、アルコール度数を調整をする割水を経て日本酒は瓶詰めされます。瓶詰めをしたお酒は2回目の火入れを行い出荷されます。

3.純米酒と本醸造酒の造り方の違い

純米酒は米と水、麹を原料に造られます。そこに醸造アルコールを添加し、精米歩合70%以下のお米で造られたのが本醸造酒と呼ばれるお酒です。

醸造アルコールとは、サトウキビやトウモロコシなどを発酵して造った食用アルコールのこと。添加できる醸造アルコールの量は、使用する原料の10%までと定められています。

3-1. 昔は醸造アルコールをかさ増しに使っていた

醸造アルコールを使った酒造りの歴史は古く、そのはじまりは江戸時代と言われています。当時はアルコール度数をあげ、腐敗を防ぐことを目的に醸造アルコールは使用されていました。

また、米不足の戦時中はお酒のかさ増しのために醸造アルコールを使用。戦後は安く販売できるお酒として、醸造アルコールを添加した日本酒が流通していったのです。

3-2. 今は「香りを引き立てるため」に使うケースが多い

アルコールを添加した醸造酒は、「添アル」と呼ばれあまりおいしくないイメージを持たれることも少なくありません。しかし、醸造アルコールは食物を添加して作った純粋なアルコール。辛口の醸造アルコール加えることで、淡麗辛口の味わいを持つスッキリとした口当たりのお酒に仕上がるのです。

また、アルコールには香りを吸着しやすい性質があるため、醸造アルコールを添加するともろみの香り成分をより引き出すことができます。過去に保存目的で使用されていた醸造アルコールも、現在は香り高いお酒を造るために欠かせない存在となっているのですね。

4.純米酒と吟醸酒の造り方の違い

純米酒と吟醸酒の造り方の大きな違いは、醸造アルコールの添加の有無です。吟醸酒は、本醸造酒と同様に醸造アルコールを添加して造られています。

また、吟醸酒を定義づける大きなポイントとなるのが精米歩合。吟醸酒は精米歩合60%以下、大吟醸酒の場合には精米歩合50%以下という定義が定められています。

そのうえで「吟醸造り」と呼ばれる製法で造られるお酒が吟醸酒なのです。

4-1. 吟醸は「吟味して醸す(造る)」の通りの意味

国税庁の清酒の製法品質表示基準では、吟醸造りは「吟味して醸造すること」を意味しています。

具体的には、より磨いた米を10℃前後の低温で1カ月近く長期発酵させる方法が吟醸造りです。低温すぎると麹や酵母の活動が止まってしまうため、吟醸造りには杜氏や醸造責任者の繊細な管理を欠かすことができません。

瓶詰めや出荷に関しても高度が技術が必要となるため、同じ銘柄でも吟醸造りのお酒は高価になる傾向にあります。

4-2. 吟醸造りで造られたお酒のフルーティな香り

果物に例えられるほどフルーティーな吟醸酒の香りは、「吟醸香」(ぎんじょうこう)と呼ばれています。

中でも、リンゴのような華やかな香りを持つのが「ハナ吟醸」と呼ばれる吟醸酒です。吟醸酒特有の香りを持つハナ吟醸は、ワイングラスのような口径の広いグラスに注ぐことでその香りがより一層花開きます。

また、香りだけでなくしっかりした味わいを持つのが「味吟醸」。ハナ吟醸に比べ香りはおだやかなものの、しっとりとした日本酒特有の味わいを感じることができます。

吟醸酒は香りを好む方におすすめの日本酒ですが、ハナ吟醸、味吟醸とそれぞれの違いを知っておくことでより自分好みの味わいを見つけることができますよ。

まとめ

日本酒の種類には、原料と造り方が大きく関係しています。日本酒は種類が多く分かりづらいと思われがちですが、それも日本酒がこだわりの原料と製法で造られるお酒だからこそ。

ぜひ今回ご紹介した味や香りの違いを参考に、日本酒選びの幅をより一層広げてみてくださいね。