おすすめの日本酒を探す際に、都道府県から探すのも日本酒の選び方の一つ。
宮城県は酒造りの古い歴史を持つ土地です。「伯楽星」に「勝山」、「浦霞」など数多くの銘酒を生み出しています。今回は、宮城県で造られる日本酒の特徴、酒蔵の特徴を解説!東北のお酒が飲みたくなる、おすすめ銘柄20選もあわせて紹介します。
目次
1.宮城県で造られる日本酒について
宮城県は、かつての仙台藩祖・伊達政宗が治めていた土地です。独眼竜の名で知られる伊達政宗は、食通で酒をこよなく愛していたといわれています。
その食通ぶりは、奈良県から酒造りの職人を呼び寄せ、自ら縄張りする御用酒屋を始めるほど。仙台藩御用達の酒屋の発展とともに多くの町酒屋も登場し、宮城県下では酒造りの技術が磨かれていったのでした。
1-1.宮城県で造られる日本酒の特徴
宮城県の日本酒は「淡麗辛口」の味わいが特徴です。すっきりとした口当たりとキレの良さを楽しめます。
また、宮城県で製造される日本酒の約9割は「特定名称酒」にあたるお酒です。特定名称酒とは「純米酒」や「吟醸酒」といった、原料や精米歩合の表示が義務付けらたお酒のこと。日本酒の全国シェアのうち、特定名称酒にあたるお酒は全体の約3割です。
県内の9割を特定名称酒が占める宮城県の日本酒が、いかに品質にこだわったものかよくわかりますね。
1-2.宮城県の酒蔵の日本酒造りの特徴
宮城県の酒蔵で日本酒を造る杜氏(とうじ)の多くは「南部杜氏(なんぶとうじ)」が占めています。
南部杜氏とは、岩手県を発祥とする杜氏集団のこと。新潟県の越後杜氏(えちごとうじ)、兵庫県の丹波杜氏(たんばとうじ)と並ぶ日本三大杜氏のひとつです。
宮城県の日本酒は、長く厳しい寒さのなか、低温でゆっくりと発酵させていくのが特徴。南部杜氏の伝統の技とあいまって、洗練された淡麗辛口の味わいが生み出されています。
2.宮城県の各酒蔵の特徴を紹介
宮城県酒造組合に登録する酒蔵の数は24社(※2021年12月時点)。いずれも宮城の酒造りの伝統を受け継ぎながら、銘酒を生み出す蔵ばかりです。ここでは、代表的な4つの酒蔵をピックアップします。
2-1.一ノ蔵:豊富なラインナップが魅力
30年以上前から低アルコール酒の製造を手がけていた「一ノ蔵(いちのくら)」。微発泡酒の「すず音」、アルコール度数8%の「ひめぜん」など豊富なラインナップが魅力です。
酒造りの原点として、自然保護や地域振興を重視していることも大きな特徴。地元の契約農家が造る地元産米を使用し、全国で愛される端麗辛口酒を製造しています。
2-2.佐浦:米の旨味あふれるまろやかな味わい
「佐浦(さうら)」は漁業の町、塩竈市に建つ酒蔵です。ラベルに布袋さんがほほ笑む「浦霞禅」は蔵の代表銘柄。海外の鑑評会でも数々の受賞歴を誇ります。
地域性にだわって生まれる日本酒は、米本来の旨味とまろやかな味わいが特徴的。後味はスッとキレ良く、新鮮な魚介類との相性はばつぐんです。
2-3.勝山酒造:仙台に現存する唯一の御用蔵
「勝山(かつやま)酒造」は、仙台に唯一現存する伊達家の御用蔵です。米と米麹で造る純米酒のみにこだわった酒造りを続けています。
醪(もろみ)を搾る作業に使用するのは、遠心分離機。高純度のエッセンスを抽出した「暁(あかつき)」は、芳醇かつ洗練された味わいが高い注目を集めています。
2-4.新沢醸造店:コンセプトは「究極の食中酒」
「新澤(にいざわ)醸造店」のコンセプトは究極の食中酒。代表銘柄「伯楽星(はくらくせい)」は、国内外問わず多くの星付きレストランで採用されています。
梅酒や柚子酒、ヨーグルト酒といったリキュールも醸造。すべてのお酒をマイナス5℃の冷蔵庫で保管し、フレッシュなまま国内および世界17か国に出荷しています。
2-5.平孝酒造:魚介類と相性抜群
酒造りのテーマは「魚でやるなら日高見だっちゃ!」。「平孝(ひらこう)酒造」は世界三大漁場のひとつ、三陸沖を抱える石巻に建つ酒蔵です。
口当たりなめらかでスパッとキレる味わいは、新鮮な魚介類と好相性。寿司とのペアリングを極めた辛口純米酒も人気です。
3.宮城県で造られる日本酒おすすめ人気ランキングTOP20
南部杜氏が手がける宮城県のお酒は、日本酒ファンからも人気の銘柄ばかり。ここからはおすすめランキングTOP20を紹介します。東北の豊かな自然が生み出す味わいを、ぜひ一度お試しください。
※ランキングは9/1段階でのさけのわによる順位を参照しております。
1位.伯楽星(はくらくせい)
新澤醸造店の「伯楽星(はくらくせい)」は、食事をよりおいしく感じさせてくれる“食中酒”の先駆けとなった日本酒です。香りは穏やかで、2杯3杯と飲み進められる。その味わいは“究極の食中酒”として知られています。
マイナス5度で管理されるフレッシュな味わいも魅力的。地元宮城県のみならず、全国のお酒好き、おいしいもの好きに愛されている銘柄です。
(出典元:新澤醸造店)
2位.日高見(ひたかみ)
漁場町で生まれるお酒「日高見」は新鮮な魚介類と好相性。キリッと引き締まった後口が素材のうまさを引き立てます。
なかでもおすすめは、魚ラベルの純米酒です。ラベルには地元の海の恵みがズラリと描かれ、お酒はふくよかな旨味にあふれています。冷やはもちろん、ぬる燗にして魚介類とのペアリングを楽しむのもおすすめです。
(出典元:sakenomy)
3位.萩の鶴(はぎのつる)
自ら飲んで本当に美味しいと思える酒を造りたい。蔵のそんな想いから生まれる「萩の鶴」は、日々に寄り添うカジュアルながらも上質な味わいが魅力です。
注目は、「猫ラベル」や「メガネ専用」などの個性的なラインナップ。「猫ラベル」は季節ごとの味わいと、可愛らしいラベル絵が魅力です。「メガネ専用」は、全員メガネの蔵人で造られたという1本。蔵の遊び心を感じつつ、ぜひこだわりの味わいを堪能してみてください。
4位.浦霞(うらかすみ)
「浦霞」は、風光明媚な港町、塩釜で古くから愛されてきた日本酒です。にこやかな布袋ラベルの代表酒「浦霞禅」は、昭和48年に誕生しました。
地元産の米にこだわる「浦霞」は、口当たりまろやかで上品な味わい。地元名物の牡蠣やマグロとも相性抜群です。蔵併設のギャラリーでは、県内限定の浦霞や酒器などを購入できます。日本酒の試飲も楽しめ、地元ならではの魅力を満喫できるスポットです。
(出典元:株式会社佐浦)
5位.宮寒梅(みやかんばい)
原料米には、自社栽培米をはじめとする宮城県産米を使用。「宮寒梅」は、家族で丁寧に仕込まれるやさしい味わいの日本酒です。
季節限定酒や贈り物にふさわしい純米大吟醸酒など、ラインナップも実に豊富。温めてよりおいしい燗酒専用のお酒も揃っています。フルーティーな発泡にごり酒は、日本酒ビギナーにもおすすめです。ぜひ自分好みの味わいを見つけてみてください。
(出典元:寒梅酒造)
6位.一ノ蔵(いちのくら)
主原料の多くに宮城県産の米を使い、敷地内の井戸から汲み上げる水で仕込まれるお酒「一ノ蔵」。職人の手仕事で生まれる味わいは、地元はもちろん全国でも多くの人に愛されています。
おすすめは「一ノ蔵無鑑査」。発売から44年を経て、2021年にリブランディングされた本醸造シリーズです。1升瓶が2,000円台とコストパフォーマンスにすぐれ、飲みきりサイズの300ml容量があるのもうれしいポイント。味わいは甘口・辛口・本辛口の3タイプあり、飲み比べも楽しめます。
(出典元:株式会社一ノ蔵)
7位.乾坤一(けんこんいち)
醸造元は江戸中期創業の老舗蔵。「乾坤一」という名は、その味わいに感動した初代宮城県知事の松平正直により“この世で一番のお酒になりますように”と名付けられました。
地元農家と手を取り合い生まれる日本酒は、どこか温もりを感じさせる味わい。キレ味のある「純米吟醸原酒 超辛口」も、後口に心地よい余韻が残ります。食事との相性がよく、新鮮な海の幸とのペアリングもおすすめです。
(出典元:大沼酒造店)
8位.勝山(かつやま)
勝山酒造は、仙台に現存する唯一の伊達家御用蔵です。江戸時代に創業以来、320年以上仙台の地で歴史と伝統を受け継いでいます。
製造するのは、厳選した米を用いた純米酒のみ。なかでも「DIAMOND AKATSUKI」は、兵庫県産山田錦を原料に、遠心分離機で抽出されたこだわりの1本です。外箱も美しく、確かな味わい、スペックともに贈答用にも好まれています。
(出典元:勝山酒造オンラインショップ)
9位.愛宕の松(あたごのまつ)
「愛宕の松」は、「伯楽星」と並び新澤醸造店を代表するブランドです。創業以来、宮城の地酒として多くの人に親しまれてきました。
なかでもおすすめは、「あたごのまつ はるこい 純米吟醸」。赤色酵母を用いたかわいらしいピンク色の春酒です。夏季にはフレッシュな味わいの「愛宕の松 ひと夏の恋 純米吟醸」も登場。ぜひ季節ごとの味わいを楽しんでみてください。
(出典元:新澤醸造店)
10位.墨廼江(すみのえ)
酒造りのテーマは「きれいで柔らかく気品漂う風味豊かなお酒」。地元の米と水にこだわり、南部杜氏の技で生まれる「墨廼江」には、地元石巻市の魅力が詰まっています。
「墨廼江 夏純米 大辛口」は、コストパフォーマンスに優れたキレが際立つ1本。夏酒らしいフレッシュ感も楽しめます。「別吟(べつぎん)」は、日本酒好きな方への贈り物にもおすすめです。氷温で約1000日熟成させた原酒のまろやかな味わいを楽しめます。
(出典元:さぶん酒店)
11位.錦屋(わたや)
蔵が目指すのは、料理と寄り添いお互いを引き立てあう“食中酒”ならぬ“食仲酒”。原料にもこだわり抜き、理想とする酒米「阿波山田錦」を造る徳島県まで自ら出向き、契約栽培を行っています。
阿波山田錦を用いた「綿屋 純米原酒山田錦65」は、スッキリ感とコクをあわせもつ日本酒。料理と一緒に飲み飽きすることなく楽しめます。宮崎県の地酒として、ぜひおさえておきたい銘柄です。
(出典元:蔵の酒みろくや)
12位.DATE SEVEN
「DATE SEVEN」は、勝山、墨廼江、伯楽星、山和、萩の鶴、浦霞、黄金澤と宮城県内の7つの酒蔵が共同で造り上げる日本酒です。結成は2015年。以来、年度ごとに各蔵が中心となり、さまざまなタイプの日本酒をリリースしてきました。
2023年には「山和」と「萩の鶴」を中心に2つのボトルを販売。“年に1度、人々の出会いの架け橋となるようなお酒にしたい”という想いから、開栓解禁日時は毎回7月7日午後7時とされています。毎回違う出会いが待っている特別感満載のシリーズです。
(出典元:マツザキ)
13位.阿部勘(あべかん)
「阿部勘」が目指すのは、食事を引き立てる名脇役の日本酒です。すっきりしたなかに米の旨味があり、1杯また1杯と盃が進みます。
季節ごとにリリースされる限定酒にも注目です。ボトルに金魚が泳いでいるかのようなラベルの夏酒「阿部勘 金魚 純米吟醸」は、すっきりとした涼やかな味わいを楽しめます。
(出典元:むとう屋)
14位.すず音
スパークリングタイプの「すず音」は、一ノ蔵のラインナップのひとつです。日本酒をもっと気軽に楽しんでほしいという蔵の想いから、1998年(平成10年)に誕生しました。
グラスで弾ける細かい泡は、シャンパンと同じ瓶内二次発酵によって生まれるもの。日本酒ならではのやさしい味わいと、甘酸っぱさを楽しめます。アルコール度数も低く、300mlの飲み切りサイズから購入できるため、日本酒を飲み慣れない方にもおすすめです。
(出典元:株式会社一ノ蔵)
15位.蔵王(ざおう)
地元農家と契約栽培した米で造られる地酒「蔵王」。醸造後は専用冷蔵庫で保存され、よりフレッシュな状態で各地へと出荷されています。
注目したいのは特約店限定販売、K(ココロ)シリーズの「ZAO」。若き蔵人を中心に誕生したブランドです。香りはさわやかで、飲み飽きしないクリアな味わいが魅力的。盃を重ねるごとに、そのおいしさが体に染み渡ります。
(出典元:相原酒店)
16位.天上夢幻(てんじょうむげん)
「天上夢幻」は、完全手造り少量仕込みのお酒です。原料米の8割に宮城県産、2割に蔵のある加美酒産の米が使われています。
地元の米と水、人で造られる日本酒は、クリアでやさしい味わい。蔵のベストセラー「天上夢幻 旨口 特別純米」は、口当たりまろやかで食中酒におすすめです。さばの味噌煮や煮物など、和食の定番をおともにすれば、たまらない相性の良さを堪能できます。
(出典元:相原酒店)
17位.黄金澤(こがねさわ)
「黄金澤」の特徴は、昔ながらの山廃仕込みで造られること。自然の乳酸菌の力によって醸される日本酒は、軽やかでありながら奥行き深い味わいが魅力です。
代表酒の「黄金澤 山廃純米酒」は、冷酒から燗酒まで幅広い温度帯で楽しめます。特に、素材の良さを活かした繊細な味わいの和食と相性抜群です。個性あふれる1本を、というときはぜひ「黄金澤 山廃純米原酒 3年熟成」を。熟成させた山廃ならではの奥深いおいしさを堪能できます。
(出典元:むとう屋)
18位.蒼天伝(そうてんでん)
気仙沼生まれの「蒼天伝」は、新鮮な海の幸と相性抜群の日本酒です。マグロにカツオ、秋刀魚など旬の味覚とのペアリングを満喫できます。
「蒼天伝 特別純米酒」は柑橘系のさわやかな香りが魅力的。ほんのり甘く、すっきりとした飲み口を楽しめます。よりフレッシュな味わいを堪能したいときは、冬季限定の「滓がらみ しぼりたて生原酒」もおすすめです。
(出典元:男山本店)
19位.山和(やまわ)
「山和」は「Simple is best.」という蔵の美学に基づき誕生した、限定流通ブランドです。あくまでも原点を大切に、手間暇かけて山和ならではの上質な酒質を生み出しています。
「山和 純米大吟醸」は、「SAKE COMPETITION2014」にて純米大吟醸部門で第1位を受賞。華やかな香りと澄んだ味わいが際立ちます。季節ごとにリリースされる限定酒にも注目です。氷を入れておいしい「中取り Rock」、燗酒専用の「燗純米」と、四季折々の味わいを楽しめます。
(出典元:さぶん酒店)
20位.水鳥記(みずとりき)
「水鳥記」は、気仙沼市の角星(かくぼし)が醸す日本酒です。名前の由来は「酒」の文字。部首のさんずいを「水」、右側を「鳥」とし、酒の物語を「記」してきたいという造り手の想いが込められています。
漁業の町、気仙沼生まれの「水鳥記」は魚介類にマッチする酒質が魅力です。適度なキレと米の旨味が素材の魅力を引き立てます。「純米大吟醸酒 蔵の華 極上三割」は木箱にゴールドシールが輝き、祝い事の贈り物にもおすすめです。
(出典元:気仙沼の地酒専門店)
まとめ
宮城県は、長い歴史とともに多くの銘酒を生み出してきた土地です。現在も各蔵が伝統製法と原料にこだわった酒造りを続けています。
宮城県の日本酒は、スッキリとキレがありながら、どこか心をほっとさせる奥深さが何よりの魅力。ぜひ、東北の地に想いをはせてその味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。