おすすめの日本酒を探す際に、都道府県から探すのも日本酒の選び方の一つです。なかでも、新潟は上質な日本酒の産地として有名です。
新潟のおいしい日本酒の銘柄をあげればキリがありません。新潟はなぜ日本酒作りが盛んなのでしょうか。
今回は新潟が日本酒で有名な理由を解説していきます。新潟の数ある日本酒から、おすすめ人気ランキングTOP20を紹介するので参考にしてみてください。
目次
1.新潟で造られる日本酒の特徴
日本有数の酒どころ、新潟県の日本酒はすっきりとした淡麗の味わいが特徴です。清酒の生産量は、兵庫、京都に続き全国3位。蔵元数は85と、全国1位の数を誇ります。
「久保田(くぼた)」や「八海山(はっかいさん)」など、日本酒好きに知られるメジャーな銘柄のほか、近年は若き蔵人が活躍する酒蔵のお酒も注目を集めています。「淡麗辛口」のひと言では語れない豊富なバリエーションが魅力です。
2.新潟で造られた日本酒の選び方のポイント
新潟の日本酒を選ぶ際に注目したいのが、地域ごとの違いです。上越、中越、下越、佐渡とそれぞれの地域で歴史と風土を感じる日本酒に出会えます。
また、新潟生まれの酒造好適米(酒米)「五百万石(ごひゃくまんごく)」は、その質の良さから全国各地の酒蔵で使用されています。日本酒選びに迷ったら、ぜひ五百万石を原料とした銘柄にも注目してみてください。
2-1.地域ごとによる違い
上越地方
上越地方は全国有数の豪雪地帯です。雪解け水が豊富で、ミネラル分が多い軟水と、カルシウムやマグネシウムを含む硬水の両方が湧き出ます。日本酒のタイプも幅広く、自然な甘さの日本酒も造られているエリアです。
中越地方
「久保田」や「八海山」などの有名銘柄が揃う中越地方では、城下町を中心に独自の食文化が発展してきました。日本酒も料理にあわせ、軽やかな味わいからしっかりとした旨味を持つものまで、さまざまなタイプが揃います。
下越地方
県庁所在地である新潟市や、新発田市、村上市などがあるエリアです。江戸時代以降は港町として栄え、花街の文化が発展しました。
今でも料理と地酒を楽しむ文化が根付き、日本酒は淡麗辛口タイプが多い傾向にあります。繊細な和食の味わいを引き立てるすっきりとした飲み口が魅力です。
佐渡地方
港からフェリーで渡る佐渡島を有する佐渡地方には、5つの酒蔵があります。減農薬の米作りに取り組む蔵、若き蔵元が活躍する蔵など、各蔵の個性はさまざま。酒蔵巡りにおすすめのエリアでもあります。
2-2.新潟県産の酒造好適米で造られた日本酒もおすすめ
新潟県産の酒造好適米(酒米)としてその名が知られるのが「五百万石(ごひゃくまんごく)」です。新潟県で開発された五百万石は、地元を中心に福井県、富山県などで栽培され全国第2位の生産量を誇ります。
五百万石を使った日本酒は、すっきりとした淡麗の味わいに仕上がりやすいといわれています。「新潟県の地酒の魅力に触れたい」と思ったら、酒米に注目して日本酒を選んでみるのもおすすめです。
参考:農林水産省「酒造好適米の需給状況(推計)(米に関するマンスリーレポート(令和5年3月号)抜粋)」
3.新潟の日本酒銘柄おすすめ人気ランキングTOP20
蔵元数全国第1位の新潟県。ここからは、そのなかでもおすすめ銘柄TOP20をご紹介します。長年多くの日本酒ファンに愛されるメジャーブランドから、近年注目を集めるニューフェイスまで、多彩なラインナップのなかから自分好みの味わいを見つけてみてください。
1位.加茂錦(かもにしき)
1893年(明治26年)創業の加茂錦酒造。地元で愛されてきたお酒が全国で知られるきっかけとなったのが、当時20代だった若き杜氏が完成させた「荷札酒」の存在です。
香りはフルーティで飲み口は実にスムース。ほんのりとした甘さと苦味とともに、やさしい余韻が静かに続きます。荷札を模したラベルも楽しく、日本酒ビギナーにぜひおすすめしたい銘柄です。
(出典元:大和屋酒舗)
2位.たかちよ
高千代酒造は、「高千代」「たかちよ」「Takatiyo」とさまざまなシリーズを展開する酒蔵です。
ひらがなの「たかちよ」は、フルーツをイメージしたお酒。グリーンラベルはグレープフルーツ、紫ラベルはブドウとジューシーで濃醇な味わいを堪能できます。
なかにはメロンをイメージした甘旨口の1本も。新潟のお酒=淡麗辛口とは一線を画す、色とりどりの味わいをぜひ楽しんでみてください。
(出典元:酒泉洞堀一)
3位.八海山(はっかいさん)
寒さ厳しい南魚沼の地で“きれいな酒”を醸し続ける八海山酒造。豊かな自然が育む日本酒は、清らかな味わいに満ちています。
なかでも注目したいのが「純米大吟醸 八海山 金剛心 浩和蔵仕込」です。最高品質の山田錦を原料に、限られた蔵人しか入れない浩和蔵で仕込まれています。夏季、冬季とシーズンごとにリリースされるため、季節の贈り物にもおすすめです。
(出典元:八海山)
4位.久保田(くぼた)
朝日酒造の久保田は、新潟の地酒の代表格ともいえる銘柄です。地元の水と米、そして人によって生まれる味わいは、時代とともに進化を続けています。
おすすめは「久保田 雪峰(せっぽう)」。アウトドアシーンで楽しむ日本酒をコンセプトに誕生したお酒です。焚火に映えるブラックボトルも美しく、日本酒を自由に楽しむ喜びを教えてくれます。
5位.あべ
ラベルに「あべ」の字が書かれたシリーズは、阿部酒造で2015年(平成27年)からスタートした新ブランドです。大きな特徴は、すべてが加水調整をしていない原酒であること。酒蔵こだわりの味わいをダイレクトに感じることができます。
定番の純米酒は、新潟県産米を100%使用。飲み飽きしないクリアな味わいを堪能できます。日本酒ビギナーには「★(スター)シリーズ」もおすすめです。アルコール度数が若干低めに設定されているため、心地よい飲み心地を楽しめますよ。
6位.〆張鶴(しめはりつる)
〆張鶴は新潟の地酒らしいすっきり感と、米の旨味をあわせもつ日本酒です。蔵が建つ村上市は、良質な五百万石が栽培される米どころ。蔵はより良く磨いた酒米を原料に、全国で愛される日本酒を造り続けています。
なかでも「〆張鶴 月」、「〆張鶴 雪」などの本醸造酒の味わいは絶品。煮物や焼き魚などの家庭料理、冷奴や塩辛のような定番おつまみとの相性もばつぐんです。料理やその日の気分にあわせ、冷やから燗まで幅広い温度帯で楽しめます。
(出典元:新潟の地酒 やまさ)
7位.鶴齢(かくれい)
鶴齢を造る青木酒造は、300年近くの歴史を誇る老舗蔵です。蔵が位置するのは、豪雪地帯の魚沼地方。雪国の恵みと越後杜氏の伝統の技により、淡麗旨口の味わいが生み出されています。
キレのある味わいを楽しみたいときは「鶴齢 辛口」がおすすめです。燗酒にすると後口のキレ味がより引き立ちます。「鶴齢 純米大吟醸」は、フルーツのように華やかな香りが魅力的。新潟県産米のやさしい旨味もぞんぶんに楽しめます。
(出典元:新潟の地酒 やまさ)
8位.村祐(むらゆう)
新潟のお酒は淡麗辛口といわれるなか、甘口の味わいで注目を集めているのがこちら、村祐です。香りおだやかでほんのり甘く、やわらかな口当たりを楽しめます。
「データや情報にとらわれず自由に楽しんでほしい」という想いから、成分データは非公開。「祐」は食中酒にぴったりのやさしい甘さ、「黒村祐」は超甘口と、ボトルごとに異なる個性も魅力です。生産量の少ない銘柄のため、出会った際はぜひチェックしてみてください。
(出典元:錦屋酒店)
9位.麒麟山(きりんざん)
新潟県の淡麗辛口の代表格、麒麟山。原料には、蔵の半径10キロ内のエリアで造られる米が100%使用されています。米は仕込み水と同じ常浪川(とこなみがわ)の超軟水で育つなど、地元の恵みがぎゅっと凝縮された日本酒です。
定番「麒麟山 伝統辛口」は、キレ良く飲み飽きしない味わい。飲み切りサイズの180ml容量から販売されているのもうれしいポイントです。手に取りやすいカップ酒は、新潟観光のお土産にもおすすめですよ。
(出典元:麒麟山)
10位.越乃景虎(こしのかげとら)
越乃景虎は、全国名水百選に選ばれた「杜々の森」の湧水と、蔵の敷地に掘られた横井戸の水を仕込み水に造られる日本酒です。
軟水から生まれる日本酒は、辛口ながらもやさしい口当たり。特に、「杜々の森」の湧水を仕込み水に使用した「名水仕込」シリーズはクリアな飲み口を楽しめます。繊細な和食の味わいを引き立てる食中酒としてもおすすめです。
(出典元:越乃景虎)
11位.上善如水(じょうぜんみずのごとし)
蔵が位置する越後湯沢は、日本有数の雪国。雪どけ水を仕込み水とするお酒は「水のごとし」の名のとおり、軽やかでやさしい味わいが魅力です。
スタンダードな純米吟醸をはじめ、シュワシュワ泡立つスパークリング酒などバリエーションも豊富。すっきり飲みやすい味わいは日本酒ビギナーにもおすすめです。180mlのボトル缶も販売され、気軽に本格的な味わいを楽しめます。
(出典元:白瀧酒造)
12位.高千代(たかちよ)
前述した「たかちよ」を造る高千代酒造の定番酒です。原料には、自家栽培の米や契約農家が栽培した米を使用。なかでも全国では珍しい新潟県産酒米「一本〆(いっぽんじめ)」を使用していることが大きな特徴です。
地元で愛され続けてきた高千代は、ほどよいコクが特徴的。特に「一本〆(いっぽんじめ)」を原料としたお酒は、米の風合いがより強く感じられます。スパッとキレる辛口が好み!という方には、大辛口の「高千代 辛口純米+19」もぜひチェックしてみてください。
(出典元:酒泉洞堀一)
13位.北雪(ほくせつ)
佐渡島の北雪は、海外のレストランでも提供されている日本酒です。1872年(明治5年)創業の蔵は、伝統を受け継ぎながら次世代に向けた挑戦を続けています。
特徴のひとつが、遠心分離機を用いた酒造りです。圧力をかけることなく抽出されたお酒は、香り高くふくよかな味わいに満ちています。
その魅力をぞんぶんに感じられるのが「北雪 純米大吟醸 越淡麗 光」。日本酒のイメージを一新するような、エレガントな赤いボトルにも注目です。
(出典元:塚本酒店)
14位.菊水(きくすい)
1881年(明治14年)の誕生以来、地元はもちろん全国のお酒好きに愛されてきた日本酒、菊水。なかでも「ふなぐち菊水一番しぼり」は、日本初の缶入り生原酒として、日本酒業界の新たな時代を切り拓きました。
スーパーやコンビニで気軽に手に取れる缶酒は、アルコール度数19%としっかりとした飲みごたえとフルーティーな香りが特徴です。冷やしてそのまま飲むのはもちろん、ロックやカクテルなど、さまざまなスタイルで楽しめます。
(出典元:菊水)
15位.醸す森(かもすもり)
醸す森は、歴史ある苗場酒造から新たに誕生したブランドです。目指すのは、爽やかな吟醸香があり、米の甘みと旨味が凝縮された飲み飽きしないお酒。フルーティーな香りが心地よく、日本酒愛好家はもちろん日本酒ビギナーにもおすすめです。
後口に残るのは、酵母由来のシュワッとした微発泡感。チキンやチーズのような洋風メニューとのペアリングも楽しめます。ぜひ適度に冷やし、ワイングラスに注いでその魅力を感じてみてください。
(出典元:苗場酒造)
16位.山間(やんま)
山間は、蔵が理想とする究極の味わいの具現化を目指し、2007年(平成19年)にリリースされた日本酒です。大きな特徴は、日本酒を搾ったとき特に質が良いといわれる「中採り」部分だけを瓶詰していること。さらに、一般的に行う濾過をせず、無濾過で仕上げられています。
開栓すると立ち上るのは、フルーツのように華やかな香り。口に含むと芳醇な旨味が静かに広がります。蔵のこだわりと個性が光る銘柄です。
(出典元:矢島酒店)
17位.真野鶴(まのつる)
トキが暮らす自然豊かな島、佐渡島で造られる真野鶴。原料米には佐渡産の五百万石や、減農薬・減化学肥料による越淡麗、佐渡島唯一の山田錦が使われています。
自然がもらたす素材を原料に、蔵人の手仕事で生まれる真野鶴は、すっきりとした辛さと米のふくよかな味わいが魅力的。料理のおともにすれば、ついついもう一杯、もうひと口と箸と盃が進みます。
「真野鶴オクターブ」はアルコール度数低めでほんのり甘く、日本酒を飲み慣れない方にもおすすめです。
(出典元:真野鶴)
18位.緑川(みどりかわ)
香りおだやかでやわらかな旨味。緑川は、淡く消えいくような余韻が残る日本酒です。主軸となる原料米は、地元産の北陸12号。その他の酒米も新潟県産が100%用いられています。
「純米 緑川」は、すっきりとしたキレ味を楽しめるお酒。仕込みに餅米を使用している「緑川 正宗」は、燗酒にすると米の香りが広がります。購入できるのは、蔵が信頼している特約店のみと希少性の高い新潟の地酒です。
(出典元:新潟県酒造組合)
19位.雅楽代(うたしろ)
雅楽代を醸す天領盃酒造は、佐渡島の酒蔵です。一時期は廃業が危ぶまれていたものの、当時若干25歳だった現蔵元により、見事に再生を果たしました。
2019年(令和元年)には新ブランドとなる雅楽代をリリース。品質第一をモットーに、設備投資を重ねた蔵で造られるお酒は、地元から全国へとファンを増やし続けています。
軽やかで繊細な味わいの雅楽代は、ぜひ好みの料理やおつまみとともに。料理や人、その場の空気にそっと寄り添い、お酒を楽しむ時間をやさしく彩ってくれるはずです。
(出典元:天領盃酒造)
20位.越乃寒梅(こしのかんばい)
農作業に励む亀田の人々に喜んでもらえる酒を。そんな想いから1907年(明治40年)に誕生した越乃寒梅は、新潟を代表する地酒として今では全国で愛されています。
大きな特徴は、飲み飽きしないすっきりとした味わい。その中にも、こだわりの米の旨味がしっかりと生きています。
定番の「普通酒 白ラベル」は、晩酌のおともにぴったりの1本。穏やかな香りとしっかりとした飲み口が日々の疲れを癒してくれます。温めてもおいしく、日本酒好きとして自宅にストックしておきたくなる銘柄です。
(出典元:石本酒造)
まとめ
米どころであり酒どころでもある新潟県は、「淡麗辛口」のひと言では語りつくせない様々なタイプの日本酒に出会える場所です。地元産の五百万石を中心に、豊かな自然が育む清らかな水、そして蔵人たちの技術によっておいしい日本酒が造られています。
すっきりとクリアな飲み口のお酒は、日本酒ビギナーにもおすすめです。ぜひ手に取り、新潟の地酒の魅力に酔いしれてみてください。