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日本酒に漬け込んでお肉は柔らかくなる!その理由は?

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日本酒に漬け込んでお肉は柔らかくなる!その理由は?

「お肉をお酒に漬けると柔らかくなる」そんな話を聞いたことはありませんか?日本酒もそのひとつ。牛肉や豚肉などを日本酒に漬けると、柔らかく仕上がります。

今回は、その理由を詳しくご紹介。お肉を柔らかくするためのポイントや方法もお伝えします。飲んで楽しむ日本酒を、「食べる日本酒」としてぜひ日常に取り入れてみてくださいね。

1.お肉が固くなるのはどうして?

調理でお肉が固くなる理由には、お肉の「水分」と「タンパク質」が関係しています。水分が飛んだり、タンパク質が固まることでお肉は固くなるからです。

種類や部位にもよるものの、お肉は全体の60~70%が水分で構成されています。15%前後がタンパク質。残りが脂質やその他の栄養素です。

お肉の水分は、加熱のしすぎや塩分の影響で失われてしまいます。肉を焼きすぎるとパサパサになるのも、加熱することで水分が蒸発するからです。

また、お肉の「筋繊維タンパク質」は、加熱すると縮んで固くなります。タンパク質が縮むことでさらに水分が搾り出され、お肉が固くなってしまうというわけです。

つまり、お肉を柔らかく仕上げるには、保水と筋繊維タンパク質のちぢみを抑えることが大切なポイントになります。

2.日本酒でお肉が柔らかく!その理由は?

日本酒でお肉が柔らかくなる理由には、以下の2つがあげられます。

  1. お酒でお肉のpH値が変化し保水力が高まるから
  2. 筋繊維タンパク質がゆるんだ状態で早く固まるから

前述した水分とタンパク質、どちらにもうれしい効果が期待できるというわけです。それぞれ詳しく解説していきますね。

2-1.お酒でお肉のpH値が変化し保水力が高まるから

pH値とは、液体の酸性や中性、アルカリ性を示す数値のことです。お肉のpH値は5.5前後で、水分を逃しやすい値だといわれています。お肉の保水力は、pH5.5から酸性側、アルカリ性側どちらに傾いても向上します。

日本酒のpH値は、酸性寄りの4.2~4.7前後です。そのため、日本酒に漬けこんだお肉は酸性の状態へと近づき、保水力が高まります。水分量がキープされ、加熱をしても柔らかく仕上がるというわけです。

2-2.筋繊維タンパク質がゆるんだ状態で早く固まるから

お酒に含まれるアルコール成分は、筋繊維タンパク質の網目状の組織の中に入り込み、ゆるんだ状態をキープしてくれます。筋繊維がゆるむことで保水性が高まり、お肉は加熱をしてもちぢみにくくなります。

また、日本酒と一緒に調理されるお肉は火が通りやすくなります。アルコールの沸点は、水よりも低いからです。そのため、加熱時は筋繊維がゆるんだ状態で早く固まり、お肉が柔らかい状態に仕上がります。

お肉

3.日本酒でお肉を柔らかくする方法とポイント

日本酒でお肉を美味しく、柔らかく仕上げたいときは、日本酒の種類にこだわってみてください。ここからは、日本酒にお酒を漬け込む方法や、鍋に使う方法もご紹介します。

3-1.日本酒の種類は純米酒がおすすめ

日本酒は、原料や製法で吟醸酒(ぎんじょうしゅ)や純米酒(じゅんまいしゅ)などの種類に分類されます。料理に使うときは、米と米麹のみで造られる純米酒がおすすめです。純米酒はコクがあり、料理に使うと全体の旨味がアップします。

また、「清酒」として販売されている日本酒ではなく、「料理酒」を使う場合は、料理全体の調味料を調整してください。料理酒には、すでに塩分や糖分などが含まれているからです。

以下のように鍋に一定量を用いる場合は、日本酒を使うとお酒の風味をより一層楽しめます。

3-2.お肉を漬け込んで柔らかく

牛肉や豚肉などを日本酒に漬け込むと、前述した作用でお肉が柔らかくなる効果が期待できます。肉の量や部位にもよるものの、漬け込む時間は1時間から半日を目安にしましょう。時間が長すぎると、お肉が固くなることもあるので気を付けてくださいね。

3-3.鍋に使ってお肉を柔らかく

日本酒を鍋に使うと、豚肉や肉だけでなく、魚介類も柔らかく仕上がります。水とたっぷりの日本酒で出汁を作るほか、鍋に日本酒だけを注ぎ、弱火で2/3まで煮詰めてしゃぶしゃぶ鍋にするのもおすすめです。

煮詰めている間はアルコールが蒸発しているため、アルコールに弱い方や子どもは近づかないよう気を付けてください。アルコール分が飛んだあとはお酒の旨味だけが残り、シメの雑炊まで美味しくいただけます。

鍋 お肉

4.日本酒以外のお酒でもお肉は柔らかくできる?

日本酒以外のお酒でも、お肉は柔らかく仕上がります。種類によってアルコール度数や風味は変わるため、料理ごとに使い分けるのも良いでしょう。ビールやワイン、焼酎と、それぞれの個性が料理の味わいをグレードアップしてくれます。

4-1.ビール

ビールに含まれる「炭酸」は、お肉の保水性を高めてくれます。また、「酵母」がお肉のタンパク質を分解するため、漬け込んだり、煮込み料理に使ったりすることでお肉が柔らかく仕上がるのが特徴です。ビールとコンソメで肉や野菜をコトコト煮込めば、味わい深い洋風メニューができあがります。

ビール

4-2.ワイン

ワインも日本酒と同様に、お肉を酸性の状態に傾け柔らかく仕上げる作用があります。ワインを使った肉料理といえば、ビーフシチュー。また、牛すね肉を赤ワインでコトコト煮込むと、お肉がホロッと崩れるほど柔らかく仕上がります。

ワイン

4-3.焼酎

焼酎は、麦や芋を原料に造られるアルコール度数の高いお酒です。料理に使うのであれば、クセの少ない米焼酎や麦焼酎をおすすめします。素材の風味を損なうことなく、肉が柔らかくなる効果が期待できます。

焼酎が活躍する肉料理といえば、豚の角煮です。肉の臭みも取れ、じっくり煮込むことでトロトロ柔らかな角煮ができあがります。

焼酎 

5.柔らかくするだけでなく、日本酒で旨味やコクもアップ

日本酒は、お肉を柔らかくするだけでなく、料理に旨味やコクを与えてくれます。日本酒には、グルコースなどの糖分や、アミノ酸などの旨味成分が含まれているからです。

特に、日本酒のアミノ酸含有量は高くワインの約2倍以上。ビールと比較すると、約10倍にもなるといわれています。

なかでも、日本酒のグルタミン酸とカツオ出汁のイノシン酸は好相性。カツオ出汁の味噌汁に日本酒を少し加えると風味がグッとアップします。アルコールの効果で調味料の吸収率が上がるため、塩分を控えたいときにもおすすめです。

まとめ

飲んで美味しい日本酒は、料理に使うとお肉を柔らかくする効果が期待できます。料理の旨味やコクがより引き立つことも魅力です。

米と米麹というシンプルな材料から生まれるにもかかわらず、さまざまな成分が含まれているのが日本酒の奥深さ。上手に料理に活用しながら、日本酒の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 blog「わたしの酒棚」 https://sakadana.net/