日本酒の世界を楽しんでいると「十四代(じゅうよんだい)」という名前を耳にすることもあるのではないでしょうか。「なかなか手に入らないプレミア酒」「十四代はレアなお酒」と聞くと、ますますどんなお酒なんだろうと気になってしまいますよね。
そこで今回は、プレミア日本酒「十四代」についてくわしく解説!名前の由来や代表銘柄もあわせて紹介します。
目次
1.プレミア日本酒「十四代」とは?
「十四代(じゅうよんだい)」は、山形県の高木酒造(たかぎしゅぞう)が造る日本酒です。平成初期のリリース以来、香り高く、芳醇旨口の味わいに魅了される日本酒ファンは後を絶ちません。
その一方で、十四代は入手の難しさから「幻の日本酒」とも呼ばれています。まずは、十四代の名前の由来やプレミア日本酒といわれる理由について探っていきましょう。
1-1.十四代の名前の由来
十四代という名前は、1963年(昭和38年)頃、14代目当主「高木 辰五郎」氏によって名付けられました。
日本酒に名前を付けて販売するためには、商品登録しなくてはいけません。辰五郎氏は十四代以外にも「十三代」「十五代」「十六代」といった名前を申請しました。
通常であれば、数字は登録申請を通らないルールとなっています。ところがなぜか、十四代だけが審査を通過したのです。「としよ」「としひろ」といった、人名に間違われたのが理由では?ともいわれていますが、その真相は定かではありません。
こうして奇跡的に誕生した十四代という名は、古酒のブランド名として蔵で使用されてきました。
現在多くの人が知る十四代が誕生したのは、15代目「高木 顕統」氏が初めて日本酒を造り上げたときのこと。創業以来400年余り続く伝統とともに、その名も新たな時代へと受け継がれたのです。
1-2.十四代がプレミアな理由
十四代が誕生したのは、時代が平成に移ってからのこと。香り控えめ、スッキリした味わいの端麗辛口の日本酒ブームが巻き起こるなか、フルーティーな香りの十四代は一躍人気銘柄に躍り出ます。
一度飲んだら忘れられない、みずみずしく、研ぎ澄まされた味わいはまさにプレミアと呼ぶにふさわしい品格。全国各地の酒販店が、一切の妥協を許さないこだわりの製法と原料で生まれる十四代の販売を希望しました。
ところが、多くの日本酒ファンが十四代を求める一方、高木酒造は自社ホームページはおろかメールアドレスも持たない酒蔵だったのです。
新たな日本酒の時代を切り拓いた銘酒でありながら、くわしい情報はベールに包まれている。
確かな味わいはもちろん、そんな一面も、十四代がプレミアと呼ばれる理由のひとつといえるかもしれません。
2.十四代を造る高木酒造とは?
高木酒造は、1615年(元和元年)創業の老舗酒蔵です。蔵が建つ山形県村山市は、四季折々の気候がはっきりとした自然豊かな地域。美しい水源にも恵まれ、蔵自ら「酒未来(さけみらい)」「龍の落とし子」「羽州誉(うしゅうほまれ)」といった酒米の開発にも取り組んできました。
また、地元では古くから「朝日鷹(あさひたか)」という日本酒の醸造元としても知られています。山形県内のみの限定流通商品ですが、見かけた際はぜひこちらもチェックしておきたいですね。
2-1.十四代の生みの親、「高木 顕統(たかぎ あきつな)氏」
十四代の生みの親である高木 顕統(たかぎ あきつな)氏は、東京農業大学農学部醸造科を卒業後、東京の大手百貨店に勤務していた人物です。1993年(平成5年)、高齢になった杜氏の引退を機に蔵へと戻ると、杜氏として酒造りを始めました。
当時、日本酒業界はスッキリとした端麗辛口ブームのまっただなか。幼いころから蒸米の甘い香り、麹の匂いに触れて育った顕統氏は「本来の日本酒は、もっと芳醇で旨口であるべき」という信念を貫き、香り高く芳醇な味わいの十四代を造り上げます。
さらには、酒質の設計から商品ブランディングまで一貫して担当。現在の蔵元杜氏の流れを生み出したパイオニアともいえる存在です。
3.十四代の代表的な銘柄
プレミア日本酒「十四代」、日本酒好きなら知れば知るほど「飲んでみたい!」と思うものですよね。とはいえ、なかなか入手できないのが十四代の悩ましいところ。ここからは、十四代の代表銘柄を紹介します。
酒販店で十四代を購入するチャンスが訪れたり、飲食店で十四代に出会ったり…。ぜひ、ここぞ!という機会が訪れたときの参考にしてくださいね。
3-1.十四代 純米大吟醸 龍泉
十四代のなかでも最高ランクにあたる銘柄「龍泉(りゅうせん)」。入手困難を極め、ネットでは数十万円で取引されることも少なくありません。高級酒米「山田錦」を35%まで磨き上げ限界低温発酵させた後、酒袋からこぼれる雫を1滴ずつ集め氷温貯蔵熟成させた純米大吟醸酒です。
評判
原料、製法、ボトルとすべてがスペシャル。外箱と中箱の二重使用の高級化粧箱におさめられています。香りはバニラのように甘く華やか。多くの日本酒ファンが酔いしれる至極の逸品です。
(出典元:ミツワネットショップ)
3-2.十四代 双虹 大吟醸
「双虹(そうこう)」は、山田錦を三割五分まで磨いたフルーティーな甘さが香り立つ日本酒です。毎年11月ごろに限定販売されており、定価は1万円台でありながらネット通販では10万円全前後の高値で取引されています。
評判
吟醸香はほんのりと柔らかでフルーティー。後味も爽やかで、ほのかな酸味が米の余韻を思わせます。口当たりも滑らかで、まるで水のように何杯でも飲み進めたくなる上質な日本酒です。
(出典元:ミツワネットショップ)
3-3.十四代 純米大吟醸 龍月
「双虹」とならび、「龍泉」に次ぐ十四代の最高峰銘柄です。毎年11月に販売される限定酒であることが、さらに希少性を高めています。袋吊りで搾ったお酒を一斗(18リットル)入りの瓶で少量ずつ集め、氷温熟成させるという手間のかかる製法で造られた日本酒です。
評判
真っ白な化粧箱入りの「龍月(りゅうげつ)」は、贈答用にもふさわしい佇まい。「SAKE COMPETITION」では数々の受賞歴を誇るなど、もちろん味も折り紙付きです。十四代らしい香りと甘みはしっかりと。それでいて雑味のない研ぎ澄まされた味わいが光ります。
(出典元:ミツワネットショップ)
3-4.十四代 七垂二十貫
高木酒造の伝統の製法「七垂二十貫(しちたれにじっかん)」によって醸造された十四代です。七垂二十貫とは、二十貫(約75㎏)の米からわずか七垂れ(7滴)しか取れないほど希少な酒、という意味。「龍泉」「双虹」「龍月」と、十四代の代表銘柄はこの七垂二十貫によって造られています。
評判
袋から一滴一滴搾り取る雫酒の味わいはまさに絶品。その確かな酒質は世界でも認められ、「2015年SAKE COMPETITION」の純米大吟醸部門で第3位を受賞しました。ネット通販でも7万円近い額で取引される日本酒です。
(出典元:ミツワネットショップ)
3-5.十四代 純米吟醸 龍の落とし子
「龍の落とし子」は14代目当主の高木辰五郎氏が開発した酒米です。幾度も交配を重ね、実に18年の月日を経て誕生しました。裏ラベルに系譜が書かれていることからも、蔵の酒米への強いこだわりがうかがえます。
評判
開栓と同時に広がるみずみずしく爽やかな香り。米の甘みと旨味をじっくり堪能できる1本です。2日、3日と時間を置くと、よりまろやかに変化する味わいを楽しめます。
(出典元:ミツワネットショップ)
3-6.十四代 純米大吟醸 酒未来
「酒未来(さけみらい)」は「龍の落とし子」同様、高木酒造が独自に開発した酒米です。近年は全国各地の有名蔵で「酒未来」を使用した日本酒が造られています。お酒の未来を盛り上げたいという蔵の想いが伝わる1本です。
評判
甘くやわらかな香りは洋梨やマスカットのよう。口に含むと甘みと旨味、ほのかな酸味がじゅわっと広がります。入手困難なことは変わらないものの、定価は数千円台と比較的求めやすく、飲食店などで見かけたときはぜひ味わっておきたい銘柄です。
(出典元:ミツワネットショップ)
3-7.十四代 本丸 秘伝玉返し
フルーティーで香り豊かでありながら、飲み口はすっきり。添加するアルコールに自社の粕取り焼酎を使用するという、こだわりに溢れた日本酒です。十四代のスタンダード的な存在であり、その人気を世に知らしめるきっかけとなった銘柄でもあります。
評判
日本酒の最高峰とされる味わいは、「間違いなくおいしい」と日本酒ファンがうなるほど。見た目も華やかで桐箱入りの商品もあるため、贈答用としても好まれています。十四代はまだ飲んだことがないという方に、まずおすすめしたい一本です。
(出典元:ミツワネットショップ)
まとめ
日本酒ファンの憧れ的存在ともいえる「十四代」。その確かな味わいは、蔵の熱い情熱とこだわりによって生まれています。
それだけに繊細な十四代は、マイナス5℃からプラス5℃の低温保管が基本。高木酒造も保存管理の行き届いた酒販店への販売を基本としています。
十四代を入手できた際は、ぜひ一期一会のお酒との出会いを大切に、幻と呼ばれるその味わいを堪能してみてはいかがでしょうか。