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究極の食中酒、「伯楽星」を解説!

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究極の食中酒、「伯楽星」を解説!

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 blog「わたしの酒棚」 https://sakadana.net/

「伯楽星(はくらくせい)」は”究極の食中酒”として知られる日本酒です。全国のファンも多く、数々の受賞歴を誇ることから、その名を耳にする機会もあるのではないでしょうか。

そこで今回は、「伯楽星」の魅力や人気銘柄についてくわしく紹介します!

「おいしい日本酒を知りたい」「食事に日本酒をあわせるのが大好き」という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

1.伯楽星とは

「伯楽星(はくらくせい)」は宮城県の新澤醸造店(にいざわじょうぞうてん)が造る日本酒です。料理のおいしさを引き立てる”究極の食中酒”とも呼ばれています。

「伯楽星」が誕生する以前、食前酒や食後酒という言葉はあっても「食中酒」というジャンルは存在しませんでした。

香り高い吟醸酒が多いなか、新澤醸造店は「食事をよりおいしく感じさせる酒」を目指し、究極の酒造りに力を注ぎます。

2002年(平成14年)、“究極の食中酒”として「伯楽星」が誕生。

料理の素材が持つ力を引き出し、気づけばすいすいと呑み進められる酒「伯楽星」は全国へと人気が広がっていきます。

JAL国際線ビジネスクラス・ファーストクラスで12年連続提供されるほか、2010年・2014年FIFAワールドカップの公式酒として採用されるなど、世界でも高く評価されている日本酒です。

1-1.伯楽星の名前の由来

「伯楽星」という名は「千里の馬は常にあれども、伯楽は常にあらず」という言葉に由来しています。これは、”逸材を見出す眼力の重要性”を説いている言葉です。

また、地元に残る「伯楽が育てた名馬が天に昇った」という伝説にも由来するといわれています。

「伯楽」とは、中国周代を生きた名馬を見分ける力に長けた人物のこと。中国では天馬を守る星の名前でもあります。

「伯楽星」は「消費者に品質を見抜いていだたこう」という蔵人たちの熱い想いが込められた名前なのです。

2.伯楽星を造る新澤醸造店とは

新澤醸造店は、1873年(明治6年)創業の宮城県の酒蔵です。

1999年(平成11年)、東京農業大学農学部醸造学科を卒業した新澤巖夫(にいざわいわお)氏が、若干25歳で杜氏に就任。究極の食中酒「伯楽星」を誕生させます。

蔵が大切にしているのは「年齢や経歴に縛られない酒造り」です。ベテラン杜氏に酒造りをゆだねるのではなく、蔵人がお互いに刺激しあい、協力する酒造りをおこなっています。

2-1.移転後の設備の充実による酒質の向上

2011年(平成23年)、東日本大震災により蔵、母屋とも全壊の被害を受けた新澤醸造店は、現在の川崎町へと工場を移転します。

同年11月には酒造りを再開。新工場で特に力を注いだのが設備の拡充でした。

米は0.1℃刻みの温度調節ができる釜で蒸され、より質の良い麹(こうじ)へと姿を変えます。最新設備と蔵人の努力により「伯楽星」もまた、より磨き抜かれた味わいへと変化を遂げたのです。

さらに、敷地内にはマイナス5℃の保存が可能な冷蔵設備を完備。フレッシュな味わいを、そのまま飲み手へと届ける取り組みを導入しています。

2-2.全国最年少の杜氏が活躍

前述したように、新澤醸造店は「年齢や経歴に縛られない酒造り」をおこなう酒蔵です。

2018年(2018年)には、新澤杜氏に代わり、若干22歳の渡部七海(わたなべななみ)氏が杜氏に就任しました。

渡部氏が手がけた「あたごのまつ 洗練辛口」は、世界的に注目を集めるワインコンクール「ブリュッセル国際コンクール」の日本酒部門「SAKE selection 2018」の本醸造酒部門でトロフィー酒を受賞。

同年には初めて外国人副杜氏が就任するなど、世代や国籍を超え、少しでもおいしい日本酒になるようにとの酒造りが続けられています。

3.伯楽星を販売できるのは選ばれた酒屋だけ

新澤醸造店は、全商品マイナス5℃の品質管理を徹底していますほぼすべてのお酒が、1回だけ「火入れ」をする商品だからです。

火入れとは、味や香りの劣化を防ぐことを目的とした低温加熱殺菌のこと。通常であれば2回おこなう火入れを1回のみに限定している「伯楽星」は、そのぶん品質が変化しやすいお酒なのです。

蔵が採用しているマイナス5℃の環境は、フレッシュな味わいを長く保つことができる温度帯。「伯楽星」を販売する特約店も、徹底した冷蔵管理ができる店舗のみに限定されています。

4.伯楽星シリーズを紹介!

究極の食中酒「伯楽星」は、毎日の食事と一緒に楽しめるお酒です。新澤醸造店が手がけるもうひとつのブランド「あたごのまつ」に比べ、糖度を1/2ほど低く設定し、さらりとした飲み口を実現しています。

燗酒にもぴったりの純米酒からこだわりの純米大吟醸まで、早速それぞれの魅力をご紹介!ぜひ購入時の参考にしてくださいね。

4-1.伯楽星 特別純米

究極の食中酒をコンセプトに誕生した「伯楽星」の定番商品です。すっきりとした飲み口が、あわせる料理の味わいをぞんぶんに引き出します。冷やしてさわやかな酸味を楽しむほか、キレが際立つ熱めの燗酒で味わうのもおすすめです。

評判

世界唯一となる日本酒だけのコンペティション「SAKE COMPETITION」で2014年から4年連続GOLDを受賞。味のバランスに優れ、食中酒というジャンルを確立させた銘柄です。

伯楽星 特別純米

(出典元:IMADEYA ONLINE STORE

4-2.伯楽星 純米吟醸

蔵自らが「究極の食中酒をいちばん完璧に表現した」と語る1本です。蔵のこだわりでもあるフレッシュな味わいが活きています。パッションフルーツを思わせる香りが心地よく、魚介類とも相性ばつぐんの銘柄です。

評判

伯楽星ファンのなかでも人気の高い銘柄です。2019年の「G20 大阪サミット」では、2日目のワーキング・ランチで松花堂弁当とともに「伯楽星 純米吟醸」が振る舞われました。

伯楽星 純米吟醸

(出典元:IMADEYA ONLINE STORE

4-3.伯楽星 純米大吟醸

米をより小さく精米して造る純米大吟醸の多くは、華やかな香りが特徴です。「伯楽星」の純米大吟醸は、香りを強調するのではなく、米由来の味わいを大切にしています。やわらかな香りとにフレッシュな旨味は、ワイングラスで楽しむのがおすすめです。

評判

「和食にも洋食にもあう」と評判の銘柄です。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード 2021」では、金賞を受賞。新鮮なお刺身から濃厚なチーズまで、さまざまな料理に寄り添ってくれます。

伯楽星 純米大吟醸

(出典元:IMADEYA ONLINE STORE

4-4.伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦

高級酒米「山田錦」の産地として知られる東条秋津産の最高ランクの山田錦で造られた日本酒です。米の精米度合いを示す数値は29%と、酒米の中心部分だけをぜいたくに使用しています。伯楽星の文字が入った木箱も美しく、贈答用にもおすすめの銘柄です。

評判

フランスで開催される日本酒コンクール「Kura Master 2020」の純米大吟醸部門で金賞を受賞。トップソムリエも評価した味わいは、ふちの薄いワイングラスに注ぐとより一層魅力が花開きます。

伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦

(出典元:IMADEYA ONLINE STORE

4-5.伯楽星 純米大吟醸 ひかり

「伯楽星」シリーズの最高峰となる1本です。輝かしい光をイメージし「ひかり」と名付けられました。米の磨き度合いを示す精米歩合(せいまいぶあい)は15%。バナナのように甘くやわらかな香り、洗練された旨味と優雅な余韻を堪能できる「伯楽星」です。

評判

材料、製法、酒質ともに大切な人への贈り物に人気の銘柄です。洗練されたボトルデザインと焼桐箱が高級感を演出してくれます。

伯楽星 純米大吟醸 ひかり

(出典元:IMADEYA ONLINE STORE

まとめ

料理とともに日本酒を楽しむスタイルは、日本で古くから受け継がれてきた食文化のひとつ。究極の食中酒「伯楽星」は、その喜びをしみじみと感じさせてくれます。

世代、性別、国籍すらも越え多くの人々に愛される「伯楽星」は、日本酒ビギナーにもぜひおすすめしたい銘柄。好みの料理を用意して、その味わいに酔いしれてみてはいかがでしょうか。