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酒類提供禁止に「断固反対」酒の秋山 秋山裕生氏にインタビューしました

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酒類提供禁止に「断固反対」酒の秋山 秋山裕生氏にインタビューしました
※7月13日、政府は緊急事態宣言の対象地域などで酒の販売事業者に対し、酒の提供停止に応じない飲食店との取引を行わないように要請したことを撤回しました。

7月12日から8月22日まで、東京都では4度目となる緊急事態宣言が発令されました。様々な感染の抑制策が施行される中、苦境に立たされる飲食業界ですが、今回の宣言の発令に業界の方々はどのような意見をもっているのでしょうか。

東京都練馬区にある大正11年創業の酒店「酒の秋山」の4代目であり、酒の秋山と居酒屋・食と和酒の店 暁を経営する秋山 裕生氏にインタビューをさせていただきました。

きっかけは秋山さんが発信した以下のツイートです。


「ぜひインタビューをさせてほしい」との旨を伝えると、快くご快諾いただきました。

1. 秋山裕生氏の酒屋・飲食店事業ついて

1-1. 秋山氏の代から地酒の取り扱い始め、今や練馬で地酒なら「酒の秋山」と言われるまでに

日本酒ラボ編集部

本日はお時間いただいてありがとうございます。急なお声がけに答えていただけてとても嬉しいです!
さっそくですが、まずはかんたんに秋山さん自身やお仕事についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
うちについてですが、1912年創業の地酒専門店「酒の秋山」という酒屋を経営していまして、僕で4代目になります。

今では「練馬で日本酒といえば秋山」と言っていただけるお店ですが、実は地酒の取り扱いを始めたのは4代目の僕からで2004年からスタートしました。

最初は繋がりも無いため、毎月、秋田や長野、福島などの全国各地の酒蔵に足を運んで蔵元さんの方の話を聞き、私の熱意や将来のビジョンなどを伝えて少しずつ扱えるお酒を増やしていきました。
当時はまだまだ若く、蔵元さんには根拠もない私の熱意と未来に対する投資をしていただいた形なので、今でも感謝しています。

なので、当時からお付き合いをして頂いている蔵元さんとの関係は今でもとても大事にしています。

左:「酒の秋山」秋山 裕生氏、右:(株)カジヤ 中村

1-2. 「食と和酒の店 暁」は、秋山氏の厳選した銘酒と食事が楽しめる13年続く居酒屋

日本酒ラボ編集部

日本酒に力を入れた飲食店も経営されていますが、そちらには秋山さんはどのような形で関わっていますか?

 

飲食店の方は13年前の2009年8月にオープンしていて、今も僕が日本酒のメニュー等はすべて指示をしています。

例えば青森の陸奥八仙というお酒を造る蔵元があるんですが、そこの蔵元に紹介された地鶏を仕入れてきたり、自分が見聞きした情報を最大限に使ってお客様に満足してもらえるよう努力しています。

味付けに関しても「日本酒飲んでいる場合、もうちょっと塩気ある方がいい。」「最初に出す料理の味付けよりも、後から出す料理の味付けのほうが濃くないとお客様は薄いと感じる」といったアドバイスや指導まで行っています。

食と和酒の店 暁 店内写真

(出典元:食と和酒の店 暁 – 江古田/居酒屋 [食べログ]

2. 飲食店の規模によっては「金余り」の現状。これは政治に問題がある

日本酒ラボ編集部

細かいところまで、しっかりと秋山さんが関わられているのですね。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が続いていますが、今も営業されているのですか?

いえ、飲食店については現在は8月の中旬までは休業とさせてもらっています。

社員が2人いるんですが、雇用調整金で1人1日あたり1万5000円まで出ていて、うちが日商10万以下なので3万円入ります。

しかもその3万って売上の3万じゃなくて利益の3万ですから、30席未満のお店はある程度納得された上でお店を休業されているのが現状だと思います

日本酒ラボ編集部

営業せずに雇用調整金もらったほうがお金が残る。
小規模のお店であれば、こういったケースが多い現状なんですね。

そうですね。特に居酒屋は肉、魚と仕入れた食材も痛みやすいですし、休んでしまった方がどう考えても賢明。という状態なんです。

一方で、大規模なお店では補助が十万円程の金額になるのですが、十万円でも足りないから営業されていたりするじゃないですか。

これって政治に問題があると思うんですよ。

マイナンバーカードで国民に番号をつけられているので、徹底的に番号管理すれば良かったはずなのに、デジタル庁なんてコロナ禍でいまさら立ち上げたじゃないですか。

会社の売上は納税証明でわかるので、それぞれのお店で「ここにはいくら。あそこにはいくら」と、少し黒字持たせるくらいの金額で対応すればよかったんですよ。

日本酒ラボ編集部

適切な金額を算出できるだけの土台はあったはずなのに、なぜかそれを行わずに「一部ではお金が余り、また一部ではお金が足りない」という状況ができてしまっているんですね。

そうですね、結局税金を使って決断している人たちはノーダメージですからね・・。

日本の政治家って役人を信用していないんですよ。

国内のワクチン接種のスピードを見れば、日本の役人が凄く優秀なのは一目瞭然なんですけど役人を使いこなせていないんですよね。

この辺りの話は、最近様々なメディアに出させていただいているんですが、ほとんどカットされてしまいました。笑

3. 「売上は過去最低。」酒屋や日本酒業界全体の状況

日本酒ラボ編集部

2021年は、年始からまん延防止措置法や緊急事態宣言が繰り返され、まともに営業ができない状況が続いていますが、御社のご状況や業界的な面でお話できることはありますか?

売上の面ではもう最悪ですね。間違いなく過去最低です。

今は個人のお客様や、今の状況でもお店を開けている飲食店などにお酒を卸して売上を立てています。

「今お店を開けている飲食店にお前は酒を卸すのか」という声もあるかもしれません、当然コロナを広めたいだなんて1ミリも思ってないですし、私自身も家族もいるので外で飲食をするのも控えているような状況です。

ですが、社員もスタッフも食わしていかなくちゃいけない。総勢30名くらいいるんですけども、ここに関してはもう迷いなく社員たちを守るためにもお酒を卸させていただいてます

仮にお酒を卸すのを断れるだけの補償があったとしても、今までの関係性の上でこの仕事があるので、断るというのは到底できない判断です。

実際、補償は全くないので今でもかなりキツい状況です。

3-1. お店の売上は、2020年と比較しても50%という状況

売上自体は前年の50%くらいなのですが、日本酒に関してはとても悪い状況です。

コロナが蔓延した2020年の50%くらいの売上で、コロナ禍の前と比較すると30~40%いけばいいくらいかなと思います。

現在は社員5人には休んでもらい、アルバイトの子に出てもらってお店を営業しています。

スタッフ全員に生活がありますが、社員と違いアルバイトには補償がでないので、全員の生活を守るためにこのような形式をとっています。

3-2. 都内では大きいお店ほど閉店の動きに

日本酒ラボ編集部

都内の飲食店などのお店は、業界内から見てどのような状況ですか?

都心部であればあるほど閉店されてますね。

やっぱり家賃が高いですから、いくら家賃が2割補助が出たって100万円の家賃に対して20万円の補助もらっても残り80万円。大きなお金じゃないですか。

社員も抱えて、アルバイトスタッフも抱えているとなるとかなり難しくて、都心部であればあるほど、大きいお店であればあるほど閉店されていると思います。

日本酒ラボ編集部

秋山さんの所とお取引があったお店でも閉店されているケースもあるんですね

閉店されたお店もあるのですが、補助があるので完全にコロナだけが原因で閉店されたというのはないです。

酒屋としてはお酒という商品をいっぱい持ってて、それを卸す先がないことには経営が出来ないので、国の方針で飲食店に補助金出すというのは、業界を守るためには必要なことだと思います

3-3. 店売り(個人の方への販売)があるので、まだマシな方

うちは飲食店卸し以外にも店売りがあるのでまだマシな方だと思います。日本酒に特化されていて、かつ飲食店への卸しが強いというお店はめちゃくちゃしんどいですよ。

うちは日本酒の75%は飲食店への卸しで、残りの25%が店売りです。その店売りに関してはコロナ禍の前と比べると160%程になっていますから、買っていただいているお客様には本当に感謝しています。

今後は、店売りだと四合瓶を買われるお客様が大半なので、一升瓶が余ってしまっている状況なのが課題ですね。

「酒の秋山」-8.5℃で日本酒を保管できる業界初の冷凍庫

4. 酒屋から飲食店への卸売の禁止は、検討する余地もない

日本酒ラボ編集部

7月12日の緊急事態宣言について、飲食店への販売を禁止要請に対して、強く反対されていらっしゃいますが、こちらについて改めてお聞かせください。

思いつきで言っているような、検討する余地もない稚拙な話をしているので、それに関して従おうと思えない。というのが正直な感想です。

例えば「販売禁止を要請する代わりに、補償をこれだけ手厚くさせていただきます」という提案があるなら検討する余地があると思うのですが、現実は「飲食店に酒を卸すのを断ってください」だけですよね。

飲食店側の立場で考えてほしいんですが、酒の販売を酒屋さんから断られたら「他の酒屋で探します」で終わりです。

「飲食店へのお酒の卸しの禁止」は論破できるところがあまりにも多すぎて検討する余地がないんですよ。なので無視する無視しないの段階じゃないんです。

僕自身、保守の自民党支持者なので、自民党支持者がここまで発言するということ自体に意味があると考えています。

5. なぜお酒だけがここまで厳しく扱われるのか

今回の件で、お酒が原因のように扱われていることに強く憤りを感じています。

そもそも、飲食店は愛知県の行動調査でコロナの感染源の5%程って言われてるんです。

他にもっと感染源の数値の高いものがあるのを抜きにしても、その5%には狭いスペースで安くたくさん飲めるお店や、密着して人と話す風俗店もあるなかで、まったく逆で徹底的に感染対策を行っているお店も一緒にされているのが現状なんです。

せっかく、都で「コロナ対策リーダー」を置いて感染対策を徹底しているお店を見つけられる取り組みを行ったのに、それもひっくり返すように全店でお酒の提供禁止というのは憤りを感じます。

それならお酒だけじゃなくて遊戯施設や大型商業施設も閉めさせるべきですよね。そこまで行動抑制をした上で「お酒の方も引き続き提供禁止でお願いします」という話ならまだ理に適っているし喜んで協力したいと思えます。

6.もっとも影響を受けているのはお酒を造る蔵元

ただ我々はまだ小売業ですからマシだとも思っています。一番の被害者は酒蔵さんで、不良在庫という観点で見れば日本酒を造っている酒蔵さんというのは小売の我々の比じゃありません

日本酒ラボ編集部

熟成酒などで在庫を保てればいいんですが、今の絞られ続けた状況で、そこまでの体力や環境がない酒蔵のほうが圧倒的に多いですよね。

ですね。そもそも今の日本酒のトレンドって熟成向きじゃないんですよね。

雄町や山田錦はすごいパワーのあるお米なので、多少の熟成は向きますけど、五百万石とか美山錦とか雪国の粒が小さいお米というのはパワーがないんですよ。

雪国のお米なんかは4月に田植えされて稲の刈り取りが8月中なので、お日様の光を浴びている時間が120日しかないため、米粒も小さくパワーが弱い。

一方雄町や山田錦などの西日本のお米は10月11月刈り取りで約150日以上もの間おひさまの光を浴びて育ちます。それ故に米粒も大きくパワーがある。

これは知らない方がほとんどなんですよ。

やっぱりお酒は銘柄だけで売るだけじゃダメで、日本酒の原料ってお米ですからお米をいかに伝えるか、その蔵の特徴を伝えたり味を表現したりわかりやすくするっていうのが僕らの商売だと思ってます。

日本酒ラボ編集部

日本酒を造ってもそれを流通させる場がない蔵元さんというのも非常に厳しい立場にありますよね。

自分にできることは流通している日本酒を買って飲んで応援していくことなのでぜひたくさん飲んで応援していきたいと思います。

秋山さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

はい、ぜひともみなさまに日本酒を取り扱っているお店の現状などを知っていただければと思います。

ありがとうございました。

酒の秋山 秋山裕生
東京都練馬区にて酒屋・酒の秋山と居酒屋・食と和酒の店 暁を経営しています。 創業大正11年、四代目、40歳にしてなお食べ盛り。日本の地酒の価値向上に努めます。 管理完璧、入荷酒は必ずテイスティング。Youtube【酒の秋山・秋ちゃんねる】責任者。 お酒の事、日々の出来事を更新します。 よろしくお願いします。 https://sake-akiyama.jp/