日本酒を楽しむ中で「精米歩合」という言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか。純米酒や吟醸酒など種類が多い中、「精米歩合って?」とますます日本酒を難しく感じることもあるかもしれません。
精米歩合は、日本酒の味と香りを左右する大切な要素のひとつ。こちらでは、日本酒をもっと美味しく楽しむための精米歩合の情報をご紹介していきます。精米歩合の意味を知れば、日本酒選びがもっと楽しくなりますよ。
目次
1. 日本酒の精米歩合について詳しく解説!
1-1. 日本酒の精米歩合は、お米の外側をどれくらい削ったかを表す数値!
「精米歩合」(せいまいぶあい)とは、米の精米度合いを表す数値のことです。「精米」とは、米の外側を削る工程のこと。主食として食べる米の場合、精白(せいはく)とも呼ばれます。
普段みなさんが食べている白ごはんを例にあげて説明すると、精白をしていないもみ殻のついたままのお米が「玄米」、もみ殻や汚れを取り除いたものが「白米」で、およそ白米の精米歩合は、90~95%です。つまり、玄米を5〜10%削ると白米になるということです。
一方で、日本酒を造るためには米の周りをさらに削る必要があるのです。この違いには、後述する日本酒の味と香りが大きく影響しています。
1-2. 精米は日本酒の味の雑味を減らすために行われる
米の外側には、たんぱく質や脂質といった栄養素が豊富に含まれています。主食として口にする際は、これらの栄養素がご飯の旨味につながるのです。
しかし、酒造りの場合では外側のたんぱく質や脂質といった栄養素が、味の雑味に繋がってしまうため、外側を削り精米をして、「心白」(しんぱく)と呼ばれる中心部分のみを残して造られるのが一般的となっています。
旨味要素でもある米の外側をどれくらい残し、どのような仕上がりにするかは蔵のこだわりが現れる重要な部分。削った度合いを数値で表すことによって、消費者が日本酒の味をイメージできるというメリットもあります。
1-3. 精米歩合の見方と意味
日本酒の精米歩合はラベルの表記で確認することができ、「〇%」のように、数字で表されます。
例えば、「精米歩合40%」と記されたお酒であれば、一粒の米の外側を60%削って仕込んだお酒ですよ、ということ。「高精米なお酒」というと数字も大きくなりそうですが、精米歩合の場合、米を削るほど数字は小さくなります。
(例)
・米の外側を70%削っている→高精米 精米歩合30%
・米の外側を40%削っている→低精米 精米歩合60%
慣れないうちは勘違いしてしまいそうですが、精米歩合の数字は「一粒の玄米を削って残った米の割合」ということを覚えておきましょう。
ここがPOINT!
- 「精米歩合」(せいまいぶあい)とは、お米をどれくらい削っているかを表す数値(米の外側を70%削っている→精米歩合30%)
- お米の外側の栄養素が味の雑味に繋がってしまうため、日本酒造りでは外側を削り(精米)をして、「心白」(しんぱく)と呼ばれる中心部分を残す
2.精米歩合による違いは?香りや味わいが変わる!
日本酒によって、精米歩合が異なるのはなぜなのでしょうか?それは、米の削り方が日本酒の香りや味わいに大きく影響するためです。
2-1.精米歩合により日本酒の香りが変化する?
精米歩合の高いお酒、つまり、米をより磨いて中心部分だけを使用したお酒はフルーティーで華やかな香りに仕上がる傾向があります。
吟醸酒や大吟醸酒の「吟醸香」と呼ばれる香りにも、大きく影響するのが精米歩合。吟醸香を引き出すためには発酵段階で栄養分を少なくし、酵母を飢餓状態にする必要があるからです。そのため、米の外側、つまり栄養分が削られているほど吟醸香は引き立ちます。
一方、米の外側を残して仕込んだ精米歩合の低いお酒は、米本来の香りが感じられるのが特徴です。温めても香りのバランスが崩れにくいため、まろやかな米の香りを楽しむ燗酒にも適しています。
2-2.精米歩合により日本酒の味わいが変化する?
前述したように、米の外側にある栄養素は味の雑味の元となります。そのため、精米歩合が高いお酒ほど、クリアですっきりした味わいに仕上がります。
一方、精米歩合の低いお酒からは、米のどっしりとしたふくよかな旨味を感じることができます。多すぎると雑味となる栄養素を絶妙なバランスで残す度合いは、まさに酒蔵の味へのこだわりがなせる技。これぞ日本酒という芳醇な味わいを感じられるお酒です。
ここがPOINT!
- 精米歩合の高いお酒は、雑味の少ないお酒になっていく傾向がある
3.精米歩合が高い=良いお酒?
精米歩合の高い米を仕上げるためには、高度な技術が必要になります。米が壊れないよう外側だけを丁寧に削り、白く残った心白はまるで小さなビーズのよう。その心白を使って日本酒を仕込むためには、さらなる技術と手間暇が求められるのです。
米の分量に対してできあがる日本酒も少ないため、精米歩合の高いお酒は高価格帯の商品になります。近年では、精米歩合一桁という日本酒も開発されるほどです。
このような背景から、日本酒を飲む方の中には「精米歩合が高い=美味しいお酒」というイメージを持つ方も少なくありません。しかし、精米歩合が低いからといって、決して低ランクのお酒というわけではないのです。
原料である米の味や、酒蔵の風土や水、蔵人の技術によって生まれる日本酒の味わいは実にさまざま。多種多様な広がりこそが、日本酒の奥深さでもあり楽しみでもあります。
精米歩合は、あくまでも日本酒の味をあらわす目安のひとつ。自分の好みや合わせる料理によってお気に入りの一本を見つけていきましょう。
ここがPOINT!
- 精米歩合を高めるためには高度な技術が必要で、精米歩合の高いお酒は高価格帯になる傾向がある
- 「精米歩合が高い=良いお酒」ではないし、「精米歩合が低い=低ランク」ではない!
4.まとめ
精米歩合による味の違いを知れば、種類の多い日本酒の中から自分好みの銘柄を見つけることができます。たくさんの日本酒が並ぶ店頭や飲食店でも、精米歩合を目安に日本酒を選ぶことができますね。
ぜひ酒蔵が理想とする味を思い浮かべながら、精米歩合を参考に日本酒を手にとってみてはいかがでしょうか。
ここがPOINT!
- 「精米歩合」(せいまいぶあい)とは、お米をどれくらい削っているかを表す数値(米の外側を70%削っている→精米歩合30%)
- お米の外側の栄養素が味の雑味に繋がってしまうため、日本酒造りでは外側を削り(精米)をして、「心白」(しんぱく)と呼ばれる中心部分を残す
- 精米歩合の高いお酒は、雑味の少ないお酒になっていく傾向がある
- 精米歩合を高めるためには高度な技術が必要で、精米歩合の高いお酒は高価格帯になる傾向がある
- 「精米歩合が高い=良いお酒」ではないし、「精米歩合が低い=低ランク」ではない!
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