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日本酒ソムリエになるには?おすすめの資格を3つ紹介

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日本酒ソムリエになるには?おすすめの資格を3つ紹介

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 blog「わたしの酒棚」 https://sakadana.net/

日本酒のエキスパートともいえる「日本酒ソムリエ」。近年は、仕事のためだけでなく、趣味を充実させるために日本酒ソムリエと呼ばれる資格を取得する方も増えています。

今回は、日本酒ソムリエを目指す方におすすめの3つの資格をご紹介します。特別な受験要件がなく日本酒の基礎から学べる資格は、日本酒ビギナーにもおすすめです。

「日本酒についてもっと本格的に知りたい」「将来はお酒に関する仕事がしたい」という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

1.「日本酒ソムリエ」とは日本酒に関する資格の通称

「日本酒ソムリエ」とは、日本酒に関するさまざまな資格の通称です。「日本酒ソムリエ」が正式名称の資格があるわけではありません。

そもそもソムリエとは、レストランなどで料理に合わせたワインを提供するワインのエキスパートのこと。近年は、野菜ソムリエ、紅茶ソムリエなど、ある分野における一定の知識や技能を有する資格名称にも用いられています。

1-1.日本酒ソムリエを目指したい方におすすめ!3つの資格

「日本酒のエキスパート、日本酒ソムリエになりたい!」そんな方には、次の3つの資格がおすすめです。

1.唎酒師(ききさけし)

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格です。日本酒の専門知識や料理とのペアリングのポイント、テイスティング能力などが身に付けられます。

日本酒に関する資格としての歴史は長く、これまで資格取得した方は世界で4万人以上。日本酒を提供するプロのほか、一般の方が取得するケースも多くみられます。

唎酒師(ききさけし)

出典元:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「唎酒師」

2.SAKE DIPLOMA(正式名称J.S.A. SAKE DIPLOMA認定試験)

ワインの専門家「ソムリエ」を育成する、一般社団法人日本ソムリエ協会が制定した資格です。試験は第2次試験まであり、日本酒と焼酎に特化した幅広い知識、サービス技術などが求められます。

3.酒匠(さかしょう)

唎酒師の上位に位置する資格です。2日間の講習会では、テイスティング能力を磨くためのカリキュラムが組まれています。

受験者に多いのは、飲食店や酒販店の経営者や商品担当者、酒類卸売業のバイヤーなどです。受験のために唎酒師と焼酎唎酒師、両方の資格取得が必要なことからもより専門性の高い資格といえるでしょう。

酒匠

出典元:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「酒匠」

2.日本酒を基礎から学べる「唎酒師(ききさけし)」

「唎酒師(ききさけし)」は、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格です。日本酒の基礎知識から提供方法まで、幅広いスキルが身に付けられます。

1991年の制定以来、認定を受けた方は世界中で4万人以上。日本酒のソムリエとも呼ばれ、酒販店や飲食店で働く方を中心に多くの人が資格を取得しています。

一方で、受験者のなかには一般の方が多いことも特徴です。特別な受験要件はなく、趣味の充実の一環として資格取得するケースも多くみられます。

2-1.唎酒師の資格取得コースは6つ

唎酒師資格を取得する方法は、通学や在宅など6つのコースから選択できます。試験は会場で受けるほか、在宅受験も可能です。時間がない方、遠方で会場まで足を運べない方には、決められた課題を提出することで資格取得できるコースも用意されています。

1日通学コース

指定会場での講習会を1日受講したのち、別日の試験を受験するコースです。講習会は1~2カ月に1回、東京・大阪をメインに開催されています。

会場に足を運べない場合は、パソコンやスマートフォンなどを使ったリアルタイム受講も可能です。専任講師の直接指導を受けられ、試験日までの復習期間もしっかり確保できます。

受講場所 ・東京、大阪、LIVE配信
受験場所 ・東京、大阪、在宅
費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
・会場受講、会場受験
・LIVE配信受講、会場受験
118,700円
・会場受験、在宅受験(パーソナル方式)
・LIVE配信受講、在宅受験(パーソナル方式)
136,700円
FBO認定会員費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
・会場受講、会場受験
・LIVE配信受講、会場受験
41,900円
・会場受験、在宅受験(パーソナル方式)
・LIVE配信受講、在宅受験(パーソナル方式)
59,900円

2日間集中コース

もっとも早く資格取得できるコースです。2日間の講義を受けた後、即日試験に臨みます。試験で不合格になった場合も、補習や再試験を受けられるため安心です。直接指導を受けながら、集中して資格取得に取り組むことができます。

受講、受験場所 ・東京、大阪
費用
(教材費、合格時の諸費用、1日目の昼食、夜の軽食、2日目の昼食含む・税込)
139,100円
FBO認定会員費用
(教材費、合格時の諸費用、夜の軽食、2日目の昼食含む・税込)
52,100円

通信コース

自宅に届いた教材を参考に、じっくりと課題に向き合えるコースです。会場受験を受ける代わりに、月1回の課題を全3回提出します。専任講師がマンツーマンで添削するため、自宅での学習も安心です。

費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
138,300円
FBO認定会員費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
51,700円

通信コース短期集中プログラム

「受講、受験会場へ足を運ぶのが難しい」「それでもなるべく早く資格を取得したい」という方におすすめのコースです。通常の通信コースでは3回にわけて提出する課題を、1回でまとめて提出します。そのため、最短1カ月で資格取得が可能です。

費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
158,300円
FBO認定会員費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
61,700円

eラーニングコース

申し込みから学習、資格取得までオンラインで完結。スマートフォンやタブレットなどで、1問5分から課題に取り組めるコースです。デジタルテキストをダウンロードでき、最短1.5カ月で唎酒師資格を取得できます。会場または在宅での受験する代わりに、全4回の課題提出が必要です。

費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
128,700円
FBO認定会員費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
46,900円

オンデマンド受講コース

場所や時間を選ばず、講義動画を何度でも視聴できるコースです。納得いくまで学習してから試験に臨めます。会場受験のほか在宅試験も可能です。

受講場所 ・在宅
受験場所 ・東京、大阪、在宅
費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
・在宅試験(パーソナル方式) 136,700円
・会場受験 118,700円
FBO認定会員費用
(教材費、合格時の諸費用含む・税込)
・在宅試験(パーソナル方式) 59,900円
・会場受験 41,900円

参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「選べるコース」

2-2.唎酒師の受験資格、受験場所

唎酒師資格には、特別な受験要件はありません。20歳以上であればどなたでも受験できます。日本酒を基礎から学べるカリキュラムが組まれているため、日本酒ビギナーも安心です。

受験会場は、東京と大阪にわかれます。試験は毎月2~3回のペースで開催されているものの、あくまでも不定期のため事前確認が必要です。前述したように、コースによっては在宅試験も選択できます。

2-3.唎酒師の試験内容

唎酒師の試験問題は、カリキュラムで使用する教材のなかから出題されます。飲料全般の基礎知識や日本酒の原料、製法などが問われる内容です。

試験は第1次~4次まで4部で構成され、各50分ずつ1日ですべて完了するよう予定されています。第3次試験は、実際に日本酒を口に含むテイスティングを伴う試験です。第4次試験では、日本酒をどのようにサービス、プロモーションするかを筆記で解答します。

どんな内容が出題されるの?と気になる方は、SSIが公表している以下の例題を参考にしてみてくださいね。

唎酒師 第1次試験 例題

参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「試験について」

2-4.試験合格後の手続き

唎酒師試験合格後は、FBO会員の認定登録が必要です。入会しない場合は、唎酒師として活動できないため注意してください。

認定後は認定証書や認定章が発行され、認定証書は店舗などに設置できます。また、その後はFBO主催のセミナーなどに優待価格で参加できます。

唎酒師

3.SAKE DIPLOMA(サケディプロマ)

「SAKE DIPLOMA(サケディプロマ)」は、一般社団法人日本ソムリエ協会が認定する日本酒や焼酎に特化した資格です。英語でDIPLOMAとは、卒業証書や免状のことを意味します。SAKE DIPLOMAの資格試験では、日本酒の基礎知識からテイスティング能力、サービス技術まで幅広いスキルが求められます。

3-1.SAKE DIPLOMA申込みの流れ

SAKE DIPLOMAの資格試験は、年に1度、第1次試験、第2次試験にわけて開催されます。第1次試験を受験するためには、Webによる申し込みが必要です。

第1次試験の会場は、全国47都道府県内に設けられています。第1次試験合格後、約2~3カ月後に開催される第2次試験を受験する流れです。

第1次試験は、1人2回まで受験できます。また、翌5年間のうち3回まで1次試験免除で受験できる試験免除制度も設けられています。

SAKE DIPLOMA申込みの流れ
※2022年の流れ

3-3.SAKE DIPLOMAの受験資格

SAKE DIPLOMAの資格試験は、その年に設けられている基準日(2022年は8月31日)時点で満20歳以上であれば、国籍や職種問わず受験できます。

ただし、海外に居住している場合は、日本国内に書類送付できる場所が必要です。また、すでにSAKE DIPLOMA資格を保有している方は、新たに受験できないことになっています。

3-4.SAKE DIPLOMAの受験料

SAKE DIPLOMAの受験料は、受験回数や日本ソムリエ協会への入会の有無によって異なります。第1次試験は2回まで受験できますが、申し込み時に「1回受験」を選択すると後から回数を追加できないため気を付けてください。

一次試験から受験する場合

受験回数
1回 2回
一般 29,600円 34,400円
会員 20,380円 25,220円

※2次試験の受験料、教本代、税込

二次試験から受験する場合

一般 14,210円
会員 7,300円

※教本なし、税込

3-5.SAKE DIPLOMAの試験内容

第1次試験

第1次試験は、 J.S.A. SAKE DIPLOMA教本(second edition)より出題されます。コンピューターで回答するCBT方式の試験で、その場で合否の確認が可能です。

2次試験

第2次試験は、テイスティングと論述試験です。試験は会場の規模や人数に応じた方法で実施されます。確かなテイスティング能力とともに、酒米や酵母の種類、製造法による味の違いなど、幅広い分野について回答できるスキルが求められます。

SAKE DIPLOMAの試験

4.酒匠(さかしょう)

「酒匠(さかしょう)」は、唎酒師と同様に日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格です。2日連続で行われる講習会では、テイスティング能力を向上させるためのトレーニングがおこなわれます。

前述した2つの資格と異なり、一定の受験要件がある資格です。酒類提供の仕事に就く方や、唎酒師からのさらなるステップアップを目指す方に支持されています。

4-1.酒匠の受験には「唎酒師」「焼酎唎酒師」資格が必要

酒匠を受験するには、あらかじめ「唎酒師」と「焼酎唎酒師」資格が必要です。それぞれの資格認定を受けていない場合、酒匠申し込み前に資格取得のためのコースに申し込む必要があります。

そのうえで、以下の3つのいずれかの条件を満たすことが資格取得の条件としてあげられます。

  1. 講習会日程に合わせて開催される「VR日本酒製造体験プログラム」への申し込み、および参加すること。
  2. FBO及び提携加盟団体が主催するセミナーなどへの参加履歴があること。
  3. 「蔵元見学証明書」を提出すること。

1の「VR日本酒製造体験プログラム」は、VRゴーグルを着用し、酒蔵内の映像を見ながら酒造りの作業を体験できるプログラムです。

また、2に該当するセミナーには、「蔵元体験実習」や「日本酒学講師とめぐる蔵元見学ツアー」などが挙げられます。その年により内容は異なるため、あらかじめ公式サイトで確認するのがおすすめです。3の蔵元見学証明書は、公式サイトからダウンロードできます。

参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「酒匠」

4-2.酒匠講習会のカリキュラム

酒匠の講習会は、2日間にわたってカリキュラムが組まれています。1日目は日本酒、2日目は焼酎を中心とした内容です。

講習会では、香りのサンプルや水溶液などを用いながら嗅覚や味覚向上のための基礎トレーニングをおこなっていきます。1日目の後半では、料理とのペアリング法も習得可能です。土日開催と平日開催の2パターンが用意されているため、ライフスタイルに合ったコースを選択できます。

4-3.酒匠の受講受験プラン費用

酒匠の資格を取得するには、受講と受験をあわせたプランを申し込む必要があります。受講のみでの申し込みはできないため、注意してください。また、試験が不合格だった場合は再受験料、合格後は認定登録料が別途必要です。

受講受験プラン
(相性体験用食事、教材費、2日分の昼食・税込)
114,000円

4-4.酒匠の試験内容

酒匠の試験は、1次から4次まで各50分ずつ設けられています。1次試験、2次試験は選択記述式の筆記試験。3次と4次はテイスティングを伴う筆記試験です。

1次、2次試験は「酒匠テキスト」から問題が出題されます。4次試験では日本酒の味わいを視覚化するポジショニングMAPや同軸グラフなどを作成しなくてはいけません。また、テイスティングコメントの作成問題もあるなど、お酒の特性を他者に伝えるためのスキルが求められます。

酒匠の試験内容

まとめ

日本酒ソムリエになるには、唎酒師やSAKE DIPLOMA、酒匠などの資格を取得する方法があります。それぞれ費用や取得できるまでの期間、受験要件などは異なるため、自分にあったコースを選ぶのがおすすめです。

専門的なスキルを身に付ければ、日本酒のエキスパートとしての活躍の場はさらに広がります。「日本酒が好き!」という方は、ぜひ日本酒ソムリエへの道を目指してみてはいかがでしょうか。