日本酒の冷やと冷酒はまるで違う!温度の違いや冷やと呼ばれる理由を紹介!

日本酒の「冷や」と聞いて、まずどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?その名の通り冷たいお酒、「冷酒」のことだと思われる方も多いかもしれません。

しかし、実は日本酒の「冷や」とは冷たくもぬるくもないお酒のこと。「冷酒」とは温度が異なり、味にも大きな違いがあるのです。この記事では、日本酒の「冷や」と「冷酒」の違いから、温度による日本酒の楽しみ方についてご紹介します。

1. 日本酒の冷やと冷酒はまるで違う!冷やは20度のこと

「冷や酒」と「冷酒」。ぱっと見るとどちらも同じようですが、実はあいだに「や」の字が入るだけで全く違う意味合いに。「冷酒」はその名の通り冷たく冷やしたお酒のことを指しますが、「冷や酒」は常温の日本酒を意味しています。

「冷や」と呼ばれる日本酒の温度は約20度。実は「冷や」以外にも、日本酒には味の違いを楽しめる幅広い温度帯があるのです。

1-1.日本酒は温度によって呼び方が違う

「冷や」と「冷酒」だけでなく、日本酒は温度によってそれぞれの呼び方が存在しています。

その種類は、こちらでご紹介するだけでもなんと10種類。およそ5度刻みで、日本らしい風情のある呼び方に変化していきます。

呼び方 温度 特徴
飛び切り燗(とびきりかん) 50度以上 その名の通り飛び切りの熱さ。辛口のお酒もスッキリと。
熱燗(あつかん) 50度 寒い日にゆっくり味わいたい熱めのお酒。
上燗(じょうかん) 45度 口に含むとじんわり熱い。淡麗辛口は上燗で。
ぬる燗(ぬるかん) 40度 ぬるいとはいえ40度。やや熱さを感じるぬる燗は純米酒におすすめ。
人肌燗(ひとはだかん) 35度 まろやかな味わいを楽しむなら人肌を感じられる温度で。
日向燗(ひなたかん) 30度 日向のような温もりはお酒の品質が際立つ温度。
冷や(ひや) 20度 日本酒の個性をバランスよく感じられる温度帯。初めてのお酒はまず冷やで。
涼冷え(すずびえ) 15度 目安は冷蔵庫から出して約10分。華やかな香りが立つ温度。
花冷え(はなびえ) 10度 花さえ冷たくなるひんやり感。香りはよりマイルドに。
雪冷え(ゆきびえ) 5度 その冷たさは雪のよう。香りが落ち着きシャープな切れ味。

 

日本酒の温度については、こちらの記事にもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

日本酒を楽しむのにオススメの温度は?温度による呼び方の違い/魅力を解説

1-2. なぜ、冷やなのに冷たくないのか?

日本酒でいう「冷や」は、決して冷たいお酒を表す言葉ではありません。では、なぜ冷たくもないお酒を「冷や」と呼んでいるのでしょうか。

今でこそ、日本酒は冷蔵庫で冷たく冷やしたり、お燗にして飲んだりといろいろな楽しみができるお酒です。しかし、冷蔵庫のない時代には、日本酒は燗で温めて飲むか、常温で飲むかの2つしか選択肢しかありませんでした。

そのため、温めていないお酒は燗酒より冷たい=「冷や」と呼ばれていたのです。

とはいえ、冷や酒は冷たいお酒ではありません。飲食店でも冷酒と間違って注文しないよう気を付けましょう。

「冷や」は「常温」と呼んでもいい?

前述したように、「冷や」は常温のお酒を意味しています。しかし、一口に常温といっても、冷や酒にちょうど良い20度をキープすることは実はとても難しいことなのです。

夏場であれば少し冷やさなければ「常温」と呼ばれる温度帯にはなりませんし、逆に冬場であれば室温によって冷えすぎてしまうこともあるでしょう。

また、飲食店によっては冷たい日本酒を「冷や」と呼ぶこともあります。日本酒は、温度によって味の変化が生まれるお酒。もしも自分が飲みたい温度帯と違うものが出てきたら、がっかりしてしまいますよね。

飲食店で冷や酒を頼む時には、「常温で」と伝えた方が現代では安心です。極端にひんやりするわけではありませんが、決してぬるくもない美味しい冷や酒を飲むことができます。逆に、きちんと冷やしたお酒を飲みたい時には「冷酒をください」と伝えましょう。

また、加熱殺菌をしていない生酒や、一度しか火入れをしない生詰タイプの日本酒は低温管理が基本となるため冷やで楽しむことはできません。このように、「冷や」と言ってもただ常温にほおっておけば良いわけではなく管理が必要なこと、中には冷やで飲むのに適さないお酒があることも覚えておいてくださいね。

2. 冷や・冷酒・熱燗の味や香りの違い

日本酒の奥深い味わいは、甘み、酸味、苦みといったさまざまな要素で成り立っています。また、その味のバランスは温度によってさまざまな風合いに変化します。世界中のお酒の中でも、5度から50度以上まで、ここまで幅広い温度帯で楽しめるものはなかなかありません。

常温である「冷や」は、味のバランスがとれているため、その日本酒の個性をいちばん感じやすい温度帯。初めての銘柄であれば、まずは冷やから試してみるのもおすすめです。

また、30度以上の「燗酒」は、日本酒特有の米の香りやキレの良さを感じられる飲み方。淡麗辛口のお酒であれば、よりスッキリとした口当たりを楽しむことができるでしょう。

反対に、きりっと冷やした「冷酒」は、吟醸酒の華やかな香りを楽しむのに適したお酒。1980年代の吟醸酒ブームから日本酒を冷やして飲む「冷酒」が広まり、今では冷えた日本酒をワイングラスで楽しむスタイルが定着しているほどです。

そのフルーティーな香りは海外でも人気を呼び、冷やして美味しい日本酒「SAKE」として世界でも広く親しまれています。

3.まとめ

燗酒ではクセがあると感じた銘柄も、「冷や」や「冷酒」だとスッキリ飲みやすくなることがあるのも日本酒のおもしろいところ。好みの温度とその呼び方を覚えておけば、飲食店でもお気に入りの飲み方で日本酒を味わうことができます。

日本酒好きはもちろん、日本酒は初めてという方も、ぜひ温度にこだわって日本酒の世界を楽しんでみてくださいね。