「日本酒が好き」「日本酒についてもっと詳しくなりたい」そんな方におすすめしたいのが、一般の方も受検できる日本酒検定です。
日本酒検定は、その名のとおり日本酒に関する知識が問われる認定試験。20歳以上であれば誰でも受検資格があり、試験対策用の公式テキストも販売されています。
自分で日本酒を楽しむのはもちろん、思わず誰かに教えたくなるような日本酒の豆知識を身につけられるこの資格。こちらでは、日本酒検定を受検するメリットや難易度、受検方法などついてご紹介します。
目次
1.日本酒検定とは?難易度や概要
日本酒検定は、日本酒に関する知識を身に付けられる民間の検定試験です。主催は、日本酒の魅力を伝えるためさまざまな事業を展開する日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)。販売者向けの「唎酒師(ききさけし)」もSSIが認定する資格です。
消費者向けの検定試験、日本酒検定は消費者に「日本酒をもっと楽しんでもらうこと」を目的に実施されています。
2010年(平成22年)から開始され、現在までに累計約5,000人が合格。2021年(令和3年)は、年間1,500人以上が日本酒検定を受検しています。
参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」
1-1.日本酒検定は5級から1級の全6段階
日本酒検定は、基礎的な知識を学べる5級から、日本酒のあらゆることに精通していることを認定する準1級。さらに、準1級合格者のみ受検できる1級と、全6段階にわかれます。
5~3級で学べるのは「日本酒を楽しむ」ために役立つ知識です。ラベルに書いてある内容や製造方法、美味しく飲むための温度や酒器について知ることができます。
「日本酒が好きだけど、種類がわかりづらいな」「もっといろいろ知れたら美味しく楽しめそうなのに」そう感じている方におすすめの検定試験といえるでしょう。
項目 | 内容 |
歴史、文化 | 歴史、文化(飲酒文化、地域文化など) |
造り方 | 原料(米、水、微生物)、製造方法 |
モラル・マナー | 未成年飲酒の危険性や飲酒運転の撲滅など、飲酒のモラル・マナー |
楽しみ方 | 飲用温度、酒器、料理との相性、ラベルの読み方など |
雑学 | 生産量、消費量、海外事情、銘柄、醸造元などさまざまなこと |
参考:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」
1-2.日本酒検定の難易度は?級別の合格率(合格基準)
日本酒検定を実施しているSSIでは、具体的な受検者数と合格率については発表していません。しかし、それぞれの級によって、合格するための基準が定められています。
級 | 合格基準 (正答率) | 出題方式 | 受験資格 |
1級 | 85%以上 | 四肢択一選択方式 50 問 | 準1級合格者 |
準1級 | 80%以上 | 四肢択一選択方式 50 問 | 2級合格者 日本酒学講師 唎酒匠認定者 |
2級 | 75%以上 | 四肢択一選択方式 50 問 | 3級合格者 唎酒師認定者 |
3級 | 70%以上 | 四肢択一選択方式 50 問 | 20歳以上 |
4級 | 70%以上 | 二肢択一選択方式 30 問 | 20歳以上 |
5級 | 70%以上 | 正誤選択方式 30 問 | 20歳以上 |
引用:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」
3級までの合格基準70%以上であるのに比べ、1級は85%以上と50問中43問正解することが必須となります。
また、3級までは20歳以上であれば誰でも受検できますが、2級以上はそれぞれ受検資格が設けられています。上位検定を目指すのであればしっかりと事前準備をし、うっかりミスやとりこぼしのないように臨みたいですね。
2.日本酒検定の受検方法
日本酒検定は、級により受検場所や開催時期が異なります。4~5級はインターネット上で24時間受検でき、日中忙しい方にもおすすめです。
3級以上になると場所や時期も限られてきます。準1級や1級は会場受検のみとなるため、あらかじめ内容を確認しスケジュールを組み立てていきましょう。ここでは、2023年に予定されている認定試験の概要を紹介します。
2-1.日本酒検定の受検場所
日本酒検定の4級、5級はインターネット受検が可能です。また、2級、3級はテストセンターで受けられるCBT試験が設けられています。
日本酒検定4級・5級
開催場所 | インターネット受検 |
開催日時 | 24時間 |
特徴 | 不合格でも2回まで再受検可能 |
日本酒検定2級・3級(CTB試験)
開催場所 | 全国47都道府県のテストセンター |
開催日時 | 希望の日時 |
特徴 | 結果がその場ですぐわかる |
日本酒検定1級・準1級・2級・3級
開催場所 | 東京、大阪 |
開催日時 | 2023年3月11日(土) 1部 10:30~11:20 2部 13:00~13:50 3部 15:30~16:20 |
特徴 | 全国主要都市(東京、大阪ほか)開催は2023年9月9日(土)予定 |
引用:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」
2-2.日本酒検定の申込方法と受検料
日本酒検定は、以下のSSIの公式サイトから受検申込できます。
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「日本酒検定」
4級、5級のネット検定は、ログイン後に支払いを完了すれば24時間受検が可能です。受検費用は級によって次のように異なります。
級 | 受検料(税込) |
4級、5級 | 1,000円 |
3級CBT試験 | 4,650円 |
3級会場受検 | 3,650円 |
2級CBT試験 | 5,200円 |
2級会場受検 | 4,200円 |
準1級会場受検 | 4,750円 |
1級会場受検 | 5,250円 |
3.日本酒検定の級別過去問にチャレンジ!
実際に検定試験を受けるとなると、内容が気になるものではないでしょうか。ここでは、日本酒検定の過去問にチャレンジ!3級と1級の検定試験で出題された内容を紹介します。
3-1.日本酒検定3級の試験内容
3級は、公式テキスト『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』の内容が出題範囲です。日本酒の基礎知識に関するものが中心で、過去には以下のような問題が出題されています。
[問1] 米の中心部分に見える白色不透明な部分を何と呼ぶか。
① 掛米② 心白
③ 胚芽
④ 肌白
[問2] 酒造年度を指す略称で正しいものはどれか。
① FY
② CY
③ RY
④ BY
[問3] 戦後の米不足を補うためにアルコールや糖類などで増量した酒を何と呼んでいたか。
① 本醸造酒
② 合成清酒
③ 普通酒
④ 三増酒
参考:日本酒検定3級
問1の正解は、②の心白(しんぱく)です。日本酒造りに使われる酒米には、白く濁る心白部分がより多く出現します。問2、問3とも答えは④になります。
また、「広島県を代表する酒造好適米は?」「割水をしない製品は?」など、日本酒を選ぶ際に役立つ基礎知識ももりだくさん。ラベルに書いてある内容を理解できるようになり、日本酒を飲むのがより楽しくなりますよ。
3-2.日本酒検定1級の試験内容
日本酒検定1級は、準1級合格者が受検できる検定試験です。1級の試験では日本酒に幅広く精通し、他者へ伝えられるレベルが求められます。
例えば、心白に関する問題は、以下のようにより具体的なものに変化します。
問 高精白が可能で、「蔵の華」を代表とする心白の部類はどれか
① 点状心白
② 線状心白
③ 眼状心白
④ 腹白状心白
参考:日本酒検定1級
こちらの正解は①です。心白が米粒のなかに点状に入っている酒米は、より米を小さく削る高精白に適しています。
「酢酸イソアミル」や「木香様臭」といった、日本酒ビギナーは耳慣れないような専門用語も多数。日本酒検定にはテイスティング試験はありませんが、日本酒の旨味成分や味、香りに関する問題も出題されます。
4.関連する日本酒の資格
日本酒には、さまざまな資格試験があります。なかでも、以下の資格は酒類提供者に適した資格です。
- 唎酒師(ききさけし)
- 酒匠(さかしょう)
- J.S.A. SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)
日本酒検定が「日本酒を楽しむ」ための消費者向け検定であるのに対し、これらの資格はサービスする側に適した内容が盛り込まれています。
4-1.唎酒師(ききさけし)
唎酒師は、1991年(平成3年)に制定された資格です。日本酒を提供、販売する方に向けた資格であり、これまで4万人以上が認定を受けています。
日本酒検定のような日本酒にまつわる基礎知識はもちろん、飲食サービスやセールスプロモーションの能力も身に付けられます。日本酒のソムリエとも呼ばれる唎酒師の活躍の場は、飲食店や酒販店、営業職や観光業など多岐に渡ります。
出典元:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「唎酒師」
4-2.酒匠(さかしょう)
酒匠は、確かなテイスティング能力が求められる資格です。日本酒だけでなく、焼酎のセールスプロモーションもおこないます。受検資格に唎酒師、焼酎唎酒師があることからも、酒類提供販売のスペシャリストにあたる資格といえるでしょう。
酒匠のカリキュラムでは、日本酒や焼酎を含めた多数の香りのアイテムを使用し、味覚や嗅覚向上の基礎トレーニングをおこないます。カリキュラムに参加するためには、事前に講習会やセミナーに参加するなど、さまざまな条件が求められる唎酒師の上位資格です。
出典元:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会「酒匠」
4-3.J.S.A. SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)
J.S.A. SAKE DIPLOMAは、一般社団法人日本ソムリエ協会が認定する資格です。ソムリエは、ワインのエキスパート。 SAKE J.S.A. SAKE DIPLOMAは、日本の食文化の普及と向上目的に2017年(平成29年)に誕生しました。
J.S.A. SAKE DIPLOMAは、20歳以上であれば経験不当で受験できます。試験は教本より出題される一次試験と、テイスティング、論述試験の二次試験で構成され、一次試験は1人2回まで受験可能です。
参考:一般社団法人日本ソムリエ協会「J.S.A. SAKE DIPLOMA」
まとめ
日本酒検定は、日本酒ビギナーにおすすめの検定試験です。ひとつずつステップアップすれば、お酒を提供する側にも適した知識が身に付けられます。
資格を身につけるということは、それだけ日本酒に関する知識と楽しみ方が増えるということ。日本酒に興味があるという方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。