「日本酒が苦手」という方は、銘柄や飲み方にこだわってみるのがおすすめです。日本酒が苦手になった理由は人それぞれ。今回は、唎酒師がより美味しく、飲みやすい銘柄と飲み方をご紹介します!
日本酒の世界は、思っているよりずっと広く楽しいもの。日本酒はちょっと…と感じる方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
1.日本酒が苦手と感じる方に試して欲しい飲み方
日本酒が苦手と感じるときには、味わいや温度、おつまみにこだわってみるのがおすすめです。
また、思い切ってアレンジするのもひとつの方法!
炭酸で割ったり果汁を入れたり、日本酒はカジュアルに楽しんだって良いんです。「日本酒は苦手」「日本酒は難しい」と感じる方こそ、ぜひ気軽に試してみて下さいね。
1-1.甘口やフルーティーな日本酒を選ぶ
「日本酒の香りが苦手」というときには、甘口でフルーティーなお酒を選ぶのがおすすめです。
とはいえ「どれが甘口でフルーティーなの?」と、ズラリと並ぶ日本酒を前に迷うこともありますよね。
この選びにくさも、日本酒が苦手と感じる理由のひとつかもしれません。
結論から言うと、甘口フルーティーな日本酒を選ぶためのポイントは以下の3点です。
- 日本酒度
- 吟醸造り
- 新酒、生酒
まず、味のひとつの目安となるのが、日本酒度。これは、ラベルに書かれたプラスやマイナスの表記で確認できます。一般的に、マイナス1.4以上のお酒は甘口です。
ただし、日本酒度はあくまでも味の目安。
「砂糖をたくさん入れれば甘い」「唐辛子を入れすぎて辛い」という味の基準と違い、日本酒の味の感じ方は、香りや旨味で大きく左右されてしまいます。
そこでポイントとなるのが、フルーティーな香り。
一般的に、吟醸造りと呼ばれる製法で造られた日本酒は、果物のように華やかな香りを持っています。吟醸香(ぎんじょうか・ぎんじょうこう)と呼ばれ、バナナやメロン、桃、洋ナシに例えられるほどです。
吟醸香を持つ日本酒を選ぶには、ラベルを要チェック。「吟醸酒」「大吟醸」「純米吟醸」「純米大吟醸」と書かれているものがおすすめです。
また、その年に搾ったばかりの「新酒」や、火入れをしない「生酒」は、吟醸造りでなくてもフルーティーな香りを発することがあります。
特に、搾りたての生酒はピチピチッとしたガス感が魅力的。日本酒が苦手な方も飲みやすいお酒です。
1-2.お酒の温度はキンキンに冷やすのがおすすめ
温めたり冷やしたり、幅広い温度帯で楽しめるのも日本酒の魅力。とはいえ「燗酒のいかにもお酒!という香りが苦手」という方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、キンキンに冷やした日本酒から試してみましょう!
日本酒は冷やすことで、後口がスッキリ軽く、飲みやすくなります。
夏になると登場する「夏酒」は、まさに初心者向き。キリッと冷やして味わう設計になっているため、どれも美味しくいただけます。
そのほか、冷やして飲むのが前提のスパークリングタイプもおすすめ。シュワシュワッとした発泡感が心地よく、日本酒ということを忘れてついつい飲み進んでしまいますよ。
1-3.日本酒と相性のいいおつまみを用意する
日本酒を美味しく楽しむには、おつまみにもひと工夫。前述した甘口フルーティーな日本酒は、フルーツやハーブを使った料理と好相性です。
洋食なら、フレンチやイタリアンと合わせるのもおすすめ。そのときには、ぜひワイングラスを使ってみてください。
口の広いワイングラスは、フルーティーな香りを引き立ててくれるアイテム。キリっと冷やしてグラスに注げば、より一層飲みやすくなります。
ほかにも、「生酛(きもと)」「山廃酛(やまはいもと)」と書かれたコクのあるお酒は、チーズや肉料理と好相性。
また、「淡麗辛口」と書かれた日本酒は、魚の臭みを消し素材の良さを引き立てるため、新鮮なお刺身のおともにおすすめです。
「唐揚げにはビール」「焼き鳥にはレモンサワー」のように好みの組み合わせを見つければ、日本酒が苦手から好きへと変わっていくかもしれませんね。
1-4.アレンジしてカクテルで楽しむ
「それでもやっぱり日本酒が苦手…」というときには、思い切ってアレンジしてしまいましょう!
日本酒はストレートで飲むものと決めつけてはもったいない。お酒は美味しく楽しむのがいちばんです。日本酒のカクテルアレンジを知れば、お酒の楽しみ方がより一層広がっていきますよ。
日本酒を炭酸水で割って日本酒ハイボール
もっともベーシックなアレンジが日本酒の炭酸割り、すなわち日本酒ハイボールです。
氷とソーダを用意すればできるお手軽さも魅力。特に、暑い夏にぴったりのアレンジです。さわやかな香りの日本酒を選べば、大人のラムネともいえる美味しい1杯ができあがりますよ。
ライム果汁を入れた「サムライ・ロック」や「サムライ」もおすすめ
「サムライ・ロック」は、日本酒にライム果汁を効かせたカクテル。生のライムはもちろん、市販のライムジュースを使えば自宅でも手軽に美味しいカクテルが楽しめます。
ライムにレモンをプラスすれば、よりスッキリとした酸味が際立つ「サムライ」のできあがり。うっすらグリーンに色づく見た目がさわやかな、夏にもぴったりのカクテルに仕上がります。
2.日本酒が苦手と感じる方に飲んで欲しい日本酒
ここからは、日本酒が苦手と感じる方にこそ飲んでほしい銘柄10選をご紹介します。
年々進化を遂げる日本酒業界では、ニュータイプの銘柄が続々登場!「苦手」の要因となる、日本酒ならではの香りやアルコール感もどんどんバージョンアップされているんです。
苦手と感じて日本酒を遠ざけている方にこそ「これが日本酒?」とうれしい驚きを与えてくれるはずですよ。
2-1.富久錦 Fu.
「Fu.(ふ)」はアルコール度数8%の日本酒。通常の日本酒が15%前後であることを考えると、度数の低さがよくわかりますよね。
何よりの特徴は、さわやかな酸味。白ワインのように軽く、適度に甘く。「日本酒はアルコールがきつくて苦手」というイメージをくつがえす味わいです。
ワイングラスに注げば「ふっ」と笑みがこぼれる美味しさ。ぜひしっかりと冷やしてお試しくださいね。
2-2.讃岐くらうでぃ
おすすめスタイルはジョッキでガブ飲み!「日本酒は苦手」という初心者にこそおすすめしたいのが「讃岐くらうでぃ」です。
白くにごった甘酸っぱい「讃岐くらうでぃ」は、まさに大人のカルピス、大人の乳酸菌飲料!アルコール度数6%とほぼビールと同じ軽やかさも魅力です。
ロックで、ソーダ割りで、そしてなんとビール割りでも美味しいお酒。日本酒は苦手なはずが、いつのまにか平気で1本空けてしまうかも…?
2-3.みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita 低アルコール酒
ふわっと立ち上る香りは、まるでラムネやマスカット。「日本酒は独特な香りがちょっと…」という方にぜひ試していただきたいのがこちらの1本です。
「Dio Abita(ディオアビータ)」はイタリア語で「神宿る」という意味。醸造元は、お酒の神様が鎮まるという、奈良県の三輪にある今西酒造です。
嫌な引っかかりもなく、スーッと喉元に染みわたる味わいは、まるできれいなお水のよう。アルコール度数は13%と若干軽め。カジュアルに楽しめる日本酒です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-4.醸し人九平次 「Le K」 VOYAGE
ワイン醸造も手がける蔵が造る日本酒「醸し人九平次」。「voyage(ボヤージ)」の名には「日本酒を楽しむ旅に出て欲しい」という蔵の願いが込められています。
口に含むとじゅわっと甘酸っぱく、後味はほんのり苦く。グレープフルーツジュースを思わせる味わいは、洋食と相性がぴったりです。
おすすめはオイルベースのパスタや白身魚のムニエル、カルパッチョ。「日本酒はしぶいおつまみとチビチビやるもの」と思っている方にこそ、ぜひ試していただきたい1本です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-5.満寿泉×ERI 純米吟醸 Pero
ペロッと舌を出したキャラクターがかわいい!ポップなラベルが目を引く「Pero」は、初心者でも飲みやすい味わいです。
香りはフルーティーで口当たりはなめらか。ライトでありながら「満寿泉(ますいずみ)」ならではのしっかりしたコクも感じられます。
かわいいイラストを手がけたのは、山下達郎さんと竹内まりやさんの娘、ERIさんだそう。好みの音楽をBGMに、思わずぺろっとグラスを空けてしまう美味しさですよ。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-6.尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 初しぼり 生
「生」とは、火入れと呼ばれる加熱処理をしていないお酒のこと。日本酒を苦手と感じる方は、フレッシュな搾りたての生酒を試してみるのもおすすめです。
「尾瀬の雪どけ」の生酒は、リンゴのような香りと酸味が魅力。上品な甘みがふわっと広がったかと思うと、スゥッと静かに引いていきます。
心地よい余韻に、ついついもう1杯…とグラスが進む美味しさ。ぜひ適度に冷やし、ゆったり楽しんでみてくださいね。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-7.VEGA(ベガ) 2019 火入
「VEGA(ベガ)」とは、こと座の一等星のこと。田園風景が描かれた「VEGA」は、阿部酒造の新たな挑戦から生まれた★(スター)シリーズの1本です。
ライトでさらりとした飲み口は、まさに初心者向き。一方で、密度の濃いしっかりした旨味が日本酒ファンを魅了します。
ふわっと広がるフルーティーな香りは、ぜひワイングラスで楽しんで。低アルコール原酒ならではの、香りと旨味のバランスも引き立ちますよ。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-9.風の森 ALPHA TYPE1 次章への扉 無濾過生
もぎたてのフルーツのように、甘くやさしい香り。豊かな自然を感じさせる味のふくよかさ。後に残るのは、おだやかな苦みと酸味。そしてまた、さわやかな香りが鼻を抜けていく…。
人の五感を刺激する「風の森」は、苦手といわれる日本酒のイメージを大きく変える味わいです。
なかでも「TYPE1」は、アルコール度数低めの仕上がり。ライトでありながら、フルーティーでフレッシュな旨味がギュッと詰まっています。「次章への扉」とあるように、日本酒へ新たな扉を開いてくれる1本です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-10.にいだしぜんしゅ めろん
自然発酵によるピチピチッとしたガス感が心地良い「にいだしぜんしゅ」。流れるようなひらがな表記と自然酒の名のとおり、やさしい旨味が楽しめるお酒です。
開栓すると広がる香りは、完熟メロンのように甘く、華やか。口に含むとまあるい甘みとほのかな酸味も感じられます。
生酒らしいジューシーな旨味も魅力的。あわせる料理を選ばないため、ぜひ、好みのおつまみと一緒に楽しんでみてくださいね。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
まとめ
香りが苦手、アルコール感が苦手など、日本酒を苦手と感じる理由はさまざまです。「日本酒は選び方が難しくて、苦手と思ってからそれっきり」というパターンもあるかもしれないですね。
近年は、アルコール度数や味に工夫をこらした日本酒が続々登場しています。もしかしたら苦手なのではなく、自分好みの1本に出会っていないだけかもしれません。
ときにはカクテル仕立てにアレンジしてみるのもひとつの方法。苦手というイメージを取り払って、もっと自由に、もっと楽しく日本酒を味わってみませんか?