世界でも人気の日本酒「獺祭(だっさい)」には、「磨き」や「遠心分離」といった種類があります。
今回は、種類による造り方の違いや味のこだわりについて詳しく紹介します。ぜひ、お店で獺祭を選ぶときの参考にしてください。
目次
1.獺祭の種類は大きくわけて2つ
獺祭には大きくわけて「磨き」と「遠心分離」2つの種類があります。どちらも旭酒造のこだわりと想いが詰まった日本酒です。
1-1.獺祭の基本となる「磨き」
獺祭における「磨き」といえば「二割三分」です。精米歩合は23%。米の外側を70%以上削った米で造られています。
「二割三分」は当初、25%の精米歩合を目指して造られたお酒でした。ところが、いざ精米を始めたところ、ほかの酒造メーカーが24%の酒を販売していることが桜井社長(現会長)の耳に入ります。
当時、東京へ出張中だった社長は、帰りの新幹線の車内電話で米をさらに2%磨くよう精米担当者に要請。トータル7日間、計168時間という時間をかけて精米歩合23%の米はできあがりました。
白く輝く小さな酒米は、まさに磨きぬかれた宝石のよう。
華やかな香りと芳醇な旨味、酸味のバランスに優れた「二割三分」は、味の磨きがかかった獺祭の代表銘柄。今では「JAPANESE SAKE」として世界でもその名が知られています。
1-2.獺祭が日本酒の工程で初導入した「遠心分離」
日本酒は、一般的に「醪(もろみ)」と呼ばれる白くどろっとした液体を袋に詰め、圧力をかけて液体を搾り出します。
獺祭の取り入れている「遠心分離」は、圧力をかけずに日本酒を搾る手法です。商業ベースでは日本で初めて遠心分離機を導入し、研ぎ澄まされた味わいのお酒を搾り出しています。
「遠心分離」と名付けられた獺祭は、遠心分離で搾ったお酒と、圧力をかける手法で搾ったお酒を絶妙にブレンドしたもの。
「いやなところが何もない」といわれる「遠心分離」の酒質に、通常のパンチのある酒質を加え、繊細な旨味と味の奥行きを表しているのが特徴です。
2.獺祭の磨きの種類
獺祭の「磨き」は、精米歩合によって種類がわかれます。「二割三分」のさらに先を行く「磨き その先へ」など、新たな種類が誕生していることも特徴です。
※価格は2021年当時のものです。場合によっては変更されている可能性もあります。
2-1.純米大吟醸45
価格:
3,421円 / 1800ml
1,738円 / 720ml
743円 / 300ml
「純米大吟醸45」は、獺祭のスタンダードともいえる1本です。酒米の王様「山田錦」を使用し、繊細な甘みと華やかな香りを生み出しています。暑い夏には氷をたっぷり入れたグラスに注ぎ、ロックにしても美味しい獺祭です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-2.純米大吟醸 磨き三割九分
価格:
5,472円 / 1800ml
2,706円 / 720ml
1,133円 / 300ml
「純米大吟醸 磨き 三割九分」は、山田錦を39%まで磨いて仕込んだ獺祭です。グラスに口を近づけると感じるのは、フルーツを思わせる華やかな香り。口に含むと、蜂蜜のような上品な甘みが広がります。
口当たりなめらかで、後に残るのは心地よい余韻。「やっぱり獺祭って美味しいよね」と実感させてくれる1本です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-3.純米大吟醸 磨き二割三分
価格:
11,440円 / 1800ml
5,830円 / 720ml
2,711円 / 300ml
「純米大吟醸 磨き 二割三分」は、精米歩合23%を実現した蔵のフラッグシップです。グラスから立つ香りはまるで花のよう。口あたり優しく、まろやかな甘みが舌の上をなめらかに滑ります。
現在の蔵の精米技術では、実際には21%前後の米もできあがるそう。それでも23%にこだわる蔵の姿勢には、「二割三分」への情熱と「磨きの度合いだけが酒の本質ではない」という熱い想いが現れています。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-4.早田 純米大吟醸 磨き二割三分
価格:720ml/ 11,000円
「二酸化炭素をマイクロバブル化して酒に加える」という特許技術を用いた獺祭です。日本酒造りの工程では、保存性を高めるために「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌を行います。
「獺祭 早田 磨き二割三分」は、特許技術により、最小限の加熱で通常の火入れと同等の効果を得ることに成功。よりフレッシュな味わいが活きたお酒です。
「早田」という商品名は、明治大学の故・早田保義教授の名から付けられたもの。研究、開発に携わった教授への敬意が込められています。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-5.磨き その先へ
価格:720ml/ 33,000円
「磨き 二割三分」のその先を目指して誕生したお酒です。精米歩合は非公開。「二割三分」をふまえた上で、まったく別のものとして開発されています。
発表までの構想、開発期間は10年以上。「二割三分」を飲んでから口にすることで、蔵の挑戦心や「美味い酒を」という意欲を強く感じられるお酒です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
3.獺祭の遠心分離の種類
遠心分離機で搾った獺祭は、通常の「磨き」とはまた違った個性を楽しめます。「磨き」を飲んでから「遠心分離」との違いを確かめるのもおすすめです。
3-1.純米大吟醸 磨き三割九分 遠心分離
遠心分離機によって無加圧状態で搾ったお酒です。澄み切った上品な香りは、余計な圧力をかけない遠心分離のお酒ならでは。口にふくむと山田錦の豊かなコクが広がります。通常の「三割九分」との飲み比べも楽しい1本です。
価格:
7,931円 / 1800ml
3,965円 / 720ml
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
3-2.純米大吟醸 磨き二割三分 遠心分離
価格:
16,995円 / 1800ml
8,497円 / 720ml
精米歩合23%の米を使用した遠心分離のお酒です。より穏やかな香りと、しっかりとした味の輪郭を感じられます。
日本酒通も納得の味わいは、大切な人への贈り物にもぴったり。遠心分離の個性を楽しむには、しっかり冷やしてワイングラスに注ぐ飲み方がおすすめです。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
4.その他の獺祭
獺祭では「等外」と呼ばれる規格外の酒米を使用した日本酒を造っています。常時販売されないレアな存在の獺祭です。
4-1.等外
価格:1,430円 / 720ml
日本酒を造る酒米には、最上級の「特等」から規格外である「等外」まで6つのランクがあります。「獺祭 等外」は、粒の大きさが揃っていない酒米です。
獺祭に使用する酒米・山田錦は、現在21府県の契約農家で栽培されています。栽培するときに5%~10%程度できる「等外米」も、獺祭では無駄なく美味しいお酒へと生まれ変わっています。
(出典元:旭酒造株式会社)
4-2.等外23生
価格:2,530円 / 720ml
山田錦の等外米を23%まで磨いたお酒です。加熱処理をしていない生酒で、通常の「二割三分」とは全く違う個性を楽しめます。
等外米で造ったお酒は、瓶詰め後の味の劣化が早いのが特徴。そのため、ラベルには製造した月だけでなく日にちまで記されています。購入時は冷蔵保管し、1ヵ月以内に飲みきるのがおすすめです。
(出典元:旭酒造株式会社)
4-3.純米大吟醸 スパークリング45
価格:
2,046円 / 720ml
1,023円 / 360ml
511円 / 180ml
しゅわしゅわとした微発泡感がたまらない獺祭のスパークリング酒です。獺祭ならではの華やかな香りとほどよい甘みを味わえます。
洋食に合わせて楽しむときや、仲間とのパーティーにもぴったりの獺祭。しっかり冷やしてフルートグラスに注げば、気分もいっきに盛り上がります。
(出典元:旭酒造株式会社)
まとめ
誕生から約40年あまり。多くの人にその名を知られる獺祭は、今でも日々進化を遂げています。
「酔うため売るための酒ではなく、味わう酒を」という蔵のキャッチフレーズのとおり、獺祭と一緒に、すてきな日本酒時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。