今回は、佐賀県三養基郡みやき町で1688(元禄元)年創業の天吹酒造「天吹 純米吟醸 雄町 いちご酵母 生」です。
天吹酒造について
三養基郡は佐賀県と福岡県の県境にある鳥栖市の隣ですが、ほとんど福岡県で南は久留米市に隣接しています。近くには筑後川が流れ、吉野ケ里遺跡もあるので古くから稲作が行われていたところです。背振天山の伏流水を仕込み水に使い、300年もの間、酒を醸しています。天吹酒造の特徴は「花酵母」を使っていることです。「花酵母」とはその名のとおり、天然の花から分離した酵母のことで、東京農大短期大学部醸造学科酒類学研究室の中田久保教授が世界で初めて誕生させたものです。天吹酒造の木下壮太郎社長が大学時代に中田教授に師事したことで、花酵母を使った日本酒を醸しています。フルーティでキレのあるアベリア、ベゴニアや、バナナのように甘い香りのシャクナゲ、お燗にぴったりのマリーゴールドなど、東京農大花酵母研究会加盟蔵のみが使用を許されています。
「天吹 純米吟醸 雄町 いちご酵母 生」
雄町100%使用で55%精米です。ほんのりいちごの香りがします。香りがいちごだと甘そうな感じがしますが、そうでもなく、雄町らしい甘味にキレがあってスッキリとした味わいです。いちごの香りは、酒らしさを消してくれるので「危険な酒」と言えるでしょう。
天吹では、バナナの絵柄でおなじみの「バナナ酵母」を使った酒もありますが、こちらもバナナの香りがするので、香りを愉しむのもアリですね。