2023年1月14日(土)、トレンドの発信基地ともいえる銀座にて古酒の試飲体験イベント「& 古酒2023 in GRAND GINZA」が開催。GINZA SIX最上階に広がるレストランで、古酒と料理、音楽の共演が繰り広げられました。
熟成により、色や香り、味わいが複雑に変化する古酒は、国内外で高い注目を集めるお酒です。今回は、唎酒師ライターがイベント体験した様子をたっぷりとお伝えします。
目次
熟成古酒が集結「& 古酒2023 in GRAND GINZA」
「& 古酒2023 in GRAND GINZA」で提供されるのは、熟成期間10年以上の古酒を厳選したプレミアムブランド『古昔の美酒(いにしえのびしゅ)』の数々です。主催は職人の新たな販路創出をプロデュースする株式会社匠創生。今回のイベントは、2020年2月以来の開催となります。
会場はGINZA SIX最上階のレストラン、THE GRAND GINZA。一歩足を踏み入れた先には、銀座の風景と一体化した優雅な空間が広がっていました。
日本酒の古酒(長期熟成酒)とは
日本酒の古酒(長期熟成酒)とは、製造から一定期間ねかせたお酒のことです。一般的には、3年以上熟成させたものが古酒と呼ばれます。
適切な管理のもとで時を重ねた日本酒は、薄茶色から琥珀色、ルビー色へと色合いが変化し、複雑かつ重厚感ある味わいに。スパイスやフルーツなど、いくつもの要素が重なり合う古酒へと生まれ変わります。
古酒ブランド『古昔の美酒』の大きな特徴は、原則10年以上の熟成を重ね、さらにソムリエが厳選したお酒であることです。10年以上熟成させた日本酒古酒は希少性が高く、その量は、すべてを集めてもオリンピックプール1杯にも満たないといわれています。
さらに、海外のワインコンクールや日本酒コンクールなどで数々の賞を受賞。今回のイベントでも、海外で高い評価を得た古酒の数々が用意されていました。
「古昔の美酒」公式サイト https://oldvintage.jp/
古酒の乾杯でスタート!
乾杯を彩るのは『2010 龍力』。兵庫県の日本酒『龍力』を10年以上熟成させたお酒です。梅酒のように甘酸っぱく、パーティーの幕開けにふさわしい華やかな味わい。眼下に広がる景色にテンションもあがります。
お酒は厳選された『古昔の美酒』に新酒を含む全12種類。日本酒古酒5種、新酒5種、焼酎古酒1種、梅酒古酒1種と充実のラインナップです。
ミニカップの下には、以下のような台紙が挟まれています。銘柄や海外コンクールでの受賞歴が記載され、QRコードからさらに詳しい情報をその場で確認することができました。
注目したいのが、日本酒古酒と新酒は、同じ酒蔵のお酒がペアで用意されていること。古酒ってなに?普段飲む日本酒とどう違うの?という方も、違いがわかりやすいですよね。
ミニカップの古酒は、ワイングラスに注いでいただきます。ソムリエ高橋氏によると、ワイングラスを使うことで古酒の香りを余すことなく堪能できるそう。実際に、ワイングラスをくるくるっと回し、古酒の香りや味を楽しむ方々の姿があちこちで見られました。
古酒と料理、音楽が奏でるハーモニー
どの古酒を飲もうかな…と迷っていると早速お料理が登場!
左上のグラスに盛られているのは、オリーブとスペインの生ハム“ハモンセラーノ”です。クラッカーには、真っ白なヤギのチーズ“サントモールブラン”にアプリコットがのせられています。
白いカップの中は、フランス版南蛮漬けといった趣の“サーモンのエスカベッシュ”。ハーブでマリネされた鶏胸肉は、色鮮やかなディルのソースでいただきます。
メインの“パテ・ド・カンパーニュ”は、満足感がありながらもしつこくなく、古酒とあわせるとちょうどいい塩梅です。
このラインナップ、お酒好き、お料理好きとしては幾通りものペアリングを楽しめるのが本当にうれしい!まったく異なる個性を持つ5種の古酒と料理、お気に入りの組み合わせが見つけられます。
たとえば、兵庫の『1995 葵鶴』は、古酒らしい風味を持ちつつ香りはおだやかでスッキリとした味わい。同じくさっぱりとした鶏肉にあわせたくなります。ハモンセラーノをいただいたあとに口に含むと、生ハムのコクと程よくマッチし、またご満悦です。
かと思えば『2000 朝日川』は口に含んだ瞬間、おっと驚くほどの個性の持ち主。スパイスやナッツ、ドライフルーツを思わせる風味が次々と顔をのぞかせます。ここではクセのあるヤギチーズがこの上ないパートナーに。アプリコットの甘酸っぱさも加わり、酒好き好みのペアリングができあがりました。
・古酒×料理
・古酒×古酒
・古酒×新酒
と、古酒の楽しみ方は実に無限大。さらに、フルートとピアノの生演奏が優雅なひと時を演出してくれます。
伝説の「苺のミルフィーユ」を古酒とともに
お待ちかねのデザートは、1966年に開店し2015年閉店まで長きに渡り愛されてきた「銀座マキシム・ド・パリ」の看板スイーツ『苺のミルフィーユ』です。
伝説ともいわれるその味をTHE GRAND GINZAが再現。アーモンドを纏ったサクサクのパイ生地で、コアントローがきいたカスタードクリーム、大粒のいちごがサンドされています。
あぁこれは『朝日川』といただきたい!と手を伸ばしたものの、すでにお料理と一緒に飲み干していました(笑)
もちろん、ほかの古酒とあわせてもじゅうぶん美味しい。洋菓子や和菓子など、スイーツとの相性の良さも古酒ならではの魅力かもしれません。
お酒好きにも甘いもの好きにも、そして日本酒の魅力を知るのはこれからという方にもぜひおすすめしたい「熟成古酒」。プレミアム古酒に特製プレート、スイーツに音楽と、その世界観にすっかり酔いしれる昼下がりとなりました。
ヴィンテージSAKEの魅力をより多くの方々へ
「年月を重ねた熟成古酒は、新酒とはまったく違う魅力を持ちます。まさに新たなジャンルともいえるお酒です」
そう教えてくれたのは、株式会社匠創生 代表取締役社長の安村亮彦氏。コロナ禍での度重なる中止を経て、ようやく開催できた今回の「& 古酒2023」に喜びもひとしおだと語ります。
「皆さんもこういった場を待ち望んでいらっしゃったのではないでしょうか」安村氏がいうように、この日のイベントは1部2部含め160席が満員御礼で、各10席ずつ増席されたほど。それぞれのテーブルでは、古酒を片手に多くの笑顔が花開いていました。
「今後はフランスやロンドン、中国にシンガポールと全世界へ日本の熟成古酒の魅力を広めていきたい。直営店をもつ淡路島でも、大々的にイベントを開催したいと考えています」
世界中が未曾有の事態に翻弄されていた間も、変わらず静かに眠りについていた熟成古酒。安村氏の言葉とイベントの盛り上がりに、お酒が再び人と人とを繋ぐ未来が見える思いでした。
直営店「古酒の舎」では、古酒とともに淡路島の旬の食材も楽しめます。淡路島の豊かな自然に包まれながら、お家でゆったりとくつろぎながら。思い思いに熟成古酒の扉を開いてみてはいかがでしょうか。
古昔の美酒(いにしえのびしゅ)
https://oldvintage.jp/
日本全国100蔵以上を巡り、原則10年以上の熟成を経た日本酒、焼酎、梅酒、泡盛をさらに厳選。北は秋田、南は沖縄まで約60銘柄の古酒をリリース。
古酒の舎(こしゅのや)
https://awaji-seikaiha.com/kosyunoya/
淡路島の旬の食材と熟成古酒のペアリングを楽しめるレストラン。ショップでは「古昔の美酒」の購入が可能。古酒のブレンド体験サービスも展開。
古酒ブレンドサービスの体験レポはこちらから
https://sake-5.jp/kosyunoya/