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【古酒の舎・淡路島】「古昔の美酒 セルフブレンド」時と記憶をボトルに詰めて

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【古酒の舎・淡路島】「古昔の美酒 セルフブレンド」時と記憶をボトルに詰めて

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 blog「わたしの酒棚」 https://sakadana.net/

長い年月を経て熟成させたお酒、古酒(こしゅ)。2022年9月16日(金)より、兵庫県淡路島の「古酒の舎」では、古酒を自らブレンドできるサービス『古昔の美酒 セルフブレンド』がスタートしています。

試飲をしつつ選べる古酒は約30種類。さらに、ボトルや化粧箱のデザインも選択可能と、特別な“選ぶ楽しさ”を体験できるサービスです。

今回は、「淡路島の思い出を持ち帰ってもらいたい」という思いから生まれた『古昔の美酒 セルフブレンド』について詳しくご紹介。実際に現地へ出向き、ブレンド体験した様子をお届けします。

1.「古酒の舎」ソムリエが語る古酒の魅力

古酒の舎
「古酒の舎(こしゅのや)」が位置するのは、兵庫県淡路島の北西部。目の前には播磨灘の雄大な景色が一面に広がります。

ドアを開けた先に待っていたのは、全国各地から集められた古酒の数々。酒蔵をイメージしたという店内は、朱色の漆喰が美しい開放的な空間です。

1階では、10年以上熟成され、かつ全国の酒蔵から厳選した日本酒のほか、泡盛や梅酒、焼酎のオリジナル古酒ブランド『古昔の美酒(いにしえのびしゅ)』を購入できます。

古酒の舎

2階は、古酒と淡路島の旬の食材とのペアリングを楽しめるバーラウンジです。大きな窓の外には青い海がきらめき、クラシック音楽とともにゆったりとした時間が流れていきます。

長期熟成古酒をいただきつつ、まずはソムリエ松本さんに古酒の魅力について伺いました。

1-1.約100種以上から“きれいな古酒”のみをセレクト

古酒の舎
個性豊かな古酒が並ぶ『世界ワインコンクール受賞6銘柄飲み比べ』

「商品を厳選するにあたり、およそ100種類以上の古酒をテイスティングさせていただきました。そのなかでも、老香(ひねか)がないもの、きれいなお酒のみをセレクトしています」

そう語る松本さんはソムリエ、いわゆるワインのエキスパート。テイスティング時は、古酒の繊細な味と香りを見極めるためワイングラスに注いで吟味したと話します。

劣化臭の老香とは異なる、複雑かつ芳醇な香りと独特の苦味、渋味こそが古酒の魅力。

また、日本酒は5〜7年でぐっと熟成が進み、その後は時間とともにより個性的な味わいへと変化していくそうです。そのため、オリジナル古酒ブランド『古昔の美酒』は、原則10年以上の年月を経た長期熟成古酒にこだわっています。

1-2.米のバックグラウンドが反映されるお酒「古酒」

古酒の舎
左『1983 岩の井』、右『1984 岩の井』

こちらは、1983年と1984年の『古昔の美酒 岩の井』。日本酒の製造時期は1年しか変わらず、保管条件も同じ。にもかかわらず、色合いにこれほど違いが生まれるのはなぜなのでしょうか。

松本さんによると、色の違いは日本酒の原料である「米」の特性によるものだそう。

そもそも、日本酒が茶色く変化するのは、熟成にともなう“メイラード反応”によるもの。常温熟成させることで糖とアミノ酸が結合し、褐色物質を生成することでお酒が琥珀色へと変化していくというわけです。

熟成後の色が濃いということは、それだけお酒本来の糖とアミノ酸量が多かったということ。つまり、原料の米の個性が色合いに現れているのです。

「米が育った年の日照時間や環境の変化が、時間を経てきちんと反映されるお酒。それが古酒なんです」

そう教えてくださった松本さん。ちなみに、この2つのお酒は見た目が異なるにもかかわらず味わいの共通点が多いそう。それもまた、古酒ならではの魅力であり、奥深さといえるのかもしれません。

1-3.お客様のある行動がサービス誕生のきっかけに

年代を重ねた古酒をブレンドする贅沢な試み『古昔の美酒 セルフブレンド』。その誕生のきっかけは『10銘柄飲み比べ』を楽しむお客様のある行動にあったといいます。

古酒は、味や香りの個性が強いお酒です。ある日、とあるお客様が10銘柄の飲み比べを楽しんだところ、最後にどうしても3〜4銘柄だけが残ってしまったそう。

それならばと、思い付きで残った古酒をひとつのグラスにまとめてみたところ、ぐっと飲みやすい香りと味わいに。古酒が持つそれぞれの個性が同調し、新しい1杯が生まれたというわけです。

「約100種以上の中から厳選した、こだわりの“ヴィンテージSAKE”。貴重なお酒のブレンド体験は、古酒の舎だからこそできることです。オリジナルの1本を淡路島の思い出とともに持ち帰り、ぜひお酒の新しい楽しみ方を知ってほしい」

松本さんはそんな思いから、今回の『古昔の美酒 セルフブレンド』を誕生させたといいます。

瀬戸内海を渡り、古酒の舎に足を運ぶからこそできる長期熟成古酒のブレンド。早速1階のショップへと戻り、こだわりのサービスを体験させていただきました。

2.選ぶ楽しさを届けたい『古昔の美酒 セルフブレンド』

古昔の美酒セルフブレンド
ずらっと並ぶ長期熟成古酒の数は、およそ30種類。『古昔の美酒 セルフブレンド』では、このうち3〜5銘柄を選択し、1本のボトルに詰めて持ち帰ることができます。

中に詰める古酒だけでなく、ボトルや化粧箱、タグも数種類から選べるというから驚きです。

ボトルは正方形と六角形の2種類。化粧箱は、シンプルなホワイトと高級感のあるゴールド、ハートが描かれたブラックの3種類が用意されています。さらに、仕上げには2種のオリジナルタグが選べるというこだわりぶりです。

古昔の美酒セルフブレンド
画像提供:古酒の舎

「選ぶ種類が多いほうが、お客様により楽しんでいただるかと」

そんな松本さんの言葉からも、淡路島へ足を運ぶ方へのおもてなしの心が伺えます。まずは六角形のボトルをチョイス。次はいよいよ、古酒選びのスタートです。

2-1.試飲をしながら古酒をチョイス

古昔の美酒セルフブレンド

試飲をしながら好みの味を選べるのが『古昔の美酒 セルフブレンド』の大きな魅力です。それぞれの古酒の魅力を体感しながら、お気に入りの銘柄を選択できます。

どれを選べば良いか迷ってしまうというときも、“ソムリエおすすめブレンド”が用意されているため安心です。「甘く華やかな香りに仕上げたい」、「複雑な味わいにしたい」などのニーズに沿った基本の3〜4銘柄に、気になる古酒をプラスできます。

古昔の美酒セルフブレンド

今回は、ライターの地元の古酒『山陰 東郷』を含むこちらの4本をチョイス。「ほんのり甘く重厚感のある味わい」をキーに、松本さんに1本ずつセレクトしてもらいました。

「味に深みを出すならこちらはどうでしょう」
「こちらの古酒は、スパイスのような風味があって肉料理にも合うんですよ」

そんな話を伺いながら、試飲をしつつ古酒を選ぶのはなんとも楽しい時間。

また、温度により熟成が進む古酒は、土地の個性が現れやすいお酒だそう。古酒の舎は全国各地の古酒を扱っているため、思い出の土地やふるさとなどにこだわってブレンド酒を選んでみるのもおもしろそうですね。

2-2.古酒で体験“アッサンブラージュ”

古昔の美酒セルフブレンド
お次はなんとメスシリンダーが登場。ワインの原酒を混ぜ合わせる技法“アッサンブラージュ”の古酒バージョンを体験していきます。

メスシリンダーの容量は100ml。選んだ古酒をどのような配合で混ぜ合わせていくのか、こちらも丁寧にアドバイスしてもらえます。

4種類のうち、2種類を40mlずつメスシリンダーに注いだら一度味わいをチェック。この段階で「もっと甘さが欲しい」、「ボリュームを出したい」と感じたら、プラスする古酒をまた選択できるというから贅沢ですよね。

今回は、甘口の『2007 山陰 東郷』、バランスの良い『1998 英勲』をベースに、『2001 天恩』と『2003 山吹』で個性を足してみました。

天恩の栗を思わせる豊かな香り、山吹のスパイスのような刺激が心地良い、まさに世界にひとつだけの味わいです。

2-3.ボトリングをして完成!

古昔の美酒セルフブレンド
選んだお酒をすべて配合したら、いよいよボトリングです。メスシリンダー内の古酒を、初めに選んだボトルへとゆっくり注いでいきます。

キュッと蓋をし、波柄のテープで封をして選んだタグを首にかけたら、“オリジナルヴィンテージSAKE”の完成!

古昔の美酒セルフブレンド

選んだ化粧箱とともに、ブレンドした古酒の情報を記したカードも付いてきます。どんなお酒をブレンドしたのか、後からしっかりと思い出せるのがうれしいですね。

ちなみにこちらのオリジナル古酒、このまま光に当たらない環境で保管すればさらなる熟成も可能だそう。

自宅ですぐに味わうのはもちろん、数年後の記念日に開封したり、大切な人へのギフトにしたりと楽しみ方は無限大。約30種の古酒の組み合わせ方が無数にあるように、自分だけの味、思い出をボトルに詰めて持ち帰ることができます。

「日本酒とはまたひと味違う“古酒”というジャンルを、どうぞご自由に楽しんでください」

そう笑顔で話してくれたソムリエ松本さん。無限の可能性を秘めた古酒の世界に、すっかり魅了された1日でした。

3.琥珀の時に思いを馳せて“オリジナルヴィンテージSAKE”

古昔の美酒セルフブレンド
古来から平安時代にかけ、都に食料を貢いでいたことから御食国(みけつくに)とも呼ばれる淡路島。古酒の舎では、淡路島の食材を使った料理とともに、かつては献上品であった「古酒」の魅力を存分に堪能できます。

10年以上前の日本で米を育てた人、酒造りを手がけた人々を思いつつ、琥珀のグラスを傾ける時間はなんとも贅沢なもの。ラベルに記された年号に、当時の自分を重ねることもあるかもしれません。

豊かな自然と雄大な景色、そして“オリジナルヴィンテージSAKE”との出会いを求め、淡路島・古酒の舎へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

『古昔の美酒 セルフブレンド』
[料金]2500円 ※試飲料、税込
[容量]100ml
[申し込み]事前申し込み不要
[提供場所]青海波 古酒の舎
[問い合わせ]070-3349-9150(青海波 古酒の舎)

青海波 古酒の舎
[所在地] 兵庫県淡路市野島大川70
[アクセス]神戸淡路鳴門自動車道 淡路I.C.より車で10分 ※淡路島ICならびに岩屋港からの無料シャトルバスあり
[電話番号]070-3349-9150
[定休日] 木曜日
[営業時間]11:30~21:00(L.O.20:00)
[公式URL]https://awaji-seikaiha.com/kosyunoya/
※2022年10月1日時点の情報です。休業日や営業時間など変更の可能性があるため、最新情報は事前に店舗にお問い合わせください。