ホーム 特集・企画 山三酒造の日本酒4種を紹介!再始動した蔵のこだわりにペアリングも

山三酒造の日本酒4種を紹介!再始動した蔵のこだわりにペアリングも

0
山三酒造の日本酒4種を紹介!再始動した蔵のこだわりにペアリングも

執筆者情報

shiho
お酒とねこでできているライター。日本酒、ウイスキー、ワイン…すべてのお酒をこよなく愛す。酒好きが高じて利酒師免許を取得。 blog「わたしの酒棚」 https://sakadana.net/

監修者

日本酒ラボ編集部
日本酒ラボに携わってから日本酒のおいしさ・奥深さを知り、唎酒師の資格を取得。日本酒ラボを通して、日本酒のおいしさ・楽しさを日本酒にもあまり馴染みがない方にもお伝えしていきます。

1867年(慶応3年)創業。2015年より休蔵状態だったものの、現蔵元の決意と情熱により、2023年2月に再始動を果たした長野県上田市の「山三酒造(やまさんしゅぞう)」。

3月31日(金)には、先代の想いを受け継ぐリブランド商品「真田六文銭(さなだろくもんせん)」に加え、酒蔵名を冠した新たなブランド「山三」がリリースされました。

今回は、少量仕込みの丁寧な酒造りから生まれる4商品をご紹介。信州上田の酒文化に新たな息吹をもたらす、山三酒造の魅力をお届けします。

「山三酒造」信州上田の老舗蔵の想いを胸に再始動

山三 紫翠(しすい)
山三 紫翠(しすい)

山三酒造は、豊かな自然に恵まれた長野県上田市に位置する酒蔵です。蔵の背景に広がるのは、限りのない空と雄大な山々。冬場に積もる雪は自然のフィルターをくぐり抜け、清らかな伏流水となり、日本酒にクリアな味わいをもたらします。

創業から150年の歴史をもつ山三酒造は、後継者問題などから2015年より休蔵状態にありました。

「ものづくりがしたい、自分らしい仕事がしたい」という想いを抱えていた現蔵元の荻原氏は、長野県佐久市出身。山三酒造との出会いをきっかけに、「地元の酒蔵を守りたい」と蔵の再建へ乗り出します。

山三酒造の大きなこだわりは、地元長野県八重原産の米を使用し、加水をしない“原酒”の状態で日本酒を提供することです。

一般的な酒造りの工程では、アルコール度数や味わいの調整のため、搾ったあとのお酒に割水(わりみず)が加えられます。

今回ご紹介する4つのラインナップは、すべてが加水、ろ過、加熱処理がされていない無濾過生原酒。酒瓶には蔵が目指すフレッシュな味、香りがそのまま閉じ込められています。

  • 山三 紫翠(しすい)
  • 山三 山霞(やまかすみ)
  • 山三 初雪(はつゆき)
  • 真田六文銭 初陣(ういじん)

老朽化していた設備、建物を一新するところから始まったという山三酒造再建に向けた道のり。

若き杜氏、栗原 由貴氏と共に設備も見直され、酒造りの要となる麹を造る部屋、麹室(こうじむろ)は高品質な麹が製造される場へと生まれ変わりました。

さらに、醸造方法は大型タンクの大量生産からサーマルタンクでの小仕込みへと移行。低温環境のもと細部まで手がかけられた日本酒は、口にした途端はっとするほどの瑞々しい味わいに満ちています。

休蔵に入っていた山三酒造が事業継承により復活。進化した山三酒造蔵元にインタビュー!

山三 紫翠×リンゴのカッテージチーズサラダ

山三 紫翠×リンゴのカッテージチーズサラダ
山三 紫翠×リンゴのカッテージチーズサラダ

ポン、という軽やかな開栓音とともに広がるのは、蜜リンゴのように甘く艶やかな香り。グラスのなかでは、細かな泡が静かに弾けて消えていきます。

口に含んだとたんに押し寄せるフレッシュな印象は、まるでほんの今、蔵で搾ったばかりのお酒をいただいているかのよう。後口はキレ良く、食中酒はもちろん、お酒単体でもゆるりと楽しみたい美味しさです。

皮付きリンゴにカッテージチーズ、仕上げに黒コショウをきかせたサラダと組み合わせれば、食事の始まりを告げる爽やかな1杯に。その日の気分や料理にあわせ、ほんのり温めていただくのもおすすめです。

温度が上がることで口当たりは丸く、より優しい表情へと変化し、信州上田に広がる情景のように心をほっと和ませてくれます。

山三 紫翠(しすい)
希望小売価格 3,080円(税込)
純米大吟醸
無濾過生原酒
山田錦(原料米)
磨き三割九分(精米歩合)
獨鈷山系伏流水
七号酵母
14度(アルコール度数)

山三 山霞×栗ときのこのコンフィ

山三 山霞×栗ときのこのコンフィ
山三 山霞×栗ときのこのコンフィ

山々にかかる霞のように白いにごり酒は、旨味たっぷりの秋の味覚とともに。果実感あるジューシーな甘味とほのかな酸味、ふわりと心地よい後口が料理の味わいを引き立てます。

オイルを纏ったきのこは、バゲットやクラッカーにのせていただくのもおすすめです。「山霞」のほのかなガス感が、舌の上の油分をさらりと洗い流してくれます。

夏には鮎のような川魚とあわせれば、自然の息吹を感じるたまらないペアリングとなりそう。春は山菜、冬はジビエと四季折々の山の恵みと楽しみたい日本酒です。

山三 山霞(やまかすみ)
希望小売価格 2,530円(税込)
うすにごり
無濾過生原酒
山恵錦(原料米)
磨き五割(精米歩合)
獨鈷山系伏流水
アルプス酵母
15度(アルコール度数)

山三 初雪×みぞれ鍋

山三 初雪×みぞれ鍋
山三 初雪×みぞれ鍋

瓶の底にうっすらと澱(おり)が積もる「初雪」は、4本のなかでも一番元気な印象です。開栓で空気が流れ込むのを合図に、細かな泡が次から次へと瓶底から立ち上ります。

長野県の酒米と酵母が奏でるのは、上品な甘さと酸味、しっかりとした旨味のハーモニー。それぞれが一体となりながら、舌の上でハラリとほどけて溶けていきます。

その儚さは、木々や土に舞い落ちた綿雪がすっと消えてなくなるかのよう。アツアツのみぞれ鍋をおともにすれば、出汁の美味しさ、お酒の美味しさが体に染み入る組み合わせができあがります。

あっさりした鍋物はもちろん、牡蠣の土手鍋やキムチ鍋など旨味の強いスープにもあわせたい、味わい深いにごり酒です。

山三 初雪(はつゆき)
希望小売価格 1,870円(税込)
うすにごり
無濾過生原酒
ひとごこち(原料米)
磨き六割(精米歩合)
獨鈷山系伏流水
アルプス酵母
15度(アルコール度数)

真田六文銭×にんにく焼き鳥・ねぎま

真田六文銭×にんにく焼き鳥・ねぎま
真田六文銭×にんにく焼き鳥・ねぎま

信州上田、真田家の家紋を酒名とし、地元で愛されてきた「真田六文銭」。勇ましいラベルの文字はそのままに、素材と造りはすべて見直され、山三酒造の精神を受け継ぐ酒として復活を遂げました。

口当たりジューシーでありながら、後口はキリッと硬派な印象。山三らしさのなかに、ひと味違った個性が光ります。

少し熱めにお酒を温めながら、にんにくを串に刺した焼き鳥と、ねぎまをスタンバイ。信州上田のご当地グルメ、にんにく醤油タレでいただく「美味だれ(おいだれ)焼き鳥」をイメージしたおつまみです。

パンチのきいた焼き鳥をほおばりながら、燗酒をコクリ、コクリ。タレの旨味とキリッとした酒の風味が絡み合い、もう1本、もう1杯と食と酒が進みます。

「150年の歴史をもつ地元の蔵を守りたい」蔵元のそんな想いが心に染みる、信州上田の地酒です。

真田六文銭 初陣(ういじん)
希望小売価格 1,870円(税込)
無濾過生原酒
ひとごこち(原料米)
磨き六割(精米歩合)
獨鈷山系伏流水
七号酵母
16度(アルコール度数)

まとめ

黄金色に実った稲穂が頭を垂れる、秋の信州上田。2期目の仕込みを間近に控えた蔵元は、「スパークリング酒など新たなジャンルも視野に入れながら、山三のスタンダードといえる酒の完成を目指したい」と今後の展望を語ってくれました。

復活を遂げた山三酒造では、古くから変わらぬ自然の恵みを礎に、蔵元と杜氏、蔵人たちの手によって新たなストーリーが紡がれようとしています。

受け継がれてきた伝統と、これから始まる歴史の1ページに想いを馳せながら山三酒造の日本酒を味わってみてはいかがでしょうか。

山三酒造株式会社
[住所]長野県上田市御嶽堂687-1
[電話番号]0268-42-2260
[公式サイト]https://yamasan-sake.jp/index.html