酒粕は、涼しい場所であれば常温保存できる食品です。冷蔵庫や冷凍庫に入れれば、保存期間はさらに長くなります。「粕漬けや粕汁、甘酒のために購入したものの使い切れそうにない」というときは、冷蔵や冷凍保存がおすすめです。
今回は、酒粕の保存方法について詳しくお伝えします。おいしいまま保存し、ぜひ酒粕を日々の食卓に取り入れてみてください。
目次
1.保存袋に入れて密閉して冷蔵保存【保存期間:約6カ月】
酒粕は常温でも保存できますが、日持ちさせたいのであれば冷蔵保存がおすすめです。熟成による色や風味の変化をおさえながら、長期間保存できます。
常温の場合は、直射日光の当たらない涼しい場所を選んでください。未開封であれば3カ月ほど保存できます。
時間とともに熟成が進むと、色が茶色くなったり赤くなったりしますが調理できないわけではありません。熟成の進み具合に応じておいしくいただけます。
冷蔵庫に入れると熟成のスピードがゆるやかになり、約6カ月保存できます。未開封であればそのまま、開封済みのものは保存袋に入れ、密閉した状態で冷蔵庫に入れてください。
また、酒粕は形状によって「板粕」「バラ粕」「練り粕」と以下の3タイプにわかれます。
1-1.板粕
名前のとおり、板状になった酒粕です。板粕は、大きなアコーディオンのような機械でお酒を搾ったときにできあがります。機械でぎゅーっとお酒を搾ったあと、何層にもなった袋の中に残った酒粕を1枚1枚ていねいにはがしたものが板粕です。
板粕は、開封後も袋から出さず、そのまま密閉袋に入れて保存しましょう。少々固いため、調理の際は水や出汁などでやわらかくしてから使用してください。
1-2.バラ粕
バラ粕とは、あらくカットした板粕や、板状にならずバラバラとくずれた状態の酒粕のことです。
日本酒のなかでも「大吟醸(だいぎんじょう)」や「吟醸(ぎんじょう)」と呼ばれるお酒の酒粕は、バラ粕が主になります。米を低温発酵させるため、米粒が溶けきらず1枚の板状にならないケースが多いからです。
バラ粕も板粕と同様に、開封後も袋から出さず、保存袋で密閉した状態で冷蔵保存してください。板粕よりもやわらかいため溶けやすく、スムーズに調理できます。
1-3.練り粕
練り粕は、板粕やバラ粕を低温でさらに熟成させたものです。ペースト状のため使い勝手が良く、魚や野菜の粕漬けなどに使用できます。
練り粕の冷蔵保存も、袋から出さず保存袋に入れる方法が基本です。空気はしっかりと抜いた状態で冷蔵庫に入れてください。
2.長期保存は冷凍がおすすめ【保存期間:約1年】
「酒粕がたくさんあって使い切れない」「少しずつ長い間楽しみたい」というときは、冷凍保存がおすすめです。ラップやビニール袋でしっかりと包めば、アルコール分の揮発や乾燥を防げます。
調理の際は、冷蔵庫か常温で自然解凍させてから使用します。汁物の場合は、直接入れて溶かしてしまうのも1つの方法です。
また、使う前に少量の日本酒に浸すと風味がアップします。冷凍で酒粕がパサついてしまったときにもおすすめなので、ぜひ試してみてください。
2-1.板粕
板粕は保存袋の大きさに合わせてカットし、1枚ずつラップに包んでから冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
酒粕は冷凍しても硬くならないため、極端に小さくする必要はありません。調理の際は手でちぎって使用できます。
2-2.バラ粕・練り粕
バラ粕や練り粕は、冷蔵用保存袋に直接入れて保存します。ポイントは、袋に入れたら薄く平らに広げることです。
空気を抜いて冷凍すれば、冷蔵庫内で場所を取らず立てて保存することもできます。調理の際は、バラ粕はほぐして、練り粕はスプーンなどで取り出して使用してください。
3.冷凍した酒粕は甘酒や粕汁などに
冷凍した酒粕は、甘酒や粕汁などに使用できます。前述したように、粕汁などのような汁物の場合は、解凍なしでOKです。冷凍の酒粕を煮汁で溶きほぐし、味噌などと一緒に調理すれば手軽においしい粕汁ができあがります。
鍋に沸かしたお湯に冷凍酒粕をほぐしながら入れ、砂糖で調味すれば甘酒も楽しめます。注意したいのは、米麹(こめこうじ)を原料にする甘酒と違い、酒粕から作る甘酒にはアルコール分が含まれていることです。車を運転する方や妊婦さん、お子さまは飲酒を控えたほうがよいでしょう。
まとめ
酒粕は、日本酒を搾ったあとに残る栄養豊富な食品です。冷蔵庫や冷凍庫で保存すれば、ほしいときに少量ずつ手軽に使用できます。「購入したものの使い切れないな」と悩んでいるときは、ぜひご紹介した方法を試してみてください。酒粕の存在がもっと身近なものになりますよ。