福島県を代表する地酒「飛露喜」(ひろき)は、人気の高さと生産量の少なさから、入手困難とも言われる日本酒です。香り、味とも決して奇をてらうことなく、誰が飲んでも美味しいと思える究極の味わいを実現しています。
こちらでは、一度は廃業にまで追い込まれていた酒蔵で生まれた、飛露喜誕生のエピソードや種類、購入先をご紹介!日本酒初心者にもおすすめのすっきりした味わいを、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
1.日本酒の飛露喜(ひろき)とは
飛露喜は、甘みと香り、旨味のバランスに優れた味わい深い日本酒です。中でも、人気のきっかけとなった「無濾過生原酒」は、蔵を代表する銘柄となっています。
現在は火入れ酒も製造している飛露喜は、最高品質の酒を求め、麹米に山田錦のみを使用。掛米には蔵から20km圏内で収穫される五百万石を使用し、地酒にこだわった味わいを実現しています。
「いつ、何度飲んでも変わらない味」をポリシーに造られる飛露喜は、味の安定性に優れたお酒。2012年の「SAKE COMPETITON」純米酒部門1位を皮切りに度々受賞を果たし、王道の酒としての味わいを極め続ける日本酒です。
1-1.酒造元について
会津坂下の街中にある廣木酒造は、200年の歴史を誇る老舗酒蔵です。9代目・廣木健司氏が蔵元杜氏を受け継いだのは、1997年(平成9年)のこと。経営難だった蔵の立て直しに模索を始めようとした矢先、先代である8代目が58歳の若さで急逝されます。
一時は廃業をも覚悟する中、酒蔵の苦境がテレビ放映されると、放送を見た有力酒販店から「蔵を応援したいから酒を送ってみてほしい」と連絡が入ります。しかし、実際に廣木酒造のお酒を口にした酒販店の感想は「この味では勝負できない」というものでした。当時の蔵の味は、あくまでも新潟の人気銘柄を意識したものだったのです。
翌年、廣木氏は自分が本当に納得した「無濾過生原酒」を再び酒販店へ送付。確かな酒質が評価され販売が始まると、無濾過生原酒ブームも後押しし「飛露喜」は一躍人気を集めます。福島の新星であった酒蔵は今や全国へその名を広げ、現在は東北の若手蔵元が目標とする蔵としても注目を集めています。
1-2.飛露喜という名の由来
蔵元の苗字「廣木」にあてた酒銘「飛露喜」には、「喜びの露(酒)がほとばしる」という意味が込められています。酒蔵の再起のきっかけとなった飛露喜は、まさに蔵に喜びを運んできたお酒。飲み飽きしない味わいに優れ、日本酒好きにも大きな喜びを生み続ける銘柄だと言えるでしょう。
2.飛露喜の種類について
飛露喜は火入れの回数を抑えた生詰めタイプを中心に、米の旨さを活かした純米酒や純米吟醸を展開している日本酒です。価格は1本あたり2000円から4000円台が主流となっており、コストパフォーマンスに優れた確かな酒質が多方面から支持されています。
2-1.吟醸生酒
精米歩合 | 酒米 (麹米/掛米) | 価格 |
50% | 山田錦/五百万石 | 1800ml:3300円(税込) |
評判
キレのある酸味と品のある吟醸香が際立つ日本酒です。深みのある味わいは、素材の良さを活かした和食にも適しています。
適度な甘さと渋さ、旨味の後に訪れるのは、うっすらとした苦み。生酒本来のフレッシュな味わいが後引く夏におすすめの吟醸酒です。
(出典元:矢島酒店)
2-2.純米吟醸 山田穂
精米歩合 | 酒米 (麹米/掛米) | 価格 |
50% | 山田穂、山田錦/山田穂 | 1800ml:3960円(税込) |
評判
幻の酒米とも言われる「山田穂」を使用した純米吟醸です。山田穂は、酒米の王者とも言われる山田錦の母親系統にあたる酒米。山田錦より草丈が高いため倒れやすく、栽培が難しいとされる品種です。
山田穂を使い、廣木酒造の確かな技術によって生まれた純米吟醸はふくよかな旨味が感じられるお酒。米の旨味を堪能しながら、じっくりと味わいたい銘柄です。
(出典元:矢島酒店)
2-3.純米大吟醸 山田錦 100%
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 | 価格 |
40/50% | 山田錦 | 720ml:2970円(税込) |
評判
麹米、掛米ともに「山田錦」を使用した日本酒です。酒米の最高峰とも言われる山田錦は、心白(しんぱく)と呼ばれる米の中心部分が大きく、香り高く味わいの優れた日本酒ができると言われています。
山田錦を100%使用した飛露喜は、フルーティーでありながらすっきりとした味わいが魅力。甘党から辛党まで、幅広い好みに応じたバランスを兼ね備えた銘柄です。
(出典元:矢島酒店)
2-4.純米吟醸(黒ラベル)
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 (麹米/掛米) | 価格 |
40/50% | 山田錦/五百万石 | 720ml:1870円 |
評判
純米吟醸黒ラベルは、定番シリーズの中でも最高峰となる銘柄です。これぞ日本酒という米の香りと旨味が際立つ仕上がりとなっています。
フルーティーな香りの日本酒が話題になることも多いなか、黒ラベルはあくまでも穏やかな香りと味のバランスが持ち味。ついつい飲み進めてしまう魅力に溢れた日本酒です。
(出典元:矢島酒店)
2-5.特別純米
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 (麹米/掛米) | 価格 |
50/55% | 山田錦/五百万石 | 1800ml:2860円(税込) |
評判
廣木酒造の通年商品となる銘柄です。一年を通し安定した酒質を実現した、蔵を代表する自信作でもあります。
香りは果実のようにまろやかで、すっきりした味わいの中に深い旨味があるのが特徴。すっきりとキレもよく、天ぷらのような料理の油分もさらりと流してくれます。一口飲むたびに、しみじみとした美味しさが感じられる日本酒です。
(出典元:矢島酒店)
3.飛露喜の購入方法
安定した酒質を求め少量仕込みにこだわる飛露喜は、販売数の少ない日本酒です。希少性の高さがさらなる人気を呼び、市場では入手の難しい銘柄のひとつでもあります。
銘柄の多くが要冷蔵を求められる飛露喜は、日本酒の品質管理に優れた正規取扱店での購入がおすすめ。こちらではその一部をご紹介します。
3-1.飛露喜が購入できる実店舗
「飛露喜」を実店舗で購入する際は、多くの地酒を取り扱う正規取扱店を選ぶのがポイントです。生産量の限られた飛露喜は品切れになってしまうことも多いため、お求めの際は事前に確認してからお出かけくださいね。
地酒銘酒 小山商店 | 東京都多摩市関戸5-15-17 | 042-375-7026 |
地酒専門店 鈴傳 | 東京都新宿区四谷1-10 | 03-3351-1777 |
渡辺宗太商店 会津酒楽館 | 福島県会津若松市白虎町1番地 | 0242-22-1076 |
3-2.飛露喜が購入できる通販サイト
飛露喜は大手通販サイトでも購入できますが、正規の価格ではない価格で販売されていることがあるので注意が必要です。また、日本酒を専門に扱っていないお店では、品質管理が行き届いていない場合もあります。
直接商品を手にすることができない通販サイトは、日本酒に適した保存管理を行っている専門ショップを選ぶのがおすすめ。入手困難とも言われる飛露喜は品切れになることも多いため、ぜひ入荷をこまめにチェックしてみてください。
4.飛露喜の美味しい飲み方・楽しみ方
通常であれば2回行う火入れを、1度のみに限った生詰めタイプが多い飛露喜は、冷蔵保管が基本となるお酒です。人気の火付け役ともなった「無濾過生原酒」も、常温では品質が劣化してしまいます。
適度に冷やしてすっきりした美味しさを楽しむ飛露喜は、天ぷらのような揚げ物と合わせるのもおすすめ。さらりとした舌触りの飛露喜が料理の油分を流してくれるため、食事と一緒にすいすいと飲み進めることができますよ。
4-1.-5度で保管?
購入した飛露喜を美味しく保管するためには、温度管理がポイントとなります。日本酒は温度による酒質の変化を受けやすいお酒。蔵直送の味わいをキープするために理想的な温度帯は、酵母の働きがストップする-5℃だと言われています。
とはいえ、家庭用の冷蔵庫では-5℃をキープするのは簡単なことではありません。そこでおすすめしたいのが、日本酒専用に開発された冷蔵庫「日本酒セラー」です。日本酒に大敵な紫外線を避けつつ、-5℃をキープできるセラーなら、一度開栓した日本酒も美味しいまま保管できます。
日本酒セラーがない場合には、紫外線のあたらない冷暗所で縦置きで保管するのがおすすめ。日本酒は空気に触れると酸化しやすくなるため、開戦後はなるべく早く飲みきるように心がけてくださいね。
5.飛露喜の期間限定品
飛露喜は通年商品となる銘柄以外にも、季節に合わせた限定品を販売しています。春から夏にかけて製造されるのは、生詰めタイプのフレッシュな味わいのお酒。12月上旬に販売されるその年の新酒は、霞のようにうっすらとにごったその名も「かすみざけ」です。
その他、鑑評会出品規格の「出品吟醸」、愛山や雄町、山田錦といった酒米にこだわった純米吟醸など、不定期に販売される限定酒も多数。限られた高品質の味わいが、ますますファンの心を惹きつけています。
6.まとめ
一度は廃業まで追い込まれた酒蔵を、一躍福島を代表する蔵へと引き上げた「飛露喜」。無濾過生原酒のヒットをきっかけに、まっすぐな酒造りで生まれた火入れ酒の数々は、日本酒好きから高い支持を得ています。
甘口でも辛口でもない、幅広い好みに寄り添う飛露喜は、まさに日本酒好きのために生まれたお酒。お好みの料理と合わせて、ぜひすっきりと澄み切った味わいをお楽しみください。