「甘酒」は、疲労回復効果が期待できると近年注目を集める飲み物です。ノンアルコールタイプの米麹を使った甘酒は、小さな子どもでも楽しめます。お酒の風味を感じたいときは、微量のアルコール分を含む酒粕甘酒もおすすめです。
今回は、甘酒の栄養素や効果的な飲み方などを紹介します。江戸時代には夏の栄養ドリンクだったという甘酒。その魅力をぜひチェックしてみてくださいね。
目次
1.甘酒とは?
甘酒は、「飲む点滴」といわれるほど栄養豊富な発酵食品です。その歴史は古く、江戸時代には夏バテ予防の飲み物として人々の間で親しまれていました。
甘酒の種類は、米と米麹を使う「麹甘酒(こうじあまざけ)」と、酒粕を使う「酒粕甘酒」の2つにわかれます。
麹甘酒がノンアルコールであるのに対し、日本酒を搾った後の酒粕を使う酒粕甘酒には、少量のアルコール分が含まれているのが特徴です。
1-1.麹甘酒
麹甘酒は、米と米麹、水を主原料とする甘酒です。米を使わず、米麹と水だけで作るパターンもあります。
そもそも米麹とは、蒸した米に麹菌をふりかけ、繁殖・発酵させたもの。甘酒はもちろん、味噌や醤油など日本の伝統的な調味料に欠かせない存在です。
一般的な麹甘酒は、柔らかく炊いた米に水と米麹を加え、温度調整しながら発酵させて作ります。麹甘酒の甘さは、麹菌がつくる酵素(アミラーゼ)の働きにより生まれるものです。
酵素が米や麹菌のでんぷん質をブドウ糖へと分解することで、砂糖を加えなくても自然な甘さに仕上がります。
1-2.酒粕甘酒
酒粕甘酒は、酒粕と砂糖、水で作る甘酒です。酒粕は、日本酒の原料をアルコール発酵させた醪(もろみ)と呼ばれる液体を搾ったあとに残る固形物。そのため、酒粕甘酒には微量ながらもアルコール分が含まれています。
酒粕甘酒もまた、ビタミンをはじめとする栄養素が豊富な飲み物です。酒粕ならではのお酒の風味も感じられます。
2.甘酒に含まれている栄養素
麹甘酒には、主に以下のような栄養素が含まれています。
- ブドウ糖
- 必須アミノ酸
- ビタミンB群
- 食物繊維
- オリゴ糖
栄養豊富な酒粕で作る酒粕甘酒も、タンパク質や食物繊維、ビタミンなどを含む飲み物です。
江戸時代には夏の風物詩として「甘い、甘い、あまざけ~」と、売り歩く人がいたという甘酒。現代人にとってもうれしい効果の数々を、次の章から詳しく紹介していきますね。
3.甘酒によって期待できる効果
甘酒によって期待できる効果は、疲労回復効果や美肌効果など多岐に渡ります。冬は体を温めるホットドリンクとして。暑い夏には冷たく冷やし、夏バテ予防にいただくのもおすすめです。
3-1.ダイエット効果
麹甘酒に含まれるブドウ糖は、脳のエネルギー源となる栄養素です。また、消化を助け血糖値を上げる働きがあります。
血糖値が上がると脳の満腹中枢が刺激され、ダイエット中の食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。ただし、飲みすぎによるカロリー過多には気を付けてくださいね。
3-2.美肌・美髪効果
甘酒に含まれるビタミンB群には、たんぱく質の代謝を助ける作用があります。肌の新陳代謝を促すだけでなく、爪や髪などを健やかな状態へと導いてくれる栄養素です。
また、米由来のグルコシルセラミドは、肌の潤いをサポートするといわれています。甘酒の栄養素は吸収率もよく、美容面でのさまざまな効果を期待できるでしょう。
3-3.腸内環境を整えてくれる
甘酒に含まれる食物繊維やオリゴ糖は、善玉菌の繁殖を助け、腸内環境を整えてくれます。お通じがよくなり、便秘を原因とする肌トラブル改善にも効果的です。
特に、食物繊維は血糖値の上昇を抑えるほか、血液中のコレステロール濃度を低下させる働きがあります。日常生活で不足しやすく、積極的に摂取したい栄養素のひとつです。
3-4.疲労回復
甘酒は、ビタミンB1やB2、B6といったビタミンB群が豊富な飲み物です。特に、ビタミンB1は疲労回復に効果的な栄養素といわれています。
また、甘酒に含まれるブドウ糖は分子が小さく吸収されやすいことが特徴です。そのため、夏バテしたときや運動後などの素早いエネルギー補給に適しています。
3-5.抗酸化作用がある
主に麹甘酒に含まれる栄養素、エルゴチオネインには、高い抗酸化作用があるといわれています。抗酸化力はビタミンEのおよそ7000倍と、高い美肌効果やアンチエイジング効果が期待できる抗酸化物質です。
森永製菓の研究では、甘酒を継続して飲用したところ、目の下のクマや毛穴のたるみ改善に効果がみられたと発表されています。甘酒は体の内側、外側ともにうれしい効果をもたらす発酵食品といえそうですね。
4.甘酒の効果的な取り入れ方
甘酒の効果を高めるには、飲むタイミングと飲み方にひと工夫。ぜひおいしく、効果的に甘酒を毎日の生活に取り入れてみてください。
4-1.タイミングは朝がおすすめ
甘酒を飲むタイミングは、体内リズムがリセットされる朝がおすすめです。甘酒に含まれるエネルギー源を、1日の活力として素早くチャージできます。
午後に飲むなら、3時のおやつの代わりに甘酒を選んでみましょう。少ない量でも満足感が高く、午後の作業に向けて疲労回復できます。
また、夜は甘酒のストレス緩和効果が期待できるタイミングです。甘酒に含まれるGABAなどの物質には、リラックス作用があるといわれています。甘酒を温めれば体内温度も上昇し、安眠効果も得られるでしょう。
甘酒はさまざまな健康効果が期待できる飲み物ですが、栄養豊富なぶん、飲みすぎるとカロリー過多につながってしまいます。自分に合ったタイミングを見つけながら、適度に摂取するように心がけてくださいね。
4-2.甘酒にアレンジを加えるのもおすすめ
甘酒にアレンジを加えると、栄養素をプラスしながらいろいろな味わいを楽しめます。
おすすめは、好きな果物や野菜とミキサーにかけた甘酒スムージーです。忙しい朝でも手軽に栄養補給できます。
たんぱく質を摂取したいときは、甘酒にきな粉をプラスしてみてください。日々の食事で不足しがちなたんぱく質を摂取できます。
温めた甘酒にココアを溶かせば、甘さ引き立つあったかドリンクのできあがりです。食物繊維やポリフェノールを含むココアの健康効果も期待できます。
まとめ
「飲む点滴」といわれるほど栄養豊富な甘酒は、美容効果や健康効果が期待できる飲み物です。温めたり冷やしたりと、アレンジも楽しめます。
日本で古くから親しまれてきた甘酒。発酵が生み出すおいしさと効果を、毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。