日本酒専門の酒販店・株式会社さくら酒店(本社:岐阜県大垣市 代表取締役:近藤 悠一・駒澤 健)は、コロナ禍で国内での販売が激減し在庫を抱える蔵元の支援を拡大するために輸出の強化に乗り出しました。行き場を失った日本酒を蔵から買い取り、マイナス5℃で氷温熟成させ、付加価値をつけて海外に販売することで、日本酒蔵の企業存続を手助けします。
背景
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、飲食店の営業自粛やイベントの中止などが相次ぎ、酒蔵の倉庫には出荷できずに売れ残った日本酒が山積みになっています。昨冬に造ったお酒は時間が経つにつれて味わいが劣化し、適切な温度管理を施さないともう売り物にはなりません。そんな行き場を失った日本酒を「マイナス5℃」というお酒が凍り始める一歩手前の環境下で熟成させることで、お酒本来の味わいを損ねることなく、鮮度と熟成感を兼ね備えた新感覚の味わいを生み出すことに成功しました。それを国内ではなく、コロナ対策に成功した海外の国や地域に向けて販売することにいたしました。
どうしてマイナス5℃なのか
温度が高いと化学反応の速度が速まり、温度が低いと遅くなることを「アレニウスの法則」と言います。お酒の中には味わいや香りを形成する様々な成分がありますが、温度が高いとこれらの成分が変化するスピード、つまり味わいが崩れるスピードは速くなります。特にお酒の中に含まれる酵母や酵素は、温度が高いほど活発に活動し、味わいの成分を著しく変化させてしまいます。これらの活動を最小限に抑え、かつ味わいのバランスを最も良く保つには、お酒が凍る一歩手前の、できるだけ低い温度で保管することが必要になります。その温度こそが「マイナス5℃」なのです。日本酒はアルコール度数が高いので、マイナス5℃でもぎりぎり凍りません。
このマイナス5℃熟成は、Makuakeのクラウドファンディングでも達成率675%(6,751,390円)のご支援をいただきました。
※参考
Makuake URL: https://www.makuake.com/project/sakurasaketen/
輸出先の選定
しかし、いくら温度管理を徹底しても、季節商品の場合はその季節が過ぎてしまうと売り時を逃してしまいます。例えば、商品名に「春」と書かれていれば、夏以降は売れません。蔵元の倉庫には、緊急事態宣言の影響で売れ残った春の季節商品もたくさん眠っています。
そこで、日本と比べ四季がはっきり分かれていないアジアの国や地域で、Made in Japanのモノを高く評価してくれ、かつ新型コロナウイルスの影響も比較的少ない香港をメインの輸出先に選びました。香港の輸入業者とは今まで築いてきた信頼関係と販売網があり、日本からの輸送や現地での保管も氷温での管理が可能です。
成果
【実例1】岐阜県美濃加茂市『御代桜醸造株式会社』
6代目蔵元である渡邉博栄氏の「八方塞がりの日本酒業界は厳しい局面を迎えています。貯蔵している商品を積極的に資金化して、次の酒造年度での新たな挑戦に備えたいのが本音です。」との声を聴き、香港・台湾へ季節商品を輸出しました。
・例年なら発売直後に完売になる春の限定酒「津島屋外伝 44歳の春 純米大吟醸 生原酒」をマイナス5℃で熟成させ、まずは台湾へ2020年6月に輸出。
・春から夏にかけての季節商品を3種類ブレンドした「津島屋外伝 三本の矢」を2020年9月に香港へ輸出。
・春の季節商品になる予定だったお酒をタンクごと買い取り、オリジナル商品「鎮星黄龍 純米大吟醸 中取り」として通年で香港に輸出。
【実例2】高知県香美市『株式会社アリサワ』
全国新酒鑑評会で7年連続金賞を受賞している「文佳人 大吟醸」(2020年4月発売)。5代目蔵元の有澤浩輔氏は今年も金賞を狙って仕込みましたが、新型コロナウイルスの影響で全国新酒鑑評会の決審が中止となってしまいました。例年だと春の鑑評会の結果を受けて夏には完売していた同商品ですが、今年は秋口まで売れ残っていました。これをマイナス5℃でじっくり熟成させ、2020年10月に香港に輸出しました。
このように本来国内で流通するはずだった日本酒を再評価して買い取り、経済活動が回復傾向にある国や地域に輸出することで、蔵元の今期の酒造りの資金の一部を創出することができます。
ただ単に在庫処分として国内流通できなかったものを海外で流通させるのではなく、マイナス5℃熟成により飲み頃のピークを持続させた特別な日本酒として現地の飲み手の心をくすぐりながら、日本酒そのものの価値を高める取り組みです。
会社概要
株式会社さくら酒店
代表取締役:近藤 悠一・駒澤 健
本社所在地:岐阜県大垣市開発町3-183
事業内容:日本酒の小売(通販含む)・卸売・輸出
公式HP:https://sakurasaketen.com
大学時代の同級生2人で立ち上げた日本酒専門店です。在学時、一緒にアルバイトをしていた日本酒バーで手造りの日本酒の魅力に惹かれ、お互いの海外留学をきっかけに「日本の文化である日本酒を世界に広めよう」と意気投合。その後、東京の「はせがわ酒店」、大阪の「山中酒の店」でそれぞれ修業を積み、2013年に起業しました。
さくら酒店の一番のこだわりは輸出と品質管理です。それは2人が留学時代に現地のレストランで飲んだ日本酒が、本来の味とはかけ離れて美味しくなかったという経験から来ています。ワインはしっかり温度管理されて美味しい状態で出てくるのに、日本酒は何年も前に造られたものが常温で放置されている現状を目の当たりにしました。あれではせっかく蔵元が美味しいお酒を造っても、お客様に飲まれる頃には完全に劣化してしまう―。そこで、各国の日本酒に精通した販売者たちとタッグを組み、酒蔵から海外の消費者の元に届くまで徹底した冷蔵流通を実現させました。現在は13の国と地域へ輸出しています。国内においても、いまだ常温流通がまかり通っている中、マイナス5℃の氷温倉庫を自社で作り、毎日ベストコンディションの日本酒を全国のこだわりの飲食店・日本酒ファンの元にお届けしています。
近い将来、世界中の名だたるレストランでワインと同じように日本酒が本来の味わいで提供されること、そしてその価値観の「逆輸入」により低迷する国内の日本酒消費を底上げすることを目指しています。
実績
・13の国と地域への日本酒の輸出
・フランス大使館およびルーマニア大使館でのイベント出展
・賛否両論、ミシュラン掲載店をはじめ国内500軒超の飲食店への日本酒提供
・「岐阜の地酒で乾杯」(3000人規模、岐阜最大の日本酒イベント)主催
・全国商工会連合会によるドイツ、イタリア、フランスの国際展示会への國酒出展事業を支援
・NHK文化センター、毎日文化センター、阪急百貨店、グローバルビジネスカレッジでの日本酒講座講師
・オンライン酒蔵見学ができる「オンライン飲み会with蔵元」を開催中
・マイナス5℃熟成日本酒の定期お届けサービス「日本酒おまかせ便 -酒標-」をリリース
(情報提供:PR TIMES)