今回は、秋田県横手市で1689(元禄2)年創業の日の丸醸造「まんさくの花 巡米70 亀の尾編」です。日の丸醸造は秋田県でも内陸の横手市にあります。横手といえば「横手焼きそば」ですが、横手市HPによれば「雪まつりとやきそばの街」だそうです。
日の丸醸造について
現在、商標権第四条により商標登録ができない「日の丸」という名称を使っている酒蔵ですから相当な歴史がありますね。日本酒「日の丸」は地元酒として、創業当時から呑まれています。また、日の丸醸造でしか使用できない「日の丸」という酒米も作っています。
蔵は戦時中に一時廃業させられましたが、昭和23年に大幅に規模を縮小して再開。昭和56年にNHKの朝ドラで「まんさくの花」が秋田県横手市を舞台に放映されたのを機に日本酒「まんさくの花」が誕生しました。「まんさくの花」はそれまでの「日の丸」とは違って『きれいで優しい酒質』をコンセプトにしています。レギュラー酒と季節限定品があり、後者は少量生産で、数多くの組み合わせで醸しています。
「まんさくの花 巡米70 亀の尾編」
さまざまな酒米を同条件で醸していく巡米シリーズです。
秋田県産亀の尾100%使用で70%精米です。開栓するとマスカットのような香りが広がり、酸味があります。甘味は少なく旨味があり、苦みも少しあり、そのおかげでスッキリと流れていきます。亀の尾ってこんなに苦かったんだと認識させてくれる味わいです。
亀の尾はかつて日本三大品種として、酒米だけでなく食用米として重用されていましたが、背が高くて栽培しにくいということで廃れていきました。それを新潟県の久須美酒造が復活させたわけですが、今では山形県や秋田県のほうが作付面積も多くなっています。そのせいで山形県の日本酒でけっこう使われていますね。
「まんさくの花」では、亀のイラストが描かれたものが知られていますが、この巡米シリーズだと他の酒米と比較することができますので、興味深いです。呑んだところで言うと「愛山」「秋田酒こまち」のフレッシュな感じがなかったので、ちょっと意外な感じでした。そこは好みなので、チャレンジしていただきたい一本です。