今回は、1878(明治11)年、青森県油川大浜で創業された西田酒造店「田酒 純米大吟醸 四割五分 吟烏帽子」です。油川は青森駅から津軽線でひとつ、青森湾に面した港町です。鎌倉時代から戦国時代にかけて“外ヶ浜”<津軽半島東海岸一帯>で最も栄えていた港でした。
西田酒造店について
西田酒造店は純米酒の「田酒」のほかに、創業以来の銘柄である「喜久泉」、醸造アルコールを適量添加した淡麗辛口の「喜久泉」には「善知鳥」という高価な銘柄があります。以前は地名を冠した「外ヶ濱」という銘柄もありましたが、現在は田酒に統一されたようです。
「田酒」は「日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」という一念で商品化に着手。1974(昭和49)年1月に発売されました。それ以来、半世紀にわたって日本酒界をリードする銘柄として人気が持続している驚異的な銘柄です。変化するニーズに適応してきたことが理由ですね。注文するお酒に困ったときに田酒があれば、頼んでもまちがいありません。
「田酒 純米大吟醸 四割五分 吟烏帽子」
青森県産吟烏帽子100%使用で45%精米です。「吟烏帽子」は2017年に誕生し2019年から使用酒がリリースされた青森県の新しい酒米で、田酒初となります。青森県南特有の冷たく湿った「東風(やませ)」に耐える品種ということで開発されました。香りは控えめで、呑んでみると、辛口というほどではありませんが、ドライな感じです。甘味はあまりなく、旨味は感じますがスッキリと喉を通っていきます。
辛口ブームから旨口ブームまで幅広く対応してきた田酒です。「吟烏帽子」に挑戦するのもその一環となりますね。そういう姿勢が「青森県の不動のエース」の座を半世紀にわたって守り続けている理由だと思います。