日本酒は米・水・米麹から作られるお酒です。この3つの原材料から、どのように日本酒が造られているのか、一つ一つの工程にスポットをあてて紹介していきます。第六回目は、約一カ月間かけてじっくり発酵させたもろみを搾り原酒と酒粕に分ける「上槽」と、微生物の殺菌とともに酵素の働きを止める「火入れ」についてです。
まずは日本酒ができるまでを簡単に紹介します。
酒造りは、原料となる玄米を精米し、白米にすることから始まります。その後、白米を洗い(洗米)、水に浸け(浸漬)、蒸す作業(蒸米)が行われます。蒸した米の2割ほどが、麹造り(製麹)に用いられます。
麹が完成すると、次の作業である仕込みに移ります。タンクに蒸米と麹と水を入れ、酵母を増やしていく、重要な作業です。仕込んだ後は、約一カ月間かけてじっくり発酵させていきます。
発酵を終えたらもろみを搾り、原酒と酒粕に分け(上槽)、大半の日本酒は火入れを行い貯蔵します。数カ月から数年間貯蔵した後、香味を整え、瓶詰めをしてついに完成です。
それでは本題の「上槽」「火入れ」の話に移りましょう。
「上槽」とは、約一カ月かけて丁寧に育てたもろみを搾り、原酒と酒粕に分ける工程のことを指します。ちなみに、この時搾られる原酒が透明で澄んでいることから、「清酒」と命名されたと言われています。
一気に圧力をかけるとお酒が濁り、酒質に影響を与えてしまうため、少しずつ圧力を上げていきます。そのため、タンク1本分(総米3t)のもろみを上槽するには、約半日間かかります。
(上槽担当・山崎)
朝日酒造では、酒粕は一枚一枚手ではがしています。ボロボロにならないよう丁寧に、板状のままはがしていきます。
その後は酒粕の総量を測り、米がどれくらい溶けたかの「粕歩合」を算出。粕歩合はもろみの発酵状態の指標になり、今後の造りの重要な参考データとなるのです。
もろみを酒袋(濾布)に詰め、槽と呼ばれる大箱にバランスよく積み重ねていきます。150袋ほどの酒袋が重ねられ、この圧力によりお酒がゆっくりと搾られます。
すべて手作業で行われる「槽搾り」、ここでも繊細な職人技がキラっと光っていました。
美味しいと喜んでいただけるよう、これからも腕とお酒を磨いていきます!」
(濾過・火入れ担当・柴木)
次回は蔵での最終工程、「貯蔵」についてご紹介します。