九州というと焼酎をイメージしがちですが、福岡県には美味しい日本酒が数多く存在します。南部に広がる筑後平野では、原料となる米栽培も盛んです。
今回は、福岡の日本酒の特徴や、酒米などについて詳しくお伝えします。「福岡県のお酒を飲んでみたい!」という方は、おすすめ10選もぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.福岡の日本酒の特徴
福岡県は、全国有数の酒どころ。5代将軍、徳川綱吉の時代にはおよそ600もの造り酒屋が存在したといいます。国税庁の調査によると、国内に1,164存在する清酒製造業者のうち、福岡県の業者数は40と全国6位。なかには300年以上もの歴史を誇る酒蔵もあります。
明治時代には生産量2位にも輝いた福岡県の日本酒。現在は、地産地消の酒造りとして酒米栽培にも力を注いでいます。
参考:国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和3年調査分)」
2.福岡で作られている酒米(酒造好適米)
酒どころ福岡県は、稲作が盛んな米どころでもあります。稲作発祥の地ともいわれ、酒米の代表種「山田錦(やまだにしき)」をはじめ、オリジナル品種の数々が地酒造りにいかされています。
2-1.山田錦
山田錦は、国内トップクラスの作付面積を誇る酒米です。酒造りに適した特性を持つことから「酒米の王様」と呼ばれています。
福岡県では、昭和20年代から山田錦の栽培がスタート。福岡市の西にあたる糸島地区を中心に、良質な米が育まれています。
2-2.吟のさと
吟のさとは、福岡県で作付けがスタートした品種です。2006年(平成18年)から福岡県の酒蔵「喜多屋」で試験醸造が始まり、2009年(平成21年)には吟のさとを使った日本酒がリリースされました。山田錦に似た特性を持つ吟のさとは、米を小さく磨く吟醸酒造りに適しているといわれています。
2-3.夢一献
夢一献(ゆめいっこん)は、山田錦に比べ草丈が低い品種です。そのため、台風などで倒れにくく栽培しやすい特性を持ちます。酒蔵の多い三潴(みづま)地区を中心に栽培されている福岡オリジナル酒米です。
3.福岡の日本酒おすすめ銘柄10選
福岡県は美味しい日本酒の宝庫。その多くが地元の人々に長年愛されてきた銘柄です。地元で栽培された山田錦や吟のさと、夢一献を使う蔵も多く、地酒の魅力を存分に堪能できます。
3-1.若波酒造 若波(わかなみ)
コンセプトは、「味の押し波・余韻の引き波」。「若波」という名には、蔵のそばを流れる筑後川のように、「若い波を起こせ」という思いが込められています。若き蔵人たちが造る酒は、本醸造酒に純米大吟醸、リキュールとバリエーション豊富。すっと引く余韻が料理とマッチし、心地よい酔いをもたらしてくれます。
(出典元:sakenomy)
3-2.白糸酒造 田中六五(たなかろくじゅうご)
「田中六五」を造る糸島酒造は、自然豊かな糸島に位置します。糸島は、山田錦の一大産地。「六五」という名は、65%精米の糸島産山田錦のみを使った純米酒であることを意味しています。定番酒を目指す「田中六五」は、日常に寄り添うやわらかな味わい。伝統のハネ木搾りという手法で生まれるのも特徴です。
(出典元:sakenomy)
3-3.山口酒造場 庭のうぐいす
かつては有馬藩の御用銘柄でもあった「庭のうぐいす」。その名は、北野天満宮からやってきたうぐいすが、庭の水で喉を潤したことに由来しています。全国にも多くのファンを持つ「庭のうぐいす」は、透明感のある味わいが魅力です。ちょこんと描かれたうぐいすもかわいらしく、和食からイタリアン、フレンチまで幅広いシーンに寄り添ってくれます。
(出典元:山口酒造場)
3-4.山の壽酒造 山の壽(やまのことぶき)
創業は江戸後期の1818年(文政元年)。「山の壽」8代目が目指すのは、酒造りの真を学んだうえでの独創的な挑戦です。変わり種の「ヤマノコトブキフリークス」に微発泡の「うたかた」と、次々と魅力的なお酒をリリース。地元福岡県から全国へとファンを広げる銘柄です。
(出典元:後藤商店)
3-5.みいの寿 三井の寿(みいのことぶき)
「三井の寿」から、『スラムダンク』の天才スリーポイントシューター三井寿(みついひさし)を思い出した方は、おそらくマンガ好きバスケ好き。三井寿の名は、作者が「三井の寿」のファンだったため取り入れたものです。鑑評会では多数の受賞歴を誇るなど、味も折り紙付き。糸島産山田錦や夢一献など、福岡県産の米の旨味を堪能できます。
(出典元:大和屋酒舗)
3-6.高橋商店 繁桝(しげます)
高橋商店は、創業1717年(享保2年)と300年以上の歴史を誇る酒蔵です。酒造りに使用するのは、福岡県産の米と矢部川の伏流水。伝統ある蔵から生まれる地酒は、長年多くの人々に愛され続けています。福岡県のお土産としてもおすすめしたい銘柄です。
(出典元:sakenomy)
3-7.喜多屋 喜多屋(きたや)
「喜多屋」は日本酒と本格焼酎の蔵元です。「純米大吟醸 燦燦」には、糸島産山田錦を贅沢に使用。「スパークリングクリスタル」は、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)で、日本酒スパークリング部門の最高賞を受賞するなど、贈り物にもおすすめのラインナップが揃います。
(出典元:喜多屋)
3-8.杜の蔵 杜の蔵(もりのくら)
「杜の蔵」は、米と水、技(人)という3つの要素を大切に、地元の恵みを生かした酒造りを続けています。造るのは、米と米麹、水を原料とした純米酒のみ。使うのは地元で契約栽培した酒米です。やわらかな味わいの「杜の蔵」は料理との相性が良く、冷やでも燗でも美味しく楽しめます。
(出典元:sakenomy)
3-9.旭菊酒造 旭菊(あさひきく)
「旭菊」は、商品の一部に無農薬栽培の山田錦を使う酒蔵です。蔵自ら田植えや草刈りに携わりながら、おだやかな香りと深い味わいの純米酒「旭菊 大地」を醸しています。地元産にこだわったお酒の数々は、適度に温めると味がよりまろやかに膨らみます。燗酒好きにもおすすめしたい福岡の地酒です。
(出典元:旭菊酒造株式会社)
3-10.池亀酒造 池亀(いけかめ)
池亀酒造では、日本酒「池亀」をはじめ焼酎などを製造しています。2007年(平成19年)には、焼酎造りに使用する黒麹を用いた日本酒「黒兜(くろかぶと)」をリリース。すべての大吟醸に、酒袋からこぼれる雫を集める製法“雫搾り”を用いるなど、こだわりあふれる商品が並びます。芳醇旨口タイプからキレのある辛口酒まで、選ぶ楽しみが広がる銘柄です。
(出典元:池亀酒造)
まとめ
福岡県では、豊かな自然に育まれた米と水を原料に数多くの地酒が製造されています。口あたりやわらかな旨口タイプから、キリッとした辛口タイプまで個性もさまざまです。
シンプルな原料で生まれる日本酒は、土地の個性を感じられることが大きな魅力。ときにはお酒のふるさとに着目して、日本酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。