日本酒のラベルに書かれる名前の数々。見慣れない漢字の並びに「え?これって何て読むの?」と気になったことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、読み間違えがちな名前の日本酒を15銘柄ピックアップしました!有名な銘柄もあるので、日本酒好きなら簡単に読めてしまうかも?ぜひ、いくつ読めるかチャレンジしてみてくださいね。
目次
1. 【初級編】読み間違えがちな日本酒7選
1-1. 作
三重県の清水清三郎商店で造られる「作」は、厳選した地元の素材を使用したお酒。「飲む人と提供する人、お酒に関わる全ての人で作り上げるお酒」という願いを込めてその名前は付けられました。
ガンダムに登場するモビルスーツと同じ読み方なので、最初にこの名前を知ったときに赤い彗星の彼の言葉が頭をよぎった方もいらっしゃるのではないでしょうか。笑
1-2. 獺祭
今や日本酒で最も有名な銘柄といっても過言ではないので、ご存知の方が多いでしょうか。
印象的な響きの名前は、旭酒造の所在地、獺越から一字とって命名されています。「獺」とは、動物のカワウソ(川獺)のこと。カワウソは魚を並べて置く習性があるらしく、それがお供え物に見えることから、旧暦の正月のお祭りを「獺祭」と呼ぶのだとか。
俳句の初春の季語としても(獺魚を祭る/かわうそうおをまつる)という言葉があります。
自らを獺祭書屋主人と呼び、日本文学に革命を起こした正岡子規のように、日本酒界に変革を起こしたいという酒蔵の想いが込められた「獺祭」。徹底した品質管理で生まれるその味は、今や国内のみならず世界でも高く評価されています。
1-3. 上善如水
歴史好きには有名な言葉ですが、読めない方も多いのではないでしょうか。
この言葉は古代中国のある有名な哲学者の言葉に由来しています。「上善は水の如し、水はよく万物を利して争わず、衆人の恵む所に拠る」。上善如水には、最高の生き方は水のようだという酒蔵の想いが込められています。
あの智将 黒田官兵衛が隠居後に如水と名乗ったことから、この「上善如水」から引用されたのでは?という説もあります。ちなみに、この有名な哲学者とは老子のこと、孔子ではありませんのでお間違えなく。
1-4. 田酒
田酒は青森県の西田酒造で造られるお酒。「田」は、酒米がとれる田んぼを意味し、米の旨味を活かした旨口の純米酒であることを表しています。
昭和45年に完全な手造り製法による純米酒醸造を始めてから、商品化にいたるまでの歳月は約3年。現在は幻の米ともいわれる酒米「古城錦」を復活させ、地元限定の商品も販売しています。しっかりとしたコクのある日本酒は和食だけでなく味の濃い洋食とも相性がよく、日本酒好きからもファンの多い銘柄です。
1-5. 仙禽
仙禽とは、仙人に使える鶴のこと。銘柄のシンボルとされるモダンなマークも、赤・白・黒を組み合わせた鶴を思わせるデザインとなっています。
文化3年創業という歴史を持つ蔵元の酒造りは、伝統の技を守りながらも常に先進的。古くて新しい「クラシック」、一段と上質な「プレミアム」、ワインを思わせる「モダン」に完全無添加の「ナチュール」と豊富なラインアップも魅力です。その土地だからこそ生まれる味わいにこだわった仙禽は、知れば知るほどクセになる日本酒ですよ。
1-6. 花陽浴
花陽浴は埼玉県の小さな酒蔵、南陽醸造で造られる日本酒です。姉夫婦と弟という少人数で造りはじめたお酒でありながら酒質の良さが評判を呼び、現在は入手の難しい銘柄のひとつとなっています。
その名前と明るいデザインのラベルのように、味わいは華やかで果実のようにフルーティー。上質なはちみつのようなとろっとした甘み、適度な酸味とコクのある旨味が印象的な日本酒です。珍しいその名前とともに、一度飲めば忘れられない日本酒になりますよ。
1-7. 鶴齢
鶴齢は、雪原に「鶴」が降り立つ新潟県で生まれたお酒です。その名前は、青木酒造の蔵元の先祖にあたる随筆家・鈴木牧之が命名したと言われています。
淡麗辛口が主流の新潟県の地酒の中で、鶴齢は芳醇な旨味とすっきり淡麗な味わいを兼ね備えているのが特徴。漬物や干物のような、地元の料理との相性を考えて造られています。飲み飽きしない味わいは、晩酌で日本酒を楽しみたいという方にもおすすめです。
2. 【中級編】読み間違えがちな日本酒8選
2-1. 別鶴
別鶴を造るのは、日本酒の大手メーカーである白鶴酒造。「若い世代に日本酒を飲んでほしい」「日本酒業界を盛り上げたい」という若手社員の想いで生まれ、Twitterでよく名前を間違えられることをあえてネタにされています。
「木漏れ日のムシメガネ」「陽だまりのシュノーケル」「黄昏のテレスコープ」などネーミングも個性的。酒造りには、今まで実用化に至らなかったお蔵入り酵母が使用されています。名前を知ったことをきかっけに、ぜひ新しい日本酒を試してみてはいかがでしょうか。
2-2. 而今
而今とは、「ただ、今、この一瞬」という意味。過去や未来にとらわれず「自分を信じ今この時を懸命に生きる」という杜氏の信念が名前には込められています。
木屋正酒造の6代目となる杜氏・大西氏が而今を世に送り出したのは、まだ20代の2004年。伊賀産の山田錦を中心に、愛山、酒未来、雄町と全国の良質な酒米で造られる而今は、今や人気銘柄となっています。華やかな香りと旨味、酸味のバランスも良く、イタリアンやフレンチと合わせるのもおすすめです。
2-3. 花邑
花邑は、幻の日本酒とも言われる「十四代」を造った、高木酒造の指導によって生まれたお酒です。米作りや製造方法だけでなく、ラベルのデザインやその名前も高木酒造の監修によるものです。
上品な甘さと白桃のように品の良い香り、かすかな苦みを感じる花邑は、生産量の少ない希少酒。日本酒好きであれば、出会えた時にはぜひ口にしてみたい1本です。
2-4. 紀土
紀土を造る平和酒造が位置するのは、稲作の盛んな和歌山県の溝ノ口。紀州の土を意味する名前の紀土は、田植えから稲刈りまで酒蔵と地域の人たちで行う日本酒です。
高野山の伏流水で仕込まれる紀土は、口当たりがやわらかくフルーティー。香りもほどよく飲みやすいので、暑い夏でもすいすい楽しめるのが魅力です。
2-5. 屋守
そのまま読むと「ヤモリ…?」と読めてしまう屋守。その名の通り、屋守は家(蔵)を守るという想いが込めれているお酒です。
屋守を造るのは、東京都東村山の豊島酒造。「東京都発のうまい酒を全国に発信したい」という4代目・田中孝治氏によって屋守は誕生しました。全量無ろ過・無加水で造られる屋守は、果実のような香りと優しい味わいが人気です。
2-6. ロ万
ロ万は、原料や製法まですべて会津産にこだわった福島県の地酒です。ロ万という名前には、酒米である地元産の「五百万石」の一文字が使われています。
ロ万シリーズと呼ばれる日本酒は、蔵元の夢とロ万が詰まった1本。うすにごりの生原酒や一回だけ火入れをしたお酒など、豊富なバリエーションも楽しいお酒です。
2-7. 悦凱陣
これは読めない!と思われた方も多いのではないでしょうか。悦凱陣は、香川県の小さな酒蔵・丸尾本店で造られるお酒。仕込みには昔ながらの木の釜が使用されています。
悦凱とは、戦いに勝って自分の軍に帰る凱旋のこと。代々「凱陣」という名のお酒を作っていた蔵元では、現在はその多くが「悦凱陣」となっています。タンクごとに味が異なり、しっかりした個性を持つ悦凱陣は、日本酒通にも好まれる1本です。
3. 番外編:このラベルは何の日本酒でしょう??
(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ)
流れるような書体で書かれた「〇〇〇〇の花」。これは、日の丸醸造で造られる秋田を代表する地酒です。山田錦や雄町、秋田酒こまちなど、9種類の酒米を使い分けるこのお酒は「巡米酒」とも呼ばれるお酒。
その名前は、地元を舞台としたNHKの連続ドラマのタイトルにあやかって付けられたと言われています。上品な名前とラベルのように、洗練された味わいが人気を得ている日本酒です。
まとめ
読み間違えがちな日本酒銘柄の数々、いかがでしたか?「よく見かけるけどちゃんとした読み方は知らなかった!」というものもあったのではないでしょうか。
酒蔵にとってわが子同然のお酒に付ける名前は、最もこだわりが現れる部分。「もっと難しい名前の日本酒を知っている!」という方は、ぜひ教えてくださいね。