2023年6月14日(水)、市販日本酒の品評会「SAKE COMPETITION 2023」の上位入賞酒が発表されました!
授賞式会場のザ・ペニンシュラ東京に集ったのは、上位に入賞した各蔵の代表者たち。プレゼンターとして、日本酒の魅力や文化を世界に広める活動を続ける中田 英寿氏、居酒屋探訪家としての活動で知られる吉田 類氏なども駆け付けました。
今回は熱気あふれる授賞式の様子とともに、各部門の結果、1位を受賞した蔵元へのインタビューをお届けします。
目次
「SAKE COMPETITION 2023」日本全国335蔵の日本酒が集結
「SAKE COMPETITION(サケ コンペティション)」は、世界最大級の日本酒品評会です。
「ブランドによらず消費者が本当に美味しい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい」という理念のもと、2012年にスタート。コロナ禍での休止を経て、2023年は4年ぶりの開催となりました。
“ブランドによらず”とあるように審査方式は銘柄を伏せたブラインド審査を徹底。酒造業界に精通する審査員たちによって、酒質のみを純粋に評価した世界一の日本酒が決定します。
決審会の様子はこちらから
「SAKE COMPETITION 2023」開催!世界一美味しい日本酒が決定
本年は、全国335の酒蔵が出品。全1,000点にもおよぶ日本酒のなかからこの日、各部門の1位に輝く銘柄が発表されました。
「SAKE COMPETITION 2023」受賞酒一覧
「SAKE COMPETITION 2023」は、「純米酒部門」「純米吟醸部門」「純米大吟醸部門」「SUPER PREMIUM 部門」と4部門の審査を実施。会場には、各部門の上位に入賞した酒蔵の代表者が招待されました。
ただし、実際の順位までは各蔵に伝えられていません。10位から1位へと、司会者が受賞酒を読み上げるごとに会場の緊張は高まります。
1位受賞酒が発表されると歓声が湧き、各蔵の代表がお互いに受賞をたたえ合う姿も。日本酒好きのプレゼンターたちも感激のメッセージを送るなど、会場は喜びのムードに包まれました。
純米酒部門のプレゼンターを務めた吉田 類氏は「純米酒は飲用温度の幅が広いお酒。燗酒好きにとって、おいしい純米酒が登場することほどうれしいことはない」と、大和蔵酒造株式会社・山内 信雄氏と笑顔で握手。
また4部門に加え、日本酒ソムリエアプリSakenomyが選ぶ「Sakenomy Best
Brewery of the Year」、次世代の日本酒の造り手を応援する「ダイナースクラブ若手奨励賞」、JAL機内酒として提供される「JAL空飛ぶSAKE賞」の受賞酒も発表されました。
純米酒部門
部門出品数 273点、予選通過数 138点
1位 大和蔵酒造株式会社「 雪の松島 海 -KAI- ひとめぼれ 純米原酒」(宮城)
2位 宝剣酒造株式会社「宝剣 純米酒 レトロラベル」(広島)
3位 合名会社大木代吉本店「楽器正宗 純醸」(福島)
4位 株式会社アリサワ「文佳人 純米酒」(高知)
5位 有限会社濵川商店「美丈夫 特別純米」(高知)
6位 天領盃酒造株式会社「雅楽代 ~玉響~」(新潟)
7位 相原酒造株式会社「UGO AURORA」(広島)
8位 株式会社中勇酒造店「天上夢幻 旨口 特別純米」(宮城)
9位 宝剣酒造株式会社「宝剣 純米酒」(広島)
10位 株式会社せんきん「仙禽 モダン仙禽 無垢」(栃木)
純米吟醸部門
部門出品数 343点 予選通過数 175点
1位 相原酒造株式会社「雨後の月 純米吟醸 山田錦」(広島)
2位 亀泉酒造株式会社「亀泉 純米吟醸 吟麓」(高知)
3位 株式会社今田酒造本店「富久長 八反草 純米吟醸」(広島)
4位 米澤酒造株式会社「今錦 純米吟醸 美山錦」(長野)
5位 株式会社澄川酒造場「東洋美人 純米吟醸 50」(山口)
6位 株式会社新澤醸造店「伯楽星 純米吟醸」(宮城)
7位 峰乃白梅酒造株式会社「峰乃白梅 純米吟醸」(新潟)
8位 石鎚酒造株式会社「石鎚 純米吟醸 緑ラベル」(愛媛)
9位 府中誉株式会社「渡舟 純米吟醸五十五」(茨城)
10位 河武醸造株式会社「鉾杉 弓形穂 しずく純米吟醸酒」(三重)
純米大吟醸部門
部門出品数 333点 予選通過数 171点
1位 大嶺酒造株式会社「大嶺2粒 火入れ 山田錦」(山口)
2位 相原酒造株式会社「雨後の月 純米大吟醸 愛山」(広島)
3位 株式会社みいの寿「三井の寿 純米大吟醸 福」(福岡)
4位 秋田酒造株式会社「酔楽天 純米大吟醸 百田晴」(秋田)
5位 株式会社澄川酒造場「東洋美人 壱番纏 純米大吟醸」(山口)
6位 磐乃井酒造株式会社「磐乃井 純米大吟醸」(岩手)
7位 鶴乃江酒造株式会社「会津中将 純米大吟醸 特醸酒」(福島)
8位 加茂錦酒造株式会社「BRILLIANCE 亀の尾」(新潟)
9位 金光酒造合資会社「賀茂金秀 純米大吟醸40」(広島)
10位 株式会社町田酒造店「町田酒造35 純米大吟醸 premium」(群馬)
SUPER PREMIUM 部門
部門出品数 51点 ※決審のみ
1位 清水清三郎商店株式会社「作 智」(三重)
2位 株式会社土井酒造場「開運 純米大吟醸 諸法無我」(静岡)
3位 株式会社外池酒造店「外池 AUTHENTIC 純米大吟醸 袋吊り雫酒」(栃木)
ダイナースクラブ若手奨励賞
次世代の造り手を応援するために創設。40歳以下の最上位受賞蔵に授与。
純米酒部門1位 大和蔵酒造株式会社(宮城) 杜氏 関谷 海志氏
「杜氏を始めてまだ2年目ですが、酒造りの伝統を守り、育み、継承していけるよう今後も邁進してまいります(関谷氏)」
JAL空飛ぶSAKE賞
純米3部門(純米大吟醸、純米吟醸、純米酒)の中から、その勢いとは裏腹に出荷量に限りがあり国内でも希少性の高いお酒に対し、海外の方にも是非知ってもらいたいという視点で選定。
純米吟醸部門7位「峰乃白梅 純米吟醸」峰乃白梅酒造株式会社(新潟)
「まったく予想していなかった受賞、驚きもあり喜びもひとしおです。海外の方に喜んでいただけるよう、今後も精進してまいります(高橋氏)」
Sakenomy Best Brewery of the Year
日本酒アプリ「Sakenomy」で5品以上の商品が評価されている酒蔵の中で、すべての商品の平均点が1番高い蔵に贈呈。
1位 高木酒造株式会社 「十四代」 (山形)
2位 新政酒造株式会社 「新政」 (秋田)
3位 阿部酒造株式会社 「あべ」 (新潟)
「酒造りをはじめて今年で30年。節目の年にこのような賞をいただけたこと、大変光栄に思います。今後も初心を忘れず、酒造りに邁進してまいります(髙木氏)」
「SAKE COMPETITION 2023」各部門1位受賞蔵へインタビュー
純米酒部門1位「雪の松島 海 -KAI- ひとめぼれ 純米原酒」大和蔵酒造
「雪の松島 海 -KAI- ひとめぼれ 純米原酒」は、ダイナースクラブ若手奨励賞を受賞した杜氏・関谷 海志氏が杜氏就任から2期目で誕生させた酒。杜氏の名にちなみ「海 -KAI-」と名付けた純米酒には、杜氏の想いが詰まっていると山内氏は語ります。
「前任のベテラン杜氏のもとで関谷杜氏が経験を重ね、ひとり立ちしてから2年目でいただいた評価。喜びもひとしおです。彼の想いを込めた酒。名前はだいぶ悩みましたが、海に面した『松島』と彼の名にちなみ『海』と名付けました。レギュラー酒はもちろん、今後もいろいろな酒を造り出してくれるのではと楽しみな気持ちでおります」
※ネット販売での取り扱い情報はなし(2023年6月17日時点)
純米吟醸部門1位「雨後の月 純米吟醸 山田錦」相原酒造
2013年以来、10年ぶりの1位受賞となった相原酒造株式会社の「雨後の月」。「SAKE COMPETITION 2023」では相原酒造をはじめ、宝剣酒造、金光酒造、今田酒造本店と広島の酒蔵が上位に入賞。広島における酒造りのレベルの高さを示す結果となりました。
「この場に呼んでいただけるというだけでも、非常に難易度が高くそしてありがたいこと。さらにこのような賞をいただき、1位の名を呼ばれた瞬間は本当に嬉しかったです。早く蔵の仲間にも直接喜びを伝えたい。常に切磋琢磨しあう広島の蔵の活躍も同じように嬉しく、“広島の酒”の美味しさが皆さまに伝わるきっかけになるのではと思っています」
純米大吟醸部門1位「大嶺2粒 火入れ 山田錦」大嶺酒造
2010年、50年以上休眠状態だった蔵を復活させた秋山氏。斬新なボトルデザイン「大峰」の酒質は、ブラインド審査を重視する「SAKE COMPETITION」でも高く評価されました。
「自分たちが目指す究極バランスに向け、酒質は毎年ブラッシュアップさせています。今回の受賞により、結果としてひとつの答えが出た気持ちです。蔵のスタッフはもちろん、これまで美味しいと言っていただいていたお客様にとっても、喜ばしい結果になったのではないかと思います。自分たちは新参者ですが、そのぶんアイデアが形になりやすい。今後も様々なことへチャレンジしていきたいと考えています」
SUPER PREMIUM 部門1位「作 智」清水清三郎商店
例年「SAKE COMPETITION」上位に名を連ねる「作」。今回は、720mlで10,000円(外税)以上、1800mlで15,000円(外税)以上の日本酒を対象とした「SUPER PREMIUM部門」での1位受賞となりました。
「ここ数年、こんなにも長くお酒を飲めない期間が続くなんてという気持ちでした。これも経験、と料理にソフトドリンクをあわせたこともあるのですが、やはりお酒とはまったく違うものだな、と。普通にお酒が飲めるありがたさを自分自身も感じております。今回の賞を励みに、国内はもちろん海外にも日本酒のありがたさ、素晴らしさを伝えていきたい想いです」
日本酒の素晴らしさを消費者へ届ける「SAKE COMPETITION 2023」
プレゼンターを務めた中田 英寿氏が「時代の流れの速さ、市場の好みの変化を感じた」と話す「SAKE COMPETITION 2023」。あらゆる層に好まれる飲みやすい酒が人気を集めるなど、日本酒の個性は多様化を見せています。
一方で、一次産業「農業」の存在が酒造りを支えているのは現在も変わりません。また、中田氏が惹かれたという文化的な魅力は、令和の日本酒にも息づいています。
「SAKE COMPETITION 2023」が評価するのは、すべて市販酒。私たち消費者と酒蔵、酒販店、そして日本酒造りを支える農家とを繋げてくれる存在です。
今回1位を受賞したお酒をはじめ、上位入賞酒のなかにも自分のとっておきの1本が存在するかもしれません。受賞結果を参考に、日本酒の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。