
2025年6月10日(火)、「SAKE COMPETITION2025」の表彰式がTAKANAWA GATEWAY CITYにておこなわれました。
「SAKE COMPETITION」は、世界最大級ともいわれる日本酒の品評会。市販酒を対象に、およそ1000点もの中から各部門の受賞酒が決定します。
今回は受賞酒一覧とともに、受賞蔵へのインタビューの模様をお伝えします。
目次
「SAKE COMPETITION2025」日本全国から1163点の日本酒が集結
「SAKE COMPETITION(サケ コンペティション)」は、世界最大級といわれる日本酒のコンペティションです。
2012年、「ブランドによらず消費者が本当においしい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい」という理念のもとスタート。
以来、受賞をきっかけに一躍話題となる銘柄が誕生するなど、日本酒界のトレンドを牽引してきました。
審査はすべて、銘柄を隠したブラインド方式で実施されます。2025年は、日本全国から1163点の日本酒が集結。
5月上旬の審査会を経た6月10日(火)、TAKANAWA GATEWAY Convention Centerにて結果発表と表彰式がおこなわれました。
「SAKE COMPETITION2025」GOLD受賞酒一覧
「SAKE COMPETITION2025」では、以下の6部門にて厳正なる審査がおこなわれました。
- 純米酒
- 純米吟醸
- 純米大吟醸
- Super Premium
- 海外出品酒
- モダンナチュラル
出品の基本条件は、「一定期間に販売実績または販売予定のある日本酒」であること。
消費者がおいしい日本酒に出合えるよう、あくまでも市販酒を対象とした品評会であることがわかります。
受賞酒の一部は、コンペティションを運営する「はせがわ酒店」のオンラインストアで購入可能です。ご紹介する受賞酒一覧を参考に、気になる銘柄をぜひ手に取ってみてください。
純米酒 部門
【部門出品数286点 予選通過140点】
1位:磯自慢酒造株式会社「磯自慢 雄町 特別純米53」(静岡)
2位:株式会社中勇酒造店「天上無限 旨口 特別純米」(宮城)
3位:松屋酒造株式会社「流輝 純米ドライ」(群馬)
4位:株式会社廣木酒造本店「飛露喜 特別純米」(福島)
5位:赤武酒造株式会社「AKABU 純米酒」(岩手)
6位:今西酒造株式会社「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita」(奈良)
7位:合名会社大木代吉本店「自然郷 円融純米」(福島)
8位:高木酒造株式会社「土佐金蔵 特別純米酒」(高知)
9位:福禄寿酒造株式会社「一白水成 特別純米酒 良心」(秋田)
10位:牧野酒造株式会社「大盃 特別純米」(群馬)
純米酒部門第1位に輝いたのは、静岡県「磯自慢酒造株式会社」の「磯自慢 雄町 特別純米53」です。酒米「雄町(おまち)」の魅力を引き出した味わいが、各審査員から高く評価されました。
第2位の「株式会社中勇酒造店」は、2023年度以来2度目となる純米酒部門GOLD受賞です。
また、第5位にランクインしている岩手の「赤武酒造株式会社」は、純米吟醸部門および純米大吟醸部門でも10位以内を獲得。過去のコンペティションでも度々GOLD受賞を果たすなど、安定した実力をみせています。
はせがわ酒店 オンライン店「磯自慢 特別純米 雄町 53%」
純米吟醸 部門
【部門出品数340点 予選通過165点】
1位:寒紅梅酒造株式会社「寒紅梅 純米吟醸 山田錦50%」(三重)
2位:木屋正酒造株式会社「而今 純米吟醸 三重山田錦」(三重)
3位:株式会社澄川酒造場「東洋美人 限定純米吟醸 愛山 醇道一途」(山口)
4位:大嶺酒造株式会社「大嶺3粒 ひやおろし 山田錦」(山口)
5位:合名会社大木代吉本店「楽器正宗 雄町 中取り」(福島)
6位:清水清三郎商店株式会社「作 奏乃智」(三重)
7位:磯自慢株式会社「磯自慢 純米吟醸」(静岡)
8位:株式会社町田酒造店「町田酒造55 純米吟醸 山田錦」(群馬)
9位:株式会社中島屋酒造場「中島屋 純米吟醸」(山口)
10位:赤武酒造株式会社「AKABU 純米吟醸 愛山」(岩手)
三重県の「寒紅梅 純米吟醸 山田錦50%」は、昨年の「SAKE COMPETITION」で第10位を獲得した日本酒です。2025年は見事、第1位に輝きました。
第2位と第6位には、同じく三重県の地酒「而今 純米吟醸 三重山田錦」、「作 奏乃智」がランクイン。
また、第3位の「東洋美人 限定純米吟醸 愛山 醇道一途」をはじめ、山口県の日本酒も3銘柄がGOLDを受賞しています。
はせがわ酒店 オンライン店「東洋美人 限定純米吟醸 愛山 醇道一途」
純米大吟醸 部門
【部門出品数341点 予選通過181点】
1位:黄金井酒造株式会社「盛升 純米大吟醸」(神奈川)
2位:株式会社外池酒造店「望bo: 純米大吟醸 雄町」(栃木)
3位:株式会社南部美人「南部美人 純米大吟醸」(岩手)
4位:天鷹酒造株式会社「有機純米大吟醸 天鷹 槽搾り原酒」(栃木)
5位:石鎚酒造株式会社「石鎚 純米大吟醸」(愛媛)
6位:株式会社外池酒造店「燦爛 純米大吟醸 夢ささら」(栃木)
7位:株式会社南部美人「南部武人 純米大吟醸 結の香」(岩手)
8位:赤武酒造株式会社「AKABU 極上ノ斬 純米大吟醸」(岩手)
9位:白鶴酒造株式会社「白鶴 Alternative 純米大吟醸 白鶴錦」(兵庫)
10位:天吹酒造株式会社「天吹 純米大吟醸 愛山」(佐賀)
第1位の「盛升 純米大吟醸」は、「IWC(インターナショナルワインチャレンジ)2025」でシルバー受賞、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2025」では3年連続の金賞受賞と、数々の受賞歴を誇る日本酒です。低温発酵により繊細かつクリアな味わいを生み出しています。
第2位の「株式会社外池酒造店」は、2016年の純米吟醸部門でも第2位を獲得しています。
また、岩手県の「株式会社南部美人」は、酒米の違う2種の銘柄がGOLD受賞。
山田錦を使った「南部美人 純米大吟醸」、岩手県オリジナルの酒米を使った「南部武人 純米大吟醸 結の香」と、受賞酒の飲み比べを楽しむのもおすすめです。
Super Premium 部門
【部門出品数71点】
1位:宮下酒造株式会社「極聖 純米大吟醸 天下至聖」(岡山)
2位:株式会社西田酒造店「田酒 純米大吟醸 PREMIUM」(青森)
3位:亀の井酒造株式会社「くどき上手 命 斗瓶囲大吟醸」(山形)
Super Premium部門に出品できるのは、価格が1万円(720ml/税抜)、または1万5,000円(1800ml/税抜)以上の日本酒です。
高級酒にあたるこの部門では、出品数71点のうち3点がGOLDを受賞しました。
第1位に輝いた「極聖 純米大吟醸 天下至聖」は、酒米「雄町」を精米歩合20%という極限のサイズまで精米。
小さく小さく磨き上げ、雑味のもとといわれるタンパク質や脂質を取り除くことで、これまでにない味わいを実現しています。
はせがわ酒店 オンライン店「極聖 純米大吟醸 天下至聖 雄町2割磨き」
はせがわ酒店 オンライン店「くどき上手 命 斗瓶囲い 大吟醸」
海外出品酒 部門
【部門出品数10点 ※結審のみ】
1位:DASSAI USA Inc.「DASSAI BLUE Type 23」(NY)
海外出品部門の出品条件は、日本以外の国で製造されてた清酒であること。2025年は昨年に続き、アメリカ・ニューヨーク生まれの「DASSAI BLUE Type 23」が第1位に輝きました。
醸造元の「DASSAI USA INC.」は、山口県の「株式会社 獺祭」がニューヨークに建設した酒蔵です。「DASSAI BLUE」という名は、ことわざ「青は藍より出でて藍より青し」に由来しています。
ことわざが「弟子が師を超える」という意味をもつように、「ニューヨークのDASSAIが、日本で作られるオリジナルの獺祭を超えるように」との想いが込められたお酒です。
モダンナチュラル 部門
【部門出品数115点 ※結審のみ】
1位:株式会社西田酒造店「田酒 純米大吟醸 山廃」(青森)
2位:吉川醸造株式会社「雨降 MIZUMOTO 愛山」(神奈川)
3位:松瀬酒造株式会社「松の司 純米大吟醸 AZOLLA50」(滋賀)
4位:越銘醸株式会社「山城屋 STANDARD CLASS」(新潟)
5位:株式会社せんきん「仙禽 モダン 壱式」(栃木)
モダンナチュラル部門は、今回新たに設けられた部門です。醸造アルコールを使用しない純米酒であり、以下のような伝統製法を用いたお酒が対象となっています。
- 生酛(きもと)
- 山廃(やまはい)
- 菩提元(ぼだいもと)
第1位に輝いたのは、「田酒 純米大吟醸 山廃」です。山廃は濃醇で複雑みのあるお酒が多いなか、こちらは山廃らしさを残しつつ、スッキリとクリアな味わいを実現しています。
2位以下に続くいずれも、古くて新しい味わいに出合える銘柄ばかりです。オンラインでの購入はもちろん、飲食店などで見かけた際も、ぜひチェックしてみてください。
はせがわ酒店 オンライン店「松の司 純米大吟醸 AZOLLA 50」
はせがわ酒店 オンライン店「山城屋 Standard-Class」
ダイナースクラブ若手奨励賞
ダイナースクラブ若手奨励賞は、次世代の造り手を応援するために創設された賞です。GOLD受賞酒蔵の40歳以下の若手醸造責任者、または杜氏を対象としています。
2025年は、岩手県の「株式会社南部美人」の杜氏、林 敬宏氏が受賞しました。
林氏は、令和6年度岩手県青年卓越技能者の表彰を受けた人物です。今後は地元のみならず、日本酒界を牽引する人物としてさらなる活躍が期待されます。
TAKANAWA GATEWAY CITY まちびらき記念 最優秀酒蔵賞
最優秀蔵元賞には、静岡県の「磯自慢酒造株式会社」が輝きました。磯自慢酒造株式会社は、純米酒部門第1位にくわえ純米吟醸部門では第7位を受賞。「SAKE COMPETITION」2012年の開催以来、実力蔵として度々上位に名を連ねています。
JAL空飛ぶSAKE賞
JAL空飛ぶSAKE賞は、その勢いとは裏腹に出荷量に限りがあり、国内でも希少性の高いお酒に対して贈られる賞です。
空を飛び、海外でもその存在を知ってほしいという視点のもと、2025年は新設「モンダンナチュラル部門」の第3位、「松の司 純米大吟醸 AZOLLA50」 が受賞しました。
実行委員長賞
SAKE COMPETITION実行委員長、長谷川 浩一氏が審査中にもっとも素晴らしかったお酒として授与する賞には、純米吟醸部門の「御慶事 純米吟醸 ひたち錦」が選ばれました。
こちらは長谷川氏が代表取締役社長を務める「はせがわ酒店」のオンラインストアで購入可能です。
「SAKE COMPETITION 2025」各部門1位受賞蔵へインタビュー
表彰式後は、各部門で第1位を獲得した蔵へのインタビューがおこなわれました。ここからは、それぞれの喜びの声をお届けします。
※純米大吟醸 部門1位「黄金井酒造株式会社」は欠席のためインタビューはありません
純米酒 部門1位「磯自慢 雄町 特別純米53」磯自慢酒造株式会社

「2012年の純米吟醸部門1位受賞以来、久しぶりに壇上に上がることができ、大変うれしく思います。とくに今回は、日本酒の基本ともいえる純米酒部門での受賞。造り酒屋冥利に尽きる思いです。
受賞酒には、雄町のなかでも良質な赤坂産を使用しています。米質にあった酵母を研究し、精米から製麹、搾りまで丹精込めて仕上げました。
当蔵が大切にしているのは、何よりチームワークです。年齢や経験に差があったとしても、日本酒を造るときは真剣に、その他の時間はわきあいあいと。「チーム磯自慢」として一致団結した先に、クリアでありながら味がある「崇高なる透明感」を体現した日本酒が生まれます。
今後は和食だけでなく、イタリアンやフレンチにもマッチし、日本酒の定義を広げられるような酒を造っていけたらと思います」
純米吟醸 部門1位「寒紅梅 純米吟醸 山田錦50%」寒紅梅酒造株式会社

「受賞酒は、昨年もゴールドを獲得したお酒。今年も自信をもって出品しましたが、名前を呼ばれたときはやはり驚きました。
表彰式が終わり、今やっと喜びを実感しています。今は取引先の方々をはじめ、社長や従業員、そして応援してくださったすべての方々に感謝を伝えたい思いです。
今年の米は例年と個性が違い、試行錯誤を重ね完成へとたどり着きました。今後も社長が常日頃言うようコミュニケーションを大切に、衛生チェックを重ね、日本酒を口にしてくださるお客様の顔を思い浮かべながら、酒造りを続けていきたいです」
SUPER PREMIUM 部門1位「極聖 純米大吟醸 天下至聖」宮下酒造株式会社

「このような賞をいただけるとは思っておらず、大変驚いています。と同時に、これまでの軌跡が賞という形で認められたことがうれしく、感謝の思いでいっぱいです。
これも酒造りに携わるすべてのスタッフの努力があってこそだと感じています。これまで支援してくださった皆様にも、受賞の喜びと感謝の気持ちをお伝えできればと思います」
海外出品酒 部門1位「DASSAI BLUE TYPE23」 DASSAI USA INC.

「昨年に続く受賞に、驚きとともに喜びを感じています。「DASSAI BLUE TYPE23」は、まだまだ成長の伸びしろがあるお酒。目標はいたってシンプル、「おいしい酒」であることです。
酒造りの場が山口であっても、ニューヨークであってもそれは変わりません。成長のなかでは思わぬトラブルに見舞われることもありますが、その都度スタッフと試行錯誤を重ねています。
今後はアメリカのニューヨークという場所から、日本文化のひとつである日本酒の魅力を世界に発信できればと考えています」
モダンナチュラル部門1位「田酒 純米大吟醸 山廃」株式会社西田酒造店

「初となる出品でこのような評価をいただき、大変うれしく思います。今、喜びを伝えたいのはもちろん社員たち。私にとって、すべての社員が家族同然の存在です。
当蔵の山廃は、すっきりとした酸とクリアな味わいを特徴としています。こんな山廃もあるんだよと伝えたいという想いから、今回モダンナチュラル部門に出品しました。
燗でも冷やでも、ぜひお好きなスタイルで楽しんでいただければと思いますが、受賞酒に関しては、香りをより感じられる冷やがおすすめです。
私たちにとって「ゴール」はなく、常に今が通過地点。今後も去年より今年、今年より来年と味の高みを目指していきます」
日本酒の素晴らしさを消費者へ届ける「SAKE COMPETITION 2025」
2012年にスタートし、コロナ禍を乗り越え、今年11回目の開催を迎えた「SAKE COMPETITION 2025」。
ブランドや銘柄に左右されず、酒質のみを評価基準とするコンペティションは、受賞蔵はもちろん市販酒そのものの価値も高めてきました。
「日本酒は好きだけど選び方が難しい」、「おいしいと聞いても手軽に買える日本酒が少ない」と悩むときこそ、日本酒との新たな出合いのチャンス。
1位をはじめとする受賞酒を手に取り、蔵人や酒販店の思いを感じながら、日本酒の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。