秋田県の「山本」は、個性的な商品展開と確かな酒質が人気の日本酒です。手がけるのは醸造アルコールを添加しない純米酒のみ。山本酒造の社長である山本友文氏がいちから造り上げたお酒は、今や秋田の地酒として全国にその名が知られています。
こちらでは、山本の特徴とともに、バラエティに富んだ種類や購入先をご紹介します。思わず飲んでみたくなる魅力に溢れた山本の世界を、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
1.日本酒の山本とは
山本は、誕生から15年あまりにもかかわらず、今や秋田の地酒の代表格に名を連ねる日本酒です。「酒造りは米作りから」との想いから、蔵の仕込み水が流れる田んぼで自ら酒米を栽培。米作りから精米、搾りに瓶詰めまで蔵元である山本氏が全て手がけています。
なによりファンを惹きつけて止まないのは、山本氏の独創的な発想から生まれる銘柄の数々です。秋田杉の木桶で仕込んだ「Ice Bule」は、名前の由来となったブルーに輝くラベルが印象的な1本。「秋田ロイヤルストレートフラッシュ」には、秋田産の5種類の酒米と酵母が使用されています。
こだわりの米と白神山地の湧き水で仕込まれる山本は、スッキリと飲みやすく穏やかな香りが特徴。後口のキレも良く、ついつい後引く魅力にあふれた仕上がりとなっています。
1-1.酒造元について
「山本」を造る山本酒造店は、1901年(明治34年)創業の酒蔵です。蔵が位置するのは、ハタハタ漁で有名な秋田県の八峰町。海岸近くにあることから地下水を使用することは難しく、3km離れた場所から湧き出る天然水を蔵へ引き込み、日本酒を仕込んでいます。
昭和40年頃には全国に先駆け大吟醸を出荷していた蔵も、日本酒業界の衰退により、昭和の後半には生産量が最盛期の1/10にまで減少。酒造りとは異なる職についていた現在の蔵元・山本友文氏は蔵へ戻り、経営再建を図ります。
自ら製造責任者兼杜氏となった山本氏は、純米酒のみの製造にこだわり、シックな香りを引き出す個性を持った酵母を中心に酒造りを開始。今では当時の3倍以上の生産量を誇るまでに成長した山本は、秋田の地酒の代表格としてその名を知られています。
1-2.山本という名の由来
山本酒造は、長年「白瀑」(しらたき)という銘柄のお酒を造る酒蔵でした。現在の「山本」は、蔵元・山本友文氏によって誕生したシリーズ。初めて造ったお酒を酒屋に持って行ったところ、白瀑ではない名前にしたほうがよいとアドバイスをもらったのがきっかけだと言われています。
現在は全生産量の約7割を占める「山本」は、まさに蔵の代表作とも言えるお酒。他にはないお酒の個性もあいまって、次々とファンを増やし続ける銘柄です。
2.山本の種類と値段について
山本は、醸造アルコールを添加しない純米酒のみにこだわっている銘柄です。純米酒から純米吟醸、純米大吟醸とそれぞれの味と香りを楽しめます。価格は手ごろな1000円台から、ギフトにも適した6000台とさまざま。ぜひ好みに合わせた山本を見つけてみてくださいね。
2-1.Pure Black ピュアブラック
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 | 価格 |
50/55% | 秋田酒こまち | 720ml:1690円(税込) 1800ml:3380円(税込) |
評判
山本の看板商品となる銘柄です。6代目蔵元の山本氏が、自ら酒造りを手がけた最初の日本酒になります。
「ピュア」の名のとおり、その味わいは実に繊細で口当たりは軽やか。果実のような爽やかな香りが心地よい、飲み飽きしない純米吟醸です。
(出典元:山本酒造公式)
2-2.Midnight Blue ミッドナイトブルー
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 | 価格 |
50/55% | 秋田酒こまち | 720ml:1690円(税込) 1800ml:3380円(税込) |
評判
通年販売の「ピュアブラック」の姉妹品としてリリースされた銘柄です。使用する「こまち酵母R-5」は、秋田県醸造試験場が華こまち酵母から選抜分離した新酵母。秋田酒こまちの旨味を引き出しながら、リッチな吟醸香を実現しています。
適度に冷やすことで、柑橘系のフルーツのようなジューシーな酸味を堪能できる1本です。
(出典元:山本酒造公式)
2-3.Strawberry Red ストロベリーレッド
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 | 価格 |
50/55% | 秋田酒こまち | 720ml:1690円(税込) 1800ml:3380円(税込) |
評判
「ピュアブラック」と同じ酒米と酵母を用い、三段仕込みの工程で白麹を使用した日本酒です。焼酎にも使用される白麹は、柑橘類にも含まれるクエン酸を多く生成するのが特徴。ストロベリーレッドは、酸味を最大のポイントに造り上げられた純米吟醸です。
山本氏いわく、その酸味は「甘酸っぱいファーストキス」のような味。通年商品ではないため、出会った際にはぜひ購入をおすすめしたい銘柄です。
(出典元:山本酒造公式)
2-4.木桶け仕込み Ice Pink
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
29% | 秋田酒こまち | 720ml:6000円(税込) |
評判
米を磨く度合いを示す精米歩合(せいまいぶあい)は29%。山本の中でも最も磨き上げた米で造られる、特別な純米大吟醸です。
日本酒を仕込む際に使用するのは、日本三代美林とも言われる「秋田杉」で造られた木桶。低温熟成から生まれるジューシーな旨味と、ほどよい酸味が合いまったとっておきの山本です。
(出典元:山本酒造公式)
2-5.サンシャインイエロー
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
55% | 秋田酒こまち | 720ml:1690円(税込) 1800ml:3380円(税込) |
評判
山廃仕込みのお酒は燗酒で飲まれることが多いなか「冷やして飲む山廃」をコンセプトに造られたお酒です。秋田県産の酒米を、蔵付き酵母である「セクスィー山本酵母」で仕込んでいます。
ラベルに「お燗はダメよ」と書かれているとおり、サンシャインイエローはキリッと冷やして楽しみたいお酒。メロンのような甘みと程よい苦みが心地よく、スイスイ飲み進められる味わいです。
(出典元:山本酒造公式)
3.山本の購入方法
蔵での直販は行っていない「山本」は、正規取扱店と通販サイトで購入可能です。日本酒の管理が行き届いたお店を選べば、山本のこだわりが活きた本当に美味しい1本を購入することができますよ。
3-1.山本が購入できる実店舗
山本を販売する正規取扱店は、蔵の取引先の地酒問屋である「小泉商店」の公式サイトから確認できます。人気商品の山本は売り切れになってしまうことも珍しくないため、事前に在庫を確認してから足を運ぶのがおすすめです。
3-2.山本が購入できる通販サイト
山本は大手通販サイトでも購入できますが、正規ではない価格で販売されていることがあるので注意が必要です。また、日本酒を専門に扱っていないお店では、品質管理が行き届いていない場合もあります。
直接商品を手にすることができない通販サイトは、日本酒に適した保存管理を行っている専門ショップを選ぶのがおすすめ。酒蔵が求める酒質そのままの、本当に美味しい山本を購入することができますよ。
4.山本の美味しい飲み方・楽しみ方
蔵元である山本氏が生み出す「山本」は、常にファンを驚かせ楽しませてくれます。使用する酒米や酵母、製造法もさまざまなので、飲み比べを楽しむのもおすすめ。ジューシーな旨味を持つ銘柄からキレのある銘柄まで、ぜひ好みに合わせた山本をお楽しみください。
4-1.-5度で保管?
購入した山本を美味しく保管するためには、温度管理がポイントとなります。日本酒は温度による酒質の変化を受けやすいお酒。蔵直送の味わいをキープするために理想的な温度帯は、酵母の働きがストップする-5℃だと言われています。
とはいえ、家庭用の冷蔵庫では-5℃をキープするのは簡単なことではありません。そこでおすすめしたいのが、日本酒専用に開発された冷蔵庫「日本酒セラー」です。日本酒に大敵な紫外線を避けつつ、-5℃をキープできるセラーなら、一度開栓した日本酒も美味しいまま保管できます。
日本酒セラーがない場合には、紫外線のあたらない冷暗所で縦置きで保管するのがおすすめ。日本酒は空気に触れると酸化しやすくなるため、開戦後はなるべく早く飲みきるように心がけてくださいね。
5.山本の期間限定品
山本酒造では、季節ごとにさまざまなバリエーションのお酒を誕生させています。山本らしくネーミングも個性的で、2月の限定品はその名も「うきうき」。ピンクのラベルが女性にも人気の限定品は、「さらりとした生酒がほしい」という酒屋からのリクエストを受けて生まれた銘柄です。
7月に販売される「ドキドキ」は、リンゴ酸を生成しやすい酵母で仕込んだ爽やかなお酒。ネーミングは、山本社長が湘南の海をイメージした際に思いついたフレーズに由来しています。
12月の「ど」は、真っ白なボトルが雪景色を思わせる活性にごり酒。もともとは蔵の経営状態が厳しかった平成16年代、仕込み途中の純米酒を早く現金化しようと、嫌がる杜氏を説得して生まれた商品だというから驚きです。現在は仕込み配合や瓶詰めのタイミングの見極めに成功し、「ど」は年末の人気商品となっています。
6.まとめ
「山本」は、バイタリティあふれる山本社長のこだわりと人柄が表れた日本酒です。すべての蔵人が杜氏としての責任を負い酒造りに取り組むことで、今では美酒王国秋田を牽引する銘柄のひとつとなっています。
個性的なネーミングやパッケージもさることながら、根強い人気の理由は、きれいな酒を目指したこだわりの原料と製法があってこそ。日本酒好きはもちろん、日本酒初心者という方もぜひ山本の味わいを楽しんでみて下さいね。